深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Amaging view broadened~Carl Zeiss Biogon21mmf4.5~

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【撮影データ】カメラ:ContaxIIa、Film Super-Centuria100、絞り 全コマ開放 ロケ地:天王洲アイル
さて、今宵は海抜ゼロメートル地帯である当地深川では、防災放送に神経を尖らせてのブログ更新です。
というのも、皆さんも重々ご承知の通り、東京湾深奥部にも津波警報が出ていて、万が一、想定外の津波と気圧変動、そして潮位の変化が相俟って、堰堤が決壊でもしたら、この工房周辺は運河から溢れた海水が溢れ出す虞れがあるためです。
普段は大人しく見える自然も一旦牙を剥けば、人間とは実に無力な存在であるということを改めて思い知らされます。

今宵のご紹介は、こんな状況下で街撮りにも出られなかったので、3年ほど前にやはり水辺の町である天王洲アイルに買って間もないBiogon21mmf4.5の練習に行った際の習作です。

まずは恒例のレンズのプロフィールご紹介から。

このレンズは不幸にして第二次大戦にによるドイツ東西分裂の結果、西側に辛くも逃れたCarl Zeiss財団が1950年に新設計のRF機、戦前のContaxIIの改良機として、新拠点、シュツットガルトにてリリースしたContaxIIa用の超広角レンズとして1953年に発売したものです。

構成は5群8枚の対照型でいわゆるビオゴンタイプと呼ばれる構成となっています。
このレンズは、先に発表されたハッセルのSWC38mmf4.5と殆ど同一といって差し支えない構成になっていて、ただ、焦点距離を短くするため、曲率、エレメントのギャップを換え、手直し設計したものと考えられているようです。

因みにRFにおけるライバル、E.Leitz社が21mmの超広角レンズSuper Angulon21mmf4をリリースするのは、このBiogonに遅れること5年の1959年、やはり産業用光学機器、殊に映画撮影用カメラのレンズ、例えばArriflex用でCarlZeiss財団と拮抗する技術力を誇ったドイツ光学界のもう一方の雄、Scheneider Kreutznach社からOEM供給を受けてのことです。

どちらが好みかと聞かれると、一時期に両方所有していたことがあるのですが、個体差は有るとしても、Biogonの暖色系で優しくもくっきりした描写に対し、SuperAngulon21mf4の寒色系でややコントラストの低めの線の細い描写がどうしても好きになれなくて、売りに出してしまった記憶があります。

とまた長くなった前置きはこのくらいにして、早速作例行ってみます。

まず一枚目。
天王洲アイルにモノレールでお昼過ぎに降り立って、運河方面に歩いていくと、ウッドデッキの遊歩道、そして一見、鋳物のような重厚な手摺りが午後の太陽を浴びて、イイ按配に光っています。
ここで、古いレンズには過酷とは思いつつ、画面に太陽を入れ、2mほどの距離でシャタ-を切ります。
相当良く出来たシネレンズでも、ハーフドーム状のゴーストが発生し、国産の広角であれば、光の条がバケツをひっくり返したかの如く暴れるのですが、ごらんの通り、好みは有るでしょうが、特段見苦しくない写りとなっています。
また前ボケにあたる手前の手摺の金物のオフフォーカスでの描写も結構好ましいものになったと思います。

そして二枚目。
俯角での撮影でどの程度、建造物にキーストンが付くかという実験です。勿論、青空も有効に活用して、周辺光量落ちも同時に確認出来るアングルで橋と背景の高層ビルを画面の収めます。
まず、橋の基礎が思った通りにデフォルメされていますし、空は自然な光量落ちで中央部の被写体を強調する効果をもたらし、これはこれで面白い写真になったと思いましたが、建築物の記録写真としては失格でしょう。
RF機で建造物をキチンと撮る時は、やはり水準器が欠かせないようです。

続いて三枚目。
ダッシュで橋の反対側に戻り、渡ってくる人間を狙ってカメラを向けます。
幸運なことにこの直前に何かのロケで橋を閉鎖していただけあって、周りで見ていた人達はカメラを向けてもどこ吹く風というカンジで橋の幅方向中央でカメラを構えた小生の前を通り過ぎて行きます。
ここでも、やや俯角がついているため、橋の天上が手前に跳ね上がって見えるのと、空が周辺光量落ちしてイイカンジに上がっています。

