深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

A great canon of classic lenses we've experienced~Tessar5cmf2.8~

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【撮影データ】カメラ:Contax IIa フィルム:Super Centuria100 全コマ 開放、ロケ地:麻布十番界隈
さて、5月も最後の週末というのに気温は下がり気味、4月の中旬くらいの冷え込みとか・・・
それでも、当工房はいつも通り更新いきます。

先週が工房作品のひとつKern Switar50mmf1.8改L39をご紹介しましたから、順序でいけば、今日は秘宝館からの登場となります。

色々と出したいものが有るのですが、正直、どれが出たか、どれがまだだったか、全然整理がついていなくて、未登場のものはまだ10本やそこら有ったと記憶はしているのですが、厳密な台帳管理しているワケでなく、また、いざ載せようと思ったら、作例がCD-R焼いてなかったりして思うに任せず、次はZeissのお気に入りを登場させようと、レンズ装着図だけは撮っておいたのですが、今日、帰省から戻り、必死にネガ収納棚を発掘作業したのに、出て来ません。
そこで、同じZeissから代打の登場です。

というワケで今回のご紹介は古典レンズの聖典、Tessar5cmf2.8ニッケル+クローム銘板のモデルです。

このレンズは、言わずと知れた独 CarlZeiss社製品で、最後群が凹凸貼り合わせになった3群4枚構成です。
コーティングはなく、ニッケル鏡胴+銘板のみクローム仕上げで刻印も美しく、狂乱的に価格高騰した"毒キノコ"ファミリーにも相通ずる容貌のこのレンズは1932年にリリースされ、戦前のみ製造・販売されました。

では、早速作例行ってみます。
今回は、帰省帰りで新たに撮ってくる時間無かったので、数年前の麻布十番祭りで撮影したものからのご紹介です。

まず一枚目。
大江戸線の麻布十番駅から地上に上がると、商店街は車両通行止めとなっており、ところ狭しと屋台が建ち並び、道路は人、人、人でごった返していました。

そんな中、ふと行列の先頭に目を凝らしてみれば、ジョー山中(古い!)みたいな、イカシたカッコの兄さんが、飲物とおつまみなんかを有償頒布しているではないですか。
陽の当たり具合が良かったので、一枚戴き。
さすが、ノーコートの古いレンズなんで、コントラストは低め、解像度もシネレンズのそれを見慣れた目からすれば、かなり低めですが、なかなか味わいはあるバランス取れた描写にはなっています。

そして二枚目。
商店街の奥に向かい暫く歩いて行くと、くじ引きの屋台やら、鉄板焼系の屋台が煙上げたりとなかなか縁日っぽい雰囲気でイイカンジです。
そこを真っ昼間から、ビールなんか片手に持って、ディスカッションなんかしながら歩いてきた外国人男性2名、お祭りってことで容赦なく一枚戴きました。
ちょっとアンダー目にはなりましたが、画面中央やや左上寄りの白熱灯にご注目。
ノーコートの70年以上前のレンズにも関わらず、ヘンなフレアとかゴーストが発生せず、キレイに点光源として写り込んでいました。

それから三枚目。
外国人2名を激写してすぐ近くに、縁日、お祭りの類いには切っても切れないイベント、金魚掬いがありました。
その屋台の前で、浴衣のちょんまげ小々姐が、獲物を高く掲げ、保護者たる母親をはじめ、一家眷属一族郎党に対し、自らの特殊技能を誇示しているかの如き有様が面白かったので、一枚戴きました。

