深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

パラレルワールドから来たレンズVol.2〜Wollensak Velostigmat2"f2.8S

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夏も過ぎ、秋の気配も深まった頃、再び、私は神宮寺老人に彼の庵へと呼び出された。
何でも、紀元前のエジプトで深海生物が"レンズ"という概念を消失させる寸前に阻止し、やっと、「こちら」へ戻ってきたので土産話がてら会いたいということだった。

せっかく街に出るのだから、たまには中古カメラ屋でも覗かなくっちゃってことで、早めに家を出て、一旦、銀座で降り、教会の最上階に位置する、「かぼす舎」なるカメラ屋に立ち寄る。

すると、先般は相当係わり合いがあった、ニコンのレンジファインダーのコーナーになにやら不可思議な組み合わせの出品が・・・しかも日付が何故間違えたのか、来月の今日になっている。

早速、店員さんを呼んで、ショーケースから出して貰い、手にとって確かめてみる。店員さん曰く、こんなカメラ、誰がいつ出したのかな、しかも日付がおかしいし・・・と。

ニコンの報道用SPのしかも良く使い込まれたボディに何故か米国製のWollensak Velostigmatの2"f2.8が付いている。

このレンズが、レンジファインダー用として製造されたのは、クラルスとかパーフォレクスとかいう安物のライカコピーと超レアではあるが、デトローラ400の2台しかないと聞いている。
しかもデトローラ用でf2.8なら試作しかないはずなので超レアだし、今嵌っているボディはそれらのうちどれでもない。

戦時中から戦後間もなく作られたレンズだから、戦中であれば、軍用としては信頼性の高いライカタイプしか作っていないだろうし、戦後なら、わざわざ戦勝国が敗戦国のしかも機構的に面倒なタイプのもの、即ち、ニコンSやコンタックスマウントのレンズなど作る必然性などないのだ。

幾ら考えても思考はまとまらず、ただ時が移ろうばかりで神宮寺老人とのアポに遅れてしまうのも気が引けるので、この不可思議なコンビをとりあえず買って行って、神宮寺老人を驚かせようと、いうことにした。

東銀座から再び地下鉄の乗り、都心から外れた高級住宅街の奥まった一角に鬱蒼と茂る林があり、その奥に神宮寺老人の屋敷と「庵」は有る。

屋敷のゲートでチャイムを押し来意を告げると、下働きの吾作爺が出てきて、「旦那様は庵の方で先ほどからお待ちです」と言って、鉄扉を開けて導いてくれた。

茶室でもある「庵」のくぐり戸を抜け屋内に入ると、神宮寺老人は結跏趺坐の半目で瞑想状態にあった。

しかし、さすがは予備役とは言え、元敏腕のタイムガ−ディアン、気配を察してすぐさま覚醒状態に戻り、何も無かったかの如く、永の無沙汰の挨拶を発した。

「だいぶ長いこと会っていなかったね・・・尤も、戻る時間を出発の翌日にしてしまうことも出来たが、それでは、キミの方が感覚がおかしくなってしまうだろう。我々には、時間の流れは一定の速さで一方向で流れているものでなく、少なくとも自分の存在はその束縛には囚われていない・・・」

はぃはぃ、また時間航行の講釈が始まったかと思いつつ、うんざりした表情になりかけた時、老人が、「また、クレージィなヤツが居て、時間渡航禁止先のひとつである、1944年にまた密航した。」

えっ、またお供ですか、それでまた呼んだんですか!?と鼻白もうと思ったが、老人は先回りして、「まだ確証は取れていないが、今度はかなり政治的な動機が絡んでいる、一番、SF小説に取り上げられる頻度が高いネタ、そう太平洋戦争に日本が勝利し、米国を統治するってヤツだ。」

しかし、一個人が元々の負け戦の現場に紛れ込んでもどうなるものでもなかろうが・・・と思ったが、老人は「まだ調査段階なので、すぐに飛ぶことはないと思うが・・・」と。

そこで話題を替え、二人の共通の趣味であるカメラの話に切り替え、来る途中、銀座の「かぼす舎」にて不思議なカメラを格安で手に入れたハナシを切り出し、この良く出来たキワ物で、いつも仏頂面の老人を驚かせてやろうと思い、おもむろにカバンから取り出した。

