深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

A town compared to Santiago de Compostela~三軒茶屋から下北沢へ~

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【撮影データ】カメラ:1~3枚目;Canon VIL マニュアル フィルム;Kodak Ektar100、4~6枚目;R-D1s 絞り優先AE +1/3、レンズ:1~3枚目;Sonnar5cmf2L39 in WW2、4~6枚目;Gauss-Tachar32mmf2.3改M 共通:全コマ開放
さて、またしても幾星霜は巡り、日曜の晩がやって参りました。
色々と考え抜いた挙句、やはり今回を見送ると紹介の場を逸することになってしまうので、"東洋のサンチャゴ・デ・コンポステラ"こと三軒茶屋から下北沢にかけての街角の風景をご紹介しましょう。

今回使用したレンズは2本、今まで紹介し忘れていたSonnar5cmf2L39の戦中モデル?と既に写真展等での大プリントの仕上がりにより、知る人ぞ知る工房の人気レンズとなったAstro-BerlinのGauss-Tachar32mmf2.3改Mです。

当日は10時に某散策会のメンバー各位とキャロットタワー真下の東急世田谷線の三軒茶屋駅前で待ち合わせ、この地域に精通しているというメンバーの方の案内で、路地裏をそして住宅街を商店街を行進しながら次々と、「これは!」と思う光景を撮っていきました。
そして、夕方にかけて、三軒茶屋から下北沢目指して歩いて行ったということです。

ここで、作例のご紹介を始める前に何故、三軒茶屋は東洋のサンチャゴ・デ・コンポステラに喩えられるのか?という素朴なギモンにお答えせねばなりませんね。
その理由壱、名前がそのもの「サンチャ」と呼ばれることが多いからです(汗)
その理由弐、太子堂というお菓子屋さんの本社、もとい、日本の資本主義史に残る聖人、聖徳太子を祀るお堂が在るから。
その理由参、後に述べるように、日本全国、いや世界中から巡礼者が来て住み着いちゃったりして、妙に欧州的な 空気が流れているから。
これだけで充分でしょう。尤も、我が深川は「下町のヴェネチア」と呼ばれてますが・・・

さて、前置きはこのくらいとして、早速作例行ってみましょう。

まず一枚目。
撮影行に出発した一行が迷い込んだのは、サンチャゴどころか、香港の九龍城か、ここは地の果てアルジェリアのカスバみたいなうらぶれた呑み屋街の路地でした。
と、そこには魔法使いのダイイングメッセージみたいな壁画と怪しげな電気式カンデラが下がっている・・・まさにこれがサンチャゴの秘蹟なのだ!と勝手に納得してシャッター切ったのがこの一枚。
赤系統の発色には特徴有るゾナーですが、この灰色のモノトーンに近い路地裏の壁一杯に拡がる、怪しげな空気も十分に捉えているのではないでしょうか。

そして二枚目。
その路地を更に一行は進みます。
すると、また場末には似つかわしくない、神楽坂辺りのビストロから黙って拝借してきたような旗が軒上に翻っていました。
これが、隣のエスニックだか中華だか、国籍不明の極彩色の料理屋の二階のデコレーションの後ボケに映え、まさにゾナーの面目躍如のカットになりました。

それから三枚目。
いよいよ、今回のハイライトのカット2連発の一発めです。
商店街の奥、銭湯の更に西の外れ辺りに在るという「耳無し芳一ロッカー」の秘蹟を押さえんと、メンバーが意気揚々と歩いている途中、ラテン系の異人に声を掛けられ、要は「みんな、ハピーかい?クラシックカメラでお散歩会って、世界は何処も平和ぢゃね!?」みたいなことを話しかけて来たのではないか、と思います。
メンバーの一名が話し相手を務める傍ら、「メイ アイ テイク ユア フォトグラフ?」とか聞いてみたら、向かって左の"巡礼者"は、いきなり目を白黒し、手を前に出し「ウェイト、ウェイト」とか言いながら自転車の向きを変え、頭を撫でつけ、それなりにポーズをつけ、向かって右の"巡礼者"とともにカメラに向かってとっておきの巡礼者ポーズをつけてくれたのです。そこで撮った一枚。
しかし、ダメでしたね、思ったより被写界深度が狭くて、左の巡礼者はドンピシャでピンが来てますが、右は殉教してしまっています。
それでも、白人の肌や髪、髭の質感、そして滑らかな後ボケが、戦中ゾナーここに在りと自己主張しているようです。

続いての四枚目。
一枚撮った後も"巡礼者"達とクラカメの雑談は続き、初めに一枚撮ったキャノンよりも、R-D1sの方が気になって仕方なかったらしく、そのクラカメは珍しいな!Zeiss製か?とか聞いてきたので、「へへへ、残念でした、メタルロゴ貼ってるだけピョーン、何せ今出来のデジタルだかんね♪」とか答えると「ほんまかいな、ちょっこし、写してみてーな!」と言うので、カメラを構えた途端、前々から企んでいたらしく、シャッター切った途端に昇天していくイエス・キリストを目で追う14人目の使徒の如く、面白ろポーズをつけてくれたのでした。
解像力が高い分、後ボケは若干、ゾナーより2線傾向で煩めです。

まだまだの五枚目
美味しいランチを頂いたのち、一行は下北沢を目指しました。
途中、代沢界隈も面白いものが結構あり、それらも相当数収めたのですが、紙面の都合上、割愛して、東北方面の愛読者のためのサービスカット行きます。
下北の駅近傍までやって来ると、そこは三軒茶屋とはまた違った若いエネルギーとカオスが支配する、深川人からすると、同じ二十三区内なのかいな???と不可思議極まりない街の空気が支配しておりました。
そこに異形のカメラを下げた妙齢の集団がぞろぞろと行進して行くのです。
ハロウィンの行列ほどには目を惹かなかったとは思いますが、街の空気からは浮いていたことは間違いないのではないかと思いました。
そこで、カメラを構えたら、街の雰囲気が逃げてしまう気がしたので、日頃鍛えた、勘ピンのノーファインダ撮影です。
このカットは貸本屋かなんかの前でたむろしてアイスなんか食べ、政談に打ち興じている女子高生の小姐達の姿をこっそり撮ろうと思ってしまったのですが、魂胆はバレバレ・・・笑いをこらえながら、しっかり目線くれてます。やっぱり、怪しい一行だったということでしょう。仕方なくアイコンタクトし、照れ笑いしながら頭掻いて通り過ぎました。