ここでもアンダー気味ですが、妙にヌケが良く、シネレンズとはまた違った臨場感の有る面白い描写になったのではないかと思います。

まだまだの四枚目。
通りを一巡すると、人々が集う広場がありました。
なんでも、「赤い靴履いてた女の子」が住んでいたのがこのあたりのようで、暫くして、横浜の港から、ひい爺さんに手を取られ、黄泉の旅への道行きとなったということです。
その曰く因縁めいた広場に何やら怪しげなオブジェが・・・
そう作り物の唇が宙に浮いたカタチで据付けられ、寄付金を受けると、陰に隠れたDJみたいなオサーンが何か気の利いたセリフを述べ、それに合わせて、この作り物の唇がパクパク動いて、あたかも民衆に語りかけてくるが如く見える、という設定なのでした。
ここでも、唇に向かって何やら突っ込みを入れる地元のワルガキどもの後姿を激写しましたが、解像度はそれほど高くないにも関わらず、タクトップから覗く焼けた腕や肩から、人肌のえもいわれぬ質感表現をしています。

最後の五枚目。
ワルガキ達の写真を数カット撮ったあと、現場を立ち去ろうと踵を返したところ、夕陽を浴びながら、子供を抱えてその場を立ち去ろうとする若い父親が目に留まりました。
そこで一枚戴き。
ちょうど、シャッター切った瞬間、酒に酔った赤シャツのおっさんが画面に入り込みましたが、前ボケが程好い加減で、あまり煩くならなかったのが、かえって面白い画面構成になったと思います。
赤子の髪の毛が、シネレンズ改や引伸レンズ改の玉であれば、一本一本解像するのが普通になってしまっていますが、このカットを見る限りで、そこまで圧倒的な解像度はなくとも、スナップでは十分に作品作りは出来るのでは・・・というのが今回、昔の写真を見返した感想です。

さて、次回は工房からどんなスーパー改造レンズが出るか、或いは面白実力レンズが出るか、乞うご期待。

テーマ:CX mounted lens - ジャンル:写真

  1. 2010/05/30(日) 20:57:22|
  2. 深川秘宝館
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An essence of accuracy of C.H. ~Kerm Switar 50mm f1.8 mod. L39~

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【撮影データ】カメラ:Leica M8 ISO Auto 絞り優先AE 全コマ開放、ロケ地 浅草
さて、写真展、沖縄ツアーと楽しい季節も過ぎ、先週末から工房は通常操業に入りました。
そう、溜まりに溜まった曰く因縁付きのレンズヘッド達をM、S/CXマウント化して再び使えるようにするという、レンズ供養です。
よくよく考えてみれば、今までやって来たことは、ボディが頓死してしまったり、ボディとはぐれてしまい、二度と光を写し撮ることが出来なくなったレンズ達を再び輪廻転生のサイクルに引き戻し、物欲を満たしつつ、元の役割を演じるようにして上げること以外の何物でもありませんから、供養のひとつの形態ではないかと思えてきたのです。

こうなると、いっそのこと、工房を畳み、宗教法人化し、「深川鏡頭鎮魂庵」とでもしてしまえば、宗教活動として一切無税になるのですから、こんな都合良いなことはないのですが、そもそも営利活動やってないので、無税でも全くメリットなかったのです。従って、工房のまま活動を続け、ただ、写真撮影のみは愉快な仲間達と修錬を続けていきたいと思います。

ということで、今回のご紹介は、昨年冬には加工完了していましたが、何やかんやで登場が遅れていたスイスはケルン社製のアルパ用レンズ、Switar50mm f1.8です。

これを見て、アルパ教の信者各位は、また性懲りもなく、2本目まで手なんか出して、いったい何考えてんだ!! Switarはアルパのボディで使えよ!!!とお叱りを受けてしまいそうですが、先の太鏡胴のMakro-Switar50mm f1.8同様、某ICSの有楽町会場にて、絞り機能不調、玉に若干クモリ有りということで、相場の半額以下で叩き売られていたものを、これなら、何とか分解清掃して手動絞りに改造すれば使えるだろうと見当付けて、買い受けてきたものなのです。

では、まず簡単にこのレンズのおさらいから。
この1958年発売のAlpa用スイス製の優美な細身のレンズは、2箇所の貼り合わせを持つ5群7枚構成になっています。構成図を見ると、エレメント数に比して貼り合わせが少ない、薄いメニスカスの行列なので、魚の骨か何かをソフトX線で透視した図のようにも見えます。