老人はこのカメラを手にした途端、驚くでなし、ただ、深く息を吸い込み、「やはり影響が出始めたか・・・」とだけぽつりと言った。

一体何を言っているのかと思い、老人の次の一言を待って凝視していると、「不確定要素の支配する並行過去時間が何者かによって干渉され、日本が戦勝して、米国経済が支配されている時空が出来つつある・・・しかし、まだ緩やかでしかも多数の可能性因子のひとつでしかないから、"現在"のこの時空への影響は限定的なので、一ヶ月先に影響が出始め、それが現在の時空に向かい、未来から遡行してきているのだ。」

神宮寺老人の口をついて出た言葉は日本語なのに、何を言おうとしているのか全く判らず、私はきょとんとして、出された茶碗を手のひらで弄び、茫然自失としていたら、「キミが偶然手に入れた米国製レンズが付けられたニコンは未来からの警告だ。」と。

要は、時間統制局の本部で調査したところでは、"戦勝国の"日本を中心とした東南アジア、満蒙経済圏への輸出用として、"敗戦国"の米英仏は手っ取り早く"円価"を稼げる光学機器、精密機械の製造に手を染めており、先に降伏したドイツの光学機器メーカーになり代わり、世界的な光学機器ブランドとなった日本光学、精機光学研究所のカメラの互換レンズが世界の主要工業国で作られるようになった時空が発生したのだと。

まだ影響が限定的且つ間接的なうちは良いが、これが次第に干渉し合い、完全にシンクロしてしまうと、歴史の改変が起こってしまうので止めなければならない。

しかも、前回は一個人のマニアが出来心で戦史の一部を塗り替えようとしただけだったが、今回は組織犯罪の可能性が高く、時間統制局は総力を挙げて対処しなければならない大事件となったのであった。

(つづく)

以下は実話。
このレンズは先の海外での海外レンズ、しかも国外のレンズヘッドを利用して製造された改造レンズのうち、新たに北京でドイツの銘品、Astro-Berlinのレンズヘッドを用いて産み出された改造レンズへの返礼として、ここ深川の地で、米国製の引伸レンズであるWollensak Velostigmat2"f2.8を最もスタイリッシュに見えることから、ニコンSマウントに改造したものです。

このレンズは分解まではしてませんが、スリット光、及び絞り位置からして構成は恐らく、4群5枚の変型クセノタータイプではないかと思われます。

で、肝心の写りはというと、このレンズも引伸レンズのご多分にもれず、開放から、まず合焦部はシャープです。
また色のりも必要以上に派手にならず、また醒めてもおらず極めてバランス良いと思います。

ただ、今回の作例では目立つものが選べなかったのですが、前ボケが流れるというか、前にズル〜というカンジの崩れたボケになってしまいました。

しかし、街撮りでは、Sボディに付けた姿はカッコもイイですし、発色もシャープネスもなかなかのものなので、Sマウントのひとつのバリエーションとして、これから愛用していきたいと思っています。

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  1. 2008/10/05(日) 23:10:12|
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孤高のキメラ〜Nikkor50mmF2・H改深川スペシァル

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さてと今宵のご紹介は、一見、ドノーマルの黒ニッコールがごく普通のSP黒にはまって画面に横たわっているありきたりの平凡な画像にも見えますがさにあらず、この個人工房が、日本光学工業のレンズを再加工してアッセンブリした記念碑的作品なのです。

