






【撮影データ】カメラ&レンズ:1~5枚目 M8+Bausch & Lomb Baltar50mmf2改L39 絞り優先AE ISO Auto、6,7枚目;Epson R-D1s+ Leitz Summicron50mmf2三代目 絞り優先AE ISO200 全コマ開放
さて、今週も予告通り、佐原夏の大祭'12の最終日、7月14日の日曜日朝からの行動に沿って、作例を見て参りましょう。
根がリ-マンな工房主は、土曜日の晩はまだ山車の巡航が続いていたにも関わらず、所定枚数撮ったのと、早いハナシ、疲れちゃったので、8時台の電車で成田に引っ込んでしまい、晩飯もそこそこに当日、乱写?した1200枚超にも及ぶカットのレヴューとピント、構図上、あまり宜しくないカットを篩い落としていったら、結局、夜の12時過ぎになってしまい、宿名物の大浴場に漬かってから1時半過ぎ就寝、そして翌朝は10時40分の成田線銚子行きで佐原へと出勤したのでした。
まず一枚目。
今回初体験の夏祭りとは云え、もう5年以上にも亘り事有るごとに訪ねている佐原の街のことですから、11時過ぎに駅に着き、駅のロッカーに荷物を預けて、そこから撮影ヨーィドン!!となっても、平然としたものです。
小野川エリアへの最短ルートを通って、注意深く周囲を観察し、また祭囃子に耳を澄ませて被写体を求めて徘徊していたら、朝の本格稼動前?と思しき坂田の金時と姥の山車の社中に出くわし、その周囲でお祭りの四方山噺に華を咲かせる、曰く有りげな男女?が目に留まったので、勇壮な山車と赴き深い歴史地区を背景に一枚戴いたのがこのカット。
ピンは女性の帽子に合わせていますが、被写界深度内の布製品、人の肌等の質感再現性、そして何よりも背景から浮かび上がるが如き、シャープでクリアな描写は、さすがUSゲルツがボシュロム向けにOEM製造した逸品と思わせる高性能ぶりですが、ただ、背景の金時、姥親子?は流れが認められ、少々残念な結果となってしまいました。
そして二枚目。
横を通りがてら、モデルさんになって頂いたお三方には黙礼をしてその場を後にし、ふと小野川の方に注意を向けると、ボボボボ~というエンジン音とともに、和船がお客満載で近づいてくる姿が目に留まったので、加速装置オンのサイボーグ009よろしく、カメラ2台とバッグを風になびかせ、川べりの水面に近いテラスまで駆け下り、近づきざまに一枚、通り過ぎざまに一枚と連写を浴びせたうちの一枚がこのカット。
ここでは、娘???船頭さんの菅笠にピンを合わせたのが、船の動体予測AFとはならず、その背後の人物の背中に合ったカタチになってしまいましたが、ここでもやはり被写界深度内ではシャープでクリアでそれこそ船のエンジン音、水を掻き分ける音までが聞こえてきそうな臨場感ではないでしょうか。
また、手前のアウトフォーカスゾーンの柳の葉のボケ具合いも極めてナチュラルで鑑賞の妨げとはならないと思いました。
それから三枚目。
船が通り過ぎ、カタチが見えなくなってから、再び川沿いの道に上がり、忠敬橋方面に歩いていたら、祭り装束の童子達が川沿いのベンチに腰掛け、山車の稼動の合間、息抜きをしている様子でした。
そこで、近寄りざまに「一枚撮らしてね」と声をかけたところ、まともなリアクションを示したのが、この将来有望と思われる美小々姐だけで、しっかりカメラ目線くれています。
その美小々姐の意を汲み、御好意をしっかりと戴いたのがこのカット。
ここでもアメリカ産まれのシネレンズは、将来楽しみなこの美小々姐の外見だけでなく、気立ての良さ、度胸の良さといったものまで、シャープでクリアな描写性能で垣間見せてくれたのではないかと思いました。
なお、この小々姐、相当、写真馴れしているらしく、菅原道真公ゆかりの山車の周辺での撮影で手古舞社中を撮った写真のうち、写っていたカット全てで笑顔と目線くれていました(笑)
続いて四枚目。
ベンチの童子達に撮影協力のお礼と、熱中症には気を付けて小まめに水分摂れよ、回転体である山車の車輪には気を付けろよ、お腹壊すから冷たいものの食べすぎにも気を付けろよ、とか一昔以上前の「八時だょ全員集合!!」の加藤茶宜しくおせっかいなことを述べ、爆笑の渦に包まれ、その場を後にしました。
そして約数10メートル歩いたところで、菅公山車の社中の佐原囃子の手古舞が始まりました。
ここでも、まだ朝早い時間で地元民各位しかギャラリーは居ないですから、かなり自由にポジション出来たので、ぱっと見て、踊りのキレの良さそうな女性がご本尊さまである山車をバックにポーズを決めてくれている構図を狙ったのでした。
ここでは、女性の凛とした横顔にピンを合わせましたが、距離の関係か、指先まで緊張の糸が張り詰められている扇を持つ右手の美しい仕草まで充分に捉えられました。
背景の菅公山車はぐるぐるこそ出ませんでしたが、シャープなレンズの反作用とも云える、僅かな芯を残したざわざわ感ある後ボケになってしまったのはやや残念でした。
更に五枚目
踊りが終わってから、モデルさんになって貰った小姐に黙礼してその場を後にし、川沿いの道を香取街道に出ました。
するとここでも威勢良く掛け声掛けて山車を曳く小姐達が居て、前日、ヲヂゐさまカメラマンに取り囲まれ、「アタシ、結構撮られること多いんスよね、目立つし・・・」とか、物怖じせず、豪胆にもミニ撮影会を仕切っていた
