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深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Considerable performance from random assortment~Jupiter8M coll. ver.2.00~

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さて、今宵のご紹介ですが、予告通り、生まれ変わった沈胴ユピテル8Mの試写結果をレポートしたいと思います。
このレンズ、前回は中、近距離、そう5mからヘリコイド機構上の最短である90cm程度まではシャープでコントラストもそこそこ高く、普通にスナップのお供に連れ出すにはそこそこの性能だったのですが、沈胴金物の構造上、15m程度までしか最遠が届かず、貴重な戦前のツァイス製の金物を削ってまで調整しようとも思わなかったので、極力、無限の被写体を撮らないようにして誤魔化して実写を終えたのですが、帰って、ニコンSP改のピント基準機で試してみると、やはり実焦点距離が短くなったため、無限が足りなくなってしまったことが判明したので、再度分解して、きちんと無限が出て距離計連動する個体と比較してみると、内鏡胴の形状の関係で前群と後群のクリアランスが適正に収まっておらず、その結果、実焦点距離の変動が生じたことが判ったため、削らず、新しいJupiter8MのエレメントをSonnar内鏡胴の金物に移し替えることでクリアランスの問題は、貴重な金物を切削しないで解決出来たという次第。
では、さっそく、土曜日の行程に沿って実写結果を眺めて参りましょう。
パートナーは前回同様、SONY α7RII、全コマ絞り開放による絞り優先AE撮影となります。

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まず一枚目のカットですが、このところ、リスク満点の公共機関を使わず、徒歩で撮影ロケ地まで移動していたのですが、この土曜当日は、ランチがかかっていたので、仕方なく、日比谷線の築地駅までは乗ることとし、そこから、徒歩で撮り、深川に戻ることにしたのですが、場外市場に最短で降りると、真上は築地本願寺の敷地内なので、ランチのお店へのショートカットも兼ねて境内に足を踏み入れ、ちょっと不思議な形の狛犬の姿をほぼ最短で戴いてみたもの。

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二枚目のカットですが、本願寺の広い境内を斜めに横切ってすぐ目の前の晴海通りを渡ると、すぐに場外市場を東西に貫く細い通路に行き当たるのですが、朝の雨の残る店舗間の通路を足早に通り抜けて行こうとする父娘の姿が目に留まったので、速足で途中まで追い縋って、後ろから通りの様子ごと一枚撮ってみたもの。

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三枚目のカットですが、自粛続きで、上野のアメ横と並び、まさに三密のうち、密閉以外の二密は間違いなく満たしているので、お店は閉まって、人影も殆どないのかな・・・とあまり期待しないで出掛けはしたのですが、通常時の賑わいには遠く及ばないものの、僅かに開く物販店や観光客向けのチェーン店系の大衆寿司屋の周囲では、国内外の観光客がそこそこ戻ってきており、甲殻類で有名な齋藤商店の前でも、スキンヘッドの白人大男が生うになんかチァレンジしていたので、その様子を横から一枚戴いてみたもの。

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四枚目のカットですが、場外市場を東西を貫く大きな通りを結ぶ、東寄りの細い南北通路でも、まぐろ小売店なども、店先を裸電球で煌々と照らし、賑わいが賑わいを呼ぶのか、狭い店先には、陳列台に所せましと並べられた大小のまぐろの柵を買い求める人や、その周囲で品定めをする人がたむろし、往年の賑わいの片鱗も垣間見えたので、傍らから一枚戴いてみたもの。

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五枚目のカットですが、場外市場を東西に貫く大きな通りを西側に抜け、これまでは築地本市場と場外を隔てていた公道に面したアーケードに出て、やはりここでも多くの物販店や飲食店がシャッターを下ろしていて、ましてや外国人観光客に声をかけてモデルさんになって貰うなどということは夢のまた夢なので、仕方なく、閉まっていた物販店の店頭のいちご飴のオブジェを最短距離で一枚撮ってみたもの。

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六枚目のカットですが、やはり、本市場が姿を変えて豊洲へ移り、踏みとどまった場外市場にについても、新型コロナの直撃を受け、いつも通りのシャッターチャンスは期待しようもないので、そこそこに切り上げ、食事してから佃・月島方面へ移動しようと馴染みの穴子料理専門店へ足を運んだものの、そこには「当面の間休業します」の悲しい貼紙を目にしたので、近所の別のお店で望外の至上のランチを戴き、せっかくなので目の前の波除神社の提灯など撮ってみたもの。

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七枚目のカットですが、いつもであれば、築地エリアから佃・月島エリアへの移動は晴海通りの先にある勝鬨橋を渡って、いったんメインストリートの清澄通りに出て、そこから佃の船溜まりを目指してそれ以降、商店街を流しながら、目に付いた路地、裏通りに足を踏み入れ撮り歩くというコースなのですが、このところ、ほぼ週2~3回は徒歩で歩き回っていて、撮影スポットの位置関係や街並みに関する土地勘も付いてきたので、今回は頭の中の声に身を任せ、勝鬨橋手前の裏通りから聖路加国際病院方面を目指すこととし、その通りに在った、懐かしい昭和初期の和風家屋の一部を洋館風に改造した家を見つけたので、特徴ある窓を撮ってみたもの。