この特異なレンズは、トリプレットの派生型ということで、想像するに、黄色域の収差補整と大口径化を図るために、トリプレットに手を入れていったら、結果的にWガウスよりも枚数が多く複雑怪奇な構成になってしまった、というのが実情だったのでしょう。それとも、どうしてもイギリス人にオーピック型のライセンス料を払いたくなかったので、こんな構成を採用したか。

想像していたらキリがありませんので、早速、作例いってみます。

まず一枚目。
レンズの調整が終わったのが日没間際、夕暮れでも人出の多い浅草をテスト場に選び、出撃しました。
このカットは雷門前でワリカンか何かの支払いをすべく、財布を開けた女性とそれを覗き込もうとする男性の様子を一枚戴いたものです。

水銀灯と白熱灯のミックスライト下なので、M8の雑駁なホワイトバランスではあまりイイ発色とはなりませんでしたが、それでも、髪の毛、衣服のシワなどの細部の表現にこのレンズのポテンシャルの良さが垣間見られるのではないかと思います。
後ボケもなかなか自然でキレイではないでしょうか。

そして二枚目。
仲見世を歩きつつ、獲物を物色していたら、いつの間にか宝蔵門の前までやって来てしまいました。
そこには、先ほどのワリカンカップルがまた立っていて、いつの間にかカバンから取り出したか、コンパデジで二人の今生の思い出に写真でも撮ろうといったような談合をしています。
その様子を撮ろうと構え、シャッターを切ろうとした刹那、マフラーを巻いた重装備和装のおばさま2名が恵比寿顔でやって来たので、一緒にフレームに入れて撮ったカットです。
カップルにピンを置いていたので、彼らの服のテクスチャ、髪などを微細に描写したのは当然でしたが、かろうじて被写界深度内に入ったおばさま2名の様子もややソフトながら上手く捉えていると思います。
また、ガンガンに照明当てられ、飛び気味ではありますが、宝蔵門下の提灯もイイボケ加減で写っているのではないかと思います。

続いて三枚目。
また少し歩いて、宝蔵門の真下付近に移動しました。
ここでは、提灯がレンズの描写を見るテストに結構重宝するからです。
提灯真下の金具の丸紋にピンを置いてシャッター切ろうとしていたら、またもや、格好の獲物がやって来ました。
おそらく、集団就職か何かで東京に出てきた小姐が多少お金も溜まり、東京のことも判ってきたので、東北地方あたりに残してきたお母さんを呼んだのかも知れません。
それにしても不思議なのは、このレンズも前方向に被写界深度が深いので、提灯の紙張りの皺や材質の質感そのものまで上手く描写しています。
ここでも、背景のみくじ売り場の建物はキレイにボケ、水銀灯の緑の光の当った箇所が深海底のようにも見え、雰囲気がある一枚になりました。

まだまだの四枚目。
宝蔵門をくぐり抜け、そこから五重塔を見あげ、一枚シャッターを切りました。
ピンは宝蔵門の屋根の端部、張り出し部の四角い金具に置いていますが、それでも、光線状態が悪いので、ヘンな発色にはなってしまいましたが、五重塔がなだらかにボケ、なかなか面白いカットになったのではないかと思いました。

最後の五枚目。
宝蔵門からは数メーターしか離れていない、みくじ売り場に足を運び、みくじにうち興じる人々の姿を写そうと思いました。
幸いなことに、時間のせいもあるのかも知れませんが、このみくじ売り場周辺には、若い小姐たちしか居ませんでした。おじさんの影が見えますが、これは寺男の方で掃除しているだけなので見なかったことにしましょう。

ここでは、置くのメガネ小姐達にピン置いてシャッター切っていますが、やはり、髪の毛の健康なキューティクルまでも捉えているかの如きシャープな上がりとなっており、手前にも白い服の小姐が難しい顔でみくじの文面を読み、結んで置き去るべきか、持ち帰って、家の神棚に祭るか、肌身離さず持っているべきか、思案に耽っているようです。
このアウトフォーカスの画面手前の小姐もキレイなぼけとなっていて、画面構成上の邪魔とはなっていません。