当工房は基本的に光学系エレメントはそのままで、腰から下、つまり、ヘリコやマウントの改造や新設で以って、とにかく、ライカやニコンのボディに嵌って、距離計連動で撮影が出来るレンズにでっち上げるのをなりわいとしていたのですが、実はニッコール50mmf2のL、Sの程度のイイもの悪いものが合わせて4個ばかり溜まってしまったんで、まぁ、4個イチでもやって、まともなレンズを1本でも組めればめっけもん☆とばかりに、後ろ玉をはずす工具まで新調して、全て光学エレメントを群単位までバラシ、来週以降ご紹介するナゾのレンズともう1本、この黒のSマウントのものに組み上げようとしたのですが、実は開けてビックリ玉手箱ではないのですが、このNikkor50mmF2というレンズは、初期〜前期"H・C"銘のものと、後期〜末期の"H"銘のものとでは、構成は同一とは言いながら、中の部品形状が全く異なっていたのです。

特に今回組んだものでは、肝心要の後玉の貼り合わせユニットの被写体側が全く異なる形状で、この最後期型の鏡胴に前期の後玉をねじ込もうとしても途中までは入るのですが、中玉と絞り羽根アッセンブリのクリアランスを保つ部分が、本体側にあって、一方、レンズ側も前期型は中玉を土手で囲むようにスペーサ的な部位があるので、どうやっても、所定の位置まで入りません。

そこで、当日、友邦ドイツからUボートで到着した?超硬バイトの極細中グリ刃で以って鏡胴内部のクリアランスを取る部位をキレイに削り落とし、レンズ側にクリアランス保持部位の有る、前期モデルのキレイな後玉ユニットを挿入し固定したワケです。

ただ、それでは、外からみたら、何の変哲もない、黒いSマウントニッコールですから、ここで当工房の得意技術を一点投入。

それは、レンズ先端のリングにご注目。良く見ないと判りづらいのですが、このパーツはキズだらけだったんで旋盤で一回皮むいてから、工房得意の時代ニッケルメッキをかけたのです。
通常のニッケルメッキに比べ、シャンパンゴールドっぽく、時代がかって見えます。
これは、かつて購入したA型改DIIブラック&ニッケルのメッキ色を参考に工房で多層メッキと熱処理による界面合金化によって実現したものです。

で、肝心の写りはというと、勿論、元がニッコールですし、計測してオリジナル通りに組んで、ピント基準機でも、比較のメーカーコンプリート品と同一の合焦性能を持つことを確認し、レーザー光測定で光軸ずれが無い旨確認してからフィルムで試写しましたから、まともに写らない筈がなく、ハイライトはフレアッぽく、そして、シャドーはくっきりと締って、という、なかなか味の有る写りになったと思います。

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  1. 2008/07/15(火) 00:22:58|
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深川CE Rokkor-X

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さてお立会い、今晩はまた工房の夏の新作レンズのご紹介。
何のレンズかというと、前にご紹介した、CE-Rokkor同様、ミノルタが世に送り出した引伸機用のレンズの傑作なのです。
このレンズは、国内では滅多に出ることがないため、知る人ぞ知る、電子湾夜釣りの名物となっています。

しかも、ただでさえ見かけることが少ないこのレンズを、CLE用のバリエーションに紛れ込ませるべく、MかL39マウントならまだしも、へそ曲がりエンジニアが鎮座まします、この深川の工房では、CX/Sマウント化してしまったのです。

実はこのレンズ、組み上げてから、まだ正規のフィルムによる試写は終わっていないのですが、関連団体の新宿西口写真修錬会のミーティングの際、たまたま持っていた、StoMアダプタ経由、RD-1Sでタングステンライト下で近距離の被写体を写してみましたが、シャープネス、アウトフォーカスのボケ具合い、そしてカラーバランス、ガラス製品の質感、全てにおいて高い水準の結果を残しており、早いとこ、1本撮ってみたいと言う衝動を掻き立ててくれます。

話しは前後しますが、デザイン的には、安物の一眼レフ用レンズみたいですし、しょぼいアンバー系コートにも見えますが、そこはそれ、凝り性のミノルタ設計陣が、EL-Nikkor、Compononを仮想敵と置いて開発し、ニコンもこの性能に驚き、まだまだ需要はあったガウス+オルソメター折衷型の旧El-Nikkor50mmf2.8をお払箱とし、新規にWガウス型の設計とし、El-Nikkor50mmf2.8Nを送り出すこととなったというのです。