まだまだの四枚目。
橋の上での撮影も十分に満足し、品川サイドに再び渡り、着いた早々から気になっていたオブジェの撮影を試みます。
運河沿いの歩道上に設置してある銅合金か何かの大きな前衛彫刻なのですが、スペースの関係上なかなか下がれないので、こういう時、狭いところで全体像を描写出来る超広角レンズを便利です。
かなり難しい光線状態でしたが、どうせ開放でしか撮らないので、いかなピーカンとはいえ、シャッター速が最高速の1250ではf4.5のレンズでは露出アンダーになってしまうと考え、たぶん500分の1かそこらで切ったのではないかと思います。
周辺光量落ちの中にオブジェが収まり、太陽を反射して輝く様は、ほぼ撮影者の意図に沿った描写となったと思います。
ただ、残念なのが水平がちょい甘かったことです。


最後の五枚目。
天王洲での撮影も十分満喫し、ここから程近い、品川駅南、インターシティ近くにある、某名物中古カメラ屋さんを訪問するため、運河伝いの歩道を歩いて行きました。
すると、青い空に白いマンション、そして、都が設置したにはセンス良すぎる配色の看板があったので、纏めて構図したのがこの一枚。
奇しくもこの一枚で、RGB+Yの発色傾向と線の描写、そして、背景のボケ具合い全てが判る、レンズテスト総集編となった次第。

今回の感想は、60年近く前のレンズも、使い方によっては、まだまだ高い戦闘力を有し、しかも、コンタックスマウントですから、旧コンタックスかニコンのSボディのいずれかで使うより他ないので、銀塩フィルムで撮る名目が増えたという次第。

それにしても、安心して寛げる水辺が有るってイイですね。自然とは上手く折り合いつけて快適に暮らしたいものです。

テーマ:街の風景 - ジャンル:写真

  1. 2010/02/28(日) 20:44:48|
  2. 深川秘宝館
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A combination of tradition and progressive technologies~Baltar 50mmT2.2~

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【撮影データ】カメラ:LeicaM8、ISO Auto 全コマ開放 ロケ地;中目黒~代官山
さて、東京最後の楽園のひとつ、伊豆大島での夢のような週末から、お江戸深川に戻り、またもや世過ぎ身過ぎのためのサラリーマン稼業に流されていると、あっと言う間にまた次の週末はやって来て、そして砂浜の波が引くように過ぎ去ってしまいます。

そこで、今宵のご紹介は、趣向を変え、おもむろに都心ド真ん中ロケでいきます。
レンズは今まで何処も紹介されておらず、そのため、無名同然ながらも、一部の映画人達の間では熱烈な支持を受けているという、米国製のシネレンズ、Bosch & Lomb銘のBaltar50mmT2.2改L39がお相手を務めます。

まずはいつものお定まりのレンズの氏素性から・・・
このレンズは、米国、主にハリウッドの映画産業から、大戦直後に、敵国ドイツのレンズは使いたくない、でも同等以上の性能ものを持って来い!と言ったわがままな注文でもあったのでしょうか、レンズの老舗、Bosch & Lomb社が、今は同じくArri用のメインサプライヤのひとつであるSchneider Kreutznach社に吸収合併されてしまった、US Goertz社に開発を依頼し、OEM品として納入したものです。

時代的には、1960年台の終わりまでには作られたものと推定されます。
何とならば、1972年には、US Goertz社は競合メーカーであるSchneider社に吸収合併されていますし、肝心のBosch & Lomb社も1971年にソフトコンタクトを開発し、眼科医療品系統の方が儲かりまんな!と気付いて以降、1980年代には、光学機器部門は撤退してしまったので、ハリウッドの映画産業華やかりし60年台と見るのが自然と考えたからです。

因みにこのレンズは銘板に黄色いドットが一個有るだけで、特に"Apochromat"の標記はないですが、全く同じ鏡胴、焦点距離、F値、そしてコーティング色調のものが"U.S. Goertz Apogon"と銘打って供給されたことからも、このレンズが紛うことなく、アポクロマートのレンズであることが判ります。

