深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

A phantasm of sharpness〜Ross Resolux5cmf3.5改L39〜

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今夜の趣向はまた、工房の作品、夏〜秋にかけての新作レンズのお披露目です。
実は、このレンズは先のフォコターよりも前に完成していたのですが、小心者の小生は、ここで紹介してしまうと物の値段が高騰してしまう・・・という危惧を抱き、何やかんやでお茶を濁し、登場を遅らせていたというワケです。

しかし、このタイプのものを含め、既に2本、追加での手配が終わったので、満を持しての登場です。

このレンズ、何かに似ていると思いませんか・・・そう、だいぶ前に登場した、同じ英国製のRANK TAYLER HOBBSON製のCOOKE ENTAL2"f3.5鏡胴の長さこそ違え、佇まいはそっくりです。

端正かつ重厚な真鍮削り出しの鏡胴に入念な厚めのクロームメッキ仕上げ、そして、大英帝国のレンズここに在り!と強烈なアイデンティティを主張する精緻な刻印です。

性能さえ出てりゃ、アルマイトだろうが、エンプラだろうと関係ねぇ・・・と嘯く、昨今の引伸レンズ達に対する強烈なアンチテーゼにも思えてきます。

このレンズは英国のレンズつくりでは、RANK TAYLER HOBBSONに並ぶ老舗、1830年にロンドンに創業したROSS社が40年代後半に発売したと思われる引伸ばしレンズをL39マウントに改造したもので、構成は恐らく3群4枚、一枚目が貼り合わせの逆テッサータイプと思われます。

ところで、このResoluxという名前は、Resolution「解像力」+x「ex,並外れた」の造語です。
解像力だけなら、ELニッコール、Componon、そしてRodagonと並みいる強豪が存在するのに、大した自信です。

そこで、改造が完了してから、早速、半信半疑、深川の住まいから、道すがらシャッターを切りながら新宿へと向かいました。

最初のショットはたまにテスト撮影する、西口駅前の「思ひ出横丁」です。丁度、外国人ストリッパーを都内見物に連れ出した工藤ちゃんみたいなシチュエーション(探偵物語より)だったので、遠慮なくパチリと戴きました。

そして、二枚目のカット。これが実は凄い画像なのです。こういう肌の露わな女性は概して用心深いですから、いかな静かなベッサといえど、シャッター音が聞こえて、交差点で女性に絶叫されたら、会社員生活おしまいです(笑)
そこで、そこそこ離れて撮ったのですが、何せ水玉模様が解像力のテストには最適なんで、縦長の画面を3分の1程度にトリムした画像がこれです。
黒地に白の水玉が物凄くくっきりと捉えられ、また髪の毛のしなやかそうな風合いも良く捉えられていて、今見てもクラっときてしまいそうな一枚になりました。

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  1. 2008/09/09(火) 23:14:08|
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神宮寺老人からの贈り物〜ボク、Focotar!〜

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あの1945年への信じられない旅のあと、暫くは常人を装い、会社勤めをしながら中古カメラ市に行ったり、仲間内で魔界都市新宿の撮影ツアーに行ったりして、普通の生活を送っていました。

そして、いつもの通り、会社勤めを終え、地味な気持ちで深川の住まいに帰ってみると、小包の不在時配達通知が・・・

なんだろう、電子湾で釣り上げた獲物の何かが今頃になって届いたのかな、と見てみると、「神宮寺融」と差出人の名前が書いてありました。

早速、愛車を駆って東陽町の本局まで行って、品物を受け取りました。
すると、中に達筆な文字の手紙が同封されており、
「先般は有難う、おかげで当面はこの世の中は大丈夫だ、25世紀の本部にも確認しているから間違いない。たった一人の病的マニアのせいで日本の歴史が変えられるところだった。あの後、同時代のタイムパトロールが後始末をきちんとやっておいたから、君の自宅にあるL39マウントのニコンのレンジファインダー機も全て元のSマウントになっている。そうそう、もう戻った以上、君の記憶にも存在しないから、言っても意味のないことだった。先般はロクなお礼も出来なかったから、ほんの気持ちだが、うちのペットのどえりゃもんが遊びで拵えたレンズを贈呈しよう。 神宮寺融 より」と書いてありました。

