深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Birth of ultimate optics in F.G.W.G.~Fukagawa 7th Anastigmat45mmf1.7~ 

Fukagawa Anastigmat7-1
さて、今週のご紹介は、確定申告のペーパーワークが何とか夕方までに目鼻ついたので、なんとかブログの更新に辿り着き、前回、覆面レンズとして登場した、当工房オリヂナル設計、製造の標準レンズのご紹介いきます。

このレンズは元々、前にご紹介したOlimpus PenF等を遺してくれた近所の遠縁のをぢさんの持ち物で、本家の収納庫に30年以上もしまわれていて、工房主へ譲るという直筆の手紙とともに発掘されたため、元より古いカメラなどに興味など全くない、当主の従弟からやっと本来の相続人の元へやって来た中の一台のコンパクトカメラのレンズで、その時点検したら、何故か後玉にひどい引っかき傷があったのとシャッターが粘り、二重像も薄くなっていたので、何とか役に立てたいという思いはあったものの、具体的なアイデアが湧かないまま更に防湿庫の中で2年ほど眠っていて、突如閃き、工房に蓄えられていた、別のレンズの後群と組み合わされて新たな内鏡胴、そしてヘリコイドを得て、さすがに回転ヘリコイドではなかったので、ミラーレス用の標準域レンズとして生を受けたものです。
構成は4群6枚の標準的なプラナータイプです。
では、さっそく、この奇跡のレンズの実力を見て参りましょう。カメラはX-Pro2、全コマ開放による絞り優先AE撮影です。

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まず一枚目のカットですが、先にご紹介したヤシカ製ズーム35-70mmf4の試写を終え、表参道に面したちょっとした広場でこのレンズに換装し、まずは目の前のタブレットで一心不乱に地図の確認をしていた、中国からの二人組の小姐の後ろ姿を拝借して試し撮りを行ってみたもの。

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二枚目のカットですが、中国からの小姐の隣には、タイから来たと思われる若いカポーが居て、この人達も、周囲はそっちのけで、男性の撮ったEOSの背面LCDモニタを一心不乱に覗き込んだまま、何とはなし盛り上がっていたので、至近距離まで近寄り、その熱心なお二方の横顔を一枚戴いてみたもの。

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三枚目のカットですが、表参道に面した広場からまた元来た原宿通り、竹下通り経由、明治神宮前駅まで戻ることとして、歩き出してすぐ、一段高いところに位置するガラス張りの瀟洒なブティックみたいな店舗脇の道をいたいけな若者各位が次々と絶え間なく通り過ぎて行くのが目に留まったので、その様子がなかなか画になると思い、狙い定めて一枚戴いてみたもの。

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四枚目のカットですが、ここも原宿通りの観光スポットのひとつらしく、店舗にロボット犬が置いてあり、その犬が常にドッグフードを食べるしぐさをしているのがなかなかユーモラスでいたいけな若者のハートを鷲掴みにするのか、常に誰かしらが横に立って記念撮影などやっているので、中国人一家が小々姐に頭を撫でさせているところを記念撮影している斜め横から一枚戴いてみたもの。

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五枚目のカットですが、ここ原宿通りは目抜き通りの表参道や、ドル箱の竹下通りから比べれば、人通りこそ少ないですが、それでも都内のファッションの最先端エリアの一部であることは疑いようもなく、洒脱なデスプレイを誇る、若者や外国人観光客向けの店舗が軒を並べており、その中でもオッサレ~な帽子をラックに掛けて飾っていたお店があったので、これ幸いにと一枚戴いてみたもの。

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六枚目のカットですが、同じ原宿通りの途上、地図持参で道を聞いてきた、いたいけな米国人の小姐二名が居たので、聞かれたことにはちゃっちゃとお答えし、ついでに手製のレンズのテストやってる最中なんで、せっかくの美人揃いなんだから協力して行ってよと頼んだら、まぁ面白い♪ということでモデルさんになって貰ったもの。

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七枚目のカットですが、ここも原宿通りで、先のヤシカ製ズームでテストを行った、地下にあるレストランだかカフェの看板代わりのオブヂェである階段横の木製ロッキンチェアにランタンみたいなものを乗っけて、まだ陽のあるうちから光らせていたのを一枚戴いてみたもの。

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八枚目のカットですが、竹下通りとここ原宿通りを隔てる大きな通りの手前まで戻って来たら、いたいけな小姐のグループがいわゆるナンパを待っているのか、或いは所持金が底を尽き、他に行くところもないのでただたむろしているだけなのか判りませんが、とにかくスマホンなどいじりながら漫然と立ち尽くしていたので、その様子を背景の通りと合わせて一枚戴いてみたもの。

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九枚目のカットですが、竹下通りに再び戻って、シャッターチャンスを探しながら歩いていたら、とあるクレープ店で、季節外れのサンタクロースみたいな赤いモコモコのお揃いの衣装でクレープを贖っているいたいけな小姐二名組が居たので、音もなく近寄り、シャッターを切ったところ、妙に感が良く、振り返ってカメラ目線となったもの、でもシャッター切ったあと横ピースされても遅い・・・

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十枚目のカットですが、これも竹下通りで、お揃いファッション、イメージ的にはヤクルトスワローズの巨大な九官鳥かなんかのマスコットを彷彿とさせるような光沢のある長めのジャンパーに背負い紐が何となく長めでルーズなカンジのピンクのリュックを背負い、白いミニのフレアスカート履いた山出しっぽい小姐二名組がショップ店頭のバーゲン品を一心不乱に物色していたので、2mくらいの距離から一枚戴いてみたもの。

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十一枚目のカットですが、竹下通りも原宿駅に近いところまで戻ってきたところ、ふと通り横の側道入り口の脇にしゃがみ込んでいた、優しい目をしたテンガロンハットの美青年?と目が合ったので、これも何かのご縁、と思い、やぁ、とってもクールに決めてるねぇ、ところで手製のレンズのテストやってるんだけど、どう写るか興味無い?とか一気に話し掛けたら、実は女性・・・面白そう、ぢゃ、撮ってみて、ということでモデルさんになって貰ったもの。

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十二枚目のカットですが、竹下通りの中ほどを過ぎた辺りで、スキンヘッドのヲヤヂさんを頭領としたなかなかファンキーな一家が居たので、手製のレンズのテストしてるんだけど、協力してくれる?と聞いたら、おもむろに「TV局のイタズラ番組か何かか?」とか真顔で聞いて来て、いや違う、趣味で遊んでいるだけだけど、と返したら、判った、じゃ四人でちょっとパフォーマンスするからその瞬間撮ってみろ、と云われて撮ってみたもの。

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十三枚目のカットですが、来る時もシャッターチャンス満載だった、七色綿菓子を商う店の前までやって来て、さて何か面白いものはないかと物色していたら、インドネシア人っぽいエキゾチックな顔立ちの極小姐がもう七色綿菓子を食べ終えようとしているのか、その巻き芯材である竹のひごみたいなのから手でむしっては口に運んでバクバク食べていたので、その対比が面白く人垣越しに一枚戴いてみたもの。

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十四枚目のカットですが、ここも七色綿菓子のお店の店頭のちょっとした広場で、いたいけなOL風の若い小姐グループが脇目も振らず、本来ならダイエットの大敵であるはずのザラメ糖の化身である綿菓子片手に恋バナだか、余暇の過ごし方に関する突拍子もない話を仲間としながらうんうん頷いたり、ケタケタ大声で笑い出したりと傍弱無人の盛り上がりぶりだったので、斜め後ろからそっと一枚戴いてみたもの。

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十五枚目のカットですが、竹下通りもどん詰まり、山手線と並行して走る大きな幹線道路から通りに下る、ちょっとした坂道の上から、通りの賑わいを写し取るべく、ただ漫然と何処にピンがあるのか判らない写真では意味がないので、手前の小姐グループの比較的美形の、黒キャップのアガシにピンを合わせて撮ってみたもの。

今回の感想ですが、うーん、やっぱり、国産の高級コンパクトカメラはイイレンズ使ってたんですね。何処のメーカーを使ったか明かしてしまうとヂャンクの程度の良いものが払底し、ロクなことにならないので、ここでは伏せますが、加工さえきちんと行えば、違う会社同士のエレメントでもここまでパフォーマンス発揮してくれるのですから・・・

さて、次回は秘宝館から何か紹介しましょうかね、乞うご期待!!
  1. 2017/03/05(日) 22:19:57|
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Minor but incredibly capable~Staeble Lineogon 35mmf3.5 mod.L39 uncoupled by F.G.W.G.~

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さて今宵のご紹介は久々の工房製品、とは言ってもオリヂナルのAKAマウントでは、Akaletteに装着しての目測フィルム撮影での作例を挙げたことはあったので、改造後初のデジタルでのお披露目となります。
まずはこのレンズの氏素性のおさらいですが、Staebleというミュンヘン郊外のレンズ専業メーカーが送り出した汎用?の広角レンズで一番有名なのは、Paxetteというブラウン社のレンズ交換式のレンジファインダ機の交換レンズで、この個体はAkaletteとその後継機のAkalele用のスピゴットマウントとなっています。
構成はおそらく貼り合わせ無のし4群4枚、製造年は1950年代の初めから中頃と思われます。
では、さっそくL39仕様に生まれ変わっての工房新主力機X-Pro2とのコラボをご覧あれ。
ロケ地は浅草浅草寺界隈、全コマ開放による絞り優先AEモード撮影です。

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まず一枚目のカットですが、地下鉄の駅から地上に上がって一番最初の定点観測スポット、雷門前の車夫溜まりで、年端もいかぬいたいけな小姐二名が海千山千の車夫軍団オッパーの果敢なセールスマシンガントークに陥落寸前、まぁ、これだけ熱心に説明してくれるのだから、悪いから乗っちゃおっか?てな心の揺らぎを見せたかの一瞬を通りざまにX-Pro2のデヂタルスプリットイメーヂを使い捉えたもの。

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二枚目のカットですが、ここ浅草は、江戸情緒をイメーヂさせる都内屈指の観光地ですから、浴衣で訪れる若い人々、しかも国籍を問わずで、あちこちでお互いに記念撮影しまくったり、或いは着慣れない浴衣の服装チェックをし合ったりと、そんな楽し気な小グループが雷門から本堂周辺に至るまで無数に出会ったうちの一組目をぱっと戴いたもの。

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三枚目のカットですが、雷門を抜け遥か彼方に見える宝蔵門を目指して仲見世を歩き出すと十数メートル先に在る定点観測スポット第二号、「美人茶屋 あづま」さんの、お腰に付けた黍団子、ひとつ私に下さいな♪と店頭で黍団子を売る様子を撮るところなのですが、当日は、男性店員メインかつ、紅一点のはずの売り子さんの顔色と表情、機嫌みたいな雰囲気がいまいち?だったので、店舗横で賞味中のいたいけな観光客の小姐に代打をお願いしたもの。

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四枚目のカットですが、仲見世を更に進んで行くと、今流行りという何とか云う、ちょっと市中のもののとは違うメロンパンだかを商うお店が有って、その周辺で並んで買ったり、賞味したり或いは食べ終えて身づくろいをしたりと、色々な楽しみ方をしている観光客各位の姿が目に留まったので、横から、その様子を一枚戴いてみたもの。

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五枚目のカットですが、仲見世も宝蔵門の近く、伝法院通りとの交差点のちょっとした広場みたいになっているところでは、東に視界が開けていて、天気が良ければ、スカイツリーの偉容が間近に見えますが、この夏はちょうどその手前で夏の風物詩、ラムネの屋台が出ていたので、その手前で記念撮影している小姐二人の様子をその前からラムネの幟、スカイツリーの遠景も入れて一枚戴いてみたもの。

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六枚目のカットですが、仲見世のどんづまり、宝蔵門の手前辺りで、かなり上手に浴衣を着こなしている風情の小姐二名組を発見し、追いついたら声かけて撮らせて貰おうと思い、その後ろ姿もなかなか艶やかだったので、追尾しながら、宝蔵門をバックに一枚戴いてみたもの。

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七枚目のカットですが、先の浴衣二名組が途中の店舗に入って、キッチュな小物の物色モードに入ってしまったため、追尾は暫し中断、別のターゲットを探すべく、周囲をスキャンしたら、居ました居ました、韓国人小姐グループが伝法院通りとその遠方の花やしきの塔かなんかをバックに記念撮影している姿が目に留まったのですが、後ろから見ても、古めの木造店舗兼住宅がバックに控えており、これはこれで面白い画になるな、と思って、そのまま後ろ姿を一枚戴いてみたもの。

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八枚目のカットですが、宝蔵門の手前まで歩いてみたら、なんと、先に見失った筈の浴衣着こなし上級者と思しき小姐二名が揚げ饅などを旨そうにバクバクとやってる姿が目に留まったので、ダッシュで駆け寄り、声かけて、お世辞の二つ三つも並べてモデルさんになって貰ったもの。

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九枚目のカットですが、宝蔵門を潜って境内最初の定点観測スポット、手漕ぎ井戸の前に大勢の観光客が集まって、何かしら歓声を上げていたので、速足で駆け寄って、人の輪の隙間から覗いてみれば、何とインド人の幼い兄妹が額に汗して健気に水を汲んでいるその先には地元の悪ガキどもが、あぁうめぇとかもたらされた真水を代わる代わる飲んだり、顔を洗ったりと上機嫌、その周りを中国人観光客が面白がって写真撮っている、という何やら怪しげな国際分業が繰り広げられていたので、では拙者も、と批判もせず一枚戴いてきたもの。

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十枚目のカットですが、せっかく浅草寺に来たのだから、本堂に寄って開運祈願のお参りでもして行こうと、手水場へ向かう途上、背の高い髭づらの白人男性が、同行と思しきいたいけなやまと撫子二名に向かって、宜しくなさそうな冗談かワガママでも云って困らせてる雰囲気のシチュエーションに遭遇したので、通りがけざまに本堂撮るフリして一枚戴いたもの。