さて、早速作例行ってみます。

まず一枚目。
いつもの目黒川伝いの散歩道を徘徊していたら、開店前のレストランの前にワインだかのビンや、生ビールの金属樽だかが無造作に放置されています。

しかし、遠目には様々な色調のビンやそのラベルがとても興味深いものに思えたので、早速近寄ってシャッター切ったのがこのカット。

そもそも、ガラス製品というのは、レンズの描写性能を評価するには格好のベンチマークで、様々な周囲の風景の写りこみを受けた冷たいガラスの煌きをいかに上手く再現するかが解像力、発色の良さを評価するポイントとなるわけです。

その観点から見れば、このレンズは画面隅々までシャープでコントラストの高いレンズが好みの工房主人のニーズにドンピシャ!応えていることが判ります。

そして二枚目。
目黒川伝いの道を福砂屋東京工場を目印に右へ曲がると、西郷山公園の下の道に出ます。いつもの散歩コースはそのまま、階段を早足で駆け上り、公園でたむろする無辜の人々の一瞬の生き様を捉えます。

そもそも、この界隈の住民各位はかなり鷹揚なもので、カメラを向けても今までイヤな顔されたことはありませんし、一般的には神経質とされる親子連れの親御さん方も、笑顔でカメラ向けると、ほ~ら、写真撮ってくれるわよ、笑って♪というカンジでかなり協力的なことが多いです。

今回は珍しいことに通称"203高地"と呼ばれる公園で一番高い丘の上に近所の兄さんがディレクターズチェアなんか持ち出して、まさにノートブックPCの英語名"Laptop"を地で行く使い方をしていたのがカッコえがったんで一枚戴き。
人物がシャープなのは言わずもがな、前ボケの芝はやんわりと滲むが如くボケ、背景の建物は被写界深度に入っているためか、それほど形を崩さず写り込んでいます。

それから三枚目。
再び目を丘の下に転じれば、居ました居ました、幸せそうな親子連れが。
サッカーボール状の物体で幼子2名に軽い運動をさせようと、若い両親は企んでいるようですが、自我が芽生え始めたお兄ちゃんがボールを独り占め、弟には触らせることすらしないようだったんで、業を煮やしたお父さんが羽交い絞め、やっと弟いパスが回ってきたって図です。
近くまで行って、まずは眺めながら笑顔を見せ、家族の調和に溶け込んだ頃合いを見てカメラを構え、えいやっとシャッターを切ったのがこの一枚。

撮った後、若いご両親に見せたら、へ~え、古いカメラでも上手く撮れるんですね~~と良く判らん感心されてしまいました。

まだまだの四枚目。
親子のお礼を述べ、西郷山公園を後にします。
すぐ目の前の信号を渡ると、かの有名なフレンチの名店、グラン・メゾンのはしりとも言われる、"マダム・トキ"の洋館が目につきます。
この窓を下から見上げるアングルが結構お気に入りのテストパターンなので、一枚戴き。
空が画面の半分弱映りこんでいますが、それでも、コントラストは殆ど低下せず、鎧戸の金具に至るまでディティールを忠実に捉えています。

最後の五枚目。
代官山の駅方面に通り沿いを歩いていくと、ここもやはり日本を代表する屈指のフレンチ、"ASO"がグラン・メゾンを始めた、カフェミケランジェロの前に出ます。
ここは、芸能人、有名人の類いも顧客に多いことから、あまり店先でカメラちらつかせてうろうろすると、やんわりとギャルソン氏or嬢に窘められてしまいますが、ま、観光客、早い話がお登りさんとか、アジアからの右も左も判らないツーリストの記念撮影のフリして1枚くらい撮るくらいは大目に見てくれます。
そこで、いつもの手口で知らっとシャッター切ったのがこの一枚。
ここでも、空が画面の3分の1弱と、ガラス面での通りの反射という厳しめの条件でしたが、かなりディテールを捉え、またガラスの冷たい質感を再現しています。

今回の感想としては、あ~ぁ、遂に紹介しちゃった・・・これで無銘で安く買えた米国製シネレンズも値が上がっちゃって、自分も買いづらくなるし、仲間にも恨まれちゃうなぁ(笑)ということでした。

冗談はさておき、深川シネレンズ軍団の現行キャプテンのCine-Planar50mmf2の地位を脅かしかねない隠れた超高性能レンズだと思ったのが偽らざる実感です。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2010/02/21(日) 23:00:00|
  2. Arri改造レンズ群
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Thanks, Island of hospitality, Izu Oshima!