こうして修理したレンズが予想通り、キレイに写るようになると、まさに供養が上手く行き、このレンズはきっと成仏してくれたのだろうと思え、満足感で胸が一杯になります。

これからも、世の片隅に埋もれている可哀想なレンズ達に再び光を当てるべく、工房の創作活動は続きます。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2010/05/23(日) 23:00:00|
  2. その他Lマウント改造レンズ
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バカンス島した~沖縄・久米島旅行編~

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【撮影データ】カメラ:1、2、5、6枚目R-D1s、3,4枚目Zeiss Ikon ZM、レンズ:1、2枚目Speedpanchro40mmF2 Ser.III改M ISO200 絞り開放 AE、3、4枚目Cine-Planar50mmf2改L Kodak Ektar100 絞り開放 AE、5、6枚目Cine-Planar50mmf2改L ISO200 絞り開放 AE
さて、楽しくも緊張しまくら千代子状態だった写真展2連荘も終わり、工房主には久々の休息、いや創作のための時間的ゆとりが出来ました。
様々な行事に圧され、操業が停止していたため、溜まりに溜まったレンズヘッド達を社会復帰させて上げなければなりません。

しかし、知る人は知っていましたが、その過酷な写真展週間の裏番組で、工房主はしっかりとバカンスしていたのです。
そう、休暇が4日以上あれば、砂鉄が磁石に吸い寄せられるが如く、自然に飛んで行ってしまうという、沖縄地区です。
え~3月に行ってて、また行ったのかよ!?と突っ込みを入れたくなる愛読者の皆さん、厳密に言えば、3月は石垣島周辺だけ、そして今回は那覇中心に久米島行ってきたのです。ホントは名護の赤瓦の古建築で昔ながらの泡盛作りをしている「津嘉山酒造」を訪問し、市内に残る古い町並みを撮りに名護市にまで高速バスで行こうとしていたのですが、一にあの人騒がせな"平和の使者"を語った迷宰相が名護にやってくるというので、無粋な雰囲気と垂れ幕なんどが市内の至るところに散見され、それが写り込むことで写真の芸術性がスポイルされる可能性が高いこと、そして、二番目に前もって連絡してから見学に来てくれ、と謳っているその酒造所の電話番号がネットでどうやっても調べられず、行って門前払い喰らうなどという惨めな末路を辿りたくはなかったから、結局、名護行きはギブアップ、行き慣れた糸満と北谷のセットという日程に換えた次第。

そして、写真展でも何名かのお客さんから質問でたので、この場でお答えしておくと、沖縄に限らず、撮影を目的とした旅行では、機材としては、必ず、デジRFのうちいずれか、そしてフィルムのRF、近頃は2000分の1という必殺兵器を持ち、しかも軽いZeiss IkonZMを持っていくようにしています。そしてレンズはボディに装着したまま持ち出すものも含め、だいたい、6~7本です。一連の撮影旅行の成果から写真展の作品に昇格することを考え、専ら工房製シネレンズのみ持っていくようにしています。
この頃は大胆にも、作ってすぐのレンズまで実戦テストとして持ち出すようになりました。

さて、早速、旅程を追って作例を見ていきましょう。

まず一枚目。
那覇について二日目の朝、8時半丁度のフェリーで久米島へ渡ります。
ホテルを7時半過ぎに出て、裏通りを通って、泊港のフェリーターミナル、通称"とまりん"に向かいます。
その途中、古めかしい木造建築の氷屋さんを見つけたので、一枚戴き。

英国、Rテーラーホブソン社がシュナイダー、C、ツァイス社への切り札として放ったSpeedpanchroシリーズ中のアリスタンダード用最後のレンズブロック、シリーズ3をライカマウントに改造したもので撮りましたが、細密に亘る描写、ピンクとも薄紫とも見える、得も言われぬ色合いの建屋の雰囲気を良く捉えているのではないかと思います。

