深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

An amazing half-breed in optics~M-Rokkor40mmf2~

M_Rokkor40mmf2.jpg
CLE_Rokkor_01.jpg
CLE_Rokkor_02.jpg
CLE_Rokkor_03.jpg
CLE_Rokkor_04.jpg
CLE_Rokkor_05.jpg
CLE_Rokkor_06.jpg
CLE_Rokkor_07.jpg
【撮影データ】カメラ:Fuji X-Pro-1 絞り優先AE ISO Auto、ロケ地:深大寺 全コマ開放
さて、9月も最終日となってしまい、超大型台風は来るわ、明日からクビになったのではないのに会社は変わるわで、結構大変な晩ではありますが、今宵のご紹介は、結構、今では珍品の部類に入ると思われるCLE用のWヘリコイド仕様のM-Rokor40mmf4のご紹介行きます。

このレンズは1981年に先にエルンストライツ社との共同開発で生まれたCLの後継機、CLE用レンズとして、CL用のレンズがかなり大きな傾斜角を持つ傾斜カムだったのを機種、ないし個体ごとの微妙な距離計連動コロの大きさ、マウント内での円周上の位置の違い等々で距離に狂いが出る可能性が有ったため、そういった問題を防ぐため、Wヘリコイドを使った平行カムに設計変更したモデルと言われています。

ただ、光学系は、オーソドックスなプラナータイプの4群6枚構成のCL用をそのまま踏襲したとも、硝材、コーティングを変更したとも云われており、実のところ、数もあまり出ないマイナー機種だったため、判っていないことが多いようです。

では、早速、実写例行ってみましょう。今週土曜日は比較的イイ天気だったので、新そば賞味も兼ね、午後からX-Pro1持って深大寺に出かけて行って撮って来た新作撮りおろしです。

まず一枚目。

御塔坂下のバス停で降り、まずは腹ごしらえのため、「湧水」さんへと足を急がせました。

しかし、急ぎ足とは云え、カメラを持つと人格が変わるとの下馬評もこれ有り、常に周囲の様子を物色しながらの高速移動であることは疑う余地もありません。

ちょうど、別のお店の前を通り過ぎようとしていた時「みゃぁーぉ」とか鳴き声がして、顔を向けたら、ネコが閑そうなお店の前にちょこんと座り、こっちを向いています。

ごめんね、ネコちゃん、おっさんはもうメシ喰う店決めてんだよ・・・とか呟きながら、でも一枚いっただきま~す、とか何故かネコに言い訳なんかしつつ、摺り足で近寄り、EVFのクロップ拡大モードを利用して撮ったのがこのカット。

さすが解像感が売り物のX-Pro-1、ネコの良い毛並みも周囲の石段も素晴らしい質感で描写しています。

また、背後のボケも蕩けるが如し、で文句の付けようがない、午後のたゆたうような時の流れを切り取ったかの如きカットではないでしょうか。

そして二枚目。

健気にも営業中?のネコちゃんにタダ出演の侘びを述べつつ、その場を後にします。

大急ぎで「湧水」さんで盛りそばの大盛と名代そば豆腐なんかを戴き、まず一番はじめの撮影スポットである、深大寺城跡へ向かいました。

ここは、いつも、だいたい陽が傾きかけた時刻が撮り易く、深大寺で撮る時は、時間と太陽の位置を見計らってここに登って来ます。

今回、惜しかったのは、とても珍しい、可憐なそばの白い花がそば畑一面に咲いていたのですが、機材がRF用の1m弱しか寄れないレンズだったため、このX-Pro1のM-Rokkor40mmf2で撮った画も伴走機であるR-D1sとニッケルショートエルマー50mmf3.5で撮った画もあまり作画的には面白みの有るモノが撮れず、ボツにせざるを得なかったのことです。

で、ここでは、秋の風物詩と化している「メガ昭和枯れすすき」こと「バンパグラス」が午後の陽光を浴び、伸びやかに屹立する姿を撮ってみました。

このカット、一見すると何の変哲もない、空を背景にしたすすきの写真みたいですが、さにあらず、背景の空はまだかなり明るく、今回も殆ど逆光に近い条件下での撮影だったのです。

しかし、空は飛ばず、ギリギリのところで踏ん張り、反対にすすきは暗部までかなり緻密に描写しているのが、このX-Pro1の凄いところなのではないでしょうか。

それから三枚め。

当日は、城跡の芝生で若い青少年男女がヤンヤヤンヤとフットサルもどきの激しい球技みたいなことをやっていたので、隅で細々と撮らねばなりませんでした。

しかし、いつも撮るパターンは決まっているので、一番手前の柱跡石から遠方に伸びるラインで一枚撮ってみます。

ピンは一番手前の柱跡石の手前のエッジに合わせています。

磨き上げられた天井面はまだ明るい空を写し、テクスチャは完全に飛んでしまってますが、それでも合焦面と同一距離にある周囲の芝生は、やはり驚くべきシャープな結像を見せています。

背景の石、芝生も品位の無いぐるぐる模様が殆ど認められず、なかなか宜しいボケになったのではないでしょうか。

続いて四枚目。

16時を過ぎると深大寺城跡、そして水生植物園は入場を締め切ってしまい、16時半には完全閉門となってしまいます。

それ以上に茶店街の小姐達は夕方になると、人の出が少なくなるのを見計らって、軒先の営業用の小道具なんかを片付け始め、閉店モードに気持ちが切り替わってしまいますから、灯火が点り、まだ人の往来が残っている頃合を見計らって、撮影に入らねばなりません。

お目当てのお店は「八起」さんというだるまさんから名前を取ったような、蕎麦と茶菓子などを売り物にしているお店で、いつも美形の小姐各位を店頭配置し、蒸篭で蒸した蕎麦まんじゅうやら、団子類を対面販売しています。

しかしその前にお店の小さな庭園の通路際に見事な蹲が在って、これがいつもながら人工光と自然光のミックスがなかなか宜しかったので一枚撮りました。

ピンは一点狙い、蹲の手前の角、水が滴り落ちる口を狙いEVFのクロップ拡大モードで精密射撃です。

まさに実際に眼で見ているような臨場感ではないでしょうか。

ただ、この最短撮影距離域では、このレンズ、かなり被写界深度が浅く、合焦点から5cmも前後にずれると、もうボケの域に入ってしまっています。

まだまだの五枚目。

カメラの背面モニターで見ても、はっとするようなピンのキレだったのに気を良くして、いよいよ、美小姐が店頭を華やかに飾る現場に向かいました。

ここで、「お姐さん、饅頭一個頂戴、差し出すとこ一枚撮らして貰いたいんで・・・」といつもとは変わったスタイルの出演交渉を行い、隣の小姐もそこはかとなく、撮影のオファーに心揺れている感無きにしも有らずだったので、ご担当の串だんごの代金収受、商品引渡しを終えてから、2人揃ったら撮ろうね☆とか云ってたら、ファインダ覗くか覗かないうちにピース!とかしてアハハとか居直ってしまうので、やーだ、まだ撮れてないよ、とか云い、それでも慌てて、EVFの精密射撃をせず撮ったら、ほーら、この通り、被写界深度浅いんで、ごく僅かにお1人様がボケてしまいました、ゴメンなさい。

