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深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

比嘉康雄には、なれないけど・・・ ~沖縄北谷町美浜の或る午後~

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【撮影データ】全コマ共通 開放、カメラ:Zeiss Ikon ZM 1~5枚目、Ektar100 絞り優先AE 露出+1/3~2/3、Leica M8 6枚目 絞り優先AE 露出+1/3
レンズ:1~5枚目;Cine-Planar50mmf2、6枚目;Baltar35mmf2.3改M
さて、沖縄シリーズも今宵が最後、旅の最終寄港地、北谷美浜アメリカンヴィレッジ及びサンセットビーチ周辺での撮影結果からレポート致します。

まずタイトルの「比嘉康雄」とは知る人ぞ知る、沖縄が産んだ民族写真の大家で1938年にフィリッピンで産まれ、1958年に嘉手納の警官として就職します。ところが、その十年後、基地での事故災害では国内最大級となる、嘉手納基地B52墜落爆発炎上事件に宿直中に遭遇し、その現場写真を撮ったことをきっかけに写真家の道を歩み始めました。

彼の写真は、まず沖縄の老若男女、様々な世代、境遇の人々を暖かくも、かなり冷静な視点で捉えた一連のシリーズに代表されますが、同じ時代の「2人の本土人が見た1950年代の沖縄」を撮った小野田、井上両カメラマンの報道、記録的な作品群とは明らかに異なる視点からの作品群となっています。

言葉を尽くしても彼の作風は語り尽くすことはまず不可能でしょうから、興味を持たれた方は、是非、比嘉康雄氏の作品集で、現在でも入手可能な、「神々の古層」や「情民」を手に取って直接感じて戴くことをお勧め致します。

腕前、そして感性も「月とすっぽん」かも知れませんが、それでも、沖縄を愛し、沖縄に通い、沖縄の民草に声を掛けてその今の生き様のようなものを貪欲に記録しようというものには、どうしても意識せざるを得ない途方も無く巨大な存在なのです。

そんな思いを意識の片隅におきつつ、今回の一連の作品は撮り続けたのです。

まず一枚目。
5月6日、東京へ夜7時前の便で帰るスケジュールですが、昼間はスケジュールに比較的ゆとりがあり、しかも、今夏は雨は時折降るわ、スケジュールの大半が渡名喜島滞在に振られるわ、那覇ハーリーには予想以上に長いするわで、結局、いつも満足行く写真が撮れる北谷町美浜地区へ行っている時間がなかったので、最終日、薄曇りに時折顔を覘かせる太陽を頼りに、片道一時間のバスに揺られて、やってきたという次第です。

軍病院前のバス停で降り、7~8分も歩けば、カーニバルプラザの入口です。
棕櫚の樹やら、大観覧車なんかを入れて、辺りのそれらしい写真なんか撮りながら、モデルさんになってくれそうな地元民の方が通るのを待ちました。

すると、某W部Y一の写真集から飛び出したような、セーラー夏服の美小姐二人がきれいな黒髪を風になびかせ、辺りに視線飛ばしながら、颯爽と歩いてくるではないですか・・・

そこで横断歩道を渡りざま、「地元の子?」とか軽く声かけ、一枚撮らせて!とお願いしてみます。

そしたら、お二方とも太っ腹なことに快諾、大観覧車の前で、ご覧のようなお茶目なポーズを取ってくれたワケです。

どーも有難うございました。ほんのささやかなお礼ですが、メールで住所教えて戴ければ、プリントして写真をお送りしますよ♪

続いて二枚目。
地元女子高生の突撃撮影に成功し、気を良くした工房主の顔はもう弛み切って、ニヤケて、どーしようもなかったに相違ないですが、横断歩道を渡り、大観覧車のエリアから噴水やショップがあるエリアに歩いて行ったら、鋭い目つきの童子に射すくめられました。

そこで、横で"ゆんたく"にうち興じる若い母親に「お子さんの写真撮らせて貰いますよ」と一声掛けて、「あらまぁ、何かのスカウトかしら?ほら、XX、ちゃんとカメラの方向きなさい!」とステージママの如き、適切な指示。

