深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Staeble Katagon改L39

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今宵のご紹介は、ドイツの渋めどころ、Staeble Katagon50mmf2.8改L39です。
このレンズはディープなクラカメマニアなら一度は食指を動かされるスーパーパクセッテII向けに1954年にドイツのシュテーブル社が送り出した普及版標準レンズです。

このレンズというか、カメラのシステムが非常にヘソ曲がりで、マウントのネジ規格はL39そのものなのに、レンズシャッターのためもあり、フランジバックがライカに比べ1cm以上長く、そのまま、ライカのマウントにねじ込んでも、おぉぉぉ!だめだ全然結像しない、こりゃ壊れてる!となってしまいます。
そこで、当工房ではフランジバックを合わせるため、両ネジ間のジュラルミンのスペーサを噛ませたワケです。
しかし、現時点の仕様では、距離計連動にはしていません。加工自体は簡単な方に属するのですが、何せ後玉が相当前の方に出てしまい、一方、元々狭いレンズ側L39マウントの内側に実質32mm以下の内径でしかも無限時には7.5mmもレンズ側にせり出る距離計連動カムを付けたら、確実に光路に干渉し、像がけられるのが判っているからです。

ところで、そもそもこのスーパーパクセッテというカメラは、偉大なる?ライカの陰に隠れてクロウト好みの渋めのカメラですが、レンズ交換が出来、しかもライカ同様、さまざまな一流~三流までのメーカーがレンズ供給していたので、いわば、B級グルメみたいな楽しみが出来るものだと思っています。

このレンズはおそらく3群4枚のいわゆるテッサータイプに分類されるものと思われますが、何せ、二流半のメーカーが気楽に?拵えただけあって、周辺は緩いし、解像感も、色のヌケもイマイチですが、そこはそれ、シネレンズとか、マイクロニッコールとか、アポクロマートの引伸ばしレンズみたいな、画面全体が緻密な解像度とシャープな描画に満ち溢れた緊張感の塊みたいな写真だけ撮るレンズばかりぢゃ、肩も凝っちゃいますから、たまにはこういうひょうきんな外観のダメダメお気軽レンズも面白いかな?と許せるキブンになったワケです・・・
典型的A型人間である工房の主も少しは成長したか・・・

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2008/03/30(日) 23:32:45|
  2. その他Lマウント改造レンズ
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魔法の都からやって来た蒼い瞳のお人形~Opema Openar45mmf2

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今日は、友好サイトで面白いレンズの紹介やってたんで、予定を変えて協賛企画。
チェコのプラハからやって来た、中世の魔道師が拵えたという、夜な夜な人語を交わす蒼い瞳をしたお人形さんみたいなカメラ、Meopta OpemaIIとその最も明るいレンズであるOpenar45mmf2のご紹介です。

このカメラは、チェコスロバキアで1949年から10000万台ほど作られたと言われている、いわゆるコピーライカのひとつで、その大きな特徴は主に4つあって、一つは画面サイズが奇しくも同じ時代のニコンやミノルタのRFと同じ32x24の狭幅サイズで、二つ目はマウントが1mmほど小径でライカのいわゆるL39と互換性がなく、三つ目は、裏蓋が外れ、フィルム装填がし易いこと、最後は、距離計窓がファインダーの外側に位置していることです。まぁ、細かくみれば、ライカがハーフミラーで距離計の光路作ってのを、コンタックスばりにプリズム使ってるとか、色々ありますが、はっきり言って、特殊な画面サイズのため、DPEからは嫌われ者で、実用には向きません。

また、レンズも、Lマウント化すればライカマウントに使えないこともないですが、そこまでして使うほどの性能でもないので、まぁ、このカメラでたまに遊びでフィルム通して、知り合いのラボで頼み込んで現像・プリントするってな遣い方でしょうか。

このレンズは、一応は、当時の主流のひとつだったズマール型のダブルガウス構成にはなっていますが、ボヘンミアンクリスタルの国でありながら、新種の高屈折率ガラスなどは使われていないので、開放ではかなり盛大のコマフレアが出ますし、周辺も大甘です。