最後の六枚目。
"聖地"サンチャゴ・デ・コンポステラを出てかなりの距離を歩いて来たというのに、ここにも巡礼者目当ての商売をする大人の真似事をしている子供達の姿が在りました。
電気屋さんの軒下で、様々な回転灯が並べてある一角で、あたかも水晶玉に手を置き、未来の出来事を語る予言者の如く、奥の童子は舌鋒滑らかに道路際の童子に語りかけますが、この海千山千の巡礼者たる童子も「それがしの教典にはそのようなことは書いていない」などと鋭く応酬し、ここがまさに文化の交差点であることを伺わせる図となりました。
至近距離でのノーファインダにしては、構図、ピントともかなりイイ線行ったのではないでしょうか。

今回の感想は、いやぁ、都内ってのは広いと思いました、狭いと思った23区でも深川と太子堂では全くカルチャも雰囲気も違うのですから・・・あ、地価や住んでる人たちの年収がそもそも違うって???
でも、こうやって、あちこちに精通した人たちの案内で都内の新しい風景を次々発見していくのが益々楽しみとなりました。

さて、次回は久々に工房の創作レンズのご紹介です。乞うご期待。

テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

  1. 2010/10/31(日) 21:25:29|
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Douleur du second coureur~Leitz Vario-Elmar35-70mmf3.5~

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【撮影データ】カメラ:EOS-1DsMKII 絞り優先AE 露出+1/3 全コマ開放
さて、怒涛の一週間を超え、またしても日曜の晩がやって参りました。
今週は勤めはともかくとして、土日、フルに撮影会のハードな週末になってしまい、心地良い疲労感と共に、本ブログの更新を行っている次第です。

今回のご紹介は、先週の予告通り、工房附設秘宝館から、Vario-Elmar35-70mmf3.5 "Germany"です。

な~んだ、珍品でも何でもねーぢゃね!!とか途中で読むの止めたそこのアナタ、まだ早い、このレンズ、実はなかなか面白いレンズなんですよ。

この、ライツでは元々セカンドラインたるR用ということから、性能の割にはあまり顧みられることがなかった悲運のレンズで、1988年にマイナーチェンジ版として登場しています。

元々、ライツは自社でズームレンズの設計をすることが出来ず、フランスのP.Angeniuexから45-90mmf2.8というスペックのものをライカフレックス用に供給して貰っていました。

ただ、あまりにも内部機構が複雑で、価格の割りに性能がイマイチだったようで、83年には、このレンズの前身にあたる、第一世代35-70mmf3.5を発売しました。

この第一世代35-70mmf3.5は、もうあまりにも有名でここに書くのがアホくさいくらい有名な話で、ライツ社とミノルタの提携関係の一環として、ミノルタが設計したものを日本国内で製造し、世界中にライツブランドで売っていました。
確かMDレンズでも同じようなスペックで同じような硝質、コーティングのものがあったような気がします。

しかし、これではマーケッティグ上、ブランドイメージに得策ではないと考えたのでしょう、第一世代の後期型から、"Made in Germany"銘のものが出始め、今回ご紹介するモデルでは殆どがドイツ製となっています。

ここで賢明な読者の方は、んんん、ライツがズームレンズの設計は勿論、製造なんか出来たかいな???と疑問に思われることでしょう。

この現代レンズ史の大きな謎に工房主は二つの仮説を立てています。

まず第一説めは、ミノルタがそのまま組めばズームレンズがハイ出来上がりというアッセンブリパーツを送り、ライツのゾルムスで手作業で組んで、知らんぷりして"Made in Germany"で出荷した、という説。

そして第二説めは、コーティングと硝材が初期の日本製と異なることから、ドイツ国内のズームレンズの設計、製造能力を潤沢に持つ会社の関与です。
こうなると、もう想像の域を出ないのですが、工房主は、Schneider/Iscoの関与を疑っています。何とならば、ライツが高性能レンズを開発する陰には、超広角にせよ、望遠にせよ、大口径単玉にせよ、Carl Zeissに匹敵する技術力を持ちながら、カメラ本体に手を染めなかったこの会社が実質的な製造を行ったのではないかと睨んだわけです。
ISCOはM42やエキザクタの安物レンズで余り良いイメージを持たれてはいないようですが、米国への輸出のプロジェクターレンズや、映画投影用レンズなどは、Schneider/Iscoのブランドで出していますし、何よりも、この淡い黄金色と緑が混じったような独特のコーティングがミノルタでも後の28-70mmf3.5-4.5を送り出した狛江のメーカー製のレンズのものとも全く違っていますから。

と、あまりレンズの薀蓄に興味の無い方々が飽きてしまっても仕方ないので、自説展開はこのくらいにして、早速、作例行ってみます。今回はオール川越ロケっです。

まず一枚目。
土曜日は良い天気でしたが、何やら出かける前に手間取っていたら、本川越に着いたのが2時15分近く。
まずは腹ごしらえということで、もうランチタイムが終わってしまった「幸すし」に代わるお食事処を目指します。
この日の第一候補は、いつも格好の撮影スポットの隣に位置しながら、いっぺんも入ったことのない天麩羅屋さん「天あさ」です。
そしてお店に早足で歩く途上、川越のサンピエトロ寺院とも言われる「旧埼玉銀行」の建物前に有る「松山風やきとん」で白人男性と日本人女性のカップルが嬉しそうにやきとんにかぶりつくのが目に入りました。
そこで「Einen momente bitte! May I take a picture?」とか良くワケ判らんちゃんぽん外国語で語らいかけたら、男性の方が目を白黒させながらも「Oui, s'il vous plaît」とかまた全然違うお言葉でとりあえず了承頂けたものとして、そのまま召し上がるところを一枚頂いたもの。
シャープながらも、白人の肌のテクスチャを柔らかく描いていますし、バックのボケもやや飛び気味ではありますが、破綻も少なく映し出しています。