個人的には、この前の"X"なしのものを撮影に使っても、やはりEl-Nikkorでは解像力こそ上回るものの、コントラスト、発色バランス、ボケの美しさで今一歩及ばず、Compononでは全く勝負にさえならないと思いました。

強いてライバルを上げるとすれば、おそらく世界最高性能の引伸しレンズを製造し続けていると思われるローデンシュトックの送り出す無敵のロダゴン、もしくはアポロダゴンくらいではないでしょうか。

先週末に某浅草の有名カメラ修理職人の方とお酒を飲んで懇話する機会に恵まれましたが、引伸しレンズは投射ランプの強い熱に晒されるので、貼り合わせ面などに通常の銀塩撮影用とは違った設計上の制約が求められるということを伺いました。

そういった意味では、紫外線硬化樹脂なども適宜使いながら、過酷な使用環境に耐えながら、均質な投影像を送り出すようヘビィーデューティ設計された引伸しレンズを改造して撮影に用いるというのは、とても贅沢で、意外性という点からは夢の有る遊びだなぁと思いました。

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  1. 2008/07/01(火) 23:08:39|
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写真工業掲載記念〜Nikon Sマウント版キャノン50mmf1.8 

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今日は当工房にとって、とても晴れがましい出来事がありました。
それは、工房が再び生を与え、光を写し撮ることができるようにした作品が、写真界では良識派とされる専門誌「写真工業」6月号の記事として紹介されたのです。

本件は、今を去ること3月に編集長殿直々にご依頼があり、何をご紹介しようかご相談のうえ、一番、インパクトがありそうだ☆ということで、小生が記事執筆と写真撮影を行ったものです。

この場では、キャノン50mmf1.8黒ヘリコイドモデルの光学系をやはり再生したものから製造したSマウント二号機を先にご紹介していて、今回の1号機はいわば、掲載誌発行を待っての、サプライズ登場を狙って温存していたのです。

一部は記事と重複しますが、このレンズの誕生秘話のようなモノをご紹介しますと、そもそも、当工房が旋盤等の本格工作機や、精度の高い測定機器を導入する前から、簡易ピント基準機と鉄工ヤスリ、リューター、糸ノコ等でそれなりの改造レンズを細々拵えていたのですが、そのヘリコイド&マウントに充てたのが、捨て値で叩き売られていた、キャノンのLマウント50mmレンズ達だったのです。

何故、捨て値で叩き売られていたのかと言うと、まずは殆どが後ろから3番目で被写体側を向いている、絞り真後ろの凹玉が例外なく白濁していて、これが磨いてもまた曇る不治の病であったため、誰も敬遠して手を出そうとしなかったこと、第二に比較的廉価で数が多かったため、まともにメンテされなかった個体が多く、ヘリコイドの油切れ、絞りの油にじみ、サビ等でメカとしての状態も悪いものが多く見られたからです。
尤も、そもそもは数が多かったことで、レアモノ好きで判官びいきのクラカメマニア達の食指を動かさなかったことが最大の原因かも知れませんが・・・

しかし5千円以下で買えるジャンクレンズといえど、ヘリコイドをきちんと分解して、固まったグリスをアセトン等で落とし、代わりに工房特製の四弗化エチレングリス配合のヘリコイドルブリカントを入れて上げれば、十数倍の価格のライツや国産ノンライツのLマウントヘリコイド同等以上の精度と堅牢さが甦り、初心者がおっかなびっくりこしらえる改造レンズの基幹パーツとしてはオーバースペックなものに甦ったのです。

そうこうして、親の仇と出物は出遭ったら討ち取れ云々のセオリー通り、お店巡りでも、ヤフオクでも、安いジャンクを見つけ次第、買っては集めていましたが、或る日、前玉は貝殻割れ、後ろは酷い擦り傷で、マウント部も脂じみた見るも無残なジャンクを見つけ、安いし、玉は外して棄てればイイと思って買って帰り、分解してびっくり、中の曇り易い玉が奇跡的にキレイでしかも、素人磨きしていない証にコーティングが乗ったままになっていたのでした。