そこで、「はぃポォーズ♪」とか、合図してシャッター切ったのがこのカット。
このカメラのみならず、カメラを通してこの画を観るものを睥睨するようなカット、「おらおら、女子高生のお姐ちゃんに一枚撮らせてもらってくらいでのぼせてんぢゃねーぞ、ゴルラァ!」とか、工房主の気の緩みというか、自己満足を戒めているかのようでもありました。
それにしても、このカットではシネプラナーのキレイな後ボケが生きています。

それから三枚目。
ゆんたく没頭中のお母さんとお子さん達に心からお礼を述べ、また、大観覧車のエリアに戻りました。
何故ならば、沖縄名物の「ヨーグルトランド」でおやつを食べたかったからです。
セルフのヨーグルトとトッピングを調子こいて取り過ぎ、何と600円近くも払って、相当腹きつくなるまで食べて、次回来る時までもーイイや、てなカンジになって、噴水エリアに戻ろうとしたら、なんか南国の緩いカンジのオーラを全身から発する異形のカップル(ごめんなさいね・・・)が居たので、「ちょっこし、後ろから一枚戴きますよ、南国のリゾート地のムード、後姿で表現してみてね♪」とか相当ムリめなお願いし、ぱっと一枚撮ったのがこのカット。

デジではなかったので、彼らには見せて上げられませんでしたが、イイカンジに上がったでしょう。連絡くれれば、プリント送りますよ。

そして四枚目。
午後のけだるい雰囲気もイイだろうと思った工房主は、その名も「サンセットビーチ」という夕暮れが似合う浜辺にカメラバッグと首から黒塗りのZeiss Ikon ZM提げて歩いて行きました。

ところが、いつもはそれほど人の出がない浜辺が運動会みたいにざわめいている・・・

何事かと思って辺りを見渡せば、県内の複数の高校が遠足にこの美浜サンセットビーチへ来ているのです。

もっと綺麗でのびのびした浜辺は幾らでもあるのに何でかなぁとか考えながら歩くと、結構、物珍しいのか、女子高生達の好奇の視線を浴びます。

そこで、大胆にも、ビーチの最上段のコンクリ堤防?に立ち、こちらへ歩いてくる二人組に手を振り、カメラを指さして「一枚撮るよ~」と絶叫します。当然、周りの高校生達の視線は集まりますが、これも宣伝効果です。

向かって左の女の子が手を振って応えてくれた時シャッター切ろうとしたら、あいにくZMの電源スィッチがオフになってしまっていたので、急遽オンにして、シャッター切ったのがこのカットなのです。

初夏の沖縄の気だるい雰囲気がそこはかとなく捉えられているのではと自負しています。

まだまだの五枚目。
さうがに大声出した後もその場に立ち止まっているのは恥ずかしいので、サンキュー!とか声掛けてから、外防波堤の方へ足早に歩き出しました。

すると、居ました、居ました・・・長い髪を風になびかせ、ゆんたくでもなく、ぼそぼそとガールズトーク調の青春相互相談コーナーみたいなのにうち興じる女子高生のグループが。

そこで、「すいません、景色の一部として、後姿撮らして♪」とお願いしてシャッター切ったのがこのカットです。
ホントは写真展向けなどに前向いたのも一枚撮らせてもらうのが礼儀だったかも知れませんね。でも、一番右側先頭の小姐の背中に掛かった麦藁帽子と風になびく長い黒髪に何故か心惹かれるものがあったので・・・

最後の六枚目。
外防波堤上の女子高生グループに丁寧にお礼を述べてから、ほとぼりも醒めた頃だろうと思い、またビーチの方へ歩き出しました。
すると、往きの道すがら、ビーチバレーの真似事を堤防上でやってたところを撮らせて♪と声掛けたら「わぁ!何の取材、え、もしかして、全国美少女図鑑?それとも女性週刊誌?」とかやたらめったら自律的に盛り上がり、バレーやめて、肩組んだところを撮って!というリクエストいお応えした、健康優良児?グループが、こっちに向かって、満面の笑顔で振り切れんばかりに手を振っているではないですか・・・

まさか、当方に用が有って待ち構えていたとは万が一にも思いもしないですから、「あ、先ほどはだぅも、2~3週間経ったら、ブログ載っけるから観てね、では、マタハリヌ、ツンダラ カヌシャマヨ♪」とか、八重山方言で別れを告げ、横を通り過ぎようとしたら、「ねぇねぇ、写真、どうしても撮って欲しいって娘が居るんだけどさ、また撮ってよ♪」という予想外のお申し入れ・・・