そして二枚目。
同伴女性からの「カッコ良い記念写真撮って下さい!!」との見返り条件に一瞬たじろぎましたが、そこはそれ、何かそつなくこなし、双方お礼の言葉をお国言葉で交わし、ハイさようなら、次の目的地である、「時の鐘」の近傍までやって来ました。
ここでは、半島の北から来たと思しき美小姐とかの写真撮ってみたりとか、それなりにスリリングで楽しい思い出が有るのですが、今回はなかなそうもいかず、鐘楼の下のアイス屋さんで買い食いをしようと企む国産小姐2人組をターゲットとしてロックオン。
目つきの悪い中年男が、新聞記者もかくやあらんとばかりの大型一眼レフを構えて狙っていたのですから心中穏やかざるものがあったのかも知れませんが、肝心のカットは、ほれ、この通り、何も意識せず、極めて自然な成り行きで写っています。
午後の日差しい照らされた柔らかくてしなやかそうな髪の毛がとても美しく捉えられました。

それから三枚目。
アイスを買い終わった小姐達に一礼して立ち去ると、いよいよ、道を渡って、本日のメインイベント会場、駄菓子屋横丁を目指します。
この駄菓子屋横丁には3人の名物男が居て、その筆頭がこの「七色唐辛子おぢさん」なのです。
これをご覧になった読者の方は、「ん、七味唐辛子ぢゃね!?」と首を傾げることと思われますが、さにあらず、おぢさんの背後の赤い幟にも「七色唐辛子」と明記されています。
今回は、いつもと違い、大きな一眼レフでかなりコワイ目つきで狙っていたせいか、おぢさんもかなりパフォーマンスに熱が入り、身振り手振りもオーヴァーゼスチャ気味でした。
何より喜んだのが、一緒に巻き添えになったこの大姐、旦那さんはカメラを意識してか、物陰から奥方に、やれちゃんと味見せい!とか、あんまし辛いのはカラダに良くねんぢゃね!?とか、色々と好き勝手な指示を飛ばしてますが、三人の、その虚々虚実々の駆け引きの熱い雰囲気が伝わる一枚になったのではないかと思います。
ここでは、シャッター速度が確か60分の秒くらいだったので、奥方の手が被写体ブレしてしまっていますが、却ってライブ感が出ました。

まだまだの四枚目。
暫く獲物を求めて駄菓子屋横丁を餓狼の如く徘徊していると、来ました来ました、うってつけの集団が・・・
そうこの純和風空間のエッセンスとも言えそうな着物ガールズ、もとい着物"元"ガールズの大姐分隊が、と或る店舗の前で、品定めとも、小田原評定ともつかぬ立ち話を始めて、それが、またえも言われぬイイ雰囲気を醸し出していたので、後ろからそぉっと近づき、有って無きが如しの肖像権なんか侵害しないよう充分に留意してシャッター切って、ついでに容姿も判んないからイイや!とアップしたのがこの一枚なのです。
某東北地方の一読者が正面からのは有りませんかね!?とか聞いてきても、無いですからね、絶対に。

最後の五枚目。
やはり今回は年齢層が高くて、一部の熱烈なファン諸兄には喜んで頂けないような一抹の不安があったので、また元来た道を遡り、横丁の中まで進みます。
すると、江原某に後姿が良く似たおっ母さんの巨大な背中の影で、良くぞ似なかった!とホメ言葉のひとつもかけてあげたいような気立ての良さげな小々姐が、買って貰ったばかりと思しきハッカ飴かなんかを美味しそうにしゃぶってます。
ふと目が合うと、こっちをじっと見てるので、カメラを構えてみたら、ハイ、この通り、ちゃんと目線くれてますねぇ・・・この後の瞬間、江原某母が「XX美、何イキナリ、ニタついてんだよ、キモイなぁ!!」とか罵詈雑言を浴びせたら、「だって、カメラマンの人が今撮ってくれたんだもん♪」とか言ったら、江原某は慌てて、髪の毛なんか手櫛で直し始めましたが、黙殺して通り過ぎました。何とならば、再び戻って、江原某のそっくりさんを至近距離で撮るほどヒマではなかったし、秋の陽はそれほど短かったのです。

めでたしめでたし。

さて、来週は、工房作品紹介しようか、それとも日曜日の散策区ツアー、東洋の"サンチャゴ・デ・コンポ・ステラ"こと三軒茶屋界隈から下北からのレポートにしようか、土曜日までにしっかり考えておきます。
ということで、乞うご期待♪

テーマ:街の風景 - ジャンル:写真

  1. 2010/10/24(日) 23:09:49|
  2. 深川秘宝館
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A Strange and tiny but performing so so~Ehaghee Victar50mmf2.9 mod. L39~

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【撮影データ】カメラ:R-D1s ISO400絞り優先AE 露出+1/3、全コマ開放 ロケ地;深大寺
さて、今宵のご紹介は、先週の雨の佐原祭りから一転して、雲ひとつなき蒼天の下、先般終了した某国営放送局で久々のヒットとなった朝ドラ、ゲゲゲの女房の舞台になった調布市深大寺からのEhagee Victar50mmf2.9の試写結果です。

実は、この深大寺、佐原から戻った翌日、お疲れモードにあった工房主人は、丸一日、家でゆっくり休むか、気が向けば金にもならないレンズ改造でもしようかいなと思いきや、休日の日課である喫茶店でのモーニングを摂りに行こうと表に出たら、昨日までの雨に悩まされた佐原とはうって変わって日本晴れ・・・雲ひとつない蒼天の朝でした。

