深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

King of standard Nikkor~Ai Nikkor 50mm f/1.2S~

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【撮影データ】カメラ:EOS1DsMKII ISO400 絞り優先AE 露出+1/3 全コマ開放 ロケ地:中目黒~渋谷
さて、またしても月日は巡り、日曜の晩がやって来て、ブログ更新の時となりました。
今宵の御題は、予告通り、またしても忘れられていた秘宝館の大物、"Ai Nikkor 50mm f/1.2S"行きます。

ただ、ISO400のカラーフィルムで撮って、ハィ、アップしました☆では面白くないので、昨日、ICS会場にて、エレフォトさんから特価で仕入れて来たNikon F ⇒ EOSボディのアダプタを利用し、工房の事実上のフラッグシップ機、EOS1DsMKIIでのフルサイズデジタル試写です。

まずはこのレンズの氏素性ですが、旧ニッコール55mmf1.2に代わり、1981年に6群7枚の構成自体は踏襲したものの、新種ガラスとマルチコートで武装し、Ai化を図った上で焦点距離も他の開放値の標準レンズと揃えた50mmf1.2として新装登場したものです。

このレンズ、デザインも悪くないし、玉のそれこそ七色のコーティングの輝きはかなり魅力的なのですが、あまり稼動してはいませんでした。

何とならば、だいぶ前、一回、F3と組ませて、ISO400のネガカラーを詰めて新宿で夜間スナップを試みたのですが、みんな真っ黒々で、これはネオンサインとか、車のヘッドライトでAEが適切な値を決められず、またスナップの性質上、悠長に外露出計使って、補整して撮るなんてことは出来ないので、とにかく、AE任せで撮る前提で、露出補整を+1.7くらいかけていたんですが、殆ど全滅に近い結果となってしまったということでした。
従って、そういったシチュエーションでは、満足行く写真が撮れなかったため、これに懲りて、ピンも合わせ易いレンジファインダー機でf1.4~f2をISO800で撮ることとしていたので、自然と出番が減ってしまったという次第。

また、仮に一眼レフでマニュアル撮影するとしても、何度も使って夜間撮影に成功しているCANON F-1N + CANON50mmf1.2L通称赤鉢巻が居るので、そちらに出番を譲らざるを得なかったのでした。

ところが、EOSを入れてから、形勢はまさに逆転しました。
そうこのCANONという会社、アダプタ経由、世界中の殆どの一眼レフ用レンズが使えるのですが、その数少ない例外の中に、自社製のFD系列のマウントのものがあるのです。

ここまで露骨に過去のレンズ資産を切ってしまう例も見たことがなかったですが、一方、もとからキャノンよりフランジバックが長かったニコンFマウントは大手を振ってアダプタ経由、このニコンF5にも勝るとも劣らない正確極まりないTTL露出計を内蔵したAEボディで使うことが出来るようになっていたのです。

では何故今までアダプタとか買って試さなかったのか?その理由は、当工房には、お仕事用にNikonのDXフォーマットのかつてのフラグシップ、D2Hも有るので、わざわざアダプタ買ってEOSにまで付けなくとも・・・ということで手を出さなかったのです。

ところが、昨日のICSでこのアダプタがセールで売られ、しかも付けてみたら、なかなか良かったぢゃね♪ってことで、このところ絶好調のEOS1DsMKIIと組んで試写に出ることなった次第。

では、早速、作例のご紹介いってみましょう。

まずは一枚目。
今日は、写真秘密結社"ノンライツRF友の会"大幹部のG13改メH14さんと代官山での待ち合わせが14時だったので、13時前に中目黒駅に降り立ち、目に付く面白いものを撮りながら、合流することとし、まずは、祭り囃子の音の擦る方向に歩いて行きました。

すると、小さいながらもきちんと手入れされたお神輿の横に床几が有って、そこに祭り装束のお年寄りとお孫さんが座って、身支度をしていました。

いちおう、他地区のお祭りですから、お神輿撮らしてもらいますね♪とか、一言、周りに居た介添役と思しき御婦人に声掛けて、アングル変えて何カットか撮ってたその時、下を向いて足袋を直していたご老人がすっくと立ち上がり、「ほぉ、神輿なんか珍しいのかぃ?兄さんどっから来たんだぃ?」とか話しかけながら立ち上がった瞬間、反射的にシャッター切ったのがこの一枚。

その次の瞬間、思わずカメラから顔を上げ、「はぃ、深川から出て来ました」と答えたら、「そりゃ、御本家のお祭りぢゃないか、こりゃお見それしやした・・・」とか言って破顔しましたが、残念ながら、ノーファインダでは撮れませんでした。何せ被写界深度が極度に浅いf1.2開放ですから・・・

