
さて今宵のご紹介は、何にしようかなとか、昨日の中古カメラ市@銀座松屋≠牛丼・定食屋を徘徊しつつ考えたのですが、X-Pro1にくっつけたミランダやペトリと伴走し、そこそこ良さげなモノクロ撮ったにも関わらず、自分の中で半ば忘れかけていた鏡玉が有ったので、急遽、それをお披露目することにした次第。
モノはM42マウントのAuto Yashinon5cmf2をどうしても、モノクロフィルムで撮りたかったのですが、これ以上、不要不急のボディを増やしたくなかったので、うちにあるボディのどれかをM42マウント改造でもしようか、とか考えていたのですが、かつて、FマウントのZunow50mmf1.8を後玉干渉のため、FDに再マウント化したことがあったのを思い出し、当工房の銀塩一眼レフではNikon F、F3Pと並び信頼性の高いCanon F-1N ODで使う前提で脱着可能なマウントパーツを開発し、それをレンズ側に装着し、FDマウント化したのです。
発売は1960年代初め、今は亡き富岡光学製の4群6枚のプラナータイプのモノコートレンズです。
物の本によれば、このレンズには富岡が海外への販売用としてTOMINONブランドでも外観周りのデザインを変えたものを販売していたようです。
富岡光学と言えば、まさにかのCarl Zeiss銘のレンズのOEM製造を任されたくらいの技術力だったので、ボディ、レンズ一貫製造メーカーのものとはまたひと味もふた味も違った描写であることを期待し、改造して実写してみたものです。
では、昨年秋の深大寺でのストックフォトから実写結果見て参りましょう。
カメラはCanon F-1N OD 絞り開放、フィルムはKodak T-MAX100のフロンテアCD-R経由取込みです。

まず一枚目のカットですが、深大寺山門前でいたいけな小姐が千歳飴状の物体を持って、親御さんに撮って貰っていたので、あいや卒璽ながら拙者にも・・・ということでお願いして一枚撮らせて貰ったもの。
なかなかマイルドな写りで、背景の山門も通行人の爺さんもなだらかにボケてイイカンジだと思います。

二枚目のカットですが、山門前の茶店街を西方向に進んだ木立の中のちょっとした広場でフリマみたいなイベントやってて、そこで、話の筋より、話者のヂェスチャの方がまだ面白いような紙芝居をやってて、それでもかぶりつきでずっと離れない、いたいけな童子の姿が心を打ったので、後ろからその同胞愛に溢れる姿を一枚戴いたもの。
ピンは小僧さんのモジャモジャ頭に合わせていますが、このくらいの位置だと、開放でも紙芝居アジュモニまでかろうじて被写界深度に入っているように見えます。

三枚目のカットですが、同フリマでニットだったか、革製品だったかの手工芸品で何かの奨励賞を取ったとの触れ込みがあるブースに観客が集まって、眼を凝らして観察する姿が、戦後の闇市に暮らしの糧を求めて集う人々の姿に重なって見えたので、一枚戴いたもの。
ピンは体を折って、机上の製品?を凝視する老小姐に合わせていますが、光線の加減もあってか、ほぼ同距離の横のアジョシのジャケットのテクスチャ描写が印象的に思えました。

四枚目のカットですが、これもフリマ会場にて、手作りのニット製品を商うブースでちょうど商談成立、物の受渡しの決定的瞬間を捉えたものです。
ピンは売り子のアジュモニの手付近に合わせていますが、登場人物二名がかろうじて被写界深度に入って、作画的にはよしとしたいところですが、背景が非点収差の影響で大ぐるぐる大会と化してしまったのがちと残念でした。

五枚目のカットですが、フリマ広場の北側、茶店街に続く参道に面した位置に出ていた、操り人形みたいなものを置いてはいるが、いったい、何の目的でそこにいるのか、今いち存在理由がはっきりしないブース前でいたいけな極小姐に人形に関する説明を行っているところを一枚戴いたもの。
ピンは極小姐の頭の髪の毛付近で合わせましたが、登場人物3名の顔かたち、表情までは余裕で判別出来ますが、ここでも背景の木立はまたしてもぐるぐる大会となってしまいました。

六枚目のカットですが、深大寺と言えば「ゲゲゲの鬼太郎」、満を持しての登場です、と云いたいところではありますが、恒例のヴィジュアル系茶店「八起」さん店頭のいたいけなパートタイム労働者小姐のお姿を、お饅頭の購入と引き換えに一枚撮らせて戴いたもの。
小姐はそこそこマイルドにイイ案配に写っていますが、背景の木漏れ日たるや・・・非点収差、球面収差、そして口径食と、まさに収差のオンパレード、技術の富岡もなかなかワイルドだぜぇ☆とか思わず笑ってしまいました。

