深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

An Experimental Restration of Nikkor-SC5cmf1.4

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【撮影データ】カメラ:Nikon SP フィルム:Kodak EKTER100、全コマ開放、ロケ地:浅草~上野
さて、年の瀬も押し迫り、いよいよ、今年最後の更新となってしまいました。

今回のご紹介は、先週の予告通り、秘宝館から、面白い実験結果のお披露目ということで、Nikkor-SC5cmf1.4の劇的なレストア結果についてご紹介したいと思います。

そもそもの発端は、何故かニコンマウント互換?の5cmゾナーをf2、f1.5とも使い、しかるのち、Nikkor-SC5cmf1.4を白、黒とも街撮りで使ってみたら、何れも異常にフレアが多く、赤・緑色レーザーのスリット光を通しても、白色光で散乱を試みても、分解しても原因が判らなかったのですが、よくシネレンズの再生で無理をお願いしている川崎の関東カメラサービスさんで、モノは試しとばかり、SマウントNikkorのフレア何とか出来ない?と聞いてみたところ、任せて下さい、というカンジで引き受けてくれたので、お預けして、待つこと2ヶ月、大サービスで白文字の入れ直しまでやって戴いて、手許に戻って来たのです。

では、早速、テスト結果見て行きましょう。今回の作例は畏友Tarningさんと同道の浅草~上野ツアーからのピックアップです。

まず一枚目。

お登りさんよろしく、雷門前を出発した二人は、あちこち道草しながら仲見世を浅草寺に向かい撮り歩き、途中で六区映画街方面へと向かいました。

すると、若い力車の車夫さんが、にこやかにお客さんに浅草演芸場の説明なんかしています。
日もカンカンに照っていて、構図的にもなかなか宜しいので、一枚戴きました。
さすがにピーカン下での開放ですから、いかな1000分の1でも完全にオーバー気味で、ハイライトは飛んでしまってしかりですが、さすがラチチュードの広いEKTAR100、それほど破綻なく、生々しく現場を捉えています。
クロムメッキの車輪フェンダーや幌のビニールのように元もとの反射率の大きいものは、前ボケでもあり、フレアを纏っているように見えますが、ピンを置いた車夫の兄さんの笑顔はすっきりくっきりと映えていますから、やはりレストアの効果は絶大だったかと予感させる仕上がりです。

そして二枚目。

六区映画街から、一旦、昼食を取りに浅草寺境内を通って、早田カメラ&ハヤタカメラボ経由、Tarningさんお馴染みの和屋さんに向かい、そこでまたーりとランチを戴いてから、午後の撮影開始しました。

ルートは、伝法院通りに接した、飲み屋街からすしや通り、ひさご通りを抜け、千束通りまで向かいました。

その途中、民家の横に手植えされた紅葉が綺麗に色づいていて、遠方にスカイツリーが聳え立っていたので、まさにここぞとばかり、一枚戴きました。

ここはさすがに日陰なのでそれほど盛大なフレアは出ないと期待してはいたのですが、仕上がった画を見て、少なくとも、このシチュエーションでは、本家ゾナーと同等のレベルまで改善されている、と思いました。

紅葉とその周囲に関しては、発色も解像力も満足行く結果ではありましたが、バックのスカイツリーがかなりの二線ボケになってしまったのは、少々、残念に思いました。

それから三枚目。

千束通りの途中から脇道に入りそれを奥まで歩いて行ったら、突き当たりに面白い木造家屋が有ったので、誰か前を通りがかったらシャッター切ろうと身構えていたら、ちょうど、物憂げな黒づくめの小姐が約一名通ったので、強制的エキストラ出演して貰いました。

ここでは、主役はあくまで木造家屋なので、そこにピンを置いていましたが、反射率の高い掲示板や隣のコンクリートパネルの家屋はさすがにフレアが認められますが、それでも画面全体としては、見違えるようにすっきりしており、これが、シャター速度がもっと上げられて、もう少々アンダー気味に撮れば更にハイライトのフレアは減るのではないかと思いました。

続いて四枚目。

浅草エリアでの作戦行動を終了し、次のミッションである東京芸大を目指し、上野に向かって、二人は歩き出しました。

合羽橋エリアなど、もう学生の頃から来ていたので、隅々まで知っていたつもりですが、こうして、純正品の江戸っ子と歩くと、やはり産地偽装の江戸っ子もどきは馬脚が出てしまいます。

見るもの何もかもが珍しく、キョロキョロしながら歩いていたら、かなり反射している建物の前に黒尽くめの作業員風のヲヂさまが寛いでいるではないですか?

こんな素晴らしいフレアの発生実験はありません。

早速、ヲヂさまにピンを合わせ、一枚戴いたのがこのカット。

どーでしょう。画面の殆どが相当反射率の高い面で以て、西陽を浴びて盛大に光っている中に漆黒の衣装のヲヂさまが佇んでおられるのですが、全くと云って差し支えないほど、被写体の識別に支障となるようなフレアが発生しておらず、ヲヂさまのお姿も、植栽も赤いとんがりコーンもきれいに見分けられます。

やはり、満を持したフレア対策のレストアの効果は絶大であるようです。

更に五枚目。

二人はやっと東京芸大の近傍まで辿り着き、その敷地の周辺の前衛的オブジェに目を奪われ続けました。

その中でも、特に目を惹いたのが、このステンレス板だかを溶接して造型した戦士風のオブジェです。

落ち葉の中で物思いに耽るかの如く佇む姿は、まさに芸術そのものの具現でした。

無機質である筈の金属板がどうして、ここまで人の心を惹き付ける形を纏えるのか?

まさにこれが凡夫の悲しいところ、幾ら考えても判りませんでした。

しかし、このベストシーズンの晴れ姿を残すことは出来ます。

背中から夕陽を浴びて鈍い輝きを放つ、この異形のオブジェの勇士を一枚戴きました。

やはり、フレア対策の効果で、この憂いに満ちた金属板の戦士の形は落ち葉の中、キレイに捉えられています。

このカットを撮れただけでも、レストアの価値は有ったと思いました。

最後の六枚目。

艱難辛苦の挙句、何とか二人はミッションを成し遂げ、後日、無残にもボツにされるとは知らず、何故か妙に晴れがましい気分で、芸大を後にし、上野公園へと向かいました。

すると、傾きかけた陽光を浴び、親子連れのヲヤジさんが奥方の助けを借りてまだ幼い童子を背負おうとしているではないですか。

思わず、一挙手一投足に見入って、ここぞと思う刹那、すかさずシャッターを切ったのがこの一枚。

ここでも、フレア激減の効果は十分に出ており、家族の衣服の皺まで充分に見分けられるくらい、シャープでクリアな描写を叶えています。

今回の感想としては、やはり、レンズにしてもカメラにしても、経年変化による描写の劣化は、味などではなく、オリジナル性能からの退化に他ならないのではないか?ということ。

そういった意味では、今回の完璧とも云えるレストアは金額以上の満足感があったのではないかと思った次第。

さて、今年の更新はこれにて満了ですが、愛読者各位の益々の御発展を祈念致しまして、今年はこれにてお暇をいただきます。

また来年も宜しくお願い致します。

良いお年を!!

テーマ:ニコンSマウント - ジャンル:写真

  1. 2011/12/25(日) 23:45:06|
  2. 深川秘宝館
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Adventure to unexplorered continent~"Super Lomo" PO3-3M 50mmf2 mod.L39~

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【撮影データ】カメラ:Leica M8 絞り優先AE、露出+1/3 Auto ISO、全コマ開放、ロケ地:江ノ島
さて、12月も半ばを過ぎ、いよいよ年の瀬感が押し詰まって来た今日この頃ですが、愛読者各位はいかがお過ごしだったでしょうか。

工房では、来週末、今年最後の撮影旅行を控えているため、早くも大掃除の第一弾、一番手間が掛かり、しかもなかなか達成感の得られないリビングのサッシ&網戸周りに二時間を費やしての大作業を終えました。

今週のご紹介は、恐らく、今年度の工房最大の発掘品、コスパフォは世界一ではないかとさえ思った、謎のレンズの改造成果です。

このレンズ、既に佐原祭りでも、その凄まじい、暴力的とさえ云えそうな描写力の片鱗を見せていますが、今回、年末ということもあり、その全貌を明らかにすることとしました。

下の一連のカットの描写を先にご覧になってしまった方は、到底信じることは出来ないかも知れませんが、この解像力の化け物みたいなレンズ、実はレニングラード光学機器連合(LOMO)が、旧ソ連時代、国策であった映画撮影カメラ用として別誂えで製造したという、まさに電機会社の製品ラインナップにたとえるならば、通常のロモカメラがラジオかせいぜいテレビくらいであれば、これは人工衛星くらいの技術レベルの差がある、特殊産業用レンズなのです。

ところが、あのマニアックでとても"写真"機とは呼べないような描写のLOMOの名称と、60年代以降のロシアレンズ共通の赤いコーティングが、このレンズを一山10ドル程度の安物レンズ同様に見せてしまい、誰も改造までして使おうとはしなかったのでしょう。

しかし、工房では、"シネレンズに悪玉無し"の信念から、このレンズを新たに取引を始めたいという旧CIS圏内の業者から格安でデッドストック状態で入手し、苦心惨憺、アリフレックスとも、ミッチェルともアイモとも違うハウジングからレンズブロックの摘出に成功し、かくして、L39化に成功したのでした。

スリット光を通してチェックした結果では5群7枚、後ろに弱い凸レンズが奢られている、いわゆるズマリット型の変型Wガウスタイプです。

一見したところではCine-XenonやCine-Planarと曲率やエレメントのクリアランスなどもあまり大差なさそうなのでどうしてこんなに描写傾向が違うのか、今後、研究の余地がありそうだと思いました。

では、早速、描写の見ていきましょう。

まず一枚目。

この日は江ノ島に向かう参道でテスト撮影を開始したのですが、前ボケと遠方の解像力を見るのにちょうど良い光景があったので、すかさず一枚戴きました。

ピントは無限位置での撮影ですが、遠い海上に浮かぶ入道雲の輪郭はもちろんのこと、その手前に位置する赤い屋根の大きな建物もバッチリシャープに写っていますが、その一方で、目の前の通路両脇のコンクリート 塀とタイル壁はフレア掛かったように極めて柔らかくボケています。

またどぎついコーティングの色にしては、M8の優秀なオートカラーバランス機能の助けもあるのでしょうが、極めて自然な発色になっています。

そして二枚目。

江ノ島への参道には、さすが湘南、プロのサーファーショップなどがあり、その店頭には、色とりどりのサーフボードが絢爛さを競い合っています。

そこで、一番、コントラストが高く、しかも蛍光色で光沢面という、デジタルカメラで古いレンズを使う時には鬼門みたいな組み合わせの意匠のボードがちょうど目に留まったので、店先でワックス掛けしていた、ヒゲの中年男の兄サンに一言断って一枚戴き。

最近距離で黒い模様にピントを合わせて撮りましたが、う~ん、このキレ。個人的には胸躍りました。
黄色地に黒の模様が浮かびあがるかの如く描写されていますし、ボードの尻尾はやや二線ボケ傾向が見られますが、頭は先の塀や壁みたいに球面収差の影響か、フワっとボケ、比類無きシャープさとマイルドなボケが同居する上、蛍光色の艶やかな色を実直に再現しているところも好感が持てた一枚です。

それから三枚目。

江ノ島に上陸し、ランチの予定のお店の順番が100年先くらいまで来そうもないので、ウェイティングリストに名前を載せて、同行の仲間と島内近場探検に出かけました。

ヨットハーバー方面への山際の裏道を歩いていたら、殆どどん詰まりに近い辺りに何処かの企業の保養所みたいな一軒家があり、その郵便受の前に、小生の大好物の大輪のハイビスカスが咲いていました。

沖縄に行かないで、こんな立派なハイビスカスに巡り合えるとは何たる僥倖か、と感激のあまりシャッター切ったのがこのカットです。

ここで、このレンズの恐るべき性能の一旦が表れました。

最近距離域で撮ったカットですが、M8の最大倍率で拡大しても、全く像が崩れないのです。それこそ、花弁の細胞のひとつひとつが手に取るように判る、といっても過言ではないほどの暴力的な解像力で可憐なハイビスカスを写し取ってしまったのです。

しかし、ここでは、背景に有る植樹の葉の反射がビネッティングの影響で独特の粒々状の描写になっているのがやや残念だった気もします。

続いての四枚目。

島の上の方へ登って行くと、色々なお土産物やら、食べ物だかが売られていて、好天に恵まれ行楽地気分に浮かれた民衆各位が、思い思いに買い食いなどを楽しんでいます。

そこで、スポットライト的に陽光が当たる、幸せそうな若いカップルにモデルさんになって貰い、一枚戴きました。

ここでも、女性の髪の毛の生え際は言うに及ばず、衣服の襟から肩口にかけての布地の皺の質感に至るまで、驚異的な解像力で捉えています。

しかも、ここで特筆すべきは、次のカットにも繋がるハナシではありますが、女性の白い絹のような柔肌の照り返しでも全くフレアを生じていないことです。

この赤い怪異なコーティングは一体どういう性能を秘めているのでしょうか???

最後の五枚目。

我々一行は、岩屋までの道を歩いて行きました。

すると、この日はインド人旅行客の一行が訪問していて、あちこちで景色に感じ入ったり、記念写真を撮ったりしています。

余談ですが、江ノ島の御本尊様の弁財天は元々、インドの水を司る女神様でヒンドゥー教からスカウト?されて来た存在なので、彼らにも馴染みがあるようです。

ちょうどイイモデルさんを探していたら、夕陽に光る海を眺めている親子が居たので、フレア、ゴーストは覚悟の上で一枚撮らせて貰ったのがこのカット。

ところが、どうでしょう・・・これだけ光る水面を背景に従えながら、全く破綻しておらず、幼子の産毛や、後退し始めたオヤヂさんのおでこの生え際までこれまた、素晴らしい解像力とコントラストで描写しています。

背景で眩しいと目を揉むお母さんは、やや崩れ気味ではありますが、鑑賞を邪魔するほどの欠陥ではないと思われます。

光る水面には、ビネッティングの影響が盛大に出ています。

今回の感想としては、ロシア製品恐るべし、この一言に尽きます。一山10ドルで電子湾で叩き売られているのがロシアレンズなら、西側のモンスター級レンズを次々粉砕してしまうような、驚異的な描写性能を発揮するのも、これまたロシアレンズなのです。

来年もまた、こういった掘り出し物の発掘にも力を入れたいと改めて思いました。

さて、来週はたぶん今年最後の更新となりますが、秘宝館から、面白い実験結果をレポートしようと思います。

乞う御期待。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2011/12/18(日) 22:20:27|
  2. その他Lマウント改造レンズ
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A noble seed bone in far east~Zeiss Biogon25mmf2.8T*ZM~

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【撮影データ】カメラ:Leica M8 絞り優先AE 露出±0、全コマ開放、ロケ地:栃木県栃木市
さて、12月も遂に中旬となり、今年も残すところ、20日あまりとなってしまいました。

今回のご紹介は、結構出動回数も多いのにも関わらず、工房主の趣味というか、シネ&特殊レンズ偏愛主義の煽りを受け、表舞台に出ることがなかった、縁の下の力持ち、Carl Zeiss Biogon25mmf2.8T*ZMのご紹介です。

このコシナ製のCarl Zeiss銘のレンズは、2004年11月にコシナが独Carl Zeiss社との提携のもと、ZMマウントと称する、ライカMマウント完全互換のレンジファインダ用レンズを発表した際のラインナップのひとつとして世に送り出されました。

面白いことに、このZeiss銘のレンズのラインナップの方が、本体である、Zeiss Ikon ZMより半年以上早く、Zeiss Ikon ZMの方は、翌2005年7月まで発表を待たねばなりませんでした。

構成は7群9枚のややレトロフォーカス的な対称系光学で、これはおそらく、コシナ・エプソン製品のR-D1sのようなメカニカルバックが短いデジタルRFを意識しての設計ではないでしょうか。

さて、前置きはこれくらにして、早速、その画を見て行きましょう。

ロケ地は栃木、先般のお祭りの裏番組みたいなものです。

まず一枚目。

栃木といえば、巴波川による物流と、明治以降の元県庁所在地として栄華を極めた街として名高いですが、敗戦以降、物流の中心が鉄道、そしてトラック便にシフトし、商業的な栄華はもはや過去の夢となりつつありますが、それでも、美しい街並みと、豊かな水の都という遺産は残り、こうして訪れた旅人の目を、耳をそして水面を渡る風は全身の五感を楽しませてくれます。

遅めの昼食後、祭りの会場から離れ、川の流域で憩いながら写真を撮ろうと決め、地図もろくすっぽみないで、川沿いに歩き出しました。

そして川が大きなカーブを描き、視界が開けたところまで来たので、小さな花々に向け、一枚撮ってみたのがこのカット。

曇天下、北の方向に向かっての撮影なので、発色はパッとしませんが、それでも、このレンズの開放からのヌケの良さ、ボケの素直さは十分に判るカットになったのではないでしょうか。

そして二枚目。

川沿いの道を上流方向に向かってまた少し歩くと、人工の滝のようなものがある親水公園みたいなところで、親子連れが錦鯉に餌付けなどしていました。

また、その背後の橋の上では長閑に水面を眺めながら、四方山話に花を咲かす中年男女が居たので、それも借景です。

f2.8とは言え、25mmの焦点距離(M8での画角では、33mm程度に相当)では開放でも殆どパンフォーカスに近く、親子にピンを置いてシャッター切ったら、手前の下草から、橋の上の男女まではゆうに被写界深度に入っての作画となりました。

ここにアップする画を選ぶに当たり、水面の冷たさや悠々と泳ぐ鯉の質感までもが感じ取れる、Biogonの描写のクリアさとシャープさに改めて感心した次第です。

それから三枚目。

シャッター音に気付いた童子が顔を上げたので、笑顔で手を振って、その場を離れ、また川沿いの道を上流目指して歩きました。

するとほどなく、もう有名すぎるほど、あちこちで紹介されている川沿いの蔵が見えてきました。

ここでも佐原同様、市内の川を観光資源として有効活用すべく、木造船での遊覧航行を行っています。

そこで、色々な角度、背景で行き交う観光木造船を撮ってみましたが、やはり、今回アップした画が一番、25mmという焦点距離の特徴を表したカットではないかと思いました。

ややコントラストが高く、線も硬めですが、それでも、水面の冷たさや、時代がかった土蔵群、黒塀の質感をクリアにシャープにしかも変なパースも付かずに忠実に写し取っており、国産品とはいえ、さすがZeiss!と手を叩きたくなったのも人情です。

続いて四枚目。

土蔵群を過ぎ、観光地っぽいエリアの先の生活臭が滲む辺りまで歩いて来たら、橋の上で、お婆ちゃんと小々姐が手を繋いで歩いていたのが、急に手を振り解いて欄干に駆け寄り、小々姐は水面を遊弋する鴛鴦の群れに何かを叫んでいます。

苦笑いしながら歩いてくるお婆ちゃんを背後に控え、絶叫する瞬間を捉えたのがこのカット。

ここでは、本来であれば、50mmくらいの玉をR-D1sで使い、75mm弱相当くらいの画角で小々姐の表情などを捉えたかったという思いはありますが、ただ、この古いコンクリートの橋全体の雰囲気も良いし、小々姐とお婆ちゃんには、今回は脇役に回って貰いました。

やはり、澄んだ水面の冷たさや橋の上を通り過ぎて行った幾星霜の刻見つけた風合いを余すところなく捉えており、なかなか得心のカットになったと思います。

川の上流、嘉右衛門橋まで歩き、それからまた、お祭りをやっているメインストリートの一本東側の通りを歩いて、駅方向に戻りました。

そこで、もういっぺん、この広角レンズで山車の揃い踏みの姿でも撮ろうかと思い、メインストリートに足を踏み入れたら、何処からともなく、シャボン玉が風に乗って飛んでくるではないですか。

早速辺りを見回し、童子達が専用器具で"即席シャボン玉師"を務めているのを見出し、至近距離に迫り、何枚か撮らせて貰ったうちの一枚。

赤いおべべの小々姐の至近距離で、「思いっきり吹いて」と注文付け、小々姐がウン♪とうなづき、肺活量の全てを振り絞り、渾身のシャボン玉製造を行っている刹那を捉えたのがこのカット。

横で見ていた親御さんはコンパデジで我が子の勇士を撮るのも忘れ、その表情を見て大爆笑、背後の童子などはその鬼気迫る表情に怯えの様子すら覗えます。

今まで、国産のZeiss銘だから、という変なバイアスで以て、その性能を公正に評価してこなかった感無きにしもあらずですが、FullcolorapartmentのJYさんの作品を拝見し、それならばということで、今回は主役として登場させましたが、結果としてはなかなか満足出来ました。

今後も、銘や産まれではなく、その描写で以て客観的にレンズというものを評価していけるよう、益々精進して行こうと心に堅く誓った次第です。

さて、来週は、また工房作品行ってみましょうか。乞うご期待♪

テーマ:旅の写真 - ジャンル:写真

  1. 2011/12/11(日) 23:09:10|
  2. 深川秘宝館
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A fantastic lens I've ever dreamt~Zunow 50mmf1.8 proto. remounted to FD~

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【撮影データ】カメラ:Canon F-1N 全マニュアル露出、絞り開放、フィルム:Kodak Ektar100、ロケ地:浅草
さて、今週から12月、当ブログの更新も年内はあと数回の更新を残すのみとなりました。

今回のご紹介は、本来は、先月の深大寺撮影会で、晴れれば試写し、その翌日の日曜日にでもアップしようと、カバンには忍ばせて行ったのですが、大雨で結局出番無し、夜のお道具拝見コーナーで参加者の耳目を集めただけとなってしまったZunow50mmf1.8改N-FDマウントです。

長い愛読者の方は、記憶に新しいかも知れませんが、このレンズ、一旦、元の持ち主のcinehiroさんこと、「シネ用レンズを楽しむ」ブログのオーナーの方から拝借して、当工房で初の大物加工ということで苦心惨憺、何とかNikon Fマウント化したのは良かったが、いざFに付けてみたら、後玉押さえのリングがミラーに干渉して、作動出来ない、という事態に陥り、仕方なく、工房の秘密兵器、「Nikon F⇒Leica M」の距離計半連動式のアダプタで以てM8で試写したものをこちらにアップしたのです。

一旦、お返ししたのですが、今年、とある出来事によってか、また、前世からの宿縁か、このレンズを拝領することとなり、そこで何とか一眼レフで使いたいと考え、キャノンEFか、可能であればFDマウント化しようと考えたのです。

暫くの間、考えては忘れ、忘れては思い出して、とうとう11月まで来てしまったのですが、ふと閃くものが有り、そうだ、キャノンFDはニコンFより4mm以上フランジバックが短いんだ☆と思い出し、インターネットであわよくば、と思い、Nikon F⇒Canon FDのアダプタを探してみたら、何と一社だけ、販売しているところがあったのです。

その業者さんのお名前は「ディスカバーフォト」さん http://www.ne.jp/asahi/discoverphoto/co/dpc/main.htm
何と、驚いたことに実家のすぐ近く、車で10分もかからないところにあるお店ではないですか・・・

そこで、深大寺撮影会を週末に控えた11月中旬の火曜日、おっかなびっくり電話して、土曜日の撮影会に使いたいので、何とか金曜日の晩までに郵便局で受け取れるよう御手配願えませんか?とお願いしたところ、即座に着払郵便で発送して戴いて、無事、土曜日には、カバンに納まって深大寺に持って行けたという次第。

とまぁ、顛末というか前置きはさておき、早速、撮影結果を見て行きましょう。

まず一枚目。

かなりのピーカンの下、浅草寺雷門前に着くと、年がら年中たむろしている、車夫の兄さん姐さんが、観光シーズンは書き入れ時とばかり、いつもに増して、セールスに力が入っています。

そこで、雷門をバックに語らい合う若い車夫さん2名をモチーフに一枚戴いたのがこのカット。

後ろ向きのモンチッチ頭の兄ちゃんの顔の輪郭でピンを合わせていますが、こっちを向いて熱弁を振るう、"ウド鈴木"を若く、スリムにしたカンジの兄ちゃんの表情までは被写界深度に納まっているようです。

さすがに、白抜き文字や手拭いなど反射率が高いものはフレアを生じていますが、それでもバックのボケはなだらかで好感持てると思いました。

それから二枚目。

兄ちゃん達にカメラを指し示し、黙礼して通り過ぎると、いつものテストパターン、扇屋さんの店頭の絵図柄扇の試写です。

いつもの通り、距離は1mちょいで下段のひょっとこの口の先端にピンを置いてシャッター切りました。

すると、被写界に収まった上三段はシャープに捉えられましたが、置くの三段は図柄こそ識別付くものの、キレイにボケ、遠い背景はやや芯を残し加減でビネッティング気味のボケとなりました。

そして三枚目。

仲見世をきょろきょろとしながら徘徊し、宝蔵門をくぐって、浅草寺境内に入りました。

そこでいつもの撮影スポット、手漕ぎ井戸ポンプへ向かいます。

すると、いかにも"写真撮ってくれよオーラ"全開のおばあちゃんとお孫さんと思しき二人組が手漕ぎ井戸ポンプにとり縋って、意味もなく、出水しているではないですか・・・

周りには、写真を撮ろうとするどころか、関心を向ける人もおらず、これでは、熱演に対し失礼です。

そこで、「ハィ、一枚戴きますよ♪」とか蛮勇を奮い起こし、思い切り陽気に声を掛けてみたのですが、二人のため、世界は有るの♪状態で、一心不乱に水を垂れ流しています。

そこで一枚戴いたのがこの一枚。

シャッター切ってから、もう一枚くらい違う表情、出来れば童子がこっち向いて笑ってる表情でも撮りたいな、とか思い、暫し立ち尽くしていたのですが、な~んだ、このお二方は隣の国からのお客さんだったワケです。

しかし、こんな幼い童子連れで日本観光に来るとは、裕福な国になったものです。

ピンは童子の眼に合わせていますが、同一被写界面の幼子の手に添えたおばぁの手、そしてトレーナーの図柄は極めて精緻に描写されています。

ただ、ここでもステンレス製と思しき金属光沢を放つ、ポンプのシャフトでは妙なフレアを生じてしまいました。

バックは何故か少々流れ気味です。

続いての四枚目。

せっかく久々に浅草寺に来たのですから、お参りしてお賽銭でも上げようと思い、手水場で手を洗い、口を漱ぎ、本堂にお参りしてから降りてきたら、早速のご利益か、何と素晴らしいシャッターチャンスに恵まれました。

そう線香を上げる香炉で持って、見た目も涼やかな小姐2名組が線香を上げんとしており、反対側最前列でカメラを構える小生と目が合っても、そのまま自然な動作で線香上げを完遂してくれました。

シャッター切った直後、向こうも気が付いたので、慌てて黙礼したら、向こうもってニッコリ笑い返してくれたので、なかなかイイ雰囲気のカットでもありますし、採用と致しました。

向かって左の小姐の眼にピンを置いていますが、背景との距離差が大きいため、かなり浮き立つような描写となったと思います。

後ボケはやや二線気味で芯を残し、煩いカンジになってしまったのは少々残念でした。

最後の五枚目。

かなりイイ気分で香炉を後にし、次の定番撮影スポットである、おみくじ売り場へ向かいました。

すると、居ました、居ました。大学生くらいの小姐二人組が、喧しく語らい合いながら、おみくじの悪いのはね、結んで帰っちゃえば、ナシになるんだよ♪とか、自己解釈のルールみたいなのを友と語らいながら楽しく結ぼうとしてました、そこで、卒爾ながら!と声を掛け、結んでるとこ撮らして、可愛く撮るからさぁ♪とか、いつものように適当な勧誘を行い、モデルさんになって貰ったのがこのカット。

手前の小姐の鼻でピンを合わせていますが、2m強の距離では、開放でも奥の小姐の愛くるしい表情もバッチリと捉えてくれたようです。

バックは相変わらず、近距離は良いものの、遠景は芯が残る二線ボケ傾向が見られます。

今回の感想としては、M8での試写結果があまりにもシャープだったので、それほど、シャープとは思いませんでしたが、3~5枚目の人物撮影では、妙に懐かしく暖かい描写で、これはこれで現代のコントラスト重視で色もどぎつくなりがちな機材とは正反対で面白いと思いました。

しかし、それにも増して、高校上がるか上がらないうちに、アサヒカメラの年間でその時点でもはや幻のテストレポートとなっていたZunow Pentaflexの眼を、甲乙つけ難い日本的美意識に形作られたキャノンF-1Nで存分にスナップに使える、ということが満足だったのです。

さて、来週の更新は何にしようかな・・・栃木の未発表分もあるし、とって置きのスーパーレンズもあるし。
週末までに良く考えておきます。乞う御期待。

テーマ:CANON FD改造レンズ - ジャンル:写真

  1. 2011/12/04(日) 21:00:00|
  2. Canon FDマウント
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プロフィール

charley944

Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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