そして二枚目。
お祭りの成功への祈願と撮影協力のお礼を述べ、中目黒駅を後にし、目黒川伝いの道を撮り歩き、代官山駅でH14さんと合流出来ました。
そこから、歩いて4~5分の某有名カメラ店を訪問後、渋谷まで道玄坂経由撮り歩こうということで、先ほど歩いて来た道をまた逆に辿りました。

すると、先ほどは道の反対側を通ったので、目にはついていたのですが、撮りそこなった、真紅のフェラーリがまだ佇んでいました。

同じ側の歩道を歩く以上、これを撮らせてもらわない手はありません。しかし、ナンバーを晒すのも申し訳ないので、またしても部分撮りでレンズの味を表現しようと試みます。

このカットではフェラーリの特徴である、丸い2連テールランプとリアのダックテールスポイラの先端部が殆ど同じ位置で被写界深度に収まることが判っていたので、そこにピンを置いての撮影です。

世界で最も官能的と言われるフェラーリのボディ側面の曲線が、オフフォーカスでなだらかに溶けていく様を表現したかったのですが、ボケがちょっとうるさくなってしまい、あまり上手くは行かなかったみたいです。

それでも極浅い被写界深度の範囲内の塗装の艶、ボディの造型美はさすがだと思いました。

それから三枚目。
フェラーリのお礼を述べても仕方ないので、そのまま歩き去り、途中、山手通り沿いのモンスンカフェでお茶して、歩きに歩いて、やっと渋谷に着きました。

道玄坂を撮りながら歩き、夕暮れで陽も傾きかけてきた時刻に総レンガ造りの「麗郷」の緑色ネオンが目に留まり、相方のH14さんと道を横切り、撮影を試みたのです。

いつもAPS-CとかAPS-Hサイズの撮像素子を持つデジタルで撮影していると、50mmの標準レンズがあたかも35mmの広角レンズであるかの如き錯覚を覚えます。

実際、いつもR-D1sやM8では35mmクラスの広角で撮る撮影ポイントで50mmを付けたカメラを構えたら、ご覧の通り、全体が纏まりよく、収まって構図が出来てしまうのですから、フォーマットのマジックとは不思議なものです。

それにしても50mmf1.2の玉の開放での撮影とは思えないほど、結構シャープに全体感を捉えているのではないかと思いました。

続いて四枚目。
歩きながら撮っていたら、陽も傾いてきたので、コマ収差のテストに格好の時間帯となりました。
そこで、手近な被写体を探し、遠景に信号機が入るような場所を歩きながら探していると、駅近くの交差点手前で、濃紺、もしくは黒のポルシェカイエンSが停まっており、これをモチーフとして拝借することとしました。

信号は、この位置からでは向かって右斜め下からの撮影アングルなので光は信号機の遮光フードに反射し向かって左斜め上に伸びますが、それ以外の点光源は、口径食有り、コマフレア有りでずいぶん賑やかな背景になってしまいました。
また、薄暮の中の樹木もざわざわとした妙に芯の残ったボケであまり好ましくはないように思えてしまいました。

最後の五枚目。
H14さんと渋谷駅で分かれてから、銀座線への長い階段を登ろうとし、ふと外を眺めたら、陽はとっぷりと暮れていました。
駅の側壁を照らすハロゲンランプに広場を行き交う人々のシルエットの輪郭が浮かび上がります。
暫く眺めていたら、駅の出口付近でドライフルーツだか、ナッツ類を販売していた出店に、家路に就こうとするお父さんでしょうか、豆を買い求めようと近寄って来て、馴染みでもあるのか、売り子さんと親しく話しを交わしながら、品物を受け取ろうとしていました。

そこで、こんなイイ構図もなかなか無いので、一枚戴きました。
ピンを置いた男性の頭部を中心として、特に左肩は遠景をバックにしており、また光線状態の良さも相俟って、かなりエッジが立って見えてシャープさを強調していますが、やはり背景では光が乱舞し、また家路を急ぐ人々も芯の残ったボケとなってざわざわしていて、渋谷の駅前の雑踏を表す表現手段として、これはこれでアリかな、とも思った次第。