そして二枚目。
景色を楽しみながら歩くと、あっという間にフェリーターミナルに到着しました。
切符売り場で、片道だけの切符を買い、乗り場に向かいます。
このシーズン、フェリーはかなり盛況らしく、出航から30分以上前でも切符はかなり残り少なくなっていました。
前回の渡名喜島行きでは、時化による高波で地獄の苦しみに遭いましたが、今回は宿を出る前に乗り物酔い防止のオクスリを飲んでいるから、波浪注意報もものかわです。
それでも、船旅はいつでも心をワクワクさせるもので、足取りも軽く久米商船の乗り場に向かうと、真っ白い船体が船首の開口部を開け、貨物や自動車を積み込んでおり、その横を、バカンスなのでしょうか、今風な衣装に身を包んだ、いたいけな若いカップルが足取りも軽やかに手を繋いで通り過ぎて行きます。
こちとら、中年男の一人旅、あまりの落差に一瞬たじろぎかけましたが、そこはそれ、華のお江戸の半蔵門のカメラ博物館で写真展をやるほどの、そこそこ名のある(素人)写真家でござる!と開き直って、前行く2人をブログネタにさせて戴いた次第。
このサイズでは判りづらいかも知れませんが、このRTHのスーパーレンズは、カップルの衣装のテクスチャのみならず、真っ白い船体の溶接の継ぎ目、鉄板の凹凸まで繊細に描写しています。

それから三枚目。
島に着くと、レンタカーは予約無いと借りられませんし、タクシーも滅多に見かけないし、本島並みに高いし、レンタサイクルもレンタバイクもフェリーターミナル周辺にはなさそうなので、今回の旅の移動手段はバスしか頼りになりません。
船が着いてから30分ほどしてから島内周回のバスがやってきて、島内、いや本島周辺でも随一と言われるイーフビーチ方面へ向かうこととしました。
本島は、天邪鬼な工房主は、白い砂浜と蒼い空、碧い海、その下で青春を謳歌する若者達、なんてものは見たくも聞きたくもなかったのですが、謝名堂という集落に赤瓦の家々と石積み塀が残っているという情報を得ていたので、その集落が目的で、有名ビーチはあくまで、定食に喩えれば、せいぜい漬物か小鉢程度の扱いだったのです。

ところが、20分以上かけて集落までバスでやって来て、ホントにここで降ろしてイイのか?というやたら親切な運転手さんの問いかけにも答えず、降りたところは、極フツーの那覇市内の住宅地とさほど変わりない、15分かそこらシャッター切ったら飽きてしまう過疎の集落でした。

この時点でもう2時も過ぎていて、船酔いを警戒し、朝から何も食べていないこともあり、さっさと反対方向のバスが来たら乗って、船着場周辺へ戻ろうと画策し、開店しているのにやっているのかどうか判らないような商店が目の前に有ったので、自販機を口実にして財布の中の1万円からバス用の小銭を両替して貰いに中に入ってみると、ヒマを持て余していた老婦人にまんまと捕獲され、札が足りないので両替は出来ないが・・・やれどこから来た? 何しに来た?から始まって、やれ、赤瓦の家々写真撮るなら、謝名堂じゃなくて真謝の間違いだろ、30分も歩けば着けるぞとか、20分以上も地域情報を戴いてしまいました。

しかし、先立つものは腹ごしらえってことで、乗ってきたバスのルートを辿って、ランチバイキングをやってたホテルが二軒有ったことを思い出し、畑の中の道を歩いていたときに撮ったカットのうちの一枚がこの学校前でのもの。
遠くに校庭を悠々と泳ぐこいのぼりがおぼろげに見えるのがアクセントです。
Cine-Planar50mmf2とEktar100の組み合わせにしては、かなり地味目なあっさりとした描写になりました。