七枚目のカットですが、これもヴィジュアル系茶店「八起」さん敷地内の鹿おどしの様子を撮ってみたもの。
ピンは当然のことながら、竹筒の先端に合わせていますが、このマイルドでクセ玉というしょうもない愛すべき古玉は、筒に注がれる水流の迸る雫を見事捉えているのが感心しました。

八枚目のカットですが、深大寺境内の手水場にいたいけな極小姐連れの若夫婦が何も知らず、幸せ一杯胸一杯の表情で足取りも軽くやって来たので、ハィ、ここで逢ったのも何かのご縁、可愛いお嬢ちゃんの手を洗うとこ、一枚撮らしてやって頂戴ね、と眼が笑っていない笑顔でお願いし、はぁ、というカンジのリアクションだったので、一枚戴いたもの。
ピンは極小姐の顔で合わせたつもりだったのですが、何せ相当薄暗い手水場内の被写体に対し、背景の砂利地面は照り返しがきつく、いつものクイックフォーカシングが思い通りにいかず、かなり前ピン気味でギリギリ入ったかな、というレベルの合焦でした。
今回の感想としては、いやはや、このAuto Yashinon5cmf2って、先般のDSB50mmf1.9の直系のご先祖様の筈ななのに、難しい・・・今度、同じ条件で以て、EOS50Dにアダプタ経由でデジタルカラー撮影で試してみようかな。
さて、次回のアップは昨日、秘密結社ノンライツRF友の会のイベントで築地、月島、佃を撮り歩いたので、二台のうち、どちらかの画をアップ致しましょう。 乞うご期待!!
テーマ:CANON FD改造レンズ - ジャンル:写真
- 2014/02/23(日) 21:57:41|
- Canon FDマウント
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【撮影データ】カメラ:Canon F-1N 全マニュアル露出、絞り開放、フィルム:Kodak Ektar100、ロケ地:浅草
さて、今週から12月、当ブログの更新も年内はあと数回の更新を残すのみとなりました。
今回のご紹介は、本来は、先月の深大寺撮影会で、晴れれば試写し、その翌日の日曜日にでもアップしようと、カバンには忍ばせて行ったのですが、大雨で結局出番無し、夜のお道具拝見コーナーで参加者の耳目を集めただけとなってしまったZunow50mmf1.8改N-FDマウントです。
長い愛読者の方は、記憶に新しいかも知れませんが、このレンズ、一旦、元の持ち主のcinehiroさんこと、「シネ用レンズを楽しむ」ブログのオーナーの方から拝借して、当工房で初の大物加工ということで苦心惨憺、何とかNikon Fマウント化したのは良かったが、いざFに付けてみたら、後玉押さえのリングがミラーに干渉して、作動出来ない、という事態に陥り、仕方なく、工房の秘密兵器、「Nikon F⇒Leica M」の距離計半連動式のアダプタで以てM8で試写したものをこちらにアップしたのです。
一旦、お返ししたのですが、今年、とある出来事によってか、また、前世からの宿縁か、このレンズを拝領することとなり、そこで何とか一眼レフで使いたいと考え、キャノンEFか、可能であればFDマウント化しようと考えたのです。
暫くの間、考えては忘れ、忘れては思い出して、とうとう11月まで来てしまったのですが、ふと閃くものが有り、そうだ、キャノンFDはニコンFより4mm以上フランジバックが短いんだ☆と思い出し、インターネットであわよくば、と思い、Nikon F⇒Canon FDのアダプタを探してみたら、何と一社だけ、販売しているところがあったのです。
その業者さんのお名前は「ディスカバーフォト」さん http://www.ne.jp/asahi/discoverphoto/co/dpc/main.htm
何と、驚いたことに実家のすぐ近く、車で10分もかからないところにあるお店ではないですか・・・
そこで、深大寺撮影会を週末に控えた11月中旬の火曜日、おっかなびっくり電話して、土曜日の撮影会に使いたいので、何とか金曜日の晩までに郵便局で受け取れるよう御手配願えませんか?とお願いしたところ、即座に着払郵便で発送して戴いて、無事、土曜日には、カバンに納まって深大寺に持って行けたという次第。
とまぁ、顛末というか前置きはさておき、早速、撮影結果を見て行きましょう。
まず一枚目。
かなりのピーカンの下、浅草寺雷門前に着くと、年がら年中たむろしている、車夫の兄さん姐さんが、観光シーズンは書き入れ時とばかり、いつもに増して、セールスに力が入っています。
そこで、雷門をバックに語らい合う若い車夫さん2名をモチーフに一枚戴いたのがこのカット。
後ろ向きのモンチッチ頭の兄ちゃんの顔の輪郭でピンを合わせていますが、こっちを向いて熱弁を振るう、"ウド鈴木"を若く、スリムにしたカンジの兄ちゃんの表情までは被写界深度に納まっているようです。
