深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

進撃の巨玉~築地・月島・佃戦線異常なし~

さて今宵のご紹介は予告通り、ICS世界の中古市@銀座松屋≠牛丼/定食屋に託けて行われた、秘密結社ノンライツRF友の会ナノ撮影ツアー築地~月島・佃島からお送り致します。

当日は、同行の写友Sundayphotographerさんの仄かな期待を裏切って、M8とNikon SP黒Press Specialで臨んだのですが、今回は面白さ加減、というか二重像が殆ど見えない中で、よくぞf1.1の玉の開放でここまで撮れたか!?という新鮮な驚きもあったので、SP+4Nikkor5cmf1.1コンビを即採用としたのです。

フィルムはこのところハマってるKentmare100EX36の全コマ開放撮影です。

では早速、当日の行動を追って、実写結果見て参りましょう。

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まず一枚目のカットですが、12時も15分くらい前から築地界隈を回ることとしたのですが、お目当てのまぐろ料理専門店が結構並んでいたので、まずは門跡通りのお店を眺めながら場外回って、画拾おうということで歩き出してすぐ、広東訛りのガァガァ響く中国語が聞こえてきたのですかさず近寄り「ネイハオ、シャオチェ カーィパイヂャオマ?」とか何とかの一つ覚え中国語で話し掛け、「ハォ、シー♪」とか云うことだったので一枚戴いたもの。

ピンは奥の白っぽいダウンの小姐のご尊顔に合わせたつもりなのですが、やや前ピン気味で箸を持つ、白魚の如き白い手指がくっきりすっきりと写ってます。

背景・・・んなもん有るか!?てな、凄まじい後ボケになっています。

Nikkor50mmf11_002.jpg
二枚目のカットですが、同じ門跡通りのたしかそば・うどん兼業店だったと思うのですが、そこで、白髪を刈り上げたちょいとくたびれながらも仄かに粋な雰囲気の漂う店の爺ちゃんが背中丸め加減で黙々と昼の賄いをカウンターの片隅で黙々と食べていた姿を背景から一枚戴いたもの。

開放ではさすがに全般的に柔らかい描写とはなりますが、よくよく眼を凝らして見てみれば、耳周りや横顔に刻まれた年輪の如き無数の皺が精緻に描写され、背景のぐるんぐるんさ加減と相俟って、一種異様な光景となっております。

Nikkor50mmf11_003.jpg
三枚目のカットですが、門跡通りの曲がり角方向へ歩いていたら、視界がふいに開けたので、歩いてきた本願寺方向向けて、場外の雑踏の雰囲気を撮ってみたもの。

このカット、撮影距離が結構長いこともあって、一番アラが出そうな前ボケも含め、意外にノーマルな写りになってしまっています。

感覚的には、先般、台湾の鹿港の市場を撮ったAngenieux35mmf2.5の柔らかさにも似通っているような気もしました。

Nikkor50mmf11_004.jpg
四枚目のカットですが、門跡通りの曲がり角付近でスマホンの画面見ながら、地方配送の伝票書いてる小姐達のお姿がなかなか凛々しく、この雑多な空気の支配する場外市場ではまさに「掃き溜めにツル」的にも見えたので横顔を一枚戴いたもの。

しかし、手前のスマホン小姐にピンを合わせたつもりが、若干後ろにずれて、一心不乱に伝票に向かう年配の小姐のダウンの袖辺りがピンの芯になっているようにも見えます。

袖のテクスチャの再現性たるや見事なもので、背景の恐怖新聞の一シーンみたいな時空ぐるぐる系ボケとの対比が凄いことになっていると思いました。

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五枚目のカットですが、場外市場の中に入り、店頭から店舗の中まで被写体を求め、Sundayphotographerさんと通りを徘徊しているうちに裸電球が煌々と照る店内で黙々と商うゴム長の女性店員さんの姿が印象的だったので一声掛けて一枚撮らせて貰ったもの。

こんなクセ玉ですが、意外に思ったのが、画面向かって左側の裸電球がかなり見た目に近い雰囲気ですっきりと描写されていること。

また、これだけのハイライトがありながら、ところどころ写り込んでいる、店内の陰の部分もかなり鮮明に描写されているのが感心しました。

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六枚目のカットですが、場外市場の中の通りで寿司屋が相並ぶ辺りで鰐淵晴子ばりにバタ臭い面持ちの小姐が、並びながらメニューを渡され、さぁ何にしましょうかね♪とか楽しそうに迷っている様子を横から一枚戴いたもの。

ここでも、小姐のご尊顔にピンを合わせたつもりだったのが、若干後ピンで顔より少し奥に位置するメニューよりもまだ後がピンの山になっているように見えます。

前ボケは独特の柔らかなそこそこ心地良いボケ加減ですが、背景はやはり非点収差とコマ収差、球面収差のゴッタ煮状態で大変なことになっているように見えます。

Nikkor50mmf11_007.jpg
七枚目のカットですが、場外市場の中で海産物を扱うお店の店頭にて、いたいけな小々姐が健気にもお店番なんかしていたので、「お嬢ちゃん、一枚撮らせてね♪」とか声掛けたら、ニコニコ笑ってウン♪と頷いてくれたので、ぢゃ遠慮なくって一枚撮らして貰ったもの。

ご本尊様たる小々姐は大口径特有の柔らかいタッチでありながら細かいテクスチャなども余すところなく捉えていますが、小々姐を中心として背景はぐるぐると渦巻き加減なところが、ちょいホラー的で面白いと思いました。

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八枚目のカットですが、ここも場外市場の中のお店の店頭ですが、珍しいことに鯨肉製品を売ってて、店の中でもそれらを食べさせるとのことで、中国人と思しき小姐達が一生懸命、呼び込みなんかやってる姿を一枚戴いたもの。

