深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

The fact of the amazing interbreeding~SMC Pentax Zoom 40-80mm f2.8-4 mod. F~

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さて、今宵のご紹介は、予告通り、工房の衝動的お遊び作品のご紹介いきます(笑)
そう、ニコンFマウントに改造されたSMC Pentax Zoom 40-80mmf2.8-4です。
このレンズは小型軽量でもろに某山岳系の屋号の会社がシリーズ化していた、小型軽量のシステム1眼レフのお株を奪うが如く、今は亡き、旭光学がMシリーズとして登場させたKマウント機種の第二弾に合わせて小型軽量交換レンズということで発売されたもので1979年の発売、構成は7群7枚となっています。
この個体は、中野の量販洋菓子店に名前が良く似た中古カメラ店のヂャンク棚で誰にも看取られずに産廃化するところを硝材の良さに惹かれ買い求め、結局、中のエレメントを全部クリーニングして、その余勢を駆って、手許のFマウントのパーツに換装してしまったというもの。

では、先週の土曜日の午後にちゃちゃっと造って、海老ラーメン食べにのこのこと築地まで出かけていって、結局、売り切れ仕舞いだったという悲しい思い出を秘めたその日の行動に沿って、実写結果を見て参りましょう。
カメラはX-E1にF-FXアダプタ経由での全コマ開放の絞り優先AE撮影です。

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まず一枚目のカットですが、お目当ての真っ赤っかな海老ラーメン屋さんは、いつも立ち寄る穴子料理の銘店「つきじ吉野吉弥」のすぐ近くなので、期待に胸膨らませ、このエリアのランドマークである波除神社の万年提灯に午後遅くの傾き掛けた陽光が当たって、なかなかイイ案配なので、昼飯前とばかり望遠端で一枚撮ってみたもの。

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二枚目のカットですが、お目当ての海老ラーメンの新店「えび金」が15時も30分を過ぎた頃には売り切れ仕舞いということで、それを店頭自販機の全部売り切れで知らされ、思い切り地味なキブンで、最後の頼みの綱とばかり、馴染のまぐろ料理屋「又こい屋」へ足早に向う途中、テリー某の卵焼屋の近くの店舗で、奇特なことにシャケの甘塩漬けなんか買い求めようとする妙齢のアガシ二名が居たので、これ幸いにズームの望遠端で撮らせて戴いたもの。

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三枚目のカットですが、これも築地場外の銅張りのお寺の在る通りの乾物屋さんの店頭の様子ですが、レトロな編み下げも愛くるしい小々姐が、同伴のオモニとともに、ヲヤヂさんの晩酌のお供でしょうか、年に似合わぬ剽悍な眼差しでさきいかなど品定めしていたので、そのアンマッチさが面白いと思い、50mm付近で背後から一枚戴いたもの。

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四枚目のカットですが、これも場外の銅張りのお寺の前の通りと門跡通り商店街を南北に結ぶ通路沿いにある、マグロ専門店でいたいけな中国からの留学生と思しき小姐2名が、何故か鍋用とか云って、マグロの切り身を購おうとして、専門家のヲヂサンも、ほぼ100%の客が刺身か寿司か海鮮丼という生食用なのに、その鮮度の高い自慢のマグロを加熱調理用に使われると聞き、ほかの食材の方がイイんぢゃねとか個人的見解を述べていたので、これも50mm付近で背後から一枚戴いたもの。

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五枚目のカットですが、これも場外市場で門跡通りから一番近い東西の通路に店を構える活甲殻類専門のお店の店先で、これまた中国系の上品なマダムが、鍋用に蟹を買い求めたいということで、その蟹が無いものねだりをしていたようで、店のヲヤヂが眼をひん剥き、身振り手振りで、こっちの蟹が旨~いぞ♪的に果敢なセールストークを展開しているさまが面白かったので、望遠端で一枚戴いたもの。