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【撮影データ】カメラ:4枚目以外;R-D1s、4枚目;Zeiss IkonZM(フィルム;Kodak Ektar100)
レンズ:1~3枚目;Speedpanchro40mmf2、4枚目;Cine-Planar50mmf2、5~6枚目;Astroberlin Gausstachar32mmf2
絞り:全コマ開放
さて、今宵は予定変更して、バンクーバーからオリンピック中継、ならぬ、「三日遅れの便りを載せて~♪」ということで、今週末に初上陸を果たした伊豆大島からのレポ-トです。

東京都に属していながら、あまり観光という面ではこれまで注目を浴びることがなく、どちらかというと、熱海から、ヒマの有るリタイア組が船も出てるし、ついでに足を伸ばしてみるか・・・というカンジで伊豆観光の余興の如く扱われている感がありました。

実は、かくいう自分も、今回の飛び石連休に、上手い具合に勤め先の上司を篭絡し、4連休取れたら石垣島でも飛んでやろうかと思っていたのが、どうやらそれも叶わない雰囲気だったので、じゃ、近場の島で水中翼船で行けるから面白そうだ・・・程度の認識しか持っていませんでした。

実際、土曜日に竹芝桟橋から小雪舞い散るさなか、船に乗って、岡田港に着いてみれば、迎える人もなく、右も左も判らない、氷雨降りしきる肌寒い島に一人放り出されてしまったカンジで、ふと自己嫌悪の四文字もちらつきました。

しかし、バスがやってきて、それに飛び乗った時から、自分の世界観は一変しました。

運転手さんがとても親切です。
ずっと暖房かけっ放しで来て、暑かったろうに、遠来の客が寒くないようにと気遣い、暖房を更に上げてくれ、乗り継ぎのケアまで、親切丁寧に対応してくれたのです。これほど、親切なバスの運転手さんは、今時、沖縄か奈良県の山奥くらいしか残っていないのではないでしょうか。

そして、宿に着いたのがまだ公式チェッックイン時間より3時間以上も早い11時過ぎ、そこでも、フロントの方は、寒いでしょうからどうぞどうぞと、部屋を明け渡してくれ、昼飯の相談をすれば、地元の人はここなんか行きますね~というカンジでさらりと旨いお店を教えてくれました。

荷物を置いて、撮影機材のみ持って、小雨の中、教えて戴いたお店に向かいました。
すると、寒かったでしょう・・・と奥の暖かい席に通してくれ、まずはということで、暖かいあしたば茶を淹れてくれました。

そこでは、名物の「べっこう丼」という、白身魚をしょうゆ、みりん、そして島とうがらしの汁につけこんだものを酢飯に載せたものを戴きましたが、これもまた素朴ながら本当に旨かった。

ここには、夕方、雨の上がった波浮港での撮影を終え、元町に戻ってから、またお邪魔しました。

では、話が波浮港まで来たところで、早速、作例の解説いってみましょう。

まず一枚目。

初日は、ずっと小雨模様だったのですが、大島公園から凍えそうになって元町まで帰ってくると、日没ぎりぎりまでに間に合いそうなバスの時刻にかろうじて雨が上がってくれました。
そこで、光線状態が悪いを覚悟で、天気予報のよれば晴天となる翌日の下見のつもりで、今回の最大の目的地、波浮港に向かいます。

バスに揺られること約30分、島の最南端に位置する、昭和歌謡で名高い波浮港に着きました。
暗くはなってきましたが、まだまだ陽はあり、ISO感度が上げられるR-D1sであれば、お手の物です。

そこで、まず、漁港の最奥部を撮ったのがこの一枚、山あいに抱かれたアーチ型の美しい漁港であることが判ります。
余談ですが、この漁港の形は偶然かも知れませんが、小生の愛する広島県の「鞆の浦」にも似ているのではないかと思いました。