しかし、そこはそれ、"大"口径レンズの特徴を生かし、夕暮れなどに高感度のネガなどで撮ると、さすが、ボヘミアンクリスタル本場のレンズだけあって、街頭のしょぼい屋台を照らす裸電球の色もシェーンブルク宮殿のシャンデリア張りに艶やかに写るのです(んなわけないか・・・)

テーマ:レンジファインダー - ジャンル:写真

  1. 2008/03/25(火) 23:51:48|
  2. 深川秘宝館
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TnackV3 with Tanar5cmf1.9

tanack_20080323193657.jpg
今回はまた、工房附設深川秘宝館からのコレクションのご紹介。

このカメラは、今はもう倒産の憂き目に遭い、現存していない、故田中光学が、昭和33年から34年にかけて1000台弱製造したという、いわば珍品ノンライツの類いに入るのですが、まぁ買った時のお値段は、ちょっとキレイなキャノンVILと同程度かちょっと高いくらいで、その10数倍も作られて、相当数が市中に出回っているNikonSPに較べれば6掛けくらいというような庶民的な幻のカメラだったわけです。

しかし、ヤフオクで落札し、家に来たとき、一回巻き上げただけでシャッターも切れなくなり、ヘリコイドも、冷蔵庫に三年以上も放置したジャム瓶の蓋を回すが如く硬く、とても撮影など出来る状態ではなかったので、工房の外注先の川崎の某カメラ総合病院で大手術を受けさせました。

待つこと2ヶ月、見違えるように快調になり、手許に戻ってきたこのタナックとタナー5cmf1.9のコンビは、予想を裏切る、素晴らしい写りを見せてくれました。

確かにシャープネスやコントラストでは、完調なキャノンVIL+キャノン5cmf1.8のコンビには到底敵いませんが、この希少な開放値を持つタナーは同じゾナータイプでは、開放からニコンSの5cmf2よりも暖色系の発色バランスに優れ、像全体に歪みなどない均質な描写で、しかもゾナー固有である、近距離からの後ろボケがなだらかに芯を残さず写り込み、上質な絵画的イメージを与えてくれました。

また、ハイライトは殆ど飛びませんし、さすがに最後発のゾナータイプだけあって、逆光にもキャノン、ニコンの大手メーカーの同クラス品と同等以上に強かった印象を覚えました。

この時点で、大メーカー、有名メーカーの製品だけが優秀なのではなく、市中や歴史の陰にも銘品は埋もれている・・・という確信を持つに至り、それが先にご紹介したサン・ソフィア5cmf2等の発掘にも繋がったのだと思っています。

テーマ:レンジファインダー - ジャンル:写真

  1. 2008/03/23(日) 19:58:01|
  2. 深川秘宝館
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Rodagon50mmf2.8改Sマウント

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今晩のご紹介は、当工房の製品群の特徴のひとつである、Nikon Sマウント改造レンズのうち、ドイツが世界に誇る銘品、ローデンシュトックの引伸レンズであるRodagon50mmf2.8です。

このレンズは、一見、作りは如何にも今風で、若干チープな感もなきにしもあらずですが、しかし、この鏡胴はプラにあらず、軽合金製ですし、結構重量あって、手に取ると、細部の仕上げの良さも相俟って、奥底に秘められた性能の高さを予感させます。

先にご紹介した僚機のRogonar-S50mmf2.8と瓜二つの外観ですが、中身は全く別物で、あちらが、3群4枚の逆テッサー型なら、こちらはより高級路線を狙って、4群6枚の変型ガウス型です。

で、肝心の写りはどうなのか?ということですが、こちらも、やはり教科書的な、引伸しレンズはカメラに付けても、無限での解像力が劣る、とか解像度とコントラストは高いが、平面的な画になる、ボケが汚い、という前評判に対し、勿論、開放でも、無限から近距離まで合焦部はシャープで、しかもなだらかな前後ボケと浮かび上がるが如き立体感ある描写で、おそらく世界中のどの市販の50mmf2.8レンズより際立っており、やはり理論だけではなく、実写してみないとレンズの性能は判らない、という教訓を得ました。

しかし、このレンズとて、赤、青、黄補正のアポクロマートではなく、上には上があり、殆ど同一の外観で、控えめに"Rodagon"のレターの前に"Apo-"と表記したものが有ります。

国内ではあまり見掛けませんが、たまに電子湾で夜釣りしていると引っ掛かってくることがあり、これまでに50mmを2本と75mmを1本釣り上げました。

アポの75mmはRF用の距離計連動改造ではなく、EOSマウント仕立てにしましたが、フランジバックが合わず、最遠1.7mなどという街撮りには到底使えないものになってしまい、修正待ちですが、先に組んだ50mmの方は、明らかにこのレンズとは違いがはっきり判る、ウルトラシャープな写りで、Sマイクロニッコールもかくやあらんとばかりの性能に仕上がりました。こちらも追ってご紹介したいと思います。

テーマ:ニコンSマウント - ジャンル:写真

  1. 2008/03/20(木) 00:15:15|
  2. Sマウント改造レンズ
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鉄のカーテンの向こう側から来た小鬼達~Robot Star25 vollautomat

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今回のご紹介は、暫くぶりに工房併設の秘宝館から。
この可愛らしくもどことなく抜け目ない表情のコンパクト風カメラの兄弟は、当時の東ドイツのオットーベルニング社が1930年代から連綿と作り続けてきたロボットカメラシリーズの限定業務用に80年代初めに製造したものと言われています。
その業務というのが、何と東独の公安当局、つまりは秘密警察ですと。

内蔵した強力なスプリングモートルで自動巻上げが可能で、フルに巻き上げると、黒の機体銘板に有る様に25枚、一気に撮ることが出来ます。

きっと、想像するにトレンチコートのポケットか何かにこのどっちかを忍ばせておいて、反体制分子が街角で、こっそり連絡文の入ったアタシュケースを交換する瞬間を連写・・・な~んて、スパイ映画もどきのシーンで使われていたのかと思ったりすると、この精緻で愛くるしい精密機械達がとても禍々しい来歴を持った小鬼のようにも見えてくるから不思議です。

しかし、1990年代も終わりになって、ベルリンの壁崩壊とともにこの小鬼達は職を失い、健全なコミュニケーションのツール、或いは現代の主要な芸術のひとつとして、写真が認知されている西側の自由諸国へ亡命していったのです。

この白黒小鬼兄弟は、縁有って、何とトルコのアンカラのクラシックカメラ屋が電子湾で養殖しているのを釣り上げ、2台一緒に入国させました。

このどちらもファインダには距離計もパララクス補正もついていませんが、ゆがみが少なく、比較的明るいブライトフレーム付きなんで、覗きながら連射しても愉しいし、また、ライカやSPとは違ったスナップ流儀・・・ノーファインダですれ違いざまにシャッターを切って撮影する・・・そう、この小鬼達のかつての故郷での特技では、24x24の正方形フォーマットも相俟って今までにない斬新な画が撮れました。

きっと、そんな時、この小鬼達は、ウィンクして、ほーらね、ぼくらはホントはこうやって使って貰うのが正しいんだよ♪と語りかけてくるようです。

テーマ:レンジファインダー - ジャンル:写真

  1. 2008/03/17(月) 22:50:18|
  2. 深川秘宝館
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Rolleiflex SL35用Planar50mmf1.8改

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さて、確定申告やら、お遊びの撮影小旅行やらでサボってしまいましたが、今宵はまた一風変わった改造レンズのお披露目です。

まず、これをぱっと見て、あれ、おかしい!?と気付いたアナタはもう相当の危篤状態です(笑)

というのも、このローライフレックスSL35はかなりのマイナー機種で、ヤシコンのツアィスやら、古い純正コンタレックスなどの陰に隠れてしまい、ホントのマニアックなマニア(どういう人種だ!?)しか省みることがない不遇の機種だったからです。

しかし、見方を変えれば、この不人気のおかげで高性能で味の有るレンズがヤシコン同等以下で買えて楽しめるので、まぁこれも良し悪しです。

で、いったい、深川精密工房はこのレンズに何をしでかしたのか?ということですが、要は2.5個イチによるリビルトです。

元々、手許にカビ跡アリってことで、不人気の上にこういう欠陥?があったため、6000円という値段で買い求めたモノコートのPlanar50mmf1.8があり、これを撮影に使って、まぁ、値段の割りには相当イイ写りなんぢゃない?とそこそこ満足しつつも、あの赤い妖艶なHFTコート付きの新しい?レンズにもココロ惹かれるものが有りました。

そして、或る日、電子湾で何気なく釣り糸を垂れていたら、ヘリコイドが故障で不動、光学系異常なしのHFTPlanar50mmf1.8が$45とかで出ているではないですか!

もう、これは天の啓示とばかりに釣り上げ、届くや否や、行き当たりばったりの移植手術を始めようと思い、どーせならマウントリングはキレイなのがイイと思い、おれも奇跡的に新宿西口で徘徊中に発見したマウント部だけから外したものを用意しました。

分解自体は国産のものよりも寧ろ簡単なくらいで、ヘリコイドの差込み位置と、自動絞りのメカの連動ピン、バネの組み合わせさえキチンとしてやれば問題ないので、初体験にしては思いのほかすんなりと出来ました。

で、組んで翌週末の土曜日、いつもの試写コースのひとつである蔵前~駒形~浅草で試写をしましたが、日暮れ前にも関わらず、こってりと柔らかめの暖色系の発色と程よいシャープネス、そしてモノコート時代とは段違いのコントラストの高さで、手術は成功裡に終わったと確信しました。

しかし、クラカメに慣れてしまった仲間内では、こういうコントラストが高めで、こってりした発色のレンズのウケは今ひとつで、折角古びた風情有るレンズだったのを、なんでわざわざ今風にしちゃったの?と評判は散々でした。

テーマ:ROLLEI - ジャンル:写真

  1. 2008/03/10(月) 22:15:56|
  2. Rollei_QBMレンズ
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Cine-Planar 50mmT2改L39

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今回のご紹介は当工房が産み出したArri改レンズ軍団のキャプテン的存在、光学界の巨人、独カールツアィス製のアリフレックス用キネプラナー50mmT2改L39です。

今でこそ、Carl ZeissがArriflexのデフォルトというか、実質的独占供給メーカーになってしまいましたが、このレンズが作られた当時、80年代までは、まだ他の光学メーカーも、Arriflexという優れた映画撮影システム向けに単焦点レンズを供給していました。ランク・ティラー・ホブソンしかり、シュナイダーしかり、キノプティークしかり、コダックしかり、ローデンシュトックしかり、アストロベルリンしかり、コーワしかり、ニコンしかり・・・

こういった並みいる個性派のレンズ達に対し、カールツァイス社も、自社の技術力とプライドにかけ、ベストな製品を出そうとしていた意気込みが感じられます。美しい光学エレメント、端正な鏡胴、そして正確無比の内部メカ。
工房で改造の時、ヘリコイドは分解しますが、勿論、材質も加工も最良のものだと思えました。

肝心の写りはというと、芸術家肌のキノプティーク、勤厳実直なローデン、そして、驚異的な描写性能を誇るスピードパンクロに比して、発色、シャープネス、コントラストと階調再現性、そしてボケ、全てがあらゆる被写体、撮影環境において、極めてバランスしたまさにキャプテン的レンズなのです。

良いレンズで撮った画像は目に疲れを与えず、すっと心に沁み込むというようなことを言われた方が居られましたが、まさにその一言に尽きるのかも知れません。

当工房では、この50mmの他にも32mmT2.3をMマウント化改造しましたが、こちらも、同じように繊細さと力強さ、そして艶やかさと端正さがバランスした素晴らしい写りとなりました。
余談ですが、Arriflexは、スティルカメラの35mmとは違い、イメージサークルを丸々43φ必要としませんから、40mm以下のものは、若干、四隅がケラレます。
従って、32mmのものも、四隅がケラレてしまったのですが、RD-1Sで使うようになったら、画角も約49mm、四隅もキッチリ入って、あたかも、お誂えのレンズかのようなマッチングでした。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2008/03/02(日) 23:58:09|
  2. Cine-Planar
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プロフィール

charley944

Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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