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深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

我的沖縄 reloaded! '09 Winter

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【撮影データ】カメラ:R-D1s 絞り優先AE ISO200 露出補整+1/3 全コマ開放
さて、いつもの日曜夜の更新をサボり、或る方は、な~んだ、もうネタ切れで更新止まっちゃったのかと失笑し、また或る方は、流行り病いに倒れてブログの更新すら出来ない状況なのかと憐憫の情を催し、また或る方はもしや新聞を連日騒がす一連の事件事故に巻き込まれたのでは・・・と心配して下さったかも知れません。

ところがさにあらず、いつもの年二回の沖縄訪問のシーズンになったので、急遽行ってきたのです。
しかしながら、今回は現地に着くまで全然スケジュールや行動予定が立たず、まさに最小限の装備で出たとこ勝負の旅となってしまったのも事実です。

そこで今回は、マンネリ化しつつある、那覇をベースとして、一日はバスで観光地巡り、後は那覇のモノレール、バスで動ける範囲で写真を撮るというパターンをガラリと替えて、縁有って訪問することとなった「渡名喜島」という離島渡航をメインに据えた旅行としたのです。

まず那覇に着いてすぐ、泊港に在る久米島航路フェリー乗船場を訪ねました。
乗り場と切符売り場を確認し、翌朝8時半出航のフェリーの往復切符を買い求めます。

そして、その足で、R-D1sとSpeedpanchro40mmf2改Mの予行演習を兼ね、晩飯まで、陽の有る限り街撮りを試みます。

では、その足取りを追っていきましょう。

まず一枚目。
泊港から、安里までの道の途中に「崇元寺遺跡」という史跡公園が在ることを、往きの飛行機の中の記事で偶然知って、どうしても行ってみたくなったので、泊~崇元寺遺跡~安里~壺屋というルートを設定し、かなりの距離にはなりますが、そこはそれ、リゾートキブンで街のあちこちで少しでもキョウミ惹くものが有れば、情け容赦なく、シャッターを切ります。
その中で、もう本土ではなかなか見られなくなっている、オースチンのセミクラシックカーが細かいところを見れば錆の浮きなどありますが、全体的にかなりイイ状態で佇んでいたので、一枚戴きました。
かなり輝度差ありますが、フレアにもならず、細部の特徴までかなり上手く捉えています。

そして二枚目。
20分ほどぷらぷら歩くと、崇元寺遺跡の交差点までやってきました。
安里に向かって左側、だいぶ近代化された那覇の街並みの中に、明らかに異質のオブジェが強い存在感を放って鎮座ましましていました。
戦火を浴び、戦後再建された首里城近辺とは明らかに違う、古跡オーラを放っていて、喩えれば、ちょうど、アンコールワットの遺跡群のうちマイナーなものが、高田馬場あたりに引っ越してきたようなカンジでした。
それでも、建物は不幸な戦火で灰燼に帰し、この重厚な石造りの門だけが風雪に耐え、生き永らえてきたのです。
比類無きシャープなこのレンズは、この石造物の上を通り過ぎて行った長い年月が刻み付けた表情までも捉えているでしょうか。

それから三枚目。
歴史の重みに圧倒された崇元寺を後にして、次の目的地、やちむんの里、壺屋に向かいます。
ホントは安里まで来たら、そこからモノレールに乗って、次の牧志の駅で降りて市場の横を通って行ってしまえばすぐなのですが、それでは、街撮りの醍醐味を半減です。
そこで街のあちこちに残る古い時代の痕跡を探しつつカメラに収め、壺屋に向かいました。
そんな旅人のセンチメンタリズムを知ってか知らずか、那覇の誇る最新交通機関であるゆいレールは頭上を滑っていきます。
このカットでは、無限遠に近い付近での周辺光量落ちが面白い効果を出してくれたのではないでしょうか。

続いて四枚目。
安里からまた歩くこと10分程度、やちむんの里、壺屋に着きました。ここでは、もちろん、撮りどころ満載なのですが、二大撮影スポットと言われる、「新垣家住宅」と「南風窯」の二箇所を中心に写真を撮りました。
このシーサーと石積みの壁は、その新垣家のシンボルとなっているものです。
新垣家といっても、例の国民的美女タレントの実家ではありませんので、念のため。

まだまだの五枚目。
壺屋で思う存分撮った後、余勢を駆って、牧志公設市場へ向かいます。
ここでは、もう飽きるほど市場内を撮らせて貰っているので、今回は趣向を変え、市場の周辺の路地で獲物を狙います。
すると、如何にも関西から着ましたよぉってなカンジのカップルが、沖縄そば、沖縄そばと何かの呪縛にかかったかのように足早に陽の射す方向に向かって歩いて行ったので、逆光での性能を示す意味もあり、一枚戴き。
ここでは、不意に画面に入り込んだおばぁが前ボケを示し、肝心のカップルも輪郭に光が回り込む、いわゆるダイアモンドリング現象を引き起こし、ちょっと面白い画になったのではないかと思います。

