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深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

An optic that takes us to a world full of thing amazing ~General Scientific 2” f1.6

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さて、今週のご紹介は予告通り、今年最後の更新、米国製超レアレンズによるシュルストレーミンもホンフェも真っ青のクセ玉描写をご披露して、一年の締めくくりとしたいと考えます。
まず、このレンズの氏素性ですが、米国はGeneral Scientific社という、知名度は殆ど無きに等しい、光学、理学機器を手広く商う会社の製品で、自社では生産ラインを持たないことから、国内外の光学機器メーカーからOEM供給を受けて、自社の産学官に広がるネットワークで販売していたようです。
今回のレンズも、夏頃に、恒例の電子湾夜釣りで適当に流していたら、絞り機構・ヘリコイドとも無しプロジェクタ用のペツバールタイプということで、意外とお値頃価格で、珍品の部類に入る、2”以下のGeneral Scientific 社製品が出されていたので、ほぼ反射的にポチッとな!してしまい、忘れた頃に届いていたのですが、バックフォーカスが異様に短かったので、これはライカマウントはムリだと考え、ミラーレス用として使うべく、改造パーツが届いてから、しこしこと閑を見つけては旋盤でジョイント&スペーサ金物を削りだし、今年最後の出張である、那覇出張の前週に完成し、仕事を完遂したプライベートタイム、最終日のフライト前の時間で鬼のように試写しまくったという次第です。
では、さっそく、当日の行程に沿って実写結果を逐次眺めて参りましょう。カメラはSONYα7cによる絞り優先AE撮影となります。

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まず一枚目のカットですが、那覇出張では、GOTOもどきの官製キャンペンに乗っかって行ったため、普段、プライベートなら使わないような、立地も良ければ、お値段もそれなりに良い、国際通りの東端は牧志駅に石を投げれば届くくらいの至近距離の宿に滞在していたので、試写は庭のごとく通暁する平和通から壺屋、安里辺りで行おうと考え、国際通りから平和通に入ってすぐの土産物屋さん店頭に立っていた妙に艶めかしいミニーのマネキンにモデルさんになってもらったもの。

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二枚目のカットですが、ここ平和通は那覇最大の観光スポットである国際通りに直結していることから、観光客目当ての土産物屋さんや軽食物販店が軒を並べているのはご存じの通りなのですが、奥の方に行くに従い、観光客のみならず、地元民各位の利用も想定した、オープンな手芸教室のようなものも散見され、そのうち一軒では、通りに面した机で、いたいけな童子達が紙粘土のようなものでシーサーみたいなものを作っていたので、その様子を通りざまに一枚戴いてみたもの。

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三枚目のカットですが、平和通も終点に近づき、やちむん通りと呼ばれる、焼物工房、陶器店が軒を並べる壺屋地区へ通じる道への分岐点近くまでやってくると、よほど通の観光客か、地元民各位くらいしか歩いていないのですが、それでもこの日は、天気も良く、比較的、観光客の絶対数も多かったので、立地的にはかなり不利なはずの琉球ガラスのオリジナルアクセサリ等を商うお店を眺めている家族連れの姿が目についたので、通りをバックに一枚戴いてみたもの。

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四枚目のカットですが、平和通から、壺屋地区への通路の手前の、確か手芸用品店の店先にネコ様専用の柔らかそうな毛足の長い毛布を敷き詰めた大きめの籠のようなものが置かれ、店先には何頭か色とりどりのネコが居たのですが、この居眠りネコだけが、人間に対する警戒心ゼロで、このレンズの最短距離付近まで近寄っても、微動だにしなかったので、有難く一枚戴いてみたもの。

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五枚目のカットですが、ネコの群がる手芸用品店横の、ちょうど壺屋地区へ向かう表通りの側道に当たる細い路地を、関西弁も喧しい、季節外れの、涼しげを通り越した、ことによれば、内地では変人扱いされかねないような薄着の小姐一個分隊が至近距離での精密撮影を試みる工房主の後ろを通り過ぎていったので、振り返りざまに一閃浴びせてみたもの。