また今度別のレンズとカメラ持って11月にでも行ったら撮り直して、写真送って上げますから、カンベンして下さいね。

いけいけの六枚目。

小姐2名に名刺なんかお渡しし撮影協力の御礼とまんじゅういっただきま~す、とか延べ、大ぶりお蕎麦饅頭を口に頬張り、茶店街を西方面へと向かいます。

すると、ありましたありました・・・またまた面白いオブジェが。

「八起」さんの隣は楽焼なんかを観光客相手にやっている「深大寺窯」というお店で、その軒先に藍染磁器製の風鈴があまたぶら下がり、夕暮のベタ凪にも微かな音を立てていました。

そこで、被写界深度と前後のボケを見るため、1.5m程度の距離から、この「全部音色がちがいます」と褐色の木の板にピンクの文字で書かれた札にピンを合わせて一枚撮ってみました。

やはり予想通り、札のすぐ手前の風鈴までは描かれたブルー&ホワイトの模様が明確に認められますが、それ以外は前後ともボケと化し、意匠はただのおぼろげな文様としてしか認識出来なくなってしまいました。

最後の七枚目。

茶店街での撮影をいったん切り上げ、境内へと被写体を探しに登ります。

すると、居ました、居ました、色とりどりの錦鯉が遊弋する池の周囲で小児連れで楽しそうに観光している一団が・・・しかもどうやら中国からのお客さんのようです。

はじめは親御さんの様子を見ながら、ピンクのベイビー服に身を包んだ、おてんば極小姐の遊んだりしている様子を遠慮しぃしぃ撮っていたのですが、彼らが引き上げる素振りを見せたので、お婆ちゃんに軽く会釈し、笑顔で「サンキュー」とか云ってみたら、相手は、母親、父親、そして当のお婆ちゃんと三人して「サンキュー」とか云ってきて、とてもカンジ良かったので、ここぞとばかりに可愛いベイビーだっこして三人で撮りましょうよ♪とか声掛けたら、相当嬉しかったらしく、すぐに集まり、ポーズ付けてくれたのがこのカット。

お三方の表情がとても良いのは云うまでもないのですが、驚くべきはその背景。

向かって左側は夕暮の木陰ですから、完全なシャドウの筈なのに、なんと、低い潅木の葉が薄っすらと識別出来るのです。

このベィビィの白いズボン、そしてピンクとホワイトのシャツの白部分は明らかにハイライトで飛ぶ寸前まで粘っていますが、この構図、露出条件でここまでダイナミックレンジが広い、X-Pro1の輝度分布対応性には改めて驚きました。

さて、来週は、佐原の前哨戦、北関東(南東北?)某所のお祭りにでも潜入し、また、今日の昼間にミラーレス用に開発した面白いレンズでもテストして来ようと思います。

乞うご期待。

テーマ:街の風景 - ジャンル:写真

  1. 2012/09/30(日) 21:00:00|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

関東三大祭り・先鋒~石岡のお祭り2012後編~

ishioka_10.jpg
ishioka_12.jpg
ishioka_13.jpg
ishioka_14.jpg
ishioka_15.jpg
ishioka_16.jpg
ishioka_17.jpg
ishioka_18.jpg
【撮影データ】カメラ:Fuji X-Pro1 絞り優先AE ISO Auto、レンズ:Rodagon80mmf4改NikonF改ライカM
全コマ開放
さて今宵のご紹介は、いよいよ、工房待望の新兵器、Fuji X-Pro1の実戦投入ということで、佐原祭りに先駆けたフィールドテストも兼ね、ミラーレスの利点であるライブヴュー機構、しかも高精度のEVF経由での撮影を活かし、今まで一眼レフで使っていたRodagon80mmf4をニコンF→ライカMマウントアダプタ経由純正Mアダプタ付きのX-Pro1に装けての終日撮影に臨みました。

実は写真愛好家の仲間内では、APS-Cのミラーレスについて、二つの派閥?が有り、最大派閥が云わずと知れたNEX派、そしてもうひとつが、GX-R+マウントユニットA12M派です。

小生は、撮影スタイルからすれば当然、レンジファインダ機と同位置にアイピースがあり、デザイン的にも洗練されているNEX-7に心情的に惹かれるものがあったのですが、ただ、この機種、マウントアダプタ経由のレンズ遊びにはやや冷淡なようで、純正レンズ以外のライカマウントレンズなど使用しての撮影では、対称系の広角系を中心に色カブリや金メッキ接点の映り込み、或いは斜光の周辺光落ち等々なかなか難しい問題がありそうで、フジの新製品が出た時、メーカーの販売戦略次第では、戦力になるかも!と少なからず期待を抱いていました。

そして、販売から半年近く経ち、値段もこなれ、純正Mマウントアダプタも出回って来たので、場合によっては、長年良く働いてくれたR-D1sを他にご奉公に出し、これと入れ替えてもイイかなと思い、遂に導入した次第です。

何回か浅草や豊洲など近所で半日以内のフィールドテストした結果、なかなか使えそうだとの心証形成が出来、初見参ながら、その名も名高い石岡のお祭りにM8の伴走機として持ち込みました。

では、未体験のRodagon+X-Pro1のハーモニーをとくとご賞味あれ!

まず一枚目。

土曜日は8時半くらいまで石岡に留まり撮影し、翌日曜日は宿営地である、土浦の駅至近のビジネスホテルから10時半過ぎの常磐線下り電車で石岡へ"出勤"しました。

着いてすぐの11時頃はまだ市内中心部の道路の交通規制は解除されておらず、歩道も祭り衣装の市民各位がまばらに行き交うくらい、物々しくカメラを二台も提げ、鵜の目鷹の目で被写体を求め歩道をキョロキョロと歩く工房主はさぞや不審人物だったに違いありません。

そんな中、人々は祭りの中心地、常陸總宮へ向かっているらしいことが判ったので、ネタを求め、周囲に目を配り続けながらも早足で神社へと馳せ参じました。

まずは傑作をモノに出来る様、本殿にお参りしてから、頭の中でゴングが鳴ります。

お参りを終え、本殿を降りてすぐ、チャンスの第一波がやって来ました。

如何にも人の良さそうなお爺ちゃんが極小姐をあやしていて、かがんで極小姐に笑いながら手を振ってみたら、こっち向いて手を振り出したので、こうれればこっちのもん、お爺ちゃんにあのぉ、将来の常陸美人さん一枚撮らして下さい、と云ったら、ぢゃ、記念のオレも!ってカンジでシャター切ったのがこのカット。

たぶん1.5m以内でのカットではないかと思いますが、EVFのクロップ拡大で極小姐の前髪の分け目にピンを合わせて撮ったので、このキューティクルまで写っていそうな超精密描写になった次第です。