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十一枚目のカットですが、手水場の手前、焼香用の屋根付き巨大香炉の傍らで線香を頒布している窓口が有って、その前で、点火した線香の火がなかなか消えず、困った表情でシェゲナベイベー♪とばかりに振り回していた、清楚な雰囲気の服装の小姐の様子をさっと一枚戴いてみたもの。

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十二枚目のカットですが、境内の屋根付き巨大香炉の傍らで親切なことに親子連れの中国人の記念撮影ノシャッター推して上げたり、自らも一緒に入って、連れの仲間にシャッター押させたりと八面六臂の活躍ぶりの浴衣姿の茶髪小姐軍団のリーダー各の小姐の写真を傍らから一枚戴いてみたもの。

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十三枚目のカットですが、本堂に無事お参りし、いつもの通り、西側出口、そう奥山の方面の階段から降りようとして、ひどい巻き舌の英語が聞こえて来たので、振り返ってみると、おぉ、モーフィアス船長、娘さんとアサクサ見物か!?とすっかりマトリックスの世界を思い出しそうなコワモテの黒人パパさんが居たので、すかさず声かけて、いたいけな娘さんと一緒に撮らせて貰ったもの。

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十四枚目のカットですが、再び宝蔵門方面に歩き出したら、白人の小姐三名様が腕を伸ばし切っても、宝蔵門の全景と自分達が上手く収まらないらしく、撮っては首傾げていたので、話し掛けて記念撮影して上げたら、かなり喜び、しかも首から下げたX-Pro2とレンズを目ざとく見つけ、こりゃ何ぢゃいとか聞いて来たので、まず話は撮ってからだ!と上から目線でモデルを要求し、宝蔵門をバックに一枚撮ったもの。

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十五枚目のカットですが、白人三人娘にしてみれば、英語も満足に話せない、話しても通じる人が少ない浅草の観光地で佳きタダガイドを捕まえたようなもんですからなかなか釈放して貰えず、やれオールドスタイルの日本レストランの前で写真撮りたいの、ハリウッドみたいにスターの手形が並んだところが有るはずだが、そこは近いのか、とか、やれ、オーセンティックな日本のラーメンを安く食べられるところへ連れてってくれ、とかまさに注文の多い料理店状態で、オールドスタイルの日本レストランである今半別館の前でもう一枚撮らせて貰った一枚。

今回の感想ですが、各サイトでこのレンズの評判を調べましたが、経年変化に対する適切な手当が行われていないものが殆どらしく、またアダプタというか、フランジバックが44mmもあるため、咬ませたスペーサ内の反射防止が適切に行われていなかったりと、必ずしも、このレンズの実力が正しく評価されていないのではと思った次第。

さて次回はうまく行けば、都下某所から再び異国情緒溢るる写真のオンパレードをお送り出来る・・・かもです、好天を祈りつつ、乞うご期待。
  1. 2016/09/11(日) 19:59:56|
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Lens aus Frankreich einen Schlummer zu bringen~Boyer Paris Saphir≪B≫2"f3.5 modL39 uncoupled~

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さて、今宵のご紹介は予告通り、工房製の改造レンズ、Boyer Paris Saphir≪B≫2"f3.5の登場となります。
このレンズ、言わずと知れた往年のフランス製で、超ブランド品?のKinoptikeやAngenieux、そしてSom-Betiotなどの陰に隠れ、地味で電子湾でのお値段的にも決して正当な評価が付けられているとは思えませんが、さる通人のお勧めに従い、電子湾の夜釣りで釣り上げ、入手したものです。
ただ、着いた当初は前後の玉とも埃や脂、そして煙草のヤニと思われるような汚れ、そして中の絞り前後のエレメントも絞り機構のオイルの揮発ないし撥ねと思しき汚れの膜が覆っており、全分解してエレメントのクリーニングと内面反射防止対策を行いました。
そういった手当の甲斐あってか、かなりコントラストも改善され、フレアも少なくはなったのですが、それでも、長年の酷使によるものか、最後面のコーティングもずるずる状態で光に透かすと、前玉にも薄っすらと磨き傷が認められるので、とりあえず現況でマウントをつけて試写し、しかるのち、光学系再生のプロの手に委ねようと考えた次第。
ところで、この玉の出自と仕様ですが、生まれはフランスで1950年半ばから後半、自社では製造出来なかったようで、Som-Bertiot社での委託生産とのことで、構成は4群6枚で両外群が貼り合わせのいわゆるオルソメタータイプの対称系です。
では、4月のストックフォトで入院前の実力?を見て参りましょう。
カメラはX-E1により絞り優先AE、全コマ開放撮影です。

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まず一枚目のカットですが、古河のもも祭りに撮りに出掛ける前に、まずは腹ごしらえとばかりに、駅からゆっくり歩いて15分弱の鰻&川魚料理の名店「たたみ家」さんに歩きながら色々と寄り道しているうちに桜の樹が立派なお寺のすぐ近くの飲食店の店先に咲く花々がきれいだったので、試写してみたもの。

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二枚目のカットですが、駅からの道中、道から見て境内の桜がちらほらと咲きかけていた名刹にお邪魔し、本堂裏の墓地界隈の桜の樹の下まで辿り着き、見上げる格好で、薄ピンクの桜の花を空を背景として数枚撮ったうちの一枚。

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三枚目のカットですが、お寺での桜撮影を終え、再び、「たたみ家」さんへの道を辿り、駅から続く広い幹線道路伝いに歩いていると、祭り用を中心とした提灯、雪洞の類いを商うお店が目に留まったので、最短距離付近での試写の目的も兼ねて、店先の商売物の提灯を撮らせて頂いたもの。

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四枚目のカットですが、同じく「たたみ家」さんへの移動の道すがら、通りまらちょっと入ったところに、いつものメンバーならおのずと好みそうな昭和40年以前系のトタン外装のアパートが小奇麗な表通りの繁栄から取り残された、それこそ、そこだけが異界の如く佇んでいたので、デテールの再現性なども見たかったため、フレーム一杯に入る前提で試写してみたもの。

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五枚目のカットですが、無事、「たたみ家」さんでふっくらとした旨い鰻重をご馳走になり、身も心も充実したキブンで駅前のシャトルバス乗り場に歩いて戻る道すがら、街の様子など撮っていたのですが、ちょうど、黒尽くめの土蔵の背景に現代的な超高層マンションが聳えているアングルが有ったのですかさず一枚撮ってみたもの。

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六枚目のカットですが、会場に着いて、時間まで自由行動で撮りましょう、ということで、会場内を徘徊しながら、桃の花のみならず、来訪者などで面白そうな被写体などないか鵜の目鷹の目、探していたら、陽光を燦然と照り返している、白毛犬ことピレネー犬と、その大きな肢体の横では小型犬にも見えてしまいそうなゴールデンレトリバーが日向ぼっこしていたので、何枚か撮らせて貰ったうちの一枚。

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七枚目のカットですが、同じくもも祭りの会場である古河総合公園では、利根川のすぐそばの湿地帯エリアというロケーションもあって、園内には大小の池沼やクリークなどが配されており、いつもの撮影スポットである手動ポンプのところで、おそらくは地元のよゐこが水をくみ上げる肉体労働に勤しんでいたので、輝く水面を背景に一枚頂いたもの。

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八枚目のカットですが、最短距離での試写として、園内の池沼を背景として、今を盛りとして咲き誇る桃の花のクローズアップを撮ってみたもの。

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九枚目のカットですが、やはりおフランス製のレンズですから、おフランスと云えば印象派の絵画、そんなモチーフで田園地帯を撮ったらどうなるか、無限付近での結像と画面全体の画質の均質性も確かめたかったので、もも祭り会場奥の、毎年、熱気球試乗コーナーが設けられていた辺りから南東方向の一番大きな池沼の岸辺と池沼にかかる橋を撮ってみたもの。

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十枚目のカットですが、公園南方面の最大の池沼の畔を一人散策しながら、おフランスのレンズの得意とする?風景を撮り歩いていたのですが、公園内最大の池沼の東の果てまで辿り着いてしまったので、池沼の中の浮島のようなところに建てられた東屋のような建物と、護岸の岩石などを水面の反射なども入れて撮ってみたもの。

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十一枚目のカットですが、もう4~5年は通っていた古河もも祭りではありましたが、公園南側の古民家園には訪れたことがなかったので、何か面白い画でも撮れるかと、同行の愉快な仲間達を誘って古民家園に来てみれば、ちょうど、もも娘の小姐達が、観光協会の指示により団体見学客の供応に出て来ていて、記念撮影なんかも一緒にやっていたので、相乗りとばかり後ろから一枚頂いたもの。

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十二枚目のカットですが、同じく公園内の古民家園にて、前ボケの具合いも見たかったので、古民家の茅葺屋根を柴垣超しに撮ってみたもの。

今回の感想ですが、まぁ、可能な限りクリーニングして、コバ塗りや内面の反射防止をやったとしても、後玉や前玉の研磨再コートをして乱反射対策を徹底しないと、こんなもんでしょう・・・というカンジで、数か月後に光学系の再生が出来たら、再びビフォー&アフターとばかり、改善結果をご紹介したいと思います。

さて次回は久々に工房付設秘宝館から、国産の古い玉の描写でも紹介しましょうかね、乞うご期待!!
  1. 2016/06/19(日) 17:31:09|
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Amazing rebirth of Japanese enthusiastic optics~Aires Coral 4.5cmf1.9 mod.M uncoupled~

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さて、今週のご紹介は予告通り、工房製品行きます。
このレンズ、フィルタを嵌めているため、ちょいと見ずらいかも知れませんが、銘板には「Aires Coral 4.5cmf1.9」と刻印されています。
少しでも、国産カメラにお詳しい方であれば、え、Airesって、ライカマウントの玉って出してたっけ???とその異常さに驚かれると思います。

それもその筈、元々はレンズシャッター付きのヂャンクから、ほぼ新品を作る手間を掛けて再生したのですから。

元々、新宿東口駅前の山岳系の店名のお店を毎回覗くと、結構な珍品を信じられないような値段で買えることが年に数回あるのですが、このAiresの玉も前玉には擦り傷、無可動のレンズシャッターに前後のブロックが付いた状態でヂャンク箱の中に誰にも省みられることなく転がっていたのを、最初は前にKodakのシグネットでやったことがある、絞り機構以外のレンズシャッター内部部品を外してしまい、云わばどんがら状態のレンズヘッドにヘリコイドをつけてしまえば良いだろうと思い買って帰り、その週末には大久保の名人の元に持ち込み、エレメントの修復を依頼したのでした。
ところが磨き&再コーティングから上がってきて、首下のネジに合わせて、削りだしたシャフトを合わせようとしたのですが、これがなかなか上手くいかない上、絞り機構も妙に引っ掛かり感があって、得心出来なかったので、他にも魅力的なレンズヘッドの在庫が複数有ったため、数年間、防湿庫の中で眠りについていたのでした。
そして、この工房主に有りがちな、”降りて来た系”の閃きがあり、前後の光学アッセンブリを別の鏡胴に嵌めて、その間に絞りを入れれば良いと、まさに深川アナスティグマットシリーズ1~6号機までの開発ノウハウを活かした加工法で再生すれば良いと気付いたのですが、はてさて、それは削り出して、絞りを入れた上で前後にネジ切って光学アッセンブリを装着するのか、或いは何か既存のものを使って、径の違いをネジ付きスペーサ削り出して、それを噛まして装着するのか?・・・結局、基本構想から工作着手まで更に数週間を要し、既存の有りふれたヂャンクの鏡胴を使って再生すると決めてから、また前後のクリアランスを割り出すのにも手間取り、結局、通常の改造の3本分以上の手間隙を掛けた挙句、この稀有なレンズが甦ったということです。

このAires Coral4.5cmf1.9というレンズ、1957年にアイレス写真機製作所から発売されたアイレス35IIILというレンズシャッタ-式レンジファインダカメラのレンズで、4群6枚、素人眼には当時のキャノン、ニコンとも遜色のない良い硝材が採用されているように見えます。

では、約58年ぶりに甦り、21世紀の景色を撮ることになった、当時の外貨獲得の担い手、Aires Coral 4.5cmf1.9の写りを夏の浅草の景色とともに逐次追って参りましょう。

カメラはFuji X-E1、全コマ開放による絞り優先AE撮影です。

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まず一枚目のカットですが、浅草寺境内は本堂前のご焼香を行う、屋根付き巨大線香立て付近、手水場をバックに何がしか語らい合う、異国のいたいけな若者達のグループの様子を捉えてみたもの。

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二枚目のカットですが、浅草寺本堂を背にして、宝蔵門に向った方向で、自らのスマートホンで精一杯腕を伸ばして晴れ姿を撮ろうとしていた関西からの健気な小姐二人組に声を掛けて、シャッター押して上げる代わりにモデルさんになって貰ったもの。

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三枚目のカットですが、浅草寺境内から南南東の方向に位置する弁天堂の前の道、仲見世の東側側道に面した店舗前で、お堂の階段での童子達の追いかけっこに疲れたのか、軒先で、息も荒く、一休止している、いたいけな地元民の極小姐の後ろ姿を捉えてみたもの。

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四枚目のカットですが、同じく仲見世の東側側道では、観光客を載せた人力車がバンバン通るのですが、たまたま、この通りに面した何箇所かの説明スポットである旧「暮れ六つ」の前で、ここで行われる料理と江戸演芸について、若い車夫さんがたどたどしいカタカナ英語で一生懸命説明したあと、それヨイショ!と走り出す刹那を捉えたもの。

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五枚目のカットですが、途中から仲見世に戻り、雷門方面に歩くと、いつもの撮影スポット、美人茶屋「あづま」さんが道の向って右側に在り、店頭では年端も行かない小姐各位がかいがいしくきび団子やら、甘酒やら、青汁、もとい冷やし抹茶を観光客相手にひさいでおり、今回はその裏手のイートインスペースで、幸せ一杯オーラを放ちながら、冷やし抹茶ときび団子を堪能するカポーの様子を一枚戴いたもの。

