深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

大人の冒険☆八重山ツアー'12 前編

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【撮影データ】カメラ:1~2枚目;Leica M8 絞り優先AE、ISO Auto、3~6枚目;Zeiss Ikon ZM、フィルム Kodak Ektar100、レンズ;1~4枚目;Baltar40mmf2.5 FMAO、5,6枚目;Cooke Kinatal50mmf1.8、全コマ開放
まずは、次回は工房作品ですよ~~~とか予告しておきながら、工房主は捨扶持貰ってる奉公先のお仕事が、意外に忙しくて、結局、そのまま旅行に突入しちゃったんで、一週間サボっちゃったというのが真相です、深くお詫び申し上げます。

さて、本題ですが、今回は3月の17日から20日までの飛び石連休に有休を一発くっ付け、4連休にした上で、昨年は地震やら何やらで断念した、八重山ツアーに今年は何とか出かけることが出来たので、そこで撮影したものから、今週、来週と前・後編に分けてご紹介致します。

まずは今回の旅程ですが、17日、朝8時半羽田発の那覇経由の便で石垣空港に入り、午後1時半前にはホテルにチェックイン出来たので、そのまま、定期観光バスによる島内一周観光に出ました。

ただ、これは前回の朝9時半発に較べると、時間も短いためか、島の北部の山岳地帯の展望台行きが無かったり、少々コースが違っています。

それでもあえて再び同じようなコースに出たのかと云えば、要は朝出るツアーと午後出るツアーでは光の加減が異なるからです。

角度も違えば、色温度も違う、そんな条件の違いの下、石垣の風景に再びチャレンジしてみたかったからです。

しかも、ガイドさんが違えば、また新しいハナシのネタが仕入れられるし・・・

そんなこんなで、途中の海の見える素敵なレストランでのお茶&おやつタイムを挟んでの島内観光で初日はスケジュールを終え、翌18日は、朝9時半発の高速船で波照間島に向かい、朝から夕方迄自転車を漕ぎまくって島内を駆けずり廻って写真を撮り、また最終の船で石垣に戻り、19、20日と竹富島に通って、ひたすら赤瓦の街並みと、水牛車を撮りまくった、というのが今回の大まかな旅程です。

そのうち、初日の島内観光と翌日の波照間を前編として今回、レポート致します。

では、さっそく、写真の方を見て参りましょう。

まず一枚目。

午前発も午後発も、島内観光の第一目的地は、やはり島の西海岸に位置する、唐人墓地となります。

ここの訪問は前回に引き続き2回目となりますが、何処となく沖縄的な雰囲気を漂わせた絢爛豪華な霊廟は今も静かに佇み、遠い海の彼方を凝視しているようにも見えます。

まずは墓前に一礼し、数枚写真を撮らせて戴きました。

その中でもこの南国らしい棕櫚の木を手前に配置し、青空をバックに物静かに佇む霊廟の姿を捉えたカットが一番気に入ったのでご紹介する次第です。

詳しいエピソ-ドはここではあえて触れませんが、この墓地には、異国の不遇な民を弔うという琉球民族の優しさと、観光資源として目一杯利用するというしたたかさが秘められているような気がしてとても興味深い思いでした。

そして二枚目。

唐人墓地を後にしたバスは沖縄県きっての景勝地、加平湾へと向かいました。

ここは何でも、ミシュランの観光地ガイドで、日本でも稀有な「☆☆☆」、即ち、わざわざ見に行く価値有りとの評価を下された稀有な名勝で、確かに青い海と空、そして白い砂浜は、あたかも説話に聞く楽浄土を思わせる好ましい様子です。

その美しい浜辺を見下ろす木陰で地元の若いカップルが楽しそうに語らい合っています。

思わず好機とばかり、そのシルエットを一枚戴きました。

Baltar40mmf2.5FMAOは、思ったより被写界深度が深く、5~6m離れた被写体を撮ったら、開放でも、背景の雄大な景色をややボケ加減ながら、ばっちりと捉えていました。

それから三枚目。

石垣について二日目の朝、高速船に乗っての波照間初上陸です。

今回は、かなり訪問者が多かったためか、通常一艘の高速船が満員になり、仕方なく、西表島の大原港経由の連絡船での波照間入りとなりました。

考えようによっちゃあ、同じ船賃で西表島の港の様子も見物出来たので得したと云えば、云えないこともなかったのですが・・・しかし、その甘い考えは、小浜島沖を過ぎてから無残にも波濤に砕け散りました。