ホントはもうフィルム一本撮り終えてしまったんで、どうしよっかなぁ・・・とか思ったのですが、あまりに楽しげだったんで、カバンから「ぢゃ、せっかくだから仕事用のドイツ舶来カメラで行ってみっか!?」とかワケ判らんこと言って、撮ったのがこの一枚。

なんでも、非常に熱心だったのが、真ん中のサングラスに帽子の「金城さん」という小姐さんで、かなり盛り上がって戴いたようでした。約束どおり掲載しましたよ、観てますか?もしメールででも連絡貰えれば、このカットをプリントして人数分、纏めて送っちゃいますからね。

今回の一連の旅は、3・11以降、内地を支配しつつある、陰鬱で閉塞的な雰囲気に「なんくるないさぁ」と陽気に喝を入れてくれるような、目くるめく出会いの連続の旅だったようです。

さて、次回は久々に秘宝館から何か紹介しましょうか。でも雨だったら、工房作品の紹介になるかも知れませんね。乞うご期待。

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  1. 2011/05/29(日) 21:00:00|
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A lot of friends on the Globe~那覇ハーリー大会'11~

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【撮影データ】カメラ:Leica M8;1~4枚目、Zeiss Ikon ZM; 5~6枚目、 Ektar100、共通;絞り優先AE、全コマ開放
レンズ:1~4枚目;Cine-Heligon50mmf2、5~6枚目;Baltar35mmf2.3 Mod.M
さて、今宵のご紹介も、ゴールデンウィークでの沖縄大冒険5泊6日の旅、二件目のイベント、那覇ハーリー大会からとなります。
このハーリー大会というのは毎年GW期間中にこどもの日を最終日とした3日間で開催される一大イベントです。

「爬竜船」という、頭と尻尾に伝説上の生物、竜の装飾を施されたカラフルな手漕ぎ船を十数人のチームで漕いで競争し、勝敗を決めるという遊びで、中国から約600年前に伝わったとされています。

毎年、GWに那覇に居たことは居たのですが、だいたい、スケジュール上、5日が出発の日になっていたし、都心から少し離れた新港までモノレールやバスを乗り継いで行くのも面倒だったので、テレビで観るだけにしていたのですが、今年は蛮勇を奮い起こし、小雨の中、会場まで足を運びました。

では、何故、会場に出掛ける気になったのか?

それはずばり、元気が出る画が撮れる!と直感が教えたからです。

先週は書き漏らしましたが、この日本国中が地震・津波被害に加え、原発事故の収拾もつかず、上へ下への大騒ぎなのに、何故、ノー天気にも、一人沖縄などへふらっと出掛けたのか???

それは、ひとつ目の理由として、「合理性の無い自粛風潮は国を滅ぼす」と信念を身を以て証し、3.11以降、観光客が落ち込んで苦境に立たされていた沖縄に少しでも手を差し伸べたかったから、そしてふたつ目は、400年以上も前から、幾多の危難を持ち前の前向きな明るさと粘り強さ、そしてしたたかさで乗り越えて来た、南の島の人達のバイタリティのようなものを画として捉え、それを自分のサイトから東北を含む全国へ発信することで、少しでも日本復興へのエールとなれば、と思ったからです。

さて、能書きはさておき、早速、作品の解説行ってみます。

まず一枚目。
5月5日、こどもの日、那覇はあいにくの薄曇から小雨のちらつく天気でした。バスターミナル前のホテルでテレビの天気予報と睨めっこ、どうやら午後は雨も一段落するというアナウンスを信じ、宿を10時半前に出発、りゅうぼうビル1階のモスバでモーニングプレートを食べ、途中、泊界隈で道に迷ったこともあり、会場には1時前に入りました。

M8とZeiss Ikon ZMの2台を首と肩から提げ、獲物を物色して歩く様はかなり不可思議だったのかも知れません。
会場に入って数十メートル歩いたら、居ました、居ました、イイ獲物、いや、モデルさんが・・・
やたら、"トモダチ"が何たら騒ぐ外国人達が居たので、至近距離に近づいてみれば、どうやら福島沖に空母で出動した「トモダチ作戦」の関係者の海兵隊員らしく、ハーリー大会にチームで出場するので、気合い確認やってた、といったことでした。

