深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

大陸からのチャレンジャー〜ASTAN50mmf3.5

astan01.jpg
astan02.jpg
今宵のご紹介は攻守入れ替わり、また新たなチャレンジャーの登場です。
このレンズは、レンズヘッド自体もかなり珍しいとされる、独Astro-Berlin社製のASTAN50mmf3.5を使った改造レンズで、出来は中の下といったところでしょうか。前回のチャレンジャーである、IVOTARの精巧さとは較べるべくもありません。

しかし、このレンズの価値は、ヘッド自体の希少性のみではなく、北京オリンピックの直前に恒例の電子湾夜釣りにて、何と、北京の業者?が出品していたものを落札したことにあるのです。

それはどういうことかというと、出品者がたまたま一個だけこの改造レンズを出品していたのなら、明らかに他国製を買って転売したのだろうと推察出来るのですが、このレンズ以外にもかなり多岐に亘るタイプの改造レンズを出品しており、また「製品」の解説もやたらマニアックだったので、はは〜ん、コイツは北京在住の改造マニアだな・・・とピン!ときて、もし出来がダメだったら、希少なレンズヘッドだけ活かして、当工房にて再改造すりゃイイや☆というダメモトの軽い気持ちで落札しました。

この出品者は海外発送に慣れていなかったらしく、済まないが日本に入っている筈だから、DHLにコンタクト取って欲しいとか、有り得ないようなメールを送ってきて、何度もしつこいので、いい加減飽きれてコンタクト取ってみたら、確かに荷物は北京から届いているが、住所の都区以下がごっそり落ちていてデリバリ出来ずに困っている・・・との回答。

しゃぁないやっちゃと思いつつ、FAXで必要事項を記した紙を送付し、そこから待つこと4日、注文してから一ヶ月弱かかって手許に着いたのが、オリンピック閉会式後のことでした。

まぁ、そんなこんなで相当ズボラで杜撰な送り主(=製造者)の人物像が浮かんできたので、荷物を開梱して手に取った時は、安物のロシア製インダスター22か何かの鏡胴部品にさりげなく固定しているこのレンズを見た時、あ〜ぁ、高い買物しちゃったかなぁ・・・と一瞬後悔にも似た疑念が頭をよぎりましたが、とにかく実写せにゃ判らんってことで、夜まで待って、仲間内の溜まり場である、新宿西口の南蛮茶店に出かけ、店内で他のレンズと共に実写テストを行いました。

で、下がその結果なのですが、3群4枚のエルマー型?にしては、相当ソフトな写りで、目立たないレベルのクモリが悪さをしているのかも知れません。ただ、室内で色々な距離を変えて撮った限りでは、傾斜カムの出来もまずまずらしく、全カット、開放からピントは来てました、立派なものです。

まぁ、こういうシャープでないレンズを好む人も多々居ますし、使い方によってはムーディと言えなくもない写真も撮れそうですから、マイクロニッコール教の信者である工房主は、まぁこんなもんかいね、で済んじゃいますが、北京の改造人間のマニアックさが垣間見られたことが何よりのレンズでした。

さて、この独中連合軍に対し、深川精密工房はどんな改造レンズを繰り出してくるのか・・・まぁ、予告編を兼ねてちょっと囀っちゃえば、正反対にシャープなレンズを持ってきてます。

to be continued.

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2008/09/30(火) 23:40:24|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

海の彼方からの挑戦者〜Cooke Ivotal 2"f1.4改M〜

Ivotar_c.jpg
ivotar1.jpg
ivotar2.jpg
さて、今宵は少々目先を変えて、改造レンズながら、秘宝館の収蔵品からのご紹介です。
このレンズは、当サイトを見たというドイツのマニアないし、セミプロの業者さんから、オファーがあったものを比較用に購入したものです。

お気付きの方はもうお気付きだとは思いますが、当工房の屋号は、日本語の他の欧米語表示が、何故かドイツ語表記になっています。

これは、欧州のブラウザにより引っ掛かり易くするため、一計を案じたものです。

その甲斐有って、電子湾で何回かレアレンズを買ったことの或る出品者から、「あんたんとこのサイトを見て、自分でも出来ると思い、CマウントTV用のCooke Kinetalをライツ純正のヘリコイド&マウントに据え付けたものを作った、大幅に値引きするから、短時間しか出さない、Best Offerのところに値段を入れてくれ」、とのメッセージを貰いました。

ここの業者から買ったレンズはどれも状態が良く、値段も適価だったので、まぁ、有象無象の跳梁跋扈する電子湾内ではかなり信頼出来る業者だと思っていましたし、提示された大幅値引きを鑑みれば、レンズヘッドの値段はだいたい判っているので、ライツのオリジナルパーツ使って、手間かけたら、自分ではや〜だよ!ってなレベルのマージンしか残らないんで、相当、お買い得だと思いました。

それに何よりも、技術で勝負の深川精密工房が、挑戦者からのオファーを受けないワケにはいきません。

そこで、早速、購入し、待つこと10日間、手許にレンズがやってきました。

Cマウントレンズと聞いていたので、親指くらいの可愛いレンズヘッドと思っていましたが、あにはからんや、かなり大きく立派で、押し出し感の有る鏡胴でこれも英国のレンズの伝統に則って、精緻な刻印が数箇所に刻まれていました。
ライツのMエルマー50mmf2.8のマウントパーツと合体した姿は、ちょっと見ると、超レアなプロトタイプの純正ライツレンズと言っても通ってしまいそうです。

う〜ん、実写性能のみならず、見た目のマニアックさ、美しさまで追求してくるとは、当工房の運営理念とも相通ずるものがあり、相手のやる気をひしひしと感じざるを得ませんでした。

また、レンズ構成については、売り主曰く、4群6枚のWガウスタイプとのことでしたが、羽根の位置がかなり後ろに位置していること、絞りより前が一枚多く見えることから、コンパクト設計でf1.4を実現するために前群を一枚多くした5群7枚構成でないかと思いました。