続いての四枚目。
やっとのとこで、久米島では唯一の海岸に面したホテルというイーフビーチホテルで、ランチバイキングを楽しみます。
1500円で、和、洋、中、デザートも色々と有って、味も良く、なかなか充実していました。但し、15時半仕舞いなのに、15時10分過ぎに入ったため、急ぎ足だったのが至極残念でしたが。

衣食足りて礼節を識る、ではないですが、おなかが満ちてくると、目の前の白い砂浜の景色が急に魅力的に見えてくるから、人間とは現金なものです。

ホテルのロビーを通って、砂浜に出てみます。

すると、年端もいかない、いたいけな男女が砂浜で青春をエンジョイする予行演習をしているではないですか!?
さすが、出生率トップの沖縄県、こんな幼少のみぎりから自由恋愛を徹底していたわけです、こういったところを少子化に悩む本土の各自治体も見習うべきではないでしょうか。
ここでは、Cipne-Planar50mmf2とEktar100との組み合わせで、若干、周辺の光量落ちしていますが、f2開放でISO100でのシャッター速度2000分の1であれば、砂浜は飛んでしかりなのに、しっかり踏ん張っています。
蛇足ながら、ここのカットではR-D1sは殆ど露出オーバーで全滅でした。

この後、久米島での活動も十分エンジョイし、18:50だったかのフライトで、とんぼ帰りで那覇に戻ります。行きは3時間以上かけた優雅な船旅ですが、帰りはたった25分のフライトでした。

まだまだの五枚目。
久米島から戻った翌日、糸満、北谷を巡り、そのまた翌日、即ち、夕方の便でお江戸に戻るその日、いつも必ず訪問している、首里金城町界隈に、今回はまだ訪問していなかったので、朝、早めにチェックアウトして、モノレールで向かいました。
前の晩はかなりの大雨が降りましたが、最終日はまさに五月晴れの名に相応しく、開放専門カメラマンには冷や汗もののイイ天気の一日となりました。
レンズはCine-Planar50mmf2、ボディはR-D1sでのお散歩、首里城界隈の喧騒を横目に通り過ぎ、金城町の石畳を歩いて、被写体を求めます。
すると、激しく日焼けした工房主を地元の写真中年とでも勘違いしたか、関西弁を使ういたいけなカップルが、道を尋ねてきました。
もう十数回も通っていますから、下手な那覇市内の高校生より詳しい工房主は、大アカギへの道筋と、パワースポットである御獄(ウタキ)に関して、少々講釈を垂れて上げました。
そして、丁寧に礼を述べ歩き去るカップルをガイド料代わりに撮影させて戴いたのがこの一枚。

露出データ上からは、飛んでしまっている筈なのですが、そこはそれ、スーパーレンズであるCine-Planarのご利益で、優しいフレアと不可思議な立体感を持つ、奇妙な描写が出来上がった次第です。

最後の六枚目。
首里金城町での撮影も無事終え、今回最後のミッションである、波の上宮界隈の撮影を行う前に腹ごしらえをしなければならないので、国際通りへ戻ります。

その途中、沖映通りという、那覇モノレール美栄橋から国際通りを結ぶ通りで沖縄そばと和風うどんの赤と黄色の看板が並んでいたので、看板に置きピンしていたら、非番と思われる進駐軍の若い兵士がカジュアルなカッコして歩いていたので、通り過ぎざまシャッター切りました。

ここでも、露出はオーバーしてしかりの条件でしたが、金城町の石畳の小姐後ろ姿同様、レンズ性能のためか、何とか踏ん張って、優しいフレアと不可思議な立体感で、えも言われぬ描写となった次第。

また、秋の写真展向けに結構イイネタが集まりました。もちろん、ここでの未発表作品での出展となります。

さて、来週は久々に工房謹製レンズのレポートでも致しましょう。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2010/05/16(日) 23:00:00|
  2. Arri改造レンズ群
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祝~写真展特集~日本カメラ博物館JCII Club25展示(後編)