とにかく揺れる、揺れる・・・揺れるなんてもんぢゃなく、船が飛び上がって、水面に叩き付けられる、そんなことの繰り返しです。

船員さんが、黄色いポリ袋を手に何度も船室を行ったり来たりしているのは、こういうシチェーションだと、払い戻しをしてしまう乗客が多発するからでしょうか。

渡名喜島行きの経験から、こういう時は何も腹に入れておいてはいけないと思い、朝飯抜きで乗ったのが幸いし、何とか無事、島に辿り着きました。

そして島では交通手段が皆無なので、何か確保しなければなりませんが、ここで致命的なミスをしでかしました。

そう、自転車には、100%人力式と電動アシストの二種類有って、前者は一日1000円ポッキリ、後者は2000円もするのです。

スクーターがガソリン代込みで2500円なのに、たかが自転車に2000円も払えるか!ってんで、貸し自転車業者には真っ先に着いたのに、ケチって100%人力式を借り、港近くの業者さんから集落へ繋がる道のすぐ近くの坂で、もうアゴを出しての立ち漕ぎです。

平坦な島のようで結構な坂が有り、イイ運動にはなりましたが、脚もパンパンに張りました。

そんな自転車旅の途中、集落に入ってすぐのところで、遊んでいる子供達に声を掛け、写真を撮らせて貰おうとしたら、まず女の子がヤダァ~と逃げ、二人いた男の子のうち小さい方が、一緒に逃げ、一番上の男の子だけが覚悟を決め、赤瓦の家の前でモデルさんになってくれたって次第です。

で、自分だけ逃げ遅れたカッコになっちゃったんで、ちょっと固い表情なのでしょう。

続いて、四枚目。

童子に心からお礼を述べ、また自転車に颯爽と跨り、集落の中を巡ります。

すると、リアカーを曳いた生徒みたいな人々がこちらに向かってくるではないですか?

こんな時、土日の朝の下町巡り系の番組だと、阿藤海とか、車団吉が、声を掛けて、インタビューみたいな展開になると相場が決まっているので、それに倣い、声を掛け、リアカー曳いているとこを撮らせて貰えるよう交渉します。

胡乱なおぢさんの唐突な申し入れですからムリもない、不承不承?了解して戴いたはイイが、やれ前向けだの注文付けて、やっと撮れたのがこのカット。

それでも小姐2名はやはり恥ずかしいのか俯き加減で、男子のみが、カメラ目線でこっちを向いてくれています。

少年少女達、見てますか?
どうもありがとね! もしメールくれれば、このカットをメールに付けて送りますよ。

まだまだの五枚目。

リアカー曳きの生徒達に名刺なぞ渡し、お礼を述べてから別れ、また自転車の一人旅は続きます。

すると、何処からともなく、牛の鳴き声が聞こえてきました。

まさに牧歌的な雰囲気とはこのことです。

声のする方を向いてみたら、うちの実家のチョコラブにそっくりの若い黒毛牛が、人恋しいのか、だらだら坂をちんたらちんたらと自転車推して登る小生を見掛けて、啼いたのかも知れません。

尻尾を振って歓迎の意を示しているようなので、牛の繋がれているガジュアマルの樹の近くまで歩み寄り、ロープのアウトリーチから一枚戴きました。

因みに小生は、もう12年以上も牛肉は食べないようにしているので、牛の方は、この人間は敵ではなさそうだな、と思い、啼いてみたのかも知れません。

そんな取り止めもないことを考えてしまったほど、この仔牛はつぶらな瞳で尻尾などを振りながら、小生に歓迎の意を表していたのです。

さすがシネレンズ、EKTAR100フィルムのように映画用フィルムからスピンアウトしたフィルムでの撮影では、仔牛の鼻先にピンを合わせて撮ったら、合焦部は浮き上がっているかのように見えます。

最後の六枚目。

ランチ前の最後の撮影地、最南端の碑近傍です。

碑自体は、コンクリート製だかの凡庸なものなので、ガイドブックの類いに任せておくとして、その反対側の珊瑚石を積んで拵えたという、ミニ万里の長城みたいな小径の方が気になりました。