こうなると、翌月の主宰する秘密結社の撮影会の下見もしたいし、旨い新蕎麦も食べたい、何よりも佐原で何本も持って行ったレンズのうち3本程度しか使えず、テスト予定の新作の試写が出来なかったので、この前々から出番待ちのVictar50mmf2.9の作例作りも兼ね、お天気への私的リベンジとして、都営線、京王線、そして京王バスを乗り継ぎ、深大寺に3時過ぎに着いたのでした。

おっと、その前に今回のレンズのご紹介しなくては。

このEhaghee Victar50mmf2.9は、どうやら戦前にドイツのイハゲー社がビハインドシャッター形式のベスト判か何かのレンズ交換式のポータブルカメラの交換レンズとして作ったらしいのですが、詳しいことは判りません。
レンズ形式は3群3枚のトリプレットタイプ、ノーコートのかなり小ぶりの玉ですが、イメージサークルは135判の43mm対角線を充分クリアします。

そもそもこのレンズ、良質な改造パーツと首を傾げてしまうような不可思議なレンズヘッドを時たま提供してくれる旧CIS内の業者からのオファーで、横から見たシルエットがインダスター50みたいでカッコ良く、しかも真鍮製と思しき鏡胴のロ-レットや絞り環がこすれて厚手のクロムメッキからかすかに真鍮の地肌が見えてカッコ良いと思ったので、その馴染みの業者さんに二つ返事でしかも先方の言い値でオーダーしてしまったワケです。

ところが着いてみて、どっかーん・・・ち、小さい、インダスターの直径の5分の3強くらいしかない、高さもまたしかり。要は全体的に二周りくらい小っちゃな真鍮製のレンズだったわけです。

しかも、改造には厄介な直進ヘリコイドと来た。これぢゃ、実焦点距離が51.6mmより短すぎたら、距離計連動出来ない・・・

う~ん弱った弱ったと思いながらも、或るヒマな時、たぶん、雨でも降っていたのでしょう、何もしないでいるのも時間のムダなので、この防湿庫の孤児のようなベビーレンズを再び活躍出来る様、フランジバック調整を兼ねたマウントスリーブと距離計連動カムを敷設し、ライカで使えるようにしたのです。
幸いなことに、f2.9という暗めのf値と、ビハインドシャッター機の交換レンズだったためか、実焦点距離が51.6mmより若干長いくらいで、1m程度の近接なら全然OKという精度レベルで仕上がったのです。

さて、前置きはこのくらいにして、作例行きます。

まず一枚目。
深大寺のお寺の道を挟んだ反対側、水生植物園の西側の小高い丘の上には、戦国時代のものと思われる、深大寺城址があります。

普段は人と会うことも無いのですが、このゲゲゲブームで多くの人々が押し寄せ、深大寺城址にも家族連れ、カップルがたむろしていました。

その中で、あまりにも仕草が洗練されていて、初めは外人のカップルかと思ったのですが、そおぉっと近寄って様子を覗ってみれば、なんと日本人の熟年のカップルでした。

これみよがしにカメラを構え、半逆光もものかわ、シャッターを切りました。

ちょうど、西に傾きかけた陽の光が二人の輪郭を浮かび上がらせ、いかにも人生をエンジョイしています、というカンジの熟年カップルの微笑ましい姿をあますところなく捉えているのではないかと思います。

このくらいの距離だと開放でも後ボケは殆ど全てのものが識別できるレベルです。ただ、クリーニングでも除去しきれなかった僅かなクモリがハイライトとなった画面中央にかすかなモヤのように認められます。

そして二枚目。
深大寺と言えば、不謹慎ながら、真っ先に蕎麦と連想してしまいますが、お店の殆どが北海道、茨城、長野、そして、お店によってはちょっこし中国産なんかも混ぜて使っているみたいですが、このお城跡の一角で、小さな小さな蕎麦の畑が有り、一年のうち一週間かそこらだけ、その可憐で美しい蕎麦の花をに巡り逢ううことが出来ます。

実を申せば、吉祥寺に住んでいた頃から数十回、深大寺に通っていたのですが、この蕎麦の花に巡り逢ったのは初めてで、思わず嬉しくなって、持っていたレンズ2本で撮ってみたのです。

そして、このカットは勿論、Victar50mmf2.9で撮ったものです。

2m程度前方の花弁にピンを合わせてシャッター切ったものですが、まぁ、凄いことになってしまいました。
背景はこのところお馴染みのグルグル、手前は球面収差、非点収差、そしてコマ収差が入り乱れ、中央部のピンの合ったところ以外は嵐のような有様です。

それから三枚目。
城址での撮影も充分に堪能し、陽も傾き、灯火の点り始めた茶店通りに戻ってきました。
ゲゲゲ効果で千客万来、お姐さん達もまさに恵比寿顔での茶店勤めです。
提灯の灯りに照らされ、年輩の女性とそれよりは幾分若いとみられる小姐が、草だんご状のお菓子をお盆に並べながら、楽しそうに語らい合っています。

このカットでは、小姐の金髪もどきの毛髪が灯火に照らされ、一本一本光って見えますし、また白いニットの網目も現代のレンズに勝るとも劣らぬ解像力で描き出しています。

しかも、不思議なことにかなりの明るさで両女性の頭の白い頭巾が照らされていますが、フレアは極僅かだったのに驚かされました。

まさに今回のレンズテストの真骨頂となったカットではないでしょうか。

まだまだの四枚目。
茶店街を西に歩くと、木陰から開けていて、まだ日当たりの有る場所が有り、そこでも店先で蒸篭みたいなものを置いて、饅頭みたいなものを蒸して売っています。