ブロンズ髪の粋でいなせな小姐の姿が目に留まったので、さすがに演技中の声掛けは憚られたもの、横を並んで歩きながら、カメラ構えて物欲しそうな目線を向けていたら、笑顔でウンと頷き、シャッターチャンスを何回か作ってくれたので、ご厚意に甘えました。
そのうちのベストショットと思われるのがこのカットです。
健康的で気立ても気風もイイ佐原女の晴れ姿が、大きな掛け声とともに甦るようなカットとなったのでは、と個人的には思いました。
しかし、背景の露店の中のくじ引きだかの景品が芯の残ったボケでグズグズ気味なのは、ちょっと残念だったような気もします。
まだまだの六枚目。
ブロンズの小姐に黙礼をて、その踊りの列からは離脱し、通りを西の方向に進んでみました。
すると、山車曳き最中ながら、小休止をイイことに親御さんだか大人に貰ったパイナップル串を旨そうに頬張る小々姐の姿が視界に入ったので、小走りに駆け寄り、「それ旨そう!食べてるとこ撮らしてね!!」とか強引に頼み、え、こんなカンジ!?とか首をかしげながら食べてるとこを戴いたのがこのカット。
因みに撮影が終わり、ハィ有難うございました、とか云ったら、お粗末サマでした・・・とか言い返されたのには少々面くらいましたが・・・
このカットはR-D1sとSummicron50mmf2三代目の組み合わせですが、M8とBaltar50mmf2.3とはまた違ったシャープで臨場感の有るカットになったのではないでしょうか。
ただ、背景で少し距離が離れたところの藍染の法被の文様のボケが芯の有るざわざわ系になってしまったのは御愛嬌かも知れません。
最後の七枚目。
この将来有望な演技派小々姐に心尽くしの御礼を述べその場を後にし、夕刻まで大通りこと香取街道周辺でシャッターチャンスを求め徘徊していました。
そこでも、かなり至近距離で楽奏中の山車とすれ違うことが何回かあり、ただ至近距離で下座連の演者をどアップ撮影しても面白みに欠けるので、適当な背景が写り込むシーンを求め、何回か行きつ戻りつし、それこそ何十カットも試しました。
このカットはその中でも背景の屋根、演者との間合いといった構図、そして屋根越しの人物を撮る時に苦労しがちな露出の問題もAEロックを駆使し、かなりイイ案配に撮れたと思った一枚です。
ピンは鼓の皮部分に合わせましたが、この時点では酷使によるR-D1sの距離計の狂いで、だいぶ前ピンとなってしまっていて、怪我の功名と云ってはなんですが、たまたま目線くれた手持ち無沙汰の笛のヲヂさまの顔に何となく合っています。
ここでも、シャープなレンズの性なのか、どうしても背景は芯が残ったざわざわ系になってしまっています。
さて、今回の佐原夏の大祭に泊り掛け2日間に亘るロケでしたが、う~ん、羨ましいぞ・・・こんな老若男女から旅の異邦人まで一緒になって楽しめるお祭りなんてそう何処でも有るもんぢゃなし、しかも、何を隠そう国の重要無形民族文化財なのですから。
さぁ、秋の大祭に向けて、益々精進せねば。
来週は、たぶん、工房附設秘宝館のコレクションを利用した、夏祭り系のネタ行こうと思ってます。乞う御期待。
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- 2012/07/29(日) 21:10:06|
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【撮影データ】カメラ:1、2枚目、4~6枚目;Leica M8 絞り優先AE ISO Auto、3、7枚目;EPSON R-D1s 絞り優先 3枚目ISO200、7枚目ISO800
レンズ:1、2枚目;Leitz Elmarit28mmf2.8三代目、3枚目;東京光学Simlar5cmf3.5、4~6枚目;Leitz Summicron50mmf2三代目、7枚目;Angeniuex35mmf2.5改M
さて、今宵のご紹介は、いよいよ夏本番、待望の佐原夏の大祭'12からのレポートです。
佐原という街には、歴史的な佇まいと、たゆたうが如き時の流れ、そして温厚な土地の人々の大らかで優しい心根に感ずるものがあって、ここ深川に居を構えたのと同じくらい昔から訪れていたのですが、夏祭りにやってきたのは初めてだったのです。
なんとならば、7月の海の日込みの3連休にはほぼ例外なく年休をくっつけて、沖縄か海外に遊びに出かけてしまい、佐原のお祭りは気候が良くなる頃の秋祭りにのみ泊りがけで出かけていたからです。
しかし、今年は、奉公先が別の大店と合併するとのことで、諸事雑事が小生のような浮き草志向の奉公人にも容赦なく降りかかり、年休どころではなくなってしまったので、それならば、ということで、今回は豪奢にも成田の駅前ホテルに2泊とって、土曜日の朝から日曜の夕方まで徹底的に楽しませて貰うこととしたのです。
7月14日の初日、土曜日は、10時過ぎの電車で佐原に向かえば、11時前に着いて、お昼前から数百前は撮れるだろうとの甘い目算は、駅に着くと、即座に崩れました。
というのも、成田線の銚子区間が信号機故障で下りが運転見合わせで、しかもバスも12時22分までありません。
駅の待合室で注意深くアナウンスを聞き取り、状況が変われば、すぐ事を起こせるようスタンばっていたのですが、駅員諸氏もこういう状態に馴れていないのか、指示、アナウンスは二転三転し、振替バスの用意するから、佐原へのお客さんは並んでくれ、と云ったかと思えば、次の千葉への折り返し電車が佐原までなら運行出来るかも知れないから、それを待ってくれ、と云ってみたり、やはり出来ないことになったから、バスまで移動してくれと、長蛇の列の向きを変え始めた頃、銚子からの上り電車が折り返し運行出来そうなので、そちらに乗ってくれと言い出したのには、お客は全員カンカン状態、しかも、担当駅員氏は、電車の方が佐原ならバスより間違いなく早く着きますから、バスに乗り切れない、列の後ろのお客様は電車にして下さいと云って5分も経たない頃、やはり、振替バスは出ないことになりましたから、皆さん、これから入線する成田線の電車に御乗車下さい・・・こんなやりとりで、結局、電車に乗って佐原に着いたのが12時も10分くらい回った頃。
それでも、まぁ、天気は望外の好天で、人も少なかったので、撮影自体はちゃっちゃと捗ったってことです。
さて、まずは一枚目。
駅から降りて、観光案内所方向のいつものお祭りロードを歩いていくと、あれれ、秋の賑やかさというか、祭り衣装の人々も露店も全く無い。
え、どうしたのか?と思いつつ、駅の案内で貰った案内図を見てみれば、な~るふぉど!秋祭りは主に小野川の西側、夏祭りは東側で行われているので、佐原駅が川の西側に位置しているので、夏祭りの時は、意外と閑散感アリなのだと納得しました。
正確には、夏が八坂神社という町の東側に鎮座まします神社のお祭りで、秋が諏訪神社という西側の小高い丘の上の神社のお祭りということでした。
勝手知ったる他人の台所よろしく、佐原の主要エリアは眼をつぶっても何処でも最短ルートで行き来出来ますから、お祭り会場の香取街道には、ちんたらちんたらと写真撮りながらでも15分も経たないうちに着き、ここからが、レディゴー!鬼の撮影修錬の始まり始まり、です。
そんなキブンの高まりとともにキョロキョロと被写体を物色しながら歩いていたら、ふと眼に留まったのが、古い町並みの横道へと楽しそうに談笑して歩いていく、祭り衣装の小姐3人組の後姿でした。
これはもう戴くしかありませんね、と格好のロケーションに感謝しつつ、シャッター切ったのがこのカット。
関東三大祭と言われ、その筆頭とも目される佐原祭りながら、こういう、村祭り的な緩い雰囲気がそこここに漂うカンジが人を惹きつけてやまないのではないでしょうか。
こういう裏道、横道、路地裏系スナップにはElmarit28mmf2.8は他を寄せ付けない威力を発揮します。
それから二枚目。
とにかく、イイカットを撮るには、人が多いところへ向かわねばなりません、ましてや、お祭りというのは、日常生活とは隔絶された「ハレ」の場ですから、写真を撮ったり撮られたりは、もう挨拶代わりみたいなもんです。
そこで、一仕事終えて、かき氷にありついている、まさに江戸勝りを絵に描いたような、粋でいなせなお姐さん3人組にちょいと声かけて、撮らして貰おうとしたら、「普通モードがイイですか、それともばっちし目線モードにします?」とか面食らうようなこと云われ、ははぁん、この姐さん達、撮られ慣れしとるなぁとか思い、即座に「ぢゃ、スーパーナチュラルモードでお願いします、拙者をタダの風と思ってそのまま食べてて下さい」とか云ったら大ウケ、「お兄さん、超ウケ過ぎ~!」とか云いつつも、真顔に戻り食べ始めたところ、一枚戴いたのがこのカット。
さすが貫禄の向かって右端の女性は極めて自然ないかにも楽しげな笑顔を演じてくれてますが、他の2名は、役者やのぉ~とか云って、今にも噴出しそうな表情です。
それから三枚目。
いずれも演技派で気立ての良い、姐さん3人組に心より撮影協力の御礼を申し上げて、また被写体探しの彷徨は続きます。
7月も中旬云と云えば、暴力的な暑さとレーザービームの如き強烈な直射日光を想定していましたが、梅雨が明けるか明けないかのギリギリボーダーの時点だったので、半袖シャツに綿パンであれば、かなり快適に動き回って撮れるというお天気具合だったのがラッキーでした。
忠敬橋方面に小野川を上っていくと、ちょうど山車が方向転換しようとしているところに出くわし、若い力で必死に舵棒を押している兄さんの健気な姿が目に留まり、瞬時に構図とピン決めてシャッター切ってました。
現代社会では、仕事でもスポーツでも、なかなかこういう必死!という文字が顔に張り付いているシーンを目にすることは稀で、やはり、佐原のお祭りってイイなぁ・・・と思った次第。
このカットはR-D1sにSimlar50mf3.5という、M8にライカの純正レンズを装備した最強の組み合わせに較べれば、やや庶民的なコンビですが、それでも、スペックからは想像も着かないような迫力有る端正な描写で、今やドイツと比肩し得る光学大国、日本の意地を遺憾なく発揮していると思いました。まさに「栴檀は双葉より芳し」の格言の通りでした。
続いて四枚目。
山車の傍に付き添う、世話役のヲヂさまに黙礼してその場を後にし、小野川伝いの道を与倉屋の大土蔵方面に歩いて行くと、祭り装束の童子達が、拍子木を打つ鍛錬をしていました。
お姐ちゃん達に囲まれ、いたいけな男の童子も腕を目一杯に広げ、やる気満々漲っています。
そんな幸福そうな瞬間を抜き打ち的に一枚戴いたのがこのカット。
撮った後、「今のこんなカンジだわな♪」とか童子達に見せて上げたら、なかなか評判良かったので撮った本人も満更ではなく、今回、ご紹介する中に当選した次第。
さすが名だたる三代目Summicron50mmf2、被写界の、手を触れたら斬れんばかりのシャープさと背景から浮き上がるが如き立体的描写ですが、後ボケは解像力の代償か、やや芯が残ってざわざわしています。
続いて五枚目。
リーダー格の小姐に鄭重にお礼を述べ、また小野川のほとりを散策しながら、被写体を探しました。
すると、いかにも温厚そうなヲヤヂさんが、愛くるしい年端もいかないお嬢さんを肩車してすれ違っていきました。
これだ!と閃いた工房主は、すぐに追いすがり、「歴史的街並みの前で、お嬢さん肩車しているところ、撮らして下さい」とお願いし、快く応えて戴いて撮らせて戴いたのがこのカット。
この時間、15時も30分ほど回り、午後の太陽がもう一仕事とばかりに照らしてきて、夏そのものといった頃合いでしたが、このほのぼのとした雰囲気は、夏祭りではなく、菜の花咲く頃の初夏の佐原に迷い込んだのでは、といったイイ雰囲気に描けたのではないかと思います。
ここでは、背景はなかなかイイ按配にボケて、うるさくない作画になったのではないでしょうか。
お父さん、もし拙名刺のアドレスにメールか、ここのコメント欄に「管理人のみ閲覧」でメールアドレスいただければ、大きくプリント出来るよう写真データ送らせて戴きますので、どうぞ御遠慮なくお申し付け下さい。
まだまだの六枚目。
お二方に鄭重にお礼を述べ、ブログ名刺などお渡し、香取街道沿いの祭り休憩所に充てられている「三菱館」に立ち寄って、冷たいものを頂き、小休止、そしてレンズをまた交換しました。
16時過ぎから佐原囃子の手踊りが行われるというので、再び、カメラ二台の臨戦態勢で、香取街道の大通りを目指しました。
すると、先ほどの拍子木社中の小々姐をはじめとして、いつもの夏祭りでは見かけない小々姐達が大通りの小堀屋本店周辺に大勢集まって、軽妙で洒脱な佐原囃子に合わせて演舞を行っています。
その演舞の合間に、一番手近に居た小々姐が夕陽を浴びながら先達の大人に手拍子の稽古をつけて貰っているところを一枚戴きました。
いつもの秋祭りでは、それぞれの山車の先導をつとめる手古舞社中の小姐の小~中規模の短い踊りですが、この夏祭りの演舞は、まさに規模、場所ともに圧巻で、ギャラリーは十重二十重に取り巻いていました。
その先頭付近で撮れたのは、まさにラッキー以外の何物でもありませんでした。
最後の六枚目。
手踊り演舞が終わってから、また川沿い中心に被写体を求め徘徊し、やがて18時になって、いっせいに山車に灯が点されたので、様々な位置やアングルで撮影を試みましたが、そのうち、19時過ぎ、陽も沈み宵の口に入り、山車が年番交替の行事を経て、再び夜間の運行を始めようという時、先頭の仁井宿の山車が最後尾に移動しようとターンを始めたところを忠敬橋の欄干横の少し高いところから撮ったカットです。
さて、夏祭りの雰囲気は充分に伝わってきましたでしょうか。
来週は、翌日曜日のお昼前から夕刻までの渾身の撮影結果をレポート致します。乞う御期待!!
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- 2012/07/22(日) 21:00:00|
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【撮影データ】カメラ::R-D1s 絞り優先AE ISO200、全コマ開放、ロケ地:成田市
さて、今週の更新は、先週に引き続き、Astro-berlin Pantachar35mmf2.3改Mによる、成田祇園祭り'12レポート後編行きます。
まだまだ参道は長く、道草しながらの彷徨は当てどなく続いて行きました。
そこでまず一枚目。
また、参道脇の休業駐車場を利用した露店的飲食スペースでは、老若男女がひっきりなしに参集離散して、活気溢れることこの上ありません。
そんな賑わいを横目で眺めつつ、通り過ぎようとすると、キャラクター系のセルロイド?お面を頭の後ろに引っ掛けて、ダベッている、いたいけな女子高生小姐一個分隊約半数が目に留まりました。
そこで、お~ぃ、NRT48予備軍のお姐さん達よ、ちょいとお願いが有って、お面かぶってるとこ写真撮らして、と軽い気持ちでお願いしたら、一瞬沈黙・・・ウ、受ける!花の女子高生にお面かぶって写真撮らせてくれってよ!?とかバカ笑いして、こんなひょうきんなパフォーマンスです。
シャッター切った後、確かに画期的で面白い!とか呟いたら、ぢゃ、オレもオレもと小姐達のスマホンやら携帯やらコンパデジやらで、同じようなカットを何枚か撮らされました・・・とほほ。
ここでは、若いファンキーな小姐を前にして、オールドレンズも年甲斐もなく張り切りすぎたのか大暴れ、背景はぐるぐる、四隅も流れ気味で、だいぶお行儀の悪さが目立ってしまいました。でも楽しそうな雰囲気は120%伝えてくれてますから、これはこれで良しとしましょう。
そして二枚目。小姐達にお礼を述べ、参道を歩き続け、やっと本山の麓まで辿り着きました。
しかし、去年と多少様子が違っていて、参道にもその付近にも山車も手古舞も居なかったのに、本山下は人が溢れ帰り、中央階段の利用制限を行って両脇の側道の石段を登るよう案内していたりして、何かおかしいなとか思いながら、せっかく来たのだから、本堂にでもお目見えしてから戻るか?と思ったのがラッキーで、何と本堂前の広場に全ての町会の山車と曳き手、手古舞社中が勢揃いしていたのです。
その一堂に会した姿は圧巻としか云い様がありませんでした。
そこで、オーバー露出になるのは覚悟の上で絢爛な山車と荘厳な五重塔の組み合わせで一枚戴いたのがこのカット。
同じ仏教建築なのに、浅草をライツやツァイスのレンズで撮っても、ここまで煌びやかで華やかには捉えられなかったでしょう。
ここでは手前左隅のアウトフォーカス部の流れがやや気になりますが、この発色、臨場感はそれを補って余りあるものではないかと思いました。
それから、三枚目。
去年は初見参だったので落ち着いて山車の姿までは仔細に鑑賞出来なかったのですが、地理的にも至近で文化的にも交流が緊密な筈の佐原の大祭で曳行される山車と成田の山車とは、形がだいぶ違い、屋根のてっぺんにお人形さんを、社内にはお囃子社中(下座連)を乗っけて市中曳き廻しを行うということくらいが共通点で大きさもカタチもかなり違うのです。
個人的な見解としては、少なくとも、山車、屋台に関しては、佐原は孤高の存在で、遥か遠い江戸のDNAを色濃く残し、川越、栃木、そしてここ成田は江戸末期か明治以降に京都の祇園やら、岸和田のだんじりなどの影響が入って来たのではないか?とも思えました。
そこでもう一枚、別アングルで山車を撮ってみたのがこのカット。
どうも、屋根の上で粋でいなせな男衆が見た目も熱く、威勢良く、扇子なんぞを采配代わりに振り回し、男気を競う姿は先般放映が終了したカーネーションのだんじりを彷彿とさせました。
ここでもハイライトはオーバー覚悟での開放撮影ですが、画像処理ソフトでちょっと照度を落としたくらいで、何とか人様にはお見せ出来るくらいにはリカバー出来たと思います。
しかし、やはり四隅の流れ、特に前ボケ部はこういうダイナミックな構図だと目だってしまうのがやや残念です。
続いて四枚目。
山車の次は手古舞社中です。
本堂前の広場の周辺、五重塔の麓辺りを徘徊していたら、ちょうど、髪を結い直していたお姐さんが居られたので、さすがに通りすがりに、ばしっと一枚撮って知らばっくれて離脱するといういつものヒットアウェー戦法は使う気になれず、横に控えていた、いなせ小姐軍団の1人に話しかけ、許可を貰い一枚戴いたのがこのカットです。
背景の見苦しいぐるぐるはおいといて、どうでしょうか。佐原や川越の粋でいなせで凛とした女衆にも勝るとも劣らぬキリっとした雰囲気が後姿からも滲み出ているのではないかと思いました。
まだまだの五枚目。
手古舞社中のお姐さま方に鄭重に御礼など述べ、少し境内の様子など撮ってから、登って来たのとは反対の階段を通って下ることにしました。
すると、何が幸いするか判らないのが人生、の喩え通り、階段を降りかけてすぐのところで、祭り装束でじゃんけんしながら、勝った方が何歩か進む、という超古典的なフィールド遊戯をやっている小姐達が居ました。
こういう時は撮ったもんがちです。
通り過ぎるフリをして、じゃんけんの手を出した刹那、予め目見当で合わせていた距離を構えながら微修正し、シャッター切ったのがこのカット。
まんまとしてやったりです。
斜め後ろで見ていたデジ一眼下げたご老人の写真愛好家?の方が、え、今の撮れたの?とか驚かれたのが、何よりの賛辞でした。
馴れれば、レンジファインダー機はAFの最新デジタル一眼レフにも匹敵するスナップでの必殺兵器である、という持論を図らずも証明出来たのでは、と思いました。
更に六枚目。
下でニコニコ顔で一部始終を見ていたお母さんに黙礼してその場を後にし、そろそろ深川へ戻ろうと、元来た参道を戻り始めました。
すると、参道のまだお寺に近い、鰻屋さんとか、老舗旅館の佇まいを残す飲食店がならぶ一角で、フィリピン人と思しき家族連れがニコニコ楽しそうに語らい合いながら通りを眺めていました。
一旦通り過ぎたのですが、どうも、子供と目が合ったような気がして、踵を返し、リーダー格と思しき女性とそのお子さんを交互に見つめながら、精一杯の笑顔で以て「May I take your picture?」なんて声掛けてみたら、「Oh! シャシンですか、ドーゾ、ドーゾ」とか大喜びされて、皆さん、勢揃いして、とっておきの笑顔でレンズを見つめ返してくれたのがこのカット。
撮り終えて、お礼を述べてその場を後にしようとしたら、リーダー格の女性が何かしら聞きたそうにお仲間うちで話していたので、何でございましょうか?と伺ってみたら、「どこの新聞社?」とかイタイこと聞いてきたんで、「すんまへん、新聞ぢゃなくて、個人のブロガーさんね♪」とお断りを入れた上で名刺などお渡ししました。
マダム、ご覧になっています?もし、メールもらえれば、このカット、大伸ばし出来るようにデータ加工してお送り致しますよ♪
最後の六枚目。
草の根レベルでの国際交流によって何か心の中に暖かいものを戴き、足取りも軽く、参道を辿って行きました。
道半ばも過ぎた頃、またしても、面白い光景に出くわしました。
そう、浴衣をばしっと着こなした、子連れ?の若い小姐が、パブの中の白人の壮年男性2人、身振り手振りも交え、軽妙な英語で談笑していたのです。
まさにこの姿こそが、伝統有る門前都市、宿場町だった成田が国際空港の開港とともに、極めて先鋭的な国際都市に進化したことの象徴なのではないでしょうか。
今回の感想としては、やはり日曜の遠出だったとは云え、来て良かった・・・いや、寧ろ、前回の土曜日とは異なるお祭りの姿をじっくりと見ることが出来、却って良かったのではないでしょうか。
しかも、今回は次の週に控えた、「佐原夏の大祭」のリハの目的も有りましたから、望外の成果ではなかったかと思います。
さぁ、工房主が愛してやまない佐原の町の夏の大祭、初訪問のレポートは来週、再来週の二週間に亘って渾身のアップ致しますので、乞う御期待。
テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真
- 2012/07/16(月) 22:13:47|
- その他Lマウント改造レンズ
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【撮影データ】カメラ:R-D1s 絞り優先AE ISO200、全コマ開放、ロケ地:成田市
さて、今宵のご紹介は工房作品+夏祭りシーズンの出張ロケということで、二週連続同テーマで行きます。
まずこのレンズの氏素性を簡単に御説明しますとドイツのアストロベルリン社が、映画撮影用カメラ用のレンズブロックとして、1950年の半ば頃に販売したものと思われます。
構成は4群4枚、ちょうど、トリプレット型の最後群を2分割したような構成です。
しかし、驚くなかれ、当時の硝材や設計技術ではトリプレットではムリしてせいぜい、f2.8の開放ですが、この1枚オマケの構成はこのf2.3のほか、なんとf1.8までラインナップしていたのです。
また、このレンズ、さすがにArri社と組んでいた、シュナイダーやツァイスまではいかないまでも、25mmから255mmまで13種類のラインナップをf2.3シリーズで揃えており、この構成で25mmまでf1.8でリリースしていたというのには、今さらながら驚かされます。
では、さっそく、今回の実写例を順次見て行きましょう。
門前仲町から東西線、日本橋で京成線直通の都営浅草線に乗換え、京成成田駅に降り立ったのは、陽もピークをやや過ぎた14時半過ぎでした。
成田山新勝寺へ真っ直ぐ向かうのであれば、京成の方が近いですが、人の出、参道の出店具合いからして、JR線の駅前から歩いて行った方がシャッターチャンスに遭遇する可能性が高いのは前回の経験則で判っていましたから、京成駅からJR駅まで連絡通路を通って歩きます。
JR駅の正面までやって来たら、浴衣の女子中高生達が楽しげに座ってスマホンいじったり、仲間とくっちゃべったり、もう日本のお祭りの原風景そのままです。
こりゃなかなか期待出来る空気だなと1人ごちて、カメラを首、肩から提げ、参道へ向かいました。
ここでまず一枚目。
駅ロータリーから、参道に左折する辺りの露店の重なり合う低いひさしの下を通り抜け、ふと振り返ると、人ごみに疲れたのでしょうか、若いお母さんの肩の上でスヤスヤと眠るいたいけな小々々姐の童子の寝顔が目に留まりました。
そこで反射的にシャッター切ったのがこのカット。
ピンは童子の眼に合わせていますが、結構、後ろを通り過ぎるカップルと思しき女性の関心も惹いてしまったようで、しっかりカメラ目線くれてます。
しかし、背後はこのレンズ一族固有の宿痾(しゅくあ)とも云うべき、非点収差による見苦しいぐるぐるが出てしまって、ちょっと残念な気がしました。
そして二枚目。
シャッター音に気付いたオモニが顔を上げたので小声で一枚戴きました、と告白し、少し頭を下げたら、笑顔で頭を下げ返してくれたので、もういっぺん挨拶して、かなりイイ気分でその場を後にし、参道目指して行きました。
もちろん、ただ漫然と歩こう筈もなく、二台のカメラにいつでもモノ云わせん!とばかり、鵜の目鷹の目、周囲を物色しながらのそぞろ歩きです。
すると、居ました、居ました、浴衣も可愛い小姐が居酒屋さんの店頭で焼き鳥だか、フランクだったかを売っていました。
買う気もないのに小姐に声を掛けるのも、何か申し訳ない気がして、少し気が引けたのですが、そこはそれ、いちいち、買い食いしていたら、お腹とお財布が持たない!といういつもの冷徹な撮影哲学で己の弱い心を克己し、精一杯の笑顔で、声を掛けました。すると、この見た目は愛くるしい小姐、えっアタシですか!?とかしらばっくれた反問なんかして来たので、多少笑顔を引き攣らせながら、他に誰が居るとですか?ハィハィ!写真撮られるのもお店の宣伝!売上高増進のためにヨロシクね♪とか多少上から目線の説教モードでお願いしてのカットがこの一枚。
かなり直射日光の強い表通りで撮ったにしては、小姐のキレイな金髪?も一本一本のキューティクルの状態が診断ン出来るくらいのシャープさで写っていますが、肝心要の薄ピンクの着物がハイライトで飛んでフレアになってしまったのは、御愛嬌ということで。
それから三枚目。
陽気でノリが良く、しかも気前の良い、典型的な千葉娘みたいなお店の看板小姐にお礼を述べ、再会を約し、その場を後にしました。
ロータリーから続く道を左に折れ、いよいよ新勝寺の参道です。
ここでも当然、声を掛けたら撮らしてくれそうな方々や、撮ってから必要に応じ、お礼を述べれば良さそうなシャッターチャンスを物色しながらそぞろ歩きです。
すると、居ました、居ました。お母さんと一緒に石柱の柵際で名物?杏飴なんか堪能している小々姐が目に留まりました。
そこで、すたすたと歩み寄り、ご本人ともお母さんとも決めて掛からずに「美味しそうですね♪ 食べてるとこ一枚撮らせて貰ってイイですか?」と声を掛けさせて戴き、お母さんの演技指導?も入ったとこで、一枚戴いたのがこのカット。
撮らせて戴いた後、拙ブログの名刺などお渡しして少々お話しさせて戴きましたが、この笑顔、とってもステキでしたね☆ もし、小生宛メールなり、管理人限りのコメントでメアド教えて戴ければ、このカット、大きく引伸ばせるようデータ加工してお送りさせて戴きます。
続いて四枚目。
ますます登り調子になった工房主は、更に参道をキョロキョロしながら進みます。
この日はお祭りにつき、車両一切締め出しということで、参道脇の駐車場が全て露店が集結したイベントスペースみたいになっています。
ここでも、結構イイカットが撮れたので、ためらうことなく入って行きました。
すると、あの居酒屋のノリのイイ小姐と同じオーラを放つ小姐達一個分隊が居ました。
かき氷か何か露店で買い求め、お金の精算と財布への収納を行っています。こういう時は焦らず、相手の一連の行動が一段落するまでじっと暖かく見守ることです。
やっとリーダー格?のブロンズの小姐が顔を上げてくれたので、お待ち申し上げておりました。ブログネタに一枚撮らせて下さいね、とか多少強引、否応なしにモデルさんになって!のお願いです。
最初はブロンズの小姐と浴衣の小姐だけ横位置で撮ってみたのですが、これでは身長差のため、精一杯大きな口を開け、きゅうりだかを頬張って、カメラ目線くれてたおチビさんに申し訳ないので、図らずも縦位置の全身像も撮らせて戴いた次第。
ただ、残念だったのが、ちょっと露出オーバーで楽しげな雰囲気が少しスポイルされちゃったのではないかと言うこと。
何なら、来週、佐原祭りに来ますか!? もっと完璧に撮り直しした上で、大きく焼いて、フレームに入れてプレゼントしますんで。
まだまだの五枚目。
美小姐3人組にも名刺などお渡しして、拙ブログの宣伝など行い、その場を後にしました。
また鵜の目鷹の目で参道をそぞろ歩きしていると、へへへ、居ました、居ました。祭り装束の小姐ご一行様が旨そうにかき氷などを堪能しています。
こういうシチュエーションは、100%断られることが無いと経験則が教えてくれます、佐原だろうと川越だろうと、太田だろうと、栃木だろうと・・・
そこで、自信を持ってリーダー格と思しき小姐に、旨そうですね、みんなで美味しそうに食べてるとこ、ブログネタに一枚撮らして!とお願いし、その後、やれもっと寄ってくれだら、目線をキチンと寄越してくれだら、鬼カメラマンに急変し、やっとダメ出し終え、シャッター切ったのがこのカット。
あんまし煩いこと云ったので、撮った後、お礼を述べても、即座におしゃべりモードにレヂュームし、はぁ何でござぁいましょうか?てなカンジの何処吹く風状態だったのが、ちょいマズかったかなぁという本日の反省点です。
最後の六枚目。
更にきょろきょろしながら参道を歩いていくと、小さな小さな魚屋さんならぬ、飲物屋さんが居たので、声を掛けて撮らして貰いました。
ここでもピーカンの日照下だったので、白っぽい衣装は完全にすっ飛びハイライト状態。でも、お祭りのハレの日の楽しげな雰囲気は充分伝わってくるのではないでしょうか。
ところで、撮らせて貰ったあと、ふと下を見るとスイカソーダなる見慣れない飲物がたったの100円・・・こりゃ、まぁ縁起付けに買い求めて味見するのも悪くはないわいと思い、小々姐に100円玉を渡し、品物を受け取り、お店の横手の長い塀沿いの裏道で呑んでみれば、咽が渇いていたこともあって、結構旨い!来週、佐原行きの際、宿泊地は成田に取る予定だから、見つけたら、また買ってみよう。
さて、今週アップ分6カットではまだまだ新勝寺まで辿り着きません。そこで、新たな出会いも含め、次週も同じくPantachar35mmf2.3による成田からのレポート続けさせて戴きます。乞う御期待。
テーマ:街の風景 - ジャンル:写真
- 2012/07/08(日) 23:59:18|
- Mマウント改造レンズ
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【撮影データ】カメラ:Canon VIL フィルム:S-Centuria100、全コマ開放、ロケ地:鎌倉小町通り
さて、今宵のご紹介は、予定通り、工房附設秘宝館からのコレクションのご紹介いきます。
とはいっても、本当は、今日のお昼過ぎにでも、M8かR-D1sで別のレンズを近所でちゃちゃちゃっと実写例作って上げれば、ハイ一丁上がり!ってな目論みだったのですが、そうは問屋が卸してくれず、工房での一段落後のランチタイムから、都内は雨模様になってしまったので、さすがにフィルターなしで沈胴のクラシックレンズとデジRFという雨に弱い両極端の組み合わせで撮り歩きに出る度胸はなく、仕方なく、そのままランチから戻り、加工を継続して一本仕上げてから、撮り溜めのアーカイブスからフォとCD-Rを探し出して来た次第です。
しかし、探せばあるもので、わざわざ撮りに出なくとも、過去の撮り溜めCD-Rで2~3ヶ月分の秘宝館は余裕で繋がるくらい、撮ってお蔵入りの写真が有るのには正直驚くやら呆れるやら・・・
さて、今回のレンズは、L39のゾナー5cmf2ですが、正直云って、真正品か否か、今も自信がありません。
ツァイスの電話帳とか云う本に載っているものだけがホンモノと云う向きもありますが、果たしてそうなのでしょうか?
確かに電話帳に載っているものは真正品というお墨付きかも知れませんが、載っているものが真正品だからと云って、「逆は必ずしも真ならず」からすれば、載っていないものは全て贋物というのもおかしな気がします。
なぜ、こんなことを云い出すかといえば、実はこのヘリコイド&マウントユニットはロシア製の最初期のジュピター5のL39でも類似の外観のものが見られるのですが、一回、そのジュピター5の最初期型を買って、分解したことがありますが、少なくとも、内部構造はCXマウントのものとは全く違い、キャノンやニコン、そしてライツのレンズのように光学ブロックとヘリコイドが分離出来るような構造にはなっておらず、これを刳り貫いてCXマウントの光学ブロックを填め込むのはスペースとアルミパーツの強度の問題から現実的ではないと考えられ、そもそも、このフィルター枠が無く銘板が先端で直接剥き出しになっている、レンズ先端部のデザインからして、CXマウントのゾナーでは見たことがありません。
更に、工房主には最もどーでも良い、製造番号と製造年代の関係でも一般的にツァイス製レンズは300万番台未満は1945年以前にイエナで作られた製品であり、285万番台という番号、そして1936年にアレクサンドル・スマクラ博士が発明し、軍用から採用された"T"コートの赤の刻印からして、少なくとも、レンズエレメントと金物は真正品で、但し、それがカールツァイスの正規の品質管理基準での製品検査を経た出荷品、つまりカールツァイス製真正レンズか否かまでは判らない、ということなのです。
とまぁ、難しい話しはここまでにして、この謎に満ちたレンズの実力を見て行きましょう。
実写例は全て、3年ほど前の秋に鎌倉小町通りで今は亡き、Konica S-Centuria100で撮ったものです。
まず一枚目。
鎌倉駅の小町通り口で降り、小町通を鶴岡八幡宮方面に向かうと、数箇所の撮影スポットがありますが、まず一番目がこの小町通りを横切る小川に迫り出した民家とそのテラスの鉢植えです。
ここはいつもは大抵日陰でありながら、日射角度によっては小川のせせらぎに射し込む陽光が反射して美しく映えることがあり、今回も涼しげな水面の照り返しと、テラスのささやかな鉢植えの対比が閑静な佇まいを醸し出していて惹かれるものがあったので、一枚戴いた次第。
このSonnar、銘板剥き出しでレンズの第一面もかなり前にありますから、逆光などではひとたまりもなく、フレアやゴーストが大発生してしまい、せっかくの描写が台無しになってしまう虞れも懸念されましたが、こういうシチュエーションではコントラストも解像力も申し分なく、風情有る作画を見せてくれました。
そして二枚目。
この橋の先から西側の路地に入って黒塀の古風なカフェやら、その前の赤いスクーターなどを撮るのが定番となっていますが、今回のネガにはそれが見当たらなかったので、そのまま、またぐるっと回って、小町通りの雑踏に戻ったものと思われます。
通りのまだ駅に近い辺りのお煎餅屋さんでは、店頭で焼いた煎餅に醤油をつけて道行く人々に販売しており、暫く眺めていたら、丁度イイ被写体の親子連れさんがやって来たので、そのまま知らん顔で一枚戴いたもの。
前のカットでは判らなかったですが、このカットで見て取れることは、後ボケは素直で美しいこと、そして、残念ながら、四隅が若干周辺落ちでブラックアウトしかけているということです。
しかし、この解像力とコントラストと階調再現性のバランス感、そして50mmクラスにしては遠近感有り、立体的な描写、やはりドイツの往年のレンズ、と唸らざるを得ないと思いました。
それから三枚目。
また暫く八幡宮方面に歩くと、鎌倉という土地柄でしょうか、沢山の幟を立てたお好み、もんじ焼のお店があり、この幟のボケ加減を捉えるのも悪くはないと思い、一枚撮ったものです。
ピンは奥から3枚目の赤い「お好み焼」の幟に合わせていますが、奥の、今まさにお店に入らんとする2名の小姐まではギリギリ被写界深度に入っているように見えます。
ここでは、前ボケの傾向が画面右側の幟と上部の木製の看板で見て取れますが、ここでも後ボケ同様、イイ味を出しているのではないかと思います。
ただ残念なのは、画面向かって左下の植栽と小石混じりのアスファルト舗装が非点収差による、ぐるぐる傾向を見せてしまっています。
続いて四枚目。
更に通りを奥に進んで、半分くらいまで来た辺りだったと思いますが、くず餅だったか、わらび餅だったかを店頭販売しているお店があって、ここでも人だかりが出来ていたので、無辜の観光客のフリをして、カメラを構え、シャターチャンスを狙い、店のスタッフの小姐と呼ぶにはいささか高齢の女性が品物を顧客に渡す瞬間、白熱灯に照らされ、後ろ髪が光った瞬間を撮ったものです。
ここでは、構図上、後ボケは評価出来るほど写り込んではいませんが、前ボケは、ソフトクリームのオブジェと左手の妙齢の大姐の佇まいで判りますが、何れにせよ、後ボケほどは素直にならなかったようです。
まだまだの五枚目。
お店の前を後にして、また奥を目指します。
すると、確か川崎大師名物の筈だった「せき止め飴」がコンキリコ♪ コンキリコ♪と軽快なリズムに乗って切り分けられ、好奇心旺盛な童子達がその音に惹き付けられ、家で待つ親御さん達へのお土産でしょうか、なけなしの「遠足お小遣い500円で」をはたいて買い求めていました。
そのけなげな姿を背後からそっと戴いたのがこのかっと。
まぁ、このサイトではありふれた人物描写っちゃ人物描写なんですが、ここで一点、改めてこのレンズの性能面で驚いたことがあります。
それは、画面中央奥の煌々と照る白熱灯を斜め60度以内から捉えた部分です。
旧レンズでは、コマフレアで光芒が膨らんだり、流れたり、或いはゴーストが出たりすることがままありますが、この赤"T"レンズ、あたかもライカのノクティルックス50mmf1.2や、Canon50mmf1.2Lを彷彿とさせるような、見事な点光源の描写をやってのけたのです。
最後の六枚目。
親孝行の童子達の幸多き将来を祈りつつ、その場を後にし、また八幡宮方面へと進んでいくと、もう、通りの突き当たりも見えてこようかという辺りで相州塗りの箸を売っているカウンターのお店があり、ここにも結構人が集まっていたので、暫く遠巻きに眺めていました。
そして、犬連れのベレー帽にチョビ鬚という小洒落た中年男性が何か買って、お店から離れようとする刹那、カメラを構えた小生の只ならぬ雰囲気を察知した愛犬が、おもむろにこちら側に向き直って、尻尾なんざ振り始めたんで、その愛嬌に感じ入って一枚戴いたのがこのカット。
ここでは、解像感はいわずもがなですが、コントラストと階調再現性の絶妙なバランス、そして、締まった発色が相俟って、かなりソリッドで硬質な印象を与える描画となっています。
今回の感想としては、う~ん、偶然の降雨のおかげか、慌てて死蔵写真の棚卸をしたため、シネレンズもかくやあらんばかりの性能を発揮している謎のレンズの描写性能を再発見出来ました、やっぱり、CarlZeissの看板はダテぢゃない。
さて、来週は攻守交替で工房作品となるところですが、来週末、再来週末と上総の国でお楽しみのお祭り2連荘なので、どうなるか、乞う御期待♪
テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真
- 2012/07/01(日) 21:26:23|
- 深川秘宝館
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