そこで、勢揃いして貰い、思い思いのポーズをとってもらって、一枚頂きました。

60数年前、今は平和なこの島で死闘を繰り広げた敵方兵士が、「神風」の鉢巻を締め、背中に「Save TOMODACHI!」とか書かれた黄色基調の派手なユニホームを着込んで笑顔を向ける様子は、かなり複雑な気持ちにさせてくれました。

続いて二枚目。

彼らに、災害対応も含め心からお礼を述べ、また会場を徘徊します。

すると、お、居たぢゃないですか・・・こういうイベントにつきもののミスのお嬢さん達の巡回が☆

早速、小走りに駆け寄り、東京から来たモンですが、一枚撮らして♪、ブログで紹介しますし♪ と完全、おねだりモードで気持ちも舞い上がり、「ハィ、お願いします」との先方当事者の了解を待たずして、カメラを構え、ピント合わせと構図の指示なんかお願いしてます。

そして、ハイ、行きますよ♪ってことでシャッター切ったのがこのカット。去年の那覇観光キャンペーンガールのお二方とはまた違った雰囲気の方で、今年の活躍が期待されます。

新垣さん、稲嶺さん、ご協力有難うございました。頑張って下さいね。ブログにも遊びに行きますので♪

それから三枚目。

お二方に鄭重にお礼を述べ、また獲物を探しに会場を徘徊しました。

港の岸壁側、そう、ちょうど、陸からハーリーが見える位置には、日除け、雨除けのため、運動会みたいなテントが張り詰めてあって、そこに、日本人と言わず、進駐軍の家族と言わず、レースの結果そっちのけのお祭り気分で、やれアイスクリームソーダだ、クレープだののべつまくなしに食べまくってます。
その中で、わた飴と苦戦している少女と目が合い、「写真さ撮ってよかんべか?」と問うたところ、本人より先に、横にひけえぇし母親が、さぁさ撮ってやって頂戴、写真撮って貰う機会なんかそんなにないんだから、え、ブログに出すの、ぢゃ、思いっきりボケかまして、ウケ狙いなさい云々とか娘に因果を含めてます。

母親の饒舌で言語明朗意味不明の指示に戸惑った少女が片手にフルーツカクテル持ったまま、わた飴を頬張るさまを一枚戴いた次第。撮った後、アナタも如何と食べかけのを千切ってくれましたが、手がベタつくと、この後の撮影に支障が出るので、「ハートのみ頂戴した、かたじけない!」と厚い御礼を伸べ、その場を足早に立ち去りました。

そして四枚目。

隣のテントは男所帯で殺伐としてはいましたが、人口密度が低いため、テント越しに、ハーリー船のレース具合いが良く見えます。

そこで、チームで出番を待つ、進駐軍の兵隊さんを手前に、遠景のボケとしてハーリー船をモチーフに配置し、いかにも、写真のお手本みたいな構図で一枚頂きました。

やはりシネヘリゴンは出自がシネレンズだけあって、会場の熱気とか、躍動感、屈強の男たちの興奮といった、光線では捉えきれないものまで、雰囲気という情報の次元で捉えているようです。

まだまだの五枚目。

会場を徘徊していたら、可憐な少女達がお店の前でなにやら楽しげな相談事をしていたので、ちょっと割り込み、東京からやってきたかくかくしかじかの者です、ブログネタにでも一枚撮らしては戴けませんか?とお願いしたところ、二つ返事で快諾、仲良しさん勢揃いで思い思いのポーズをとったところ、シャッター切ったのがこのカット。

ところが、昨日、ブログに載せようと、ネガCDをチェックして、とても大変なことに気がつきました・・・

それは、後ろのお店のお兄さんも、"ピースサイン"とカメラ目線で完全武装し、このカットに見事参戦していたのでした。う~ん、陽気さとしたたかさ、そして茶目っ気、奥が深いぞ、沖縄は・・・