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お陰様をもちまして、今回のノン・ライツRF友の会@新宿西口写真修錬会の第四回写真展は、本日、無事に千秋楽を迎えることが出来ました。この場を借りて、深く御礼を申し上げます。
次回のスケジュール、テーマなどに関する、嬉しいご質問なども多々有り、メンバー全員とも、歓喜にうち震えるとともに、かなりのプレッシャーに身が引き締まる思いを感じざるを得ませんでした。

さて、前置きはこのくらいにして、先週に引き続き、写真展第二期の後編として、残り4枚のご紹介を致します。

まず一枚目。
このレンズの氏素性は近々詳細をご紹介しますが、ドイツ製の某レア玉で戦前の映画用レンズとだけ申しておきましょう。スペックは50mmf2.3、4群4枚のコーティドレンズで、当工房でニコンSマウントに改造したものをニコンSPでKodak Ektar100で以って佃島界隈の水辺を撮ったものです。

ピンは水上の係留用の柱上の錆びきったブリキ缶においており、シャープで色バランスも優れた合焦部と比べ、背後のボートも水面すらぐるんぐるんに回ってしまっています。

そして二枚目。
ここからの三枚は、今年3月に初めて訪れ、島の人々の素朴で親切な心根に触れ、折に触れきちんと紹介したいと思っていた、伊豆大島からのご紹介です。
このカットは一日目に着いて早々、氷雨に祟られ、意気消沈していたところ、午後遅くにお日さまがコンニチハして、日没前のラストスパートとばかり、島内周回バスに飛び乗り、今回の目的地の波浮港に出かけ、アーチ状の港を散策しながら、水産高校の実習船というものが停泊していたので、その側面から真っ白い優雅な姿を切り取ったものです。

R-D1sによるデジタル撮影ですが、Cooke Speedpanchro40mmf2 Ser.IIの類い稀なる解像力と優れた色再現性、画面全域に亘る均質性が船の擬装のディティールを忠実に描写しています。

それから三枚目。
翌日、出航前にまだ時間が有ったので、また周回バスで波波港に向かいました。
曇りと小雨の前日とうって変わってピーカンの下、バスは軽快に波浮港を目指し走り続けました。
目的地の港入口の手前、バスのフロントスクリーン越しに何気なく外の景色を眺めていると、少し開けた土地で、ご老人2人が、手作業で干物を作っている光景が目に止まりました。

Cine-Planar50mmf2をLマウントに改造したもので、Zeiss Ikon ZMと Kodak Ektar100の組み合わせで撮影したものですが、陽光のした、嬉々として作業を続けるお二方の輪郭をくっきりと浮かび上がらせています。
背後のオフフォーカス部も芯を残しながらなだらかなボケ足を見せています。

最後の四枚目。
これが今回の隠し玉、第一会場の北谷の美少女に匹敵する、と自分では思っている元町港でのアンコさんによる大型船出航時の見送り風景です。

このカットではGauss Tachar32mmf2.3で以って、R-D1sによるデジタル撮影です。

横顔も美しいアンコさんの表情と、衣装のシワ、質感を良く捉えている思います。

次回は、さて、何をご紹介しましょうかね・・・乞うご期待。

テーマ:街の風景 - ジャンル:写真

  1. 2010/05/09(日) 22:51:38|
  2. Arri改造レンズ群
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祝~写真展特集~日本カメラ博物館JCII Club25展示(前編)

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さて、艱難辛苦の果ての写真展、4/27より舞台は遂にアマチュア写真を野球に擬らえば、まさに甲子園にも相当するかの如き、日本カメラ博物館JCII付設Club25のギャラリーに移っての展示開始です。

先の区民ギャラリーが、いけばなも展示すれば、粘土細工も、絵画も写真も何でも空いてりゃ展示出来ます・・・という汎用のものであったのに対し、Club25では当然のことながら、ギャラリーの作りそのものが写真展示専用となっているので、ここでは個々の作品の出来不出来は言うに及ばず、その構成に至るまでごまかしが効きません。壁紙の色具合しかり、煌めくハロゲンのスポットライトしかり・・・

ギャラリーへの個人的感想はさておき、早速、出展作品の解説行ってみます。第一期は沖縄で統一しましたが、今回の第二期は、伊豆大島をメインに関東周辺で固めました。


まず一枚目。
去年の秋の佐原の大祭での一コマです。
秋の短い日が落ちて、露天の明かりが際立つ頃になると、粋でいなせな祭り装束に身を包んだ、いたいけな小々姐達も、きっとこの時のために爪に火を灯して貯めた僅かばかりの奉公先での給金から、飴だの、髪飾りだの買ったりするのでしょう。
明暗差に異常に強いR-D1sは、この心通わすかけがえない一瞬を確実な描写で捉えてくれました。
このサイズではあまり実感ないでしょうが、手前の小々姐の表情とか、髪の毛の一本一本が確実に捉えられていることから、前回の浅草の夜店でのカットを超える難モチーフを軽々とこなしていることが判ります。
レンズはKodak Cine-Ektar40mmf1.6改M、絞り開放 AE のISO800での撮影です。

そして二枚目。
これは、去年の初冬に深大寺に出かけた時のカットで、山門前の茶店街で、なかなか気立ても良い美形の小姐達を雇用して、多くの売上げを上げているお店で、蕎麦を味わった後、彼女たちに因果を含めて撮った一枚です。
普通の素人姑娘であれば、カメラを意識してどこかぎこちない表情になってしまうところですが、ほんの2m程度のところでかなり鬼気迫る表情で瞬間を追っていたのにも関わらず、このごく自然なやりとり・・・きっと役者が上だったのでしょう。或いは本職の劇団員の生活費稼ぎのアルバイトだったりして・・・調布市立ゲゲゲ劇団、とか。
さすがUS-Goertz製のスーパーレンズ、人工光と陽光の際どいミックス条件下でも、雰囲気有る描写を繰り出しています。
カメラは同じくR-D1s、レンズはBausch&Lomb Baltar50mmf1.9、開放 AE、ISO800での撮影です。

それから三枚目。
同じく深大寺からのカットです。しかしながら、こちらのカットの方が確か30分かそこら早かったと記憶しています。
雨上がりの誰も居ない神代植物園内のバラ園のベンチシートをモチーフに空間の広がりを表現すべく、一枚撮ってみたものです。
会場では、イスの質感もさることながら、濡れたアスファルト、散らばった落ち葉の醸し出す既視感みたいなものがなかなか面白いとのお褒めを戴いてました。
カメラは同じくR-D1s、レンズも同じくはBausch&Lomb Baltar50mmf1.9、開放 AE、ISO400での撮影です。

最後の四枚目。
場所はまた変わり、今度は年明けすぐの川越です。
いつもの喜多院、蔵造通り、そして駄菓子屋横丁と巡るうち、ふと横道に在る、ネコ屋敷みたいなものが面白かったので、皆でネコをかまいながら、色々なカットを撮ったうちの一枚。
いかにも遊び疲れて、エサもくれないのに観光客の相手は面倒だにゃ~とか、若干フテくされているような倦怠感が漂うカットになったのではないでしょうか。
この展示作品は賛否両論で、実物のネコ以上に顔周りの解像度が出ていることから、M8とシネレンズのコンビネーションの勝利だという声もあれば、M8で撮ったら、みんなカリカリでおんなじようで面白くないことを証明したに過ぎない一枚ではないか・・・とか。
是非、会場に足をお運びの上、ご自分でも検分して戴きたいです。

来週はClub25展示後編からまた4枚ご紹介致します。
素朴な漁村の労働風景有り、島の気立て良い娘さんとの別れ絵図有り、まず実写例の出ない超レアレンズの作品有り、乞うご期待。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2010/05/02(日) 23:00:00|
  2. Arri改造レンズ群
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charley944

Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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