遥か後方には、天文台も見えますし、叢の緑と空の青のコンビネーションも最高、適当に構図を取り、迷わずシャッターを切りました。

手前の珊瑚石の石積みに合焦し、その背景はあたかも油彩の風景画の如く、こってりとした色ノリでボケてくれています。

まさに燦燦と降り注ぐ陽光の下だからこそ、気難しいEKTAR100フィルムの実力発揮といったところでしょうか。

この後、工房主は、貸自転車業者のお姐さんの「ランチは1時かっきりで終わっちゃうとこがだいたいだから気を付けてね」というセリフを間に受け、立ち漕ぎの連続で島周回道路を疾風の如く駆け抜け、集落に大急ぎで戻り、メシを食べさせてくれそうなところを主に鼻を頼りに探し廻り、ついには民宿の賄いを食べている現場に踏み込み、やっと紹介して貰ったお店「ぶどまれぇ~」さんで美味しい八重山そばともち黍おにぎり、そしておまけの自家製バナナなんかを御馳走になり、また、体力の続く限り集落内を自転車で駆け回り、鬼のように撮りまくり、さすがに3時半も過ぎたら、日焼けがしんどくなってきたので、ターミナルで休もうと、自転車を返しに港の近くまで戻り、自転車を返してのち、ターミナル内の食堂で、なんと幻の泡盛「泡波」が一杯300円で好きなだけ飲ませてくれるってんで、2杯ほど美味しく戴いて、帰りはベタ凪の海路を再び石垣に戻ったって次第です。

さて、来週は八重山ツアー後編行きます。

乞う御期待。

テーマ:旅行の写真 - ジャンル:写真

  1. 2012/03/25(日) 22:00:00|
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Resurrección de la caja de basura~Ai-Nikkor28mmf2.8~

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【撮影データ】カメラ:Canon EOS1DsMKII ISO400 絞り優先AE、全コマ開放、 ロケ地:深大寺
まずは、東日本大震災からちょうど一年目の今日、無事にブログ更新出来る僥倖を改めて感謝すると共に、尊い生命を落とされた方、愛する方々を亡くされた方々には心よりお見舞いを申し上げます。また、被災地の一日も早い復興を心より御祈念申し上げます。

さて、今宵のご紹介ですが、ちと趣向を変えて、比較的新しい一眼レフ用レンズで、性能良く、品物の出来も素晴らしいのにも関わらず、あまり陽の当たらないモデルが工房にあったので、それを深大寺へと引っ張り出してみました。

このAi-Nikkor28mmf2.8は、1974年にリリースされ、Ai-sに跡目を譲る1981年まで製造、販売が続けられました。

構成はいわゆる、変型レトロフォキュタイプの7群7枚で、最前群に凸の一枚玉、その後2枚の異なる曲率の凹レンズからなる光学系を噛ませ、樽型の厚いエレメント以降のマスターレンズ系をその後の配置した形となっています。

では、こんな工房主の普段の趣味からかけ離れたとも思えるレンズが何故登場したのか?・・・

それは、オリジナルの改造パーツ、特にヘリコイド周りを自製出来ない工房の宿命で、時折、新宿辺りの中古カメラショップを廻って、ヂャンクパーツ中心に買出しをしなければならないのですが、或る時、新宿の某巨大チェーン店のヂャンク棚に不可解な物体を見つけました。

それは、外見はご覧の通り、擦れも激しく、しかも、値段タグには「ヘリコイドオイル抜け、自動絞り不安定」と書かれていて、誰も顧みる人も居なかったのか、値段は二度書き直され、買った時には、3500円となっていました。

しかし、ぱっと見て、惹かれるものがあり、手に取って良く良く見てみれば、グリーンのマルチコートも美しい前後のエレメントには、キズはおろか、カビ跡、ムラなどもなく、外観とは不似合いな良好な状態でした。

そこで、ついつい買って来てしまい、手間暇掛けて前後のエレメントを外し、絞りユニットはアセトンで前後から徹底的に拭き掃除、ヘリコには工房特製ブレンドのテフロン系のものを軽めに塗布して組み上げました。

では、早速、実写結果を見て参りましょう。今回は、震災法要への参列も兼ね、深大寺へ行きました。

まず一枚目。

つつじヶ丘からバスに乗って、「御塔坂上」のバス停で下車し、腹ごしらえのため、お目当ての蕎麦屋へと足を急がせます。

が、人の心は移ろい易いもの、馴染みの「湧水」さんんではなく、その手前の「深水庵」さんへとふらふらと入ってしまい、そこで玉子焼、蕎麦豆腐、そして大盛蕎麦を戴きました、〆めて1200円也。

お腹も心も満足し、撮影へとシフトアップしました。

いつもの通り、近傍の水車などを撮ってからそぞろ歩き、深大寺城址へ軽い足取りで登って行きました。

で、ここでまず「昭和枯れすすき」こと、バンパグラスの群生越しに芝生エリアを撮ったものです。

さすが新しいレンズだけあって、殆ど逆光に近い状態とは云え、EOS1DsMKIIの優秀な露出計によって導かれた適正露出と相俟って、フレアもゴーストも皆無で、穂のディテールも繊細に描写されています。

また、「この樹・何の樹・気になる樹」のそっくりさんも背景に見えますが、キレイに融けるが如くボケています。

そして二枚目。

同じ深大寺城址の芝生エリアで少々場所を移動し、「この樹・何の樹・気になる樹」の全景をシルエットで撮ることとしました。

まさにここでも、ゴーストや、フレアへの耐性も確認出来ましたし、コントラストが高い割には、暗部の再現性も悪くはありません。

要は優れた光学設計と、新しいマルチコートの恩恵で透過光量が増えると共に、内面反射等によるロスや光学的ノイズが少ないため、トレードオフとなるコントラストと階調再現性が高いレベルでバランスしているからなのではないでしょうか。

それから三枚目。

芝生エリアには、必ず撮影するアイテムが幾つか有って、そのうちの一つが、この屋敷跡の柱の位置を示す黒御影石の石柱なのです。

磨き上げられた石柱の上面には、空に浮かび風に流される雲々の姿が映っていて、それを捉えようと試みましたが、まだまだ腕が未熟な故か、このカットでは良く判らなくなってしまったのがとても残念でした。

ピンは石柱の向かって左手前のエッジに合わせていますが、石柱後端から後ボケになりかけているのは大したものですし、遠くの石柱がキレイに融けるが如きボケとなっているのには瞠目しました。

続いて四枚目。

深大寺城址での撮影を終え、下の神代植物園附設水生植物園に向かいました。

ここは、小さいながら、深大寺の豊富な湧水に育まれた湿原が在り、陽の傾き出した昼過ぎには、構図に水面を入れると、なかなか面白いカットが撮れることがあります。

そこで、曇天の今日は、桟橋の上から水面を眺めたら、空を流れる雲が妙に美しく映っていたので、いつもとは趣向を変えた構図で何枚か撮ってみた次第。

そのうち、海と陸の稜線のバランスが一番良さげなものがこの一枚です。

まだまだの五枚目。

附設水生植物園での撮影を終え、茶店街へと足を運びました。

ここでも、レンズの評価用に必ず撮影するアイテムが有って、それは、或る茶店のミニ庭園の入口に置いてある、石の蹲です。

奥の竹の簾の手前側にピンを置きましたが、ややハイライトが飛び加減ながら、空を行く雲も、蹲の水の中も程好い加減で写り込んでいます。

ただ、蹲の手前部分のボケは、何と言うか、感覚的に申せば、ちょっと息が詰まるようなボケ方なのが、難と云えば、難だと思いました。

最後の六枚目。

いつもの茶店街でのカットです。

標準レンズであれば、買い物する人、品物やお釣りを渡そうとするお店の人とのやりとりをもっと間合いを詰めて撮るところですが、何せ28mのフルサイズ機での撮影は掛値無しの28mmですから、迫力有る買い物風景のスナップなんぞ撮ろうとしたら、それこそ息が掛かるくらいの至近距離に寄らねばならないから、ま、こんなもんなんでしょう・・・お手軽スナップとしては。

ピンは「よもぎもち」の幟に合わせていますが、その手前の「そばぱん」の幟の下半分もかろうじて被写界深度に入っているようです。

ここでは、手前のビニール袋の菓子類も、遠景の売り子のヲバサマもイイ案配に自然なボケ方をしていると思いました。

今回の感想としては、まさに中古カメラ、レンズの値付けは「外観のキレイさ」これだけに尽きるのでは、ということ、つまり、手擦れが有ることで、捨て値同然でも、エレメントをはじめ、内部の機構が健全であれば、「写す」という本来の目的には充分叶うことが可能であるということです。

さて、次回は工房作品の出番ですが、何を紹介しようかな・・・とか云っても、今回一緒にテストした春の新作レンズなんですが。

テーマ:風景写真 - ジャンル:写真

  1. 2012/03/12(月) 00:14:18|
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Return of LOMO as a fighter in digital age~OKC-6-50-2

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【撮影データ】カメラ:R-D1s+SLカプラ、絞り優先AE、ISO200、露出+1/3、全コマ開放、ロケ地浅草
さて、今宵のご紹介は、またしても掘り出し物のレポートです。
このキエフIIにちょこんとくっつけられた、"LOMO"の刻印も控えめな漆黒/シルキークロムの改造レンズ、これは、1992年にレニングラード光学機廠がデジタル用映画カメラでの利用を前提に満を持してリリースしたシネレンズです。

ついでに刻印の意味も御説明しておくと、"OKC"とはObjective Kamera Cinema"のことでつまりキネマ用レンズという意味で、"50"がノミナル焦点距離、そして最後の"6"はシリーズ番号で、開発世代を表し、"6"は今のところ最終型でデジタルでもゴーストやフレアが出ないコーティングを施されている、というアナウンスでした。

構成はオーソドックスな4群6枚のオーピックタイプ、全面にマルチコートが施され、見た目にもゴーヂャスでコレクション意欲をそそります。

このモデルは昨年秋にご紹介したPO3-3Mという先輩格のシネレンズの改良型に当たるワケですが、果たしてその性能は、偉大なる先輩を超えるのか?

ということで、早速、実写結果を見ていきましょう。但し、PO3-3Mの試写はM8で、こちらはR-D1sなのでシャープネスは若干ハンデを負っていることは予めご了解下さい。

まず一枚目。

木場から地下鉄に乗って浅草につき、雷門近くの出口から地上に上がると、まずは雷門を目指し、途中の人力車乗り場付近で何枚か車夫さんの営業風景なんか撮り、門を目指しました。

門の表で何カットか撮り、仲見世を歩き出そうとした刹那、門裏で吸水性高分子素材を使った、怪獣のおもちゃを子供相手に売る露店が出ており、しめしめ、今回は、ちょうど子供っぽい童子2名があーだら、うーだら、熱い議論を交わし、品定めをしています。

そこで、横の親御さんに目配せしてカメラを指さし、撮るよと合図してから、撮ったカットのうちの一枚。

ピンは小々姐のダウンヂャケットの胸のタグで合わせましたが、いやはや、このSLカプラは構造上、回転角が大きく、いつも使っているL39やMの純正や改造レンズに比べ、速写性に欠け、その結果、よく動く童子達への追従MFは困難を極めますが、えいやっとシャッター切った一枚はこのように解像感も十分で前後のボケも満足行く結果となった次第です。

そして二枚目。

親御さんに会釈してその場を立ち去り、次の定点撮影スポットである扇屋さん前に移動しました。

ここではいつも、店頭に並べられている様々なな江戸模様の団扇を撮らせて貰い、背景のボケが良く判るようにしています。

ピンはひょっとの鼻に合わせたつもりですが、実際はその1インチ弱後方の団扇のエッヂからおかめの右側の輪郭くらいに合っており、かろうじて被写界深度でセーフかなというところですが、ボケが特徴的なのでボツにせず、あへて採用しました。

3m強後方の藍染の暖簾くらいまではまぁ何とか許容範囲ではなかと思いますが、その遥か後方の通りは電信柱をはじめ、2線ボケというか、ぐずぐずに崩れてしまっていて、収差の出方がほんまにシネレンズかいな?てな按配でした。

それから三枚目。

また仲見世を本堂方面に向かって歩いていきます。

途中、これはと思ったシーンで何枚かシャッターを切りましたが、同様の理由で、とにかくピントの微調整が困難を極める上、ヘリコ部分が無限とか最近接まで行ってしまうと、戻すのが固くなってしまい、その結果、MLリングの締め付けがゆるみ、これがあたかもダブルヘリコイドの如き作用を引き起こし、ピンがずれるという結果をもたらします。

それでも、何枚かは上手く行ったカットがあって、M8とは違い、連写が効かないR-D1sにあって、会心の一枚はなかなか満足感が得られました。

その会心の一枚というのがこのカット、本日のベスカットではないかと自分では思っています。

宝蔵門近くで、お子さんを背負った若いヲヤヂさんを見かけ、人ごみを縫って追尾し、かなりイイ線まで肉薄し、必殺のシャッター切ったのがこのカット。

予め、SLカプラのネジはきつく締め直し、かつ、ヘリコを2m~1.5mのところへ合わせておいて、至近距離に入って、フレーミングがばっちりのところで、シャッター切ったものです。

ちょうど、16時過ぎの夕陽を浴びた童子の寝顔は何とも無邪気で愛くるしく、思わず、この子の将来に幸多かれ、と祈らずには居られませんでした。

ここでは、後ボケは相対的に距離が近くなっているためか、鑑賞にはそれほど妨げにならないレベルに収まっているのではないかと思いました。

続いて四枚目。

この幸せそうな親子へと心の中で感謝の念とエールを送り、その場を離れ、お参りもしたかったので、本堂へ入りました。

お賽銭を上げて、むにゃむにゃと幾つか個人的なお願い事をしてから、また俄然撮影モードに入り、本堂の西側エリア、そう西陽が差し込む扉付近に視線を走らせます。

すると、かなり低めの角度で差し込む夕陽を背後に浴びながら、年輩のヲヤヂさんと、いたいけな童子がお御籤なんかを棚に結えています。

そこで、するすると人ごみを縫って、斜め横に近寄り、逆光試験も兼ね、童子が顔を上げた瞬間を狙いシャッター切ったのがこのカット。

結論から先に云っちゃえば、逆光下では、先輩格の赤い毒々しいコートを纏ったPO3-3Mに大敗です。

PO3-3Mは江ノ島の海岸で海面に反射した西陽が斜め後ろから光る、インド人の親子を撮りましたが、そこでは、フレアの類いは皆無で、撮った本人が後でびっくりしたくらいですが、同じくノーフード状態で撮ってみたら、しっかりと円弧状の虹が童子の愛くるしい顔を横切ってしまいました。

しかも、背景の木々は好みでない、ぐるぐるが出かけていますし、なかなか気難しいレンズのようでもあります。

まだまだの五枚目。

お参りを終え、何枚か本堂内で撮ったので、肩の荷も降り気楽なキブンで次の撮影スポットである屋外お御籤売り場へと移動します。

するとここでも、ステンレス製のテーブル部と木製の引出しが良い按配に夕陽を浴びて照り返しており、これを撮らない手はありません。

そこで、お御籤売り場を真横から串刺しにするようなポジションに陣取って、「おみくじ」の文字にピンを合わせてシャッターを切ったつもりなのですが、ここでも、もはやアダプタの相性の問題なのか、若干後ピンになっています。

最後の六枚目。

そろそろ陽も傾いて来たので、どこかでお茶もしたいし、帰り道を急ぎました。

仲見世の間道で、雷門近くに老舗のお煎餅屋さんがあるのですが、そこがいつも、白熱電球で店内を煌々と照らし、また商品のディスプレィも良いカンジなので、写真を撮らせて貰おうと歩み寄ると、お店の方がちょうど出てきて、商品の並べ替えだかを行っておられました。

そこで、一枚撮らせてね、と声を掛けたところ、どーぞ、どーぞ、良いのを撮ってやって下さいね、観光客の方ですか、いや、そうとも見えないな・・・あ、アマチュア写真家の方ですか、あ、邪魔でしたね、ぢゃ、ごゆっくり、などと会話を交わし、店頭に佇み、向かって右の棚の端の瓶にピンを置いて撮ったのがこのカット。

ここでは、ちゃんとピンが来ているのですねぇ・・・いや不思議、たぶん、このカプラのカムの形状、口径から、距離によっては、後ピンになっちゃうのではないかと、勝手に推定した次第。

後ボケはまぁまぁ見苦しくないレベルですし、何よりも驚いたのは、こんなに煌々と輝く白熱電燈が被写界に入っていても、R-D1sはかなり高い精度のAEで適正露出を導き出し、また、このシネレンズは、全くと云って良いほど、フレアもゴーストも出さず、光源の形をありのまま背後に捉えています。

今回の感想は、マルチコートで一番新しいタイプのシネレンズとは云え、シチュエーションでは、古くてしょぼいモノコートのレンズにも負けてしまうことがあるのだ、と思いました。

しかし、M8とR-D1sというハンデを負っていた割には、3枚目の夕陽を浴びた幸せそうな親子のカットのような満足行くものが撮れるので、早々にライカマウント版も製造したい、と思った次第。

さて、次回はローテに従い、工房附設秘宝館からコレクションご紹介致します。乞う御期待。

テーマ:ニコンSマウント - ジャンル:写真

  1. 2012/03/04(日) 22:00:00|
  2. Sマウント改造レンズ
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プロフィール

charley944

Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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