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六枚目のカットですが、昼なお暗い、平和通のアーケードから、壺屋地区への道を辿っていくと、晴天の下、通りに軒を並べる工房、陶器店の赤瓦や、ショーウインドーに展示された焼物の釉薬の照り返しも眩しく、前回の出張では、1泊2日の弾丸旅行で、しかも同僚と一緒だったため、こんな、業務とは一万年経っても関わりがなさそうな場所を自由に歩くことなどままならず、前回訪れたのが、亡父が元気だった頃なので、実に12~13年ぶりの訪問で、感慨もひとしお、通り入口付近の説明板横のつがいのシーサーの雄、「ウン」を最短で撮ってみたもの。

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七枚目のカットですが、通りの殆どは前回来た時と殆ど変わりなく、地図を見ずとも、主要な観光・撮影スポットは難なく回れる自信は有ったのですが、今までは、来る度にその立派な佇まいを撮影させて貰っていた、「南窯」という市文化財でこの地区にはもはや二つしか現存していない登り窯のあまりに惨たらしい荒れように心を痛め、さすがにその姿を撮って不特定多数に公開するのも憚られるので、その手前のハイビスカスの雄蕊にピンを合わせて最短で撮ってみたもの。

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八枚目のカットですが、「南窯」の設けられた丘陵手前の斜面に生えた巨木の根元には、この登り窯が稼働していた頃に焼かれたと思しき、実用陶器の数々が何らかの理由で陶工の手によってうち捨てられ、幾星霜をそこで過ごしてきた風格のようなものさえ纏って、そこに佇んでいたのですが、叢の中の漆黒の陶器というのも、なかなか趣きがあると思い、実質的にはAPS-Hまであるかないか、というイメージサークルに収めて撮ってみたもの。

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九枚目のカットですが、今回の壺屋地区訪問の目的は、通りでの試写もそうなのですが、前日、金曜日に同僚を誘って、8年かけて復元修理を施した、国指定の重要文化財、新垣家住宅の建物の中を是非とも見学して、前日に面談した、沖縄県では唯一の宮大工の方の仕事の成果を見たかったので、「南窯」から移動する途中に咲いていた細かな赤い花を至近距離から撮ってみたもの。

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十枚目のカットですが、新垣家住宅の前までやってくると、その西側の斜面の道路上で、新垣家の塀をバックのせっかくの琉装で記念撮影を撮りたいらしく、地面にスマホンを置いて、それを路傍の石ころで固定して自分達の姿を写そうとしていた小姐二名組が居たので、何枚か撮って上げるから、この米国産のレンズ試写のモデルさんになって、とお願いしたところ快諾、この写真も気に入って頂いたので、帰京後、送付させて頂いたもの。

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十一枚目のカットですが、小姐二名に撮らせて貰ったあと、しばし、壺屋地区のこと、そしてこの新垣家住宅の8年かけての保存修理のこと、そして直す前の傷んだ状態のことなど説明し、さて、それじゃ、この家の中に用があるんで、といったん別れを告げて入ろうとしたら、なんと、開場は13時からで、まだ2時間も時間があったので、いったん首里金城町の石畳に回ってから戻ることとし、壺屋地区のはずれの共同井戸に設けられた龍のオブジェを撮ってみたもの。

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十二枚目のカットですが、安里駅からゆいレールに乗って、前回乗った時は終点、今や浦添市まで延伸されたゆいレールの通過駅のひとつになって隔世の感を感じざるを得なかった首里駅で降り、首里城の南南西の丘陵斜面に在る、首里金城町の石畳を目指し、歩いて行ったところ、さすがにこのエリアは宅地化が更に進み、街の様子がかなり変わってしまったこともあって、ちょい遠回りしましたが、目標の金城町石畳入口付近の、おそらく世界一有名な「石敢當」を石畳の坂道をバックに撮ってみたもの。

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十三枚目のカットですが、前回は気付かなかった、或いはここ数年で改装した結果なのかも知れませんが、「石敢當」を塀の傍らに建てている、住宅、いや正確には店舗兼住宅というべきなのかも知れませんが、その建物の厚く丁寧に塗り籠められた真新しい白い漆喰も眩しい赤瓦の屋根の西側の棟の位置に、内地なら鬼瓦か鯱を立てるところ、手を挙げてハーィと挨拶しているようなシーサーが載せられていたので、面白いと思い、一枚戴いてみたもの。

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十四枚目のカットですが、ここ金城町の石畳の坂道ふもと終点の広い自動車も通れる石畳の道路との交差点西側には琉球様式平屋建ての公民館のような役割と思しき木造の建物が建てられており、街の住民のみならず、観光客も含め、誰でも、自由に上がって中を見学、或いは板の間で寛いでも良いことになっているのですが、上がり込んじゃうとついつい寛いで、新垣家住宅再訪とランチタイムとの兼ね合いが収まり切れないので、外から、儀式に使う見事な銅鑼の写真を撮らせて頂いたもの。

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十五枚目のカットですが、金城町の石畳の坂道の散策も無事終え、新垣家住宅の開場時間は13時からなので、牧志駅でゆいレールを降り、ランチは空港で食べることにして、急いで新垣家住宅に取って返して中を見学しようとやちむん通りを急ぎ足で歩いていたら、先ほどの「南窯」下の店舗前のシーサーの前にネコがあたかもクラウチングスタートするかの如き構えを撮っていて、そのままカメラを向けたら、勢いよくシーサーの頭に飛び乗る瞬間が撮れたというもの。

今回の感想ですが、いやはや、ペツバール型は、通算で10本以上改造して撮ってみましたが、この米国産のプロジェクター用レンズも、開拓時代の西部地帯のあちこちに居たというカウボーィ並みにワイルドで、特に至近距離での被写体など、背景があたかも水槽越しに撮ったかの如く、像面湾曲も非点収差も物凄く、正直、使いづらいクセ玉ではありますが、イメージサークルの狭さも念頭に置いて、ポートレとか至近距離でのブツ撮りに使ったら面白そうです。

さて、今年も、拙ブログへのご愛顧有難うございました。私儀ながら、お城巡りにうつつを抜かしたおかげもあってか、日本城郭協会認定の城郭検定準一級に一発合格し、ますますのめり込みそうな気もしますが、機械いじりもそれ以上に好きなので、お金と暇が出来たら、ボチボチと改造は行って、この場を使って発信して参りたいと考えております。
来年もどうぞ宜しくお願い致します。
では、どなた様も佳き御年を!!
  1. 2022/12/25(日) 20:03:33|
  2. Eマウントレンズ
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Amazing tripket modified from objection optics~P.Rokkor45mmf2.8E~

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さて、今週は予告通り、久々の工房作新レンズの試写結果行きます。
そのドナーというのが、たまたま新宿の中古カメラ屋巡りで見つけた、P-Rokkor45mmf2.8、まさに故事でいう「奇貨居くべし」の通り、これまで買い求めて、バックフォーカスさえ確保出来れば、筋肉並みに裏切らないプロジェクションレンズの一種であり、同じ投影レンズではEL-Nikkorフルモデルチェンジの原因ともなったCE-Rookor-Xの兄弟機とあらば、買わないという選択肢はありませんでした。

もっとも、出張やらお城巡りが忙しくて、なかなか改造に着手できなかったのですが、東北お城巡りから戻って来て、当面遠出はしまいと心に誓い、では何するか、と自問自答したところ、一番手軽なドナーをリハビリ代わりにヘリコイドとマウント付けたらどーや、という心の声に応じ、一番お手軽で買い置きパーツも揃っていた、α用のEマウント化したという次第。

或る意味、今までお店で見たこともネットで作例も上がっておらず、電子湾で確認しても、同じ名前の違う形状のものが売りに出ていましたが、当然、詳しいデータなどありません。