これだけシャープなのにも関わらず、背景もそれほど酷い2線ボケにはなっておらず、やはりローデンシュトックという会社は地味ながらレンズに賭ける情熱はツァイス、シュナイダーには決してヒケを取らないと改めて思い知らされた次第です。

そして二枚目。

お爺ちゃんと将来の常陸美小姐に心より出演御礼を述べ、その場を後にし、幸先の良さに小躍りしたいキブンを押さえ、次なる得物を境内で物色します。

すると、居ました居ました、AKBに居てもおかしくなさそうな小綺麗でカンジ良い小姐が獅子頭の横で手持ち無沙汰にしています。

そこで、ちょっと獅子頭に告ってるみたいなカット撮らせて、と少々難題を吹っ掛けてみたら、あ~ら不思議、ご覧の通り、ごく自然に、俯き加減で耳を傾けているかのような獅子頭像に愛を囁くようなカットに上がっちゃったって次第です。

ピンはEVFのクロップ拡大モードを利用し、小姐の睫毛で合わせましたが、いやはや難しいこと。拡大倍率が高く、範囲が極めて狭いので、ブレちゃって、なかなかピンの山を掴みづらかったのです。

でも、たぶん、苦心惨憺して距離計連動加工しても、ここまでのピント精度は出るものやら・・・

それから三枚目。

何故か場慣れしている?美形の小姐に心より協力御礼を述べ、その場を後にしました。

実は当日の朝、結構晴れていたのですが、いわゆる「狐の嫁入り」現象が頻発し、さすがに電子機器たるデジカメを二台も裸で抱えていたら危機感を感じましたので、信徒会館みたいな建物の軒下に避難し、そこから得物を狙います。

こういう時、実焦点距離80mm、APS-Cの補正画角では約120mm相当になるので、知らんぷりして傑作をモノにするのにも便利です。

親娘で祭りに参加している幸せそうな組が目に留まったので、娘さんが呑み終えたアクエリアスのアルミ缶だかを親御さんの目の前で力任せに絞り上げようとしている瞬間の表情や姿勢が面白かったので、抜き打ちの一発で戴いたのがこのカット。

エッジが切れるほどシャープなアポロダゴンに較べればまだまだマイルドですし、背景と着物の色調が似ているのであまり浮き立ち感は目立たないですが、それでも、開放でf4とは云え、80mmの望遠の間合い感は良く出ているのではないかと思います。

またここではキセル爺の長閑な雰囲気が柔らかなボケとなって、なかなか小憎い演出となっているのではないでしょうか。

続いて四枚目。

境内で思う存分撮ってから、そろそろ市内の主要地区も車両通行止めになっただろうと見当を付け、神社を後にしました。

すると、次なるラッキーは、何と初日に駅前で「ハィハィ写真撮って下さいね♪」とか派手なパフォーマンスを繰り広げていた「飛扇会」のキレイどころが出撃前の小休止をしていたのでした。

そこで、目の届く範囲でノリが良さそうな若いハデ目な小姐2人組みに声を掛けて、出演交渉、会の宣伝もさせてねってことで2人が編み出したポーズがこの口元隠しのお揃い首傾げポーズ。

おぃおぃ、自分ら、平安時代のわらわはイヤぢゃとかのたまうお姫さんかよ!?とかファインダ覗きながら、軽口叩いての撮影です。

撮ってるうちに背後からヒューヒューとか口笛やらヤジなんかも飛び交い、結構目立ちたがり屋の愉快な小姐達の集団であることが判りました。

ここでもローパスレスのカメラでEVFのクロップ拡大で超精密合焦やったもんですから、髪の毛の生え際から、ファンデで塗り込めたお肌自然のテクスチャまであますところなく捉えてしまっています。

更に五枚目。

気の良いお二方にお礼とともに「美形揃いの深川祭りの金棒曳きでも先導勤まるくらいだぜぃ」とか目一杯の賛辞を述べ、集団の中で次なる得物を探すと、居ました、居ました・・・いたいけな小々姐と楽しそうに階段に腰掛け一服しながら語らい合う、これまたヂェニュイン美小姐が。

早速、歓談中に割り込み、お三方揃い踏みで一枚撮らしてよ♪と出演交渉。笑顔の二つ返事でこっち向いてポーズしてくれたのでキブン良くシャッター切ったのがこのカット。

ここでは、ややオーバー気味の露出レベルで肌の彩度が高くなり過ぎ、少々不自然な感無きにしもあらずではありますが、それでも、こういう派手目ないわゆる「記憶色」での描写はお祭り写真にはうってつけなのではないでしょうか。イヤならASTIAモードで撮れば済むだけの話しでしょうし。

まだまだの六枚目

代表格の小姐に撮影協力のお礼を述べ、自ら名乗って名刺を渡してその場を後にしましたが、小姐同士の集団の喧しいこと、やれ、自分達だけ撮って貰ってズルぃとか、え!?今の撮影、何かの取材とかだったの?とかそこそこ期待していたリアクションは有ったようです。

一時過ぎになって、そろそろ腹時計も鳴りだしたので、初日と同じ、ノスタルジー溢れる駅前食堂、福々食堂さんでランチにすべく、一旦、駅前まで撤退することとしました。

しかし、転んでもタダでは起きない工房主のこと、被写体を虎視眈々と狙いながら、絶えず辺りを睥睨しての駅前撤退です。

すると、天の助けか、たった10円ぽっちのお賽銭では申し訳無いくらいにイイシーンに巡り合う日です。

大通りの一本南の裏道で幌獅子車の天幕へ入りかけながら、知り合い?と談笑する健気なローカル小姐の姿が目に留まりました。

こうなったら、シャッターチャンスは千載一遇、EVFクロップ拡大での合焦ももどかしく、肉眼コントラスト検出モードでシャッター切ったのがこのカット。

お祭りの楽しさ、晴れがましさが目一杯詰まった、色黒の健康そうな小姐の笑顔が何故か、見る者の心を和ませるカットではないか、と個人的には思いました。

それほど精密にピンを追い込んでいないまでも、実用上は全く問題無いレベルまで撮れるX-Pro1のEVFの性能の良さにも改めて感心しました。

いけいけの七枚目。

福々食堂さんで美味しいローカルポークの肉野菜炒め定食を戴き、また大通りを西に向かいます。

すると、午後の一番眠い時刻、会社でも良く(というか毎日)経験しますがむしょうに眠気が襲ってきます。

さすがにイイ年こいたヲサーンが会社で昼のひなかに爆睡することは社是からも服務規程からも到底許されることではないでしょうが、お祭りの日、しかも頑是無い童子となったら話しは別です。

幌獅子の心地好い揺れに眠気を誘われたのか、完全に夢見る極小姐状態です。

実は沿道を埋め尽くすアマチュアカメラマン各位も、その眼は節穴であろう筈もなく、小生のみならず、十数名がこの天性のスター的小姐のいたいけな寝顔を撮っている筈です(笑)