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八枚目のカットですが、明石町に在る聖路加国際病院に向かう細い通りには、ここが銀座から1.5km圏内なのかと目を疑うような古い、低層建築が至る所に残っており、密度で云えば、東向島や曳舟、そして本郷菊坂町エリアには敵いませんが、持ち主の資金力によるものか、どれも保存状態が良好で、半ば廃屋やら忘れられた街探検みたいな様相を呈していた墨東地区とは違い、今も大切にされ、人が日々生きている様子がありありと伺える通りだったので、ノースポールの白い花々をモチーフに通りを撮ってみたもの。

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九枚目のカットですが、晴海通りからそぞろ歩きすること約20分、やっと聖路加国際病院の一角に到着し、用事があるのはツインタワーの建つ川沿いの敷地ではなく、明石町の外人居留地跡で立教や青学、女子学院をはじめ、多くのミッション系の学校法人の創設の地を示す石碑が点在し、立派な洋館が残る大学の方で、本館の全景が入る位置を確認し、その優美な姿を一枚撮ってみたもの。

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十枚目のカットですが、昔、近所の眼鏡屋のヲヂサマを団長とする怪しい中年探検隊で訪れた記憶を頼りに芝生と木立の中に建つ瀟洒な洋館を発見し、はてさて、50mm掛け値無しの画角でどうやって撮ろうかなと考え、まずは明暗差の大きい部分でテスト、テスト、ということで、玄関ドア横の木製飾りをほぼ逆光で撮ってみたもの。

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十一枚目のカットですが、洋館の周りを巡り、撮るだけ撮ってから、次なる目的地、佃・月島エリアへの移動は、今更、勝鬨橋方面へ引き返すのも面倒だし、佃エリアからスタートするなら、むしろ、中央大橋から島へ上陸すれば、いつもの未来と過去の接点みたいな船溜まりの近くに出られ好都合と思い、新富町方面へ歩いて、中央大橋を渡りながら、勝鬨橋方面の大川の様子を撮ってみたもの。

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十二枚目のカットですが、晴天の中央大橋の歩道部分を渡り切ると、そこは昭和初期の街並みがそこかしこに生き残っている佃エリアで橋から、大川の堤防沿いの道を通って、佃煮屋の前から、まずは定点観測スポットである、中華の名店「麗江」の前に並べられた紹興酒の甕でも撮ろうと歩き出したところ、目の前のタワーとのコントラストも面白いと思ってシャッタ-切ったとたんに自転車のガイジンさんが入り込み、ソーリーソーリーと手を挙げ、頭を下げて去っていった時のもの。

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十三枚目のカットですが、ここが、船溜まりと並び、佃エリア不動の定点観測スポットである、「麗江」の前にここぞとばかり壁一杯に並べられた紹興酒の甕で、一回、ランチの後に、おかみさんに撮らして貰うよ、と声掛けて撮って以来、何が面白いのか判らないとか半ば呆れられつつ、ボケを見るのにちょうどイイので、ここでランチを戴いても、戴かなくても、通り掛かったら必ず撮るようになったもの。

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十四枚目のカットですが、あぁまたか・・・ということで、絵葉書にも都の外国向け観光案内HPにも頻出している、佃の船溜まりですが、工房主にとっては、赤い橋があって、その袂に銭湯、そして手前の静かな水面には小型の船が何隻か浮かんでいるという風景がまさに普遍的な江戸情緒のステレオタイプで、それが故に惹かれ、毎回、ついついマンネリだぁとか心の声が囁くものの、撮ってしまうもの。

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十五枚目のカットですが、15時もだいぶ回って来たので、レトロ交番ほか、月島商店街界隈の画も何枚か撮りたかったので、心落ち着く船溜まり脇の公園を後にし、商店街の一本北の道を西に進んで、交番の建つ通りから商店街へ入ったら、ちょうど、折悪く、前回遭遇した、怪獣みたいな?巨大生物を連れた爺様が居て、その周りをキモカワイイとか、パッツンパッツンのスカートに金髪の小姐各位が遠巻きに見守り、思い出したようにスマホンで写真なんか撮ったりしていたのですが、その中でいたいけな童子が怪獣退治とばかり跨ったところ、後ろにずり落ちずっこけそうになったのを苦笑した爺様が引っ張り上げて、無料乗馬体験ならぬ、乗亀体験となって、一同、皆、撮り始めたので便乗して一枚戴いてみたもの。