で、肝心の実写ですが、この明るさを活かすため、シェイクダウンテストはいつもの溜まり場のすぐ側の新宿西口の路上です。

RD-1Sに装着し、感度ISO800で試写してみました。勿論、全コマ開放での撮影です。

まず一枚目のカップルの後ろ姿ですが、女性のしなやかなウェーブがちな髪も、男性の白い木綿のショルダーのストラップも程好いシャープネスとナチュラルな発色で質感を良く捉え、とても好感持てる写りになりましたが、ただ、後ろはかなり渦巻き系で背景の若者達が非点収差の影響でムンクの「叫び」のようにフワーと渦巻いてボケています。

そして2枚めですが、これは自発光式の屋号表示板の上に魚類の漢字名を書いた湯呑みをモチーフとしたオブジェを載せた看板ですが、これも一字一字、くっきりと捉えるのみならず、素材の光沢や、質量感まで巧みに捉えています。しかし、後ろは非点収差と球面収差が程好くミックスされ、なかなか味の有るボケを形作っています。全体の発色バランスも極めてニュートラルです。

こうして見てみると、カッコもなかなか素晴らしいし、使い方によっては、独特の立体感を活かした面白い画が撮れそうな優秀な改造レンズだということが判りました。

そして、何よりも、今まで手を出してこなかったCマウントレンズがこれほど使えるものだと気付かされたのが大きな収穫だったと言えます。

では、この海外から遥々やってきた、異形の改造レンズを素直に褒め称え、深川精密工房は、潔く参りましたと降参するのか・・・

いいぇ、答えはノーです。

このレンズを入手して以来、今まで、Cマウントレンズはフランジバックがライカ規格よりもまだ短く、またイメージサークルも小さ過ぎるので、たとえRD-1S専用でも改造は出来ない、という通説が覆されたワケで、当工房でも長いこと眠りについていた、BOLEXマウントのスーパーレンズの改造に急遽取り掛かり、これに成功したのです。

To be continued....

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2008/09/17(水) 00:31:29|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

カラー時代の覇者、赤鉢巻のDNA〜CANON NFD50mm f1.2L〜

canonf1N.jpg
canonf1N4.jpg
canonf1N2.jpg

今宵は、目先を変えて、LレンズはLレンズでもライカ互換のL39ぢゃなくて、キャノンがプロユースに堪えうるラインナップとしてN-FD以降送り出した"L"シリーズのうちの、所有する中で最もお気に入りのN-FD50mmf1.2Lをご紹介します。

このレンズは1980年に発売されたもので、組み合わされたボディとしては、モデルチェンジ直前、機種としては、約10年間の生産を経て熟成されたF-1Nに組み合わされての市場投入です。従って、このN-FDレンズは、F-1Nから翌年9月にバトンタッチされ、同社のフラッグシップモデルとなったNew F-1との組み合わせがメインとなります。このコンビは1996年にNew F-1が製造中止になるまで15年の長きに亘り、国産最強のハイスピードレンズではなかったのかと思います。

確かにニコンも天体撮影用を主目的にしたと思われるノクトニッコール50mmf1.2を出していましたが、街撮りで、特にネオンの派手な色から電灯の淡い色調まで濁り無くクリアに描写するという用途では、個人的にはこちらに軍配が上がり、更に昼間の撮影においても、ボケが素直でより立体感が出ているように感じました。

コストパフォーマンスをも性能に加味するとすれば、今でも世界No.1のハイスピードレンズであることは間違いないでしょう。 何とならば、ノクトニッコールが5倍弱、ノクチルックスに至っては10倍ものプライスタグが付けられているのですから。

では、この赤鉢巻を巻きつけて、Lの称号は何を意味するのか。
キャノンの説明によれば、”L”は"Luxually"で豪華とか、高級を表す区分で、各焦点距離のレンズのラインナップで最上級モデルを示すということだそうです。
そして、その赤鉢巻と"Luxually"の称号を裏付ける性能、品質は何によって裏付けられているのか。
それは、鏡胴などの材質が高級であるのみならず、このレンズでは手研削の非球面レンズが後群の一面に奢られていること、そして、全"L"レンズ共通ですが、一般のレンズより高い組立て精度、そして厳しい検査基準で出荷されていること。まさにプロの酷使にも耐え、如何なる状況下でも期待された使命を果たす、という産まれもっての誓いを表すのです。

実際にこのレンズを買ってから、街撮りに連れ出すのは、夕暮れから夜の帳が下りて以降です。
特に夜のネオンサインに浮かぶ人々の暮らしざまをスナップするのが楽しくて、この人目に付かないオリーブドラブのF-1Nとの組み合わせによる、夜間遊撃撮影はまだまだやめられそうにありません。

テーマ:Canon FDレンズ - ジャンル:写真

  1. 2008/09/02(火) 22:57:06|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:8

移ろい行く老舗の誇り〜Rodenstock Heligon35mmf2.8〜

heligon35mm.jpg
今宵の紹介は、また工房附設秘宝館からの登場で、Rodenstock Heligon35mmf2.8です。

ここのブログでは、改造レンズである、Cine-Heligon50mmf2、Rogonar-S50mmf2.8、Rodagon50mmf2.8、そしてApo-Rodagon50mmf2.8が先行して紹介されてしまいましたが、今回ご紹介する35mmのHeligonだけが、ドイツ光学業界の老舗のひとつ、実力ではツァイスに比肩するとも言われる1877年創業のRodenstock社がライカ互換マウントのL39スクリューで1950年代にリリースした唯一のレンズです。
Rodenstock社は、技術力を誇示するかの如く、この超高性能レンズ1本のみをライカ互換でリリースして以降、活躍の場を大中判、引伸レンズへと移していきます。