ところで、このカットで改めて驚いたのが、このX-Pro1のセンサーのダイナミックレンジの広さで、ハイライトである居眠り極小姐の白い涎掛け?がギリギリ飛ばずに粘っていますが、一方、車内シャドー部の別の小々姐が気遣うような表情で覗き込んでいる様子が余すところなく捉えられています。

最後の八枚目。

大通りの西の外れまで歩き通し、突き当たって、南北に走る街道まで出ました。

すると、ここでは何台かの山車が神楽みたいな演じ物を掛けており、大勢の見物客が立ち尽くしていました。

そんな中、相も変わらず、鵜の目鷹の目、得物を探してキョロキョロしていたら、これまた美極小姐を肩にとまらせた若いヲヤヂさんが目に留まりました。

そこで後ろからお嬢さんをだっこしてるとこ一枚撮らして、と頼んでみたところ、またしても快諾。

ただ、当の本人は歌舞楽曲の華やかなる山車の方が気になると見えて、じっと視線を向けておられず、それならいっそと、遠くの視線を移した瞬間に一枚戴いたのがこのカットです。

撮った後、若いヲヤヂさんにもこのカット見て戴きましたが、ずいぶん不思議な写り方をするカメラなんですねぇ・・・とか妙な感心のされ方をしてしまいました。

メール戴ければ、お写真送りますので、どうぞご遠慮なく。

今回の感想としては、やはり、関東平野は広い! こんな素朴で大らかでフレンドリーな人々の暮らす街がまだまだ在ったとは。来年も伺いますよ! 佐原、川越、石岡、栃木、この四つのお祭りは工房主の頭の中では人懐っこくノリのイイ人々の晴れ舞台としてしかとインプットさせて貰いましたよ。

さて次回は何をご紹介しようかな?土曜日の天気で考えることとしましょう、乞うご期待!

テーマ:日本の祭り - ジャンル:写真

  1. 2012/09/23(日) 21:00:00|
  2. 旅写真
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

関東三大祭り・先鋒~石岡のお祭り2012前編~

ishioka_01.jpg
ishioka_02.jpg
ishioka_04.jpg
ishioka_05.jpg
ishioka_06.jpg
ishioka_07.jpg
ishioka_08.jpg
ishioka_09.jpg
【撮影データ】カメラ:LeicaM8 絞り優先AE ISO Auto レンズ:T2 Sonnar38mmf2.8 全コマ開放、ロケ地;茨城県石岡市
さて、今宵のご紹介は予告編から急遽変更、秋祭りシーズンの先鋒、関東三大祭りの一角を占める「石岡のお祭り」からのレポートをお送り致します。

実は、このお祭りのことは、去年辺りから気にはなっていたのですが、結局、何やかんやで行くことが出来ず、その後の佐原秋の大祭、川越祭りをいつも通り訪ね、そして三年に一度という栃木祭りの本祭に運良く巡りあい、すっかり頭の中から消えかかっていたのでした。

ところが、先週の三連休の前の金曜日、中途半端に長い三連休に何しようかな???と出張と外回り、そして残業で疲れ果てた頭でぼおぉっと考えていたところ、ふいに「石岡のお祭り」という概念が浮かび、ネットで調べてみたら、まさに今週の三連休がその開催日だったということなのです。

佐原の例で経験を積んでいますので、今回も泊り掛けで訪問することとし、狭い街の宿泊施設は前日では予約など取れよう筈もないので、佐原での成田のように、今回は最寄りの大都市、土浦で宿を探し、ここでもラッキィなことに格安のビジネスホテルが一室だけ空いていたのを滑り込み、万事揃って、土曜日の午後一に北千住経由、石岡市を初訪問したのです。

写真の説明に入る前に、この「石岡のお祭り」にも少々触れておかねばならないでしょう。

正式には「常陸國總社宮例大祭」といい、佐原、川越と並び「関東三大祭」に挙げられ、菊の御紋の使用を許された神輿や、絢爛豪華なお囃子、神楽舞付き山車や幌獅子車など40数台が夜まで賑やかに街中を運行するという、極めて興味深いお祭りなのです。

では、早速、実写例見ながら、行動を追っていきましょう。今回の前編は土曜日の15時過ぎから日没まで、M8で撮ったものをお送りします。

まず一枚目。

石岡駅に着いてからまずは戦前の腹ごしらえとばかり、駅前の「福々食堂」さんに入り地元産の石岡ポークの生姜焼定食などを戴き、気力を満たしてから、鬼の撮影行に入ります。

大通りに出ると、数十メートる行った辺りで、山車を停めて、その社中の小姐集団が即席歌劇団よろしく、お囃子に乗せて、「うちのかしらはイイ男♪~」とか、どっかで聞いたような歌詞を大声張り上げて歌い、派手な扇子を振り回してのパフォーマンスです。

しかも、踊りに加わらないメンバーは周りで「ハィ、カメラマンの皆さん、撮って、撮って、撮ってやって下さいね!」とかしきりに宣伝・勧誘なんかしているものですから、ついつい立ち止まり、あ、佐原囃子のパロディ~ぢゃまいか?とか思いつつ、一枚戴いちゃったという次第です。

ここでは、やはりT2ゾナー、午後の傾き出したオレンジ成分の多い陽光に照らされる扇子や小姐の顔、表情を臨場感豊かに捉えていると思います。

そして二枚目。

呼び込み小姐に「有難う、頑張ってね、また市内で皆んなに会ったら、声掛けて撮らして貰うよ」と挨拶し、その場を後にしました。

駅前を伸びるメインストリートを西に向かって歩いていたら、山車を何台か追い越し、ふと振り返ると、入道雲の浮いた青空をバックに屹立する賢覧豪華な山車の姿が目に留まりました。

そこでカメラを構えて撮ろうとしたら、ほぉら、中島みゆきにも松本伊代にもちょっと似た母親が、こっちで写真を撮ろうとしているのに気付き、自分はカメラ目線で、いかにもやんちゃげな息子にカメラの方へ目線向けるよう注意を促しています。

このカット、日本国内の霞ヶ浦の北の地方都市で撮ったにも関わらず、このスカっとした青空と全体的な空気の雰囲気が、何故か空が高く感じるヨーロッパの何処かで撮ったような印象を得ました。

これも日本企業に買われたとは云え、ツァイスが気合いを入れて設計を行ったというT2ゾナーのマジックなのでしょうか。

それから三枚目。

また西に向かってメインストリートを歩いていたら、山車を引っ張る、健気な小姐、小々姐、極小姐の部隊が居て、ひとり、祭り衣装でない美小姐が必死に綱を引っ張っています。

本来なら、手助けのひとつもしてあげたいところではありますが、そこはそれ、宗教行事たる山車曳きによそ者が手出しをすることは出来ません。

そこで、精一杯、笑顔で「頑張れ、頑張れ!」など横で声援を行いがてら、一枚戴いたのがこのカット。

いかなT*コートと云えど、午後の斜めに射し込む陽光には抗いようがなかったのか、オレンジの円弧状のゴーストが2条出てしまいましたが、このいたいけな美小姐の必死の労働にほだされ、採用とした次第です。