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六枚目のカットですが、馴染のまぐろ料理屋「又こい屋」にて、大サービスの「まぐろゴマ和え丼」なぞを戴き、非常に満たされたキブンで家路に着く途上、築地本願寺の伽藍のシルエットとその遥か後方に屹立する聖路加タワーがとても過去と近未来の縮図みたいな雰囲気で面白かったので無限の描写を見たいこともあって、一枚撮ってみたもの。

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七枚目のカットですが、いつもの通り道というか、他人様の持ち物ながら、ほぼ自分の生活圏の一部と化してしまっている深川ガザリア恒例の歳末イルミで以て、このレンズがミラーレスの高感度特性に力を借り、どんな描写になるか、ショッピングモールのシンブルであるふくろうの像をモチーフにイルミを一枚撮ってみたもの。

今回の感想ですが、うーん、安いからにはなにかある・・・40mm域で無限に届かない、修理の時に間違えたか、それとも内部の汚れはほんのサワリで、実は焦点距離選定リングとフォーカスリングの調整を行う、カムとシムの調整が元からバカだったのか・・・Kマウント状態ではボディが無いと思い、テストしないで改造しちゃった orz

さて翌週は、楽しい仲間各位との築地、月島、佃ツアーで久々に使うシネレンズ等で撮った画でも挙げましょう、乞うご期待!!
  1. 2015/12/06(日) 19:52:13|
  2. ニコンFマウント改造レンズ
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Cost performer reborn in 2013~Tokina SZ-X200 mod.N/EF~

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さて今宵のご紹介は1990年製のサードパーテ-製ズームレンズ、Tokina SZ-X200 80-200mm f4.5~5.6を工房で元のミノルタSRマウントからNikon Fマウントに改造し、更にそれをF/EFマウントアダプタ経由、Canon EOS1DsMKIIで以てフルサイズ撮影したものです。

このレンズの特徴は、1990年当時のサードパーテー製レンズと言えば、とかく性能は純正に追い縋ろうとしても、同じような値段では買って貰えないと諦めていたのか、とにかく、鏡胴の材質、造りにコストダウンが顕著で、正直、モノとしての質感は議論に値しないものが多かった中で、オール金属鏡胴、しかも直進ズームで精度も高く、開放値もf4.5~f5.6とムリをしていないだけあって、デビュー当時の評価は玄人筋を中心にまずまずのようだったようです。

しかし、ここでひとつ素朴なギモンが生じます。何でレンジファインダー機のレンズ、一眼でも大口径単玉が好みの筈の深川精密工房でこんなレンズが出てくるんぢゃ!?ということです。

それには二つ理由が有って、ひとつ目は、先に購入し、大当たりだったCarenar135mmf2.8の二匹目のどぜうを狙い、馴染みの中古カメラ屋さんのヂャンクコーナーから、これはと思うお値ごろ品を目利きして、ばんばんと買って帰っているので、改造ドナーが増えたから、二つ目は国産のサードパーテーメーカーが実は海外有名ブランドのレンズをOEM供給していたことがあり、某L社と某S社のズームが鏡胴のパッケージングこそ違え、光学系は一緒という有名な話もあり、このT社もおフランスのTarres社の民需用ズームレンズをOEM生産していたという話しもまことにしやかに囁かれ続けてきたので、もしかしたら☆、ということでお値段も丸の内ランチ価格程度で玉もそこそこキレイだったので、買い求めて家に連れ帰ってきたということです。

では、早速実写例を見て参りましょう。ロケ地は先週のフジノン55mmf1.7同様、深大寺一帯です。

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まず一枚目のカットです。真っ先に訪れた深大寺城址で駆け寄った蕎麦の花畑で、ニホンミツバチ達が健気にミツだか花粉だかを集めていたのが目に留まりました。

そこで、早速、このレンズの特徴であるマクロ機能を使って!とか思ったのですが、全然使い方が判らないので、とりあえず、200mmで寄れるだけ寄って、臆病なミツバチを驚かさないよう細心の注意で撮ったのがこのカットです。