仕方なく、クリーニングがてら可能な限り分解してみたら、やはりペツバールではなく、トリプレットタイプということが推定出来、45mm焦点距離のバックフォーカスからすれば短すぎるので、トリプレットではないかと考えられます。

では、早速、9月はじめのピーカンの土曜日、異国人もぼちぼち戻って来た気配の浅草界隈での実写結果を逐次眺めて参りましょう。
カメラはSONYα7RⅡ、当然のことながら全コマ開放による絞り優先AE撮影となります。

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まず一枚目のカットですが、深川から浅草にアプローチしようとすれば、地下鉄、バス、徒歩が有りますが、時間、コストからすれば、地下鉄が最適解なので、毎回、東西線、銀座線乗り継ぎで浅草駅に到着すると、最初の定点観測スポットは雷門周辺なので、そこで一枚撮ろうとしたら、ちょうど目の前に自撮り小姐二名組が立ってくれたので、即席モデルになって貰ったもの。ピンの合っている小姐の金髪はもちろんシャープに写っていますし、背景の参道も意外に崩れずにボケています。

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二枚目のカットですが、いつもは最後に寄る雷門東側の土産物屋さん店頭の365日万年風鈴ですが、ちょうど陽の当たる加減と室内光のバランスが良さげなので、当日は、大和絵団扇をさしおき、至近距離で撮影してみたもの。ガラスも涼し気な風鈴はもちろんシャープに描写していますが、出ました、出ました、室内灯がガラスで複反射している光が、見事、バブルボケというふんわりとした暖かい光の球のように写り込んでいました。

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三枚目のカットですが、いつもの通り、仲見世通りに足を踏み入れてすぐ、「美人茶屋あづま」さんの角を西に曲がった側道との交差点西北に建つ扇子屋さん店頭の大和絵団扇を撮らせて戴くのですが、いやはや、陽光の角度や雲のかかり具合いは365日全て異なるので、イコール条件ではない前提で評価しても、この団扇の質感、立体感、そして空気感の描写は、正直、トリプレットで開放値2.8というハンデもものかわ、凄まじい実力と思いました。殆ど逆光に近い条件でしたが、フレアもゴーストも殆ど認められず、十分なコントラストも出ていますし、背景のボケも美しいです。

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四枚目のカットですが、団扇を撮った画を背面液晶で確認し、茫然としていたら、横をいたいけな浴衣姿の小姐が関西弁でくっちゃべりながら通り過ぎて、どうやらお目当ての路地裏のメロンパン屋さん目指して歩いて行ったようなので、すかさず、EVF上のピンの山も極めて掴み易いこのレンズのおかげで、何とか追い縋って一枚撮れたもの。
前カットからすれば、画面には太陽光の映り込みは皆無に近く、北の空が路地越しに写り込んだ割には内面反射によると思われる周囲コントラスト低下が生じてしまっています。

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五枚目のカットですが、また仲見世通りに戻り、何か面白そうな被写体は居ないものかなどと鵜目鷹の目、路上をスキャンしながら歩くこと5分弱、あっという間に宝蔵門の下を潜り抜け、浅草寺境内に入り、しばらくぶりなので、まずはお参りと手水場で手と口を清めていたら、巨大香炉の前で名古屋からというOL二名組から香炉をバックにスマホンのシャッター押して欲しいと頼まれ、ほぃきた、と要望にお答えしたお礼代わりに、煙浴びてるところをすぐ後から撮らせて貰ったもの。中央手前の小姐の茶髪はもちろん切っれ切れのシャープさですがバックの本堂前の陽光を反射した掲示板はバブルボケを見せています。