ゴーストが発生し、全体的にも極僅かですがコントラスト低下は起こっていますが、それでも、午後の傾きかけた陽光に照らされた小姐のしなやかなポニーテールの髪の一本、一本の煌きがとても美しく、心惹かれたカットになったと思います。

続いて四枚目。

メインストリートの西の突き当たりまで着くと、南北に走る大きな街道と交わります。

そこをまず南方向に歩いていたら、これもまた若い頃の平山あやに良く似た小麦色のきめ細かな肌が魅力的な小姐がリーダー格と思しき三人組が歓談しながら、楽しげにゆらり、ゆらり歩いているのが目に留まりました。

そこで、いつもの通り出演交渉、三人並んで撮らしてよ、というと、真ん中の小姐はさすが容姿には相当自信有ると見え、イイ~っすよとふたつ返事で立ってくれたのですが、あとの2人はなかなか集まってくれず、何だらかんだらおだてすかして、集まってもらい、シャッター切ったのがこのカット。

が、しかし・・・やっぱゴメンなさいでした。意図したワケではないのに、やっぱりリーダー格の目立つ小姐にのみ陽が射し、スポットライト状態になって、残りお二方は「日陰の花」になってしまったのでした。

まだまだの五枚目。

小姐達に元気良くお礼と惜別の言葉を述べ、その場を後にしました。

そして街道を次なる被写体を求めて徘徊していたら、居ました、居ました、渋いカンジのお爺さまが孫が相当可愛いらしく、顔をくしゃくしゃにして頬擦りなんかしたりしています。

そこで「あんのぉ、お二方一緒のとこ、一枚撮らしちゃくれませんですかね?」とか声を掛けてみると「おれ、高いぞぉ」とか茶目っ気たっぷりに答え、こんなカンジでポーズをつけてくれました。

上がったカットは空が盛大に入り込んでいたため、ドアンダーでしたが、画像処理ソフトで明度とガンマをちょこちょこっと直し、何とか見られるようにしたのがこのカットなのです。

実は、今日はお昼過ぎから外出しようとしていたのですが、家で洗濯ものを乾燥機に叩き込んでいる最中に携帯が鳴り、ディスプレイには見慣れぬ携帯からの着信であることが示され、誰かと思い取ってみれば、このお爺さんがお孫さん可愛さにメールもインターネットもやっていないが、孫との写真が欲しかったので、送ってくれないか?という旨をお渡しした名刺を頼りにわざわざ電話してきて戴いたのでした。嬉しくて、ふたつ返事でお送りする旨約束した次第です。

更に六枚目。

夕暮まで南北の街道を何度も往復して写真を撮りまくっていたのですが、日没のちょっと前、外人さん一行が観光しているのが目に留まり、こりゃ、歴史的な街並みに海外からのお客さんてのは、「震災復興支援」って観点カラも良いネタだわぃ、と1人ごちて、案内役っぽい雰囲気の中央向かって右よりの黒髪ショートの美小姐に「Excuse
me, May I ask you a Favor? I would like to take a photograph of your company.」とか早口で声掛けてみれば、「あ、私、日本語、完全に判ります、写真撮ってくれるんですか?」と聞き返されたので、あこりゃ失礼しました、ぢゃ、撮りますから、お友達は集まってね♪とかソフトに云ってみれば、おそらく関係ない、野次馬の若者まで十重二十重に集まり、入ってくるのがいれば、小生の横で勝手に撮るヤツもいるわで、写真を通じての束の間の国際交流の場となったのでした。

ここでは主役の海外からの若人の遥か後方にやんわりとボケた古風な建築物が控えめに歴史的な街での華やかな撮影であることを主張しています。

まだまだの七枚目。

南北の街道を何往復かしているうちに陽が沈む時刻となってきました。

ここ石岡の街は地名に岡が付くだけあって、街の西側が緩い傾斜となっているようで、見通しの開けた長い通り越しに沈む夕陽が見られるスポットが何箇所か有るようでした。

それを事前に調べよう筈もなく、たまたま歩いているうちに、大通りに交差する小径越しに夕陽が長い影を作っているのが目に留まり、何とか太陽本体を遮蔽して影だけ撮れないかとファインダを覗きながら左右に歩いたり、しゃがんだり、三歩進んで二歩下がるみたいなことを繰り返した結果、探り出したベストポジションでの必殺カットです。

ここでは、目の前10m弱の地点のマンホール付近での置きピンですが、影の輪郭といい、石畳状の舗装材のテクスチャといい、極めてシャープでクリアな画を描いており、T2ソナーのまさに真骨頂ではないかと思いました。

まさに10年近く前に御宿の夕暮にモノにした浜辺のカットを彷彿とさせてくれました。

最後の八枚目。

その夕焼けを撮った小径と大通りの曲がり角辺りで如何にも大家族という雰囲気の一家が楽しそうにお祭りの思ひ出などを語らい合いながら、子供達は子供達で大人の話に聞き入るでなく、適当に飽きたら、子供達同志で遊んでいます。

そんな中、お姐ちゃんがまだ小さい従弟を持ち上げてあやしているところが目に留まり、ダッシュで近寄り、近くの大人に「これ最高、抱っこしているとこ、一枚撮らして下さい!」と声掛け、返事が有るかないかの際どい瞬間に戴いたのがこのカット。

夕陽に照らされた柔和な表情の幼い少女の表情、そしてその後方で羨ましそうに見上げる幼子。個人的には谷内六朗画伯の画をトリビュートしたカットになったのではないかと思います。

今回、このカットが撮れただけでも、初めて出掛けてきた価値が有ったとさえ思いました。

さて、来週は、石岡のお祭り後編、X-Pro1の実戦初の作例も登場致します。乞うご期待。

テーマ:日本の祭り - ジャンル:写真

  1. 2012/09/18(火) 00:27:08|
  2. 旅写真
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

The great statue of western scientific history~T2 Sonnar38mmf2.8mod.M~

T2_sonnar38mm.jpg
sonnar38mm_01.jpg
sonnar38mm_02.jpg
sonnar38mm_03.jpg
sonnar38mm_04.jpg
sonnar38mm_05.jpg
sonnar38mm_06.jpg
【撮影データ】カメラ:R-D1s 絞り優先AE ISO200、ロケ地:Oktober Fest2012 Toyosu
さて、今宵のご紹介は予告通り、久々の工房作品を使用してのレポートです。

今回登場したのは、お馴染み、泣く子も黙る超高級コンパクトカメラの元祖、ヤシコンT2の心臓部であるSonnar38mmf2.8を工房独自の技術で距離計連動に仕立て直したものです。