そもそものこのレンズとの馴れ初めは、今から9年ほど前、タイから復員してきて、外地で稼いだ泡銭もあったし、そろそろ、ライカ互換の珍しいレンズでも漁ろうかな・・・という下心を持って、銀座の黄色い手榴弾のお店のショーケースを覗いていたら、たまたまこのレンズと目が合ってしまい、ふと頭をよぎったのが、んん、ローデンシュトック、お、これ、カッコェェ眼鏡のフレームとか作っとる西独の高級品の会社やんけ・・・見た目はイマイチやけど、もしかしたら、値段もそこそこ高いし、珍しいものかも知れへんから、ゼニようけ持っとるうち、買うたろう♪という、自己飼育の悪魔の囁きでした。

で、次の晴れた休日、深川界隈の風景、運河や、神社仏閣の参道の商店などを試写してびっくらしまくらちよこ状態でした・・・開放から、恐ろしくシャープで、色のヌケも良く、画面隅々まで歪み、崩れな〜ぃ・・・しかも、合焦部の超シャープさと相反して、前後のボケもスーパ−ナチュラル!

ご覧の通り、カッコは地味目ですし、小ぶりなのでそれほど凄いレンズとは思えませんでしたが、ずっしりと重い密度感の塊である、このレンズの驚愕すべき試写結果をもとに、SマウントのW.Komura35mmf2.8と双璧の広角レンズ軍団の礎となったのです。

何せ、50mmでは、当時はSマイクロニッコール50mmF3.5が優劣を図るメートル原器のような役目を果たしていましたが、35mmでは、このHeligonを基準にして、シャープネス、発色、ボケを判断するようになってしまったのですから。

シャープさだけなら、キャノンのL35mmf2か前回ご紹介のW.Komura35mmf2.8でも十分太刀打ち出来るかもしれませんし、色ヌケの良さであれば、CXマウントの35mmf3.5のプラナーでも比肩し得るでしょうし、開放時の立体感やボケのなだらかさでは、ズマロン新タイプ35mmf3.5もイイ勝負を見せてくれますが、やはり、オーバーオールの性能を考えると、このHeligon35mmf2.8が依然としてチァンピオンと認めざるを得ないと思います。

余談ながら、ダブルガウスのDNAは隠せないと申しますか、このレンズに一番近い写りをして、時には同伴した主役のシネ改レンズすら喰ってしまう、驚愕のレンズが同じく4群6枚対称系のMロッコール40mmF2だったのです。
  1. 2008/08/18(月) 23:07:09|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:8

市井に埋もれた異才〜W.Komura35mmf2.8S〜

komura35mm.jpg
今宵のご紹介は、どこかの中古カメラ店の棚の片隅にありそうで、実は全くない、人様から珍品と言われ、初めて珍品なんだねぇ・・・としみじみ感じ入った、地味めながら高性能を秘める、失われた下町の銘玉、W.コムラー35mf2.8Sです。

確かに国産の35mmf2.8というスペックのL39マウント版は、銀座の黄色い手榴弾のお店も、新宿の時計屋の傍らにカメラ商っているかの如きお店も、国産の旧RF用の交換レンズの在庫が豊富なお店ならば、だいたい何かしら置いています、キャノン、ニコンは語りつくされた感アリなので除くとして、TANAR35mmf2.8、Acoll35mmf2.8、そして、ちょっとレアなのが、このW.コムラー35mmf2.8のL版、だいぶレアなのがプロミナー35mmf2.8、そしてトプコール35mmf2.8ってとこではないでしょうか。

しかし、そのものズバリ、NikonSマウントの国産の互換広角レンズというのは、このW.コムラー35mmf2.8だけではないかと思います。尤も広角では被写界深度の関係でヘリコイドのドライブ量は関係なくなりますから、キャノンの28mmf3.5CXも、ソリゴール35mmf2.8もニコンSマウントで問題なく使え、実質互換レンズですが。

このレンズとの出会いは、まだ右も左も判らないコレクター初心者マークの頃、SP用の35mmがニコン純正の35mmf1.8しかなく、な〜んとなくもう1本くらいF値の違う(要は安くて手軽に使える)交換レンズがあったら欲しいなぁ・・・とか念じながら、銀座の裏通りを歩いていると、天に召される前の黄色い手榴弾の一階の玉石混交というに相応しい雑多な委託品の棚の下の方に目立たず置かれていて、誰にも関心を示されずにしょぼくれているかのようにも見えました。

ふと視界に入った時、こんなメッセージが心の中に忍び込み、思わず手を伸ばしてしまいました、
「私の貧しい実家は潰れてしまい、兄弟もちりじりです。大メーカーの産まれぢゃないんで、満足な値段も付けてもらえませんが、産みの親のエンジニアは一生懸命設計してくれて、工員さんは、一個一個丁寧に組み立て、検査員のお嬢さんは厳しくも丁寧に見てくれて、たくさんの愛情を受け、この世に産まれ落ちました・・・絶対期待を裏切らないから、ここから連れ帰って下さい・・・」と。

値段も当時の同じレベルの品質状態のW.ニッコール35mmf1.8の4分の一程度だったので、迷うことなく、この心の声に耳を傾け、我が家へとお連れしました。

そして、この1960年代初めに生まれたレンズが家に来て初めての夏。
近所の洲崎弁財天のお祭りをやっているらしく、そとから活気ある掛け声や調子をとるホイッスルなんかが聞こえてきました。

ここで、このレンズに初仕事のチャンスを与えることとしました。

但し、メカ的な相性がよく判らなかったため、最初のテストはキエフ4での出撃。

真夏のピーカンのもと、神輿を担ぐ法被の若衆、日陰で涼をとる世話役の壮年達、そして、愛くるしい子供神輿の一団・・・戦場カメラマン宜しく、かなり露出もアバウトに全コマ開放で反射的にシャッターを切り続けましたが、夜、そのプリント結果にびっくり・・・