最後の六枚目。

お嬢さん達に心からお礼を述べ、鼻の下伸ばしてブログの名刺なぞを渡してから、その場を後にして、特設ステージ周辺に目を向けてみることとしました。

会場では、テツ&トモとかいうヂャーヂ漫談の二人組みが軽快に自虐ネタなどで、那覇の人々の笑いを集めていました。

肩車をして、娘さんと漫談に聞き入る若いお父さんが居たので、一枚撮らしてね♪と一声掛けて、シャッター切ったのがこのカット。

この二人の微笑み、そして共に見つめる視線の先に注がれる柔和な優しさ、安らぎ、まさにこんなご時世でこその親子の絆みたいなものを感じさせてくれました。

そういった主役を盛り立てる意味で、初陣となったBaltar35mmf2.3の周辺落ちは絶妙な演出効果となったのではないでしょうか。

今回のハーリー大会行きは成果大で行って良かった!と心から思いました、勿論、今回ご紹介したネタ以外にも、写真展大伸ばしで飾りたいようなものも多数撮れました。

まさに平年より9日早い梅雨入りをものともしない沖縄の人々の心意気、そして今や生活の一部に溶け込んだ異国の朋達の友情の賜物を垣間見た気持ちでした。

来年も万難を排し、また行きたい、と心から思いました。

さて、来週は沖縄最終編、若さと活気に溢れる北谷美浜からのレポートとなります。東北の御仁との決戦に温存しておいた秘蔵写真も遂にご開帳です。

乞うご期待!

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  1. 2011/05/22(日) 21:00:00|
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Mein letztes Mittel auf Ost-China Sea ~Tonakijima tour report'11~

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【撮影データ】カメラ:Zeiss Ikon ZM/Kodak Ektar100;1~3枚目、M8;3~6枚目、レンズ:Cine-Heligon50mmf2;1~3枚目、G.Tachar32mmf2.3;4~5枚目、FMAO40mmf2.3;6枚目、全コマ開放
さて、今宵のご紹介は、予告通り、GWの放浪記、沖縄ツアー5泊6日から三部に分けてご紹介するうちの、まず第一弾となる渡名喜島編いきます。

この島は、一昨年の冬に行って、荒天による東シナ海の高波を受けた船の揺れで死にそうになりつつも、ようやっと到着し、島人の皆様の温かい心に触れ、再訪を期した約束の地でもあります。

今回は、滞在期間6日間中のうち、5月2日朝、泊ターミナル発、同4日午後、泊ターミナル帰着という2泊3日の旅を企画しました。何せ、このシーズン、1泊2日ぢゃ、雨でも降られたら、島での滞在が丸々ムダになっちゃいますからね。

5月2日の朝8時半、予定時刻通り、久米商船の連絡線は、泊港を順調に出港し、芦ノ湖の遊覧船もかくやあらんばかりの穏やかな水面を滑り、一路、渡名喜島を目指します。

実は、この船、前回の渡名喜島来訪時の後も一回乗ったことがあって、その時は久米島まで乗ったのですが、シーズンが良かったため、まさに隅田川の水上バス、屋形船並みの揺れだったんで、これならド楽勝と思い、荒天の冬を避け、再訪を企図していたのでした。

船が那覇の外堤防を出て少しすると、梅雨特有の小雨も収まったので、カメラを提げて、デッキを探索しました。
すると、愛犬2頭と船に乗り込んでいる家族が居るではないですか・・・

そこで、まず一枚目。ベンチに腰掛けて、色々と飼い主に要求を出す、愉快な飼い犬、ということで、ご婦人の了解を得てカメラを構えたのですが、この少年、よほど写真を撮られるのが好きと見えて、画面に飛び入り参加、わざわざ、愛犬の毒牙ならぬ、舌舐めずりの餌食となる姿を提供してくれています。

実は、この後、渡名喜島が見えてきた辺りでまたデッキで船の艤装の写真でも撮ろうとしたら、「写真撮っておくれよぉ~」とリクエストがあり、ぢゃ、さっき居た茶色のトイプードルと一緒なら!と条件を出したところ、あいにく足元に見当たらず、居ない?、ハィぢゃ、さいなら!とか立ち去ろうとしたら、この少年、一休さんばりに頓知を効かせて、あろうことか、この茶色のいかにもおとなしそうな犬にむぎゅっと頬擦りをして、吊目犬状態にして、引きつった笑顔浮かべてくれたので、あえなく降参、しっかりと撮らせて頂きました。