しかし、このお店の店先で、餌付けを待つヒナのようないたいけな童子達のお目当ては、お年寄り好みの饅頭やおやきみたいなものではなく、ソフトクリームだったのです。

その真剣な眼差しが面白かったので、一枚頂き。
小々姐2人の髪の毛の描写がやはり高い解像力を垣間見せてくれますし、

ただ、ここで霞のようにモヤモヤしているものは、レンズの曇りでもなんでもなく、まさに蒸篭から時折盛大に流れる湯気そのものなのです。

ここでも、背景は非点収差が盛大に現れ、かなりうるさいことになっています。

最後の五枚目。
また元来た茶店通りを引き返し、山門前まで戻り、ふと山門に目を向けると、深大寺の石碑に夕陽が照っていました。
考えてみると、茶店の小姐やら、深大寺城址の石とか、水生植物園の浮き橋とか、全然、深大寺らしいものを撮っていなかったので、極オーソドックスなアングルで一枚。

このアングルでは、あまり非点収差による暴れもなく、クラシックレンズらしい端正な写りになっています。

ただ、山門の遥か背後上方の木々の梢の渦巻きがこのレンズである痕跡を示しています。

さて、来週は秘宝館から何か面白いものを持ってきましょう。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2010/10/17(日) 20:33:57|
  2. その他Lマウント改造レンズ
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【公開終了】お祭り帰りのお嬢さん

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モデルさんになって頂いたお嬢さんが家族と一緒に写真をご覧頂いたので、当初目的達成、限定公開終了です。
ほら、ちょうど、従姉妹のお嬢ちゃん達と手を繋いでおうちに帰って行くところですよ。

テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

  1. 2010/10/12(火) 20:39:26|
  2. Arri改造レンズ群
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Wonderful Japan's Hospitality~佐原秋之大祭'10~

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【撮影データ】カメラ:Zeiss Ikon ZM 絞り優先AE +1/3 レンズ:1~3枚目;FMAO_40mmf2.3、4~6枚目;Cine-Sonnar50mmf1.5改M 全コマ開放
さて、まずはお詫び、ブログのアップが一日遅れてしまい、日曜日に楽しみにされて閲覧に来られた方々には大変失礼を致しました。
今回は、先週の予告通り、年に一度の佐原秋の大祭の泊りがけ撮影ツアーからのレポートになります。

出発は小雨混じる空模様の10日朝9時10分、佐原駅北口経由、銚子行きのバスで現地に向かいました。
高速道を通るバスの窓には次から次へと雨滴が纏わりつき、一面の鉛色の空模様と相俟って現地での行動が思いやられました。

しかし、年一回の佐原秋祭り、ここで怯むわけには行きません、去年のツアー最後の僥倖も思い起こし、めげそうになる自分を何とか鼓舞しました。

満員のバスはほぼ定時に佐原駅北口に到着し、早速、同行の方と共にまずは南口近くの「水郷佐原観光案内所」を目指します。そこで、お茶休憩&情報収集のためです。

案内所に入り、喫茶コーナーで席に着くと、妙にキレイな女性3名ほどがコワモテの初老の男性から、何やらイベントの指示を受けています。女性3名、男性陣2名は当然祭り装束です。

ふと、一番身近な女性の手許に目線をやると、「ミスあやめ」と書かれたたすきを畳んでテーブル上に置いているではないですか・・・う~んチャンスがあれば撮りたいと、その時は思っただけでした。

さて、ここまでが前置きでいよいよ作例を基に小冒険譚行きます。

まず一枚目。
一日目の10時半過ぎに入って、お茶してから動き出したので、実際、本格的に撮りだしたのは、11時過ぎからでした。降っては止み、また暫くしてぱらつく、という一進一退のお天気模様で、雨が一旦止んだとは言え、雲の濃淡の為せる業ですから、空模様はどんよりと重く、雨の中のお祭りということで、よそ者の我々をして、せっかくのお祭りも台無しで楽しみにして来た街の人達はどんな気持ちなんだろう・・・と思い巡らせ、時には傘越しにシャッター切りながら歩いていたら、ちょうど伊能忠敬記念館前のご子孫が経営されているという茶店の手前で、傘もささず、ニコニコ歩いている元気そうな小姐2人組に遭遇しました。
すかさず、「東京から来たそこそこ有名な写真機家なのですが、伊能茶屋前で一枚お願い!」と言い終わるか終わらないうちに「やったぁ☆」とか言って二人は嬉々として移動し、笑顔を見せます。
そこでハイおおきにとか言いながらシャッター切ったのがこの一枚。
手前の小ぶりの小姐の鉢巻にピン置きましたが、あたかも背景から浮かび上るかの描写となり、作った本人も驚きました。

以下2本も含め、今回、先週出来上がったばかりのFMAO(Fukagawa Most Advanced Optics)という称号を持った最新改造技術を余すことなく投入した新作レンズで、BALTAR40mmf2.3のアポクロマートの光学ブロックを分解、清掃した後、ヘリコイド、距離計連動機構、そしてヘリコイドから完全に独立した絞り制御機構、更に防水システムフード&フィルターベースまで装備した、市販レンズ並みの操作性とシネレンズの卓抜した描写性能を受け継いだ逸品と自負しているものです。
また近々詳細をご紹介出来る日が来ると思います。

そして二枚目。
一日目は雨に祟られ、結局、フィルムで24枚程度しか撮ることが出来ず、全ては翌朝に・・・ということで、お仕事の後に都内から合流されたI運営委員殿をお迎えして、豪華な鰻重のディナーを食した後、早々に宿に引っ込み、翌朝、また10時から撮影行をスタートしました。

本格的な撮影に入る前に同行の方の荷物を観光案内所に預けようと寄ったら、昨日、街のカメラ屋で声を掛けて来たキャノン使いの方が、「こちらのお嬢さん方、"ミスあやめ"なんですよ、どんどん撮らせて貰いましょうよ♪」というようなことで声を掛けて下さり、一同、ミスあやめ嬢を囲み、ミニ撮影会状態に。
その時、デジとフィルム両方で撮りましたが、FMAO_50mmf2.3で撮ったのがこの一枚。
「いやぁ、昨日、隣のテーブルでお茶して、お姿は拝見してましたが、まさか撮らせて戴けるとは夢にも思いませんでしたよ・・・」と話しかけながらシャッター切ってたので、何となく和んだ雰囲気になったと思うのは工房主の思い込みでしょうか・・・
この画面サイズでは画像の情報量の全てを知る由もないですが、実に毛の生え際の一本一本は言うに及ばず、藍染の法被の濃淡を為す生地の糸々の擦れた脱色具合いまで把握することが出来る解像力です。
これだけの恐るべき解像力を持ちながら、背景はシネプラナー並みに大人しくボカしてくれています。