今回の感想としては、やはりデジタルは文明の利器で、なかなか上手く試せなかった大口径単玉のクセまで、かなり大胆に暴き出してくれたと思いました。
ホントはN-FD50mmf1.2Lの赤鉢巻とNoctilux50mmf1.2の薄暮の決闘とかフルサイズで試みてみたいんですが、フルサイズのライブビューか、N-FDよりフランジバックの短いデジタル一眼のフルサイズ機が出れば良いのですが、これもまず絶望的なのでしょうね。

さて、来週は、工房作品行きます。
いつも、工房主の気まぐれ、好き勝手でやってますが、たまには、趣向を変えて、身内の人間からのリクも受付けますので、どうぞ宜しくです。

テーマ:街の風景 - ジャンル:写真

  1. 2011/09/25(日) 21:50:13|
  2. 深川秘宝館
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Fukagawa Experimental Optics~Industar40~

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【撮影データ】カメラ:EPSON R-D1s 露出+1/3 絞り優先AE 全コマ開放 ロケ地:深川
世間は三連休、読者各位も充実された休日を過ごされ、明日からの週3日勤務に備えて鋭気を養っておられることとお察し申し上げます。

さて、今週のご紹介は、予告通り、工房作品から行きます。
実は今週末は3連休で楽しいイベントも有るということで、久々にやる気が出ちゃったんで、中一日、撮影に出かけただけで、何と3本も改造してしまいました。
そのうち、一本を今回はご紹介致します。

まずはこの扉の写真、何かおかしくはありませんか?ただ装着するだけなら、"インダスター50"は当然のことながらM39のスクリューなので、物理的にはライカマウントのボディなら何でも捩じ込めます。

しかしながら、"インダスター50"は例のテッサーもどきの構成の3群4枚で、しかも沈胴ボディで長いシャフトを引っ張り出してやらないと無限が合わないくらい、50mmのRF用の玉にしてはレンズブロックが前にせり出している、インダスター22と中身の光学系は全く一緒ですから、こんなぺったんこの鏡胴で無限がとれる筈がなく、通常は16.7mm厚でL39のオス・メスのネジが両端についたスリーブみたいなものを介してボディに捩じ込まれることとなっています。

ぢゃ、スリーブだかつけてLMリング経由R-D1sで撮った作例でも上げたんだろ、な~んだ人騒がせな・・・とか早合点しているそこのアナタ!そーではないんです。仮にそんなみっともないことでレンズ紹介するとしても、工房作品ぢゃなくて、「秘宝館」での紹介になりますよネ。

さぁ、お立会い、今日のこのレンズはインダスター50の一部光学系と機構のみ使って、前玉と後玉を少々細工し、無理矢理、フランジバックを28.8mmに合わせ、焦点距離も38mmに替えた深川オリジナルの試作レンズなのですよ。

前玉を焦点距離の短いものに替えれば、光学系としての焦点距離は短くなり、それに連れてフランジバックも短くなるだろうとの仮定を元に、家中に有るジャンクカメラ、レンズのテッサー型、トリプレット型の前玉を外してきて、まずは中、後玉のエレメントをそのままにしてピント基準機でフランジバックの短縮化だけ見ていたら、或る玉を使ったら、画期的にフランジバックが短くなり、焦点距離も、何故か元のレンズのそれに近くなっていたのです。
これはしめしめと、まずは無限だけきっちり合わせておいて、工房のお家芸たる傾斜カムをきっちり切って近距離まで合わせ、このヘンテコレンズを街なかのスナップで使えるように加工し、土曜日のお仲間の写真展へお呼ばれした際、出掛けに作例を撮ったという次第。

しかし、会場でこのレンズをR-D1sに付けたまま徘徊していても、変事に気付いたのは、某クラシックカメラの著名研究家、HG谷さんただ一人だったというのがまた痛快でした。

では早速作例見て行きましょう。

まずは一枚目。
このカット、月に一回は出てくるであろう、工房から永代通りに出る際に必ず渡らねばならない、東富橋の上からお江戸日本橋方面を眺めた景色です。

ピンは奥の黄色い船の舳先に合わせていますが、フレアというかモヤで何だか良く判らないですね。
それでも、解像度はそれなりに出ていますし、APS-Cサイズの撮像素子とは言え、画面隅まで気になるような崩れや歪みのような破綻は見当たらないのは、元のレンズがたまたま素性が良かったので、まさに"腐っても鯛だったのかも知れません。

そして二枚目。
休日はいつも何かしらのイベントをやってて、写真撮っても、大目に見てくれるような和やかな雰囲気の満ちた、深川不動尊参道の商店街に足を踏み入れました。

すると、居ました、居ました、ちょうどイイモデルさんが・・・

ベーゴマ大会(小会?)みたいのを質素ながらも楽しそうにやってて、その回し盤の脇で、普段はやれPSPだ、DSだとか言って、こういう文化的且つ伝統的なフィールドワーク的遊戯に背を向けている童子が爺サマに手ほどきを受け、器用な小姐に完膚なきまでに叩きのめされた雪辱を晴らそうとレッスンに励んでいるところです。

え、何で、その器用な小姐の方の写真をアップしないんだ!?って・・・いや、撮るには撮ったんですが、長い髪の毛を垂らした状態で盤面を睨みつけるその様は、まさにミニ"山村貞子"状態なんで、ボツにさせて貰ったんです、お父さん、ご免なさい・・・

このカットでは、球面収差の他、白いワイシャツのハイライト部で色収差みたいなものまで見えちゃってますねぇ・・・
でも、解像度はそこそこ出てるし、ヘンは歪みもないようですから、まぁ佳しとしておきましょう。

それから三枚目。
参道を後にして、楽しげなバンド演奏の音がする深川公園方面に気もそぞろに歩いて行きました。

すると、いかにも街撮りのお役に立てて下さい!と言わんばかりの赤ちょうちんと墨田区の某麦酒メーカーが販促用に無償配布したと思しきカラーストライプ入りの安物の提灯が、過ぎ去った夏にまだ未練があるかの如く、そよ風に揺られていました。

これを撮らない手はありません。早速、一枚頂きました。たぶん1.5mくらいの距離でしたか。

軒越しの薄曇り空のハイライトが軒先の金属瓦だかの部分をフレアで喰っちゃって、また、全体的に蒼白いフレアが薄く覆い、何故か、天国の酒場みたいな雰囲気のヘンな画になってしまったような気がします。

しかし、背景はそれほど暴れていないのがこれまた不思議です。

続いて四枚目。
深川公園に着くと、当日は「深川よさこい祭り」だかをやってたので、その余興で素人バンドが特設ステージで楽器演奏や歌舞楽曲の類いを提供し、一部の心ある人々がそれをとり囲んで手拍子とったり、声援送ったり、演奏が良ければ、拍手までしてあげる、という下町の暖かい人情溢れるシーンを目の当たりにしたのです。

しかし、演奏の良し悪し、観客数の多寡はともかくとして、青空をバックにバンド演奏なんてシーンは本土ではなかなかお目に掛かれません、そう那覇のハーリー大会以来です。おっと、ハーリー大会は薄曇りでしたから、その前年の竹富島での海開きでの池田卓氏のミニライブ以来ということになります。

ここでも、蒼白いフレアが画面を支配していますが、目を凝らせば、それなりに解像力は出ていますし、手製レンズにつき物の歪みも見当たらないようで、午後の眠いイベントを撮るにはちょうど良かったのかなぁ・・・とか妙に納得した次第。

最後の五枚目。
観客の多寡に関わらず、熱演を続ける若人達に心の中でエールを送りながら、時間も無くなってきたので、会場を後にしました。

すると10mも行かないうちに、居ました、居ました・・・写真のイイネタが。
そうなんです、熱気溢れるお祭りほど、その出演の合間の演者達ってのは弛緩し切っているものなのです。

R-D1sの背面モニターで何枚か確認しながらのテスト撮影ですから、もうこのレンズの使い方はすっかり飲み込めました。

要は、脱力系とか、緩めの光景を撮るのに適しているのです。

しかし、作画の基本は、構図と露出のほかに、開放で被写界深度浅めに撮る以上、どこにピンを置くかというのも、極めて大事なファクターとなりますから、ここで頭をひねって、背中向けて、メール打ってる小姐の携帯にピンを置いてシャッター切ったのです。

ここで、長年の愛読者なら疑問が湧く筈です。こんな美味しいシーンなら、断られるはずなんかないのだから、声掛けてこっち向かせて撮りゃイイぢゃね!と。

ところがですねぇ・・・このレンズで撮ったのをモニターで見せた途端、蒼白いヴェールが薄っすらと掛かったような画面を見て、「このレンズ、壊れてるんぢゃね!?」とか心ない一言を浴びせられるのが怖くて、そぉっとお邪魔しないように一枚戴いたのです。

なにせ、今日び、携帯のカメラですら、もっとシャープにキリっと写りますからね。

今回の感想としては、もっと破滅的な写りをして、四隅はぐにゃぐにゃ、発色は煤けたようなくすんだ色合い、線も大甘って目論みだったんですが、これぢゃ当初予定してたレンズ名"Death Star20"の名前は挙げられないなということでした。

え! その"Death Star20"ってネーミングは何よ?ですか・・・これは「地球滅亡20分前の景色の如き写りを実現する」って画期的アイデアだったんですが。

さて、来週はまた秘宝館行きます。結構、漏れてるんですよねぇ、そこそこ使ってるのにご紹介していない玉って。さぁ、何が登場するか。乞う御期待。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2011/09/19(月) 21:00:00|
  2. その他Lマウント改造レンズ
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Ein großer Kampf-Objectiv mit vielen Legenden~Nikkor H 50mmf2~

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【撮影データ】カメラ:Nikon NEW F、フィルム:Ferrania Solaris100EX36、全コマ開放
さて、今週のご紹介は、思い起こしてみると、今まで何で出て来なかったんだ!と自分で自分の頭を小突きたくなるような名役者、Nikkor H 50mmf2です。

このレンズも先週ご紹介した矯正Raptarと一緒に深大寺行ったのですが、出発前にちょっと悩みました。
というのも、先々週の琵琶湖ツアーでフィルムを使い果たし、何事においてもズボラな工房主はフィルムの買い足し補填を怠っていて、一本もISO100のフィルムの在庫が無かったのです。

結果的にはかなりの曇天だったので、在庫に余裕有ったISO400のフィルムでも充分だったとは思うのですが、とにかく、FはライカのM型やSP、そしてキャノンのRF達と同じ仲間でシャッター速度がギリギリ1000分の1秒までしかありません。

そのため、開放でしか撮らない主義の工房主は、F2でもISO400だと曇天下とはいえ、2000分の1はないと厳しいものがある、と思い込み、京王線でつつじヶ丘駅に行く前、新宿で途中下車し、西口のYDカメラに寄って、フィルムを調達する際、ついつい、魔が差して、イタリア製?のヘンテコな写りをするフィルムを買ってしまい、行きの電車で愛機New F黒に詰めてしまったのです。

バスが深大寺についてからの行動は、先週くどいほど書いたので割愛しますが、或る悲劇がこのNew FとNikkor H 50mmf2の歴史的コンビを襲ったのです。

それは何かと言えば、フィルムのヂャミングです。最初の10枚目くらいまでは、ちょっとガリガリ君かなぁとか、気にもせず撮っていたのですが、20枚を超えた辺りから、急にレバーが重くなり、25枚でうんともすんとも行かなくなってしまい、この往年の純国産コンビはM8と謎のレンズの米独コンビに後を任せ、あえなくリタイアしたのでありました、めでたし、めでたし・・・とか言っちゃうと、写真出す前に終わっちゃうので、前置きはさておき、遺された貴重な?画を見ていきましょう。

まず一枚目。
バス停を降りて暫し歩くと、何件かの蕎麦屋さんが目に留まりました。

その中で、目にも鮮やかなほうずきの鉢と氷、そしてところてんという、あたかも俳句の季語みたいな豪華三点セットをこれ見よがしに店頭に提げているお店が在ったので、駐車場を歩いて横切り、お店の軒先までのこのこやって来て、写真だけ撮って、また戻って来るという、台風時でお客が激減しているお店にとっては、思わせぶりの大顰蹙な振る舞いを演じてしまいました。

それでも、現像から上がってきた画をフロンティアCD経由、PCで見たら、やっぱ、このフィルム、ヘンだわと思うに値するような写りでした。だって、ほうずきがトマトみたいな色で写ってますやん。

また暗部のざらつき感も何か安物のデジカメで撮った画みたいに妙にキッチュで、上品なEKTARフィルムに慣れた目には却って新鮮ですらありました。

そして二枚目。
冷やかしのお客は早々に店頭から退却して、次の定番撮影スポットへ向かいます。

特にこの水車小屋は、夕方になると、ちょうど斜めに差し込む陽光がこの水に濡れた枯れ木色の水車をイイ案配に照らすので最高なのです。

そこで、台風のオマケの厚い雲?のせいもあって、意外に暗かったため。シャッター速度を確か125分の1秒付近で切ったので、水車本体がやや被写体ブレしているような、動きを感じさせる、まぁ、結果オーライの写りとなった次第。

しかし、こんなヘンなフィルムでも、傾いた陽光と枯れ木、そして茅葺屋根、土壁といったア-スカラーの物体はかなり情感溢れた描写をしてくれますから、モノは使いようとも思いました。

それから三枚目。
お食事の後、息せき切って深大寺城址へ登ったのは先週書いた通りですが、広場をざぁっと見回し、このレンズのシャープネス、そして逆光への強さを見るのにちょうどイイ被写体と構図を閃きました。

それは「この樹何の樹気になる樹」越しに見ていた、「昭和枯すすき」越しに空を入れたカットを撮ってみることです。

しかも、この枯すすき、そこらのフリーターの姐ちゃんの染めた髪の毛みたいに、ヘンな茜色とも柘榴の実の色とも灰色ともつかないブキミな色が付いていて、これがどのように写るのか興味深々だったからでもあります。

結果はこの通り、風は結構吹いてきましたが、さすが往年のコンバットカメラ、晴天に近い環境下では1000分の1秒、きっかり出ますから、風にそよぐ枯すすきの穂をバシッと止めて、その葉ともども、かなりシャープに描写しています。

背景にもフレア、ゴーストの類いは皆無です。

こういうしゃっきりしたカットが撮れるたび、大方、偶然の産物であるにも関わらず、このカメラとレンズの偉大なる性能と数々の偉業に思いを馳せてしまいます。

まだまだの四枚目。
枯すすきでの撮影を終え、また「この樹何の樹気になる樹」の麓に戻り、再び、この樹の下のベンチ越しに枯すすきを入れたカットを狙います。

何カットか試しました、偶然とは言え、先のオシロラプターと同じく、画面奥のベンチの向かって右のエッジにピンを置いたカットが一番露出の案配が良かったので採用しました。

向こうが全体的にソフトながら、合焦部はびしっと決めて、階調再現性、後ボケもなだらかなのに対し、こちらは、レンズの性格でしょうか、かなりハイコントラストでソリッド一本槍のイメージを受けました。

最後の五枚目。
4時も過ぎたので、城址から降り、神代植物園附水生植物園に降りたのですが、そこで、在る物体が目に留まりました。
それは植物園内で栽培している水稲がそろそろ収穫期が近づいてきたため、野鳥の餌食にならないよう、いかにも周囲環境からは浮いてますよ、というカンジのオレンジの防鳥網が水田に被せられて、幾重もの稜線を形作っていたのです。

これまでであれば、こんな景色から浮いた人工物なんかこれ見よがしに張りやがって!とか、不機嫌になり、その場を後にするところですが、暫し、立ち尽くして、網が風にそよぐ様を見ていたら、その網目パターンが干渉し合い、予想外の面白い景色を作り出すことに気付いたのです。

そこで、嵐の前で人っ子一人居ない、水生植物園の木製回廊に一人佇み、風にそよぐ網に向け、カメラを構え、息を殺し、シャッタ-チャンスを待ち構えました。

そして、まず一枚目のシャッターを切ったのがこのカット。

この時点で25枚でしたから、あと10枚以上はシャッター切れる腹積もりでいたのですが、先に述べた通り、フィルムのヂャミングでこのカット一枚で撮り納めになってしまった次第。

しかし、この繊細なメッシュの風が柔らかく風になびく様を捉えられたのは、まさに暖色系発色に長けたラテン系フィルムの為せる技以外の何物でもなく、結果オーライだったのではないでしょうか。

さて、来週はまた工房作品行ってみましょうか。乞うご期待。

テーマ:街の風景 - ジャンル:写真

  1. 2011/09/11(日) 21:00:00|
  2. 深川秘宝館
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Return of America's mysterious optics~Oscillo Raptar2.04"mod.M~

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【撮影データ】カメラ:Leica M8、絞り優先AE、露出+1/3、ISO Auto、全コマ開放
まずはお詫びと訂正から。今宵のご紹介は秘宝館から、これは!と思う玉を持ち出してご紹介しようと思ったのですが、同時テストした伴走機の方の作例を先に紹介する必要が生じたため、ご開帳は来週に延期させて戴きます。

さて、このレンズ、一昨年末に完成し、昨年の石垣島、尾島ねぷた祭りとそれなりに活躍はしたのですが、ふたつのネックがあり、どうしても、同じ大口径のシネゾナー5cmf1.5や新作のプロミナー50mmf1.4のすっきりした写りと機動性に遅れをとることが多く、こと夏のように日差しが強いシーズンには、防湿庫でのベンチヲーマーとなっていることが多い毎日でした。

http://pwfukagawa.blog98.fc2.com/blog-entry-163.html

ところが、今年の夏、このレンズのやはり一族に当る51.6mmのf2の玉が大久保の名人の元で丹念なレストアを受けて帰って来てから、深川でL39マウント化を施し、M8によるデジ及び、Ektar100フィルムによるテスト撮影をしたのですが、その結果が激しくフレア大会、まさに"ハロプロ"状態だったので、正直に名人のもとに作例持参で報告に赴いたところ、ご愛用のペンライトとルーペで暫しためつ眺めつしてから、かくかくしかじかの内面反射対策をして下さい、とのご託宣を得たのです。

そして、そのf2の個体を開けて反射防止策を行った直後、閃くものがあって、このf1.5の巨大レンズも鏡胴から前後エレメントを外し、名人の教えを元に入射光が内面反射により拡散するポイントを割り出し、そこを無反射グラファイト塗料に更にCFRPの切削粉をブレンドしたものを塗って乾くのを待って再組み立てしたのです。

また、もう一点のネック、それは石垣島が実質上の初陣だったため、高温によるヘリコイドグリスのだれを用心して、テフロングリスを固めのブレンドとしてぎっしり塗り込めていたので、とにかく回転トルクが重くて、却ってピントが合わせずらくなっていたのを同じくテフロン系の潤滑オイル、マイクロロンの注入で大幅に軽くし、操作性をスムーズとしたのです。

再調整後、確かに白色LEDライトにスリットかました光源で様々な位置、角度から光を当てても、中で光が乱反射してバーストすることが無くなり、室内でのR-D1sでのテストでも明らかにフレアが減少しているのが判るくらいでしたから、テストの機会を待つこととしたのです。

テスト出発前、更にもう一点の改良を行いました。それは、M8で使う場合の例の6ビットコードの付与です。
これも暫定的に先のプロミナー50mmf1.4のものと同じパターンにして、テストに出掛けることとしました。

今回のテストは深大寺の城跡から山門付近にかけて、嵐の近づく土曜の午後に行いました、では、早速見て行きましょう。

まず一枚目。
電車、バスと乗り継ぎ、深大寺には15時過ぎに着いたので、まずは腹ごしらえをしてから、撮影に入ることととし、「湧水庵」さんでざる大盛(750円)など戴き、たしか4時で入場打ち切りとなってしまう深大寺城址へと早足で向かいます。

いつもなら、陽当たりの良い、手入れも行き届いた芝生が広がる格好のピクニックスペースなので、別に頼まなくとも、家族連れが画面の何処かしらには入ってしまう格好の撮影スポットなのですが、当日は嵐が近づいていることもあり、暢気にこんなところで寛いでいる家族連れやカップルなど居ません。

そこで、まだ人気が出る前と同様、誰も居ない芝生と居館跡を示す柱の位置に建てられた石柱のみを静かなモチーフとして一枚撮ったものです。

一番手前の石柱のこちら側のエッジにピンを置いての撮影ですが、石柱自体がシャープにリアルに捉えられたのみならず、同一被写界深度の芝生の目だけが見えるのも面白い効果だと思いました。

後ボケもなかなかナチュラルで好感が持てると思いました。

そして二枚目。
石柱群の手前に立つ巨木、通称「この樹何の樹、気になる樹」の下から、その下に並ぶベンチ腰に「巨大昭和枯すすき」を望みます。

ただ、「昭和枯すすき」にピンを置いたカットだと、ベンチの輪郭線がフレアなのか、前ボケなのかが良く判らないため、あえて、画面奥のベンチの向かって右側のエッジにピンを置いて撮影しました。

これぐらいの輝度差だと、デジタルのように受光体であるCCD自体が光を反射するケースではフレアが出易いのはいかんともし難いですが、それでも、撮って出しのこの状態で、微かにフレアが認められるのは、画面奥のベンチの左側でオフフォーカスになっているエッジ部くらいです。

しかし、このカットを拡大し、ふと気付いたのが、階調再現性の物凄さもさることながら、やはり凄まじい解像力です。画面奥のベンチの座面が少し見えていますが、画面奥芝生との輝度差もものかわ、その木のテクスチャもくっきりと描写しているのです。

それから三枚目。
深大寺城址での撮影を終え、いつもの定点撮影箇所である、水生植物園に寄ります。
ここは、地味ながら、なかなか素敵な撮影ポイントがあり、時間が無い時でも、テスト撮影に必要なパターンは充分揃っていて、いつも重宝します。しかも、本園と違い、ここは入場料500円は不要ですし・・・

元より曇天の上、陽も傾きかけて来た時間帯なので、湿地帯に巡らせた木製の回廊の特徴的な姿を撮影しました。

ピンは画面中央より少し上、手前の逆「く」の字の向かって左の屈曲点に置いています。

乾いた木なので、結構弱いとは言え、夕方の陽射しを受け白っぽく反射しますが、それでも、木質のテクスチャは極めて忠実にすっきりと再現し、周囲の雑草も活き活きと描写しています。

このカット以前の未対策状態だったら、木製の回廊は相当なフレアに包まれ、それはそれで作画的には面白かったかも知れませんが、やはり、レンズは忠実なる描写を命とすべきですから、内面反射によるハロプロ状態はいけません。

続いての四枚目。
水生植物園を後にし、大急ぎで境内に向かいます。何とならば、嵐の接近に伴い、参道の茶店が早仕舞いしてしまい、店頭販売員の小姐からお饅頭を一個買って、おまけとして、何カットかモデルさんになって貰おうとか、良からぬ魂胆を胸に秘めていたからです。

が、しかし・・・天はその良からぬ心を見透かしていたようで、茶店街は既に営業打ち切り、華やかな小姐達は、この時点では影も形も見当たりませんでした。

仕方なく、境内でお賽銭でも上げて帰ろうか・・・と俯き加減に山門をくぐり、手水場に歩いて行ったら、何たる天佑か、こんな嵐の前だというのに、善男善女のご一行様が打ち揃って、こちらに歩いて来られたではないですか。

早速、その中で一番、発言力をお持ちと見られた年輩の男性の方に「お孫さんが手を洗っているところを写真撮っても宜しいですか?」と恐る恐るお伺いを立て、家族ぐるみで快くご協力戴いた結果、撮れたのがこのカット。

もう一枚、柄杓から水を飲んでいるカットも撮れましたが、こちらは愛くるしいお顔が全然見えないので、惜しくもボツとして、こちらを採用させて頂きました。

しっかりとカメラ目線しているところがまた何とも可愛らしいですね。

ご協力、心より御礼申し上げます。メールでご連絡戴けましたら、もう一枚と併せ、プリント可能なデ-タに加工の上、お送りさせて戴きます。

まだまだの五枚目。
撮影へのご協力に心より御礼を申し上げ、その場を後にし、陽が暮れる前に寸暇を惜しんで山門周辺でブツ撮りに専念しました。

そこでまず撮ったのが、閑散とした茶店街で軒先に吊るされたままの季節外れのほうずきの鉢です。

まさに夏の忘れ形見といったカンジで、週半ばに8月から9月へと月替わりし、夏から秋へと気分も変わってしまった今、何か置き去りにされた夏の思い出みたいで、閑散とした茶店街の侘しさをも象徴的に表していた気がしました。
ピンは真ん中の枝の実に合わせましたが、ほうずきの実の位置により、ピンが合っているものと、そうでないものが良く判り、如何にこのレンズが最短距離付近で被写界深度が浅いかが判って面白いカットではないかと思いました。

最後の六枚目。
厚い雲のせいもあって、だいぶ薄暗くなり、灯火が恋しい時刻となってきたので、そろそろ深大寺を後にしようとバス停に向かい、参道を歩いていると、ふと某大型観光蕎麦屋さん店頭の羅漢?像が目に留まりました。

ここまで薄暗くなってくると、フレア性改善云々というのもあまり検証出来なくなってきますから、テストとしてはあまり意味を為さないのですが、それでも、至近距離での解像力とか、質感の再現性といった項目は充分に判りますから、もの言わぬ石像にモデルとなって貰い、ポーズを頼むことも、立ち位置を変えて貰うことも出来ないので、自分の頭と足腰でカバーします。

そして、苦心惨憺、アングルと距離感決めて撮ったのがこのカット。たまには、背景に人っ子ひとり写り込んでいないカットも、すっきりとしてイイものです(とか強がりを言ってみたりします・・・)

ピンは像の鼻のてっぺんに置きましたが、この距離では開放でも何とか、頭部全体が被写界深度にギリギリ収まったようです。

やはり、カリカリ感はカンジさせないものの、この火山岩を削り出して作ったような荒削りな石像の鑿の後、風雪に耐えた石表面の質感、良く捉えていると思います。

今回の感想としては、ほんのちょっとの内面反射防止でここまでフレア減少、コントラスト改善が出来るとは、まさに驚き、まさに「ためしてガッテン!」、目からウロコでした。

ホントは、この帰り、アキバで宵の口の街頭撮影で何カットか撮ったのですが、こちらの方がこの生まれ変わったレンズの凄さを実感出来るのですが、構成上、省略しました。また何処かで出すかも知れませんが・・・

さて、来週は、本命の秘宝ご開帳です♪ 乞うご期待!!

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2011/09/04(日) 21:00:00|
  2. Mマウント改造レンズ
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charley944

Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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