さすがに、白抜き文字や手拭いなど反射率が高いものはフレアを生じていますが、それでもバックのボケはなだらかで好感持てると思いました。
それから二枚目。
兄ちゃん達にカメラを指し示し、黙礼して通り過ぎると、いつものテストパターン、扇屋さんの店頭の絵図柄扇の試写です。
いつもの通り、距離は1mちょいで下段のひょっとこの口の先端にピンを置いてシャッター切りました。
すると、被写界に収まった上三段はシャープに捉えられましたが、置くの三段は図柄こそ識別付くものの、キレイにボケ、遠い背景はやや芯を残し加減でビネッティング気味のボケとなりました。
そして三枚目。
仲見世をきょろきょろとしながら徘徊し、宝蔵門をくぐって、浅草寺境内に入りました。
そこでいつもの撮影スポット、手漕ぎ井戸ポンプへ向かいます。
すると、いかにも"写真撮ってくれよオーラ"全開のおばあちゃんとお孫さんと思しき二人組が手漕ぎ井戸ポンプにとり縋って、意味もなく、出水しているではないですか・・・
周りには、写真を撮ろうとするどころか、関心を向ける人もおらず、これでは、熱演に対し失礼です。
そこで、「ハィ、一枚戴きますよ♪」とか蛮勇を奮い起こし、思い切り陽気に声を掛けてみたのですが、二人のため、世界は有るの♪状態で、一心不乱に水を垂れ流しています。
そこで一枚戴いたのがこの一枚。
シャッター切ってから、もう一枚くらい違う表情、出来れば童子がこっち向いて笑ってる表情でも撮りたいな、とか思い、暫し立ち尽くしていたのですが、な~んだ、このお二方は隣の国からのお客さんだったワケです。
しかし、こんな幼い童子連れで日本観光に来るとは、裕福な国になったものです。
ピンは童子の眼に合わせていますが、同一被写界面の幼子の手に添えたおばぁの手、そしてトレーナーの図柄は極めて精緻に描写されています。
ただ、ここでもステンレス製と思しき金属光沢を放つ、ポンプのシャフトでは妙なフレアを生じてしまいました。
バックは何故か少々流れ気味です。
続いての四枚目。
せっかく久々に浅草寺に来たのですから、お参りしてお賽銭でも上げようと思い、手水場で手を洗い、口を漱ぎ、本堂にお参りしてから降りてきたら、早速のご利益か、何と素晴らしいシャッターチャンスに恵まれました。
そう線香を上げる香炉で持って、見た目も涼やかな小姐2名組が線香を上げんとしており、反対側最前列でカメラを構える小生と目が合っても、そのまま自然な動作で線香上げを完遂してくれました。
シャッター切った直後、向こうも気が付いたので、慌てて黙礼したら、向こうもってニッコリ笑い返してくれたので、なかなかイイ雰囲気のカットでもありますし、採用と致しました。
向かって左の小姐の眼にピンを置いていますが、背景との距離差が大きいため、かなり浮き立つような描写となったと思います。
後ボケはやや二線気味で芯を残し、煩いカンジになってしまったのは少々残念でした。
最後の五枚目。
かなりイイ気分で香炉を後にし、次の定番撮影スポットである、おみくじ売り場へ向かいました。
すると、居ました、居ました。大学生くらいの小姐二人組が、喧しく語らい合いながら、おみくじの悪いのはね、結んで帰っちゃえば、ナシになるんだよ♪とか、自己解釈のルールみたいなのを友と語らいながら楽しく結ぼうとしてました、そこで、卒爾ながら!と声を掛け、結んでるとこ撮らして、可愛く撮るからさぁ♪とか、いつものように適当な勧誘を行い、モデルさんになって貰ったのがこのカット。
手前の小姐の鼻でピンを合わせていますが、2m強の距離では、開放でも奥の小姐の愛くるしい表情もバッチリと捉えてくれたようです。
バックは相変わらず、近距離は良いものの、遠景は芯が残る二線ボケ傾向が見られます。
今回の感想としては、M8での試写結果があまりにもシャープだったので、それほど、シャープとは思いませんでしたが、3~5枚目の人物撮影では、妙に懐かしく暖かい描写で、これはこれで現代のコントラスト重視で色もどぎつくなりがちな機材とは正反対で面白いと思いました。
しかし、それにも増して、高校上がるか上がらないうちに、アサヒカメラの年間でその時点でもはや幻のテストレポートとなっていたZunow Pentaflexの眼を、甲乙つけ難い日本的美意識に形作られたキャノンF-1Nで存分にスナップに使える、ということが満足だったのです。
さて、来週の更新は何にしようかな・・・栃木の未発表分もあるし、とって置きのスーパーレンズもあるし。
週末までに良く考えておきます。乞う御期待。
テーマ:CANON FD改造レンズ - ジャンル:写真
- 2011/12/04(日) 21:00:00|
- Canon FDマウント
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