深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Sun Sophia 5cmF2

sophia01a.jpg
さてさてお立会い、いよいよ、深川秘宝館から、人外魔境のレンズが彷徨い出て参りました。
当館で収蔵する「幻の」レンズのうち、レア度ではトップクラスの「Sun Sophia5cmF2」であります。相棒も同時期に発売されたレオタクスDIIIスペシアルです。

このレンズは戦後間もない時期に今は亡きサン光機が外貨獲得のための輸出向けに極少数作ったものとされており、1947年くらいの製品らしいのですが、何故かコーティングがされておりません。

レンズ構成は、どうやらズマールのデッドコピーらしく、4群6枚のオーソドックスな変型ガウス型とのことでした。

このレンズとの馴れ初めは、海外の某オークションで謎の沈胴レンズが出ていて、知名度が低く、相当のマニアも、どーせライカのパチモンやろ・・・ってなカンジでスルーしていたらしく、信じられないような安価で落札できました。

しかし、それもそのはず、説明文を良く読まなかったのが災いして、絞り羽根が一枚外れてさびさび、しかもそのサビがガウス型の【】の内側にびっしりこびりついてとても光を通せる状態ではなかったのです。

家にお迎えして速攻で修理に出し、一ヶ月強で修理完了した時、迎えに行きましたが、元々外装の金属部も前後玉も不思議とキレイな個体だったので、見違えるような美品に蘇りました。

で、嬉しくなって、その次の週末の土曜日、お天気も良かったので、お江戸深川から、小江戸川越まで電車に揺られて行って、他のシネ改等の超高性能レンズ達共々試写しましたが、驚異の結果・・・所蔵の国産5cmf2クラスでは、圧倒的性能の銀鏡胴Lキャノン5cmf1.8には及ばないものの、タナー5cmf1.9、トプコールS5cmf2クラスとは条件次第では開放からのシャープネス、発色の艶やかさ、画面全体の均質さでほぼスクラッチ、好みにもよりますが、フジノン50mmf2よりも精緻な写りと感じました。これがノンコートのレンズかとまさに首をかしげる性能でした。

因みに修理した方も言われていましたが、オリジナルのズマールを凌駕し、個人的には、ズミターの丸絞りの後期型と発色、画面の均質性ではスクラッチ、シャープネスではこちらに軍配、またCXゾナー5cmf2とでは、赤系統の発色の艶やかさを除く全項目で優位に立つと思いました。
特に全距離域で合焦部のシャープネスと後ボケのバランスが素晴らしく、まさにゾナーのおはこを奪ったカタチになったと思いました。 [Sun Sophia 5cmF2]の続きを読む

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  1. 2008/02/25(月) 23:27:52|
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Rodenstock Rodagon80mmf4改ニコンFマウント

rodagon01.jpg
このレンズは、ローデンシュトック社の有名な引伸用レンズ、Rodagonシリーズの80mmf4のものをBorgヘリコイドを利用して当工房でニコンFマウントに改造したものです。

古い引伸レンズの先輩達に較べると、ガラス繊維強化プラスチックの鏡胴はいかにもお手軽な量販レンズ然としてますが、愛機Fに付けて蔵前~浅草で試写してみたところ、その写りに唖然・・・

まず、淡い黄緑域での発色が素晴らしい、結像がシャープ、後ろボケが素直、黒が引き締まっており、立体感の有る作図で画像全体にメリハリが効いています。

ローデンのレンズには、高級ラインのアポロダゴンシリーズとアポがついていない、普通?のロダゴンの二種類がありますが、このアポなしロダゴンですら、セミアポ以上の性能なのですから、アポの付いた製品の写りはもう想像以上と申せましょう。

今まで、商売柄、金属製品主義だったため、レンズは金属鏡銅でなくては価値がない、プラは安物だから、どうせ良く写る筈がないという先入観に凝り固まっていましたが、まさに目からうろことのたとえどおり、この黒ずくめのスターヲーズの帝國軍兵士の持ってた光線小銃みたいな佇まいのレンズが、また新しい黙示録の扉を開いてくれたのでした。

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  1. 2008/02/21(木) 22:43:16|
  2. ニコンFマウント改造レンズ
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☆祝500アクセス突破☆ご本尊開帳~Noctilux 50mm f1.2~

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早いもので、このブログ始めて、一ヶ月と一週間で、なんと500アクセスを軽く突破出来ました。
これも、ひとえにマニアの皆様のお陰と、身が引き締まる思いです。

さて、ここで、いよいよ、当工房のもう一方のエース、Sマイクロニッコールがご本尊であるなら、こちらは、まさにご神体に当る、Noctilux 50mm f1.2の登板です。

この超弩級レンズは、1966年に生を受けた、いわゆる第一世代の開放値f1.2、4群6枚の典型的変型ダブルガウスながら、世界初の非球面レンズとして、M3に引き続き、またしても世界の耳目を集めることとなりました。

このレンズは、第一面と最終面を非球面としているのですが、その製法が凄い・・・今なら森精機製作所あたりのCNC研削機か何かで削るか、或いは、手っ取り早く、ガラスモールド、はたまた、通常の球面レンズ表面に光学樹脂を盛って非球面にした「なんちゃって非球面」なんて方法もあるのですが、ライツの凄いところは、そういう方法を一切使わず、レンズ研削のマイスターが一つ一つ、全て手磨きで製造したというのです。

しかも、光学エレメントがそこまで気合いが入っているのに、鏡胴がタダモノであろう筈もなく、内部に何種類かの銅合金とステンレススチール、そして外装のアルミ合金を用いることで、光学製品の理想とする、温度による線膨張の影響を最小化し、更には軽量化と、高剛性を両立したゴーヂャスな金属加工技術の粋なのです。

確かに、1976年登場の、この後継機である第二世代になってからは、f値も1.0となり、キャノンの例のレンズを除けば、銀塩用で世界最小F値を奪回したのですが、コストダウンのためでしょうか、非球面レンズが使われなくなり、新種ガラスとコンピューター設計の高度化で通常の球面構成になってしまい、構成は一挙に6群7枚、そして重量も100グラム強も重く、一回り以上大きくなってしまいました。

残念ながら、個人的には、モノとしての魅力という意味で、第二世代以降には、全くキョウミが湧かず、この第一世代を以って、ノクチは打ち止めと思っております。

で、肝心の写りですが、当然、夜のお勤めのレンズですから、夕暮れから、日没後でしか、街撮りには連れ出しませんが、いやはや、うわさに違わぬ素晴らしい写り。

いっぺん、浅草のサンバカーニバルの終わった、浅草寺西の飲み屋街でいまだ熱狂さめやらぬ男女の即興路上ダンスを撮ったことがありますが、人工光下でも画面全体に滲み、色の濁りも全くなく、まさに熱気やら、場のざわめきまでネガに叩きつけたような力強くも繊細な写りでした。

Sマイクロニッコールが太陽の下のクィーンであるなら、こちらは、夜を支配するキングなのかもしれません。

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  1. 2008/02/14(木) 23:45:12|
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Cooke Speedpanchro 35mmT2.3

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今回のご紹介は、かなりのご年配のシネレンズを無理繰理、距離計連動にしたもので、通常のLマウントではなく、Mアダプタ嵌め殺しで作った、元アリフレックス用クックスピードパンクロ35mmです。

最近のシネレンズは黒が基本色ですが、50年代くらいまでは、このクックのようにアルミ剥き出しで色気のない、産業機械然としたアリレンズがあったようです。

これも、構成的には、テーラーホブソン自家薬籠中のオーピックレンズの改良版ですから、おそらく4群6枚の変型ガウス型と考えられます。

では、何故、使用範囲が狭まるMマウントアダプタ嵌め殺しにしたのかというと、これは、アリフレックスは曲りなりにも一眼レフ式なので、距離計連動など考慮されていませんから、連動のための後付メカとして、かなり極端な傾斜プロファイルを持つ斜行カムを採用しているため、ちょっとでも距離計連動用のボディ側のコロとカムのピーク(=無限)がずれてしまうと、全く距離計が合わなくなってしまうからです。

Lマウントのネジは機種によって、止まる位置が微妙に異なりますし、またコロの位置自体が12時かっきりの位置にない場合も多いからです。

で、肝心の写りですが、同じスピードパンクロの名を関したSer.IIの50mm、32mm、40mmの兄弟達のシャープで、極めて色飽和度の高い写りに比して、それなりにシャープで、色も濁りはなくイメージサークルは43mmより足りないものの、写る範囲では崩れ、歪みはないですが、まぁ良く出来たクラシックレンズという範疇のテイストだと思います。

しかし、往年の映画撮影の現場で使われた名レンズを自分のものとして、再び光を捕えさせるというのが、また夢が有って宜しいのではないかと思っています。 [Cooke Speedpanchro 35mmT2.3 ]の続きを読む

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  1. 2008/02/12(火) 00:36:50|
  2. Arri改造レンズ群
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ラテンのエスプリ~Foca Universel RC

foca01a.jpg
つぶらな大きな瞳に肌目細かい白い肌、触れば折れてしまいそうな細い腕・・・
そんな表現が似合うのが、このフランス製のレンジファインダーFOCA RCではないでしょうか。
このちょいとファニーでエレガントなフランス娘みたいなカメラは1962年~63年にかけ、フランスのOPL社で2000台だけ製造され、同社をこれを以って、民生用カメラ製造から撤退します。

フォカシリーズには、大きく分けて2種類のマウントが存在し、"Universel"銘のものは、全レンズ距離計連動タイプの独自バヨネットタイプで、それ以前のモデルは全てライカと異なるスクリューマウントで標準レンズ以外は距離計連動しません。

尤も、Universel用の交換レンズ、特に広角側はなかなか出てきませんし、出たとしても、同じクラスのライカのものの倍はするでしょう。

このカメラのチャーミングなところは、大きくて明るいアルバダ式の一眼ファインダと、巻上げの"ヂャ"という音、そしてレリーズ押すと"ヂュッ"という独特のシャッター音を発することでしょう。まさにドイツや日本のカメラ達と違い、目と耳で楽しませてくれる独特の感性を持っています。

レンズは、標準で一番明るい、Oplarex5cmf1.9が付いています。
このレンズは、見た目は金属の仕上げも美しく、優雅且つ押し出し感も強い方だとは思うのですが、個体差があるのかも知れませんが、はっきり言って、開放では全く使いものになりません。

結像が甘く、ちょっとしたハイライトで大フレア大会、発色も、コントラストももう一台のFOCAであるUniversel Rに付けているOplar5cmf2.8と同じ会社製かいな!?と思うほど、惨憺たるものです。

因みにこちらは変型ガウス型の確か後群の一枚を省略してある4群5枚だったと思いますが、同じ焦点距離、開放値で、もう1本、日本製のタナカ光学のタナック50mmf1.9というゾナータイプのものがありますがそちらの方がシャープさも色ノリもコントラストも遥かに優れていたと記憶しています。

まぁ、クラシックカメラは絶対性能をギリギリ追求するのではなく、多少写りが気に食わなかろうと、所詮は味の範囲なんで、これも楽しみのひとつと割り切って、たまにフィルム通したりして、モノとしての感触を楽しんでいますが。

テーマ:レンジファインダー - ジャンル:写真

  1. 2008/02/06(水) 22:41:43|
  2. 深川秘宝館
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Componon50mmf3.5改L39

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このレンズは、ドイツが世界に誇ったレンズ専業メーカー両雄の一方、シュナイダークロイツナッハ社が引伸用のシリーズで出していたコンポノンの50mmf3.5のものを、当工房で距離計連動化すべくL39のヘリコイド&マウントを結合させたものです。

このレンズも3群4枚とありますから、おそらくテッサータイプか、或いは正反対のエレメント配置を含めたテッサータイプの一種だと思います。

この時代のレンズは実性能もさることながら、モノとしての質感とか、威厳みたいなものもマーケッティングの大きな要素だったらしく、昨今のガラス繊維強化プラの各社共通の引伸レンズの鏡胴とは全く違い、真鍮削り出しにクロームメッキ、そして艶消しエナメルの焼付塗装という手の込んだ作りで重さもずっしりと重く、何かかけがえのない宝物を掌中に収めているような錯覚さえ覚えます。

こういったところは、もう一方の雄、ローデンシュトックの古いレンズや、海峡を越えたテーラーホブソン、そして米国のヲーレンザックなどにも共通していると思います。

このレンズは電子湾でかなり安く買えたのですが、それもその筈、引伸機に装着するためのネジが主流のL39スクリューではなく、34φ以下の変わったスクリューで自分でアタッチメント用意しなければならないし、撮像用に改造するにも、中途半端なネジは市販のパーツが流用できないため、結構面倒ですから・・・

ただ、肝心の写りの方はどうかと問われると、やはり、かならずしも有能な引伸レンズが魅力的な撮像レンズに化けるとは限らず、同時にテストしたELニッコール50mmf2.8改Sと較べたら、発色のヌケ、シャープネス、コントラスト、全てにおいてベタ負け・・・唯一光るところがあったのが、画面全体の均質性とニコンでは、そのシャープさゆえ、後ろボケが時として2線ボケ気味で煩くなるところ、被写体から遠ざかるごとになだらかに像が溶けていくカンジのまぁ心地良いボケになったことですか。

出来の悪い子ほど可愛いとはよく言いますが、ELニッコール、ローデンのロゴナーS、ロダゴン、そして最新改造のアポロダゴン、ミノルタのCEロッコールと一癖も二癖も有る改造異能レンズ達に囲まれて、この古風な宝玉がどんなシチュエーションで才能を発揮するのか、思いを巡らせています。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2008/02/03(日) 22:13:01|
  2. その他Lマウント改造レンズ
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プロフィール

charley944

Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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