今回の感想ですが、いやはや、ゾナータイプって、やっぱり面白いですねぇ・・・しかもそれが自分でリハウジングしてこの世に無いものを生み出したとなると、感慨もひとしおです。
今度は、ジャンクの沈胴ニッコール5cmf2でも手に入れて、和製ZM(ゾナークラスノゴルスク)ならぬZF(ゾナーフカガワ)でも作りたいものですね。

さて、次回はまだ二本残ったリプロダクションのJupitar8mいくか、それとも別のにするか、今流行りのテレワークしながら考えま~す♪乞うご期待!!
  1. 2020/05/24(日) 18:42:39|
  2. CXマウント改造レンズ
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A solidstate beauty~Wollensak Enlarging Raptar2"f4.5~

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【撮影データ】カメラ:R-D1s ISO400 絞り優先AE 露出+1/3、ロケ地:駒形~浅草寺
さて、今回のアップは工房主人の極私的出張(ただの物見遊山とも言う・・・)のため、一日遅れてしまいましたことをまずお詫び申し上げます。

前回予告致しました通り、今回の更新が年内最終版となります。

このレンズは、アメリカのWollensak社が、1960~70年台にかけて引伸用に販売していたもので、電子湾ではたまに回遊しているのを目にします。
しかし、お値段が安いのと、開放値がこの単玉大口径がもてはやされるご時世にあってf4.5と暗いため、なかなかマニア受けせず成約に至るものが在りませんでした。

工房では、主人の好みもあって、米国産レンズの改造を多く手掛け、このWollensak社のものであれば、このところ、好事家の間で密かなブームになりつつある?2.04"f1.5のOscillo-raptarからf3.5、f2.8まで一通り実写可能な改造を施していますので、このf4.5はまさに未開の"暗黒大陸"だったわけです。

手許に届いたこのレンズ、手に取ればずしりと重く、オール真鍮削り出しに重厚なクロムメッキが施され、まさに往年の経済大国である米国の裕福ささえ感じさせてくれます。

大きな前玉であれば、更に造形美という観点からパーフェクトであったかもしれませんが、心持ち、銘板の円周が太いため、刻印の文字がより大きく、くっきりと記されており、これはこれで精緻なイメージを与えてくれます。

この三群四枚と思われる小粒のレンズをまずは一番改造が容易なCXマウント化して実写性能を確認することとしました。またこれまでの経験則から、この会社のf2.8より開放値が大きいものは外観形状、そしてフランジバックからして、ニコンS、もしくはCXマウントにするのがカッコ良いということも動機のひとつでした。

出来上がったこの小さいながらもゴーヂャスなレンズをS-Lカプラ、そしてMアダプタ経由、R-D1sに装着し、晩秋の浅草に試写に出かけました。以下が試写結果です。

まずは一枚目。
都営大江戸線の蔵前で降り、浅草方面を目指し、駒形界隈を歩いていたら、とあるオフィスビルの一階エントランスに可憐なピンクがかった赤いが咲き、その背後に植物繊維で編んだと思われるプードルのオブジェが置かれ、こちらをつぶらな瞳で見ています。
一枚目の試写は引伸レンズの本領である近接性能を見る必要がありますから、R-D1sとカプラの組み合わせで最短の1mで構図しました。
花弁にピンを置いていますが、f4.5という控えめな開放値の美徳で、葉までは被写界深度でくっきり描写され、一方、これだけ暗いレンズであるのに、更に1m強後ろに置かれているプードルはもうボケています。
合焦部のキレと後ボケの自然さ、これで試写歩きが楽しくなる予感を持つに充分な結果でした。

そして二枚目。
ビルを過ぎ、暫く歩くと、バンダイナムコの本社、そしてその向かいに駒形どぜうがあります。
お店の斜め前に佇み、さてどうやって構図しようかと逡巡していたら、お店のおぢさまが如何にも清潔そうなお仕着せの白衣を来て後姿を見せました。どうやらお客さんを送り出すようです。
ここでレンズのフレア性を見るため、この"どぜう"と書かれた木綿のしぶい暖簾とそれを後ろ向きに掴んでお客を導くおぢさまの勇姿を一枚頂きました。
かなり明るい場面ではありましたが、白衣の周りにはフレアは殆ど認められず、一方、この画面サイズでは判りずらいかもしれませんが、帽子の皺とか、暖簾の生地のテクスチャまでシャープに捉えています。

それから三枚目。
撮影後、こちらに向き直って、目線が合ったおぢさまに黙礼してから、駒形の交差点まで歩いて行きました。
ここからはスカイツリーのほぼ全景が見渡せ、格好のウォッチングポイントになっています。
そこで、このレンズに対する、本日、最も苛酷と言われそうなテストを行います。
それは、無限での撮影でどこまで解像力が出るのか?ということです。
その結果は、ご覧の通り、スカイツリーで最も細かいテクスチャを持つ、普通展望台の保護ネットをご覧戴けば判りますが、無限でも通常の撮影レンズ同等以上の描写性能を発揮します。
また、前ボケにあたる交差点を通過する車達のごく僅かなボケも気にがならないレベルではないでしょうか。