さすがにフルサイズで撮ってしまうと周辺のアウトフォーカス部の流れというか崩れについても、一目瞭然ですが、これがレンズの設計当時のものなのか、経年劣化によるものなのか、或いは工房の加工精度による片ボケなのか、ここでは判りませんが、少なくとも距離、構図を替えた別カットでは殆ど見当たらないことから、工房の加工ミスや加工精度の限界等リマウントによるものではなさそうです。

勿論、中央部に鎮座まします主役である、ニホンミツバチはやっと肉眼で判別出来るくらいの大きさではありますが、精緻に描写されています。

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二枚目のカットは深大寺城址から下って、閉園間際の水棲植物園で午後の遅い木漏れ日を浴びて黄金色に光るあやめ畑の全景図です。

被写界深度内である画面中央左寄り付近の陽光を浴びたあやめは勿論シャープに描写されていますが、後ボケはフジノンほど暴れず、ゾナー系ほどではないにせよ、油彩風のマイルドなボケ加減で個人的には好感持てました。

さすがに先般の潮来のぴちぴちのあやめ達を見た後だと、盛りを過ぎ、しなだれ始めたこちらのあやめ達の姿は痛々しいものが感じられないではないですが、それも午後の傾きかけた陽光の中だと、何か人生に対する暗黙の示唆のような気もして、これはこれでそこはかとない趣きを感じました。

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三枚目のカットですが、水棲植物園を後にして茶店街までやって来た時、秋には彩り鮮やかな紅葉の木の下で楽しそうに語らい合う、いたいけな学生さんカップルが居たので、ここでまた声を掛け、趣旨を十分理解して戴いた上での演技指導後の撮影です。

ピンはやや後方に立つ小姐の髪で合わせていますが、背景の緑濃い紅葉の木の葉に映えて、赤いブラウスがとても艶やかに見えます。

また背景のボケは距離の関係なのか、紅葉の木の葉が若干ぐるぐる傾向でざわついて見えるほか、遠い背景の点光源に口径食の影響が認められ、あまり美しく良くない形で写り込んでしまっているのが少々気になりました。

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四枚目のカットは深大寺山門から茶店街を見下ろした眼下で眼つきの宜しくない?童子達が、その表情に似合わず、童心に帰ってヨーヨー遊びをしているのが面白くて、200mmのロングショットで撮ったものです。

ピンを合わせた画面向かって左のヨーヨー童子の衣服も髪もかなりシャープに余すところ無く描写されてはいますが、左後方のアウトフォーカス部の狸の置物その他が流れているように見えます。が、よくよく画面を拡大してみれば、これらが流れているのではなく、遥か手前、眼前の紅葉の機の枝の葉が流れて悪さをしていたのでした。

色合いも肉眼で見たのとまず違和感なく、良く再現していると思いました。

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五枚目のカットですが、実は山門入ってすぐのおみくじ売り場で熱心におみくじの写真を撮っていた韓国人の小姐に声掛けて撮らせて貰っていたのですが、夕刻の木陰でしかもF4.5超の暗いレンズですから、こんな薄着の小姐なんかを撮っていたら、当然手が震えてしまい、失敗してしまったので、カムサムニダとか声を掛けて立ち去る後ろ姿を代わりに撮ったものです。

山門手前に較べれば、夕刻とは言えまだ残光が石畳を照らす参道はかなり明るいので逆光状態に近い構図でしたが、さすがEOS1DSMKII、露出に関しては、補整の必要もなく、一発勝負でほぼ的中域に持っていったのは大したものだと改めて感心しました。

ただ、背景からの浮き具合いを考えれば、潮来でデビューしたCarenar135mmf2.8の方が印象的であり、カバンの入れておけば・・・と少し後悔したのも偽らざる事実です。