そこで、あまた有るストックの前玉、中玉前群、後玉のキレイなものを選って、しかも偏光フィルターや凸レンズにはテストパターンを使った微視試験まで行って性能良さげなものをそれぞれの部位で幾つか選抜し、この奇跡的な中玉後群との組み合わせで最も周辺まで崩れがなさそうな光学系を見つけ出しました。
要は単純な組み合わせの問題ですが、トルクを気にして組み上げ、微視テスト、テストマウントに付けてのLマウントピント基準機による実像投影テストを十数回やっての4個イチです。

そして、いよいよ光学系が決まったら、後はパッケージングの問題なので、前々からやってみたかった、キャノンtoニコンのスワップを考えたのです。

このパーツも、加工に自信を持ち出した頃、ニコンSマウントの50mmf1.4のLマウント版をキャノンのヘリコイド&マウントアッセンブリ使って実用化していたので在庫があって、寸法も余計な切削をせず、程良いクリアランスで嵌められそうなことが判っていたので、後は加工有るのみ、現物合わせ、内面の光学系保持スペーサの削り出し、微調整を繰り返し、最後に自製の測定機器で加工精度見て完成、手間隙かけた結果、陽の目を見たという次第です。

で、写りはというと、元のレンズが相当優秀だったせいもあり、開放から、目が醒めるほどシャープ、古いレンズではありながら、カラーの発色もやや暖色系気味も、バランス取れた現代的なものですし、バックのボケもほぼどの距離でも2線ボケやグルグルボケが発生せず、なだらかに溶け、前ボケも滑らかで邪魔にならないカンジに写りこみます。

たとえは良くないかも知れませんが、個人的にはちょうど、ヤシコンGプラナーの45mmF2レンズのコントラストと彩度をちょっと落とし、シャープネスをちょっと上げたというカンジがしました。

まぁ、いずれにせよ、今回の件もあり、このレンズは当工房の宝としてこれからも大切にしていきたいと思っています。

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  1. 2008/05/20(火) 23:28:40|
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Apo-Rodagon50mmf2.8改CX/Sマウント

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今宵はまた工房の作品に戻り、非凡な才能を持つごくフツーの一般人の如き、Rodenstoock Apo-Rodagon50mmf2.8改CX/Sマウントをご紹介。

このシリーズは先にご紹介した、Rogonar-S、アポなしRodagonとも、ほぼ同一の外観で、ロゴでも見なければ、まず識別が付かないほど似通っています。

そう、配色のせいもありますが、一見して、あまり高級感が漂わない、どちらかというとおもちゃっぽい外観で、良く写るどころか、まともに結像するのだろうか?という一抹の不安さえ胸によぎらせてしまうような作りが共通しています。

しかしながら、逆テッサーのRogonar-S50mmf2.8はシャープさとナチュラルな発色バランスを発揮し、変型ガウス型のRodagonS50mmf2.8は合焦部のシャープさとアウトフォーカス部のなだらかなボケのハーモニィによる浮かび上がるが如き立体的描写、そして発色のバランスとれた艶やかさで以って、何れも並みの市販銀塩用レンズを軽く凌駕する超高性能ぶりを発揮し、その由無き不安を払拭してくれました。

今回のApo-Rodagon50mmf2.8は団子三兄弟の如き、同じお仕着せのユニフォームですが、その超々高性能ぶりは、もう想像を絶するものがありました。

いつものように工作機械でパーツを加工し、組み上げ、調整しながら、ピント基準機のSPでピントグラスを覗き、結構シャープでコントラストも高めだな・・・とは感じていたのですが、いざ、愛機S2に付け初試写をいつものコースである、近所の運河〜駒形〜浅草と回ったのですが、そのシャープさというか、情報密度そのものの濃さにびっくり☆

