深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

~ラテンの醒めた英知~ISO Standard

ISO.jpg
さてさて、前回のアポロダゴンがあまりウケが宜しくなかったようなので、たまには目先を変えて、ディープでコアなマニアしか関心なさそうな助っ人が工房附設秘宝館から登場。

このカメラは、イタリアのIndustria Scientifica Otticaが1953年に発売したレンジファインダーカメラで、この有名な兄弟にHensoldt Reporterってのがあります。

同じカッコで名前だけ違う兄弟がISOとHensoldtで発売され、そのドイツ向けがHensoldt Reporterという名で、イタリア国内向けがISO Reporterというワケです。

レポーターという名称とスタンダードという名称の機種の差は、要は底面にトリガ巻上げの機構があるかないかの違いであって、たぶん、付いている方が連写性能良いんで、報道用にイーゾってことで、そういう名前になったんでしょう。

でも、お値段安いし、そういう面倒な機構は要らないんで、当方には、スタンダードで十分なのです。

付いているレンズはIriar5cmf2.8で、これは3群4枚なのですが、絞り羽根が前玉直後にあるので、テッサータイプと言わず、エルマータイプというべきなのでしょう。

このレンズの写りは、テッサーにありがちなシャープさが勝るカンジは少なく、寧ろ、コッテリとしながらもバランス取れた色ノリやなだらかな後ボケ、浮かび上がるが如き立体感で、ゾナーの兄弟みたいに感じました。まさに恐れイリヤーの鬼子母神ってとこですか。

で、このカメラの面白いところは、ピント合わせの方法。

何と、コンタックスや、ニコンSシリーズと同じく、向かって左側の歯車を指の腹で回して、ギア機構経由、ボディ内部のヘリコイドを回すのですね。

ファインダは視度調節式だし、ブライトフレームこそないものの、バルナックよりは遥かに見易く
二重像もコントラスト高くくっきりしているので、開放で街撮りやっても、結構速写も効いて面白い写真が撮れます。

何よりも、そこそこのクラカメマニアでもここまで知っている御仁は少ないようで、これを提げ街を歩いていると、だいたい、何ていうカメラですか、とか、おっ、ヘンゾリポータですか?とか声を掛けられることも少なくなく、撮って愉しく、所有して愉しい銘機だと思っています。

テーマ:レンジファインダー - ジャンル:写真

  1. 2008/04/21(月) 00:03:05|
  2. 深川秘宝館
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Apo-Rodagon50mmf2.8改CX/Sマウント

apo-rodagon50mm.jpg
今宵はまた工房の作品に戻り、非凡な才能を持つごくフツーの一般人の如き、Rodenstoock Apo-Rodagon50mmf2.8改CX/Sマウントをご紹介。

このシリーズは先にご紹介した、Rogonar-S、アポなしRodagonとも、ほぼ同一の外観で、ロゴでも見なければ、まず識別が付かないほど似通っています。

そう、配色のせいもありますが、一見して、あまり高級感が漂わない、どちらかというとおもちゃっぽい外観で、良く写るどころか、まともに結像するのだろうか?という一抹の不安さえ胸によぎらせてしまうような作りが共通しています。

しかしながら、逆テッサーのRogonar-S50mmf2.8はシャープさとナチュラルな発色バランスを発揮し、変型ガウス型のRodagonS50mmf2.8は合焦部のシャープさとアウトフォーカス部のなだらかなボケのハーモニィによる浮かび上がるが如き立体的描写、そして発色のバランスとれた艶やかさで以って、何れも並みの市販銀塩用レンズを軽く凌駕する超高性能ぶりを発揮し、その由無き不安を払拭してくれました。

今回のApo-Rodagon50mmf2.8は団子三兄弟の如き、同じお仕着せのユニフォームですが、その超々高性能ぶりは、もう想像を絶するものがありました。

いつものように工作機械でパーツを加工し、組み上げ、調整しながら、ピント基準機のSPでピントグラスを覗き、結構シャープでコントラストも高めだな・・・とは感じていたのですが、いざ、愛機S2に付け初試写をいつものコースである、近所の運河~駒形~浅草と回ったのですが、そのシャープさというか、情報密度そのものの濃さにびっくり☆

良く知られている通り、普通の写真用レンズの「色消し」は可視波長帯の赤、青の二色が同一焦点面で結像するように硝質の違う凹凸レンズを組み合わせて設計し、アクロマートという名称になっていますが、写真用でも一部の高級機種、例えばスィーターとか、キノプティクなどでは、その両端の波長域のみならず、ほぼ真ん中の黄色に相当する波長帯も同一焦点面で結像するよう、アポクロマートといわれる青黄赤3波長での色収差補正を行っているのです。

このレンズはというと、カラープリント用引伸機レンズラインナップの最高機種だったので、色にじみをなくすため、贅沢にもアポクロマートの仕様で以って世に送り出されたというわけなのです。

やはり、控えめな自己主張ではありますが、"Apo"のロゴは伊達ではなく、もう同じ兄弟のRodagonと較べるよりは、寧ろシネレンズのうちでもよく出来ている方のキネクセノンに比肩し、或いは、ネガで撮って、フロンティア仕上げだったら、まずSマイクロニッコール50mmf3.5とでも区別がなかなか付かないレベルの実力を持つのではないかと個人的には思いました。

レンズ構成はRordagon50mmf2.8の4群6枚の中玉に黄色~黄緑波長帯の色消しの為のレンズをもう一枚入れていて、5群7枚と変則的な構成になっています。

しかし、シャープネス、色の抜けは飛躍的に向上しているのに、Rodagonの美徳である、なだらかなボケ、浮き出るが如き立体的な描写性を全く損なわず、世界の超高性能産業用レンズを追撃出来る様になっているのは、やはり、Rodenstock社の底力と老舗なればこそのプライドの為せるワザなのでしょう。

テーマ:ニコンSマウント - ジャンル:写真

  1. 2008/04/14(月) 22:50:19|
  2. Sマウント改造レンズ
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究極の相棒~Nikkor 50mm F1.1with Nikon SP~

nikonSP.jpg
さてさて、しょぼい改造レンズのお後は、少々、更新をサボってたこともあり、お口直しの意味も込めての大サービス、工房附設深川秘宝館から、究極の高速レンズ、Nikkor50mmF1.1とこれまた国産RF機史上で最強の高信頼性、高耐久性を誇るNikonSPオリジナルブラックの登場です。

まず、レンズの方はといえば、1950年当時からの通産省主導の新種ガラスの業界共同開発の成果として、まず帝國光学がズノー5cmF1.1を1953年から発売し、これに遅れること1958年からニコンが満を持して発売したのが、このNikkor50mmF1.1なのです。
このレンズのSマウント仕様には、大きく分けて2タイプあり、前期型の内爪と後期型の外爪があります。
実は、外爪を1本、内爪を2本買ったことがあるのですが、3本の中では、この内爪が一番素直な写りをするので、気に入って手許に残しています。
開放では、フレアがかったソフトな極めて被写界深度の狭い独特な画風ですが、F5.6まで絞って撮るると、DRズミクロンもかくやあらんというばかりの高コントラスト、高解像度のレンズに早変わりします。
しかし、頭でっかちレンズであることには変わりないので、このカメラにつけて首から提げると、いつもお辞儀状態になってしまい、ちょいとカッコ悪い気もします。まぁ、M3にノクチ付けても同じようなもんですが。

続いてカメラの方は、泣く子も黙るNikon SPオリジナルブラックの報道用スペシャルです。このカメラは地元のカメラ屋でそこそこの値段で出ていて、ただ売り手から条件が付けられていて、改造しないでこのまま大切に使うこと、年に数回はフィルムを通してあげること、ということでした。

買って暫くしてファインダが曇ってきたので、ニコンに修理点検に出したところ、顔見知りのサービスマンの方が数箇所の特徴を上げ、これは一部部品が換えられてしまっているが、元々モードラ装着前提の報道用ですねと教えてくれたのです。道理で不可解な条件が付けられていたワケだ、と後で納得。

予備機か、或いは導入されてまもなくFが発売になって、お役御免になったのか、外観は当たり傷、大きな擦り傷もなく、角がほど良く剥けて真鍮の地金が出て、イイ風情を醸し出しています。

で、このカメラを使うのかって?勿論、約束通り、年に数回はこのレンズとか、Sマイクロニッコール、或いはオリンピアニッコールを嵌めて、築地や浅草で街撮りを愉しんでいるのです。

素晴らしい巻上げフィーリング、チタン幕シャッターの囁くような音、そしてM一族には及ばぬもののクリアで見易い、独創的な夫婦ファインダー、引退させるにはもったいない、街撮りの相棒なのです。

テーマ:ニコンSマウント - ジャンル:写真

  1. 2008/04/09(水) 23:21:27|
  2. 深川秘宝館
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プロフィール

charley944

Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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