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六枚目のカットですが、巨大香炉前の小姐のなかなか満足度高いカットに気を良くして、本堂内で無事お参りを終え、またしても性懲りもなく、建物内をスキャンすると、おみくじを買うのに難行苦行している、スリランカからという浴衣姿の小姐二名組が居たので、半分親切心から近寄り、説明をして上げて、いざ抽きましょう♪いう段になって、ウェイト!写真を撮らせて貰う、と動作を留めて貰い一枚撮ってみたもの。ボヘミアンクリスタルとおぼしきイヤリングにピンを合わせましたが、うなじ周りのおくれ毛も極めて精緻に描写していますし、崩れや歪みが目立ちがちな背景の棚もきれいなボケなっています。

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七枚目のカットですが、ここも、至近距離の描写のシャープさと背景のボケの対比に便利なので、たまに試写に利用することがある、本堂下西脇の銅製の巨大な天水桶で、その上縁周辺の篆字体の赤文字にピンを合わせて、無限遠ゾーンのスカイツリーをぼかそうという構図なのですが、やはりスカイツリーのメタリックな外観もこのレンズにかかっては、柔らかそうなバブル状のボケと化していますし、非点収差により画面下半分の樹木と手水場屋根が若干グルグル巻きを起しているのが認められます。

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八枚目のカットですが、非点収差がやっと出たのを背面液晶拡大で確認し、さぁ、次のステージ、非点収差、像面湾曲が一目で見てとれる定点観測スポットである、常盤堂プレゼンツ「風車の弥七」モニュメントへ向かったところ、正面中央付近はこれをバックに記念撮影しようという小姐グループからいたいけなカポーまで順番待ち状態だったのですが、真横からの撮影は、規制線の内側を真横から撮るので、誰の邪魔にもならず、スムーズに撮れるわけなのですが、今回、このレンズの隠された野生というかどう猛さが炸裂したカンジで、まさに横一文字に並べられた青色とところどころの黄色という隠れウクライナ配色の風車は画面右奥に辛うじて写り込んだ浴衣の小姐の背中目がけて奔流の如く押し寄せているような非点収差の出方となったわけです。

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九枚目のカットですが、花やしき付近で被写体を探して徘徊し、例の障子戸を模したオブジェ前での記念撮影をするキツネだかネコだかの上半分の面をかぶった小姐達の姿も皆無だったため、木馬座の周りを大回りして、また西参道から奥山方面に戻ってまた境内の御籤売場周辺でも撮ろうかと思い、路地裏の飲み屋が密集している辺りを歩いていたら、行き止まりの路地の入口のお店の郵便受けに顔を洗う猫のまがい物が置いてあったので、路地の風景も入れて一枚撮ってみたもの。ここでも背景に立つ老若男女も店舗建屋外壁の配管類も柔らかくバブルボケと化しています。

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十枚目のカットですが、花やしき南側の一杯飲み屋や、立ち飲み居酒屋が所せましと並ぶ一角、昔に比べれば、店の中では洗剤の泡が残ったグラスが出てくることもなく、店の外も行政が強烈に関与した結果、区画整理が整然と行われ、我こそはと看板を往来の真ん中近くまで迫り出してきて、それに呼応するように椅子やテーブルで路上を不法占拠するといった奥浅草の原風景はとうに失われてしまいましたが、それでも行政の目を気にはしながら、通りの真ん中だけ空けて店の前に大胆にテーブル、椅子を並べて昼から飲ませるという業態は変わっていないので、懐かしさもあり、一枚撮ってみたもの。手前の赤提灯にピンを合わせましたが、周辺がちょいケラれたのと最深部がちょっとザワついているだけで、極めて真っ当な描写になったと思います。

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十一枚目のカットですが、浅草寺西参道を奥山方面に向かう途上、土曜日の午後遅い時間ということもあって、物販店、飲食店とも、ここが稼ぎ時とばかりに、軒並み開店し、行き交う人々も前回、やって来た時に比べれば、格段に増えてきており、店を開けていて、閑古鳥が店頭で啼いているという状態はまず無くて、カラフルで面白げな造形のサングラスが店頭デスプレィに掲げられた土産物屋兼軽食堂が目に留まったので、店番のアジュモニに「面白げなメガネなんで、一枚撮らせて貰うよ」と声かけて、あいよ!とのことだったので背後のお食事中のカポーもろとも一枚撮ってみたもの。
ここではバブルボケは盛大に姿を見せていますが、非点収差のいたずらであるぐるぐる渦にカポーは巻き込まれなかったようです。