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六枚目のカットですが、同じく美人茶屋「あづま」さんの店頭、仲見世に面したきび団子売場で、中国から来た健気な小姐が飲みかけのペットボトルの緑茶も放っぽり出して、カウンター越しの和装のギャルソン小姐から、きび団子と冷やし緑茶を買い求めようと、財布から慣れない異国の小銭を取り出して支払っている様子を一枚戴いたもの。

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七枚目のカットですが、雷門前で暫し佇み、画になりそうな被写体の登場を待っていたら、渋めの柄の浴衣にアップの髪型もバッチシ決まった、小柄でイケてる小姐が独りで、下駄の音もカランコロンと、ゲゲゲの鬼太郎か、牡丹灯篭のお露さんかとばかり軽快に響かせ通り過ぎて行ったので、追い縋りざまにその粋な後ろ姿を一枚戴いたもの。

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八枚目のカットですが、もう陽も傾き掛けて、人工光が目立ち始めた時分、雷門周辺にたむろする商売熱心な車夫諸兄は、スマホンやら、コンパデヂで記念撮影をせんと欲する、いたいけな小姐達を目ざとく見つけては、ビヂネスチャンス到来とばかり、まず、無償でシャッタ-押して上げて、しかるのち、思い出作りと云えば、人力車みたいな非日常体験がもってこいですよ♪などとセールストークも巧みに乗車へと勧誘していくのですが、雷門提灯真下で行われていた、その勧誘の様子をちゃっかりと一枚戴いたもの。

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九枚目のカットですが、陽も暮れて、辺りもとっぷりと暗くなりかけてきた、雷門の全景を道の反対側の歩道の上から捉えてみたもの。

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十枚目のカットですが、深川への帰り道、営団地下鉄銀座線の乗り場へと繋がる、日本最古の地下商店街のひとつ、浅草駅地下街の様子をノーファインダで捉えてみたもの。

今回の感想ですが、実は、オリヂナルの状態での写りを見たことがないので、周辺がちょい甘いとか、ハイライトが若干滲むという、今回の試運転で出た特徴が、果たしてクリアランスの違いによるものなのか、或いは、もともと開放では撮らない前提でこんなものなのか、いまひとつ判りかねますが、何れにせよ、この加工法、即ち、リハウズィングが、死にかけたレンズシャッター機の希少レンズ復活の有効な治療法であることは判りました。

さて次回は秘宝館から何か紹介しましょうかね、乞うご期待!!
  1. 2016/01/31(日) 17:34:44|
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I'm back~Fukagawa Anastigmat IIIa 50mmf2~

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さて、今宵のご紹介は、旅写真が入ったりで延びてしまいましたが、先に工房導入初の富士フのAE/AF純正レンズSuper EBC XF Fujinon23mmf1.4Rと伴走して改善結果をテストした、Fukagawa Extra AnastigmatIIIの改良版IIIaの実写結果をお送り致します。

このレンズ、今を去ること2013年の11月に産声を上げ、ほぼ同時にレストアから上がったPetri55mmf1.8と浅草で並行テストを行ったのですが、さすがメーカー純正レンズに、画質の均質性という、当工房では一番大事な評点でボロ負けで、暫くお蔵入りになっていました。

ところが、何かの弾みで当時の実写結果を見てみると、色収差と画質の均質性から見れば、箸にも棒にも掛からないダメダメガラクタレンズだったのですが、ただ、中央部の解像度が素晴らしく高かったので、何とかしようと考え、そして、一番最後の緩めの凸レンズを別のものに交換してクリアランスなども変更し、何とか、マイルドな描写特性に治せたのかな・・・というところです。

したがって、構成はオリジナルの設計、製造時と同じ4群7枚の、絞りから前がゾナータイプ、絞りより後ろがオーピックタイプという変則光学系のままです。

ではさっそく実写結果、見て参りましょう。カメラはX-E1、全コマ開放による絞り優先AE撮影です。

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まず一枚目のカットですが、いつも展示作品よりも目を奪われてしまう、乃木坂は新国立美術館の内部の構造を逆光でシルエット気味に撮ってみたもの。
こういう構図だと、周辺の崩れは目立たないのであまりテストにはならないですね。

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二枚目のカットですが、富士フの本社ギャルリとXシリーズのショールームの在る、ミッドタウン前のちょっとした広場の孔の開いた大きなオブヂェ越しに通行人各位が孔の真ん中に来た頃を見計らって撮ってみたもの。
前の仕様ではこういうハイライト部の周辺には、色滲みが出て、ちょいと幻滅しましたが、この仕様に変えて、だいぶ緩和されたようです。
ただ、周辺は外方向へ相当流れるような結像の崩れが認められます。

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三枚目のカットですが、場所を日比谷公園に移してに試写ですが、真っ先に目に付いた、愛くるしい武人埴輪氏にモデルになって貰いましたが、ここでも、周辺が流れに流れてはいますが、破廉恥な色滲みなどはだいぶ改善が認められます。

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四枚目のカットですが、最短撮影距離付近で公園内の馬酔木みたいな花を撮ってみたのですが、ちょいピンが甘いこともあり、結像自体が緩いですが、それでも、背景の点光源のボケ方の面白さは良く判るサンプルになったのではないかと思います。

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五枚目のカットですが、これも同じく公園内のスズランみたいな花を公園内の松本楼と苔むした古木を背景に撮ってみたものですが、風があって被写体ぶれが起こってはいますが、それでもヘンなフレアとかゴーストもなく、それなりに雰囲気の有る描写にはなっていると思います。

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六枚目のカットですが、広場を抜け、木立の中の小径を歩いていたら、突如視界が開け、池と、その中央の鶴舞う形の噴水が見えたので、これも格好のテストパターンと思い、木陰から一枚撮ってみたもの。
さすがに木漏れ日は盛大なフレアとなって、シルエットとなるべき木の葉を食ってますが、この構図であれば、周辺の流れはそれほど気にならないと思いました。

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七枚目のカットですが、池の周りを通り、野外公会堂でのイベントを横目に見ながら再び、広場迄で出たら、公園名物のベンチに様々な人々が腰掛け思い思いの時を過ごしていたのですが、就活が思うように捗らないのでしょうか、ポニーテールの白皙の若いアガシが放心状態でベンチに座っていたので、心の中で応援しながら、背景から一枚戴いたもの。
ピンを合わせた耳の周りはクリアで素晴らしい解像力を発揮してくれていますが、ほぼ同一焦点面に近いベンチの下半分はぐずぐずに崩れてしまっています。

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八枚目のカットですが、日比谷公園から帝国ホテル前を通り、日比谷シャンテ前まで歩いて来たら、いつものゴジラ像が珍しく観光客に取り囲まれていなかったので、XFフジノンでキチンとしたカットを撮って、こちらでは、画面の流れを逆手に撮って、怪獣映画風に演出しようと考え、遠方のクレーン先端にピンを合わせ、アンダー目の露光でゴジラをシルエット風に撮ってみたもの。
こういう使い方だと前ボケがとても柔らかく均質で、面白い使い方が出来るのではと思いました。

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九枚目のカットですが、日比谷から有楽町に抜け、ここも銀座界隈ではプロ、アマとも有名な撮影スポットとなっている、ガード下のレトロ居酒屋ホールの中を狙い、真ん中のスキンヘッドの怖そうなヲヂさまに心の中で手を合わせて、EVFの中でピンも合わせて一枚戴いたもの。
ホントは低めのコントラストのモノクロでの表示が良かったかも知れませんが、こういうシーンというか構図だと周辺崩れても、前ボケがマイルドで同一焦点面の被写体が中央付近に寄っているので、演出的にはアリかなと思いました。

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十枚目のカットですが、さすがに有楽町駅前も電気ビル前までくれば、フランチァイズも同様ですから、観光客にも余裕で声掛けられますから、さっそく、電気ビル前の花壇に腰掛けて観光地図なんか読んでいた外国人一家の、なかなか洒脱なカンジのヲヤヂさんにハンドメイドのレンズのチューニングのテストにお子さんを一枚撮らしておくんなさいと声掛けたら、ノープロブレム!ということで、一枚撮らして貰ったもの。
真ん中の極小姐の目にピンを合わせて撮りましたが、ほぼ同一焦点面に居た、兄ちゃんの顔がやや流れ気味なのが残念でした。
発色はだいぶ良くなっていると思います。

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十一枚目のカットですが、これが今回の最大の謎なのですが、信号待ちの白いサマーレ-スの清楚な小姐の後ろ姿を狙って撮ったのですが、その甲斐あって、頭からベルトくらいまでは満足行く解像力を発揮してくれていますが、そこから下はお約束通りのぐずぐず、しかし、遥か彼方のビックカメラ前の交差点で待つ人々はかろうじて顔の造作が見分けられるくらいに解像されているのです。
もしかして、ピンが合う位置が複数あるのかな、とか不思議な感覚を覚えたカットでした。

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十二枚目のカットですが丸の内仲通りを大手町方面に歩いていたら、オフィスビルの1階部分で営業しているカフェレストで、随分とシュールで洒脱なオブヂェをテーブル上にデスプレイしていたので、傍らのギャルソン氏に声掛けて一枚撮らして貰ったもの。
このカットでは、滲みも周辺の流れも全くと云って良いほど気にならず、ふつうに使えるレンズぢゃね?とか思ってしまいそうです。

今回の感想ですが、まだまだ改善の余地有り、構成的にはIV号の前後別の用途のレンズのエレメントを組み合わせたオーピック形式が一番性能良く出来たのは検証済みなのですが、ただ、こういう面白い形式は改良の楽しみがあるので、ヒマ見つけては直して、経過報告していきたいと思いました。

さて次回のご紹介は、先般、四万温泉のお供に行った、あの子はもう16年近く付き合ってるのに、まだ1回もここで紹介してなかったぁ・・・ということで、近場でフルサイズ機で以てロケしてご紹介します、乞うご期待!!
  1. 2015/06/28(日) 19:58:57|
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One of the strongest triplet in the world~Astro-Berlin Kino-Hyper5cmf3 mod.L~

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さて、今宵のご紹介は、何回かイベント撮影での非正規登場はあったものの、その姿が公開されずにきた、Goertz Kino-Hyper5cmf3改Lいきます。

このレンズ、産まれは1939年、Bolex用の望遠レンズとして、かつてドイツに存在した、ゲルツ社がリリースしたトリプレットタイプの光学系です。

エナメルの黒塗りも美しいこの小ぶりなレンズヘッドは、来日当時は経年劣化による硝材の酸化のためか、表面がごく僅かに白濁していたので、大久保の名人にお願いして研磨、最コートしてもらい、このような宝玉の如き美しい佇まいに戻ったものです。

で、その写りや如何に?・・・昨年の成田祇園祭りのストックフォトから、実写結果を追っていくことと致しましょう。
カメラはR-D1s、全コマ開放による絞り優先AE撮影です。

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まず一枚目のカットですが、成田山新勝寺へは結構アップダウンのある参道を辿って向うことになるのですが、その途上、ちょうど、木造の元宿屋、今は川魚料理屋になっている店舗が立ち並ぶ辺りの手前で通りの様子を撮ってみたもの。

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二枚目のカットですが、参道を暫く歩いていたら、如何にもキャンペンガールっぽい風情の小姐2名が佇んでいたのが目に留まったので、もしや何かお役に立てることでも、とか声掛けて、ぢゃ一本呑んで感想聞かせて!ということで、レッドブルなる精力飲料を馳走になり、お近づきの印に、とか一枚、正確には、ヘキサノン35mmf2.8+X-Pro1でも撮っていたので、二枚撮らせて貰ったもの。

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三枚目のカットですが、参道沿いの店舗兼住宅前でいたいけな童子3人が祭り装束の写真をデヂカメで撮るのに、一人がシャッター押そうとすると、三人揃って撮れないので、どうしようと困っていたので、シャッター押して上げたついでに、おぢさんにも一枚レンズテストで撮らしてね、と云って協力して貰ったもの。

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四枚目のカットですが、声掛けて正面からのポートレートだけでも面白くないないので、歩きながら、露店に集う人々の横顔とか、後姿なんかも遠慮がちにバシバシ撮っていたのですが、ちょうど日なたの位置に出ていたラムネ等清涼飲料水販売業者さんの露店に集う兄ちゃんと極小姐達が陽光に燦々と照らされ、イイ雰囲気だったので、横顔を一枚戴いたもの。

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五枚目のカットですが、また参道を山門方面に向かって歩いていると、お揃いの祭り装束のいたいけな姉妹が目に留まったので、すたすたと歩み寄り、74年前のレンズをテストしているのだけど、モデルさんになってくんない?とか単刀直入に勧誘したら、マヂ~?面白そう!とかノリノリでモデルさんになってくれたもの。

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六枚目のカットですが、参道の途中で、焼き鳥なんか焼きながら売っていて、結構若いお客さんで繁盛していたので、その様子を一枚戴こうと音も無く車道から歩み寄り、渾身のシャッター切ったら、只ならぬ雰囲気を察知した、いかにも千葉辺りによく居る、気の良さそうな小姐がレリーズの瞬間にこっちを向いて、撮り終えた頃にピースなんかしてくれちゃった、という惜しい一枚でした。

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七枚目のカットですが、参道の途上の露店でテントの下で、かき氷なんか商っていて、シロップ掛け放題!といういかにも太っ腹なお店があり、そこに浴衣の極小姐が、削って貰った氷にシロップなんか掛けようとしていたので、傍らの若い親御さんにお願いして至近距離で一枚撮らせて貰ったもの。

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八枚目のカットですが、山門付近まで来たら、木彫りの彫刻も眼に鮮やかな山車が停車していたので、至近距離まで歩み寄り、燦々と降り注ぐ陽光に照らされ登り龍の彫り物と町会の提灯をモチーフに一枚戴いたもの。

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九枚目のカットですが、新勝寺境内にもかなりの数の露店が出ていて、そのうちの赤いテントの中では、昔懐かしい、コルク栓の射的なんかやってて、しかも、いたいけな童子達が集い、結構熱くなって遊んでいたので、端から一枚戴いたもの。