心の底では、安かろう、悪かろうと思って、どうせニコンのパチモンとしか思っていなかったこのレンズが予想以上の戦果を上げたのです。

ハイライトは飛ばず、フレアも出ず、シャドーでも色を忠実に再現し、しかも古い広角特有の周辺の崩れ、歪みも一切なし。

まさにお値段4倍のWニッコール35mmf1.8よりシャープで発色も醒めたカンジで、使い方によっては、こちらに軍配が上がるとさえ思えました。

後々調べてみると、このレンズは、普及品にも関わらず、後発の強みを活かし、ライツズマロン35mmに範をとった4群6枚の変型Wガウスタイプながら、先行していたWニッコール35mmf1.8をも想定ターゲットとし、F値を抑え、新たに設計し直したということなのです。

後々にこのレンズとの出会いが、次々と無銘の高性能レアレンズとの邂逅を与えてくれます。
タナー5cmf1.9しかり、サン、ソフィアしかり・・・有名なメーカー、大メーカーの産まれぢゃなくても、イイレンズは一杯産まれているのですよと。

テーマ:ニコンSマウント - ジャンル:写真

  1. 2008/08/13(水) 01:35:44|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:8

恍惚の中に潜む尖鋭〜CANON35mmf1.5〜

canon35mm.jpg
canon35fI.jpg
canon35mmII.jpg
七夕とは何の関係もないようですが、今宵のご紹介は、再び当工房附設秘宝館から、意外と有りそうで、無さそう、買ってびっくり玉手箱のどっきりレンズ、キャノンがRF機当時、世界最強のハイスピード広角レンズとして世に送り出した35mmF1.5です。

このレンズは今を遡ること昭和33年に発売されました。当時のお値段が35000円、今の中古相場の半分以下にも思えますが、初任給がせいぜい1万5千円とかそのくらいだった時代ですから、今の貨幣感覚に直せば、だいたい50万円弱の超高級レンズということになります。

このレンズの凄いところは、RF界のトップメーカーエルンストライツ社が35mmではやっとF2のズミクロンを送り出した年だというのに、それを遥かに越える明るさを持つコンパクトなレンズを送り出してしまったのです。
ライツは昭和36年になって、やっとズミルクス35mmF1.4を送り出し、F値の上では0.1優位に立ったのでした。

しかしながら、このズミルクスは開放ではコマフレアが多くて、ピントの芯が見当たらず、個人的には、F3.5以下に絞ってやっとまともなレンズになるというカンジで、曲りなりにも開放から、何とか使い物になる、このキャノンのハイスピードレンズの敵ではないと思いました。

キャノンの35mmはこのF1.5のほかにもう1本、キャノンがRF用としては最後期に開発し、開放からズミクロン同等以上のシャープネスとコントラストを誇る昭和38年発売のF2IIを持っていますが、同じF値、例えばF5.6で較べれば、このF1.5のモデルに軍配が上がると思いました。

確かに今のレンズに較べると、球面収差が大きく、開放で日中に撮ったりしようものなら、コマフレア大会になってしまい、何とかピントの芯こそは判るものの、ベス単か調子の悪いタンバールの如き、ソフトフォーカスレンズになってしまうため、撮るシーンを選ばねばなりませんが、このレンズの本領発揮は日没前から、灯りの点る時間帯です。

特に路地裏の夕暮れスナップには、このレンズは重宝します。
下のカット二枚は、新宿某所で夕暮れ時にこのレンズを買ってすぐ性能テストに持ち出した時のものですが、同伴機のF1-ODにつけたNew FD50mmF1.2Lのどこまでもネオンや点光源がシャープに濁りなく描写するのに対し、このレンズは荒削りながら、人の営みというか、澱んだ場の空気みたいなものまでしっかりと拾い上げ、路地裏のうらぶれたカンジを良く掴んでいると思いました。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2008/07/07(月) 22:58:08|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

甦ったノスタルジー〜Classic Heliar 50mmF2 mit Zeiss Ikon

heliar01.jpg
heliar02.jpg
heliar04.jpg
heliar03.jpg
あいや、今宵のご紹介はまた深川精密工房附設秘宝館から、長年、主人の憧れのコンビネーションで先般のICS直前になって、やっとタグを組んだ信州製のカメラとレンズです。

ボディの方はいわずと知れたツァイスイコンシナとも称される、ツァイスイコンRFです。
このボディは国産にしてはかなり高めの価格設定で、ライカと較べるまでもなく、ツァイスブランドのカメラとしては安め?というかなり際どいゾーンを狙ったマーケットとなっています。

まぁ、ベッサR3Aのグレーを愛用しているし、これもこれでコストパフォーマンスは驚異的にイイし、AEで補整無しでシネレンズ使っても素晴らしい結果を出してくれるので、それほど、ツァイスイコンを急いで買おうとは思っていなかったのですが、或る日、中野の某量販店から信州製のSマウントゾナー復刻版が入ったぞなーもしという連絡を忘れた頃に受けて、しぶしぶ引き取りに行ったのですが、そこで、ショーケースの中に鎮座まします、黒のオリジナルフード付き、使用痕殆ど無し、保障期間残有りのクラシックヘリア50mmf2黒を見てしまったのです。

こうなったら、親の仇と出物は出会ったら討ち取れ!の家訓に従い、買って帰るしかありません、合わせて15万円強のお買物です・・・しかし、どちらも限定品だ、出会ったら討ち取れ!だ、と半ば強引の克己心を奮い起こし、カード払いで払っちゃったワケです。

Sゾナーは工房でSマウントレンズは次々作ってるし、古いニッコールの方が写りが好きなんで、気が変わるまで眠ってて貰うことにして、クラシックヘリアには、早速働いて貰うことに。

買った翌週、早速、このレンズをベッサR3Aグレーに付けて、沈同ズミとともに街撮りテストに連れ出しました。行く先はいつもの浅草、深川から大江戸線に乗って蔵前で降りると何かいつもと違う街の佇まい。