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六枚目のカットは山門から降りて、茶店街の石畳に立ち、何か面白いシーンがないか辺りを睥睨している時、ふと山門を背にして右側、即ち西方向に伸びる木立の道を自転車を押して楽しそうに語らい合いながら歩く若い夫婦者みたいな人達が目に留まったので、これまた200mm域で撮ったものです。

手前の幟、残光を浴びて光る石畳、そして遠方の木製の看板、木漏れ日のパターン・・・これだけでも、自転車を押しながら歩く二人の舞台装置には充分だと思ったのですが、シャッター押す寸前に茶店街の何処かのお店のスタッフが画面に飛び込んだのです。

小生もその場は舌打ちなんかしてこのカットを捨ててしまおうかとも思ったのですが、セミシルエットと化したニヒルな横顔がこの牧歌的な二人が醸し出す空間への絶妙な隠し味になっているようにも思え、逆転採用とした次第です。

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七枚目のカットですが、茶店街で犬の散歩を兼ねて、夕刻に家族連れで近所の住人がやって来て、遅くまでとは云っても17時近くまで開いている茶店でアイスなんか買い食いしているところを観光客然として最短の80mm域で撮ったものです。

ピンは手前の買い食い小姐のご尊顔に合わせてますが、それでも開放値が暗いズームだけあって、足元のいたいけなトイプードルの良く手入れされた茶色い毛並みの質感まで余すところなく捉えているのはさすが、と思いました。

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八枚目のカットは、もう17時も回り、そろそろ撮影切り上げて深川に戻ろうか、と参道入口付近の京王バスのバス停でバスを待っている時に、飛んで火に入る何とか・・・ではないですが、店仕舞い状態の深大寺に鼻歌加減でやって来た中国人カップルが通り過ぎて暫くしてから、そう、ねずみ男の前辺りを通り過ぎる間合いを測って、最大レンジの200mm域で撮ったものです。

見ようによっちゃ、ねずみ男が「新婚さん、いらっしゃ~ぃ」とか気の早いことを云っているかのようにも見えて面白いカットになったのではないかと思いました。

今回の感想としては、それほどカリカリにシャープなワケではないですし、開放値もf4.5~5.6とかなり暗めですが、陽光燦燦たる観光地で開放で昼の祭りなんか、ロングショットで狙い撮り、なんて使い方なら充分威力を発揮するのではないかと思いました。これで、原価がランチ1回分ですからねぇ・・・

さて、来週は、当時、国産最強とも思われた激レアのレンズシャッター一眼レフ用改造玉の驚天動地の実写結果でもご紹介しようかと思いましたが、紹介したらば、欲しいのに買えなくなっちゃうよ~ぉとか云うクレームもままあるので、もうちょい緩めのテーマで行きます。乞うご期待。
  1. 2013/06/23(日) 20:55:17|
  2. ニコンFマウント改造レンズ
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An extreamly advanced idea lost~Zunow 50mmf1.8 proto.~

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【撮影データ】カメラ:LeicaM8 絞り優先AE ISO Auto 全コマ開放
さても巡り来た日曜の晩、巡る月日は風車と、もう早いもので、一月最後の更新となります。
今回のご紹介は、色々とネタが有ったのですが、某友誼電站にて川越特集やっていますので、乗り遅れると、やれ出し惜しみだの、新鮮味が薄れるのと、手厳しいお叱言が待ち構えていますから、当初予定を変更し、恐らく世界で一本と思われる帝国光学製ズノーフレックス用に開発されたと思われる、いかにも意味有りげなシリアルのズノー50mmf1.8をご紹介致します。

目ざとい読者の方は撮影データをご覧になって、ん・・・なんでカメラがM8とか書いてあんの?先週からのコピペで消し忘れあんぢゃね???と甚だ疑問に思われることと思います、ところがさにあらず、今回ご紹介の作例は全てM8で撮影したものです。