それから三枚目。
大通り方面に歩いていたら、いつも玄関周りが美しく目を惹く料亭が、この祭りに合わせ野の花を笊の背負子に生け、鄙の風情溢れた飾りつけをして通る人々の目を楽しませています。
そこで、この花盛りを主題に祭り提灯を背景として対角配置に置いて撮ったのがこの一枚。
花は色合い、質感とも存分に捉えられていますし、笊の背負子も濡れて重くなった質感を余すところ無く描かれています。
ただ、残念なのは、この距離だと背景が若干ぐるぐるになってしまったことです。お行儀の良いBALTAR一族としては珍しい振る舞いです。

続いて四枚目。
一行は大通りに出て、昨日食べ損なった「醤油アイス」を賞味しよう、ということになりました。
早速、おのおのが買い求め、特設テント内のベンチに陣取り、味わいを楽しみ始めました。と、その直後、雨足が激しくなって、ちょうどそのテントに雨宿りで閉じ込められた形になり、ヒマを持て余した一行は人物観察を始めました。
すると、小生の正面でアイスを食べ始めた童子が見慣れぬ黒いカメラを手持ち無沙汰に嬲る小生の方をちろちろ見ながらアイスをゆっくり舐めています。
はは~ん、この童子、自己顕示欲が旺盛で、撮って貰いたいのだなぁ・・・と見当をつけ、目線を交わしながら何枚かシャッターを切ります。
そのうち、I運営委員殿ほか、メンバーが入れ替わり小生のポジションに座り、ここでも演技派童子のアイスクリームパフォーマンスのミニ撮影会となった次第。
このカットはCine-Sonnar50mmf1.5で夜間や悪天候といった光線状態の良くない状況下でも素晴らしい描写性能を発揮してくれる上、同クラスのWガウス型レンズより小型軽量なので、旅写真には欠かせないお供です。
ただ、少年はかなりシャープかつ立体的に描写してはくれたのですが、ぐるぐるならこちらが一枚上手、とばかり自己主張したかったのか、いつもに増して背景がぐるぐるとなってしまいました。

まだまだの五枚目。
やっと雨が上がってきたので、大通りで山車を引く子供達の姿を撮りたいと思い、綱を引く前触れの列に目線を走らせながら伴走します。
すると、或る山車の前触れで、まだ小学校に上がるか上がらないかの小々姐と目が合い、じっとこちらを見つめています。首なんか傾げてじっと見ているので、ものは試しとばかりに笑い返して、カメラを構えたら、まだこちらを見てくれているのでそのままシャッター切ったのがこの一枚。
笑顔で手を振って「有難う、頑張ってね!」と声掛けてその場を立ち去りましたが、この小々姐の嬉しそうな顔は今でも目に浮かびます。

最後の六枚目。
一行は休憩も兼ね、地産地消のバイキングのランチ食後に与倉屋大倉庫付近の川べりに設けられた無料休憩所に向かいました。
そこで暫しの休憩後、17時台のバスを目指し、すっかり天気が戻り、夕陽もさしてきた街中に戻り、ラストスパートの撮影をすることに。

大通りに再び戻ってみれば、もう雨もすっかり上がったので、全ての山車が透明なビニールの覆いを取り去り、祭りの社中も皆合羽を脱ぎ捨てて、やっと祭り本来の姿に戻っていました。

そこで、手古舞の粋でいなせな姐さんをメインに背景の山車をぼかしたモチーフで撮ってみたのがこの一枚。
一人だけ鶯色の揃いの法被を腰に巻いて、藍染の衣装がとても目立って美しく、このCine-Sonnar50mmf1.5の開放描写がまさに心情的にも浮き立って見えた小姐のインパクトが少しでも表現出来たのではないか?と思った次第。

さて、来週は今日、雲ひとつないピーカン休日へのリベンジ戦に赴いた深大寺での新レンズレポートをご紹介予定です。乞うご期待。
  1. 2010/10/11(月) 20:55:46|
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A downtown in the core of imperial capital~麻布番外編~

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【撮影データ】カメラ:R-D1s、絞り優先AE、露出+1/3、ISO400、全コマ開放、レンズ:Astrobelrin Pantachar35mmf2.3
さて、今宵は番外編のアップです。
先般の大久保ツアーの終了後、仲間の一人が麻布での写真展に出しているというので、友誼団体メンバーにも声を掛けて、麻布へ流れ込みました。

当然、ギャラリーへの行き来にも撮影を怠ろうはずがなく、ノーファインダーでの居合い撮りを含め、今回アップした6枚かっきり撮りました。従って、若干甘ピンもありますが、どうかご容赦を。

レンズについては、素性を明らかにしないまま、座間、そして今回と作例のみご紹介していますが、そのうち、気が向いたら登場しますので、気長にお待ち下さい。

さぁ、作例のコメント行ってみます。

まず一枚目。
大江戸線の麻布十番駅を降り、会場への道を歩き出しましたが、当日は夕刻からやや曇天になってきて、4時半前後でもかなり薄暗くなっていました。
何か獲物(要は街撮りのウケそうな被写体のこと)を探して鵜の目鷹の目で徘徊していると、或る曲がり角を曲がった途端、いたいけな童子達がテーブルを囲んで、ちぃ!だ、ぽん!だやってました・・・というのは先入観からの思い込みで、何やらカードゲーム系を商う店先に設置された特設テーブルで何がしかのカードゲームに打ち興じていたのです。
てっきり、何かのフェアとかキャンペーンとかだと思いきや、休日は近所のいたいけな童子達で盛り上がっている年中行事みたいなのです。
そこで、子供が減少傾向にある都内では珍しい21世紀屋外遊び風景を記録しておこう♪という極めて崇高且つ、とりあえず一枚目のカットとしてはアイキャッチィでイイんぢゃね☆という内なる声に励まされ、シャッター切った一枚。
う~ん、写真展会場でよくよくみたら、男子ばかりで小々姐が皆無・・・これぢゃ、東北地方のその道の大家には、お褒め戴けないでしょうね。
画的には、往年の高性能レンズではあるものの、古い個体だけあって、手前の童子の青いTシャツだかの布地のテクスチャまで繊細に捉えていますが、白い帽子にはさすがにフレアというか、ハレーション起こしてしまっています。
また後ボケが先にご紹介した50mm同様、ぐるぐる傾向です。