良く知られている通り、普通の写真用レンズの「色消し」は可視波長帯の赤、青の二色が同一焦点面で結像するように硝質の違う凹凸レンズを組み合わせて設計し、アクロマートという名称になっていますが、写真用でも一部の高級機種、例えばスィーターとか、キノプティクなどでは、その両端の波長域のみならず、ほぼ真ん中の黄色に相当する波長帯も同一焦点面で結像するよう、アポクロマートといわれる青黄赤3波長での色収差補正を行っているのです。

このレンズはというと、カラープリント用引伸機レンズラインナップの最高機種だったので、色にじみをなくすため、贅沢にもアポクロマートの仕様で以って世に送り出されたというわけなのです。

やはり、控えめな自己主張ではありますが、"Apo"のロゴは伊達ではなく、もう同じ兄弟のRodagonと較べるよりは、寧ろシネレンズのうちでもよく出来ている方のキネクセノンに比肩し、或いは、ネガで撮って、フロンティア仕上げだったら、まずSマイクロニッコール50mmf3.5とでも区別がなかなか付かないレベルの実力を持つのではないかと個人的には思いました。

レンズ構成はRordagon50mmf2.8の4群6枚の中玉に黄色〜黄緑波長帯の色消しの為のレンズをもう一枚入れていて、5群7枚と変則的な構成になっています。

しかし、シャープネス、色の抜けは飛躍的に向上しているのに、Rodagonの美徳である、なだらかなボケ、浮き出るが如き立体的な描写性を全く損なわず、世界の超高性能産業用レンズを追撃出来る様になっているのは、やはり、Rodenstock社の底力と老舗なればこそのプライドの為せるワザなのでしょう。

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  1. 2008/04/14(月) 22:50:19|
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Rodagon50mmf2.8改Sマウント

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今晩のご紹介は、当工房の製品群の特徴のひとつである、Nikon Sマウント改造レンズのうち、ドイツが世界に誇る銘品、ローデンシュトックの引伸レンズであるRodagon50mmf2.8です。

このレンズは、一見、作りは如何にも今風で、若干チープな感もなきにしもあらずですが、しかし、この鏡胴はプラにあらず、軽合金製ですし、結構重量あって、手に取ると、細部の仕上げの良さも相俟って、奥底に秘められた性能の高さを予感させます。

先にご紹介した僚機のRogonar-S50mmf2.8と瓜二つの外観ですが、中身は全く別物で、あちらが、3群4枚の逆テッサー型なら、こちらはより高級路線を狙って、4群6枚の変型ガウス型です。

で、肝心の写りはどうなのか?ということですが、こちらも、やはり教科書的な、引伸しレンズはカメラに付けても、無限での解像力が劣る、とか解像度とコントラストは高いが、平面的な画になる、ボケが汚い、という前評判に対し、勿論、開放でも、無限から近距離まで合焦部はシャープで、しかもなだらかな前後ボケと浮かび上がるが如き立体感ある描写で、おそらく世界中のどの市販の50mmf2.8レンズより際立っており、やはり理論だけではなく、実写してみないとレンズの性能は判らない、という教訓を得ました。

しかし、このレンズとて、赤、青、黄補正のアポクロマートではなく、上には上があり、殆ど同一の外観で、控えめに"Rodagon"のレターの前に"Apo-"と表記したものが有ります。

国内ではあまり見掛けませんが、たまに電子湾で夜釣りしていると引っ掛かってくることがあり、これまでに50mmを2本と75mmを1本釣り上げました。

アポの75mmはRF用の距離計連動改造ではなく、EOSマウント仕立てにしましたが、フランジバックが合わず、最遠1.7mなどという街撮りには到底使えないものになってしまい、修正待ちですが、先に組んだ50mmの方は、明らかにこのレンズとは違いがはっきり判る、ウルトラシャープな写りで、Sマイクロニッコールもかくやあらんとばかりの性能に仕上がりました。こちらも追ってご紹介したいと思います。

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  1. 2008/03/20(木) 00:15:15|
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CEロッコール50mmf2.8改Sマウント

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あまりコレクション自慢ばかりやってると、「ふん、深川精密工房ってのは、ただの金満コレクターだったんかい!?」と揶揄されそうなので、そろそろ本業紹介。
このレンズも、現実的には100%有り得ない、夢のスワップの実現です。