では、何故、そしてどうやって?という疑問が次に湧いて参りますが、順を追ってご説明致しますと、まず、このレンズは、都内某所の知る人ぞ知る、映画、CM、特殊撮影に関する大御所の事務所兼ラボ兼、倉庫兼秘密工場で永い眠りについていたのを、大御所手ずからの古レンズ発掘作業時に偶然発掘され、或る日、それを目敏く見つけた深川の工房主人が、あまりにも物欲しげに指を加えて見つめていたので、「持って帰ってイイよ、Fマウントにでもしてみな♪」と気前のイイことに預けて戴いたものなのです。

そこで、お預かりの条件通り、この稀有のレンズをFマウント化するために、苦心惨憺、マウント部をバラし、ズノ-オリジナルのマウント部をオリジナルのアルミ合金製に対し、工房では、高耐力真鍮の丸インゴットを刳り貫き、チタン箔、テフロングリース等々の最新テクノロジーなども使い、Fマウントで無限から最近距離まで指標通りに作動するプリセット絞りのレンズに改造したのです。

ところが、この写真の報道用F後期型に嵌めて、期待に胸弾ませてシャッター切ると、んんん、シャッターが落ちない・・・もしやと思いレンズを外してみたら、な、何と、後玉周囲のリングがミラーにぶつかっていて、ミラーがアップ出来ない。

が~ん・・・大失敗、これだけの労力をかけて写真を撮ることが出来ない。

病的な潔癖主義で気の短い工房主人は、きっとこれが自分の買ってきた玉であれば、後先考えず、窓から下を流れる運河にでも放り込んでいたでしょうが、これは、乞うて、大御所からお預かりしてきた貴重な玉です。

どうしようか迷いましたが、一晩寝てから考えることにして、翌朝、会社への出勤途上、マンションの入口にふと置かれたままになっている、寿司のおか持ち、しかも違う形のものを何とか重ねてある・・・そう、Fマウントに更にアダプタ付けてしまえばイイんだと。

しかし、大方針は出ましたが、このレンズ、当然のことながら、回転ではなく直進ヘリコイドですし、カムの連結のためビスで微細とは言え本体にキズでも付けては困りますし、接着剤など論外です。

そこで、うちの工房で試験的に買って、一旦テストはしましたが、実用性無し、との判定で死蔵されている或るアクセサリーが有ることを思い出しました。

それが、距離計半連動式のニコンF(レンズ)→ライカL(ボディ)アダプタです。正しくはカプラと呼ぶべきでしょう。

このアダプタはアイデア自体は秀逸で、要はボディ側の二重像合致式距離計で距離を割り出しておいて、独立したレンズの方のヘリコイドに移し変えるという方式の距離計利用法なのです。

ところが、なかなか上手いこと行きませんでしたが、或る程度コツを掴むと、結構正確に写真撮れるようになります。

それが距離を決めておいて、3mなら3mで二重像もレンズのヘリコイドも揃えておいて、撮影者自身が歩いて被写体まで近寄って行って、そして二重像が合った時点でシャッター切るのです、名づけて「人力ヘリコイド」。

ところで、このZunow50mmf1.8とはいかなるレンズなのか・・・その点を少し整理しておきましょう。

まず、このレンズを生み出した帝国光学ですが、設立は昭和5年と古く、レンズ専業メーカーとして、国内の中小カメラメーカーにレンズを供給していました。

この名前だけは壮大稀有なメーカーが名実共に世界の檜舞台に踊り出るのは、もはや説明の必要もないほど有名な、かの50mmf1.1を1953年に発表し、光学機器のお師匠さん、ドイツの光学界まで震撼せしめた時でした。

その後、国産各社がf1.2クラスのレンズを次々発表し、本家ライツがノクチルクス50mmf1.2をリリースしたのは、この極東の小さな光学機器メーカーがその技術を世界に問うた13年後のこと、1966年です。