そして二枚目。
写真展会場の帰り、相当に陽も暮れかけて、小雨もぱらつき始めましたが、まだまだ、スナップ時間です。
交差点の向こうに目つきも鋭い前衛的なファッションの小姐があたりを睥睨しながら携帯で会話中でした。
華やかなショーウィンドーに、あたかもそこから抜け出してきたファッションの小姐、撮りたいのはやまやまですが、何せ小心者の工房主は「えいやっ!」とカメラを構え一枚撮って、そそくさと離脱するなどという真似がフランチャイズの深川周辺でならいざ知らず、年に一回来るか来ないかのアウェーの麻布ではとても出来ません。
そこで、首から提げたまま、距離だけ目算で合わせて、シャッターを切りました。と、その時、猛スピードでプリウスが交差点に進入してきて、なかなか躍動感の有る都会的な画になったんぢゃね、と自画自賛した次第。

それから三枚目。
交差点を過ぎ、また駅方面に歩いて行くと、如何にも高所得の在留外国人という一家が既に街の風景と一体化して佇んでいます。
ここも、オヤヂさんに声かけて一枚撮らして貰えば良いものを、さりげなさを演出すべく、またノーファインダで一枚。
水平はちょっと怪しかったですが、ピンは結構良い線行ってて、なかなか自然なカンジの一枚になったのではないかと思います。
ここでも背の高い街路樹の幹の上の方の枝は非点収差でざわざわし始めています。

続いて四枚目。
撮ったのバレバレだったんで、ほくそ笑む家族のオヤヂさんに黙礼して通り過ぎ、ふと道の反対側を見てみれば、何か懐かしい白熱電灯の明かりを煌々と照らしたオープンエアの居酒屋的飲食店舗が目に留まりました。
そこで、点光源の描写形状と色バランスを確かめるべく、店頭に近づき、一枚頂き。
やはり古いモノコートのレンズだけあって、輝度差の大きい白熱電灯有りの画面モチーフでは、見事、フレアというか、月にかかる傘みたいな形状の光輝が出ました。たぶん、ノクチ50mmf1.2とか、N-FD50mmf1.2Lで同じシチュエーション撮ったなら、全く別の雰囲気のカットになるのだろうなと思いもしましたが。
なお、手前のスクーターはアウトフォーカスながら、それほど見苦しくは崩れていません。

まだまだの五枚目。
街撮りを一日やって、しかも二回アップするなら、1コマは小姐の写真がないと、わざわざ東北地方からも見に来てくれているおともだちに申し訳ありません。
そこで、お惣菜屋さんと思しき店舗で中老婆がおでんだかを盛り付けるのをじっと目を凝らし見つめていたツインテールもてぎの小姐の後姿を一枚頂いた次第。
ここでも、小姐のトレーナー生地のテクスチャが判るほどの解像力を発揮していますが、スポットライトが当るおでん鍋の水面はやはりハレーションを起こしています。

最後の六枚目。
写真展帰りの仲良し3人組で茶でもしばいて帰らね?ということで、ちょっと高級なチェーン店系の茶店に入ろうとしたところ、店先に"麻布のスバル"ことポルシェケイマンが露駐している・・・しかも、この時間には嬉しい、周囲や空の景色まで写り込む漆黒ぢゃあーりませんか。
嬉しくなって、早速一枚頂き。
通行人各位の目線の冷ややかだったことは言うまでもありません、なんでこんなもんわざわざ撮ってんの!?てなカンジで。
しかし、やりました。最短撮影距離でヘッドライトのエッヂにピンを置いて撮ったら、クルマのキャビン屋根と言わず、背景の街路樹と言わず、キャサリン台風が再びカムバックして猛威を振るったかの如きぐるぐる加減です。
安い得体の知れないレンズであれば、即効、戻ってから、窓の下の運河に叩き込むところですが、なにぶんお高いレンズのぐるぐるなので許せてしまうのです。

さぁ、今週末は楽しい佐原の決死ツアー・・・どんな画と物語が待っていることやら、乞うご期待。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2010/10/06(水) 23:01:09|
  2. Arri改造レンズ群
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冥府魔道?を行く~大久保散策会レポート~

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【撮影データ】カメラ:R-D1S 絞り優先AE 露出+1/3 全コマ開放 レンズ:Cine-Heligon50mmf2改M
さて、今宵のご紹介は先週の予告通り、某散策会の方々と我々ノンライツRF友の会/新宿西口写真修錬会の合同撮影ツアーを先週日曜日に敢行しましたので、そこから何枚かピックアップ致します。

当日は、まさに秋晴れ、十時に大久保駅北口に集合し、全員集合を待っての出発となりました。
コース選定は、基本的に向こうの会にヂモティの方が居られたので、みんな気ままにあっちへ行きたい、向こうはどうなってるのか興味が有る☆とか、かなり好き勝手を言っても、ニコニコ笑ってナビゲェイトして頂きました。

回った行程は、大まかに申し述べますと、大久保駅から新大久保にかけて歩き、そして、また戻りながら路地に入り、そして、大久保の某レンズ修復名人宅の前をそおっぉと通り、東中野を目指し、また東中野でランチを戴いて、徒歩で大久保に戻る、という強行軍でした。