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十枚目のカットですが、本堂まで登って集結した山車の写真なんか撮って、また参道を戻る途中、とある店舗店頭の太鼓叩き体験コーナーみたいなところで、太鼓を叩く演技をしながら、健気にも道行く観光客に自らの姿を撮って貰いたいがため、キョロキョロと挙動不審な童子の姿を一枚戴いてみたもの。

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十一枚目のカットですが、お団子髪から足袋までバシッと祭り装束に身を固めた、まだ若いオモニが、まだ幼い我が子を背に担ぎながら、咽喉が渇いて仕方なかったのでしょう、冷水に清涼飲料水を浸して商っていた露店の店頭で物欲しげに眺めていたところを一枚戴いたもの。

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十二枚目のカットですが、作戦行動も終わり、京成成田駅前のドトールで茶などしばいて、さぁ、電車に乗って、お江戸さ戻っぺかと再び歩き始めら、思い思いの浴衣に身を包み、エステの客引きなんかしていたちょっと派手目ないかにも千葉小姐ってカンジの二人組が目に留まったので、かくかくしかじかでモデルさんになってよ!とかうどん県副知事ばりの特殊交渉術で交渉し、このように仲良くツーショットとなったもの。

今回の感想としては、いやはや、トリプレット恐るべし、トリプレットでここまで写るなら、ガウス、ゾナーは勿論、テッサーである必要すら疑いたくなってしまいます。そういう枚数多い光学系の唯一のアドバンテージは、CanonL50MMF1.2とか、NOKTON35mmf1.4SCが示すように、背景から浮き立ったような輪郭の描写くらいなのでしょう。記録用途として写実的な描写が求められるのであれば、この玉のような描写で十分かも知れません。

さて、来週は、再び、工房附設秘宝館から何かご紹介致しましょう。何が出るかはお楽しみ、乞うご期待!!
  1. 2014/10/26(日) 23:10:05|
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Born for military but loving peace for ever~Fastax Raptar2"f2 mod.L39 by F.G.W.G.~

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さて、今宵のご紹介は、久々に工房作品の紹介です。
このレンズ、加工自体は3年以上前に上がっていたのですが、何せ、競合ひしめく50mmクラスでは、出番が少ない上、どうしても国内外の出張撮影だと、広角主体になってしまっていたので、なかなか登場の出番が回って来なかったというのが実情です。

米国Wollensak社製のレンズは過去にも、Oscillo Raptar51.6mmf1.5、Enlarging Velostigmat2"f2.8、Duplication Velostigmat2"f2と数回ご紹介しましたが、個人的には、同じ米国でも、限りなくドイツ製に近いテイストを持つ、Bausch & Lomb社発売の米国Goertz製のBaltar系列の方がどちらかと云えば好みなので、どうしてもそちらを持ち出してしまう、という傾向もありました。

この軍用グレーも精悍なごつい鏡胴のレンズ、既に色々な文献やサイトで紹介されているので、ここでくづくど氏素性を書き連ねることはしませんが、生まれは1950年代の米国はロチェスター、目的は、16mmの超高速撮影カメラであるFastaxの交換レンズです。

そのFastaxというのは、終戦間際から、弾道やら、爆発物の挙動等を調べるために開発された軍用品らしく、戦後は日本にも入って来て、昭和30年代初頭の故糸川博士のペンシルロケット以降のロケット研究にもBell&Hawell社のカメラ共々お役に立ったことが知られています。

構成は4群6枚のプラナータイプ、ただ、分解、清掃し、また山崎名人のエレメントの再生をお願いした後、深川基準の反射防止塗料塗布のため、中を開けましたが、4群め、即ち最終エレメントがやけに厚かったと記憶しています。

では、早速実写結果を見て参りましょう、本日は天気が大荒れに荒れるとの予報もあったため、レンズ加工に勤しみ、ブログでの写真は、今年3月の古河桃祭りのストックフォトです。

カメラはR-D1s、全コマ開放による絞り優先AE撮影です。

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まず一枚目のカットですが、古河桃祭りの会場は湖沼地帯だけあって、そこここにクリークが流れており、その浅瀬近傍には、手汲み井戸が有って、オモニ達が、文字通り井戸端会議している近傍でいたいけな童子達がヒマを持て余して遊んでいたので、オモニ達に声掛けて、どうぞご自由に、ということで、カメラの前に童子達を残し、横に引いたので、では遠慮なく、と一枚戴いたもの。

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二枚目のカットですが、色んな人間がクリークの浅瀬伝いに歩いてくるので、暫く、そこで被写体を張っていたら、来ました、来ました、いたいけな乳児の片手を岸から引いて、中腰でお散歩してくる初老のご老人が目に留まり、一枚撮らせてね、と声掛けて、微笑ましい光景を撮らせて戴いたもの。

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三枚目のカットですが、この玉は元々、ストロボとシンクロして至近距離の被写体を捉えるのがお仕事ですから、ピーカンの桃の花を最短距離で撮ったら、どうなるか試してみたもの。レンズはそこそこまともに捉えましたが、R-D1sのISO最低感度200とシャッター速度1/2000ではやはり露出オーバーでサチュレートしてしまったようです。

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四枚目のカットですが、池のほとりで桃の花そっちのけでスマホンでメールだのゲームだのに打ち興じる、いたいけなローカル小姐2名組が目に留まったので、せめて横顔なぞ、と借景モデルさんになって戴いたもの。

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五枚目のカットですが、桃祭り会場は元々自然を最大限生かした公園なので、当然のことながら、木製の遊具などが設置されており、まだ風雅を解するお年頃になっていない童子達は、近場とは云え、日頃、家に寄り付かないヲヤヂさんと遊べてご満悦状態のようで、このいたいけな小々姐も傍らのヲヤヂさんに声掛けたら、一人でも大丈夫だよな、とか手を離し、さぁどうぞ!と云うことなので、将来の親離れを支援する気持ちも込め、一枚戴いたもの。

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七枚目のカットですが、桃祭り会場本部テントそばのイベント広場で、大道芸みたいなのをやっていると聞き、何か面白い画が拾えれば、と思い直行したら、案の定、重ね台乗りの軽業師の兄ちゃんがちょいと可愛い極小姐が最前列に居たのを目ざとく見つけ、即席アシスタントに仕立て上げ、パフォーマンスの傍らに引っ張り出したのはイイのですが、緊張と、そもそも何やったらイイのか判らず戸惑っている姿を観客席から一枚戴いたもの。

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八枚目のカットですが、大道芸会場を後にし、またしても公園内を徘徊していたら、池の方面にヲヤヂさんの手を引き、嬉々として駆けて行こうとする、健気な童子とヲヤヂさんの微笑ましい姿が目に留まったので、自然を背景に一枚戴いたもの。

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九枚目のカットですが、祭り会場である公園の中央部にはかなり大きな築山?があり、そこには大人の膝よりちょい高い程度の植栽が植えられ、その植栽の間に上下左右のけもの道みたいなものがあり、下で見ていると、時折、追いかけっこでもしているのでしょうか、いたいけな童子達が喚声を上げ駆け下りてくるので、その様子が面白げだったため、下で待ち構えて一枚戴いたもの。

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十枚目のカットですが、築山の西側斜面にはかなり切り立った岸のクリークがありますが、そこを挟んで追いかけっこをしていた、いたいけな童子達が居たので、クリークを跳躍するところでも捉えてやろうと、張ってたら、案の定、大声ではしゃぎながら走って来て軽々と飛び越えるいたいけな小々姐が居たので、一枚戴いたもの。

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十一枚目のカットですが、西側出入り口、即ち、シャトルバス発着場所近くのステージでは、よさこいパフォーマンスみたいなものをずっとやっていたのですが、応援隊と思しき、お揃いのコスチュームに身を固めたけなげな極小姐2名の姿が目に留まったので、横顔を一枚戴いたもの。

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十二枚目のカットですが、お祭り会場からバス発着場に歩いて行く途中に田園風景のような景色があったので、これもまた一興ということで、近接撮影用と云われて来たこのFastaxの無限域での性能を見るため、一枚シャッター切ってみたもの。

今回の感想は、コマ収差なのか、内面反射がまだ残っているからなのか、厳密には断定出来ませんが、50mmf2クラスではちょいと甘めの結像で、カリカリの手が切れるような輪郭描写が大好物の工房主の趣味では、なかなか出番が回ってきそうにないですが、使い方によっちゃ面白い玉かも知れません。例えば、台湾の古建築巡りにR-D1sのモノクロモードでお供したら、とか。

さて、次回は攻守交替、工房附設秘宝館から何かご紹介します、乞うご期待!!
  1. 2014/08/31(日) 19:59:42|
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Rätsel der Geschichte japanischer Optik~Ofunar5cmf3.5mod.L39~

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さて今宵のご紹介は、金曜日から続いた関東地方の大雨の影響により、作例作りに出かけられなかったため、予定変更し、急遽、名実ともに"隠し玉"いきます。

このレンズはかつての大船光学が、引伸用として戦後まもなく開発したとされている4群4枚(異説有り)の光学系で、どうやら、オリジナルは前身の富岡光学大船製作所の頃に設計されたカメラ用レンズらしいです。

らしい、というのも、このレンズも大船光学自体もまだ研究が進んでおらず、そのためか、かなり良い状態で、値段も捨て値と言っても過言ではない値札付いた状態で新宿の某カメラ市場の引伸レンズ/ヂャンクの棚にこれ見よがしに置かれていましたが、誰も省みる人がおらず、たまたま目に付いたので、工房主が値段が値段だから・・・というアヴァンチュールキブンでお金を払い、家に連れ帰ったという次第。

しかし、改造しての初デビューが異例のM8をパートナーとしての街撮りでしたが、英国のCooke社や米国Wollensak社の同時期のトリプレットを蹴散らす、超高性能ぶりを発揮してくれたのです。

では、早速実写結果見て参りましょう。ロケ地は先週末のものと同じ「京島」です。撮影条件jはカメラM8、絞り優先AEでのオール開放撮影です。

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まず一枚目のカットですが、路地裏を散策していたら、イイ案配に枯れたトタン屋根壁の住居とその壁面に、これも味のある消火器収納函が目に付いたので一枚戴いたもの。

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二枚目のカットですが、同じく京島二丁目の迷路のような路地裏を彷徨っていたら、「甍の波と雲の波」ならぬ、七重八重のトタン屋根の山脈が目に留まったので、一枚戴いたもの。

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三枚目のカットですが、ここ京島は、深川に比べれば、遥かにスカイツリーに近いので、少しでも南に開けた路地があれば、このように、突如として、この街並みとアンマッチなカンジが漂うスカイツリーが顔を覗かせている、と云う状態を撮ってみたもの。

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四枚目のカットですが、今も残る京島二丁目名物の長屋造りの店舗兼住宅の代表的ランドマーク、「安食屋豆腐店」さんをモチーフに一枚撮ってみたもの。

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五枚目のカットですが、前回、下見した時は見落としていたようなのですが、災害対策用の雨水汲上げ用人力ポンプのイイ錆びかけ具合いが目に付いたので、背後に回って一枚撮ってみたもの。

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六枚目のカットですが、午後の一番陽の強い時刻だったのですが、ちょうど、街で一番高いと言われる「マンモス滑り台」越しに世界一高い自立式鉄塔がその雄姿を誇っていたので、これを撮らない手はないので、真逆光であるにも関わらず手でハレ切りの上、撮ってみたもの。

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七枚目のカットですが、これもスカイツリーが民家の屋根越しにその巨大な姿を覗かせているので、引伸レンズは無限は全然ダメ、という俗説の反証の目的で無限の解像度を見る目的も有って、ツリーに焦点合わせてシャッター切ってみたもの。

今回の感想としては、う~ん、さすが富岡クオリティ・・・これぢゃ、カールツァイスもパートナーとして選ぶ訳だ、ということ。
そういえば、二年くらい前に富岡光学を京セラが買収して改名した、「京セラオプト」がミラーレス用レンズを開発するとか、さかんに喧伝していたのはどうなったのかな???

戦後まもなくのレンズがこれだけ頑張るんだから、本家カールツァイスも、そのライバルたるシュナイダやライカを超えるものをリーズナブルなお値段で出してくれてもおかしくはないと思うのですが。

さて、次回は、あやめ祭りで今週登場予定だったレンズも交え、大撮影大会、そのレポートお送り致します、乞うご期待!!
  1. 2014/06/08(日) 19:30:08|
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A toxic mashroom grown in Fukagawa~Fukagawa Extra III Anastigmat2"f2~

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さて、今宵のご紹介は予告通り、久々の工房作品をご紹介します。
といっても、今回のは出来合いのレンズブロックにマウント付けたり、或いはマウント換装したりという、ちょっと気の利いたマニアなら誰でもやりそうなおイタぢゃなく、完全自社設計光学系の第三弾です。
見た目は、冬にも関わらず、季節はずれの毒キノコみたいなカッコしていますが、前群がゾナーの2群4枚構造、後群が2群3枚のガウス構造で、そう、昔々のトプコール5cmf1.5だかの構成を参考に前をジュピター8Mのエレメント選抜隊、後をキャノン50mmf1.8の曇らない特製エレメント入りアッセンブリを使っています。
しかし、エレメントの硝材、曲率、そしてコーティングも合わせて専用設計したわけではなく、エレメントの組み合わせで前後アッセンブリを組み、そしてそのクリアランスを試し、焦点距離を51.6mm付近とし、像面湾曲を抑える、という大よそ21世紀の手仕事とは思えない手法で、またしても作り上げたという代物です。
では、そんな大人のおイタがどのくらい性能を発揮出来るのか、実写結果を見て参りましょう。
ロケ地は浅草、カメラはX-Pro1での絞り優先AEでのオール開放撮影です。