早速家に持ち帰り、丁寧に梱包されたエアキャップ越しの黒いレンズをほどいて見てみれば、禍々しいまでに精悍な格好のライツフォコター50mmf4.5が入っていたではないですか、と同時にこの時代の人達に決して見られてはいけない老人からの手紙は、あたかもスパイ大作戦のハント宛の指令書みたいに派手な閃光とともに一瞬に空間に消えてしまうし。

一体全体、どういう趣向なんだ、と半ば呆れつつも、老人の遊び心に満ちたギミックを楽しみながら、レンズを取り出しました。

すると、またもう一枚、お世辞にも上手いとは言えない、太ったネコのイラストと、小学生みたいな走り書きで、「これ開けてみて、製作者からのメッセージ♪」と書いてありました。

ここまでくると、先般の不思議な体験がまた打ち揃って家に押しかけたみたいで、何だかワクワクしてきました。だって、今の世界でこんな経験をしているのは、おそらく私だけでしょうから。

二つ折のカードを開くと、ヘタなアニメの空中像が立ち上がり、こう名乗りました。「ボク、フォコタ♪」

な〜んだ、こんな今日びの小学生すら考え付かないようなダジャレを披露するため、21世紀も終わり頃のアクティブホログラムカード同封で改造レンズを送ってきたのか・・・と思ったら、今頃、BC27世紀のナイル河のほとりで、深海生物の後を追っているであろう、真面目くさった神宮寺老人の顔をふと想像してしまい、笑い出さずには居られませんでした。

とここまでフィクション。
で、ここからが現実です。

このレンズは、1年以上前に電子湾から格安で引いてきたのですが、何せ、中が汚れていて、そのままではとても改造する気になれず、また、結構フランジバックが長いので、元々改造しようと思っていたSマウントでは細長くなりすぎ、強度的にも、外観的にもあまり好ましくないので、何かイイアイデアが出るまで放っておこうと思い、防湿コンテナの肥しとなっていたものです。
ところが、門下の深海生物工房の立ち上げに際し、数本拵えた際、編み出した工法をフィードバックできることが判ったので、工房で分解、オーバーホールを施した上で、特製マウントユニットに結合し、
L39マウントとしたものです。
試写に関しては、このところ、お披露目の常套手段となっている、新宿西口写真修錬会の溜まり場である、某南蛮茶店店内にてタングステンライト下でのRD-1Sによる実写のライブです。
まぁ、手慰み程度にちょこちょこっと作ったレンズなので、実写結果はそれほど期待していなかったのですが、まぁ、この作例の如く、開放から、一同、唾ごっくんの結果。
いやぁ、歴史的名玉恐るべし・・・神宮寺老人サンキューです。

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  1. 2008/08/26(火) 23:23:36|
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パラレルワールドから来た迷玉〜NKPF50mmF2H・C〜

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さてさて、今宵はこのところヘタッピィなSF小説?に目覚めてしまった工房主人の書きネタ、満を持しての登場です。

予告編というか、前編は厚かましくも、たまたまイメージに合う景色の作品が載っていたことから、某友誼電站からスタートしましたが、本編はここから・・・

(中将姫光学;「窓外的象差」より続く)
この"庵"全体を包む不快な音と、自分自身への強烈な帯電感に苛つきながら目の前の神宮寺老人に目をやると、老人は作務衣のまま、ずっと瞑想するかの如く一切の表情を押し殺し静かに息をしている。それに引き換え自分はどうだ。
頭を抱え、ムンクの「叫び」宜しく絶叫まではしないものの、もうじっとしているガマンの限界だ。

すると、窓の景色の流れが目に止まらない速さになると同時に老人の手から頭から、次第に燐光に包まれ、やがて全身がネオンのように光り、ふと正座する自分の膝にも視線を落とすと、同じように眩く光っている。

老人は目の前に居るにも関わらず、距離感が馬鹿になっている。遥か彼方からの呼びかけの如く、「タイムトラベル初体験はどうかね」と。
答えたくとも答えられず、今の状況にじっと歯を食いしばって耐えていると、「誰でも初めはこんなものだ、失神したりしないだけ上出来だ」と。

この地獄の責め苦のような状態は永遠に続くのではないかと思われたが、不快感がピークに達し、一瞬意識が遠のきかけた時、音と帯電感は消え、また元の静寂が"庵"に戻った。