そう偶然にも、年に一度の三社祭の日だったんですねぇ。
そこで、深川から来ました♪ ヨロシコとか、独り言っぽく聞こえよがしに言いながら、ほぼ乱写状態、
闖入したお祭りの雰囲気をお裾ワケして貰ったという次第です。

そして、上がってきたのが、今回の画、色ヌケはいいし、コントラストも高すぎず、隅々まで均質で端正な写りでも開放での柔らかさが画面に溢れているし、同時にテストした、開放からカリカリのズミクロンとは正反対の写りになったようにカンジました。

このレンズは、いわずと知れた3群5枚、そうトリプレットの前後を貼り合わせにした古典的な構成ながら、今までF2.8止まりだった開放値を新種の高屈折ガラスを効果的に利用することにより、F2にまで拡張したという意欲的な製品なのです。

しかも、相当コストが掛かっているらしく、記念版のベッサR3Mとセットで発売になり、ボディは通常販売品に格上げされたのですが、幾らファンが泣いても避けんでも、セットの2000本だかで打ち止め、どうあっても再生産する気がなさそうです。

で、ボディの方は、レンズを手に入れ、しかも写りがかなり魅力的だったので、昔、中古カメラ市のコシナブースでわざとフォクトレンダーブランドのレンズをツァイスブランドのボディにくっつけたら、沈胴の古めかしいレンズデザインと直線を基調としたクラシックなデザインのボディとが妙にマッチしてしまい、いつかはバラバラに買って、自分だけのオリジナルコーディネェィトやっちゃるばい、と妙な闘志を燃やしていたので、思い立ったが吉日とばかりに今回のICS期間中にこれもまた最安値の中野のお店まで行って買ってきちゃったってわけです。

このカメラの美徳は、ファインダが手持ちのRFの中では屈指の見え方ですし、巻上げ感、シャッタ音といったメカのフィーリングに関しても良く練られていると思いますし、ホント、買って良かったと思っています。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2008/06/23(月) 22:48:06|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

Carl Zeiss QBM Distagon 35mmF1.4 HFT

Distagon35.jpg
さてと、今宵のご紹介は、一眼レフ系繋がりということで、当工房附設秘宝館の方から、Rollei SL35用のQBMマウントレンズ、Distagon35mmF1.4という超弩級レンズとなります。

このレンズは、Carl Zeiss社がRolleiSL35システム用に供給したものには違いありませんが、不思議なことに、"Carl Zelss"銘と”HFT”銘のいわゆるWネームになっています。

何故不思議かといえば、通常、CarlZeiss社製、もしくはそのライセンス品であれば、”T”、或いは”T*”の銘が朱色もしくはオレンジで刻印されるのですが、このレンズには、Rollei社が"独自に"開発したという高透過率のマルチコート”HFT”の刻印が誇らしげに刻んであります。 う〜ん謎だ・・・

まぁ、そういった曰く因縁の話はさておき、このレンズの面白いところは、f1.4という明るさを誇るレトロフォキュタイプのレンズなので、とにかくデカイ。
同じような開放値であるキャノンのL35mmf1.5とか、ズミルクス35mmf1.4などレンジファインダ用レンズ達と較べれば、乗用車とマイクロバス程度の差はありますし、更には驚異的な開放値を誇るコシナレンダのノクトン35mmf1.2と較べてもまだ二回り以上は大きく、比較が適切ではないかも知れませんが、一眼用で言えば28-70mmf2.8クラスのズームよりもまだ若干大振りなくらいです。

そして、このレンズの最大の特徴、そして最もお間抜けなところは、絞り羽根の形です。
何と、3枚羽根の三角形絞りです。どうせ開放でしか使うつもりはないんで、絞りの羽根が光彩として写りこむカタチとか、バックのボケのカタチなど悩まなくともイイんですが、マジメに使う人にとっては、???の作り、なんでこんなリッパなレンズなのに、ヘンなトコで手を抜いちゃったの???と頭を抱えること必至だと思います。まぁ、究極の撮像レンズのひとつであるArriflex35用のキネクセノン50mmでも
4枚羽根なんてものがありますから、あまり気にしなくてもイイのかも知れません、気にするくらいなら、開放で撮れってことですか・・・はぃはぃ、そうしますってば(笑)

しかし、このコーティングが"HFT"だろうと、実際は"T*"であろうとその物凄いところは、このレンズをマクロ撮影した画像で、もうお気づきの方もおられるでしょうが、前玉が全然反射していないところです。決して、一枚少ない欠陥レンズを買ってしまったのではなく、角度にもよりますが、撮影用の強い蛍光管に対しても殆ど無反射に近い状態を示したのです。

前にもご紹介したQBM用のプラナー35mmも後玉は国産の最新鋭レンズのマルチコーティングと較べても全く遜色なく、角度によっては全く光が反射しなくて、あたかもガラスがないように見えることがあり、まさに今回も同様の現象が期せずして再現されてしまったワケです。

で、肝心の写りの方なんですが、実はこのレンズ、SL35というよりは寧ろこの頃嵌っているEOS1Dのアダプタ遊びにでも使おうと思って買ったものですが、マウントアダプタがまだ入手できていないんで、味見できてません。
しかし、コーティングの状態からして、前にテストした35mmf2.8のディスタゴンよりも良さげなんで期待出来そうです。
乞うご期待。

テーマ:ROLLEI - ジャンル:写真

  1. 2008/06/09(月) 00:19:04|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6

〜凡庸を纏った鬼才〜CANON50mmf1.8Tuned by K factory

canon50mmVIL.jpg
さてさて、今宵は友誼サイトにて、当レンズの作例を一歩先に公開して頂いたので、後追いながら、こちらでも、旅先での作例付きでご紹介・・・決してネタが尽きて、フツーのレンズを引っ張り出してきた、或いは、急遽、安物のジャンクを買ってきて、記事にでっち上げたというワケではありません(笑)