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まず一枚目のカットですが、銀座線の出口から上がって、雷門周辺でモデルさんを物色していたら、居ました、居ました、ちょいとヒネてて物好きそうな黒人がこれまたひと癖もふた癖もありそうな白人女性と口角泡飛ばしながら、胸にはX-E1にアダプタ経由、エルマーみたいなレンズつけてたので、卒爾ながら、と声を掛け、モデルさんになって貰ったもの。
撮らせて貰ったあと、この画像を見せ、アンタらは世界で一本しかないレンズで撮られたのだぞ、とか恩着せがましく教え諭したら、高かったろう、どこで買ったんだ?とか聞き返されたので、「殆ど手間賃、ハンドメイドで~す♪」とか云ったら、両手と顔を天に向け、何てクレージーなんだ、とか苦笑してウケてました。
周辺はかなり甘いですが、画面中央付近の解像度も色再現性も悪くはなく、まぁまぁ面白く使える玉だということが判りました。

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二枚目のカットですが、いつもご好意に甘えて、いたいけな店番の小姐達を撮らせて戴いている仲見世入ってすぐの「黍だんご あずま」さんの前でかいがいしく働く、ショートカット新顔の小姐のお姿を一枚戴いたものです。
ここでも、タングステン光と蛍光灯のミックス、そして外光も入ってくるというかなり難度の高い光線状態ですが、このキメラの子は全然お構いなく、X-Pro1の正確無比なEVFのクロップ拡大の力を得て、かなり忠実に、若い小姐の柔肌やら、愛くるしいピンクのコスチュームのテクスチャなど精緻に描き出しています。
また前ボケも、名だたる銘玉でも見苦しいものが結構有る中で、及第点上げられるレベルではないかと思いました。周辺が甘いのはここでも同じですが、まぁご愛嬌ということで。

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三枚目のカットですが、ここも定番撮影スポットのうち、あずまさんの北西に位置する扇屋さん店頭のオブヂェの図です。驚くことに11月に入ったいうのに、まだ夏の季語であるほうづきがこれ見よがしに飾ってあったので、いつもの団扇だけのカットとは若干アングル変えて撮ってみたもの。
ここでも、ピンを合わせた、かろうじていまだに色味が残っているほうづきの実は文句無く、シャープで色再現性も良いですが、周辺はコマ収差と像面湾曲の影響でえらいことになっています。尤も、離れた後ボケはなかなかナチュラルに融けるようなボケでそこそこ味わい深い、というのが不思議な現象ではありますが。

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四枚目のカットですが、仲見世をまた宝蔵門方向に歩いていたら、健気にも着物姿の小姐が二名、いそいそと歩いてきたので、またしても卒爾ながら、と声掛けて並んで一枚撮らせて貰ったもの。
向かって左側の小姐の左目の睫でピンを合わせていますが、本人の髪の毛に一本一本までかなり微細に描写してはいますが、このレンズ、或る程度以上、反射率の高い被写体は大の苦手と見えて、色白?の小姐のお肌の様子はかなり飛び加減でデテールは省略していますし、白の着物に至っては完全ハイライト飛びを起こしています

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五枚目のカットですが、伝法院通りを西に折れ、暫く行くと天丼の大黒屋さんの前辺り、伝法院の南の通用門の前のちょいと引っ込んだ辺りで複数台の人力車が停車し、観光案内なんぞやっていたので、これ幸いにとばかりに一枚戴いたもの。
ピンは二台並んだ奥の力車の姐さんの横顔で合わせましたが、この距離になると、周辺の流れというか崩れは結構目立つようになり、比較的きれいなものだと関心していた前ボケも周辺領域になると、像面湾曲やらコマ収差、非点収差なんかが入り乱れ、大変なことになってしまいます。

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六枚目のカットですが、力車が停車していたすぐ近くに番屋もどきの建物があり、その障子戸の脇には、時代劇さながらの防火用水桶が積まれています。
ここでは、ピンは中央付近の桶上の「伝法院通」の文字に合わせていますが、全体的にコマフレアが覆い、周辺はぐずぐず気味で、まさに収差のデパート、もとい、よろず屋さん状態です。

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七枚目のカットですが、また仲見世に戻り、浅草寺まで着いたところで、久々に経済復興でも祈願すべくお参りしようとか柄にもないことを考え、まずはお清めとばかり、手水場に寄ったところ、ここでもイイ光線加減の上、いたいけな童子に「ハィ、しっかりと手を清めてね♪」などとオモニが優しく教え諭しながら水など掛けてあげている姿がいかにも平和的で日本的風景そのものだったので、EVFのピーキングモードで決め打ちしたもの。
ピンは当然、いたいけな極小姐のご尊顔に合わせていますが、中は薄暗く、外からの自然光で水面はかなり反射し、また参道の石畳もそこそこ照り返す、という悪条件で、よくもここまで撮れたものだ、と改めてX-Pro1の高性能さにも関心してしまったものです。

今回の感想としては、出来たのは三番目ながら、石垣島に行った四号機や、江ノ島で活躍した五号機に先を越され、この佇まいからしてオリヂナルっぽい三号機の登場は生誕から1年近く経ってしまいましたが、X-Pro1との組み合わせで、R-D1sやM8と組んだ弟、妹にも負けない出来になったのではないでしょか。

さて、来週はまた続々新規入荷中の附設秘宝館コレクションのご紹介です。乞うご期待!!

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  1. 2013/11/17(日) 21:00:00|
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鐵幕從內部的鏡~PO59-1 50mmf2 mod.L39~

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さて、今宵のご紹介は予告通り、工房作品、かなり前から実機化し、海外にも連れ出していたのですが、今回初登場となる、旧ソ連製の謎の産業用レンズPO59-1です。
構成は5群7枚の前半分2群3枚、後半分3群4枚のいわゆる改良ズマリットタイプです。
このレンズ、コーティングの色や硝質などから判断するに1950年代半ばから60年にかけての製品と思われるのですが、何せ、工房にやってきた時の佇まいが物凄かった・・・
そもそも、取引有る旧CIS域内の業者から「大きなスリーブに入った用途不明のレンズが手に入ったが、あんたなら何とか使えるだろう、かさ張るので運賃掛かるが、その分値段安くするから買ってくれないか?」というオファーがあり、如何にも軍用特殊用途の匂いぷんぷんの怪しげな玉のハンディロケットランチャの子供みたいな無骨なスリーブ兼ヘリコイド?に入った姿の写真などを送ってきたので、硝質は悪くなさそうだったし、それに先に買ったPO3-3Mの性能がとても満足出来るものだったので、買った次第です。
幸いなことの米国産のミッチェルやアイモのように鋼製の盲ピンなどトラップもなく、通常の蟹目を駆使して、レンズブロックを外し、キャノンのヘリコに合体させ、絞りリングは真鍮丸インゴットから削り出して、ほらご覧の通り、アヤシゲなレンズの一丁上がりです。
では、このレンズの実質デビュー戦、昨年の成田山祇園祭からの実写例を見て参りましょう。
カメラはLeica M8 絞り優先AEでの開放撮影です。

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まず一枚目のカットですが、京成の駅から降りて、新勝寺の参道伝いに歩いて行ったら、これからお祭に出掛けようとしていたいたいけな極小姐がおばぁと兄ぃと仕度の最終点検なんざしながら、商店の店先で楽しく夢を語らい合っていたように見受けられたので、あいや暫し、と成田屋ばりに芝居がかった声をかけ、一枚撮らせて貰ったもの。
ピンは勿論、浴衣姿がばっちり決まっている、いたいけな極小姐のご尊顔に合わせており、同一被写界深度内のおあばぁ共々シャープにあますところなく可憐な姿をリアルに捉えていますが、前の兄ぃはオフフォーカス、当然の後ろの陳列商品もオフフォーカスとなっており、前後のボケとも悪くはありません。

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二枚目のカットは参道を歩き進んでいたら、かき氷なんか食べながら楽しく語らい合う、いたいけな小々姐二人組が眼に留まったので、すかざず出演交渉、一枚撮らせて貰ったもの。
このカットを久しぶりにしげしげと見て気付いたのですが、高緯度での日射量・時間の少ないエリアで開発、使用されたレンズであるためか、通常の50mmF2クラスの玉より、直射日光下でのハイライトが飛び易い傾向があるとの印象を受けました。
向かって左の小々姉の白いシャツはテクスチャが飛ぶ寸前ですし、右の小々姐の陽が当たる方の左側の頬も似たり寄ったりの状態です。

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三枚目のカットですが、参道途中の駐車場みたいなところを開放したミニ露店広場みたいなところを覗いてみたら、お揃いのワンピなんぞ着た、健気な極小姐姉妹がスーパーボウル掬いなどに打ち興じていたので、傍らの親御さんにお揃い素敵ですなぁ、一枚撮らせて貰いますよ、などと声掛けて、おもむろに一枚戴いたもの。
テントの下の低光量状態では、普通の銀塩撮影用の古レンズだとカラーバランス崩れたり、線描写自体も甘くなるものがよく見られますが、この旧ソ連製の謎のレンズ、あんたはヘソ曲がりかいな!?と突っ込みを入れてやりたく
なるくらい、色といい、コントラスト/階調再現性のバランスといい、秀逸に描写しています。

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四枚目のカットですが、これも参道脇の天津甘栗屋の前でお友達と待ち合わせをしているのでしょうか、いたいけな小々姐が約一名佇んでいたので、一枚撮らしてね、とか声掛けたら、ぢゃ、斜め後ろからなら、とか云っていたのですが、結局シャッター切った瞬間にこっち向いて、ばっちし写っちゃったんで、背面LCD見せて、どうする?とか聞いてみたら、あ、結構フツーに写ってるからイイです、とかお許しを貰っての掲載です。
このカット、まさにこのレンズの人物描写の性能を表しているのではないかと思います。
10歳かそこらの無垢な小々姐の健康的な小麦色の肌のハリやツヤ、そしてしなやかな黒髪の生え際の若々しい様子まであますところなく描き切っていると思いました。
また仄暗い店内のボケのナチュラルさも、この小々姐の愛くるしい姿を浮かび上がらせるのに一助買っていると思いました。

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五枚目のカットですが、参道を歩き切り、階段を上り、やっと新勝寺の境内に辿り着きました。
この日は最終日だったので、全ての山車、屋台の類いが全て本堂前広場の集結し、その華美さ加減を競い合っていたので、ちょうど、五重塔前に陣取った山車が岸和田のだんじりと見紛うが如きパフォーマンスを始めたので、下から一枚戴いたもの。
ここでは、ハイライトが飛び易い傾向は背面モニタで判っていたからでしょうか、EXIFデータを確認したら、露出補整を若干アンダー気味にして、撮っていました。
その結果、発色もコントラストもかなりイイカンジで、伴送機のR-D1sに装着していたBaltar35mmf2.3のコーティング付とほぼ拮抗し得るような艶やかなカットとなりました。

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六枚目のカットですが、本堂前からまたもと来た参道を辿って、駅に戻る途上、歩道上に設けられたベンチで休憩していた黒人の親子が居たので、声を掛けて一枚撮らせて貰ったもの。
時間的には午後も遅くになってはいたのですが、7月中旬のこと、参道上はまだ陽射しが結構強く、あいにく、こちらの写真撮る都合など通行人各位にはお構いなしですから、ちょうど、シャッター切ろうとした瞬間、レフ板並みに陽光を反射する白いTシャツ来たヲッサンが無慈悲にも後ろを通り掛かり、写り込んだ結果、露出をアンダーにしてしまいこの黒人のお父さんの優しげな表情はより描写が難しくなってしまったのですが、それでも、ソフトでちょちょちょいと露出補整して上げれば、ほれこの通り、このレンズはきちんと細部までシャープかつクリアに描き出していてくれたのです。

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七枚目のカットは参道をJR駅に着く手前で左に折れ、京成方面へ抜ける道の傍らの飲食店の店頭販売コーナーで楽しくお友達と買い食いをエンヂョイする、いたいけな下総小姐軍団の予備軍の雄姿?です。
せっかく、ハィ撮りますからね♪と声掛けてからシャター切ったのに、手前の極小姉はよほど空腹に耐えかねていたのでしょうか、一瞥もくれず黙々と串にかぶりつき、奥の極小姐は豪快に串にかぶりつきながらのカメラ目線でした。
ここでも、肌や髪の毛などは極めて精緻にテクスチャを描写していますが、白い生地の浴衣はやはりハイライトが飛ぶ寸前に見えます。

今回の感想としては、このレンズ、夏の働きはこんなもんでしたが、一昨年の真冬のソウル、氷点下15度の屋外での働きは目覚しかった・・・どんな光線状態でも、氷点下の屋外から、暖房効いた屋内に入っても、曇りも生ぜず、こんな頼りになる相棒は居なかった、ホント、改造技術を磨いていて良かった、こんな掘り出しものを自在に使うことが出来るのですから。

さて、次回はまた国産絶版レンズの発掘成果を発表したいと思います。乞うご期待。
  1. 2013/09/29(日) 17:17:58|
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Nostalgic but still practical~Biotar4cmf2 mod.M_uncoupled~

さて、今宵のご紹介は、ここのところ、ちょいと遊び歩き過ぎて、工房の作品である改造レンズのご紹介を随分とサボってましたので、久々の工房作品のご紹介行きます。
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このレンズは、元々はROBOT用のBiotar40mmf2でシリアルが224万番台ということはノーコートということもあり、まごうことなき戦前のツァイス製品です。
構成は4群6枚のオーピックタイプ、真鍮削り出しの小さくてもずっしりとした鏡胴に収まった「山椒は小粒でも」云々の当時では高性能の銘レンズでした。

このレンズ、これまで工房創設以来、防室庫の奥底で眠っていたのですが、その理由は、マウントネジ径とヘリコイドの直径の関係から、回転ヘリコイドを用いた傾斜カムによる距離計連動が物理的に加工出来なかったので、完全主義?の工房主は「目測レンズなんて・・・」とか思いなかなか改造に踏み切れなかったのです。

ところが、今年の秋口、お祭りシーズン直前にX-Pro1を入手し、遂に距離計との連動を考えずとも心置きなく撮影が出来る、ミラーレスの世界に足を踏み入れたため、それではということで改造を行ったという次第。


ま、距離計連動機構がなければ、元々ヘリコイドも絞りも有るいっぱしのレンズですから、専用のマウントアダプタを拵えたといった方が近いかも知れません。

もちろん、ミラーレスで使うからといって、無限出し等に手抜きをしよう筈もなく、ライカマウントカメラに装着すれば、目測ながら、距離指標を頼りに撮影も出来るのです。

なお、今回の作例は全てX-Pro1による絞り優先AEの開放撮影、ロケ地は先月の鹿沼祭りです。

では実写を見て参りましょう。
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一枚目は鹿沼祭りの二日目、R-D1sのBaltar35mmf2.3とX-Pro1の二挺拳銃状態で祭り会場を徘徊していたら、梅澤富男ばりの流し目で、老人アマチュアカメラマン各位を悩殺せんと試みる、山車上の妙齢の小姐の姿が目に留まりました。
そこで、かなり至近距離まで歩み出て、流し目現場を一枚戴き。

ここではかなりピーカンだったため、ノーコートで内面反射も大きくなってしまっているBiotar4cmf2の欠点モロ出しではありますが、この紗が掛かったような描写も、彫刻バリバリの山車上から色白の美形小姐が曰く因縁有りげに流し目を送るカットにはなかなか宜しい演出になったのではないでしょうか。


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二枚目はメイン会場の大通りを歩いていたら、背後から金棒曳きの小姐に率いられた山車がやって来たので、振り返りざまに数カット撮ったうちの最初の一枚。

残念ながら、こちらがまん前でシャッター切っているというのに、この小姐が気付いてくれたのが、カメラをR-D1sに交換してから、従って、このX-Pro1でのBiotar4cmf2のカットはこのよそ見しているものだけです。

さすが往年の銘レンズ、周辺付近の解像力は開放からかなり高く、今でも充分実用に供せられるレベルでしょうが、周辺、特に24x24フォーマット用のレンズということもあってか、長辺部に当たる上下はかなり甘くなっているように見受けられます。


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三枚目は休憩中の山車周辺で息抜き中の金棒曳きの小姐達が目に留まったため、小走りに駆け寄り、周りの世話役の大人連にも聞こえよがしに、一枚撮らせて貰いますよ、と声掛け、注意喚起しておいた上でシャッター切った一枚。
ここではEVFのクロップ拡大モードで以て手前の小姐の目にピンを合わせていますが、40mmの準広角といえどf2開放での近距離撮影では被写界深度はかなり浅めで、前の小姐が極めてシャープに移っている反面、後方でしっかり目線くれて笑顔まで見せてくれている、これまた気立ても器量も良さげな小姐のご尊顔は後ボケと化してしまっています。

なお、前のカットでは背景での非点収差は気にならないレベルだったと思いますが、ここでは、背景の人達の着物の柄模様、小道具などに僅かながらグルグルが認められます。

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四枚目は会場を徘徊している際、精緻な木彫りを施した山車が数珠繋ぎ状態で小休止していたので、ここでも、世話役各位にちょいと御免なさいよ、と至近距離まで近寄り、前後の山車を入れて撮ったカット。ピンは手前の山車の提灯の文字に合わせています。
ここでは、背後の山車も遠景の建物も流れや崩れみたいなそれほど見苦しいボケは生じていないように見受けられました。

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五枚目は会場を徘徊していたら、軽妙な笛や太鼓の音が突如、背後から響いて来たので振り返ってみたら、通り過ぎて来た山車の一台でアトラクションとも言える獅子舞をおっぱじめたので、これまた見物客が少ないのを良いことに最前列に歩み出て、激しく踊り狂う様をしっかりと撮らせて貰った一枚。
このカット、実は大変興味深い現象が出ていて、反射が殆ど無い獅子舞の緑の幌はそれこそ皺にひとつひとつから、それこそ布地の糸の一本一本まで見分けられそうな解像力で描写され、赤い光沢を湛えた獅子面もまた同様なのですが、おそらく被写界深度内に収まっている筈のおかめの白っぽい面は激しいフレアで殆どと云って良いほどテクスチャが潰れてしまっています。ここでノーコートレンズの弱点が出てしまったカンジです。

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六枚目は獅子舞が終わり、またしてもモデルさんになってくれそうな人達を探して会場を徘徊していたら、こちらの意図を察してか、目が合った瞬間に微笑み返し攻撃で応えてくれた金棒曳き四人衆が居たので、嬉しくなって、早速駆け寄り、一枚撮らしてね、とか適当に声掛けて、概ねみんなが笑ってこっち向いてくれた時にシャッター切ったカット。
ここではやはり正方形フォーマットの影響なのか、左から二番目の一番先に笑顔を返してくれた小姐にピンを合わせて撮ったら、やはり両脇の小姐が被写界深度から外れていることもあってか、結構、激しく流れてしまっています。

今回の感想としては、ノーコートで70歳以上の古玉が、最新のデジタルと組んでここまで働ける、ということに新鮮な驚きを禁じ得ませんでした。

実は、工房にはもう一本、Biotar4cmf2が有って、こちらは絞りリングがニッケルの軍用タイプと云われるタイプなのですが、これを工房主のムリを殆ど聞いてくれる、川崎八丁畷の協力工場にメンテナンスに出して、可能であれば、全群研磨後、コーティングしてくれるということなので、何処まで性能が上がるか楽しみにしています。

さて、来週はローテーションで行けば、工房附設秘宝館からのコレクション紹介となります、何が出るかはお楽しみ。

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  1. 2012/11/25(日) 21:13:18|
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Fragmente eines Traumes von Astronomen~Astroberlin Pantachar35mmf2.3mod.M②~

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【撮影データ】カメラ::R-D1s 絞り優先AE ISO200、全コマ開放、ロケ地:成田市
さて、今週の更新は、先週に引き続き、Astro-berlin Pantachar35mmf2.3改Mによる、成田祇園祭り'12レポート後編行きます。

まだまだ参道は長く、道草しながらの彷徨は当てどなく続いて行きました。

そこでまず一枚目。

また、参道脇の休業駐車場を利用した露店的飲食スペースでは、老若男女がひっきりなしに参集離散して、活気溢れることこの上ありません。

そんな賑わいを横目で眺めつつ、通り過ぎようとすると、キャラクター系のセルロイド?お面を頭の後ろに引っ掛けて、ダベッている、いたいけな女子高生小姐一個分隊約半数が目に留まりました。

そこで、お~ぃ、NRT48予備軍のお姐さん達よ、ちょいとお願いが有って、お面かぶってるとこ写真撮らして、と軽い気持ちでお願いしたら、一瞬沈黙・・・ウ、受ける!花の女子高生にお面かぶって写真撮らせてくれってよ!?とかバカ笑いして、こんなひょうきんなパフォーマンスです。

シャッター切った後、確かに画期的で面白い!とか呟いたら、ぢゃ、オレもオレもと小姐達のスマホンやら携帯やらコンパデジやらで、同じようなカットを何枚か撮らされました・・・とほほ。

ここでは、若いファンキーな小姐を前にして、オールドレンズも年甲斐もなく張り切りすぎたのか大暴れ、背景はぐるぐる、四隅も流れ気味で、だいぶお行儀の悪さが目立ってしまいました。でも楽しそうな雰囲気は120%伝えてくれてますから、これはこれで良しとしましょう。

そして二枚目。小姐達にお礼を述べ、参道を歩き続け、やっと本山の麓まで辿り着きました。

しかし、去年と多少様子が違っていて、参道にもその付近にも山車も手古舞も居なかったのに、本山下は人が溢れ帰り、中央階段の利用制限を行って両脇の側道の石段を登るよう案内していたりして、何かおかしいなとか思いながら、せっかく来たのだから、本堂にでもお目見えしてから戻るか?と思ったのがラッキーで、何と本堂前の広場に全ての町会の山車と曳き手、手古舞社中が勢揃いしていたのです。

その一堂に会した姿は圧巻としか云い様がありませんでした。

そこで、オーバー露出になるのは覚悟の上で絢爛な山車と荘厳な五重塔の組み合わせで一枚戴いたのがこのカット。

同じ仏教建築なのに、浅草をライツやツァイスのレンズで撮っても、ここまで煌びやかで華やかには捉えられなかったでしょう。

ここでは手前左隅のアウトフォーカス部の流れがやや気になりますが、この発色、臨場感はそれを補って余りあるものではないかと思いました。

それから、三枚目。

去年は初見参だったので落ち着いて山車の姿までは仔細に鑑賞出来なかったのですが、地理的にも至近で文化的にも交流が緊密な筈の佐原の大祭で曳行される山車と成田の山車とは、形がだいぶ違い、屋根のてっぺんにお人形さんを、社内にはお囃子社中(下座連)を乗っけて市中曳き廻しを行うということくらいが共通点で大きさもカタチもかなり違うのです。

個人的な見解としては、少なくとも、山車、屋台に関しては、佐原は孤高の存在で、遥か遠い江戸のDNAを色濃く残し、川越、栃木、そしてここ成田は江戸末期か明治以降に京都の祇園やら、岸和田のだんじりなどの影響が入って来たのではないか?とも思えました。

そこでもう一枚、別アングルで山車を撮ってみたのがこのカット。

どうも、屋根の上で粋でいなせな男衆が見た目も熱く、威勢良く、扇子なんぞを采配代わりに振り回し、男気を競う姿は先般放映が終了したカーネーションのだんじりを彷彿とさせました。

ここでもハイライトはオーバー覚悟での開放撮影ですが、画像処理ソフトでちょっと照度を落としたくらいで、何とか人様にはお見せ出来るくらいにはリカバー出来たと思います。

しかし、やはり四隅の流れ、特に前ボケ部はこういうダイナミックな構図だと目だってしまうのがやや残念です。

続いて四枚目。

山車の次は手古舞社中です。

本堂前の広場の周辺、五重塔の麓辺りを徘徊していたら、ちょうど、髪を結い直していたお姐さんが居られたので、さすがに通りすがりに、ばしっと一枚撮って知らばっくれて離脱するといういつものヒットアウェー戦法は使う気になれず、横に控えていた、いなせ小姐軍団の1人に話しかけ、許可を貰い一枚戴いたのがこのカットです。

背景の見苦しいぐるぐるはおいといて、どうでしょうか。佐原や川越の粋でいなせで凛とした女衆にも勝るとも劣らぬキリっとした雰囲気が後姿からも滲み出ているのではないかと思いました。

まだまだの五枚目。

手古舞社中のお姐さま方に鄭重に御礼など述べ、少し境内の様子など撮ってから、登って来たのとは反対の階段を通って下ることにしました。

すると、何が幸いするか判らないのが人生、の喩え通り、階段を降りかけてすぐのところで、祭り装束でじゃんけんしながら、勝った方が何歩か進む、という超古典的なフィールド遊戯をやっている小姐達が居ました。

こういう時は撮ったもんがちです。

通り過ぎるフリをして、じゃんけんの手を出した刹那、予め目見当で合わせていた距離を構えながら微修正し、シャッター切ったのがこのカット。

まんまとしてやったりです。

斜め後ろで見ていたデジ一眼下げたご老人の写真愛好家?の方が、え、今の撮れたの?とか驚かれたのが、何よりの賛辞でした。

馴れれば、レンジファインダー機はAFの最新デジタル一眼レフにも匹敵するスナップでの必殺兵器である、という持論を図らずも証明出来たのでは、と思いました。

更に六枚目。

下でニコニコ顔で一部始終を見ていたお母さんに黙礼してその場を後にし、そろそろ深川へ戻ろうと、元来た参道を戻り始めました。

すると、参道のまだお寺に近い、鰻屋さんとか、老舗旅館の佇まいを残す飲食店がならぶ一角で、フィリピン人と思しき家族連れがニコニコ楽しそうに語らい合いながら通りを眺めていました。

一旦通り過ぎたのですが、どうも、子供と目が合ったような気がして、踵を返し、リーダー格と思しき女性とそのお子さんを交互に見つめながら、精一杯の笑顔で以て「May I take your picture?」なんて声掛けてみたら、「Oh! シャシンですか、ドーゾ、ドーゾ」とか大喜びされて、皆さん、勢揃いして、とっておきの笑顔でレンズを見つめ返してくれたのがこのカット。

撮り終えて、お礼を述べてその場を後にしようとしたら、リーダー格の女性が何かしら聞きたそうにお仲間うちで話していたので、何でございましょうか?と伺ってみたら、「どこの新聞社?」とかイタイこと聞いてきたんで、「すんまへん、新聞ぢゃなくて、個人のブロガーさんね♪」とお断りを入れた上で名刺などお渡ししました。

マダム、ご覧になっています?もし、メールもらえれば、このカット、大伸ばし出来るようにデータ加工してお送り致しますよ♪

最後の六枚目。

草の根レベルでの国際交流によって何か心の中に暖かいものを戴き、足取りも軽く、参道を辿って行きました。

道半ばも過ぎた頃、またしても、面白い光景に出くわしました。

そう、浴衣をばしっと着こなした、子連れ?の若い小姐が、パブの中の白人の壮年男性2人、身振り手振りも交え、軽妙な英語で談笑していたのです。

まさにこの姿こそが、伝統有る門前都市、宿場町だった成田が国際空港の開港とともに、極めて先鋭的な国際都市に進化したことの象徴なのではないでしょうか。

今回の感想としては、やはり日曜の遠出だったとは云え、来て良かった・・・いや、寧ろ、前回の土曜日とは異なるお祭りの姿をじっくりと見ることが出来、却って良かったのではないでしょうか。

しかも、今回は次の週に控えた、「佐原夏の大祭」のリハの目的も有りましたから、望外の成果ではなかったかと思います。

さぁ、工房主が愛してやまない佐原の町の夏の大祭、初訪問のレポートは来週、再来週の二週間に亘って渾身のアップ致しますので、乞う御期待。

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  1. 2012/07/16(月) 22:13:47|
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Good luck meets steadily acquired technology~R-SERENAR5cmf1.5 mod.L39~

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【撮影データ】カメラ:Leica M8 絞り優先AE、露出±0、ISO Auto、ロケ地:川越
さて、今宵のご紹介は、予告通り、工房製品のご紹介です。

今回ご紹介するレンズ、精機光学R-SERENAR5cmf1.5は、一時期は電子湾やら、山の雄叫びオークションなどでも纏まっての出品が有ったようなのですが、このところ、ぱったりと見かけなくなりました。

それもそのはず、そもそも、このレンズ、キャノンの前身である精機光学が正規のライカマウント判銀塩撮影レンズで発売したものでなく、"R"のレターが示すように「Röntgen」即ちX線透視写真の蛍光面に対する間接撮影用レンズであって、市中で売られたものは、戦後のどさくさに紛れ、メーカー外の業者、職人が主に進駐軍のスーベニア用として極少数をライカマウントに改造したものと考えられるからです。

このR-SERENAR5cmf1.5は海の向こうからやって来て、深川の技術でライカマウントレンズとして第二の"人生"を歩み出したWollensakのRaptar兄弟と同じく、軍需物質という、暗い生い立ちを背負っています。

本来の生まれはと云えば、第二次大戦で兵士の集団を輸送船に乗せる際、1人でも結核を持っていると船内で感染が拡がる危険性が有る為、大量かつ迅速な検査を実現すべく、11x14の感光フィルムを使う代わりに燐などを用いた蛍光板への透過X線の投影像を135判フィルムで記録するため開発されたシステムのレンズで、、精機光学経営者であり、医者でもあった、御手洗氏が国防に対し、医療衛生面から貢献すべく、積極的に開発を進めさせ、1942年に陸海軍ともにこのR-SERENAR5cmf1.5付きでX線間接撮影システムは納入開始されたと云われています。

翻ってこの個体、実はその1942年当時に精機光学で生まれたものでもありません。

注意深く観察すれば、このアンバーコートが1936年当時に同盟国ドイツでアレクサンダー・スマクラ博士が発明し、イ号潜水艦経由もたらされたものとは明らかに異質な処理と判る筈です。

そう、この個体、実は2012年5月の産まれなのです。

実は、新宿に改造用パーツを買出しに行った或る日、何か目ぼしいものはないか?と東口の某店に寄り、ヂャンクかごを覗いた途端、この異形のレンズのどんがら鏡胴が目に留まりました。

しかも、この日本の光学史々上、極々貴重なレンズの鏡胴は、考えられないような捨て値が付けられていて、誰も顧みる人が居なかったようなのでした。

R-SERENAR5cmf1.5は通常品は真鍮削り出しにクロムメッキですが、この個体、アルミの鋳造品に黒い艶の有るエナメル塗装が施されていて、ぱっと見ても、中のエレメント押さえ用リングは揃っているようなので、写せるように直して上げられなくとも、貴重な資料として手許に置いておこうかと思ったのです。

工房に持ち帰り、前後からリングを回して分解してみれば、やはり全部の内部リングは揃っているようで、しかも、不可思議なことに、レンズを組み付けた後がありませんでした。

アルミや真鍮のリングだと、それらより表面硬度の高いレンズの端面の研削面が当たると、擦れた痕跡が残るものなのですが、この個体では全くそれが見当たらなかったということなのです。

しかも不可思議なことは、朝日ソノラマ等で公開されているこのレンズの構成は4群4枚のオルソメター型?なのですが、そのような構成で5cmとはいえ、開放値f1.5が達成出来よう筈もなく、工房で色々なエレメントをあてがってレストアを試みたところ、何と1957年発売のキャノン50mmf1.4タイプIのエレメントが殆どそっくりそのまま収まってしまうことを発見したのです。

ただ、組み立てには大きなネックが二つ有って、まずf1.4とf1.5のコンマ1の差故か、前玉エレメントが直径がコンマ6mmほど大きく、鏡胴内部の所定位置まで入って行きません。

そこで、工房のダイヤモンドラッパーで前玉周囲を削って填めるか、或いはこの貴重な金物の内部を旋盤で精密切削して拡孔しようかと迷ったのですが、以前、畏友Tarningさんの秘密工場を見学させて貰った時のことを思い出し、専業の機器で芯出し研削して外径を合わせて戴くことにしたのです。

お願いしたところ、快諾して頂き、待つこと約2週間、ご覧の通り、寸分の誤差もなく見事に嵌まり、ここで第一の問題はクリア出来たのです。

そして二つ目のネックは、第二群の外径とL2の被写体側のエレメント曲率が異なるため、オリジナルの金具にやはり収まらず、たとえL2とL3貼り合わせの第二群エレメント外径の芯出し研削で収まったとしても元の位置にねじ込むとL1とL2がクラッシュしてしまう虞れがあったので、第二群を収めた金物をそっくりそのまま、真鍮インゴットから削り出して複製し、第ニ群の位置を数十μm後退させた位置で固定し、無事組み立てることに成功したのです。

しかし、やっとの思いで光学系を再生したのですが、これを組み込むヘリコイドで適切なものがありません。

文献やオークションに出ているものを参考とすれば、エルマーのように真っ平らなマウント兼ヘリコイドディスクに富士山型の円錐の山が出ているパーツの頂点にねじ込めば一件落着という目論みだったのですが、まずアテにしたキャノン5cmf3.5のヘリコ&マウントユニットは細過ぎて全然ダメ、内径を研削して拡張している過程でバラバラになって御臨終、仕方なく、キャノン5cmf1.8Lの銀鏡胴のパーツとアルミ鏡胴のものの真鍮削り出し部分のみを組み合わせて再調整し、光学系をネジ込む部分は真鍮で新たに削り出して作ったパーツをヘリコイドのオスに精密切削他の技巧を駆使して固定し、インフストップも新たに設計敷設し、正味半月以上の工期を費やし、やっと完成に至ったのです。

では、実写例を見て行きましょう。今回のロケ地は遥々川越まで出かけてしまいました(ホントは安くて旨い鰻屋さん探訪も兼ねてでしたが・・・笑)

まず一枚目。

東武東上線の川越市駅から蔵作り通りに在る鰻屋さんへ向かう途中、低いアーケードの商店街に、なかなかオシャレなオブジェを掲げた喫茶店が有るのが目に留まりました。

いつもは、大勢で行動し、はぐれるメンバーなどが居ないようにとか、時間が押せ押せになってきているから移動スピードを上げなきゃとか、写真撮るのもそっちのけで、ツアコンまがいの役目も大きいですから、こういう地味ながら秀逸なオブジェを見落としているのもむべなるかなというカンジです。

ピンはこの風鈴みたいな一連の構造体の上部のハート状の透かし彫りに合わせていますが、同一焦点面に入っている下部の風輪部もフレアこそあれ、キレイに合焦しています。

一方、背景は今にもぐるんぐるん回り出しそうな雰囲気で、昔、何処かで見た、R-Biotarの暴力的とも云える写りを彷彿とさせました。

そして二枚目。

蔵作りの街並みを少々急ぎ足で歩き、一般的なランチタイムの刻限であると推定される2時より少し前に目当てのお店に着きました。

が・・・そもそもランチメニューなどなく、鰻重は松竹梅しか有りませんでした。

そこはそれ、日本人の悲しい習性でどうしても真ん中のメニューを頼んでしまうようで、迷う間もなく「鰻重松」を頼んでいました。

焼き上がるまで少々お時間下さいってことだったので、このお店のウリである、トロッコの線路付き土蔵やら、店内に吊るしてある、鮎のいぶりがっこうやら撮ってましたが、三田村邦彦っぽいシブイ兄さんが店頭で鮎の炭火焼なんかパフォーマンス演じてるんで、こりゃ格好の被写体だわぃとか独りごちて、声を掛けて撮らせて貰ったのがこのカット。

ここでもお兄さんの目付近でピンを合わせたので、同一焦点面内の肩口までは、清潔な白装束の皺とか布地の質感まで描いていますが、前ボケたるや惨憺たる有様で、まさに像面湾曲大会でAPS-HサイズのM8でこれですから、24x36のフルサイズでは相当アラが目立つかなぁ・・・・と思った次第。尤も、このレンズは設計通りであれば、イメージサークルは24x25.5mmですから長辺の下は崩れても問題無い!と云えなくもないのですが。

それから三枚目。

お兄さんにモデルのお礼を述べ、また店内へと引っ込み、あちこち被写体を物色します。

こんなイイ年こいたヲサーンが、カメラを持って店内をうろうろするのは、お客が少なかったから良いようなものの、店員さんは皆一様に苦笑いするばかりでした。

そんな物色の中でふと心の琴線に触れたのが、奥のテーブル席上の涼をとるためであろうミニチュア金魚鉢のオブジェでした。

しかも、背景が陽の当たる板壁ときては、もう撮らないワケにはいきません。テーブルにはお客さんが居ましたが、「ちょいと失礼しますネ」とか声を掛けたら、インドの山奥のヨガの行者もびっくりといった柔軟な身のこなしで上半身をさっと反らせ被写界から消してしまい、その合間に一枚戴いたのがこのカットです。

ここでは手前の波状の金魚鉢の縁に合わせたのですが、背景の板壁は、ぐるぐるみたいに見苦しくならず、イイ案配にボケて写り込んでくれています。

また、手前の像面湾曲による流れもそれほど目立ちません。

続いて四枚目。

味、量、そしてお値段ともかなりの満足度で、鰻屋さんに再訪を約して後にします。

また蔵作りの通りを北に向かって歩いていると、パン屋さんの店頭で、青い目をしたブロンズの小姐達がニコニコしながら、買ったばかりのパンをおいしそうに頬張っていました。

一旦手前に立ち尽くし、、黙って抜き打ち的に横向いているとこを撮っちゃうか、或いは断られて元々、声掛けて、ばっちり正面から撮るか、ほんの刹那考えたのですが、やはり声掛けて撮らせて貰うことに決め、通りすがりざまに振り返り、手前の小姐に「Can I take your Photograph?」と声掛けてみたら、やや困り加減の笑顔で、首をかしげ、手を広げて手のひらを天に向けるポーズを決めてくれたので、「Fotografieren Bitte!」とか適当なこと言ったら、奥の小姐が指でOKサインを出し、手前の小姐に笑顔でカメラ見るように指示してくれたので、これ幸いに、と一枚戴いたのがこのカット。

ピンは手前の小姐の向かって右の目に合わせたつもりなのですが、若干前ピンとなってしまったようで、手前の左手のパンを持つ指の方に合ってしまったように見えます。

しかし、この戦前産まれの堅物レンズ、異国の美しい小姐に対する礼節は持って産まれてきたようで、奥の赤毛の小姐の御尊顔は流れずに表情は判る程度のボケで描き出してくれました。

まだまだの五枚目。

快くモデルになってくれた異国の小姐達に3ヶ国語でお礼と、良い一日を!とか惜別の辞を述べ、その場を後にし、また被写体を探して駄菓子屋横丁へと足を急がせました。

今回も色々と見せ場を作ってくれた親子連れが多かったのですが、とりわけ秀逸だったのが、大手の駄菓子屋の軒先でドライミストによる汽水冷却をしているところに、笑顔で伸びをしたり、ミストを手で受け止めたりして無邪気に遊んでいる小々姐が居て、その上、よほど自分の子供に自信有るのか、或いは自身でも写真をやっている変わり者なのか判りませんが、オモニが「ホラ、あっちで写真撮ってくれてるから向こうも向いて上げなきゃ」とか、合いの手を入れてくれていたのです。

残念ながら、こっちを向いてくれた瞬間にはシャッターを切り終え、程なく団体さんが通りをぞろぞろ占領して歩き始めちゃったので、この物分りの良い親子の写真は撮りはぐれちゃいましたが、まぁ、このカットでもまぁ、雰囲気は伝わってくるでしょうから、佳しとしましょう。

最後の六枚目。

通り越しに手を振って親子にお礼の意を伝え、駄菓子屋横丁を後にしました。

次なる目的地は時の鐘の鐘楼通りです。

蔵作りの通りまで来た時、目を疑う一団を目にしました。

そう、中東から欧州にかけての娘さん、御婦人が色とりどりの和服に身を包み、十人近くで蔵作りの通りをしゃらんしゃらんと闊歩していたのです。

さっそく、声掛けて撮らせて貰ったのですが、このレンズの性質上、ピーカンでしかも、日本人の野次馬入りの団体写真だと、有効イメージサークルと被写界深度の関係でとても見られた写真ぢゃなくなっちゃったんで、涙を呑んでお蔵入り、お礼を述べ、別れざまに蔵作りの街並みをバックに後姿を撮ったこのカットを急遽採用した次第です。

今回は台風一過、川越まで出かけた甲斐がありました。

ここで掲載させて戴いた以外にも、あと3組ばかり声を掛けて撮らせて戴いたカットがありましたが、それらも、この稀有なレンズの貴重な作例として、大事にデータ保管させて戴きます。

よくよく考えてみれば、60年数年ぶりに帰国して修理から上がったSun Sophia5cmf2のテスト撮影もここ川越で行いましたし、或る意味、日本のクラッシックレンズの聖地なのかも知れませんね。

さて来週は、攻守交替、工房附設秘宝館からコレクションご紹介いきます。さて、何が出てくるやら・・・乞う御期待。

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  1. 2012/06/24(日) 23:16:55|
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Unexpeced rebirth from junk box~Perfex Velostigmat50mmf2.8 mod.L39~

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【撮影データ】カメラ:R-D1s ISO200 絞り優先AE 露出+1/3、ロケ地;西郷山公園~代官山
さて、今宵のご紹介は予告通り、工房製改造レンズです。

しかし、改造レンズと言い切ってしまうのには、ちょっとためらいが・・・

というのも、この漆黒で小粋な米国製レンズ、買って来て、マウント付けてハイ出来上がり!とはならず、先日、大久保の名人に蘇生をお願いしたニッケルショートエルマー5cmf3.5を新宿西口の某チェーン店で発掘したのと同じ日、帰りがてら寄った西口の中古カメラマーケットにて、ジャンク棚に「絞り破損、撮影不能」といった趣旨のタグが付けられ、その割には結構強気の値段が付いているのを、これまでのレストアによる自信で以て、あっさりと買い込んで家に持ち帰り、絞りユニットの修理とレンズクリーニング、内面反射対策をするタイミングを見計らって、防湿庫の未改造レンズ在庫の中で暫し眠りに就いていたのです。