ベースになったのが、国内ではまず見かけない、旧ミノルタ製の引伸し用レンズ、CEロッコール50mmf2.8です。

実は、国産は小学校時代の祖父の形見のキャノネットから始まり、高校でペンタME、会社入って暫くして道楽の血が疼きだした頃買ったのが、ニコンF、F2チタン、そしてF3P、F5、それからキャノンのF1Nを黒、茶合わせて5台とEFが一台ってなありさまで、オリンパス、ミノルタとはとんと縁がありませんでした。

しかし、この工房の操業開始後、ふと40mmのコダック製銘玉、シネエクター40mmT2が入手できたので、その直進ヘリコイドに代え、ライカマウント化すべく、ドナーを探していた時、クモリ有りという触れ込みで中野の某量販中古店で安く買い求めたCLE用ロッコールがモノは試しに撮ってみたら、恐ろしく良く写るんで、ミノルタ製レンズに興味持ったのです。

そして、何気なく電子湾を遊泳していたら、或る日、C.Eロッコールといういかにも良く写りそうな見慣れないレンズが・・・

説明文をよくよく読んでみると、引伸機用に作られたものらしく、ニコン、シュナイダ、そしてローデンなんかに較べると結構レアだということ。また光学系の状態もミント!とか書いてあったんで、米国人の誠意を信じ落札。

ついてみると、予想通り、なかなかの状態のレンズ。さて、コイツを何マウント化するかで悩みました。

いつものキャノンヘリコでLマウント化でも良かったのですが、もうCLE用のが有るんで、ここは一丁、絶対無いものにチャレンジと決めて、またSマウント化。

で、当工房にて精密加工の結果、産まれたのがこのニコンSマウントのC.Eロッコール。

肝心の写りの方はというと、さすがにシャープネス、淡い色の再現性といった限界的な性能ではそれぞれ、ELニッコール改造レンズ、ローデンシュトックの両レンズには一歩譲りますが、とにかく、ボケがきれい、また階調再現性とコントラストのバランスに優れ、新宿駅前で夕刻にテスト撮影した時など、慌しい街角の空気までも写し取っているかのようでした。

レンズ構成については、資料もなく分解もしていないんで、またいつものスリット経由の白色光を両面から当てての反射面からの推定ですが、おそらく、5群6枚の変形ガウス型ではないかと思います。

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  1. 2008/01/22(火) 23:57:31|
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Canon 50mmf1.8II改S

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キャノンが創設当時から戦後暫くはニコンからニッコールレンズの供給を受けていたのは、クラカメファンなら誰しも知っていることですが、もしその逆があったら・・・

キャノンは、名匠、伊藤宏氏の活躍により、もはやニコンの助けを必要としないばかりか、性能的にも比肩、いや、国内にのみライバルを求めず、RFカメラの総本山、西独ライツにまで挑戦した志の高いメーカーだったと個人的には思っています。

しかし、性能的にも、またコストパフォーマンス的に優れていても、不運なことにそのレンズシリーズがあまりにも合理的で地味なデザインだったため、当時も今も、マニアックなクラカメファンには受け入れられていないのが実情だったように思います。

また、当時、開発されて間もない新種ガラスを特定部位、具体的には後ろから2群目、枚数的には3枚目になる張り合わせエレメントの凹レンズに採用したため、絞り羽根真後ろの空気に触れる被写体側が風化し、白く濁ってしまうことが多かったため、必要以上に評価を下げてしまっています。

そのため、当工房では中玉クモリや、前玉割れ・キズの50mmf1.8を十数本買い込み、主に改造用として、ヘリコイドのみ外し使っていたのですが、或る時、奇跡的に中玉にクモリのない個体を新旧1本ずつ買えたのです。