このレンズのバリエーション、即ち、Sマウントについては、Ser.IIとSer.IIIのパーツミックスで拵えたSマウント2号機と銀鏡胴の複数パーツミックスで拵えた1号機をご紹介しましたが、今回のものは、見た目が余りにもノーマル然としていて、な〜んだ、つまんねぇなぁ・・・と飛ばしてしまいそうです。

しかしながら、このレンズは見た目はそこらで安値で叩き売られているCANON50mmF1.8SerIIのm表示直進ヘリコイドモデルですが、中身は全くといってイイ別物で、まず、ヘリコのメカ、フォーカスリングは手持ちの中で最もしっかりして外観のキレイなものを選び抜き、更に前玉、2群、そして後玉も磨き傷やカビ跡等の欠陥が全くないものを選って、中玉のみ、言っちゃなんですが、磨き跡もぎじぎじで、バルもきちゃってるの充てて組み直して、川崎市堤根に有る、当工房の友好工場のひとつに、中玉の交換と全体の調整をお願いして出来上がった、これもハイブリッドレンズなのです。

その工場はさすがキャノンの最古参の指定業者だけあって、このレンズの再生&チューニングは素晴らしい結果となりました。

帰ってきたレンズを見て、まず中のキレイさにびっくり、そして、ヘリコ回転の程好い重さ、スム−ズさも目を見張るよう・・・工房で今後キャノンレンズを改造をする際のお手本とさせてもらうこととしました。

で、肝心の写りですが、なかなかテスト撮影をする機会が訪れなかったのですが、今回、沖縄にGWを利用して撮影旅行に行くことになったので、コイツも戦力の中核としてカバンに忍ばせました。
今思うと、このキャノン50mmf1.8とミノルタロッコール40mmf2が数本のレンズの中でもかなりイイ仕事していたのではないかと思います。

開放から合焦部は恐ろしくシャープに、そしてボケはなだらかに・・・と言いたいところですが、友諠サイトでの記事を見て、丹念に探してみたら、何と5m程度の被写体に合焦すると、無限の手前のものが同心円状の渦巻き現象が見られました。

しかしながら、このぐるぐる渦巻きとて、このシャープでカラーバランスや立体的描写に優れた優秀なレンズの評価を貶めるものではなく、寧ろ、味わいの一つとして楽しむこととしました。

ELニッコール改50mmf2.8が見せたような、シャープさが故のバックの2線ボケよりは、このレンズが時折見せるぐるぐるボケの方が愛嬌が有って愉しいと思いますが皆さんはいかがでしょう。
[〜凡庸を纏った鬼才〜CANON50mmf1.8Tuned by K factory]の続きを読む

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2008/05/26(月) 22:44:26|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

〜ミラノの伊達男〜WegaIIa

wegaIIa_02.jpg
今宵のご紹介は、結構、アクセスが伸びたのに気を良くして、またまたイタリアモノの登場です。
このカメラは、イタリアのA.F.I.O.M.[Apparecchi Fotografici Italiani Officine Meccaniche]社が1953年から55年にかけて製造したバルナックライカ型のレンジファインダー機で、レンズはトリクサー5cmf3.5アナスティグマットという3群3枚のいわゆるトリプレットタイプで、外見が酷似している本家本元?のエルマーないし、テッサーの3群4枚に較べると、貼り合わせ部がなく1枚少ない構成になっています。

まずデザインに関して言えば、さすが、ファッションの総本山、モードの発信地のミラノの会社が売っていただけあって、細部に至るところまで、ライカとは異なり、人の目を気にして誂えてあるカンジがします。
特に面白いのが、底蓋を外すと、内部には何と贅沢にも縮緬塗装が丁寧にかけられているのです。
ライカでは、見えないところは、機能本位とばかり、フツーの黒艶消し塗料を使っているのとは、対照的で、こういうところもラテンとゲルマンの差なのかな・・・とも思いました。

次にメカですが、ファインダはこのタイプの機種に一般的な距離計&ファインダの二眼式になっていて、バルナックライカや国産のライカコピーなどと較べる、二つの窓が離れているので、慣れないうちは気になりましたが、結構、二重像のコントラストも高く、また倍率も高い距離計と歪みもなくクリアなファインダのおかげでテキパキとスナップを撮るのにも十分だと思います。また、シャッター速度は1000分の1秒まで用意されているので、f3.5のこのレンズで街撮りをする分には、常に開放で撮り続けられるので、とても都合がイイようです。シャッター音は、古いバルナックや、キャノンのV型以前のレンジファインダー機の如く、ガタン!というカンジではなく、もっと静かでショックは少ないです・・・う〜ん、イタリア製メカ恐るべし。

そして、一番気になるトリクサーの写りですが、3枚玉だと、歪曲収差が抑え切れず、周辺など甘くなってしまうとも思ったのですが、先のイリア5cmf3,5同様、シャープで色ノリもよく、しかも、1枚少ない分の美徳として、ヌケが良いカンジが勝っているとも思いました。
しかも、このレンズは、完全なL39互換なので、本家本元のバルナック、Mボディにつけても良いし、勿論、BESSA R3A、HEXAR RF、そしてRD-1Sにつけても他のレンズとは一味異なった写りが楽しめるのが嬉しいです。
特に良く似た外観のエルマー、シムラー、そしてW.サックヴェロスティグマート、キャノン、ニコン、ヘキサーと5cmf3.5クラスの味を較べるのはとても興味深いことだと思います。

テーマ:レンジファインダー - ジャンル:写真

  1. 2008/05/17(土) 23:41:56|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

〜ラテンの醒めた英知〜ISO Standard

ISO.jpg
さてさて、前回のアポロダゴンがあまりウケが宜しくなかったようなので、たまには目先を変えて、ディープでコアなマニアしか関心なさそうな助っ人が工房附設秘宝館から登場。

このカメラは、イタリアのIndustria Scientifica Otticaが1953年に発売したレンジファインダーカメラで、この有名な兄弟にHensoldt Reporterってのがあります。