構成は4群5枚の変型ゾナー、どこが変型かと云えば、第2群の3枚貼り合わせの真ん中の低屈折率のフリントを空気レンズに置き換えた構成にしたものとされています。

お馴染みとは云いながら、少しだけこの銘玉の由緒由縁に触れておかないワケにはいかないでしょう。

ヤシカがカールツァイス財団と提携し、初の製品RTSを発売したのが1971年、それから19年後の1990年11月に旧ヤシカのコンタックス事業を継承した京セラから、バブル華やかなりし頃の仇花とも云える超高級コンパクトカメラとして、チタン外装、人工サファイアのレリーズボタン、ファインダガラス、窒化珪素系セラミックのフィルム圧板とまさに当時の最先端素材てんこ盛りでお値段も定価で12万円という、ニコン、キャノンという一流どころでも一眼レフの普及モデルならレンズ付きが買えてしまうお値段で発売され、時期も良かったため、販売的にもかなり良好だったようです。

実はこのT2というカメラ、今や中古カメラが大勢を占める当工房において、何とアサペンMEの次に新品で買っ記念すべきカメラでもあったのです。

しかし、この超高級コンパクトカメラ、撮影し易いカメラだったかと云えば、必ずしもそうでもなく、結構、とんでもないところにAFを合わせてしまうようなところがあり、パーティなどで複数名が入った写真なんか撮っても、その中の誰にもピンが来なくて、実は背後の壁の彫像にばっちり合ってたなんてことがまま起こりました。

ただ、ピンと露出が的中した時の描写力は凄まじく、若い頃、全国レベルの写真展では何回か入賞したことがありますが、そのうちの二回目が日本ボート工業会だかの写真展で、千葉県御宿町の夕暮れの砂浜でカヌーだかを担いで海に突進する若者達をセミシルエットで撮った写真は何と、当時の新進気鋭の小説家、鈴木光司氏の眼に留まり、審査員特別賞を戴いたのでした。

また、1998~99年にかけてタイに駐在していた頃、10月のアンコールワットへ遊びに出掛けたことがありましたが、その灼熱の密林の中で3泊4日、EOS888という現地仕様のフィルムカメラに35-70mmのズーム、当時の愛機Leica R4sにVario-Elmar28-70mmをつけて、更に予備役としてT2をカバンに忍ばせて行ったのですが、最終日の夕方までにEOSはバス社内の熱でAF機構がバカになったらしく撮影不能、R4sに至っては、裏蓋のフィルム覗き窓の遮光モルトがこれまた熱で融けて穴が開いてしまったらしくフィルム5本以上の光線引きでパー、最終日のアンコールワットの日の出を薄暮の中でしっかり捉えたのは、このT2だけだったのです。

また、マイナス19度の真冬の万里の長城ツアーでメンバーのカメラが次々ダウンする中、最後まで撮影出来たのは、このT2とニコンFM2だけでしたし、とにかく、高いだけのことはありました。

しかし、このカメラの価値の真髄を表す出来事は、今の職場で欧州に商談で駈け巡っている時に、クロアチアのザグレブの修道院に滞在し、そこで現地の科学者兼設計技師であるクロアチア人の初老の某ドクターを交えた教会側との商談の席での彼の一言を聞いたことでした。

チタンの加工サンプルとタフさを買った記録用として出張の際は必ずT2を身に付けていて、その日も交渉のテーブル越しにドクターにT2をご覧戴いたのですが、ためつ眺めつして、手許に置いたまま、一向に返してくれる気配がありません。

あからさまに早く返して!というのも品の無いハナシなので、仕方なく、商談を始めようとしたら、まず、一言云わせて欲しい、とドクターが流暢な英語で口火を切り、「この街から出たニコラテスラしかり、英国のアイザックニュートンしかり、ファラデーしかり、お隣りイタリアのアレッハンドロボルタしかり・・・世界の自然科学の進歩は欧州が中心となって来た事は疑いようも無いだろう。翻って、貴方が極東の地から持って来て、これみよがしに目の前に出した、このコンタックス、この名前もまた世界の光学史を常に牽引して来た大カールツァイスのアイコンそのものだ。そんな欧州に暮らす知識人には特別な思いの有る西欧の自然科学のシンボルのようなコンタックスの名前を朝鮮出身の日本人経営者が何の思い入れもなく商売のために買ってしまったことはとても悲しく、残念に思っている」と云って、苦虫を噛み潰したような顔で返して寄越したのです。

これで、カールツァイス、コンタックスというブランドは、欧州人にとっては、ただのメーカー、製品を表すだけのものではない、ということを感じ取ったのです。

因みに今回改造したレンズ、これはその長いこと一緒に暮らしてきたT2のなれの果てかと云えば、そうではなく、今から数年前、会社でIT機器用の良加工性チタン冷延板を開発する際のサンプルとして、T2のジャンクを市中から曳いて来た時、分解出来る技能を持つのが小生だけだったので、分解し外板を取り外し、内部のメカとレンズは要らない、ということで廃棄処分になるところを譲り受け、大事に保管していて、この夏、お盆前にふと、この超ショートフランジバックのレンズの加工法が突如閃いたため、お盆明けに一気呵成に改造を行ったという次第です。

前置きが相当長くなってしまいましたが、早速実写例を見て参りましょう。今回は近所でやってたドイツのお祭り、オクトバーフェスト2012でのロケです。

まず一枚目。

塩浜から都バスに乗ると、新興商業地、豊洲へはものの10分もしないうちに着きます。

豊洲駅前でバスを降りて、まずは腹ごしらえとばかりに駅前のNTTデータのツインタワー根元のレストラン街でハワイアン料理屋なんかに入って、国籍不明のやきそばみたいなものを戴きました。

それから、予め見当をつけていた通りに歩いて会場を探しましたが、なかなか見当たりません。

それもその筈、ららぽーと豊洲の裏手のちょうど突堤の外れみたいなところの石川島播磨重工の東京造船所の遺構みたいなところのちょっとした公園の脇の空き地でやってたからです。

豊洲の駅周辺は今なお大規模マンション開発の真っ只中で、その建設のための高い覆いがあるため、目立たなかったということもありました。

そんなこんなでやっと会場の入口に辿り着き、もう引き揚げるのか、ビアヂョッキを返却し、その横のビール売り場で感想交じりに係員と談笑している若者達の姿を戴いたのがこのカット。

このドピ-カンの日中では、正直、R-D1sの最低感度ISO200では開放撮影はキツイものがありましたが、それでも、ほらこの通り、画像処理ソフトで明度をちょっこし落とせば、手前のカンカン帽の兄ちゃんのオックスフォードシャツの皺や生地の質感、そして背後の小姐達の健康的な肌の色合いまでかなり繊細に捉えています。

そして二枚目。

会場の奥手には何故か懐かしい雰囲気を漂わせた鋼製のクレーン、それもかなり旧式のものが最新のタワーマンションを背後に従え、雄々しく屹立しています。

そこでこの懐かしくも近未来的な風景を一枚戴いて、採用することとしました。

もちろん開放で、ピンはクレーンの垂直柱に合わせていますが、このレンズ、被写界深度がかなり広いのか、手前の鋼柱から、背景の佃島のマンション群まで鮮明に捉えています。

ただ、これはR-D1sの撮像素子のダイナミックレンジの限界だとは思いますが、空を漂う白雲はやはり飛んでしまいました。

それから三枚目。

会場に入る際、性格の良さそうな小姐がドイツ娘の格好で案内チラシみたいなものを配っていたのが目に留まっていましたから、またクレーンとは反対側の入口に早足で戻り、小姐にブログ記事用のレンズのテストしたいので、申し訳ないですがモデルさんになって!と出演交渉、はじめは怪訝な顔されましたが、少し考えたのち、快諾、会場の喧騒を背景に一枚撮らせて戴いたのがこのカット。

シャープネス、クリアさ云々というより、まさにごく自然なカンジで若い小姐の肌の質感を瑞々しく捉えていると云った感想です。

無論、レンズとしての基本性能としての画面全体の均質性もボケの素直さも文句の付けようがありませんが、こんなカンジで、若い女性を肉眼で見た目そのままに美しく、魅力的に写し取ってくれるレンズ、これだけで充分、改造して生き返らせた手間を超える価値があると思いました。

続いて四枚目。

モデルさんになって頂いた会場スタッフの小姐に心より協力御礼とイベントの無事完遂を祈る旨告げて、その場を後にし、会場周辺を散策しようと思いました。

とその矢先、ららぽーと南側の緑地公園にて、愛玩犬ではマニアックな分類に属すると云っても過言ではない、イタリアングレーハウンドを連れた工房主と同世代か、やや上のご夫妻が居てビールを楽しまれていたのですが、そおっと近寄ったら、グレーハウンドが嬉しそうにこちらを見て尻尾を振りだしたので、すわっと一枚戴いたのがこのカット。

ご存知、R-D1sのシャッター音はかなり甲高く、比較的大きいので、これだけの距離でも、撮られた側は気づくことが多いです。

そこで、何事かと振り返った奥方に、「あんまり可愛いんで、ワンコの写真一枚撮らして貰いました」と述べ一礼したら、して先方ご夫妻も破顔し会釈してくれたので、いつも通りの愉快な撮影に収束したってことです。

このサイズではなかなか判りづらいかも知れませんが、この犬種の特徴であるグレーの毛並み、そして大きく立った耳の薄い皮膚越しに透けて見える血管まで、この西欧自然科学の申し子たるドイツ由来のレンズは捉えていました。

またAPS-Cサイズでの撮影とは云え、四隅の流れが目立ち易い芝が入った構図で全くと云ってほど破綻が無いというのも、凄いことだと思いました。

まだまだの五枚目。

緑地公園からまた突堤の公園の方に戻ってみました。

何せヒマな土曜日の午後ですから、カメラを持った散策は気の向くまま自由そのものです。

実は江東区内にもう10年弱住んでいるのにこの豊洲の海が一望出来る突堤の公園に来たのは初めてで、見る景色全てがそれこそ新鮮に写り、創作意欲が次々と沸き起こるのを抑えられませんでした。

そんなこんなで、誰か適当なモデルさんが来たら、その人を入れて東京港の奥部をバックにした風景っぽい写真を撮ろう、とか考えていたら、カメラを構える横を親子連れが駆け抜け、突堤の手摺に捉まってとりとめも無い話しなんか始めちゃったんで、まさに渡りに船とばかり、風景の一部になってもらい、一枚戴いたのがこのカット。

ここでも、R-D1sのダイナミックレンジの狭いセンサーでは、空も海水面も日照により完膚無きまでにすっ飛んでさざ波立つ水面の様子など判ろう筈もないですが、それでも、画像処理ソフトでまた明度をちょっっこし下げたら、ほぅらこの通り、背景の鉄橋のマリンブルーの躯体はしっかり捉えられていますし、ピンを置いた親子の人肌もしっかりと再現されています。

最後の六枚目。

そこそここのレンズの特徴が判りそうなカットが撮れたこともあるし、そろそろ夕方の行動予定の準備のため、工房に戻らねばならないため、会場を後にし、ららぽーと横の通路を豊洲駅方面に歩いていたら、ふと通りすがりに「有難うございました」と愛くるしい声を掛けてくれた小姐が居て、振り返ったら目が合ってしまったため、「ブログのレンズテスト用に2枚ほど撮らせてくれませんか。実は小生、この筋ではそこそこ有名なブロガーなんですヨ」とか適当なこと云って、撮らせて戴いたうちの一枚。

ここでも、斜め前からの午後の斜陽という極めて悪い光線状態ながら、しっかりと、そしてしっとりと若い女性の健康的な美しさというもの全体をあますところなく捉えています。

また、背景のボケもSonnar一族のDNAをしっかり主張するかの如く、不快なぐるぐるも、芯の残ったざわざわもなく、きれいに融けるが如くボケて、雰囲気の有るカットになったのではないかと思います。

もちろん、モデルになって頂いたお嬢さんには当ブログのお名刺をお渡ししてますから、もしメールでも戴ければ、このカット、記念に大伸ばし出来るよう加工してメールでデータお送りしますので、宜しくお願い致します。

今回の感想としては、いやぁ、フィルム時代のT2のボディを捨てて、Mマウント化されたこのレンズは、期待以上にその高性能ぶりを発揮したのではないでしょうか。

来るべき佐原大祭ではM8とコンビを組んで、傑作を追い求めてみましょうか。

さて、来週は攻守交替、工房附設秘宝館からのコレクションご紹介となります。何が出るか、乞うご期待。

テーマ:街の風景 - ジャンル:写真

  1. 2012/09/09(日) 21:27:34|
  2. Mマウント改造レンズ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

Ein Beispiel der japanischen Geistes mit westlichen Lernen~QBM Color-skoparex28mmf2.8~

colorscoparex28mm.jpg
colorscco_01.jpg
colorscco_02.jpg
colorscco_03.jpg
colorscco_04.jpg
colorscco_05.jpg
colorscco_06.jpg
【撮影データ】カメラ:EOS1DsMKII 絞り優先AE ISO400、全コマ開放、ロケ地:米軍座間基地
さて、今宵のご紹介はこの夏直前に海外から届いた、Rolleiflex SL35用の玉、即ちQBMマウントの交換レンズ、Colorscoparex28mmf2.8です。

このColorskoparex28mmf2.8というレンズはとても興味深い玉で、ここのサイトをご覧になるくらいの方であれば、半ば常識化していると思いますが、VoeigtrenderのブランドでRollei SL35用QBMマウントレンズとしてリリースされてはいますが、その実、構成は7群7枚のレトロフォキュタイプ、即ちツァイス系統の広角レトロフォキュですから、中身はDistagon28mmf2.8そのものなのです。

更に興味深いことにこのレンズは日本製ですが、何とその製造元がマミヤ光機ということで同一構成のレンズがマミヤオート銘のM42だかで国内では販売されていたということらしいのです。

ところで、この謎多きレンズが何時くらいに製造されたか?ということですが、"Vade me cume"をはじめ関連サイト情報が殆ど皆無なので、Rolleiの35mm一眼レフと傘下のブランドであるVoigtlaenderの同一マウントの一眼レフの製造時期より間接的に類推するより他ありませんが、恐らく、1976年前後ではないかと読んでいます。