そして二枚目。
漁港での散策を終え、かつては遠洋漁船の大漁入港のたびに栄華を極めたという、波浮の街並みを散策しました。
メインストリートは海と山の間の極めて狭い石畳でどれも二階建て以上の家屋が軒を並べ、往年の栄華を偲ばせる、入念な彫刻の入った手すりや、銅板の精緻な外装が垣間見られたりして数百メートル足らずの道ですが、結構見どころは有ります。

それから三枚目。
メインストリートを歩いていくと、子供達のはしゃぐ声が聞こえてきます。こういう、歴史の止まったかの如き、古い街並みで、子供達の姿を見かけると救われたような気持ちになるのは何故でしょうか。
東京から来た旨伝え、写真一枚撮らして!と頼むと、集まってきてくれて、シャッターを切ったのがこのカット。

続いて四枚目。
翌朝、10時に宿をチェックアウトし、また向かう先は、昨日のリベンジということで、10時45分元町発のバスで一路、波浮港に向かいます。

バスは初日にえらく気を使って、岡田港から元町港まで送ってくれた、女性運転手さんです。
途中、地層が見えるところで、携帯出せば、スピード落してくれるわ、液晶画面見て、首を傾げれば、止まりましょうか?と声かけてくれるわで、また今日も気働き全開でした。
そうこうそうるうち、バスは波浮港に近づき、ふと道路際に目をやると、民家の軒先で、プラスチックの網トレーに干物を広げ、丁寧にひとつひとつ仕舞っていく二人組みの初老男性の姿が見えました。

昨日はあまりシャッターチャンスが無かったので、ここで挽回とばかりに最寄りの停留所で降ろして貰い、先ほど見た民家を探して駆け戻ります。

やっと見つけた作業場で、その男性方に「干してるところ撮らして戴いて宜しいですか?」と声をかけたら、「良いよ」とのお許し。色々話をしながら写真撮ってたら、旨いもの食わして上げるよ、こっちおいで!と事務所に招いて戴いて、何と新鮮な干物、くさやを炭火で焼いて振舞って戴いたのです。しかも、調子こいて、いやぁ、こういう野趣溢れるご馳走には、芋焼酎なんかイイですよねぇ・・・とかすっかり図々しい発言を行ったところ、ほれ、こんなん有るぞ!と松竹梅の純米酒だかの一升瓶を出して戴き、即席飲み会。

すっかり打ち解けて、当工房ブログの宣伝なんかもさせて戴き、帰りには、元町港まで載せていって上げるよという極めて有難いお申し出まで頂戴しました。

時間も押し迫っていたので、ここで一旦お別れして、いよいよ波浮港に向かいます。

まだまだの五枚目。
波浮港の昨日撮り残したところ、光線状態変えて撮りたかったところなど、満足行くまで撮り終え、先ほどの干物・くさや工場の方が、クルマで迎えに来て戴いたので、そのまま、ご好意に甘えてしまい、元町港に送って戴きます。
その途中で、「りす村って行った?」とのことなので、今回は時間なかったので、行ってません、とお答えしたところ、ぢゃ、買物有るから寄るんで、せっかくだから見てけば?とのお申し入れに、またしても甘え、りす村の見物もしてきました。
あまりお待たせするのも申し訳ない気分で一杯だったので、園内数箇所のポイントで的確に写真だけ撮って、後は無料の椿酒とか数杯呑んで、さっさと出てきたのですが、その中でリスの檻の中でりす達と戯れる子供達を撮らせて貰ったのがこのカット。りすってなかなか利巧なので驚いたというのが正直な感想です。

最後の六枚目。
いよいよ、港に着き、周辺など撮っていたら、3時も過ぎ、出航の時間が近づきます。
ホントは自分が乗る船の上から、うるうる目で見送ってくれるあんこさんのお姿でも撮りたいところですが、海上を時速80km/h近くで疾走するジェットフォイルの構造上、船外にはデッキもなく、また窓も開かず、そもそも、水面すれすれの1階客室の真ん中の席らしいので、あんこさんを激写するのは、物理的にムリです。

そこで知恵を働かせたのが、同型船が15分早く出航するので、早めに行って見送るフリして、あんこさんを撮っちゃえばイイということで、話をつけ、何枚か撮らせて貰った一枚がこのカット。
いかにも、「あんこ椿は恋の花・・・お嫁なんかにゃ行かないわ♪、さよ~なら、さよなら、好きになった人♪」ってカンジがイイですよね・・・あれ、なんか違うか???