しかし、あまりに良く撮れてしまったので、今回のブログネタではなく、写真展のネタに昇格、大事に使わせて戴きます、ということで、許せ!少年。

そして、その後まもなく、船は薄曇の渡名喜港に無事入港し、旅客、貨物を降ろしたら、15分そこそこという短い時間で、最終寄港地である久米島へと向かっていきました。

その一部始終を見届けてから、宿にチェックインし荷物を置いたら、宿の周辺をカメラ提げて、早速のスナップ散歩です。勿論、これは集落の人達に、挨拶がてら、今、島には複数のカメラ提げた、写真好きの人間が滞在しているということを知らしめる目的も有るのです。これをやるとやらないでは、のちのち、大きな差がつきますし・・・

滞在したのは、前回もお世話になった、「民宿ムラナカ」さんです。一番新しく、港から近く、しかも二階から眺める集落の景色もバツグン、と三拍子揃った、この上ない好都合の宿です。

確かに赤瓦の家並みが名物の島に来たのに、なんでまた鉄筋コンクリートの宿に好き好んで泊まるのか?という疑問も湧きましょうが、赤瓦の家は写真に撮りたいのであって、そこに泊まろうという好奇心まではありません。
だって、家の中入っちゃったら、あの外観見えないし、だいいち泊まるには割安で最新の宿の方が快適ぢゃないですか。

ここで二枚目です。
宿の辻向かいの家には幼い兄弟が居て、結構、観光客がカメラ向けるのか、慣れたもので、末っ子の極小姐など、赤瓦の住宅の軒下のデッキチェアみたいなのに気持ち良さそうにくつろぎ、余裕こいて笑顔を向けてくれたので、一枚頂きました。

この子とお兄ちゃん達、そしてのそっと出てきた、若いお父さんにも丁重にお礼など述べ、また集落の奥へと歩き出しました。

この小さな島は、港から反対側の東浜("アガリハマ"と読みます)までは直線で600m程度しかないそうで、面白そうな風景撮ったり、すれ違う島民各位と挨拶がてら二言三言話しなんかしてても、ものの20分もあれば、余裕でキレイなビーチに着いてしまいます。

さて、ここで三枚目。
今回はビーチで弾ける若者達の一足早い夏模様でも撮りたいな~とか、"撮らぬ狸の皮三洋"状態で島へ着いて、はやる心を抑え、ビーチに赴いたのですが・・・ん、誰も居ない、秋ぢゃあるまいし。

ということで、シリアスな表情でゆんたくとは思えない四方山話に打ち興じていた漁民と思しき、お父さん2名にモデルとなって貰い、ビーチの遠景を一枚頂き。

意図したモチーフとは180°正反対となってしまいましたが、それでも、一日数回、ビーチを巡回して、今回の成功
を導いたのです。

滞在二日目の夕刻も、やはりビーチへ出てみました。当日は空模様がかなり怪しく、ポケットから、大きめ折畳傘を覗かせてのスナップ散歩です。

お、すると、居るぢゃないですか・・・浜辺で遊ぶ童子達が!
前回の死にそうな来島経験からすれば、まさに"地獄に仏"の出会いです。
早速、小走りで、手前の砂浜に控えて見守っていた、お母様に写真を撮りたい旨お願いし、許しを戴いてから何カットか撮りました。
その中でマイクロタコ???を干潟で捕獲して大喜びの童子達を収めたのがこのカットで、初夏の浜辺の楽しい雰囲気がなかなか出ているのではないでしょうか。

なお、お母様、お約束の写真、伸ばしたものから、お送りするものを選びましたので、今週中には、お送り出来ると思います、今暫し、楽しみにお待ち下さい。

この直後、大粒の雨が降り出してしまったので、M8は雨にあまり強くなさそうなので、浜辺のご家族にお礼もそこそこに宿まで逃げ帰り、その日は夜のライトアップまでは大人しくしていました。

三日目の朝、この日は那覇への戻りの日です。
たった二回だけしか来たことがないのに、妙に後ろ髪を引かれる思いがするのが、この島の不思議なところです。
不便なことにかけては、それこそ、奈良の山奥で、最寄りの近鉄駅からバスで一時間近く走らなければ訪れることの出来ない、"天川村"をも凌駕するのではないかと愚考しますが、それでも、もっと居たい、或いはまた来たい、という気持ちになってしまいます。