同じカッコで名前だけ違う兄弟がISOとHensoldtで発売され、そのドイツ向けがHensoldt Reporterという名で、イタリア国内向けがISO Reporterというワケです。

レポーターという名称とスタンダードという名称の機種の差は、要は底面にトリガ巻上げの機構があるかないかの違いであって、たぶん、付いている方が連写性能良いんで、報道用にイーゾってことで、そういう名前になったんでしょう。

でも、お値段安いし、そういう面倒な機構は要らないんで、当方には、スタンダードで十分なのです。

付いているレンズはIriar5cmf2.8で、これは3群4枚なのですが、絞り羽根が前玉直後にあるので、テッサータイプと言わず、エルマータイプというべきなのでしょう。

このレンズの写りは、テッサーにありがちなシャープさが勝るカンジは少なく、寧ろ、コッテリとしながらもバランス取れた色ノリやなだらかな後ボケ、浮かび上がるが如き立体感で、ゾナーの兄弟みたいに感じました。まさに恐れイリヤーの鬼子母神ってとこですか。

で、このカメラの面白いところは、ピント合わせの方法。

何と、コンタックスや、ニコンSシリーズと同じく、向かって左側の歯車を指の腹で回して、ギア機構経由、ボディ内部のヘリコイドを回すのですね。

ファインダは視度調節式だし、ブライトフレームこそないものの、バルナックよりは遥かに見易く
二重像もコントラスト高くくっきりしているので、開放で街撮りやっても、結構速写も効いて面白い写真が撮れます。

何よりも、そこそこのクラカメマニアでもここまで知っている御仁は少ないようで、これを提げ街を歩いていると、だいたい、何ていうカメラですか、とか、おっ、ヘンゾリポータですか?とか声を掛けられることも少なくなく、撮って愉しく、所有して愉しい銘機だと思っています。

テーマ:レンジファインダー - ジャンル:写真

  1. 2008/04/21(月) 00:03:05|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:10

究極の相棒〜Nikkor 50mm F1.1with Nikon SP〜

nikonSP.jpg
さてさて、しょぼい改造レンズのお後は、少々、更新をサボってたこともあり、お口直しの意味も込めての大サービス、工房附設深川秘宝館から、究極の高速レンズ、Nikkor50mmF1.1とこれまた国産RF機史上で最強の高信頼性、高耐久性を誇るNikonSPオリジナルブラックの登場です。

まず、レンズの方はといえば、1950年当時からの通産省主導の新種ガラスの業界共同開発の成果として、まず帝國光学がズノー5cmF1.1を1953年から発売し、これに遅れること1958年からニコンが満を持して発売したのが、このNikkor50mmF1.1なのです。
このレンズのSマウント仕様には、大きく分けて2タイプあり、前期型の内爪と後期型の外爪があります。
実は、外爪を1本、内爪を2本買ったことがあるのですが、3本の中では、この内爪が一番素直な写りをするので、気に入って手許に残しています。
開放では、フレアがかったソフトな極めて被写界深度の狭い独特な画風ですが、F5.6まで絞って撮るると、DRズミクロンもかくやあらんというばかりの高コントラスト、高解像度のレンズに早変わりします。
しかし、頭でっかちレンズであることには変わりないので、このカメラにつけて首から提げると、いつもお辞儀状態になってしまい、ちょいとカッコ悪い気もします。まぁ、M3にノクチ付けても同じようなもんですが。

続いてカメラの方は、泣く子も黙るNikon SPオリジナルブラックの報道用スペシャルです。このカメラは地元のカメラ屋でそこそこの値段で出ていて、ただ売り手から条件が付けられていて、改造しないでこのまま大切に使うこと、年に数回はフィルムを通してあげること、ということでした。

買って暫くしてファインダが曇ってきたので、ニコンに修理点検に出したところ、顔見知りのサービスマンの方が数箇所の特徴を上げ、これは一部部品が換えられてしまっているが、元々モードラ装着前提の報道用ですねと教えてくれたのです。道理で不可解な条件が付けられていたワケだ、と後で納得。

予備機か、或いは導入されてまもなくFが発売になって、お役御免になったのか、外観は当たり傷、大きな擦り傷もなく、角がほど良く剥けて真鍮の地金が出て、イイ風情を醸し出しています。

で、このカメラを使うのかって?勿論、約束通り、年に数回はこのレンズとか、Sマイクロニッコール、或いはオリンピアニッコールを嵌めて、築地や浅草で街撮りを愉しんでいるのです。

素晴らしい巻上げフィーリング、チタン幕シャッターの囁くような音、そしてM一族には及ばぬもののクリアで見易い、独創的な夫婦ファインダー、引退させるにはもったいない、街撮りの相棒なのです。

テーマ:ニコンSマウント - ジャンル:写真

  1. 2008/04/09(水) 23:21:27|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:10

魔法の都からやって来た蒼い瞳のお人形〜Opema Openar45mmf2

opema.jpg
今日は、友好サイトで面白いレンズの紹介やってたんで、予定を変えて協賛企画。
チェコのプラハからやって来た、中世の魔道師が拵えたという、夜な夜な人語を交わす蒼い瞳をしたお人形さんみたいなカメラ、Meopta OpemaIIとその最も明るいレンズであるOpenar45mmf2のご紹介です。

このカメラは、チェコスロバキアで1949年から10000万台ほど作られたと言われている、いわゆるコピーライカのひとつで、その大きな特徴は主に4つあって、一つは画面サイズが奇しくも同じ時代のニコンやミノルタのRFと同じ32x24の狭幅サイズで、二つ目はマウントが1mmほど小径でライカのいわゆるL39と互換性がなく、三つ目は、裏蓋が外れ、フィルム装填がし易いこと、最後は、距離計窓がファインダーの外側に位置していることです。まぁ、細かくみれば、ライカがハーフミラーで距離計の光路作ってのを、コンタックスばりにプリズム使ってるとか、色々ありますが、はっきり言って、特殊な画面サイズのため、DPEからは嫌われ者で、実用には向きません。