最後の六枚目。
市場でも十分撮り終え、晩飯まで宿で一休みすべく、国際通りでモノレールアクセスポイントの県庁前まで歩いて移動します。
すると、犬も歩けば某に当るの喩え通り、やってましたやってました、りゅうぼうビル前のイベントステージで地元のアマチュアバンドのフェスティバルみたいなのが・・・

ちょうど、地元出身のエクザイルとか言うグループのコピーやってるグループのステージになると、老若男女総立ちで大騒ぎ、ませたジモティの男の子のカップル2人組も、耳元で愛なんか囁き合っているようです。
大きくなって、「ガチムチの陸尺オトコがだ~ぃスキ♪」なんてことにならないよう祈るキモチでシャッター切った一枚です。
このカットでは逆光ということもあり、コマフレアがカリカリなトーンに走るのを抑えてくれたようです。

来週はいよいよ、島上陸編、Cine-Sonnar50mmf1.5にバトンタッチです。
乞うご期待!!

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2009/11/24(火) 22:40:13|
  2. Cooke Speed Pancro 40mm
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A return of secred gem~Cooke Speedpanchro40mmf2~

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【撮影データ】カメラ:R-D1s 絞り優先AE ISO200 露出補整 #4以外 +/-0、#4 -1_2/3、 ロケ地 生口島
さてさて、一週間、シルバーウィークとやらでふらっと旅など出てしまい、更新をサボってしまい、事情を知らなかった方にはご心配をおかけしたのではないかと小心者の工房主は気に病んでの更新です。

今回は5連休のうち、4日間を使い、瀬戸内濃度の一番濃い地帯?尾道、鞆の浦、倉敷を訪問して参りました。

そして、旅のお供は新作のシネレンズ3本+既存1本です。

そのお供のうち、仲間内のレヴューで結構ウケが良かったSpeedpanchro40mmf2の作例のご紹介です。

各所でそれぞれのレンズをデジ、フィルムで試しましたが、今回は、生口島という、尾道から高速艇で40分ほどの緑豊かな、沖縄とはまた別種の島時間の緩やかな流れに身を置いて撮ったものをご覧戴きたいと思います。


まずはその前にいつもの、機材の能書きを少々。

このCooke Speedpanchroというレンズは、ここではかなり一般的になってしまった、ドイツのArnold &Richter社(Arri.社)の出す、映画撮影用カメラ、Arriflex35シリーズの交換レンズのひとつで、何故かドイツのカメラなのに大英帝国が世界に誇る、Rank Tayler Hobbson社が供給するシネレンズです。

そもそも、このArriflexは、Carlzeiss社のレンズ付きで1930年代初頭にスタートしたものが、初めは報道用の動画撮影、そして劇場用とバリエーション、生産数が増えるに従って、様々なレンズメーカーが交換レンズを供給するようになりました。

工房主が知る限りでも、Carlzeiss、Schneider、AstroBerlin、Rodenstock、Kilfit、そしてフランスではKinoptik、Angeniuex、Somberthiot、米国ではKodak、Bosch&Lomb、Wollensak、英国ではこのRTH社、日本からもニコン、キャノン、コーワ、フジノンが供給していました。
ワンオフのものを含めたら、 もっとあるのかも知れません。

肝心のこの個体は、おそらく1960年代後半から70年代初頭までに作られたものではないかと思います。映画用レンズは基本的にスタジオの備品であると同時にとても高価な産業機械であったので、民生用と違い、メンテナンスの都度、当時の最新の仕様で取り込めるものは取り込んで修理することが良く行われたらしく、比較的古い鏡銅の中にかなり新しいマルチコートのエレメントがさりげなく嵌めこんであったりしますので、鏡胴形式やナンバーで製造年代を特定するのはかなり難しいのです。

とはいうものの、このレンズが電子湾で釣り上げられて、家に届いた時、描写性能を大きく左右する中玉には、絞りの羽から飛んだと思しきオイルスポットや曇りが見受けられ、試写するまでもなく、初期性能は望むべくもないだろうと推測されましたので、川崎の或る時は駆け込み寺、或る時は緊急病棟であるKファクトリーに持ち込んだのです。

先方でも、そもそもこのレンズは整備マニュアルも基準MTFもないので、ベストでの分解整備ということでお引き受け戴きましたが、2ヶ月弱ほど経って、引き取りに伺い、完成品を手渡された時、もう大丈夫との確信を持ちました。

そして、ここから先は工房の腕の見せ所、キレイに直して戴いたエレメントは勿論、鏡胴にも削ったり、接着剤で何かくっつけたりすることなく、メカニカルなパーツ装着だけで、回転ヘリコイドの直進化、そして、マウント変換&フランジバック調整、そして傾斜カム装着による距離計完全連動化を実現しました。
ですから、数箇所のビスを外すだけで、全くオリジナルのArriflex用のレンズに早変わりできます。

と、能書きは長くなりましたが、作例の説明行きます。

まず一枚目。
これは、尾道の駅前埠頭から、高速艇に乗って、瀬戸の島々を縫って生口島の瀬戸田の港に上陸した際、桟橋の隅で錆にまみれながら地道に役目を果たしている鉄鋼製品を目にしたので、思わず敬意を込めて一枚シャッターを切ったものです。
もう説明が要らないくらい鮮明に質感、重量感をあますことなく捉えているのではないかと思います。
バックの純白の船体の滲み具合もデジにしては上出来だと思います。

そして二枚目。
瀬戸田の港から観光スポットが集まっている、島内部へ商店街経由、徒歩で移動します。
生口島は周囲が34キロも有るという、かなり大きな島で、平野もあれば、山も有り、言われなければ、海に浮かぶ島に居るとはとても思えないような不思議な場所です。
その商店街で、海産物が並ぶお土産屋さんの店先で楽しく、幸せそうに肩車なんかしてゆ~らりと散策する親子連れを後ろからいきなり一枚戴き。
3~4mの距離で撮った筈ですが、かなり被写界深度が狭く、1mも先を歩くお母さんはもうボケてしまっています。
それにしても赤、黄、緑という信号機の化身みたいなお父さんのコスチューム、瀬戸内の陽光に輝いてましたよ。
バックのボケはかなり暴れ加減です。

それから三枚目。
まずは目的地その一、「耕三寺」という、はっきり言って、宗教施設なのか、昭和的なテーマパークなのか良くワケが判らない観光名所に入場料1200円也をお支払いして入ってきました。
ここでは東照宮の陽明門とか、どっかの寺の五重塔とか、等寸で、オーナー独自の宗教観、趣味を適度にブレンドしてコピーしたものを敷地の至るところにところ狭しと手当たり次第に建立し、東武ワールドスクエアとか、深圳世界乃窓などの画期的先駆けとしての存在感を十分に発揮してくれていたりして、二度目の訪問であっても、その健在ぶりに嬉しくなってしまいます。
で、その入口付近に値が張りそうな唐金製の彫刻入り灯篭がイイ案配に錆びて緑青吹いていたんで、質感捉えられるかのテストで一枚撮った次第。
その結果としては、ここでも一枚目の鉄錆同様、緑青の質感、彫刻の繊細な文様等シャープにクリアに捉え、その反面、また新型インフルエンザの熱に浮かされた悪夢のように歪む後ボケとの対比が面白いな、と思った次第。

続いて四枚目。
この俗悪的な宗教テーマパークにも見所があり、それは、「未来心の丘」という小高い丘の頂上一体をイタリアだかギリシャから持ってき白い大理石で敷き詰め、その上に当時の新進気鋭の彫刻家の作品を展示するという極めて野心的で文化的な香りのする展示ゾーンなのです。
そこで、いかにもモデルになりたいという自発的被写体オーラを発する黒尽くめのコスチュームの小姐二人組が大理石のオブジェを色々使って、モデルごっこ・・・当然、混ぜてもらい、一枚戴きました。
でも、お礼に一枚進呈なんて野暮なことはしません。
このカットでは惜しいかな、デジでは踏ん張りきれず、大理石からの陽光の反射で完全にテクスチャは飛んでしまいましたが、黒尽くめの小姐2が却って強調される結果になって、これはこれで面白い結果になったのではないでしょうか。

最後の五枚目。
ゆったりと島時間を楽しんだとは言え、元がせっかちな深川の人間のすること、やはり日暮れまでに尾道に戻り、日暮れの港町風情をばっちり撮って、旨い地魚のフレンチを賞味したいとか、不純な?思いで港に向かう足取りは勢い早くなってしまいます。
しかし、その粗忽者の前を歩く心豊かな島の人々は、歩くスピード、影の長さで以って、「島時間、島時間」と焦る心を鎮めてくれたのではないかと思いました。

今回の撮影旅行が実質的シェイクダウンテストとなりましたが、予想以上に素晴らしい成果を発揮し、予備役に転向したR-D1sともども期待に応えてくれたと思いました。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2009/09/27(日) 21:05:41|
  2. Cooke Speed Pancro 40mm
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Arri改造レンズ[Cooke Speedpanchro Ser.II 40mm]

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mixiの方でお仲間から、暖かいご声援を頂いたので、調子こいて、早速更新。
映画の世界では有名なCooke Speedpanchroという、英国のRank Taylor&Hobbsonが世に送り出した、Arriflex35用のス-パーレンズを当工房にてマウント部作成、ヘリコイドOH、そして、難工事であった斜行カムの新設の上、ライカ等Mマウントに生まれ変わらせたものです。勿論、後から付けたメカ類は全てメカニカル結合なので、外せば、Arriの現役レンズとしていつでも復帰可能です。

テーマ:趣味と日記 - ジャンル:趣味・実用

  1. 2008/01/06(日) 11:28:01|
  2. Cooke Speed Pancro 40mm
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プロフィール

charley944

Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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