機材は皆自由、小生はいつものお供のR-D1sにちょっと気張ってCine-Heligon50mmf2改装済ともう一本、ドイツ製の珍品レンズで行きました。ただ、大久保編はCine-Heligon作例だけとなります。

では、早速作例行ってみます。

まず一枚目。
大久保一帯と言えば、コリアンタウン。ここでは天下大将軍・地下女将軍という、韓国の道祖神みたいな人形がシンボリックに自己主張しています。
ここのお店の彫像は、かなりの風雪に曝されたらしく、黒の戴冠も剥げかけ、全体的にニスも薄くなってしまっていますが、何かミニトーテムポールみたいでイイ味出していました。
そこここのハングル看板、唐辛子のイミテーションョンの吊り子などと相俟って、通行人である我々に不可思議な結界に足を踏み入れたという思いを強くさせます。
この距離でも背後のガラスのデカールはボケています。

そして二枚目。
コリアンタウンたる表通りから、名人宅へ向かうべく、交差点で信号が変わるのを待ちながら、ここで暮らす人間の様子をさりげなく撮れないものかと思い、得意のノーファインダーレリーズです。
一発必中のR-D1sでしかも被写界深度の狭いシネレンズでの開放撮影ですから、かなり難しくはありましたが、さはさりながら、距離計を2mに合わせておいて、すれ違いざまにシャッターを切ったら、この通り、惜しくもお母さんの顔を切れてしまい、結果的にプライバシー保護の写真となってしまいましたが、燦燦と陽光を浴びながら溌剌と歩く娘さんの方は、何とか鑑賞に耐えるレベルの合焦ではないでしょうか。
かなりオーバー気味の被写界でフレアッぽくなっていますが、よくよく目を凝らせば実は髪の毛の一歩一本まで解像しています。

それから三枚目。
某名人宅へ向かう大きな通り沿いにエントランスの造型に凝った高層マンションが在ります。
そこの石のオブジェが後ボケの描写テストに便利なので、浅草の某団扇屋さん同様、結構重宝に使わせて貰っています。
いつもは手前から二本目にピンを置いて前ボケから、次第に後ボケが融けていくのを試しているのですが、シネレンズのシャープなものは、往々にして前ボケがきついことがあるため、今回は一般的なスナップのセオリーに従い、手前の石のエッジにピンを置いて列全体を斜め加減画面に収めます。
二本目から後ろはもう抽象絵画みたいに融けたような後ボケになっています。
このレンズでこの被写体にはもうひとつの意味が有って、アポクロマート非球面の玉がいかに黒を締めて見せるか?をチェックしたかったのです。
最後の2本、融けそうながらも輪郭はかろうじて識別出来ますね。

続いて四枚目。
名人宅を後にして、住宅街を歩いていると、突然、大きな公園に行き当たりました。確か北新宿公園とか書いてあったと記憶しています。
そこに木製品を中心に手作り感溢れた遊具が幾つか置いてあり、年端も行かないいたいけな近所の童子達が、闊達に遊んでいます。
しかし、ただ漫然と遊んでいるさまを撮っても面白味は半減なので、滑り台で滑ってるとこ撮りたい、ついては、誰か交渉して来てよ、という話になりました。
しかしながら、このご時世、やたらに童子に声掛けたら、そのままお巡りさんにも声掛けられる、という恐怖の連鎖反応が待ち構えている虞れが大きいですから、皆、立ちすくんでしまい一向に動けません。
こんなとき、T夫人さえ居てくれたら・・・と小生が呟いた時、一行の導師たるN先生が「ぢゃぁ、ボクが声掛けるから、みんなしっかり撮ってね♪」という調子で飄々と童子達のたむろする場所へと向かい「ねぇねぇ、この滑り台珍しいね、どういう風に滑るのかな?ちょっと滑ってみてくんない???」という長年の豊富なご経験に裏づけされたいぶし銀の如きトークで童子達のモチベーションを高め、2連発で滑って見せたうちの一枚です。
いやぁ、恐れ入りました。写真のウデというのは如何にモデルと心を通わせるかに有り、とか何かの本にも書いてありましたが、こうして実演して頂くとは恐縮至極でした。
さすが、キネヘリゴン、日陰では滅法ハイコントラストでシャープです。
その割には後ボケもうるさくないですし。

まだまだの五枚目。
東中野の商店街を通り、また裏通りに入ってすぐ、またそこそこの広さの公園を見つけました。
ここでは、先ほどの木製遊具とは趣向を変え、コンクリートで固めた児童プールみたいなものが中央に鎮座ましましています。
ただ、今は季節は秋となったので、本来の役目は終え、童子達のラインスケートやボール遊びの場となっていました。
暫く立ち止まって眺めていたら、ピンクのTシャツの小々姐が手摺りに寄りかかり、こちらをじっと見ているので、にっこり笑い、カメラを構えて撮ったのがこの一枚。
どうせなら、もうちょっと愛想笑いでもしてくれれば良かったのに、と無いものねだりをしたかった一枚です。
しかし、手前の少年が投げたボールが空中で静止しているのが面白いので採用としました。

最後の一枚。
東中野で楽しいランチを終え、また住宅街経由、大久保に戻る途中、宅地の合間の駐車場で日仏のコンパクトカーが並んで駐まっていました。
手前がフランスのプジョー、背後がトヨタのヴィッツと奇しくも同じクラスのクルマがこの大久保の住宅街の奥地で休んでいるさまは画として面白いと思った次第。
また、両車とも濃い色とメタリックという一番映り込みし易いカラーだったので、秋空の雲の様子もデフォルメされて映っていたのが印象的だったのです。
まさに被写界深度の浅いレンズの役得を活かしたカットになったと思います。

さて、来週は佐原のお祭り♪泊りがけでの決死の撮影に行って参ります。
さぁ、どんな画がアップされ、どんなエピソードが明らかにされるのか?乞うご期待。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2010/10/03(日) 23:13:43|
  2. Mマウント改造レンズ
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プロフィール

charley944

Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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