また、レンズも、Lマウント化すればライカマウントに使えないこともないですが、そこまでして使うほどの性能でもないので、まぁ、このカメラでたまに遊びでフィルム通して、知り合いのラボで頼み込んで現像・プリントするってな遣い方でしょうか。

このレンズは、一応は、当時の主流のひとつだったズマール型のダブルガウス構成にはなっていますが、ボヘンミアンクリスタルの国でありながら、新種の高屈折率ガラスなどは使われていないので、開放ではかなり盛大のコマフレアが出ますし、周辺も大甘です。

しかし、そこはそれ、"大"口径レンズの特徴を生かし、夕暮れなどに高感度のネガなどで撮ると、さすが、ボヘミアンクリスタル本場のレンズだけあって、街頭のしょぼい屋台を照らす裸電球の色もシェーンブルク宮殿のシャンデリア張りに艶やかに写るのです(んなわけないか・・・)

テーマ:レンジファインダー - ジャンル:写真

  1. 2008/03/25(火) 23:51:48|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

TnackV3 with Tanar5cmf1.9

tanack_20080323193657.jpg
今回はまた、工房附設深川秘宝館からのコレクションのご紹介。

このカメラは、今はもう倒産の憂き目に遭い、現存していない、故田中光学が、昭和33年から34年にかけて1000台弱製造したという、いわば珍品ノンライツの類いに入るのですが、まぁ買った時のお値段は、ちょっとキレイなキャノンVILと同程度かちょっと高いくらいで、その10数倍も作られて、相当数が市中に出回っているNikonSPに較べれば6掛けくらいというような庶民的な幻のカメラだったわけです。

しかし、ヤフオクで落札し、家に来たとき、一回巻き上げただけでシャッターも切れなくなり、ヘリコイドも、冷蔵庫に三年以上も放置したジャム瓶の蓋を回すが如く硬く、とても撮影など出来る状態ではなかったので、工房の外注先の川崎の某カメラ総合病院で大手術を受けさせました。

待つこと2ヶ月、見違えるように快調になり、手許に戻ってきたこのタナックとタナー5cmf1.9のコンビは、予想を裏切る、素晴らしい写りを見せてくれました。

確かにシャープネスやコントラストでは、完調なキャノンVIL+キャノン5cmf1.8のコンビには到底敵いませんが、この希少な開放値を持つタナーは同じゾナータイプでは、開放からニコンSの5cmf2よりも暖色系の発色バランスに優れ、像全体に歪みなどない均質な描写で、しかもゾナー固有である、近距離からの後ろボケがなだらかに芯を残さず写り込み、上質な絵画的イメージを与えてくれました。

また、ハイライトは殆ど飛びませんし、さすがに最後発のゾナータイプだけあって、逆光にもキャノン、ニコンの大手メーカーの同クラス品と同等以上に強かった印象を覚えました。

この時点で、大メーカー、有名メーカーの製品だけが優秀なのではなく、市中や歴史の陰にも銘品は埋もれている・・・という確信を持つに至り、それが先にご紹介したサン・ソフィア5cmf2等の発掘にも繋がったのだと思っています。

テーマ:レンジファインダー - ジャンル:写真

  1. 2008/03/23(日) 19:58:01|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

鉄のカーテンの向こう側から来た小鬼達〜Robot Star25 vollautomat

robots.jpg
今回のご紹介は、暫くぶりに工房併設の秘宝館から。
この可愛らしくもどことなく抜け目ない表情のコンパクト風カメラの兄弟は、当時の東ドイツのオットーベルニング社が1930年代から連綿と作り続けてきたロボットカメラシリーズの限定業務用に80年代初めに製造したものと言われています。
その業務というのが、何と東独の公安当局、つまりは秘密警察ですと。

内蔵した強力なスプリングモートルで自動巻上げが可能で、フルに巻き上げると、黒の機体銘板に有る様に25枚、一気に撮ることが出来ます。

きっと、想像するにトレンチコートのポケットか何かにこのどっちかを忍ばせておいて、反体制分子が街角で、こっそり連絡文の入ったアタシュケースを交換する瞬間を連写・・・な〜んて、スパイ映画もどきのシーンで使われていたのかと思ったりすると、この精緻で愛くるしい精密機械達がとても禍々しい来歴を持った小鬼のようにも見えてくるから不思議です。

しかし、1990年代も終わりになって、ベルリンの壁崩壊とともにこの小鬼達は職を失い、健全なコミュニケーションのツール、或いは現代の主要な芸術のひとつとして、写真が認知されている西側の自由諸国へ亡命していったのです。

この白黒小鬼兄弟は、縁有って、何とトルコのアンカラのクラシックカメラ屋が電子湾で養殖しているのを釣り上げ、2台一緒に入国させました。

このどちらもファインダには距離計もパララクス補正もついていませんが、ゆがみが少なく、比較的明るいブライトフレーム付きなんで、覗きながら連射しても愉しいし、また、ライカやSPとは違ったスナップ流儀・・・ノーファインダですれ違いざまにシャッターを切って撮影する・・・そう、この小鬼達のかつての故郷での特技では、24x24の正方形フォーマットも相俟って今までにない斬新な画が撮れました。

きっと、そんな時、この小鬼達は、ウィンクして、ほーらね、ぼくらはホントはこうやって使って貰うのが正しいんだよ♪と語りかけてくるようです。

テーマ:レンジファインダー - ジャンル:写真

  1. 2008/03/17(月) 22:50:18|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
次のページ

プロフィール

charley944

Author:charley944
お江戸の外れ、深川の某運河のほとりで、閑を見つけては、こっそりと旋盤回し、時には金工ヤスリでカム削り、自分の欲しいレンズを拵えては、親しい友人達にお披露目して自己満足に浸っています。小人閑居為不善?

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる