



あいや、今宵のご紹介はまた深川精密工房附設秘宝館から、長年、主人の憧れのコンビネーションで先般のICS直前になって、やっとタグを組んだ信州製のカメラとレンズです。
ボディの方はいわずと知れたツァイスイコンシナとも称される、ツァイスイコンRFです。
このボディは国産にしてはかなり高めの価格設定で、ライカと較べるまでもなく、ツァイスブランドのカメラとしては安め?というかなり際どいゾーンを狙ったマーケットとなっています。
まぁ、ベッサR3Aのグレーを愛用しているし、これもこれでコストパフォーマンスは驚異的にイイし、AEで補整無しでシネレンズ使っても素晴らしい結果を出してくれるので、それほど、ツァイスイコンを急いで買おうとは思っていなかったのですが、或る日、中野の某量販店から信州製のSマウントゾナー復刻版が入ったぞなーもしという連絡を忘れた頃に受けて、しぶしぶ引き取りに行ったのですが、そこで、ショーケースの中に鎮座まします、黒のオリジナルフード付き、使用痕殆ど無し、保障期間残有りのクラシックヘリア50mmf2黒を見てしまったのです。
こうなったら、親の仇と出物は出会ったら討ち取れ!の家訓に従い、買って帰るしかありません、合わせて15万円強のお買物です・・・しかし、どちらも限定品だ、出会ったら討ち取れ!だ、と半ば強引の克己心を奮い起こし、カード払いで払っちゃったワケです。
Sゾナーは工房でSマウントレンズは次々作ってるし、古いニッコールの方が写りが好きなんで、気が変わるまで眠ってて貰うことにして、クラシックヘリアには、早速働いて貰うことに。
買った翌週、早速、このレンズをベッサR3Aグレーに付けて、沈同ズミとともに街撮りテストに連れ出しました。行く先はいつもの浅草、深川から大江戸線に乗って蔵前で降りると何かいつもと違う街の佇まい。
そう偶然にも、年に一度の三社祭の日だったんですねぇ。
そこで、深川から来ました♪ ヨロシコとか、独り言っぽく聞こえよがしに言いながら、ほぼ乱写状態、
闖入したお祭りの雰囲気をお裾ワケして貰ったという次第です。
そして、上がってきたのが、今回の画、色ヌケはいいし、コントラストも高すぎず、隅々まで均質で端正な写りでも開放での柔らかさが画面に溢れているし、同時にテストした、開放からカリカリのズミクロンとは正反対の写りになったようにカンジました。
このレンズは、いわずと知れた3群5枚、そうトリプレットの前後を貼り合わせにした古典的な構成ながら、今までF2.8止まりだった開放値を新種の高屈折ガラスを効果的に利用することにより、F2にまで拡張したという意欲的な製品なのです。
しかも、相当コストが掛かっているらしく、記念版のベッサR3Mとセットで発売になり、ボディは通常販売品に格上げされたのですが、幾らファンが泣いても避けんでも、セットの2000本だかで打ち止め、どうあっても再生産する気がなさそうです。
で、ボディの方は、レンズを手に入れ、しかも写りがかなり魅力的だったので、昔、中古カメラ市のコシナブースでわざとフォクトレンダーブランドのレンズをツァイスブランドのボディにくっつけたら、沈胴の古めかしいレンズデザインと直線を基調としたクラシックなデザインのボディとが妙にマッチしてしまい、いつかはバラバラに買って、自分だけのオリジナルコーディネェィトやっちゃるばい、と妙な闘志を燃やしていたので、思い立ったが吉日とばかりに今回のICS期間中にこれもまた最安値の中野のお店まで行って買ってきちゃったってわけです。
このカメラの美徳は、ファインダが手持ちのRFの中では屈指の見え方ですし、巻上げ感、シャッタ音といったメカのフィーリングに関しても良く練られていると思いますし、ホント、買って良かったと思っています。
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- 2008/06/23(月) 22:48:06|
- 深川秘宝館
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ハイサイ愛読者各位。今朝は、某友誼電站でウルトロン50mmf2の旅情シリーズやってますんで、協賛企画として、当工房製のウルトロン50mmf2改L39をご紹介さぁ。
このレンズは言わずとしれた、Voigtlender社製のProminent35用の標準レンズのひとつで、50mmF1.5のノクトン、同F2.8のカラースコパと専用バヨネットマウントで簡単に交換可能となってます。
しかしながら、これらのレンズはいずれも、構造上、ヘリコイドを持っておらず、カメラ本体の繰り出し機構で焦点を合わせる構造となっています。
このプロミネント35用の標準レンズはいずれも写りに定評があって、クラカメの森に迷い込み、レンズ沼に足を踏み入れた者は誰しも使ってはみたいと思うのですが、このボディが必ずしも評判が良くなくて、一旦買ってみても馴染めずに手放す、或いは初めからこの怪奇的な構造のボディに恐れをなし、手を出すことをためらってしまう・・・そんなこんなでこの天上の甘露の如き銘玉達は、極めて高価なL39版を買うか、或いは一部の業者に依頼して改造して使うかの何れかしかなく、なかなか世に真価が知られることがなかったのです。
当工房の創設前に信州製のプロミネント35マウント→Sマウントアダプタを買って、ノクトン50mmf1.5を愛機SPで使用していたことがありますが、なかなか思った通りピンが来ず、半ば失望してレンズにそのアダプタ付きで捨て値で叩き売ってしまった苦い経験があります。
しかし、或る時、そこそこキレイなウルトロン50mmf2付きのプロミネント35の難アリ中古を電子湾で釣り上げ、分解してマウントリングを外した時、閃くものがあり、無調整で3つの交換レンズヘッドが使えるマウントアダプタを開発したのです。これが、先にご紹介した、現在深川ノクトンに付けている一号機のアダプタで、回転式ヘリコイドを使っています。
今回ご紹介したものは、その時の知見を活かし、工房創立後、導入した工作機を駆使し、直進ヘリコイドの素材を使って製造した3号機です。
さて、このウルトロン50mmf2の写りですが、RD-1Sによる開放での作例2件をご覧頂くとお判りになりますが、極めてシャープで、色のバランスもコントラストも程良く、ボケもとても素直で、まさにクラカメの50mmf2クラスでは、好みはありましょうが、屈指の性能だと思います。
たぶん、同じシーンをいつものコニミノスーパーセンチュリアで撮っていたら、色ノリがもっとこってり濃密で更に階調再現性とコントラストの均衡点の高い写真が撮れたのではないかと思います。
いずれにせよこの銘玉を慣れたボディで気軽に街撮りに連れ出せるので、工房を創設して良かったと思うことしきりです。
[深川ウルトロン50mmf2]の続きを読む
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- 2008/06/15(日) 12:26:43|
- その他Lマウント改造レンズ
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さてと、今宵のご紹介は、一眼レフ系繋がりということで、当工房附設秘宝館の方から、Rollei SL35用のQBMマウントレンズ、Distagon35mmF1.4という超弩級レンズとなります。
このレンズは、Carl Zeiss社がRolleiSL35システム用に供給したものには違いありませんが、不思議なことに、"Carl Zelss"銘と”HFT”銘のいわゆるWネームになっています。
何故不思議かといえば、通常、CarlZeiss社製、もしくはそのライセンス品であれば、”T”、或いは”T*”の銘が朱色もしくはオレンジで刻印されるのですが、このレンズには、Rollei社が"独自に"開発したという高透過率のマルチコート”HFT”の刻印が誇らしげに刻んであります。 う~ん謎だ・・・
まぁ、そういった曰く因縁の話はさておき、このレンズの面白いところは、f1.4という明るさを誇るレトロフォキュタイプのレンズなので、とにかくデカイ。
同じような開放値であるキャノンのL35mmf1.5とか、ズミルクス35mmf1.4などレンジファインダ用レンズ達と較べれば、乗用車とマイクロバス程度の差はありますし、更には驚異的な開放値を誇るコシナレンダのノクトン35mmf1.2と較べてもまだ二回り以上は大きく、比較が適切ではないかも知れませんが、一眼用で言えば28-70mmf2.8クラスのズームよりもまだ若干大振りなくらいです。
そして、このレンズの最大の特徴、そして最もお間抜けなところは、絞り羽根の形です。
何と、3枚羽根の三角形絞りです。どうせ開放でしか使うつもりはないんで、絞りの羽根が光彩として写りこむカタチとか、バックのボケのカタチなど悩まなくともイイんですが、マジメに使う人にとっては、???の作り、なんでこんなリッパなレンズなのに、ヘンなトコで手を抜いちゃったの???と頭を抱えること必至だと思います。まぁ、究極の撮像レンズのひとつであるArriflex35用のキネクセノン50mmでも
4枚羽根なんてものがありますから、あまり気にしなくてもイイのかも知れません、気にするくらいなら、開放で撮れってことですか・・・はぃはぃ、そうしますってば(笑)
しかし、このコーティングが"HFT"だろうと、実際は"T*"であろうとその物凄いところは、このレンズをマクロ撮影した画像で、もうお気づきの方もおられるでしょうが、前玉が全然反射していないところです。決して、一枚少ない欠陥レンズを買ってしまったのではなく、角度にもよりますが、撮影用の強い蛍光管に対しても殆ど無反射に近い状態を示したのです。
前にもご紹介したQBM用のプラナー35mmも後玉は国産の最新鋭レンズのマルチコーティングと較べても全く遜色なく、角度によっては全く光が反射しなくて、あたかもガラスがないように見えることがあり、まさに今回も同様の現象が期せずして再現されてしまったワケです。
で、肝心の写りの方なんですが、実はこのレンズ、SL35というよりは寧ろこの頃嵌っているEOS1Dのアダプタ遊びにでも使おうと思って買ったものですが、マウントアダプタがまだ入手できていないんで、味見できてません。
しかし、コーティングの状態からして、前にテストした35mmf2.8のディスタゴンよりも良さげなんで期待出来そうです。
乞うご期待。
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- 2008/06/09(月) 00:19:04|
- 深川秘宝館
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さてまた今宵のご紹介は工房製の改造レンズに戻ります。
前回がキヤノンのレンズ&ボディだから、キヤノン繋がりというわけでもないんですが、たまには簡単にだれでも出来るようなものも紹介したら!?という声もなきにしもあらずだったので、このところ、SLRキブンの時は、元々、お仕事兼用で買ったNikonD2Hを差し置いて連れ出す機会がとみに多いEOS-1D用に改造したレンズをご紹介です。
このレンズヘッドもとーぜんのことながら、通常の銀塩フィルム撮影用のものなどではなく、引伸機用のものを使っています。
全体は、黒のガラス繊維強化のエンプラでそこはかとなくチープな雰囲気を漂わせていますが、さにあらず、このレンズは畏れ多くも、世界に冠たる独ローデンシュトック社がアポクロマート仕様最高級グレードとして、世に送り出したスーパーレンズで、この個体自体は電子湾の夜釣りで新品同様を驚くほど安く釣り上げたのですが、新品をしかも国内で買うとなったら、目玉が飛び出て、引っ込めるのに苦労しますし、或いは卒倒してAEDの出番となるやもしれません・・・輸入ブランド品が高いのはバッグもレンズもおんなじですって・・・
このレンズ、外見はまぁ安っぽいのは致し方ないのですが、まさに水前寺清子の歌ぢゃあるまいが、中身が物凄い、アポクロマートの性能を引き出すため、5群7枚っていう橙黄色~淡黄緑域までの色消しを担当するエクストラ中玉を含む変形オーピック型です。
そして、このヘリコイドを持たないレンズヘッドをEOSにむりやりくっつけるため、工房では、某軍事大国からふんだんに輸入したL39→M42のネジ変換レンズ、BORGヘリコ、そしてM42からEOSマウントへの変換リングを使ってフランジバック等も調整してあります。
で、肝心の写りですが、テスト撮影を兼ねた初陣は散々でした・・・中には、おぉぉぉと思うようなショットもあるにはあるのですが、プラ製のレンズヘッドを絞り値表示窓をレンズ鏡胴の12時位置に合わせるため、無理矢理ねじ込んだら、どうやら、残留応力が中~後玉にかかってしまったらしく、かなりの枚数で周辺が無残に崩れたりヘンな片ボケが現れたりして、ほぼ一日を棒に振ってしまったぁぁぁ、と頭を抱えて絶叫したいキブンになってしまいました。
しかし、このレンズは強度はあるが、応力に対し弾性変形による歪みが起き易い材質なんで、ムリなねじ込みの応力さえ開放してやれば、また元の性能に戻るって寸法です。
また近いうちにリターンマッチをして、パーフェクトな作例をご紹介したいと思う次第でありました。
[EOSマウント Rodenstock Apo-Rodagon75mmF4]の続きを読む
テーマ:Canon EOS&EF LENS - ジャンル:写真
- 2008/06/02(月) 23:52:29|
- EOSマウント改造レンズ
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