お後が宜しいようで。

最後にお世話になりました、大島バスの運転手の皆さん、大和館のみなさん、南島館の皆さん、そして、藤文のみなさん、快くモデルになって戴いた大島観光協会のあんこさん、本当に有難うございました。
また、是非、近いうちにお邪魔したいと思います。

テーマ:写真日記 - ジャンル:写真

  1. 2010/02/14(日) 23:53:32|
  2. Arri改造レンズ群
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阿雕像性價比~Canon L28mmf2.8~

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【撮影データ】カメラ;Leica M8 絞り優先AE ISO Auto 全コマ開放 ロケ地;築地~佃島
さても月日の巡るのは目まぐるしいばかりで、先日お屠蘇を酌み交わしていたと思いきや、既に2月に入ってしまいました。あちこちで梅の花も咲き誇り、春の訪れを告げているかのようです。

さて、今宵のご紹介は、意外や意外、実は工房主人が今から10年以上前、一番最初にクラカメと言われるもの、そう、何も判らずにバルナック型のLeicaIIIFを新宿の、訪れるものをクラカメの冥府魔道に迷わせる「地図の店」にて贖った時に値段とカッコで選んだレンズなのです。

その当時は、愛用のペンタMEが高校時代以来の酷使に耐えかね故障続きで、それに代わるLeicaR4Sでは、なかなか上手いことスナップが出来ず、旅行用の小型カメラも欲しかったことがあって、小さなIIIfのボディとこのパンケーキ的に薄いが、総真鍮製でずっしり重く精密感有るレンズが財布の紐を緩めさせてしまったのです・・・あぁ、思えばこれが今日の冥府魔道の水先案内だったのか・・・

とまぁ、極めて個人的な昔話をさて置いて、このレンズの氏素性についておさらい致します。

このずっしりと重いシルバークロームの鏡胴といかにも良く写りそうなマゼンタ、シアン系コートのエレメントを持つ優美ながら精悍レンズは1957年、ライカM3が発表されて3年が経ち、キャノンではバルナック型に近似したデザインのIV型から決別し、内部機構的にはまだまだ改善の余地を残しながらも、クランク巻戻しや可変倍率ファインダー等のオリジナル機能を盛り込み、デザイン的には模倣の域を大きく乗り換えたVT型に続く、L2、VT Delux型と同じタイミングでリリースされました。

余談ながら、この頃からキャノンは製品のデザインというものをマーケッティングの重要ファクターと考えていたようで、L2は通産省が制定したばかりの第1回グッドデザイン賞を受賞しています。

このレンズの構成は4群6枚の典型的ダブルガウス型でL1とL6はそれぞれ、かなり急な曲面を持った凸レンズとなっています。

さて、そろそろ作例いってみます。


まず一枚目。
今回は昨日出かけた浅草で試写が間に合わなかったため、急遽、お気に入りのカメラ散歩コースのひとつである築地~佃コースに出かけました。

場内は休場につき閑散としていますが、場外市場では一部のお店は商魂逞しく、日曜祭日とは言え、一般顧客向けの営業を行っており、そこだけ人だかりが見られます。

いつも一枚とは言わず二~三枚、いやもうちょっと撮らせて貰う甲殻類がお得意のお店の前で外人さんご一行が物色しています。

どーせ、冷やかしなんぢゃね・・・ってカンジであまり積極的な営業活動もしないお店番の兄さんの表情も面白かったので、逆光に近い条件にも関わらず一枚戴き。

ピンを置いた兄さんの衣装はシネレンズと見紛うほどシャープかつ忠実に発色を再現しており、画面全体もそれほどコントラストの低下や、ましてゴースト、フレアの類いは認められません、ただでさえ内面構造上、フレアに弱いデジRFと古いレンズの組み合わせにしては大したものだと改めて関心しました。

そして二枚目、
いつものまぐろ料理屋さんで珠玉のランチを戴き、今度は飲食店が軒を並べる表通りを散策します。
すると、土曜日とは異なって、ほんの数店しか開いていないので、閑散としているばかりです。

それでも、かろうじて開いているお店でぽつねんとランチを食べているおじさまが居たので、横顔をそっと撮ろうとしたら、お店の大将が、あ、写真撮ってるよ、笑顔、笑顔、とかなじみのお客と思われる、そのおじさまを茶化すものですから、焦ったおじさまが大将に、え、何、何???と聞き返した瞬間のカットです。

へへへ、お邪魔しましたぁ・・・とか声掛けて、ハイさよならです。

このカットでは、驚くべきことにかなり強い点光源が全然フレアになっていませんし、隅々までのシャープさは言わずもがな、日陰にも関わらず、かなり目で見た通りの忠実な発色を再現しています。

それから三枚目。
美味しいものを戴き、思う存分場外のカットを撮らせて戴いたので、築地を後に勝鬨橋を渡って、月島へと向かいます。

そこで、何時見ても優美で、我らが深川と江戸市中を結ぶ永代橋とはまた異なるモダン・クラシックな佇まいの勝鬨橋の勇姿を画面に収めることにします。

この大きな橋はどこを見ても美しく勇壮な造りですし、周囲も新築の高層ビルがところ狭しと立ち並び、画面に映り込むのでアングルには工夫のしどころ、いつも悩むというのが正直なところです。

しかし、今回は小細工はやめ、ストレート勝負、橋のたもとに佇み、カメラを構え、ちょうど良い人が行き交うところを写しこむことで橋の大きさを対比する手法を取りました。

対照型のレンズ構成が吉と出て、根元の方がやや光量落ちし、画面中央に力強く伸びるアーチが強調される形となりました。
ピーカンの反射光による歩道面石材のフレアも良いカンジではないでしょうか。

まだまだの四枚目。
月島であちこち撮影しているうちにいつもの商店街にある、観光交番の前までやって来ました。
ここでは、商店街の餅つきイベントみたいなのをやっていて、そのイベントに便乗して月島界隈の地区消防団の姑娘さんが、派手な赤い法被に身を包んで、街頭で火災予防に関するビラを配布し、啓蒙活動に励んでいました。

そこで、また得意のアイコンタクトで、一枚戴きまっせ、とやって、交番を背景にチャンスを狙います。
すると、良い案配にパトカーが交番前を通り過ぎていきましたので、その瞬間にシャター切ったのがこの一枚。

赤い法被も粋な消防姑娘に一礼して、その場を後にしました。

かなりの強い西日だったため、赤い法被といわず、パトカーと言わず、かなりフレアっぽい写りとなってしまいました。しかし、このシチュエーションでは却って良い演出になったのではないかと思いました。

最後の五枚目。
月島から佃島地区へ移動し、あちこち秘蔵の撮影スポットを巡り、相生橋経由、深川に戻ります。
その途中、いつも気になる金属製の巨大オブジェが良い案配に西日を浴びて輝いていたので、一枚撮ろうかと思っていたとこころ、ちょうど、ママチャリのお母さんが、後ろに娘さんを乗っけて、往年の橋本聖子もかくやあらんとばかりの猛スピードで駆け抜けようとしていたので、ジャストミートした瞬間がこのカットです。

この小さいながら総金属製の古いレンズは、団地の真ん中に鎮座まします正体不明の金属製オブジェを立体感溢れる壮大な姿に映し出したのみならず、空も都心とは思えないような深い蒼として描き出しました。

いやはや、初めてデジで使いましたが、フィルムではシャープでコントラストが高いばかりのレンズと思いきや、デジRFのCCDとの反射光輻輳によるフレアいよって別の素顔を見せてくれたようでした。

またデジの力も借りて、古いレンズを再発見する楽しみが増えたというのが今回の偽らざる実感でした。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2010/02/07(日) 21:33:31|
  2. 深川秘宝館
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プロフィール

charley944

Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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