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十二枚目のカットですが、本来であれば宝蔵門潜って、境内第一の定点観測スポットである御籤売り場に足を運んでみたら、いました、いました、これから御籤を買い求めて、恋の行方なのか、会社での将来なのか、はたまた、依然社会に暗雲をもたらしているCOVID19終息の見通しなのか、善男善女の心願は余人の知るところではないですが、それでも、建物の隅で、開いた御籤の文面の解釈で盛り上がっているカポーがいたので、そっと横から、売り場を背景に一枚戴いてみたもの。ここでも、画面最深部の辺りはザワついていますが、それ以外は特に流れ、崩れもなく、構図的に四隅のケラレもそれほど気にならないと思います。

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十三枚目のカットですが、浅草の帰りに新宿区内の中古カメラ屋さんに寄り、また改造用のドナーを買い求め、しかるのちに銀座周辺でお茶でもして帰ろうと思っていたので、地下鉄の駅まで戻りがてら撮って、枚数積み上げることとし、仲見世通りの東側店舗裏の側道を歩いて行って、伝法院通りと交差するところに、ここ二、三年で出来た「大正ロマン舘」なる観光物販・軽食提供店の側面になかなかおしゃれな看板が架かっていたので、伝法院通りをバックに一枚撮ってみたもの。意図した通り、看板の絵柄、文字はシャープに背後を行き交う人々と店舗の照明はバブルボケと化しています。

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十四枚目のカットですが、帰りに通りながら撮ろうと考えていた、観音通り商店街という仲見世通りの二本東の比較的広い、飲食、物販店の立ち並ぶ通りを歩いていたら、老舗のイテリアンジェラート屋さんの並びに、たぶんキャラクターグッズ系土産物屋さんだったと思うのですが、その店頭に、今や浴衣姿の小姐の必需品と化した顔上半分用のキツネのお面をかぶせた真っ白い小姐のマネキンが店頭の長椅子に腰掛けていたので、至近距離に寄り、一枚戴いてみたもの。
ここでは背景のガラスに写り込んだ点光源がバブルぼけと渦巻きの複合デストーションを起しているのが認められると思います。

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十五枚目のカットですが、せっかく久々に浅草に出て来たので、アポなし訪問可能な早田カメラ店にでも顔出して行こうかと、伝法院通りを東に10m程度歩いてみれば、シャッターには一枚の貼紙「世界中古カメラ市出展につき店舗は休業」とか仕方なく駅に向かおうとしたら、伝法院通りからビストロオウミの横の道に人力車が入って行くのとすれ違ったので、急遽ダッシュで追い駆け、歩行者とすれ違う瞬間、斜め横から一枚撮ってみたもの。ここでも、乗客の小姐の髪の毛一本一本、白い着物の透かし模様まで緻密に描写していますが、背景の建物壁面上部の縦桟には歪みもなく、きれいに蕩けるが如くぼかしています。

今回の感想ですが、いやはや、ほんの気まぐれで見たこともないレンズをそれこそバックフォーカスすら十分調べずに買って帰り、純アルミにアルマイトという切削加工では一番嫌な、表層と内面の硬度、伸び率の差の大きな材質に全周ネジ切ってスペーサリングに捻じ込み、汎用ヘリコイドユニットに捻じ込み、ひたすら、コリメータ見て無限をとった甲斐がありました。
まだまだドナーさんは高いの安いの、珍しいの、そうでもないの合わせてたくさんあるので、気が向いたら改造してレポート致します。

さて、次週は金曜夜から火曜まで西国出張が入ってしまったのでスキップ、翌週は長野県の湖の畔の名城へ訪問した時のレポートをお送りしたいと思います、乞うご期待。
  1. 2022/09/04(日) 13:27:02|
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プロフィール

charley944

Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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