それにしても100ドルかそこらでこんな面白いもんが買えてしまう、電子湾での夜釣りはやめられませんね(笑)

では早速実写例を見て参りましょう。今回のロケ地は今を去ること8月第一週の座間基地での念仏踊り&花火大会でのものです。

まず一枚目。

基地の中でも居住エリアは、普通の米国の住宅地とはたいした相違はなく、日本とは明らかに違った都市計画における美意識がそこかしこに垣間見えます。

その一端が黄色の本体に緑の帽子の消火栓です。日本ならば、真っ赤かの無骨な機能一点張りの設備ですが、この米国のものは、造型といい、配色といい、緑多き住宅街への調和も念頭に置かれているらしく、そこはかとない洒落心を感じてしまいました。

ピンは緑の傘のエッジで合わせていますが、背景の通行人の男女はかすかにボケるカンジで、また周囲の芝生、木々もそれほど流れや崩れが認められず、スナップに利用するくらいであれば、充分過ぎる性能を今でも持ち合わせているレンズであることを示してくれました。

そして二枚目。

芝生のエリアを少し進むと真夏の行事である基地開放デーの風物詩とも云える野戦給水車が、その本来の勤務地とはかけ離れた平和な極東の地で幸せそうな家族連れに冷たい新鮮な水を振舞っています。

禍々しいカモフラージュ模様と色とりどりのカジュアルウェアの子供達とは如何にも不釣合いですが、一方、レンズノ再現性能を見るには格好のモチーフですから、ホントは浴衣の小姐達が美味しそうに水を飲むところでもバッチし撮りたかったのですが、待てど暮らせどやって来ないので、痺れを切らし、ミリタリールックもどきの幼い兄弟にモデルさんになって貰って一枚戴いた次第。

ここでも、ノーフードで撮りながら空の入った構図でフレア、ゴーストが皆無、更に給水車の艶消し塗装の質感再現性、そして画面の隅に至るまで歪みない均質性がこのレンズの優秀さを物語っています。

それから四枚目。

露店、模擬店が軒を並べるメインストリートでやはり名物になっている、士官、軍属合い乱れての無礼講的行事のバーベキューファクトリーでお店の横を通ってヘリコ広場へ抜けようとしたら、焼き方さん達と目が合ったので、通り過ぎる時に「Hello!! Have a nice day!!」とか適当に挨拶しながら通り過ぎようとしたら、フォトグラフ
、フォトグラフとか陽気に騒ぎ出し、自分達を指で指してニコニコ笑うので、よっしゃ行きまっせ!と一枚戴いたのがこのカット。

ここでもやはり程好いシャープネスで人物を捉えていますが、背景の焼き方さん達のなだらかなボケ、そして画面全体に亘る均質な描写がとても魅力的に思えました。

続いて四枚目。

一番手前の兄ちゃんにEOSの背面モニターで実写結果見せて上げたら、小さくて良く判んないけど、皆んな笑ってるところが撮られているから、それでイイんぢゃね、と云われ、お互い、サンキュー!と云ってその場を離れました。

開放区一番奥の芝生広場では何組もの童子達が思い思いに遊んでいたということは、先般のレポートで書いた通りでは有りますが、その中で仲良く水鉄砲で水かけっこしていた小々姐、極小姐の3人組が居たので、ちょい待った休戦、イッツショータイム♪だ!とか適当に因果を含めて芝生の前に整列させて撮らせて貰ったのがこのカット。

やはり欧米の子供達は、「えっ、あたい達を撮ってくれるの!? 嬉しいナァ!!」てなカンジがアリアリでポーズの注文も特段つけていないのに、このノリです。

後から戻って来て、ニコニコ笑い撮影の様子を見ていた基地従業員の若いヲヤヂさんにも鄭重に礼を述べ、童子達ともども撮影結果を背面モニターで見て貰い、「やはり日本のデジタル製品は優秀だ、ほら見ろ! お前ら、実物よりずっと可愛く撮られているぞ!」とか真面目そうな顔で云ったもんですから、3名の水鉄砲から顔と云わず体と云わず集中砲火を浴びたのは云うまでもありませんでした。

まだまだの五枚目。

水かけ合戦にうち興じる幸せそうな一行に別れを告げ、また被写体を求め、基地内を徘徊し、ヘリコ広場へと戻ってみれば、先ほどまでは居なかった、野戦服に身を固めた兵士二名が体験試乗の手伝いをしながら、英語が判りそうな人間には、機の解説というか、装備自慢みたいなことやってました。

そんな退屈そうなお二方の様子をしらっと一枚戴いたのがこのカット。


ここでも、この"覆面ディスタゴン"は素晴らしい性能を発揮してくれました。

それは、何処かと云えば、画面上部やドア横辺りのヘリの外装の質感描写は云うに及ばず、更には機内のシャドウ部も余すところ無く捉え、そのラチチュードというかダイナミックレンジは、特段、画像処理ソフトでγなどいじらないのに、IPEG撮って出しでここまで捉えてしまったところなのです。

最後の六枚目。

この日は上空の大気が不安定で会場でも小雨が降ったりやんだりで、雷雨でも来たら目も当てられないので日暮れ前よりもだいぶ早くお暇を頂戴しようとしたのですが、メインストリートを正門に戻る途中の露店、模擬店街に如何にも気の良さそうな若い黒人ママがベイビーをあやしていて、通り過ぎようとしたらベイビーが熱線追尾式ミサイルみたいに工房主をじっと見詰めていたので、一旦立ち止まり、可愛いベイビィだねぇ、一緒に一枚撮らしておくれよ!と頼み込んでみたら、シュア、ノープロブレム、プリーズと云ってこっち向いてくれたので、ハィお言葉に甘えて一枚戴いたのがこのカット。

ベィビィの眼でピントを合わせていますが、特に感心したのが、ベィビィの腕の肌の質感、色合いの再現性です。

その直後のお揃いの緑の幼児服のベィビィはマイルドにボケていますが、それより後の通行人各位はちょっとざわざわしたボケになってしまったのが少し残念ではありましたが、これだけ撮れれば上出来でしょう。

このまだ物心もつかないうちから、バカでかい真っ黒なカメラについた真っ赤っかなコートのおっかなげなレンズを真っ直ぐ見つめ返すこのベィビィのの強い目線に、まさにアメリカという国の、基本的に国民は国を頼りにしない、という個の力の集合体、合衆国の強さの片鱗を垣間見た気がした、と云ったら大げさでしょうか。

今回の感想としては、やはりお買い得感満載でした。イイ玉はマイナーマウントに隠れている!という確信を深めるに至った次第です。


さて、来週は久々に工房製品のご紹介でもいきましょうか。乞うご期待。

テーマ:街の風景 - ジャンル:写真

  1. 2012/09/02(日) 21:00:00|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

プロフィール

charley944

Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる