
さて、今宵のご紹介は久々のEFマウント改造の往年の国産一眼レフ用交換レンズ、オートマミヤセコール CS50mmf1.7改EOS EFマウントです。
まずこのSekor SC銘で50mmf1.7というレンズ、1974年発売のNCシリーズという特殊なバヨネットマウントのカメラ用にリリースされたようなのです。構成は極普通の5群7枚でWガウスに後ろが1枚追加された形式のようです。
入手したのは某中央線で新宿の次くらいの駅からまた奥地に分け入った地味なお店なのですが、入口付近のヂャンク棚に数本転がっており、眼も当てられないような値札が付いていて、普通はヂャンクレンズの状態や出自は尋ねるのはご法度なのですが、他にお客も居ないし、たまには顔出す程度の知り合いなので、どーして、こんな捨て値で叩き売られているのか、問うてみれば、要はあまりにもマイナーなマウントなので使い道がなく、ルーペくらいにしか使えそうにないから、といった耳を疑いたくなるような答えが返ってきたということです。
確かにオート絞りの制御を他社の製品のように底面から突き出したレバー状のパーツを円周方向に推したり引いたりするのではなく、M42のレンズのように底面から突き出たピンの押し込みで自動絞りを制御するからくりになっています。
ただ、それが一本ではなく、約45度間隔で二本出ていて、それが内側にシーソーでも入っているかの如く、片方を推すと、片方が引っ込む、というモグラ叩きか、「レッドスネークカモン♪ イエロースネークカモン♪」の模造ヘビ遣いショーみたいな不可思議な動作だったので、これを手動絞りとして別マウントで使うのは面倒そうだな、という印象は受けました。
しかし、値段が値段なので、とりあえず一本買って来て、アイデアが閃くまで、防湿庫にて暫しおねむの時間をエンヂョイしてもらうこととし、約一年ほどで突如閃いたというか、いつものようにアイデアが降りてきたので、一気呵成に半日程度で改造してしまった、ということです。
では早速実写結果見て参りましょう。
ロケ地は深川発浅草、カメラはEOS50D、絞り優先AEによる開放撮影です。

まず一枚目のカットですが、家の前の道を門前仲町駅方向に歩いて行く途中にいつも家の玄関周りを季節の花で飾っている、なかなか心がけの素晴らしいご家庭があり、今回もそのご好意に甘え、ほぼ最短距離で一枚、可憐なマーガレットの花を撮らせて戴いたもの。

二枚目のカットですが、浅草に着き、雷門前の車夫さんや観光客各位、そしてきび団子売りの小姐達も今日は今ひとつぱっとせず、撮る気もあまり湧かなかったので、定点観測地である、仲見世一本東の通りに面した扇屋さん店頭の、意匠を凝らした大和絵団扇のクローズアップ、風神の顔にピンを合わせて撮ってみたもの。

三枚目のカットですが、ここもいつもの定点観測スポット、仲見世脇の集合店舗建築脇のガスメーター配管が並ぶさまを一枚撮ってみたもの。

四枚目のカットですが、何か良い被写体はないか、鵜の目鷹の目で仲見世をキョロキョロしながら歩いていたら、居ました、居ました・・・異国の小々姐がずっと物欲しそうに店頭で人形焼の実演販売をしているヲヂさんの手元と云わず、顔といわず、その一挙手一投足をガラスにべったりへばり付いて凝視していたので、ヲヂさんがそれに気付き、顔を上げた瞬間を撮ってみたもの。

五枚目のカットですが、久々に観音様にお参りでもしようとか殊勝なことを思い立ち、手水場で手と口を清め、本堂に上がってお参りを済ませてみれば、なんと賽銭箱の前に陣取って真摯に祈りを捧げようとする敬虔な民草を不躾にも正面から乱写しようとカメラを構え待ち構える、異国の小姐が居るではないですか、これは自分の姿も被写体として晒してますわよ、という意思表示に他なりませんから、びたっと横に張り付いて撮らせて貰ったもの。勿論、気付かれましたが、彼女は苦笑して手を横に広げ首を傾げる例のポーズとったんで、こちらも笑って、ハイさよなら、です。

六枚目のカットですが、時間があまりなかったので、お参りを済ませて早々にまた元来た仲見世を戻りながら抜かりなく被写体を捜そうとしたところ、居ました居ました、仲見世で宝蔵門に面した人形焼と揚げ饅頭のお店の実演販売しているすぐ脇で、またしても熱心に見入っている小々姐の様子が目に留まったので、職人さん越しに一枚戴いたもの。
しかし、洋の東西を問わず、どうして年端もいかない小々姐や極小姐はこういう和菓子系の職人さんに惹かれるのでしょうか。もしかして、何かモテ男の秘訣が秘められているかも知れませんね。

七枚目のカットですが、仲見世を歩きながら、雪のように真っ白な幼児を抱えた若い白人夫婦とすれ違い、旦那の方とすれ違いざま目が合いましたが、これは絶対にお子さんの写真撮らしてと頼めば、喜んでOKしてくれる!と瞬時にして閃き、2mも離れないうちに追い縋り、卒爾ながら、と声掛けて撮らせて貰ったもの。

八枚目のカットですが、観音様にお賽銭奮発したご利益はなかなかのもんぢゃなぁ・・・とか独りごちてもう雷門も間近に見えてきた辺りで、ロシア系の小姐2名がソフトなんか舐めながらお店から出て来て、これも声掛けたら、絶対にOK撮れると瞬時に閃き、呼び止めてお願いしたところ、舐めてるとこはカンベンしてねってことでしたが、こんな満面のスマイルでモデルさんになって貰えたもの。
このレンズ、今はもう135判カメラからは完全撤退してしまったマミヤOPの往年の銘玉だったのですが、このマミヤという名前の製品は、日本史に名を残す二大冒険家の一人、間宮林蔵と奇しくも同じ名前を冠した、チャレンジングなレンズなのではなかったかと思います、そしてその偶然というか、必然がかの地、ロシアの小姐2名がモデルさんのトリを取ったということなのかも知れません。
さて、次回は久々の秘密結社ノンライツRF友の会撮影ツアーから傑作選をご紹介いたします、乞うご期待!!
- 2014/05/25(日) 22:06:44|
- EOSマウント改造レンズ
-
| トラックバック:0
-
| コメント:4

さて、今宵のご紹介は、今は亡き興和の写真機器部門が送り出した傑作レンズの長男坊、Prominar50mmf2をお送り致します。
が・・・よくよく考えてみれば、秘宝館からの紹介とは云いながら、EOS_EFマウントのProminarなんて、世界中何処探してもないわけで、これもまた、工房の技術を駆使し、レンズシャッター機のレンズを取り外し、複雑なボディ側のシャッター機構を介して制御される絞りをダイレクトに制御出来るよう、連結金具を開発したりして、それなりに苦労してEFマウント化したものでした。
では、この稀有なレンズはどういう氏素性なのか?
今はカメラ業界から撤退した興和が1960年に送り出した、レンズ固定式のレンズシャッター機であるコーワフレックスEのレンズとして、4群6枚のオーソドックスなオーピックタイプのレンズですが、特徴としては、小径のレンズシャッタ-にマッチさせるため、後玉が前玉に比して著しく小さいことです。
これは、なにもこのレンズのみのウィークポイントというワケではなく、だいぶ前にアップしたKallo140
用のProminar50mmf1.4も、他社ではヴォイクトレンデルのプロミナも、ウルトロンも同様の傾向があります。
では早速、実写結果を見て参りましょう
カメラはEOS20Dでの絞り優先AEによる開放撮影、ロケ地は今年の晩春の江ノ島です。

まず一枚目のカットですが、洲鼻通りから橋を渡り、島へ上陸すると正面に見える江ノ島弁才天社の鳥居があり、その麓で楽しく語らい合いながら土産物の仕分けに打ち興じていた、いたいけな若いカップルの姿が微笑ましかったので、そおっと一枚戴いたもの。
これがレンズシャッター機の状態であれば、ガッシャポンとかけたたましい音を立てるので、次の瞬間は、驚いた顔のカップルが見られるのでしょうが、サイレントEOSの呼び名も高い20Dのこと、その場の雰囲気を壊さずにイイ画をモノにしてくれます。
ピンは手前の小姐に合わせていますが、背景のおっぱーまで被写界深度はかろうじてセーフ、背景の雑踏はやや芯が残り気味のボケですが、変な崩れや流れがないので、それほど鑑賞の邪魔にはならないと思いました。

二枚目のカットですが、鳥居を過ぎてすぐ右手から、裏江ノ島、岩屋方面にショートカットする道があるので、そちらを上って行った時、中腹の藤沢の海岸が一望出来る辺りで犬を連れた、これまた若いいたいけなカップルが、おっかなびっくり断崖の下を覗き込み、我関せずを決め込んだお供のワン公がこっち見て尻尾振ったり忙しい光景が面白かったので一枚戴いたもの。
このカット、実はかなり光線状態はシビアで、鬱蒼と茂る木立の間からはピーカンの青空、午後の陽光を浴びて輝く海面やら陸地が照り返していて、右手の小姐の朱鷺色のTシャツが反射し、海側に立った兄ちゃんの白いTシャツと言わず、ガードレールと言わず、ほんのり朱鷺色に染まっているのが窺えると思います。
そんな激しく輝度差の異なる部位があっても、この稀代の銘玉と、往年のベストセラー機のコンビは、黙々とプロの仕事をしてくれた、というカンジです。

三枚目のカットですが、ショートカットの俄か山道を更に登っていくと、ヤクルト小母さんよろしく、なんとヨークシャを二匹もバケットみたいなものに入れて押して来ている妙齢の熟年女性が居たので、声掛けて、お犬さまのみ出演願ったもの。
ここでも、背景の海側からかなり強い陽光が射してきていますが、内面反射が元々少ない設計なのか、深川で分解後、内面反射処理を施された改造レンズ並みのコントラストの高さと対フレア、対ゴースト性能を示してくれました。
心地よいシャープネス、発色のナチュラルさが醸し出すリアリティは今更述べるべくもないですが、背景のボケもイイ按配に映っているようです。

四枚目のカットですが、ショートカットルートを登りきり、とある売店の横から、裏江ノ島エリアの岩屋に続く道に出て、更にその先にある、幸福の鐘(便宜上つけた仮称)でその鐘を鳴らすのはあなた、とばかりにいたいけなカップルが仲睦まじく海に向かい鐘を鳴らそうとする前に、「卒爾ながら!」と声かけて、一枚撮らせて貰ったもの。
ホントはもうちょい海側に立ってた小姐にピンを合わせていたのですが、オッパーが鐘を鳴らした途端、その音響に怯み、耳を押さえて手前側に身を引いてしまったので、ややピンが甘くなってしまったのです。
しかし、午後遅くの春の海の水面も、手前の崖の上の樹木の枝葉もなかなかイイ按配にボケてくれてます。

五枚目のカットですが、また"鐘の鳴る丘"からメインストリートに戻り、岩屋方面に歩いていたら、江ノ島名物の半野生化猫(野良猫と言うケースもあります)がのんびりと日向ぼっこなんざしていたので、至近距離までアプローチし、一枚戴いたもの。
たぶん1m以内くらいでの撮影ではなかったかと思いますが、このレンズ、f2にしては最短付近での被写界深度が著しく浅く、猫の顔面でピンを合わせると、首から後ろの方はもうアウトフォーカスになってしまうくらいでした。

六枚目のカットですが、島の周囲をほぼ一周し、さて、洲鼻通りを戻って、片瀬江ノ島辺りで茶でもしばこうかいな、とか思って表参道を歩いていた時、青銅の鳥居近くの団子屋前で外国人の家族がおやつなんか食べて寛いでいるようすだったので、声掛けて、二つ返事でいたいけな極小姐を撮らせて貰ったもの。
ここでも最短距離まで寄らせて貰い、この愛くるしい極小姐が団子なんか豪快に平らげるところを撮ろうとしたのですが、いやはや、ファインダ越しに見つめ返される、純真無垢ながら力のこもった視線のレーザービームにすっかりやられてしまいました。
稀代の銘レンズはこんな素敵な仕事をプレゼントしてくれたってことです。
ここでは、マイルドな背景のボケがこの天性のアイドルを浮かび上がるが如き描写となるのを手助けしています。

七枚目のカットですが、いたいけな極小姐の天使の微笑み的カットを撮ることが出来、そのままこの神域で即身成仏してしまいそうな舞い上がったキブンでもう一箇所撮影スポットが有ったことを思い出し、帰る前に急遽赴き一枚撮ったもの。
参道を左に逸れたヨットハーバー方向への舗装道路の裏道に当たる生活道路沿いに古風な佇まいの喫茶店が在り、その店先に置かれ、潮風や雨風に弄ばれるまま、どんどん年を経ていく不思議な古自転車があるのです。
しかも、新品当時はクロムメッキも燦然と輝いて、晴がましい姿を誇っていたであろうこの自転車も長年の月日が通り過ぎ、殆どが錆に覆い尽くされ、すっかり年取ってしまったかの様相を呈しています。
それでも、ホーローのエンブレムは往年の誇りを今でも失わない、との心意気の如く、そのままの姿で残っていたので、この誇り高き老自転車の雄姿を撮ってみたという次第です。
錆の質感もエンブレムの色合いもそして背景の葉の色もイイ按配でハーモニーを奏でているのでは、と思いました。
今回の感想としては、ミノルタ、コニカ、ペトリ、そしてコーワと絶版メーカーの玉が最新のデジタル機器と組む時、当時は予想だにしなかったパフォーマンスを発揮してくれることがままある、と改めて感じ入りました。
実は、工房ではそのうちひとつについては、先週、実戦テストが無事終了し、国産の絶版メーカーきっての実力派ながら、アダプタがなく、実写が挙げられていなかったスーパーレンズのミラーレス適用化もほぼ5割方工程が完了し、来週には実戦テストに出る予定です。
さて、来週は工房製品のご紹介いきましょう、何が出るかはお楽しみ、乞うご期待♪
テーマ:EF_mount mod. lens - ジャンル:写真
- 2013/09/23(月) 17:35:21|
- EOSマウント改造レンズ
-
| トラックバック:0
-
| コメント:8

さて今宵のご紹介は、工房で同じくEFマウント化改造に成功した旧Milnolta製Auto Tele Rokkor QE 100mmf3.5です。
このレンズ、先にご紹介した35mmf2.8同様、SR時代の交換レンズで、1960年代前半の製品、また"QE"の記号は4群5枚を示しますから、構成はクセノタータイプと思われます。
しかし、不思議なことにこのレンズ、何故かグリーンの反射面が見当たらず、このトップ写真の如く、アンバーとパープルのみのコート面で、だいぶ前に登場したSuper Rokkor 50mmf1.8のコーティングや硝財に似ていると思いました。
例によって例の如く、実力に反して人気薄の旧Minolta製レンズは何処へ行ってもヂャンク箱の主と化していて、ローレットがゴムの加水分解でベタベタのC社製ズームやら、白内障が悪化して産廃同然のレンズ専業メーカーの廉価ズームやら、そんな誰が買うのか到底想像も及ばないような仲間?たちに混じって転がっていたところを値段も手頃だし、何よりもとても綺麗な状態だったので、直ちに「しっかりせよ!と抱き起こし」とばかりに救い出し、数枚の漱石肖像と引き換えに工房に連れて帰ったのです。
改造するレンズヘッドが半年分以上滞留する当工房のことですから、難加工のRF用シネレンズ改造2本と先にご紹介した35mmf2.8などを完工してから、ちゃちゃちゃっとやって、先々週完成し、先週の土曜日、そう新宿高島屋にて行われていた「世界のクラシックカメラ博」にかこつけたミニ撮影会でデヴューしたという次第です。
では、当日の足跡に即して、実写結果を見て参りましょう。
カメラはEOS50Dによる絞り優先AE、全コマ開放での撮影です。

まず一枚目のカットですが、当日の一行3名はまず隅田川こと大川の堤防伝いの道を散策してから、今戸神社に入ろうということになり、そこで何枚か撮ったのち、待乳山聖天社へ移動する途上、遊歩道公園みたいなところで、ふと見上げた枝に蝉の抜け殻がびっしりと付いていたので、APS-C換算で150mm相当の画角を活かし、葉の裏に留まる蝉の抜け殻を捉えたもの。
抜け殻までの距離はだいたい3m弱くらいで木漏れ日の影響でアンダー気味になりましたから、補整を+1掛けています。抜け殻の鼈甲色も木の葉の色もかなり忠実に再現していますし、シャープネスも充分と考えます。
また木漏れ日が口径食でぼんやりとした水玉模様のボケと化しているのも面白いと思いました。

二枚目のカットですが、程なく着いた聖天社の説明などしながら境内を徘徊し、定点観測スポットのうちのひとつである、手水場の屋根の瓦を撮ってみたもの。
或る意味、この被写体はレンズのテストにはもってこいで、シャープネス、コントトラスト、対角線方向の画質、そして背景の葉でボケ具合いまで見てとれます。
そういった意味では、本瓦の質感が余すところなく精緻に描写されているのは言うまでもなく、前ボケは極めてナチュラルで変な崩れもなく、背景の葉のボケが心持ちざわついているのが気になるくらいでしょうか。

三枚目のカットは人力車で聖天社にやって来た今風の小姐2名組が、焼香場でこちらに背を向け、しおらしくもご焼香なんかしていたので、リーチの長さを活かし、赤いリポンにピンを合わせ一枚戴いたもの。
このカットで面白いと思ったのは、他の色がほぼ目で見たままなのに対し、赤いリボンのみがΔab*の色差スケールで2~3以上赤く発色しているカンジで、浮き上がっているかのようにも見えます。
また、距離の関係か、ここでは背景の首にタオル巻いたオサーンが、ごく僅かな芯は残したものの、全体として油彩の人物みたいになだらかなボケと化しています。

四枚目のカットは、聖天社を後にし、ランチを戴く予定の駒形「蕎上人」まで歩く途中、駒形橋との交差点で、花嫁+花婿を乗せた晴れの人力車を目にし、信号が変わる直前でしたがダッシュで亘り、花嫁側の交差点南からこれまたリーチの長さを利して撮ったものです。
開放値がf3.5という控えめなスペックだからでしょうか、背景の群集からは肝心の花嫁・花婿人力車が浮き立って見えるところまではいきませんでしたが、それでも、健気なこの老レンズは赤い花嫁衣裳を心なしか強調し、この晴れがましい雰囲気を充分描き出しているのではないでしょうか。

五枚目のカットは「蕎上人」のお店の直前、駒形の路上で或る店舗の店先を飾る粋でいなせなオブヂェを見掛けたので、早速一枚戴いたもの。
時代物の火鉢の精緻な染付けの模様と呉須のえも言われない色合い、そして瑞々しい植栽の葉の緑にほうずきのオレンヂ、まさに江戸の夏を感じさせてくれる秀逸な取り合わせで、地味ながらも、この家の主のセンスが光る、見知らぬ通り掛かりへの、素敵な視覚の贈り物と思いました。

六枚目のカットは「蕎上人」にて天上の甘露とも比されるべき極上の手打ち蕎麦を戴き、身も心も満たされた後、午後の撮影に出掛けようと店を出てすぐ、目の前でアヤシゲな気ぐるみと一見コンパニオン風の年輩の小姐が甲斐甲斐しく路上を駆け回っていたので、往来の切れ目を見計らって通りを渡り切り、すかさず声を掛け、拙者に任せておけば、深川発で江戸中に宣伝して上げるからなどと甘い言葉を囁きながら撮ったものです。
ここでも、やはりこじんまりと纏まったカラーバランスの中で赤系統のみが突出している感なきにしもあらずです。
しかし、150mm相当のファインダを覗いていると、普段の標準とか広角では全く気にならないのに、わざわざポーズを取って上げてくれた左手の指輪までくっきり見えてしまうので、望遠での撮影ってのも視点が変わって面白いものだなぁ、とか思いました。

七枚目のカットは雷門まで辿り着き、その裏手にあるいつもの定点観測スポット、扇屋さんの店頭にほうずきの鉢が吊るされていたので、これ幸いに、と一枚戴いたもの。
ピンはもちろん手前の鉢のオレンヂ色のほうずきの実に合わせていますが、いつもは主役の店先の江戸画うちわが後ボケと化していますが、これがなかなか滑らかなボケでイイ雰囲気を醸し出しているのではないかと思いました。
また、空を映し込んだ風鈴のガラスの質感も涼しげで面白いと感じました。

八枚目のカットですが、午後の撮影地、浅草寺へ向かう途上、いたいけな幼い兄妹と思しき男女を乗せた女車夫の力車が路上で一時停止をし、観光案内してんだか、夏休みの宿題たる浅草の街の歴史の故実にでも、一緒に悩んでんだか、なかなか面白い仕草をこれでもか!と繰り出していたので、望遠のリーチを活かし、何カットか撮ったうちの一枚。
ここでも赤系統のひざ掛けが目立ち、不思議な情景となっているように思えました。

九枚目のカットは、浅草寺境内の本堂近くで観光ガイドのポーズを交互にとって、写真の撮りっこをしていたいたいけな観光客の小姐の姿があまりにも夏っぽかったので、これも長いリーチを活かして戴いた一枚。
被写体の小姐との距離は5m弱くらいだったと思いますが、ここでは、まさに狙い通り、背景からの浮き上がり効果に成功しています。
品の良い夏物のレースからすらりと伸びる小姐の右腕は健康的であり、同時に艶かしく、まさに過ぎ行く夏への餞けにも思えました。
また背景にはかなり多くの人々が遠慮会釈なく行きかっていましたが、これぐらい滑らかにボケていれば、底抜けに陽気で夏の象徴みたいな健康小姐への充分な演出効果ともなるのではないでしょうか。
今回の感想としては、やはり旧Minolta侮り難し・・・先のPETRIしかり、KONICAしかり、今は亡きメーカーにもデジタル化の現代でも通じる魅力は充分残されているのではないかと思います。せめてレンズメーカーとしてでも生き残っていてくれたら・・・そう思うのは業界事情には全く疎い、ただの物好きの素人の戯言なのでしょうか。
さて、次回は秘宝館からのご紹介いきましょう、乞うご期待。
テーマ:EF_mount mod. lens - ジャンル:写真
- 2013/09/01(日) 15:57:37|
- EOSマウント改造レンズ
-
| トラックバック:0
-
| コメント:2

さて、今宵のご紹介は工房特製、旧Minolta Auto W Rokkor35mmf2.8改EFマウントとその驚愕の描写性能です。
このレンズ、オートフォーカス機であるαシリーズが出来る遥か以前、まだMinoltaの一眼レフのシリーズ名がSRだった頃、その主力レンズとして、1960年代前半に市場に投入されたもので、6群7枚のレトロフォキュタイプです。
当工房ではSRマウント(含むMC,MD)は数本EFマウント改造していますが、いつも腐心するのは、無限合わせです。
何とならば、EOS EFマウントのフランジバックが44mmジャストなのに対し、SRマウントは43.5mmと0.5mm短いので、EFマウントのレンズ側金物を注意深く削り込んで、無限を合わせなければならないからです。
またEFの内径は大きく、SRは小さいため、SRの鏡胴とEFのマウント金物を固定するのも一工夫が必要で、或る特殊な形状のリングを開発しそれを介して固定することで、オリジナル同等の精度と強度を確保することに成功しました。
では早速実写結果を見ていきましょう。ロケ地は浅草、ボディはEOS50D、絞り優先AEでの開放撮影です。

まず一枚目のカットですが、浅草寺境内での定点観測地的撮影スポット、宝蔵門横手動井戸でのいたいけな小々姐の図です。
横に控える親御さんに「夏っぽい愛くるしい装いですなぁ、水汲んでること一枚撮らせて下さいな♪」とか頼んでみたら、「ハィXXちゃん、おぢちゃんが写真撮ってくれるんだって、ポンプ押して、押して」とか云ってるのに、もう完全、カメラ目線のお澄ましモード、作業そっちのけで、ピースしてクビ傾げて、目一杯のアイドルモードです。
あぁ、こんなとこにも「あまちゃん」の影響が・・・とか思って笑ってしまいました。
逆光に近い撮影条件でしたが、さすがEOS中級機、かなり光った舗装面を背景としながら、非純正レンズでここまでの露出をオートで割り出してくれました。背景はやや流れ気味ですが、鑑賞の妨げになるほどではないとおもいます。

二枚目のカットですが、次なる定点スポット、焼香場でモデルさんを待ち構えていたら、若いイカしたご夫婦がいたいけな極小姐に線香の煙を一心不乱に掛けて、何やら諭していたので、あいや、暫し、と声を掛け、若いオモニと一緒のところを撮らせて貰ったもの。
ここでは、焼香場の巨大な金物越しに射し込む午後の陽光があたかもスポットライトの如く、この幸せそうな極小姐を照らしています。
背景はやや流れ気味ですが、それでも合焦部のシャープさと相俟って、被写体の二名を浮かび上がらせることに成功していると思います。

三枚目のカットは、浅草寺境内のはずれ、弁天堂入口辺りの茶店前でかき氷なんか堪能する今風の浴衣小姐グループが居たので、ちょいと姐さん達、かき氷食べてるとこ、一枚撮らして貰うよ♪と声掛け、シャッター切ったもの。
ここは日陰でレンズのよっては青カブリしてしまうとこるですが、それでも若い小姐達の肌の色も、浴衣の微妙な色合いもそしてデテールまでも忠実に描写しているのはさすがだと感心してしまいました。

四枚目のカットですが、仲見世を徘徊しながら、モデルさんを探していたら、居ました、居ました、若い頃のソフィーマルソ-にそっくりの別嬪の小姐が、日本文化に興味有るのか、仲見世商店のショーウィンドを熱心に覗き込んでいたのが目に留まったので、暫し様子を伺い、歩き出そうとした時にボンジュール♪などと声掛けて、撮らせて貰ったもの。
モデルが美人なのは言うまでもないですが、それ以上に午後の遅い陽光に煌く亜麻色の髪の毛のえも言われぬ美しい描写が目を惹きました。

五枚目のカットですが、仲見世と伝法院通りの交差する辺りに位置するうどん屋さんの店頭を彩るほうずきの鉢植えを一枚戴いたもの。
最短距離域近くで撮った画ですが、まさにこのレンズの特徴を表している一枚と云っても過言ではないでしょう。
シャープネス、発色、背景のボケ具合い、個人的には全く文句の付けようがないと思いました。
遅い午後の陽光はかなりオレンジに近い色温度となっていますし、角度も斜めに射し込んできます。
そんな自然のライティングに引き立てられ、この晩夏の風物詩は充分な存在感を誇示したのではないかと思いました。

六枚目のカットは伝法院通りを浴衣のカップルが仲良さそうにそぞろ歩きして通り過ぎて行ったので、ダッシュで追い縋り、すかさず一枚戴いたもの。
ここではかなりの逆光ですが、当時のMinoltaのコーティング技術の賜物か、ゴーストどころか、鑑賞上有害となるフレアも認められず、コントラストも必要充分で晩夏の夕暮固有の空気をドラマチックに描写しているのではないかと思いました。

七枚目のカットは仲見世から一本東に入った某所に在る白塗りガス配管勢揃いの図です。
ここはビルの谷間なので直射日光が射し込むことはまずありませんが、時刻に寄って光加減が変わり、また、ピントの位置により前後のボケ具合いが判るので、例の扇屋さん店頭と並ぶレンズテストスポットです。
手前から三本目のバルブにピンを合わせていますが、合焦部のシャープさは云うまでもなく、前ボケもナチュラルで心地好いと思いました。

八枚目のカットは伝法院通りを粋でいなせに浴衣を着こなした小姐がガイジンさんに捕まって路上撮影会をさせられていたので、それなら拙者もということで、解放された直後にダッシュで駆け寄り、卒璽ながらと一枚撮らせて貰ったもの。
このカットもまさにレンズの優秀さを如実に物語っているのではないでしょうか。
被写体の二名の小姐があたかも背景から浮かび上がるように描写されており、また肌の色、表情ともまるでハイヴィジョン撮影の画面をキャプチャしたかのような雰囲気だと思いました。

九枚目のカットは、伝法院通りから雷門に戻る途中の仲見世路上で見掛けた南米系の小姐2名にボンジョルノ♪とか声掛けて、モデルさんになって貰い一枚戴いたもの。
ここでは前の浴衣小姐二名と違い、背景が北側とは云え光る空なので、さすがに被写体が浮かび上がる如き、とはいかないまでも、いたいけな小姐達の弾けるような肌やしなやかな亜麻色の髪など、このレンズはあますところなくデジタルの眼として捉えてくれたのです。
今回の感想としては、ほんの数千円のレンズがちょいと手を加えれば、ほらこの通り。
しかし・・・これでまたAuto-Rokkorの値段が上がってしまうと。実に複雑な心境ではあります(苦笑)
さて次回は同じ浅草を舞台に同じく国産レンズの描写を検証してみましょう。乞うご期待。
テーマ:EF_mount mod. lens - ジャンル:写真
- 2013/08/25(日) 20:46:28|
- EOSマウント改造レンズ
-
| トラックバック:0
-
| コメント:8

さて、今宵のご紹介は、諸般の事情により予定を少々変更し、工房作品から、比較的大物の登場です。
モノはRokkor-PF58mmf1.4、中古では比較的良く見かけることから、値段もお手頃で、ガラスも外装もキレイで前後純正キャップ付きの個体でも1万円まではまずしません。
生まれは1960年代半ば、SR-1やSR-7の時代の主力レンズだったようで、ガラスを贅沢に使い、鏡胴もオール金属製の無垢削り出しに黒染めたずっしりしたパッケージング。そして何よりもセールスポイントだったのが、このカットではあまり目立ちませんが、自社熔解の光学ガラスに淡緑の反射光を持つ"Acromatic Coat"という擬似マルチコートを施した5群6枚のオリジナリティ溢れる光学系でした。
しかし、これだけの意欲作がこの平成の御世になぜ1万円以下の大バーゲン価格で叩き売られ、また誰も手に取らなかったのか・・・それは43.5mmという、現行のデジ一眼では最短フランジバックを持つ、EOSシリーズよりも更に0。5mm短いフランジバックのため、アダプタの用意されている一部のミラーレスでしか使えなかったからです。
そこで、工房では、その0.5mmの壁を破るべく、色々と試行錯誤を重ねた結果、遂にEFマウント化に成功し、フルサイズEOSはバックフォーカスの干渉のためムリですが、APS-C機では無限までキレイに出る個体が仕上がったのです。
では、早速、実写結果を見て参りましょう。ロケ地は先般の甲府「信玄公まつり」です。
カメラは昭和の御世に鎬を削ったライバル、キャノン製のこれまた往年の銘機EOS20Dの絞り優先AEでの開放撮影です。

一枚目のカットですが、信玄公祭り初日にランチを戴いてから城郭公演内の露店通りで得物を探していたときに遭遇した留学生2人組です。
ちょいと前ピン加減ではありますが、それでも、近距離での大口径レンズ特有のまろやかな質感描写で、なかなか雰囲気の有るカットになったのではないかと思いました。
ただ、背景は口径食も混ざったかなり煩めの映り加減で、このくらいの距離で人物撮る時は、背景を計算しなければならないなぁ、と改めて実感しました。

二枚目のカットは同じく信玄公祭りの土曜日に並行して行われていた「国文祭り」とかいう、要は都道府県持ち回りの国体ならぬ国主催の文化祭みたいな催し物で、いたいけな小姐が健気にも太鼓を渾身の力で叩いていたにも関わらず、観客はまばら・・・てな状況だったので、これ幸いとばかりに最前列に躍り出て、撮っては歓声を上げ、撮っては拍手をするという、カメラマンなのか、サクラなのか良く判らない立ち居地で撮ったものです。
しかし、この距離、この光線状態で、往年の銘レンズはかつてのライバルの子孫の力を借りて、底力を発揮したように思えました。
肌の肌目細やかさ、装束の布地の質感、更には背景の社中の動き・・・何処かの名門光学機器メーカーのレンズが「その場の空気まで写す」とかいうキャッチフレーズで高性能さを誇っていましたが、この画を見たら、国産のオールドレンズだって、互角の戦いをするぢゃぁないか、と思い嬉しくなりました。

三枚目のカットは翌日午後からの稚児行列ならぬ、「子供武者行列」のうちの薙刀少女のスーパーマン発見の図?です。
武者行列とは云いながら、ちゃんと腰元みたいな装束の「NST(薙刀少女隊)48」が威勢を誇って行進しているのはさすが観光サービスに長けた甲府観光協会のやることです、抜け目ありません、関心しました。
これだけ良く写るレンズだと、まがい物の薙刀の全然金属っぽくない刃が丸見えで、何故か笑わせてくれます。
しかし、背景を選べない街中での撮影につき、背景がかなり煩くなってしまったのは致し方ないことでしょう。

四枚目のカットは、前の組からふん詰まり状態で路上でいたいけな童子達が束の間の行軍小休止、楽しそうに歓談に打ち興じていたところを、保護者の方もろとも声掛けて、勢揃いで一枚撮らせて貰ったもの。
このカットもまぁ、良く写っているっちゃ、写っているのですが、やはり背景の選択に自由が皆無の街中撮影では極めて都市的なバックに浮かぶ侍装束って構図も仕方ないのかも知れません。それがイヤなら、ノクチルックスの50mmf0.95をつけたM-Eでも新調するしかなさそうです(苦笑)

五枚目のカットは「子供武者行列」が終わってから、前日に気に入ったカットの撮れた、駅北口の特設ステージに向かったところ、創作よさこいダンス系の催しをステージ上でやってたので、武者行列に合わせて歩いていて疲れたこともあり、これまた閑散としている客席の最前列に陣取って、サクラ系カメラマンやりながら撮ったものです。
こういうお揃い衣装のステージ写真というには、止まっていても動いていても、なかなか見どころのあるカットは撮りずらいものですが、このミニ霊幻道士みたいな黒装束の極小姐がステージに殴り込み掛けてくれたおかげでそれなりに見られる画になったのではないでしょうか。

六枚目のカットは同じくステージ最前列で熱心によさこいを注視していた幼い姉妹の横顔、を後ろの席のオモニに断った上で一枚戴いたものです。
ピンは画面奥の極小姐のおでこの生え際に合わせていますが、いやはや、これもまたライバル、キャノンのFL58mmf1.2に負けず劣らずの凄まじい近距離描写です。シャープでありながら全然カリカリしておらず、必要な情報を余さず伝える、如何にも実直な日本人の企画・設計したレンズだと思いました。

七枚目のカットはまさに作例と云うべきもので、駅北口の木製オブヂェ、確か「緑の竜神」とか云うテーマのオブヂェを背景に手前の樹木の葉に合わせてシャッター切ったものです。
このカットでは、背景の木のオブヂェはイヤなグルグルも四隅の流れもなく、キレイにボケており、また、デジタルだとかなり彩度が上がりがちな葉の緑も、赤みがかった材木の樹皮の色もまさに目で見たままです。
観光地などで多少距離あるシーンなどでは威力を発揮すると思います。
この焦点距離、奇しくもライバル、キャノンのFL58mmf1.2と同じです。従って、今後、50mmクラスの大口径を持ち出すシチュエーションでは、まさに熾烈なセンター争いとなりそうです。
しかし、皮肉なのは、隠れた銘玉FL58mmf1.2が自社カメラではなく富士フィルムのデジタルカメラの力を借り、その力を発揮し、もう一方のミノルタも自社製、或いはその流れを汲むソニー製のボディではなく、キャノン製のデジタルで以て往年の威力を発揮しているということです。
さて、来週は、来週こそは秘宝館いきます、そのためにICSで必殺兵器を買い込んだのです。乞うご期待!!
テーマ:街の風景 - ジャンル:写真
- 2013/06/09(日) 23:36:55|
- EOSマウント改造レンズ
-
| トラックバック:0
-
| コメント:4

さて、今週のご紹介は、ちと予定が変わり、工房作品のご紹介いきます。
モノは、ご存知、MC Rokkor28mmf3.5でヂャンク扱っている中古カメラ屋さんであれば、昨年くらいまでは結構目に付く玉でした。
先にご紹介した55mmf1.7同様、会社が写真関連から一切撤退してしまっているので、カメラの発売年とそれに装着されていたレンズの特徴から、このレンズの発売年を推定するよりほかありませんが、X-1やX-Eに近似したデザインのRokkorレンズ群が装着されているのをよく見かけますから、このレンズも1970年代初頭とみれば良いでしょう。構成は"SG"の名の示すが如く7群7枚のレトロフォキュタイプです。
では、早速実写例みて参りましょう。昨日、今日と雨だったため、先の古河桃祭りからの秘蔵カット?です。
カメラはご多分にもれず、このところ出動回数の多いEOS20Dでの絞り優先AEでの開放撮影です。

まず一枚目のカットですが、前回ご紹介した方々とは別の組の「古河桃娘」の小姐各位です。
実は、このレンズ、短いフランジバックの関係でEOSマウント化がなかなか難しく、この当時はまだ無限まで辿り着くのが難しく、だいたい10m程度までしか無限が届かないことが判っていたので、それならば、ということで近接の人物スナップで攻めたわけです。
28mmf3.5という一見しょぼいスペックではありますが、実写結果はほれこの通り、背景は綺麗にボケてますし、小姐達は髪の毛の生え際までシャープに描写され、その切り立った輪郭は立体写真を彷彿とさせます。

二枚目のカットは「古河桃娘」さん達の屯所からお礼を言って離れ、園内を散策中に真紅のバラみたいな梅が目に留まり、しかもその背景が牧歌的な里山風景だったので、キレとボケを味わうべく、最短に近い位置でその梅の小枝を撮ってみたものです。
ここでも、真紅の梅は切り取ったかの如くシャープに描写されていますし、その背景はと云えば、良くありがちなぐるぐるや2線ボケもなく、上手い油彩画のようなテイストでのボケと化しています。
正直、40年も前のテクノロジー侮るべからず、と思いました。

三枚目のカットは園内中央付近の築山の麓で、近場の枕木にピンを合わせて、上にいくほど段々にボケていくという空気遠近法の応用を試してみたもの。
まさに無限方向が苦手状態のレンズ活用の苦肉の策ではありましたが、ここでも、このレンズの行儀の良さを再確認することなりました。
広角レンズには有りがちな四隅の流れや崩れなども認められず、APS-Cの撮像素子ながら、広角らしくなかなかダイナミックな構図となっているのではないでしょうか。

四枚目のカットですが、築山の下の南方向にも沼があり、その畔にかつての古河公方屋敷跡を表す花崗岩の石柱が立っていたので撮ったものです。
ここでも、石畳状の足元を撮ってみて、四隅の流れ、歪みをチェックしましたが、全くと云って良いほど認められず、ただ、気になったことと申せば、背景の石柱と建物の廊下の柱が少々流れ加減のボケとなったことくらいです。
全般的には、曇天下でモノトニーな光景をシックに描写しています。

五枚目のカットですが、「公方広場」の脇の建物の吹き抜け廊下でセミシルエット化している親子が居たので、少し離れたところから、逆光のテストも含め、知らばっくれて撮らせて貰ったものです。
ここでは、やはり「緑のロッコール」の通り名に恥じない国産初のマルチコートが威力を発揮し、このようなシーンでも一切の露出補正無しで人物のデテールまで把握出来るほどしっかりと描写出来ます。ただ、若干、右上の屋根が流れるほどにはいかないまでも結像が甘くなっているのが気になったくらいです。
或る意味、このEOS20Dの露出の正確さに助けられているところも大きいのではないかと思いました。
まさに往年のライバルが手を組んだ成果だと思いました。

六枚目のカットですが、先に撮らせて貰った「古河桃娘」人力車組の出発風景を斜め後ろから追い縋って撮ったものです。
ここでも"近距離に強いレンズ"の威力を遺憾無く発揮し、桃娘さんの髪飾りを付けられた髪の生え際からうなじまでジャストミートです。
一方、20cmも違わない位置なのに、人力車後部脇の提灯はボケボケです。
ただ、このカットでは背景の樹木の枝が、非点収差の悪戯か少しぐるぐる加減で残念です。
今回の感想としては、ヂャンク棚で誰にも顧みられることがなく置き去りにされていた美しいRokkorが、永年のライバルの助けを借りて、その佇まいに違わぬ描写を見せてくれたのでは、と思いました。
なお、無限方向の再加工は昨日完了し、月面までシャープに写るくらいに改善されました。
さて、来週はGWで一周飛ばし、帰って来てからの特集をお楽しみに♪
テーマ:日本の祭り - ジャンル:写真
- 2013/04/21(日) 21:05:41|
- EOSマウント改造レンズ
-
| トラックバック:0
-
| コメント:4

さて今宵のご紹介は、昨日、春の陽気に浮かされて、風の向くまま、気の向くまま、常磐線のどん行列車に乗って、水戸駅のひとつ手前、偕楽園の臨時駅まで出かけ、新作レンズのテスト・・・というか元々EOS1DsMKIIで使おうと思い改造していたのが、バックフォーカスの関係で使用不能と判り、半年以上、防湿庫の片隅で忘れ去られていたのが、新導入のテストベッド、EOS20Dに装けてシャッター切ってみれば、アラ不思議、何の問題もなく、軽快なシャッター音を立てて、記録していくことが判ったので、急遽、EOS二桁Dシリーズ用として開発し始めたパイロット機なのです。
勿論、理論上はミノルタのSRマウントはEOS EFマウントよりフランジバックが短いですから、補助レンズ入りのアダプタを噛ませねば、EOSでは使うことが出来ないことになっていますが、そこは深川の長年積んだ研鑽の賜物、加工・計測技術で何とかし、無限から最近接まで全くオリジナルと遜色無い機能を持つEFマウントのレンズとしたのです。
この緑のコーティングも美しいMC Rokkor55mmf1.7は1970年代の半ばまでに作られたことは判っていますが、何せ会社が合併後撤退してしまい、正確な資料・データの類いがネット上でも見当たらず、5群6枚の変型プラナータイプでミノルタ独自開発の新種ガラスを用いた世界初のマルチコート「アクロマチックコーティング」が施されたことぐらいしか判りません。
では、早速、偕楽園での実写結果見て参りましょう。カメラはEOS20D、絞り優先AE、全コマ開放撮影です。

まず一枚目のカットは偕楽園駅に午後2時前に着き、まずはホームで梅娘さんに歓迎されてから、偕楽園東口から入ってすぐの目の前に拡がる、一面の梅林の白や薄紅色の梅花の艶やかな様に感動して一番手前の枝にピンを合わせて撮ったもの。
EOS20Dの背面モニターは小さく、それこそ「写っているかいないかぐらいしか判らない」とも揶揄されましたが、このカットは別の機器で拡大sて見るまでもなく、良く撮れているのは判りました。
ピンが合っている枝はもちろんシャープですが、背景のボケが熟練した画家による油彩のそれのようで、とても好ましいレンズだと思いました。

二枚目のカットですが、東門から外周を巡る道を歩いていたら、いたいけな極小姐が背伸びして枝を引き寄せ、その芳しい香りを嗅ごうと奮闘しているところを一枚戴いたものです。この横で、ご両親も笑いながら腕組んで見ていて、小声で写真撮ってもイイですかぁ?と聞いてみたらお二方とも笑顔でウンウンと頷いてくれたので、千人の味方を得た思いでシャッター切ったもの。
ピンは極小姐の耳で合わせましたが、ここでも合焦面はシャープで、背景はホワっとぼけてくれるので、モダンレンズらしからぬ妙な立体感を感じることが出来ると思います。

三枚目のカットですが、吐泉玉とかいう白い大理石みたいなものから地下水が噴出している観光名所を見に行く途中、南側に視界が開けた高台が有ったので、そこから、庭園の一部を箱庭的に写してみたもの。
陽射しはかなり強めではありましたが、極原始的なものとは云え、一応はマルチコートを施してある、当時の最先端レンズ、その実力は今も侮るなかれ、このようにすっきりとしながら、バランス良い発色と程好いコントラストと細密感で、水戸黄門の雅号「梅里」をイメージさせてくれるような画になったのではないかと思います。

四枚目のカットですが、梅娘が居そうなイベントのメイン会場を探して会場を徘徊していたら、こういう春の陽射しの下には付き物の肩車親娘がやって着ました。ヲヤヂさんはキョロキョロと梅の林を眺めていて、肩の上の極小姐はそんなことお構いなしにあちこちに視線走らせていますから、カメラを二台も提げて、得物を鵜の目鷹の目の如く追い求める工房主と目が合った瞬間に感じ合うことがあっても不自然では有りません。そこで、ヲヤヂさんの気もそぞろなうちにこの極小姐に離れたところから笑ってそっと手など振ってみたら、嬉しそうに笑って肩の上で体など揺さぶり始めたので、このヲヤヂさんもただならぬ椿事にやっと気付いて、どうしたの?とか聞いたりしました。
そこで、すかさず、イイ天気ですね、親子団欒、とっても素敵ですなぁ、そこで一枚撮らせてね♪と声掛けてみたら、あにはからんや、この様子で極小姐はかなり気取ったお澄まし顔でのカットとなった次第です。
ここでもピンのあったおしゃまな極小姐の表情がシャープかつクリアに描写され、一方、背景の梅林はまた印象画の絵画の如くほわっとボケているので、なかなか立体感、臨場感有るカットになったのではないでしょうか。

五枚目のカットは、親娘連れに礼を言って別れた後、園内を徘徊している時、芝生の彼方で春の陽射しを楽しむ家族連れが目に留まったので、よっしゃ、ボカしたろ♪とばかり、手前の梅の枝にピンを置き、芝生の上の家族連れは印象派の油彩の背景みたいに蕩けてしまったものです。
ここでも梅の荒々しい肌はかなりシャープに結像していてリアルに浮かび上がっているかのようですが、一方、背景の家族連れは、非点収差の悪戯も有ってなのか、ボケと微妙なデフォルメが掛かっていて、これはこれで面白いカットになったのではないかと思いました。

六枚目のカットは本日のハイライト、女子高生による公開野点の風景です。
普通、女子高生など、東北であろうと、東京であろうと、なかなか写真なんか撮らせてくれないことが多いですが、ここは、先生、父母公認。最初は遠慮してカメラ構えてたら、「東京からの方ですか? 前へ前へどーぞ、どーぞ♪」てなカンジでかなり他の観光客から目立つ位置に罰ゲームみたいに立たされ、撮り放題だったのです。
ここで、この生まれ変わった往年の銘玉は底力を発揮してくれました。そのパートナーが先行するニコンを追って、接戦を繰り広げていたライバル会社キャノンのデジタル一眼というのがまた劇的で面白いと思いました。
背中に午後の傾きかけた陽射しを背負ったいたいけな女子高生はあたかも後光が射したかのように背景から浮かび上がって見えます。また発色もとても素直で好感持てると思いました。

七枚目のカットはまさに今回の訪問の目的である、ミス梅まつりの個人撮影会です。水戸黄門のコスプレヲヤヂの片棒担ぎを終え、控え室だか屯所だかに引き揚げる途中、まさに脱兎の如きダッシュで追い縋り、「あいや、暫し待たれい!」とか声を掛けたら、怪訝な表情の美形のお二方、「是非是非撮らして!観光客が大勢来ることが茨城への支援になるなら、モデルになるお嬢さんがたも、撮ってブログでPRする拙者も、協力して支援活動してることになるんでねーの?」とか説得したら、笑顔でOKしてくれたので、ではお言葉に甘えて♪と撮ったもの。
ね、約束果たしてPRしたでしょ☆
今回の感想としては、う~ん、ミノルタの光学技術恐るべし・・・一応、改造前に当工房で中身を開け、エレメントのクリーニングと内面反射対策、そしてグリスの入れ替えまではやりましたが、恐らくこの年代の標準レンズであれば、日独含め、当時も間違いなくトップクラスの性能ではなかったかと思います。
さて、来週はローテで行けば、工房附設秘宝館のコレクションのご紹介となりますが・・・う~んヘビィローテーション♪
テーマ:旅行の写真 - ジャンル:写真
- 2013/03/17(日) 20:54:32|
- EOSマウント改造レンズ
-
| トラックバック:0
-
| コメント:2
さて今宵のご紹介は、工房作品は工房作品ですが、またまた安価仕入れの謎?のレンズ試写結果いきます。
焦点距離が80mmで開放値がF4.5、構成はどうやら反射面の数からテレテッサー型、但し絞り位置がL1直後にあることから、エルマータイプと見るべきと考えています。
ただ、判っているのはここまでで、コーティングの色から少なくとも新種ガラス採用であることは判りますが、売ってた当のお店でも、引伸ばしでもなさそうだし、何のレンズなんでしょうね?とかいうカンジで、どうやら産業用のレンズヘッドであるらしいとアタリをつけ、先に贖った50mmf2.8の驚異的な描写性能を信じ、再び新宿の裏通りの店から数千円で買い取って連れ帰り、本体よりも何倍ものヘリコやアダプタでEOS用いリフォームしたという次第です。
では、早速実写結果見ていきましょう。今回のロケはICS見物前の上野公園近傍での早撮りカットです。
ボディはEOS20Dによる絞り優先AE、開放での撮影です。

まず一枚目のカットですが、国立博物館本館前のオブジェ、たぶん綿羊かなんかの石造が二個程好い距離、角度で並んでいたので、モデルさんになってもらったものです。石造は声掛けなくとも、問題なく撮らせてくれるからこっちも気が楽です。
EOS20Dは実は今回が初の試写で、いつもの1DsMKIIみたいにメーカー調整のスプリットマイクロイメージのスクリーンが入っているワケでもないので、ピントのヤマを掴むのに一苦労です。まさに出来の悪いコントラスト検出型
のAFカメラみたいに行っては戻り、戻ってはまた進む、を2~3回繰り返し、何とかヤマを掴んでシャッター切ったものです。
しかし、苦労の甲斐あってか、ピンを合わせた手前の石造はなかなかテクスチャもシャープに捉えられていますし、夕刻に近い赤みがかった光線状態の再現もまずまず、そして少し小ぶりのAPS-Cの素子ながら、画面四隅までの結像の均質性もテッサータイプにしては良好ではないでしょうか。

二枚目のカットは博物館の正門を出て、再び恩賜公園を通り、上野の地下鉄駅まで戻る途中、黄昏の空をバックとした池の噴水群の白い飛沫がとても鮮やかなに見えたので、手前の噴水を狙って捉えたものです。
普通肉眼では噴水の水は白いものとして認識されてしまいがちですが、このシャープなレンズと二世代以上前ですが、当時から基本性能が高かったため、ほれこの通り、噴水をピタリと止め、透き通った水滴の集合体であることを説得力持って見せつけてくれました。
また後ボケもなかなか鑑賞に堪えるレベルではないかと思いました。

三枚目のカットは噴水池を通り過ぎ、公園の中ほど、というか動物園入口の少し手前でいたいけな中学生くらいの中童子のお手玉というかヂャグラーの真似事みたいなことを集団で熱心にやっていたのを撮ったもの。
この謎の集団、何の目的か、、撮らせて貰うよ、と声掛けたら、ふぁ~ぃどぉぞぉ♪とか、こちらも見ずに二つ返事だったので、また、行きつ戻りつの人力コントラスト検出AFをやって撮りました。
その割りには、お手玉やってる本人の表情も、虚空を彷徨う手玉ともきっちり捉えられており、この旧式デジ一眼と謎のレンズのコンビは、少なくともお散歩スナップレベルではなかなか戦闘力高いことが判りました。

四枚目のカットは、中童子達のカットを数枚撮らせて貰ってから、心ばかりの礼を述べ、その場を後にし、すぐに目に留まった、南蛮人の小姐の後ろ姿が斜め夕陽に照らされ、その輪郭が後光を放つようだったので、80mmの長焦点距離を活かし、知らばっくれて撮ったものです。
このカットでは、この南蛮小姐のサラサラしたモノホンのブロンズヘアのしなやかそうな質感を良く捉えていると思いますし、ヨン様ばりのお洒落なマフラ、そしてエルメスかい?とか突っ込み入れたくなるようなハデなショルダバッグといった小物もシャープに細部まで描き出しています。
また被写体までの距離の関係もあり、背景はマイルドなボケと化しています。

五枚目のカットはまさにいつもの勘働きの賜物と云えそうな代物なのですが、ブロンズの南蛮小姐を撮り終えて、何か被写体が近づいてくるような六感が働き、ふと背後を振り返ってみれば、如何にも「装苑」とか「婦人画報」みたいな良妻賢母予備軍の小姐が装束のお手本としそうなファッション雑誌の"冬のお出かけ服"とか、"冬のお呼ばれ服"とかそういったテーマの特集記事から抜け出て来そうな質実剛健なカッコで荘厳な国立博物館の建物をバックに静々と歩いてきたのです。
これも、80mmという長焦点の利得を活かし、知らばっくれて一枚戴いちゃったものです。
衣装と建物周辺の色が地味系で見事マッチしていると思いました。

六枚目のカットは公園から駅に向かう歩道に出た時、仲の良さそうな家族がぢゃれ合いながら駅に向かって歩いて
いたのを撮ったもの。仲良し家族が楽しさのあまり周囲が見えないのをこれ幸いと思い、気取られない距離をとって追尾し、シャッターチャンスを待っていたところ、下を並んで歩くお兄ちゃんが何かおかしなことでも言ったのか、肩車の極小姐がや~ダとか云って振り返ったので、待ってましたとばかりに撮ったものです。
誰しもご幼少のみぎりにはこういう楽しい時間が有ったのかな?・・・とか思うと徒らに年を食って来た自分が妙に寂しく思えてしまいました。
ここでも背景は建物や車、人が盛大に写り込んでいますが、崩れや歪み、2線もグルグルもなく、そこそこ見易い後ボケと化したのではないでしょうか。

七枚目は上野駅まで着き、地下鉄駅へ続くJRガード下のスロープ前で、斜めに差し込む夕陽を浴びた先ほどとは別の家族の後姿がとても美しく、暖かそうに見えたので、一枚戴いたもの。この時、光加減を考えながらシャッターチャンスを狙っていたら、ちょうど、家族の間を背中丸めた季節労働者が足早に通り過ぎる姿が見えたので、シャッター切ったもの。
実像が見えるデジ一眼の光学ファインダはこういう時、EVFによるライヴビューとはまた違ったシャッターチャンスの捉え方をし、時として意外性の有る面白いカットが撮れるのではないかと思った次第。
背景の季節労働者の慌しい姿と幸せそうな親子連れの対比がなかなか面白いカットになったのでは、と思いました。

今回の感想としては、う~ん・・・使い捨ての電気製品化したと言われるデジカメですが、この20Dとか、某社のD1系列とか或いはもはやディスコン間近とも云われるR-D1s系列とか出たての頃のものは、まだまだしっかりとメカを作り込んでいるので、モノとしても質感も、写すということの基本性能も高いです。
そしてこの初期の真面目なモノ作り精神の結晶みたいなデジ一眼が、新宿の裏通りの店の棚の片隅で誰にも顧みられることのなかった実直なレンズの実力を引き出したのではないかと思いました。
さて、来週は工房附設秘宝館からコレクションの紹介参ります。何が出るか乞うご期待!!
テーマ:街の風景 - ジャンル:写真
- 2013/03/03(日) 21:00:00|
- EOSマウント改造レンズ
-
| トラックバック:0
-
| コメント:4

さてまた今宵のご紹介は工房製の改造レンズに戻ります。
前回がキヤノンのレンズ&ボディだから、キヤノン繋がりというわけでもないんですが、たまには簡単にだれでも出来るようなものも紹介したら!?という声もなきにしもあらずだったので、このところ、SLRキブンの時は、元々、お仕事兼用で買ったNikonD2Hを差し置いて連れ出す機会がとみに多いEOS-1D用に改造したレンズをご紹介です。
このレンズヘッドもとーぜんのことながら、通常の銀塩フィルム撮影用のものなどではなく、引伸機用のものを使っています。
全体は、黒のガラス繊維強化のエンプラでそこはかとなくチープな雰囲気を漂わせていますが、さにあらず、このレンズは畏れ多くも、世界に冠たる独ローデンシュトック社がアポクロマート仕様最高級グレードとして、世に送り出したスーパーレンズで、この個体自体は電子湾の夜釣りで新品同様を驚くほど安く釣り上げたのですが、新品をしかも国内で買うとなったら、目玉が飛び出て、引っ込めるのに苦労しますし、或いは卒倒してAEDの出番となるやもしれません・・・輸入ブランド品が高いのはバッグもレンズもおんなじですって・・・
このレンズ、外見はまぁ安っぽいのは致し方ないのですが、まさに水前寺清子の歌ぢゃあるまいが、中身が物凄い、アポクロマートの性能を引き出すため、5群7枚っていう橙黄色~淡黄緑域までの色消しを担当するエクストラ中玉を含む変形オーピック型です。
そして、このヘリコイドを持たないレンズヘッドをEOSにむりやりくっつけるため、工房では、某軍事大国からふんだんに輸入したL39→M42のネジ変換レンズ、BORGヘリコ、そしてM42からEOSマウントへの変換リングを使ってフランジバック等も調整してあります。
で、肝心の写りですが、テスト撮影を兼ねた初陣は散々でした・・・中には、おぉぉぉと思うようなショットもあるにはあるのですが、プラ製のレンズヘッドを絞り値表示窓をレンズ鏡胴の12時位置に合わせるため、無理矢理ねじ込んだら、どうやら、残留応力が中~後玉にかかってしまったらしく、かなりの枚数で周辺が無残に崩れたりヘンな片ボケが現れたりして、ほぼ一日を棒に振ってしまったぁぁぁ、と頭を抱えて絶叫したいキブンになってしまいました。
しかし、このレンズは強度はあるが、応力に対し弾性変形による歪みが起き易い材質なんで、ムリなねじ込みの応力さえ開放してやれば、また元の性能に戻るって寸法です。
また近いうちにリターンマッチをして、パーフェクトな作例をご紹介したいと思う次第でありました。
[EOSマウント Rodenstock Apo-Rodagon75mmF4]の続きを読む
テーマ:Canon EOS&EF LENS - ジャンル:写真
- 2008/06/02(月) 23:52:29|
- EOSマウント改造レンズ
-
| トラックバック:0
-
| コメント:10