そして、Canonのウルトラレアレンズの再生が上手くいき、時間と自信が出来た、先週日曜の撮影会の前日、一気呵成にレンズヘッドの修理、マウント付加を行って、実写可能としたのです。

実写行く前に、このレンズの氏素性を簡単におさらいしましょう。

この3群3枚のトリプレットは、米国のバルナックコピーのひとつである、Perfex55というレンジファインダーカメラの標準レンズとして、1940年くらいに登場し、47年には製造中止となります。

カメラ自体はかなり凝った作りで、シャッター速度など1250分の1までありますし、基線長も長いファインダーは少なくともバルナックコピーの一群の中では、それなりの評価を受けてしかり、というレベルのものでした。

ところが・・・アメリカ人は全く理解不能な人種で、とにかく、作りの凝った精密機械然とした製品より、むしろどちらかと云えば、無骨で頑丈一点張りの製品を好む性癖があるのです。

おかげで、Argusみたいな金属製"写るンです"は大いに売れ、Perfex55も、Clarusも、バルナックコピーでの銘機中の銘機Detrola400も皆んな販売不振、枕を並べて討ち死にです。

では、そんな理解不能な人種が当時の最新テクノロジーを駆使して拵えた、f2.8のトリプレットの写り、実写例をみて参りましょう。


まず一枚目。

先週の日曜日は中目黒駅で待ち合わせ、気の合う仲間で撮るでなし、語り合うでなし、それこそ烏合の衆と化して、ランチスポットを探し、青葉経由、代官山方面へと徘徊して行ったのですが、結局、お目当てのモンスンカフェは不埒なことに結婚式で貸切とかいうことでシャットアウト、仕方なく、また目黒川沿いまで戻ろうかと西郷山公園目がけ歩いていたら、メンバーの1人が「ここのカフェ、割合、イイんぢゃね?」と建設的な意見を発したので、元より面倒臭がり屋の多い一行のこと、文句も出よう筈もなく、公園入口のカフェでランチとなった次第です。

工房主は特製ドライカレーなんぞを戴き、食後のお茶なんぞしていたら、店先のアイスクリンのオブジェにいたいけな小々々姐がふらふらというかよちよち歩いて来て、しきりにこっちへ目線なんぞ飛ばし、ポーズみたいなことをつけていたので、よしよしと重い腰を上げ、一枚撮ったのがこのカット。

後を追って来た比較的若いオモニと目が合ったので、「一枚戴きました」と延べ一礼したら、ニッコリ笑い「XXXちゃん、撮って貰ったんだって、良かったわね」と年端もいかない子供に言い含めてました。

ピンは子供の顔の輪郭で合わせていますが、それほどカリカリではなく程好いシャープネスとハイライト部の僅かなフレアがえも云われぬ雰囲気を醸し出しているのでは、と思いました。

そして二枚目。

また、仲間と語らい合いながら、優雅に公園のほとりでの午後のティータイムなぞ楽しんでいたら、新手の"敵"の登場です。

これだからこそ、街撮りは一瞬たりとも気が抜けないのです。

子連れ狼宜しく、父子2人連れで入って来た父親は、大五郎、もとい、ブルーのTシャツの童子を入口付近のテーブルに置き去りにして、トイレか何かへすたこら出掛けてしまいました。

そこで、父、元公儀介錯人水鴎流免許皆伝、拝一刀の血をひく大五郎は、鋭い目線で店内を睥睨しつつ、唯一の得物である、ペットボトルを握り締め、裏柳生の襲来に備えます。

そんな妄想に囚われつつ、このいたいけな童子の姿をぱぱっと撮ったのがこのカット。裏柳生の手裏剣には備えていても、居合い斬りスナッパーの一撃にはひとたまりもなかったようです。

ここでも、童子の輪郭でピンを合わせていますが、必要かつ充分なシャープネス、ほぼ逆光にも関わらず、童子の顔の陰影のグラデーションが表情もろとも良く描かれているのではないかと思いました。

ただ、背景の樹木は、う~ん・・・ちょっと渦巻になりかけているのが、残念無念です。

それから三枚目。

そろそろ次の予定の世界の中古カメラ市へ出かけねばならないので、西郷山公園界隈でちゃちゃと撮って行こうよ、ということになり、一同は重い腰を上げ、緩い丘陵を登り、被写体を探していました。

すると、へへへ、居ました居ました。何たる僥倖、メルヘンの象徴たるシャボン玉を操る親子と、放心状態で体育座りの女子高生がR-D1sの50mmフレームに収まる位置関係に居る!

これは一もニも無く、撮らない手はありません。シャボン玉が盛大に上がった刹那、反射的にシャッター切ってました。

しかし、画面をよ~く見てみれば、遥か下の方のベンチのもう一名の女子高生がこっちを携帯のカメラで撮っています。う~ん、ポジションを交替して欲しかったなぁ・・・

ここでは、ピンは童子の麦藁帽子の縁に合わせていますが、後方に飛んだシャボン玉も前方の女子高生の姿も充分、被写界深度に入っています。

やはり、画面下部の前部オフフォーカスの芝生はかなり流れています。

続いて四枚目。

向きを180度反対方向に向き返り、遊具の置かれている木陰を眺めれば、都会的ないでたちに帽子もおしゃれな親子連れ+αが一心不乱に遊んで、若いヲヤヂさんが、童子達に人生訓のようなものを垂れているのか、かなり決まったポーズで遊具に歩み寄っていたので、その瞬間を戴きました。

ここでは、ヲヤヂさんの左肩の稜線にピンを合わせていますが、輪郭が浮かび上がり、なかなか立体感の有るカットになったのではないでしょうか。しかし、周辺、特に向かって左の前後のアウトフォーカスは崩れが見えます。

まだまだの五枚目。

一行は代官山の駅前に着き、これから東急電車で渋谷に向かうこととなりました。

駅へ向かう緩いスロープの手前に面白いオブジェを発見したので、道の反対からであれば、R-D1sの50mmフレームでもギリギリ全景が収まるので、一枚撮ってみました。

ピーカンの陽光を浴びているので、ハイライトは飛びテクスチャはいまひとつ掴みづらいですが、それでも、根っこに座っている男女の描写はこのレンズの性能を良く表しているのではないでしょうか。

ただ、ここでも、周辺のアウトフォーカス部は流れています。

最後の六枚目。

代官山駅に登る緩いスロープの途上に、小粋な洋品店があり、その店頭には、おしゃれなマネキンというか、人型ディスプレィがあり、目の粗いリネンの帽子をかぶっていたので、そのテクスチャと、背景のボケがどのように写るか面白いと思ったので一枚撮ってみたもの。

ここでは、帽子の網目も充分なシャープネスで描写していますし、背景のボケも極めてナチュラルで、好感が持てるのではないかと思いました。

不思議なことに、このカットでは周辺の結像の甘さは認められません。

今回の感想としては、やはり米国恐るべし・・・シチュエーションによっては、周辺の流れとか、破廉恥なぐるぐるが生じてしまいますが、それでも70年前の設計、製造のf2.8のトリプレットでこの描写であれば、充分過ぎるくらいでしょう。

さて、来週は、工房附設秘宝館からのご紹介を予定しています。乞う御期待。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2012/06/10(日) 23:37:39|
  2. その他Lマウント改造レンズ
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An expected original optics by F.G.W,G.~Fukagawa Extra AnastigmatIII 50mmf1.8~

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【撮影データ】カメラ:2,3枚目;Zeiss Ikon ZM、フィルム Kodak Ektar100、絞り優先AE、露出 +1/3、1,4,5.6枚目;Leica M8、ISO Auto、絞り優先AE、露出+1/3 絞り優先AE、絞り値は文中に表記
さて、今宵のご紹介は、予告通り、工房作品です。
しかし、今回のレンズは、いつもの"ただの"マウント改造の距離計連動レンズではありません。

複数のヂャンクレンズの健全なエレメントをあれこれシミュレーションの上、組み合わせて作り上げた、いわば、工房フルオリジナルのレンズなのです。

フルオリジナルといっても、市販パーツを組み合わせて、鏡胴内部を切削したり、光学系を固定する新たなリングをネジ切って入れたりして拵えたものですから、究極の改造レンズと言えなくもありません。

ただ、性能を左右する基幹パーツは今、ヂャンクでタダ同然に入手出来るのですが、使い道を広く不特定多数に公開してしまうと、元々が不自然に安い?値段とも言えるのが、品薄化とともに値上がりして、開発に支障をきたすので、ここでは、ヒントだけ出します。

まず、前群は某マルチコートの引伸ばしレンズのアッセンブリを取り出し、キャノンの内鏡胴に嵌まり込むよう、精密切削をし、それを前枠の全周スクリューで固定する、というロシアの現代レンズの加工法を踏襲しています。

そして、後群は、某一眼レフ用の標準レンズの後群をそのまま取り出し、接合部のネジ切りの部分のみ、切削加工し、新たな内ネジを切ったキャノンの内鏡胴に後ろからネジ込み固定しました。

これまでの経験から、とにかく、L3とL4の間隔、つまり、絞り羽根を挟んだ凹レンズ間のクリランスが大き過ぎると、像面湾曲やらコマ収差やら、色々と不都合が生じるので、五感を駆使してマイクロ超硬バイトで削り込みながら、組んではピント見て、削ってはまた組み直しという、かなり手間隙掛けて、光学系をでっち上げ、或る程度のところまで来たら、無限とって、R-D1sで試写し、球面収差が大きかったので、L1とL2のクリアランスを金物を数μm切削して縮め、やっと完成に至りました。

ただ残念なのが、前群の固定にキャノンの元の金具を使ったことから、強度と精度保持のため、極限まで前群を下げられなかったので、開放でのコマ収差がかなり残ってしまったことです。

完成した光学系はオリジナルのキャノン50mmf1.8の鏡胴とヘリコイドにそっくりそのまま納まり、最近接から無限まで、ドンピシャで距離計連動で撮影出来る、優れものとなりました。

そこで、完成した翌週末の八重山ツアーを初戦の場と定め、竹富島に持ち出したワケです。

では早速、作例見て行きましょう。

以下作例は全て一枚目が開放f1.8、二枚目がf2.8となっています。

まず、一件目(1,2枚目)

竹富島の中をカメラ下げて徘徊していると、いかにも、観光客の目を楽しませようと小粋な趣向を凝らしたお宅に行き当たることがままあります。

ここのお宅もまさにそんな一軒で、珊瑚石積みの塀の門柱に当たるところに、南洋名物?のガイコツみたいな巻貝がさりげなく置かれていました。

そこで、レンズの近接性能を見るべく、この巻貝にピンを置いてのお宅撮影です。

一枚目は開放f1.8ですが、やはり、白系統の色合いの貝は、フレアを纏い、輪郭もおぼろげになっていますが、後ボケの赤瓦の本宅はそれほど酷い崩れ方もしておらず、後ボケとしては寧ろ好ましい部類ではないかと思いました。

二枚目は、この前群の元々の開放値と同じくf2.8まで絞りました。

話しは前後しますが、今回、引伸ばしレンズを前群に使うに当たり、L3直後のf値を制限しているチョークリングを目一杯切削し、絞りの開口面積と同等まで拡げて使ったので、相当ムリさせているワケです。

ここでは、当然、貝の輪郭もテクスチャもキレイに再現されコマフレアも激減しています。

後ボケも、開放時よりは若干硬めになっていますが、まぁ許容範囲ではないでしょうか。

そして二件目(3,4枚目)

レンズの描写傾向を語るのに、赤い被写体を抜きにするワケにはいきません

先のお宅を後にして、しばらく物色していたら、真新しい赤瓦の屋根と、門の付近の艶やかなブーゲンビリアが咲き誇るお宅を発見し、早速、テストに使わせていただくことにしました。

ピンは屋根の上のちょっとコミカルな容貌のシーサーの眼に合わせています。

一枚目を開放f1.8で撮ります。

ここではやはり、コマフレアの影響か、全体的にゾフトなムードになり、それでも、爛々と光る?シーサーの眼がかろうじてピンの在り処を教えてくれます。

一方、シャドウとなる、家の中については、結構、細かいところまで描写しています。

二枚目をf2.8で撮ります。

すると、別のレンズで撮ったかのように、コントラストは劇的に改善し、シーサーをはじめ、被写界深度内の細かいテクスチャまでクリアに捉えています。

ただ、どちらも、画面周辺には、非点収差によると思われる、工房主の嫌いなぐるぐる傾向が少々見られるのが残念なところです。

三件目(5,6枚目)

夕方まで竹富島で撮って、高速船で再び石垣島の離島桟橋まで戻って来ました。

そこで、レンズのシャープネス見るのには手っ取り早い、無機質の被写体として、高速艇の舳先のステンレス製の金具を、港の水面をバックに撮る事にしました。

一枚目は開放f1.8で撮ります。

陽も傾き掛けてきた時間での撮影なので、金具そのものの描写は、かなりイイ線いってると思いましたが、やはり、白い船体での反射がフレアとなってしまい、画面全般的にヴェールがかかったような印象を与えています。

背景の海面の描写は硬くならず、甘めで何か南の海のイメージに嵌まったような気もしました。

二枚目はf2.8での撮影です。

ここでは、白い船体のフレアも皆無、ステンレスの金物も、潮風でくすんだテクスチャも精緻に描写し、構図の関係か、はたまた撮影距離によるものか、画面周辺の甘さも気にならず、云っちゃなんですが、きちんと写って、フツーのレンズみたいです。

今回の感想としては、幾つか試作をしている中で、一番、まともの写る可能性の高いオリジナル光学系は、この引伸ばしレンズを前群、そして某一眼レフの標準レンズの後群をそのまま使うのが一番、性能が良さそう、ということです。

実は、今日も一本試作しましたが、手間が掛かった割りには、この光学系にはとても及ばないことが判ったので、今後は、この光学系の熟成に努めたいと思いました。

さて、来週は工房コレクション、附設秘宝館からのご紹介となる予定です。乞う御期待。

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  1. 2012/04/08(日) 21:00:00|
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charley944

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今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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