そして、小さいながらも新進気鋭のアイデアに富むこの会社は、50mmf1.1リリースの5年後、1958年にこれまた世界初の完全自動絞り、クィックリターンミラーを装備したバヨネット式の一眼レフカメラ、ズノーフレックスを発表し、その先進性を世界に発信しましたが、やはり中小企業の悲しさ、人材不足の為せる業か、光学・機械設計技術と素材利用技術、要素技術と製造管理技術、釣り合いが取れないままでのかなりムリをした船出であったため、この革新的(である筈の)一眼レフは初期ロットの500台とも言われる個体のかなりの数がフィルム給装機構に致命的欠陥を抱えて出荷され、それがため、回収、破棄され、市中に出回った数は200とも、150とも言われています。

因みにニコンFが満を持して登場したのは、この一年後の出来事です。

そして、運命の1961年、この革新的ながらも儚げだったメーカーは大手取引先のアルコの倒産の余波をもろに受け、倒産の憂き目に合い、結局は同業のヤシカに吸収されてしまいます。

そのヤシカも数十年後事業破綻し、京セラに買収され、またそこも光学機器事業撤退という事態に見舞われるとは、何と因果なことでしょうか。

とまぁ、湿っぽい前置きはこのくらいにして、早速作例行ってみます。今回はオール川越ロケです。

まず一枚目。
一月の上旬には、毎年恒例の「ノンライツRF友の会・新宿西口写真修錬会」の新春撮影会が川越で行われます。
そして、朝10時に本川越駅集合ののち、まずは茶などをしばき、暖をとってからの撮影スタートです。
最初の目的地は、「喜多院」です。
ここでは、もう松も取れようというのに初詣客も大勢溢れ、七五三の残党みたいな親子連れまで散見されます。
集合場所・時間決めて、一同は散開、思い思いに獲物、もとい被写体を探します。
そして、早速、小生の目の前に現れてくれたのが、川島海荷を幼くしたような美小姐連れの親子、一枚イイすかぁと指立てると母親が渋々首を立てに振ります。

そこでカッコ良く一枚撮って、ハイ、お疲れサマでしたぁ・・・と手を振って笑顔で別れられればそれに越したことはないんですが、何せ半連動式のため、なかなか撮影に入れません、カラフルなチョコバナナを持った小姐もだんだん機嫌が悪くなってきそうな時、シャッターを切ったのがこの一枚。

フレアっぽいですが、よくよく見てみますと、シネレンズばりのシャープネスと赤の発色の艶やかさです。
また、遠距離の後ボケは2線気味ですが、直後のザンギリ頭の少年は良い案配のボケとなりました。

続いて二枚目。
やっとのことでコツを取得し、次なる獲物を求め境内を徘徊していると、木漏れ日浴びた露天商見習いと思われるそこそこ若い男女が言葉も交わさず、黙々と早い昼食、もしくは極度に遅い朝飯を食べています。
この陰陽が面白かったので、至近距離まで近づき一枚戴き。
小姐の耳にピンを置いていますが、素晴らしいシャープネスを見せてくれていますし、その少し後ろで黙々と食べている男子の方は優しいカンジのボケと化してくれました。
ここでも、赤の描き分けが見事ですし、背景の2線ボケもそれほど煩くはないと思います。

それから三枚目。
境内の喧騒から離れ、やや奥まった位置に在る、東照宮方面を目指します。
その途中に池が有って、寺社仏閣の造営ではお約束の池の中の浮島には弁天様のお宮が祀ってあって、島へは造形も配色も見事な太鼓橋が掛けられています。
その橋の見える岸辺で、息を殺し、次なる獲物を待ち受けていると、来ました、来ました、格好の餌食、もといモデルさん達が・・・

そう、マルコメ味噌の小坊主みたいな少年とその姉と思しき小姐の2名が池の周辺で走り回って、追いかけっこ的な遊びを楽しんでいます。
そこで、これこれと声を掛け、写真撮って上げるから、ちょいと橋の上を2人で早歩きしてごらん・・・と優しく諭すと、そこはそれ、純朴な田舎の子供達のこと、素直に聞き分け、言うことを聞いてくれました。

ここでは、深い緑の中の塗りも鮮やかな赤い橋のコントラストと橋の奥手の芝生の直射日光がもたらすフレアがえもいわれぬイイ雰囲気を出していて、橋の上の子供達は、南画の唐子(からこ)のような素敵な引立役となってくれました。

まだまだの四枚目。
子供達にもお礼を述べた上、画像を見せ、満足して貰ってから別れ、一同の集結場所に向かい、集まってから、次の目的地を目指します。

次の目的地は、お楽しみのランチ、川越一の評判のお寿司屋さんです。

勿論、メンバーがメンバーなので、大人しくガイド役である小生に黙ってついてくる筈もなく、ガイド役もただ漫然と歩いて、A地点からB地点への移動を行うわけではありません。

当然、メンバーは皆、きょろきょろと何か面白いものは無いかと物色しながら歩くわけですから、いかな観光客の多い川越とは言え、一種異様な行列ではあります。

そしてひと目も気にせず、物色し続けたアンテナに掛かったのが、この表通りの正月飾り、前衛門松とでも呼ぶのでしょうか。この奇抜な姿と背景の古風な建物を画面に収めていると、ちょうどイイ按配に親子連れが通りがかりました。

ここでも、陽の当った竹は当然の如く、フレアっぽい写りとなっていますが、垂れ下がった赤い花々はキレイに発色していますし、店先のシャドー部も上手い具合いに描写されています。

最後の一枚。
ここ川越は、蔵造りの和式の古い店舗、民家だけではなく、実はかなり古い煉瓦造りの教会が残っていたりします。
この教会も何年か通ううち、喜多院から、刻の鐘、寿司屋方面への近道を探している時、偶然見つけ、仲間内での定番撮影スポットに加えられた場所です。

この建物をこのアングルで様々なレンズで撮りましたが、この空の蒼さ、十字架の白さ、そして煉瓦の茶色の重み・・・フレアがかっていながら、心地良いシャープさで捉えてくれたのは、このレンズの恩返しではないかとさえ思いました。

今回の感想としては、偶然とは言え、このように歴史的に見ても重要で、しかも古さを感じさせない高性能レンズが再び活躍するお手伝いをして上げられたことで、工房やってて良かったと改めて思いました。まさに職人冥利に尽きます。

テーマ:Nikon Fマウント改造レンズ - ジャンル:写真

  1. 2010/01/31(日) 20:31:11|
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Rodenstock Rodagon80mmf4改ニコンFマウント

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このレンズは、ローデンシュトック社の有名な引伸用レンズ、Rodagonシリーズの80mmf4のものをBorgヘリコイドを利用して当工房でニコンFマウントに改造したものです。

古い引伸レンズの先輩達に較べると、ガラス繊維強化プラスチックの鏡胴はいかにもお手軽な量販レンズ然としてますが、愛機Fに付けて蔵前~浅草で試写してみたところ、その写りに唖然・・・

まず、淡い黄緑域での発色が素晴らしい、結像がシャープ、後ろボケが素直、黒が引き締まっており、立体感の有る作図で画像全体にメリハリが効いています。

ローデンのレンズには、高級ラインのアポロダゴンシリーズとアポがついていない、普通?のロダゴンの二種類がありますが、このアポなしロダゴンですら、セミアポ以上の性能なのですから、アポの付いた製品の写りはもう想像以上と申せましょう。

今まで、商売柄、金属製品主義だったため、レンズは金属鏡銅でなくては価値がない、プラは安物だから、どうせ良く写る筈がないという先入観に凝り固まっていましたが、まさに目からうろことのたとえどおり、この黒ずくめのスターヲーズの帝國軍兵士の持ってた光線小銃みたいな佇まいのレンズが、また新しい黙示録の扉を開いてくれたのでした。

テーマ:Nikon Fマウント改造レンズ - ジャンル:写真

  1. 2008/02/21(木) 22:43:16|
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プロフィール

charley944

Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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