そこで、当工房では、この風采は上がらないが天才的な描写性能を持つ、勤め人風レンズをもっとオシャレにする方法を考えました。

それは、前玉、後玉で一番状態のイイものとクモリない中玉を組み合わせ、完全な光学系を作り上げ、これをニコンSマウント化するというアイデアでした。

キャノンがおそらくどのニコン純正5cmf2よりも高性能の標準レンズをニコンに供給し返す・・・そう考えただけで、なんかワクワクしながら拵えた2本のうち、1本がこちらSer.IIの光学系を使った2号機です。

写りは、開放では程よく柔らかく、色のバランス、コントラストもほど良く、後ろボケもゾナー系のようなとろけるようなカンジで、見て愉しく、使って愉しく、人を驚かせてまた愉快な、一粒で三遍おいしいレンズになりました。

マイクロニッコールばりの超シャープな怪物レンズ、Ser.IとIIのパーツミックスで拵えた1号機もお楽しみに。

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  1. 2008/01/16(水) 22:25:02|
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Rodenstock Rogonar-S 50mmf2.8改 Nikon Sマウント

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さてさて、また本業の改造レンズのご紹介に戻ります。
このレンズは、一見、ロシア製コンタマウントレンズの新製品にも見えますが、さにあらず、これもまた、当工房の作品です。

元になったレンズは、引伸機用では世界中から高い評価を受けている、かの独Rodenstock社製のRogonar-Sというレンズです。

このレンズは元々は引伸機のマウントに装着して使用することになっているため、当然のことながら、ヘリコイドがありません。
そうなると、折角、L39のネジが切ってあるのに、Lマウントボディにつけても、アダプタ介してMマウントボディにつけても、ピント調節の出来ない、ただのお飾り玉になってしまいます。

そこで、当工房は、先のSマウント一号機のノウハウを活用して、Sマウント化することにしました。

そうすれば、とにかく、何とか、∞だけ併せて、機械的にがっちり固定しちゃえば、ヘリコの心配も、ましてや、いつも頭を悩ます距離計連動カムの調整も要らず、簡単に実用レンズが出来ちゃうワケです。

まさにモノグサ向けのお手軽調理で本格的な一品!ってヤツですね。

で、写りはというと、実は、この玉、普通のレンズとは逆方向から光が入るんで、なんと、一群目が張り合わせになった逆配置のテッサー型なんですが、開放から素晴らしくく描写のキレが良く、シネレンズもかくやあらん・・・という色ヌケ、立体感で、巷間の、引伸レンズは写ることは写るが、ハイコントラストでガチガチで平面的に写る、という風評を力強く払拭してくれたのでした。

なお、この兄弟機のロダゴン50mmf2.8も同様にSマウント化してますし、ロダゴン80mmのf4はニコンFマウント化してますが、同様に信じられない描写です。
これらも追ってご紹介しますんで、乞うご期待。 [Rodenstock Rogonar-S 50mmf2.8改 Nikon Sマウント]の続きを読む

テーマ:ニコンSマウント - ジャンル:写真

  1. 2008/01/15(火) 23:52:27|
  2. Sマウント改造レンズ
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ELニッコール改50mmf2.8S

ELNK.jpg
Arri改のレンズばかり載せていると飽きられてしまうのもイヤなんで、ここらで話題一変、Sマウントの変りレンズをご紹介。
これは、旧ELニッコールの引伸し用レンズを当工房でSマウント化してニコンの旧RF機に使用出来るように改造したもの。
このレンズは、ガウス型とオルソメター型の折衷型ということで、解像度、コントラストについては極めて高いが、描写が平面的になる、或いは無限では絵作りが出来ないといった風評もものともせず、マイクロニッコールもかくやあらん!というすっ飛んだ写りをしたのです。

テーマ:趣味と日記 - ジャンル:趣味・実用

  1. 2008/01/09(水) 00:20:36|
  2. Sマウント改造レンズ
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プロフィール

charley944

Author:charley944
お江戸の外れ、深川の某運河のほとりで、閑を見つけては、こっそりと旋盤回し、時には金工ヤスリでカム削り、自分の欲しいレンズを拵えては、親しい友人達にお披露目して自己満足に浸っています。小人閑居為不善?

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