そこで、5枚目。
10時の船に乗るため、9時ちょうどに宿をチェックアウトし、オーナーの又吉さんにお世話になったお礼と、再会を期す旨述べてから、港への一本道をてくてくと歩いて行きました。

その途中で、この美しい"田舎"をもういっぺん目に焼き付けようと振り返り、それからシャッター切ったのがこのカット。ブーゲンビレアの赤い花と白い砂の道が映えてとてものどかで美しい村だと改めて感じ入りました。

そして、10時少し前、久米島からの船は、無事、渡名喜港に入港し、旅人は心惹かれる思いを後に、島を後にしたのでした。

因みにこの6枚目は、2日目の朝飯食べたあと、ヒマだったんで、ターミナル食堂のおぢさん、おばさんに油売りに行ったとき、ついでに撮ったものです。
そりゃ、そーですよね、自分が出航するシーンを自分ぢゃとれないもの・・・笑

さて、来週は、今回のメインイベント第二弾、那覇ハーリー会場でのロコガール達、そして進駐軍の兵士、その家族達との心のふれ合いを写真でお届け致します。乞うご期待。

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  1. 2011/05/15(日) 21:00:00|
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Real story of a miracle lens gone in a memories~Cine-Cristar4cmf2~vol.2

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【撮影データ】カメラ:Zeiss Ikon ZM フィルム;Kodak Ektar100EX36 絞り優先AE 露出+1/3、全コマ開放
さて、今週は、秘宝館から何か実写してご紹介しようと考えていたのですが、某所でフジ熱が再燃しているのと、デジデータだけに公開になってしまうと、この稀代の銘玉がシネフィルムの民生スピンアウトフィルムでどんな写りをしたかが、永遠に公開される機会を逸してしまう可能性が有るので、旅行前の機材調整で日没まで出歩き出来なかったこともあって、急遽テーマ差し替えとさせて戴きました。

実は、R-D1sでテストする前週に、柴又帝釈天まで出掛けがてら、フルサイズであれば、しかも、銀塩であればどんな写りになるのか、暫くしたら永遠に手許を離れて、元の持ち主の元に戻ってしまうこのレンズの全てを知りたくて、初試写をEktarフィルムで行った次第です。

では、早速、作例いってみます。

まず一枚目。
門前仲町の名所といえば、富岡八幡宮と深川不動こと成田山新勝寺富岡支店の二つが上げられます。
さすがにまだ亡父の一周忌が終わっていない身分なので、八幡宮へ撮影のためとはいえ足を踏み入れるのは憚られたので、いつもの撮影スポットのうち、不動尊参道でいつもセンスの良いオブジェを飾っている和菓子屋さんが在るので、そこへ向かいました。
しかも、この時は一番、願ったり、叶ったりで赤い番傘と信楽焼の渋い花器です。
早速一枚頂きました。
番傘の赤の発色と信楽焼の重々しい質感が巧みに再現されていますし、近距離の撮影のためか、周辺が絶妙に光量落ちして、えもいわれぬムードの一枚となったのではないでしょうか。


続いて二枚目。
カメラを提げて歩くと、たいていは撮らせて貰う、佃煮屋さんの前に差し掛かると、店先ではまぐりか何か焼いてるおぢさんが「あれ、今日は撮らなくて良いの?」とかふざけ半分に声掛けてきました。
いつもの下町の職人然とした髪型から、ロカビリー世代の生き残りみたいな、はっきり言って、ここには場違いの髪型だったので、知らんふりして通りすぎてしまおうかと思っていたのですが、ご機嫌損ねるのも得策ではないので、デジの方でおためごかしに一枚撮って、そそくさと立ち去ろうかと思った矢先、ふと隣の店舗で犬と戯れる、童子2名と祖母の姿が目に留まりました。

これは撮らしてもらうしかないな、と勝手に納得し、その場を仕切っていると思しき犬、もとい、お婆さまにに「ちょいと一枚撮らせてもらいますからね」とか断ると、しっかりと孫?たちにやれ、笑えだとか、レンズの方を見るのだ、とか個別具体的な指示を飛ばします。
そしてやっとOKが出て撮った必殺の一枚がこのカットです。
後ろの小々姐の目にピンを置きましたが、ほんの数センチの男の童子、犬がアウトフォーカスのやわらかなボケになっているのが興味深いです。

そして三枚目。
お婆さまと孫と思しき童子2名に懇ろに礼を述べ、地下鉄駅に向かいました。
地下鉄と京成を乗り継ぐこと30分強、今回の最終目的地、葛飾柴又までやって来ました。
この日は、まだ桜が残っていたので、天気も良かったことから、参道には露天商各位がお店を構え、暗澹たる日本の現状も暫し忘れて楽しくお花見気分です。
その様子を眺めながら参道を徘徊していたら、桜の樹の下に真っ赤かな屋台を出しているお店があり、しかもそこでは親子連れが異国の珍味を堪能しているではありませんか。
ここまでお膳立てが揃えば躊躇することなどありません、早速一枚頂きました。
やはり、シネレンズとEktarの組み合わせだけあって、赤系統の発色は格別です。かといって、桜の淡い色合いがどうにかなっていないというのが、このレンズの凄いところなのでしょうか。ただ、空が入ったパートは内部汚れの影響で白っぽくなってコントラストが落ちてしまっているのはやむなしです。

それから四枚目
ここから参道を少し進むと、店先で焼き鳥焼いていたり、もつ煮状の塩分と動物性脂肪の多そうなごった煮みたいなのを大鍋で売っているお店があります。
この店先で焼き鳥が上がるまで待っていた、子守オヤヂ、今風に言えばイクメン氏が居て、ふと目が合ったので、一枚撮らしてもらってイイすか?子守パパってのもカッコイイですからねぇ・・・とか適当なこと言って一枚撮らせせてもらったのがこのカットです。
日なたでの撮影だったので、イクメンパパ全体に微妙なフレアがかかって、これはこれで、何かイイ雰囲気を醸し出しています。
ただ、背景はシャープなレンズの代償としてか、2線ボケ傾向となってしまいました。

まだまだの五枚目。
参道を歩ききって、帝釈天の境内に入ると、格好の撮影スポットがあります。しかもここは午後の遅い時間でないと価値が半減してしまうのです。
それは、西のはずれに在る、水掛け不動尊ならぬ、水掛け薬師如来?で、太陽が西に傾く頃になると、差し込んでくる光に石像が金色に照らされ、水掛けて洗う人々のシルエットも浮かび上がるが如く撮れる場合が多いからです。
獲物を待つマタギの如く、この水掛け薬師の前で待つこと暫し・・・親子連れが数組やって来ましたねぇ。
ここは礼儀なので、一応、水掛けるとこ、何枚か撮らして貰いますよ、何枚だぶつって言うくらいだから、これも供養ね♪とか楽しいジョークで笑いをとってから真剣に撮影に入ります。
その栄えある一組めがこの黒尽くめ小姐達で、ちょうど夕陽のシルエットになるように撮った画がこのカット。
衣服の輪郭が夕陽を浴びて光のラインを形作っているようです。
このテクニックは、かなりイイレンズでしか試みませんでしたが、これだけの上がりなら合格以上です。


最後の六枚目。
はぃお待たせ、次はボクの番だね、ってことで、エメラルドグリーンのコスチュームの童子とその保護者の組がご奉仕する様を頂きました。
このカットでは、夕陽を浴びて輝く濡れた石像を正面から捉え、また夕陽を全面に浴びて一心不乱にたわしがけをする童子の健気な姿を捉えましたが、フレアが出て欲しいところに出て、要らないところには殆どか全く出ないという、極めて理にかなった描写性能を発揮しました。

ということで、善意と熱意の情熱で再び陽の目を見た稀代の銘玉はこんなにも素晴らしい性能を見せてくれたのです。

フジさんもX100なんて思わせぶりなモデル出してくれたんですから、一刻も早くレンズ交換式の上位モデル出して、その標準レンズとして、最新のテクノロジーでこのレンズを甦らせてくれませんかねぇ・・・案外、本体よりも高くなっちゃったりして。


さて、来週はGWで旅に出てしまいますのでお休み戴きます。
さあ、戻ったら何が出てくるのかな???
乞うご期待。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2011/05/01(日) 22:00:00|
  2. Arri改造レンズ群
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charley944

Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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