まだまだの四枚目。
交差点を渡り切り、もう一台のカメラで雷門周辺を撮ってから、仲見世を浅草寺方向に歩いていきます。
すると、雷門から十数メーター先のお店の軒先に鬼灯の鉢植えが吊るしてあり、その1mほど先で白人のおぢさまが、「あっちゃぁ~」とか言うカンジで首の後ろを掻いています。
こんな素晴らしいシャッターチャンスを逃したら猛禽類から名づけられた"Raptar"の名折れです。すかさずシャッターを切って戴きです。
鬼灯の実の筋というか脈みたいなものも、籠の竹の質感も余すところなく捉えられており、一方、あっちゃー氏は、表情がかろうじて判別出来る程度の程好いボケと化しています。

最後の五枚目。
あっちゃー氏に黙礼し、仲見世を左に折れると、いつもの試写スポット、老舗の扇屋さんです。
いつもと違って、まだ陽の高い時間にここで試写を行うことになったので、店頭の団扇には直射日光が当たりかなり強めに反射しています。
それでも、、アンチフレア性については自信合ったので、いつもどおり、一番上奥の値札が付いている団扇の値札の数字にピンを置いてシャッター切りました。
するとどうでしょう。
奥の二枚の団扇は図柄は勿論、和紙の緻密な質感に至るまでシャープに描かれ、一方、後ボケは極めて自然に心地良い融け加減となっています。

今回の感想としては、やはり、当たり前のことではありますが、写真用レンズであれ、引伸用レンズであれ、きちんと作られた製品は、どんな使い方でも相当の性能を発揮する、ということです。

しかし、う~ん、これでまた電子湾を回遊するこの隠れた銘玉の漁獲が上がってしまうと、入手困難レンズになってしまうのかな・・・と独り悩んだりもしました(笑)

さて次回は新春特集、渾身の沖縄ロケから行きます。

では、読者各位におかれましては良いお年を。

テーマ:CX mounted lens - ジャンル:写真

  1. 2010/12/27(月) 17:19:38|
  2. CXマウント改造レンズ
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Die Objektive mit Strom und Drang~Astro-Berlin Pantachar50mmf2.3 mod.CX~

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【撮影データ】カメラ:Nikon SP、フィルム:Kodak Ektar100 全コマ開放、ロケ地:月島~佃島
さて、悪夢のような年中行事、「世界の中古カメラ市」の開催されたこの週末も何とか無事乗り切り、恒例の工房ブログ更新の夕べがやって参りました。

今回は、さすがに昔のようにボーナスやら、株の泡銭をあてに清水の舞台やら、スカイツリーあたりから飛び降りてばかりはいられません。

尤も、もうすぐ手許に戻ってくる、或るレンズヘッドの改造を意識して、お買い得なパーツを一個買い求めましたが・・・

余談ですが、一昨日、昨日と会場に出勤したのですが、昨日は中目黒~代官山界隈での撮影会の帰りに寄ったという整理なので、工房謹製のレンズをそれぞれM8とR-D1sにくっつけて、一ノ瀬泰三か、澤田教一もかくやあらんとばかりに首から、肩から提げて、各お店を巡回しましたが、皆さん、さすが、お目が高い・・・人外魔境のレンズは良くお判りのようで、声までは掛けてこなかったまでも、まずはレンズをじっくり凝視し、ついで、小生の顔をまざまざと見つめる・・・というパターンが結構多く、どうせなら、いたいけな女子カメラ勢にそうして欲しかったなぁ・・・と密かに反省したのでありました。よっしゃ、次の目標は、ハローキティ柄か、半ズボンのねずみ系で行くか・・・笑

さて、閑話休題、今回の工房作品紹介行きます。
このレンズは、知る人ぞ知る、珍品中の珍品、マニアには、垂涎の銘玉らしく、電子湾のはえ縄漁業でも底引き網でも滅多にかかって来ません。

しかし、ふと馴染みの欧州のレンズ売人のおっさんが、何の気まぐれか、珍しいレンズを数本、一気に売り立てやってました。しかも、皆、Buy it now!の扱いです。

速攻で2本買いました、そのうちの一本がこれ、独Astro-Berlin社製のPantachar50mmf2.3という映画撮影用のレンズで、元はたぶん、Arriより大きなBNCRマウントのMitchelか、或いはEyemo35あたりのレンズブロックだったのではないかと推定しました。

Pantacharは、先にご紹介した、キレイな対称系のオーピック型4群6枚構成のGauss-Tacharと異なり、4群4枚という貼り合わせのない、Tripletに一枚凸レンズを足したような形式になっています。このシリーズは主にf1.8とこのf2.3があり、f2.3のものは、25mmから255mmの焦点距離までラインナップが取り揃えてあるとのことです。

製造年代は、資料が無いため、推定でしかないですが、早ければ1940年代後半、遅くとも1950年の半ばくらいではないしょうか。なお、通常は"Nr."とすべきジリアル表示が"No."表記となっており、また、製造国表記が、"deutschland"ではなく、"Germany"となっていることから、英米への輸出用だったと思われます。

さて、レンズの氏素性はこのくらいにして、早速、作例行ってみます。今回は、今年の春先に近所の月島~佃島で撮った作例で行きます。

まず一枚目。
築地から晴海通りを抜け、左に曲がって月島へ入ると、暫く先に橋が有り、そこでは、大川端沿いのオフィスビルを写した舟溜まりがあります。天気が良いと、鏡のような水面に茶色の高層ビルが写り、また木陰から漁船が見えたりして、結構下町情緒溢れた画が撮れるので、うちの近所の運河沿い同様、格好の撮影スポットです。
ここでは、かなり遠距離にピンを置いていますので、シャープな結像のみが目立ち、まだこのレンズの本性は現れません。

そして二枚目。
月島で何箇所か定番の撮影スポットを回ったあと、佃島へ入ります。
ここも面白い町で、昭和初期のような木造住宅と狭い路地があちこちにある古風な街並みとバブル期の億ションと言われる超高層マンションが狭いエリアに同居しており、しかも、その新旧住民がなかなか良好な関係で暮らしているとのことなのです。
その下町のど真ん中にある隠れ家中華料理店の入口に無造作に置いてある、甕出し紹興酒の甕の行列を上から一枚戴きました。
ピンは手前列のこちらから二本目の甕の口縁に合わせています。
合焦部はさすがシャープですが、三本目、四本目・・・画面上に行くほどに甕が流れ、硬いセラミックスが、時空の裂け目に蕩けながら吸い込まれてしまっているかの如きイメージとなりました。

それから三枚目。
お店の前から、駄菓子屋兼酒屋の如き店舗の或る堤防方向に歩くと、裏通りに花を植えた鉢が吊るされていました。こういう住民各位の細かな心遣いは、どこへ行っても心を打たれるものです。
警備会社のステッカーとか、監視カメラ、警邏箱みたいな仰々しいものを設置するより、こういう、住民相互、そして通りがかりの者も含めて、心を和ませるような気遣いの方が、よっぽど防犯には役立つと思いましたが、甘い考えでしょうか。
ここでも、真正面の白いマーガレットだかにピンを置きましたが、さすが、最短に近い撮影距離ですと、被写界深度を外れた途端にぐるんぐるんに渦巻き、まさに「疾風怒濤」の四文字が頭をよぎる、ワイルドな画面構成になりました。

まだまだの四枚目。
佃中央公園を抜け、高層マンション街へ足を運ぼうとしていた時、住吉神社の鳥居のふもとで孫達と遊ぶご老人の姿を発見しました。
同行の仲間は、1m以内に接近し、かなり大胆に接写を試みていましたが、レンズの焦点距離からも程好い距離感が欲しかったので、2mほど後ろから、数カット戴き。
ここでも、中央の人物はシャープに際立っていますが、背景の民家の軒先の鉢植えは、またしても時空の裂け目へとぐるんぐるん渦巻いて吸い込まれていきます。
ホントは彼らの影が渦巻いてるところを撮りたかったのですけれど。

最後の五枚目。
佃中央公園には、さすが子供が多い地域だけあって、様々な遊具があります。
そのうちの木製の止まり木だか、平均台だかの上に仲良く腰掛けて、愛、もとい将来の夢でも語らい合う、いたいけな男の子2名が居ましたので、背景も良い案配に流れそうカンジだったこともあり、一枚戴き。
現像から上がって、フォトCDを見て、やった!!!と思いました。
まさにぐるんぐるんの回り具合、被写体の位置、姿勢、時空の裂け目に吸い込まれそうになって、身もだえする、子供達というイメージで、いかにもSFテイストの作画となりました。

普段は、シャープでボケもキレイ、画面全体の均質性を重視したレンズ作りを心がけていますが、たまには、こういう、遊び心に満ちた、デフォルメ系レンズも面白いと思いました、というか、未発表のものを含め、Pantacharは全焦点距離、アウトフォーカスはぐるんぐるんになるのだと初めて知った次第。
ぐるんぐるんは決して毒キノコ一家の専売特許ではなかったのです。

こんど、仲間内でぐるんぐるんみたいなキワモノレンズ限定の写真展でもやりたいなぁ・・・とも話した次第。

さて、次回の秘宝館は何が出てくるか、お楽しみに。

テーマ:CX mounted lens - ジャンル:写真

  1. 2010/06/06(日) 23:00:00|
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漆黒の慧眼~Dallmeyer Dalmac2"3.5改S/CX~

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【撮影データ】カメラ:Nikon SP フィルム:スーパーセンチュリア100 全コマ開放
ハイサイ、また日曜日の晩が巡り来て、深川精密工房記事更新の時となりました。
今宵のご紹介は、知る人ぞ知る、一部のコアなマニアにとっては垂涎の銘玉?DallmeyerのDalmac2"f3.5を当工房にてS/CXマウントに改造したレンズです。

去年の記事で覚えておられる方もいらっしゃるとは思いますが、同じくDallmeyerの2"f4.5のEnlarging AnastigmatをS/CXマウント化しています。

今回のDalmacも、前回のEnlarging Anastoigmat同様、引伸機用レンズです。
製造された時代はこの小径のネジや、真鍮削り出しの鏡胴への黒エナメル塗装、そして元々の青い弗化マグネシウムの単層コートなどから判断して、50年代の初めの製造ではないかと思います。

絞りは開放のf3.5から最小のf16まであって、何故か、絞り羽根は前玉直後についていて、この形式のレンズにはよくある逆テッサー型でも、逆エルノスター型、或いはWガウス型でもなく、普通のエルマータイプ、即ち3群4枚構成と思われます。

ところで、このレンズ、写真で見ると傷一つないサファイアの如き澄んだ青い佇まいを見せていますが、実は、海の彼方、グラスゴーから遥か海を超えて当工房に辿りついた時は、中は埃まみれで絞り羽根には油がタール状になってこびり付き、前玉はというと、磨き傷なのか、使用に伴う磨耗なのか判らないくらい傷つき、また曇りのような症状も見られたので、幾ら銘玉とはいえ、そんな状態で改造して再び写すことが出来るようになったとしても、レンズ本来の性能は到底発揮出来ようもないので、自分で出来る限りの整備の上、大久保の名人のところに持ち込み、再び命を与えて貰えるようお願いしたのです。

初めは、あまりやったことがないし、少しお時間下さい、というようなことを言われたのですが、是非、歴史的銘玉の復活に力をお貸し下さい、と頼み込んだところ、快く引き受けて下さり、待つこと2週間で見違えるくらい美しい姿に甦って手許に戻ってきたわけです。

そうなると、喜び半分、プレッシャ半分で結構重いキモチになってしまいます。
大久保の名人が心意気にほだされて、手間隙かけ最速で素晴らしい状態のレンズにして返してくれたものを、出来ませんでしたでは二度と顔向け出来ないし、ましてや、失敗して破損など絶対に許されよう筈もありません。

しかし、工房の得意ワザのS/CXマウント化であれば、パーツはふんだんにありますし、ピント基準機もキャリブレーションやったばかりだし、その他計測機も調子良いので、万全の体制で加工が出来、帰ってきた翌週末には、Nikon SPでのテスト撮影に漕ぎつけたワケです。

さて、前置きはこのくらいにして、作例いきます。

まず一枚目。これは工房のすぐ近所の永代通りと並行して走る運河沿いに咲いた桜を1.5m程度で撮ったもので、背景に和船の舳先が写りこんでいます。
なかなか難しい桜の花びらの淡い色も破綻なく捉えているようですし、前ボケも後ボケもここでは大人しい振る舞いを見せています。

そして二枚目。これは同じ運河を門仲交差点方向に遡り二本目の橋の上で、毎年行っているさくら祭りのイベント会場で粋な法被姿の兄さんがたを捉えたものです。
発色は淡め、コントラストもそれほど高くはないですが、それでも洗いざらしの法被の布地のテクスチャは的確に捉えていますし、合焦域での描写の緻密さ、画面全体での画質の均質さはさすが引伸機用レンズの真骨頂とも言えるのではないかと思います。

続いて三枚目。同じイベント会場で目を転じると、海洋大の学生さん達がにわか仕込みの香具師と化し、昔懐かしい射的屋さんをやっていました。
ここで、商品に目が眩んだのか、或いは日頃主婦間のおしゃべりにうち興じ、自分たちを顧みない薄情な現代ママに文字通り一矢報いるためなのか判りませんが、かなり真剣な表情でコルク銃を発砲し、その結果に絶叫していたのでありました。
ここでは、女の子のナイロン系の反射するピンクのパーカーの生地の風合いがとての魅力的に捉えられていると思いますし、係員の兄さんの合成皮革もどきのジャンパーの皺なども妙にリアルに写っています。

最後に四枚目。今度は、イベント会場から離れ、やはり定点観測地点のようにテスト撮影コースに組み込まれている、門仲駅至近でありながら、完全に時代に取り残された「辰巳新道」へ向かいました。
ここで、一歩間違えたら、かのゴミ屋敷にもなってしまいそうな種々雑多オブジェデコレーション系大衆居酒屋の昼の営業前の佇まいを一枚戴きました。
特筆すべきは、全体的に淡い発色だと思っていたこのレンズ、こんな日陰の路地裏で色々な系統の色が入り混じったような被写界では、適度な解像力と発色バランスの良さを見せ、現代のただハイコントラストでのっぺり写るレンズ達とは一味も二味違うことを自己主張してくれたのです。

テーマ:レンジファインダー - ジャンル:写真

  1. 2009/04/05(日) 23:51:40|
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無銘の切れ味~Wollensak50mmf2.8 mod. for S/CX~

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【撮影データ】 カメラ:Nikon SP フィルム Kodak Gold400 全コマ 開放
さて早いものでもう前回の定常更新から一週間、頭の中に笑点のテーマ曲とサザエさんのテーマ曲
がごっちゃになりながら流れ、月曜朝の満員電車などを否応なく思い出しながらの更新です。

今回のご紹介は、たまたま電子湾での夜釣りで引っ掛かった(≒安く買えた)小物レンズですが、カッコはまぁまぁですし、これとほぼ同型のVIPレンズが控えていたので、習作としての改造品、Wollensak50mmf2.8無銘改S/CXマウントです。

このレンズはどこをどう見回しても銘柄名が彫ってありません。
米国の片田舎のいかにも流行らないカメラ屋然とした売主の説明曰く、「米国製の引伸ばしレンズ、デッドストック美品、たぶん、Kodak、Wollensakのどちらか・・・」という極めて曖昧な氏素性のレンズを買ってしまったワケです。

10日間ほど経って、このレンズが国際普通郵便で送られてきた時、早速、中を開けてみたら、なるほど、如何にも性能良さそうな薄茶色のコーティングにキズ一つないエレメント、鏡胴も手擦れすらありません。

しかし、「無銘のレンズなんて、そんなもん有っか?どっか目立たないとこに彫ってあんぢゃね?」とか思い、さすがにキレイな玉だったので、クリーニングの必要もないことから、開けてまではいませんが、少なくとも外回りには、メーカー名、原産国を表す刻印は何ひとつなく、この銀色のアルミ製のフードみたいなパーツの周囲の"50mm f/2.8"の刻印のみ。

はたと困ってしまい、そこで、工房ストックのパーツからどっちのメーカーか、推定することに。
比較サンプルは、Kodakはシグネットについていた44mmf3.5のエクター、そして、Wollensakは工房で前に改造したことのある、 Enlarging Anastigmat2"f2.8です。

見所はコーティングの色と硝質、そして全体的な作りといったところですが、ためつ眺めつ、色々と考えましたが、総合的にはWollensakの玉と考えた方が精神的に良く、儲かったカンジもするので、そういうことにしました。
まぁ、実際には絞り開放値の刻印の字体がEnlarging Anastigmatに良く似ていたので、そのように推定した次第です。

さて、前置きはこのくらいにして、作例、行ってみましょう。今回は浅草に出かけました。別のもう一本テストするレンズの調整に手間取り、夕刻からの開始になってしまったので、いつもの定点観測的フィルムのセンチュリア100ではなく、Kodak Gold400になってしまったことを予めご了承下さい。

まず一枚目。これはもうテスト時の巡回コースにしっかり組み込まれている雷門周辺の人力車溜りでの一枚です。信号待ちしている人力車を狙って一枚撮ろうと思ったところ、突然信号が青に変わり、車夫の兄さんは、渾身のダッシュで通りを渡ろうとし、おっこれだ♪と思いシャッターを切ったところが、右手から余計なスタッフの兄ちゃんが走って道を横切ろうと走って、画面の写りこんじゃったワケです。ご覧の通り、小さいいかにも非力なカンジの玉ではありますが、車夫のコスチュームである黒の和装の皺までキレイに捉えており、背景のボケも悪くはないと思います。発色も4時半過ぎの傾きかけた太陽光の下という条件を考えれば上出来でしょう。

続けて2枚目。これも雷門周辺の車夫兼営業を行う兄さん達の軽妙なセールストークの場を一枚戴いたものです。
ここでは、赤い法被の兄さんのアゴでピンを合わせていますが、坊主頭の伸びかけた毛髪や、ほぼ同距離と思われた腕時計はかなりシャープかつクリアに捉えられていますが、逆に1mほど遠い位置で話ぶりに聞き入る白い服のお嬢さんはもうボケに入っています。また、不思議なことに車夫の兄さんより1m以上手前で小生の近い位置で写り込んでいるパーカーの高校生風の兄さんはそれほどボケていません。
このカットは先ほどの走る人力車と比べ、全くの順光下なので、発色のバランスも良く、ほぼ目で見た通りの風合いでこの赤い法被も捉えています。

そして3枚目。この日は土曜だったので、浅草仲見世通りが世界に誇る、下町一の超絶美女?"沢尻メイサ"嬢の稼働日ということを思い出し、またぞろ買いもしないで、カメラの放列を浴びせる多国籍軍の人々に混じって一枚撮影。
今回は彼女も相当忙しかったらしく、きび団子の製造を行ったり、或いは販売して代金の徴収したり、動きが止まることがありません。
そこでえいやっと置きピンでシャッター切りましたが、ちょっと前ピンになってしまったようです。
それでも、それでも何とか被写界深度ギリギリの範囲には入っていたようで、彼女の愛くるしくも美しい表情、亜麻色のさらっとした髪が湯気の向こうに見てとれます。
しかし、不思議なのは、彼女達の後ろには、かなり強い輝度の透過光式の看板が有るのですが、全くフレアになっていないことです。

最後に4枚目。ここでこの数十年使われることなく眠りについていたデッドストックレンズの本領発揮のカットです。
いつも素通りぢゃ申し訳ないんで、たまには良いことでもありますようにってことで、観音様の本堂にお参りした後、西側の開け放たれた扉を見れば金色の夕陽が射し、おみくじを吟味する若いカップルが居るぢゃありませんか。
普通、クラシックレンズを愛用する人間は、写界に日光が入り込むと、画面全体が光ってしまい、何も写っていない、或いは無様な半月クラゲ状のフレアが出るのを嫌い、こういうシーンではシャターを切らない習性があるのですが、今回は米国製のデッドストックの性能を試すため、敢えてシャッターを切りました。
目を細めたくなるくらいの光量であったので、半信半疑ではありましたが、現像から帰ってみてびっくり、今までこれほど逆光に強いレンズというこのは、最新のツァイス(銘)のものくらいしか持っていなかったためです。

こんな、たまたま掛かった小物のようなレンズですら、面白い写りをするのですから、まだまだ電子湾での夜釣りはやめられません。

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  1. 2009/03/22(日) 17:57:20|
  2. CXマウント改造レンズ
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禁じられた愛の結晶~Schneider Componon 50mmf4CX改~

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さぁて今宵のご紹介は下総の国佐原にて撮りだめた作例を使用しての、工房の伊達レンズ、Componon50mmf4改CXです。

今回のレンズは珍しく、CX規格で改造しています。
とは言っても、f値がせいぜい4.0なんで開放でも十分、被写界深度に入るため、CX、或いはSマウントのどっちで拵えても同じことなのですが。

このレンズはCarl Zeiss社製のContaxIIaにあたかも誂えたかのごとく、良く似合っていますが、その正体は、50年近く前のドイツScneider Kreuznach社製の引伸ばしレンズなのです。
ライバル同士のこの仲睦まじいショット、まさに禁じられた愛といったところでしょうか。

実はこのレンズの兄弟、もう少し後に発売されたという50mmf3.5の方は、ヘリコイドとマウントと合体させられて、L39マウントとなっており、先般、新宿で開催された仲間内の写真展でも活躍しましたが、ネガで撮影して、街頭スナップくらいなら半紙程度まで軽々引伸ばせる実力を持っています。

構成は3群4枚の貼り合せが前に来た逆テッサー型らしいですが、重厚な真鍮無垢削り出しに厚手のクロムメッキをかけた佇まいは、まさに精密機械の国ドイツから、第二の「人生」を送るため、成層圏を飛び、海を超えてやってきたという気迫を漂わせていました。

そこで、今回は遊び心を発揮し、ルックス重視でCX/Sマウント改造としたワケです。勿論、WollensakのVelostigmatの成功に気を良くしたことも忘れてはならないでしょう。

しかし、今回の改造は気合い入れてやったワリには、やや失敗しました。
あまりに暗いので、ピント基準機のピント面での合焦如何があまり明確に見えないのです。
そのせいか、一回目の組み上げで実地に持ち出した写真の個体は、かなりオーバーインフ気味になっており、10m弱で∞になってしまいます。

RD-1Sなら何枚か撮って、結果見て、その加減でピント調整しながら撮れば良かったのですが、あいにく、こいつは旧態然としたCX/Sマウント、本番当日にはS→Mアダプタも持ってはいったのですが、やはりテストの正確性を期すため、そのアダプタは同行者のT氏に秘蔵レンズもろとも貸し出しして、本人は潔くNikon SPにて一発勝負で一本撮りました。

その結果が下の2枚、まず一枚目は数十年前の乙女船頭さんには申し訳ありませんが、もとより撮る気はさらさらなく、その頭越しに木橋を撮るつもりだったのですが、よ~く見てみると、その橋も通り過ぎて、遥か彼方のブルーシートの掛かった停留船に合ってしまっています。
そして二枚目は、被写界深度で上手くごまかされては居ますが、オートバイの機関部を狙って撮って、かろうじて合焦範囲には入っていますが、実はタクシーの1mほど手前のアスフェルトの路面がピントの山になっています。

何事も初心忘るるべからずってことで、このプリント結果をもとに、翌週、直ちにレンズは分解され、再計測の上、ピント基準機、レーザー光パターン投影の併用にてきっちり調整が完了しています。

しかし、再試写は、久々の超大物レンズの改造に今回の3連休をほぼ丸々使ってしまったので、行く時間が無かったのです。

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  1. 2008/11/03(月) 21:34:57|
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プロフィール

charley944

Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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