「1945年の4月だ」老人はこともなげに言う。

言われたことがすぐに飲み込めずにいると、畳み掛けるように「時間は一瞬にして飛べるが、地球上の二地点間はそうはいかない・・・不便なものだ」と。

「で、仮に今が1945年の4月だったら、本土空襲は始まっているし、あと4ヶ月で終戦じゃないですか」と。

「それは元の世界での話しだ。ここではまだ沖縄も硫黄島も連合軍に上陸されておらず、44年末にUボートと北極圏経由のハインケルのジェット輸送機で運ばれた資材で組まれた橘花と過給機付高高度迎撃戦仕様の烈風が二枚看板で制空権を担っているため、成都からのB29のピクニックもない。」

「ということは、日本は勝っているということですか・・・」いつの間にか老人のペースに乗せられ、この架空戦記の話題に首を突っ込むことになってしまった。

「それも違う・・・いずれは負けることになるのだが、こちらでは負け方が違うということだ」あたかも自分が歴史を決める神であるかのような威厳を持って老人は答えた。

「一体、どういうことなんですか・・・自分が大学で学んだ現代史と全く違っている、そもそも橘花や烈風なんか、終戦前に試運転も十分に出来ていたか、いなかった兵器ではないですか。」

「4式中戦車も5式重戦車も、5式自動小銃も電波信管も射撃統制レーダーもあるよ、こっちの世界ではな、因みに一番のネックだった燃油もGTL、天然ガスからの液化に成功して解消しているよ。」

「今から、キミと私はハインケルの定期便で北極経由、ベルリンに飛んで、ツアィスのイエナ工場の自爆をけしかけた犯人を探し拘束するんだ、軍務部の上の方には話をつけてある。」

「ベルリンって言ったって、あと二週間もしたら、連合軍に包囲され、総統が防空壕で愛人と自決して、あっけない幕引きが待っているのでしょう、どうしてそんなとこへ行けますか。」

「それも、向こうの歴史。こちらでは、潤沢に製造されている人造石油でキングタイガーもUボートもメッサーシュミットも元気に飛び回って、連合軍を押し返している。いずれは負けるが、こちらではまだ先の話だ。」

一方、その頃、ドイツでは、ベルリンに呼ばれたツアイス社の経営幹部であるハインツ・キュッペンベンデル博士が幾度となく、謎の人物の面談を要求され、途方もない「事実」を告げられる。
「私の来た世界では、ドイツ第三帝国はあと二週間程度で陥落してしまい、貴社は米英の自由陣営と、ソ連の共産陣営の二つに跡形もなく切り分けられてしまう・・・そして、同じ敗戦国の日本が寛容な占領政策のお陰で、偉大なるツアイス、ライカのカメラを世界中から駆逐してしまう。」

「そんなことがあってたまるか・・・」我が社のコンタックスは言うに及ばず、ずっと簡単なライツ社のカメラですら満足のモノマネ出来ない国が世界に冠たるドイツの光学製品を世界から駆逐出来よう筈がない、インド人がイギリス人を跪かせるくらいに有り得ないハナシだ。

「しかし、事実なのです。貴国からの断片的な技術情報でジェット戦闘機は飛ばすし、ジェットタービンの軸受鋼は現に日本からのクロスライセンスですし、GTLの技術も官営製鉄の技術がなければ完成しなかった。もっと端的に申し上げれば、世界一の巨大戦艦の測距地球儀を作ったのは、第一次大戦後に食い扶持求めて極東に渡った貴社のエンジニアの教え子達です。」

「百歩譲って、自分が日本を過小評価していたとして、その我が社の悲劇的な結末と日本勢の躍進はどうすれば止められるんだ」

「よくぞ聞いて戴きました。貴社の工場の主要な資機材、書類・データ類を夜陰に紛れて中立国に運び出し、総員退去の上、ドレスデン爆撃の夜に自爆させるのです、あたかも誤爆されたかの如く。」

半信半疑だった博士は、謎の人物の「Coolpix」のデジカメを見せられ、この人物が人外魔境からやってきたことを信じざるを得なくなりました。

そこで、写真部長のリヒテルと極秘に会議を行い、日本嫌いのベルテレまで引き込み、この壮大な大イカサマバクチを行うことに意を決しました。

1945年5月の或る夜半、メッサーシュミットのジェット、ロケット戦闘機の合間をくぐり、雲霞の如きB29が絨毯爆撃をドレスデンに行います。

しかし、こちらの世界では、この空襲は謎の人物からツァイス社の上層部経由、国防軍に予め知らされており、避難は完了していたので、奇跡的に極少数の負傷者のみで済みます。

その夜を焦がす大爆発の競演のさなか、近隣にあるイエナのツアイスの工場が大音響と、空を焦がすが如き高い火炎と共に跡形もなく吹っ飛びました。

そうなると、困るのが、連合軍各国です。予め戦後の冷戦を見越し、軍民用共に魅力有るツアィスの技術、設備が手に入らなくなってしまったのです。

そこで、両国の軍令部の高官がヤルタで密談を持ちます。

ソ連の太平洋戦争産戦、そう、ソ満国境越境、そして北極海経由での艦隊輸送による日本本土上陸攻撃の密約です。

こちらの世界でもやはり米国は世界に先んじて、核兵器の開発に成功しましたが、制空権が今だ取れないため、主要都市への爆撃も成功せず、従って、原爆の投下など、橘花や過給機付き烈風のバルカン砲や噴進弾の餌食になる危険性を考慮すれば得策ではありませんから、圧倒的な陸軍力を誇るソ連軍に先に上陸を許し、それに釘付けになっているうちに海軍力、航空力で以って米英勢力が波状攻撃を掛けるという戦略を講じたわけです。

しかし、ここで参戦の条件となったのがやはり戦後占領策で、両陣営とも喉から手がほど欲していたカールツァイスが灰燼と帰してしまった以上、これに代わるものは極東の教え子達、日本の光学機器メーカーしかありません。

その結果、、日本光学はソ連に、そして東京光学他は米英にという、共同統治とする東京周辺の「宝の山」の山分け案が罷り通り、8月15日のソ連軍の房総方面からの上陸から、太田ほか主要軍事工場都市へのB29の夜間爆撃を経て、松代大本営への熱核爆弾投下の最後通牒を持って、1945年暮れ、日本は無条件降伏し、ソ連軍は念願の日本光学の設備、資料、エンジニアをシベリア鉄道経由、クラスノゴルスクへと運び去ります。

そして、戦前から民生用への進出を試みていた、日本光学のライカ版写真機用レンズ試作部品の数かずが、元々、クラスノゴルスクで極少数、戦功があった将官クラスに送られるために作られていたカメラのレンズに利用されたのでした。

さて、話しは1945年の4月に戻ります。

ハインケルのジェット便でベルリン入りしたタイムパトロール1名とその俄か助手は、キュッペンベンデル博士に会いに行く直前のタイムトラベラーの塒を急襲し、その身柄を拘束し、スイスローザンヌ在住のタイムパトロール協力者に引き渡します。

その犯人は、何でも「ニコンの改造レンズを溝の口の深海生物に頼んだら断られたので、その腹いせに歴史を弄ってやろうと思った・・・」と。

そして、またジェットで日本に戻り、"庵"を駆って、二人は2008年晩夏に戻りました。

「大丈夫、異次元との交錯は元に戻った」老人は茶を点て、楽茶碗を掌で弄びながら、木漏れ日に目を細めつぶやきました。

とにかく、家に戻って、冷たいシャワーが浴びたかった、そして、悪夢のようなこの二週間?の出来事を忘れたかった・・・しかし、時計は老人の庵に来てから一時間少々しか経っていない。

庵を辞して街に出てみると、若い男女のあられもないファッションはそのままだし、ガソリンも180円/Lそのまま、首相も福田ジュニアのままだ。

そうだ、出たついでに久々に街の中古カメラ屋でも覗いてみるか・・・

ショーウィンドを覗いてみると、1946年製の程度の良いニコンRF機が何台か出ていた、大冒険?の後、久しぶりに新しいカメラでも買おうか、という気になった。ついでにライカ社製とキャノン製の交換レンズも一緒に買っていこう。(完)

てな、ストーリーですが、この写真のレンズはクラスノゴルスク製では勿論なくて、(小笠原海)溝の口に棲息する深海生物工房で作られたものでもなく、深川精密工房で軽量化のために実験的に試作したワンオフレンズです、その名もNikkor Krasnogorsk Produced by Fukagawa、略してNKPFというワケです。

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  1. 2008/08/04(月) 00:39:30|
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Red-Induster220 2"f3.5

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はたまた今宵のご紹介は、当工房の創設期に組み上げたインダスター22の寄せ集めレンズ、名づけて"赤インダスター220"です。
このレンズは一見すると、せいぜい1万円もしない、ロシア物の安物の沈胴レンズに見えますが、さにあらず、赤い距離指標が一般のものとの区別として、当工房で施した唯一の特徴です。

尤も、判る人間が見れば、前玉、中玉、そして後玉のコーティングも硝質も全然バラバラのものを無理繰り組み込んであるので、なんか相当ヘンなレンズだなぁ・・・これで写るんかいな!?と首を傾げてしまうような、相当アヤシイ個体です。

これは、当工房が工作機械を導入して本格的な改造を始める前に、各レンズの硝質、脈理、そして整形、研磨等加工の不具合を検査する練習台として、新宿西口で10個ばかり買い集めたインダスターとフェドのジャンクを全部、群単位の3つのユニットにバラシ、まず、キズものは外して、偏光フィルター検査、クロスパターン投影検査、そして、微細図柄の拡大目視検査を行い、優れていると思われたものを上位3番目まで選別し、それを一番、ヘリコイドの状態が良く、且つバレルに損傷がなく固定バヨネットに磨耗も無くしっかりしている鏡胴に嵌めこみ、3倍のマグニファイア付のピント基準機で見て写りを想定するのです。

単純に考えれば、一番イイもの同士を組めばベストのものが出来上がる筈ですが、レンズの場合は、必ずしもそうでなく、相性が有りますので、幾つかのユニットからの組み合わせで光学系を組み上げ、それを実写したもので判定するのが一番間違いないのです。

ところが、もとが横着なこの工房主は、キズ、コーティング異常等ないものでも総当り戦やったら、200や300通りになってしまい、とても手間に見合わないってことで、手を抜いて、よさげなユニット3位までの組み合わせで試したのです。

それでも、回転が効かない中、後玉は仕方ないとして、前玉は組んだ状態でクロスパターン投影、微細図柄の目視をやって回し、キブン的に一番、周辺まですっきり映った位置に調整しています。

その結果、おいおい実写結果はアップしますが、マイクロニッコールやアリレンズ達がやってくるまでは、ダントツシャープで色ヌケも良く、本家のテッサーやエルマーは勿論、普通のニッコールもゾナーもクックアモタルも、キャノンですら、まず敵わない高性能標準レンズに産まれ変わったのです。

レンズの歪曲や周辺の崩れが一発で判ってしまう、東京フォーラムの鉄骨の下からの仰角撮影でも全く破綻がないどころか、逆光では不可避な筈のフレアも実用上、全く無視出来るレベルまで抑え込み、さすが、世界最高のウラル産光学ガラスの本領発揮と思いました。

唯一の欠点は、やはりそのレンズ構成からくる構造上の限界で近距離合焦時のバックの遠景に非点収差が抑え切れずグルグルして、若干気持ち悪いボケになることくらいですか。

まぁ、よくよく考えれば、ジャンクを1本3千円で10本買って、多大な手間を掛けて組み直しやるなら、もうちょいお金出せば、写りには影響ないレベルキズ有りの沈胴ズミクロンが買えたのではないかとも思いましたが、果たしてどっちが良かったのか・・・

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  1. 2008/07/29(火) 00:05:46|
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深川ウルトロン50mmf2

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ハイサイ愛読者各位。今朝は、某友誼電站でウルトロン50mmf2の旅情シリーズやってますんで、協賛企画として、当工房製のウルトロン50mmf2改L39をご紹介さぁ。
このレンズは言わずとしれた、Voigtlender社製のProminent35用の標準レンズのひとつで、50mmF1.5のノクトン、同F2.8のカラースコパと専用バヨネットマウントで簡単に交換可能となってます。
しかしながら、これらのレンズはいずれも、構造上、ヘリコイドを持っておらず、カメラ本体の繰り出し機構で焦点を合わせる構造となっています。

このプロミネント35用の標準レンズはいずれも写りに定評があって、クラカメの森に迷い込み、レンズ沼に足を踏み入れた者は誰しも使ってはみたいと思うのですが、このボディが必ずしも評判が良くなくて、一旦買ってみても馴染めずに手放す、或いは初めからこの怪奇的な構造のボディに恐れをなし、手を出すことをためらってしまう・・・そんなこんなでこの天上の甘露の如き銘玉達は、極めて高価なL39版を買うか、或いは一部の業者に依頼して改造して使うかの何れかしかなく、なかなか世に真価が知られることがなかったのです。

当工房の創設前に信州製のプロミネント35マウント→Sマウントアダプタを買って、ノクトン50mmf1.5を愛機SPで使用していたことがありますが、なかなか思った通りピンが来ず、半ば失望してレンズにそのアダプタ付きで捨て値で叩き売ってしまった苦い経験があります。

しかし、或る時、そこそこキレイなウルトロン50mmf2付きのプロミネント35の難アリ中古を電子湾で釣り上げ、分解してマウントリングを外した時、閃くものがあり、無調整で3つの交換レンズヘッドが使えるマウントアダプタを開発したのです。これが、先にご紹介した、現在深川ノクトンに付けている一号機のアダプタで、回転式ヘリコイドを使っています。
今回ご紹介したものは、その時の知見を活かし、工房創立後、導入した工作機を駆使し、直進ヘリコイドの素材を使って製造した3号機です。

さて、このウルトロン50mmf2の写りですが、RD-1Sによる開放での作例2件をご覧頂くとお判りになりますが、極めてシャープで、色のバランスもコントラストも程良く、ボケもとても素直で、まさにクラカメの50mmf2クラスでは、好みはありましょうが、屈指の性能だと思います。
たぶん、同じシーンをいつものコニミノスーパーセンチュリアで撮っていたら、色ノリがもっとこってり濃密で更に階調再現性とコントラストの均衡点の高い写真が撮れたのではないかと思います。

いずれにせよこの銘玉を慣れたボディで気軽に街撮りに連れ出せるので、工房を創設して良かったと思うことしきりです。 [深川ウルトロン50mmf2]の続きを読む

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  1. 2008/06/15(日) 12:26:43|
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Staeble Katagon改L39

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今宵のご紹介は、ドイツの渋めどころ、Staeble Katagon50mmf2.8改L39です。
このレンズはディープなクラカメマニアなら一度は食指を動かされるスーパーパクセッテII向けに1954年にドイツのシュテーブル社が送り出した普及版標準レンズです。

このレンズというか、カメラのシステムが非常にヘソ曲がりで、マウントのネジ規格はL39そのものなのに、レンズシャッターのためもあり、フランジバックがライカに比べ1cm以上長く、そのまま、ライカのマウントにねじ込んでも、おぉぉぉ!だめだ全然結像しない、こりゃ壊れてる!となってしまいます。
そこで、当工房ではフランジバックを合わせるため、両ネジ間のジュラルミンのスペーサを噛ませたワケです。
しかし、現時点の仕様では、距離計連動にはしていません。加工自体は簡単な方に属するのですが、何せ後玉が相当前の方に出てしまい、一方、元々狭いレンズ側L39マウントの内側に実質32mm以下の内径でしかも無限時には7.5mmもレンズ側にせり出る距離計連動カムを付けたら、確実に光路に干渉し、像がけられるのが判っているからです。

ところで、そもそもこのスーパーパクセッテというカメラは、偉大なる?ライカの陰に隠れてクロウト好みの渋めのカメラですが、レンズ交換が出来、しかもライカ同様、さまざまな一流〜三流までのメーカーがレンズ供給していたので、いわば、B級グルメみたいな楽しみが出来るものだと思っています。

このレンズはおそらく3群4枚のいわゆるテッサータイプに分類されるものと思われますが、何せ、二流半のメーカーが気楽に?拵えただけあって、周辺は緩いし、解像感も、色のヌケもイマイチですが、そこはそれ、シネレンズとか、マイクロニッコールとか、アポクロマートの引伸ばしレンズみたいな、画面全体が緻密な解像度とシャープな描画に満ち溢れた緊張感の塊みたいな写真だけ撮るレンズばかりぢゃ、肩も凝っちゃいますから、たまにはこういうひょうきんな外観のダメダメお気軽レンズも面白いかな?と許せるキブンになったワケです・・・
典型的A型人間である工房の主も少しは成長したか・・・

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  1. 2008/03/30(日) 23:32:45|
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Componon50mmf3.5改L39

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このレンズは、ドイツが世界に誇ったレンズ専業メーカー両雄の一方、シュナイダークロイツナッハ社が引伸用のシリーズで出していたコンポノンの50mmf3.5のものを、当工房で距離計連動化すべくL39のヘリコイド&マウントを結合させたものです。

このレンズも3群4枚とありますから、おそらくテッサータイプか、或いは正反対のエレメント配置を含めたテッサータイプの一種だと思います。

この時代のレンズは実性能もさることながら、モノとしての質感とか、威厳みたいなものもマーケッティングの大きな要素だったらしく、昨今のガラス繊維強化プラの各社共通の引伸レンズの鏡胴とは全く違い、真鍮削り出しにクロームメッキ、そして艶消しエナメルの焼付塗装という手の込んだ作りで重さもずっしりと重く、何かかけがえのない宝物を掌中に収めているような錯覚さえ覚えます。

こういったところは、もう一方の雄、ローデンシュトックの古いレンズや、海峡を越えたテーラーホブソン、そして米国のヲーレンザックなどにも共通していると思います。

このレンズは電子湾でかなり安く買えたのですが、それもその筈、引伸機に装着するためのネジが主流のL39スクリューではなく、34φ以下の変わったスクリューで自分でアタッチメント用意しなければならないし、撮像用に改造するにも、中途半端なネジは市販のパーツが流用できないため、結構面倒ですから・・・

ただ、肝心の写りの方はどうかと問われると、やはり、かならずしも有能な引伸レンズが魅力的な撮像レンズに化けるとは限らず、同時にテストしたELニッコール50mmf2.8改Sと較べたら、発色のヌケ、シャープネス、コントラスト、全てにおいてベタ負け・・・唯一光るところがあったのが、画面全体の均質性とニコンでは、そのシャープさゆえ、後ろボケが時として2線ボケ気味で煩くなるところ、被写体から遠ざかるごとになだらかに像が溶けていくカンジのまぁ心地良いボケになったことですか。

出来の悪い子ほど可愛いとはよく言いますが、ELニッコール、ローデンのロゴナーS、ロダゴン、そして最新改造のアポロダゴン、ミノルタのCEロッコールと一癖も二癖も有る改造異能レンズ達に囲まれて、この古風な宝玉がどんなシチュエーションで才能を発揮するのか、思いを巡らせています。

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  1. 2008/02/03(日) 22:13:01|
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Cooke Ental 2"f3.5改L39

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英国が戦争末期に産み落としたバルナック型35mmRFの傑物Reid・・・
その標準レンズと言えば、Rank Tayler Hobson社のこれもまた名玉アナスティグマット2"f2
とがセットされているが、いかんせん高いし、しかも、イタリアデザインの美しいアルミ鏡胴に収められたアモタルアナスティグマット2"f2のLマウント持ってるんで、あえてキレイなボディだけで相当安く買えたのに、同じ性能?の専用?のレンズまで買う気は起きなかったのです(要は根がケチ!)。

ところが、電子湾で、或る日、総真鍮削り出しの鏡胴でしかも、トラファルガー広場とか、コンコルド広場に有るオベリスクみたいに荘厳な刻印が刻まれている端正なレンズが結構、お手ごろな値段で売りに出されているのを発見しました。
落札した品物が届いてみて判ったのが、これは引伸用レンズの旧型で今主流の39φネジのものでなく、半端な口径のネジだったんで、誰も手を出さなかったのだろうということ。

しかし、この端正な佇まい、青い眼をしたセルロイドのお人形さんのような美しいレンズに魅了され、何としても、再び命を吹き込んで上げたいと思いました。

そこで色々と思案の挙句思いついたのが、やはり腐るほど買い込んである、インダスター22のUFOみたいなパンケーキヘリコイドを大幅に穿孔してそれをマウントにしてしまうというアイデア。
早速、手持ちの十数個の中からキレイで色調が比較的真鍮にクロームメッキしたものに近く、作動も滑らかなものを拠って調整の上、組み直し、これを加工してこの端正な女王様の国の老紳士の如きレンズを固定してL39のレンズとして蘇らせたわけです。

今回は資料もなく、光学系を分解もしなかったので、エレメントからの反射光と、写りにより推測するしかないのですが、おそらく構成は変形ガウス、或いはクセノタータイプと思われ、驚いたことに、テーラーホブソン一族に共通する、暖色系でこってりとしながらも、階調再現性も程良く、開放から合焦部は極めてシャープ、ボケはなだらかという、作った労苦も忘れさせてくれる素晴らしい逸品になったと思っています。

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  1. 2008/01/10(木) 22:34:31|
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深川精密工房第一号改造レンズ レチナクセノン改L39

xenon.jpg
さぁてお立会い、親の因果が子に報い、可哀相ななぁ、この子でござぁい・・・古今東西見回しても、こんな不恰好なレンズないよ! ってことで、ここらで、洗練された?深川精密工房の作品群が出来る前、そう工作機械もボール盤しかなく、ネジ孔を穿つことくらいしか出来なかった初期の頃の作品を紹介致します。
これは、レチナIIについているクセノン50mmf2のシャッターハウジング&絞りユニットごと、ジャンクボディら取り外し、ジュラルミンのパイプでフランジバックを調整して、キャノンのL39ヘリコに合体させたものです。
工作自体はちょいと器用な人なら思いつくでしょうが、実は作った当時、開放でも8mくらいから無限はばっちりピントが来るのですが、どうも近距離が合わない・・・おかしいなと思い、新規に拵えたLマウントピント基準機で見てみると、ピント面と二重像の合致が近距離になるとずれてくる・・・で、ものの本で調べたら、実質焦点距離が47mm程度しかないということが判ったので、レンズ繰り出し量とカムの繰り出し量が一致しないのを補整するため、初めて、斜行カムの加工にチャレンジし、何とか成功した記念すべき第一号レンズなのです。
このクセノンも、さすがにシュナイダー時代に天才トロニエ博士が世に送り出した変形ガウス型の傑作の一族だけあって、不恰好ですが、開放から写りはシャープでコントラストもほど良く、隅々まで破綻無いあっさりとした色ノリの画を描き出してくれます。

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  1. 2008/01/09(水) 23:33:45|
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オリジナルノクトンと深川ノクトン

nokton.jpg
クラカメマニアなら、まず誰しも一度は憧れるフォクトレンダー製ノクトン。
しかし、数少ないLマウントのものは、今や中堅サラリーマンの月収に相当する額にも匹敵し、また、プロミナント用のものは、本体がロボットロイヤル36やフォトン並みに巨大な割には自動巻上げもなく、しかもフォーカスが左のノブで調整、ファインダー自体も出来の悪い万華鏡みたいで見ずらいから、とても気軽に撮影に使えるワケもなく、一部のLやS等のアダプタを入手出来た者のみが、そのソフトでムーディな写り味を堪能出来たのです。
そこで、無いものは作っちまえ、しかも、あり合わせのモノで安く旨く作るのをモットーとするあたかも主婦の鑑の如き当工房では、キャノンのLレンズのヘリコとジャンクのプロミナントのマウントを精密加工で合体させ、無調整でいかなるL/Mボディにも、プロミナントマウントの標準レンズなら装着出来るようにしたのです。
左が当工房製の通称"深川ノクトン"、で右が言わずと知れたオリジナルノクトン。
このレンズは、良く知られるように前群の曲率が比較的大きく、また、6群7枚構成の非対称ガウス型であるためか、開放ではかなりフレアっぽくソフトに写り、古い町並みなど、とてもレトロっぽく写って、イイカンジです。え、絞ったらどうかって?開放でしか使わない主義なんで、ノーコメントです(笑) [オリジナルノクトンと深川ノクトン]の続きを読む

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  1. 2008/01/09(水) 23:17:32|
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ニッコール50mmf1.4ライトウェイト

tanack.jpg
このレンズをぱっと見て、アレ、なんか変!?と気付いたアナタはもうビョーキ・・・
そうこのレンズは当工房にて、元々、ニコンSマウントだったニッコール50mmf1.4のハウジング&マウント目当てに追剥ぎしたのを気の毒に思い、改造用に腐るほど買ってある、キャノンのL50mmf1.8のマウント&ヘリコイドに移植したものです。
このゾナー型のレンズは、シャープ、カリカリといったニッコールの評判とは裏腹に、開放ではちょいとフレアぽくしっとり写り、フォクトレンダーの旧ノクトンみたいな画を描き出します。 [ニッコール50mmf1.4ライトウェイト]の続きを読む

テーマ:趣味と日記 - ジャンル:趣味・実用

  1. 2008/01/09(水) 00:26:14|
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プロフィール

charley944

Author:charley944
お江戸の外れ、深川の某運河のほとりで、閑を見つけては、こっそりと旋盤回し、時には金工ヤスリでカム削り、自分の欲しいレンズを拵えては、親しい友人達にお披露目して自己満足に浸っています。小人閑居為不善?

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