このカット、当然のことながら、小姐のご尊顔にピンを合わせたつもりだったのが、いやはや、向かって右側の開けた空間が非点収差、球面収差にコマ収差までコンチハ☆状態で大暴れ、大変賑やかなカットになってしまいました。

モノクロだからまだ何とか見られますが、カラーだったら、もう収拾つかない状態になっちゃってたかも知れません。

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九枚目のカットですが、まぐろ料理専門店での心踊る煌びやかなランチの後、Sundayphotographerさんと一路、月島方面を目指し、晴海通りを目指し、その途中の一大ランドマークである勝鬨橋橋詰で大川方面に向け、橋の主要部分を入れて一枚撮ってみたもの。

近距離戦では大暴れし御し難いクセ玉ではありますが、風景写真になった途端、ほれこの通り、大口径レンズの開放撮影固有の柔らかな線描写も相俟って、えもいわれぬイイ雰囲気のカットになっていると思います。

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十枚目のカットですが、橋詰から河川敷公園のような場所に下りてみたら、あにはからんや、人を人とも思わない、大胆不敵なカモメの水兵さん軍団が手摺上を占拠し我が物顔状態だったので、一番、人間擦れしてないようなうぶな雰囲気を漂わせる若鳥を見つけ出し、得意のマタギ直伝の気配消し法を使い接近して一枚戴いたもの。

かなりのピーカンでしかも水面からの照り返しもキツかったですが、やはりラティテュードの広さはたいしたもので、フロンテアでCD-Rに取り込む際に何らかの加減は行われていると考えるのが妥当ではありましょうが、こうして、カモメの水兵さんとの接近戦が見事くっきり描写されてしまうとは。

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十一枚目のカットですが、勝鬨橋を渡り切ろうかという辺りで築地方面を振り返って、橋の構造物をメインに通行人各位を入れて一枚撮ってみたもの。

ピンは街灯の後ろから下に配線の細管が下に伸びる辺りに合わせての置きピンで通行人が自転車で通り過ぎる頃合いをみてシャッターを切ったものですが、後ろにかけてはなだらかにボケていくのですが、手前の街灯から前にかけてはかなり大胆に流れ、不思議な風景画となっています。

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十二枚目のカットですが、勝鬨橋を渡り、更に晴海トリトンスクエア経由、月島へ入り、いつもの定点観測点である除川組の辺りから路地の様子を撮ってみたもの。

だいぶ前には「スバルFF1」というファイナルファンタヂーのご先祖サマみたいな国産前輪駆動車の歴史的遺産がこの路地で動態保存されていたのですが、ここのところ姿を見掛けません。

願わくば、長い時間かけてのレストア中でいつかはまた元気な姿を見せてくれる、なんて嬉しい展開を期待しているのですが。

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十三枚目のカットですが、除川組の路地から月島商店街方面へ抜け、レトロ交番遺跡を目指し、いまだ昭和の香り漂う古風な商店街を徘徊しながら、ところどころ通りと交差する路地の様子を撮った一枚です。

まさに大口径単玉の良いところは、背景はボケどころかすっ飛ばして、ナシにしてしまうところ・・・こんな風情溢れる路地から顔を出す青空の果てには、資本主義の象徴そのものである高層マンションや、高額所得者専門の医療機関である某宗教系巨大病院の屹立する高層ビルが無粋な姿で市井の民草の暮らしを睥睨している姿がいやでも目に入ってしまいますから。

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十四枚目のカットですが、ここも月島の昭和的空気が凝縮された撮影スポットである、レトロ交番遺跡をモチーフにその前を通り過ぎる通行人を入れて一枚撮ってみたもの。

元々、被写界深度の浅い玉ですから、こういう風景撮影で置きピンはどの辺りにするのか悩むところではありますが、手前の舗装の色つき窯業系ブロックの合わせ目で予め見当を付けておいて、実際にこれは、と思った被写体が通ったところで前後に微調整するところなのですが、何せ、二重像が殆ど見えないSPでしかもいつものライカ系とはヘリコイドの回転方向逆ですから、さすがに間に合わず、ちょい前ピン気味になってしまったという顛末です。

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十五枚目のカットですが、終点、佃島での定点撮影スポット、船溜りからの高層マンション群の様子をただ撮るんぢゃ面白くないので、手前のヂャングルヂムをモチーフにメルトダウン寸前の資本主義を象徴するかのようにマンション群をボカして撮ってみたもの。

さすがに据物斬り状態だと殆ど見えない二重像でもなんとなりましたが、いやはや、撮影時に意図した以上に資本主義の象徴たる富裕層の居城、高層マンションは蜃気楼もかくやあらん、とばかりの豪快なボケと化し、いつもとは違った表現を楽しめたと思いました。

今回の感想としては、ベネズエラから秘密兵器が届いたので、今度は梅か桃か、桜の咲くお祭り広場で二重像ばっちりのM系列機で世紀末的描写を楽しもうかと、そうそう、f2クラス並の端正な写りが売り物のPORST50mmf1.2とか、レヴィアタンの異名を持つAR HEXANON57mmf1.2、或いは終生のライバル、Canonのf1.2クラスの玉とでデジタル対決させても面白いかも・・・よっく考えておきます。

さて、次回はまた秘宝館から何か紹介します。これまで登場したようで一回も正式に紹介されていなかった気の毒なRF界の貴公子玉、ストックフォトでご紹介致します、乞うご期待。

テーマ:ニコンSマウント - ジャンル:写真

  1. 2014/03/02(日) 20:00:00|
  2. ニコンSマウントレンズ
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プロフィール

charley944

Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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