
さて今宵のご紹介は、今は亡き国産の中小光学機器メーカー「PETRI」が1970年代に米国の流通業者向けに"CARENAR"でOEM供給した55mmf1.7のレンズをご紹介します。まぁ、秘宝館と工房作品の中間くらいの意味合いの記事とお考え下さい。
光学系の構成はオーソドックスな4群6枚のプラナータイプ、モノコートのオーソドックスな光学系です。
ただ、このレンズの特徴というか、後年にマーケッティング上の足かせとなったかと思われるレンズ側フランジのスピゴットマウントで、しかもフランジバックが43.5mmと故ミノルタSRマウントと同一の短さです。
実は工房主は小学校高学年から写真というかカメラいじりはやっているのですが、ペトリ製品を手に取ったのは、先のCarenar135mmf2.8のレンズが生まれて初めてで、ボディについては、このマウントアダプタを製造するために前橋の中古カメラ業者からヂャンクを曳いてくるまでは触ったことすら無かったのです。
何とならば、70年代に写真をやっていた方には思い当たるフシがおありと思いますが、ペトリは三流中の三流メーカーで、まともに写真やる人間が手を出すべき代物ではないと、物識り顔の写真マニアの大人達が常々口にしていたからです。要は「安物買いのゼニ失い」ということです。
確かに一生のうち何回買うか判らないカメラ、それもレンズ交換を前提とする一眼レフであれば、信頼性、発展性、そして、ブランド力を重視して買ってしかり、かも知れません。
かくいう工房主も、ニコン、キャノンは交換レンズ群が高くて手が出せなかったので、高校入学当時、出たばかりのPENTAX MEをパートナーに選び、ペトリなど眼中にもありませんでした。
しかし、会社勤めも長くなり、収入も安定し、そしてその一方、カメラ自体の値段も下がってくると、あれもこれも欲しくなってきて、その割には、一個一個を自分のものとして、先入観無く冷静にモノと向き合えるようになることから、Carenar135mmf2.8の望外の性能をきっかけとして、今回のペトリも客観的に観察しようという気になったのです。
また、ペトリはどこもMマウントのアダプタを作っておらず、デジタルでの実写例が無いことも今回のアダプタ製造の後押しになった次第です。
では、早速実写結果を見て参りましょう。カメラはX-Pro1での絞り優先AEによる全コマ開放撮影、ロケ地は浅草です。

まず一枚目のカットですが、お馴染み車夫さんシリーズ、「潮来の娘船頭」ならぬ「浅草の小姐車夫(婦?)」の交渉の図です。
いつも深川から浅草へ出るのには銀座線の地下鉄を使っているので、浅草寺最寄出口を上がると、いつも目の前に誰かしら車夫さんが控えているので、ご好意に甘えてモデルさんになって貰っている次第です。
ピンはEVFのクロップ拡大を駆使し、車夫小姐の眼に合わせていますが、それでも3m程度の距離であれば、車夫笠のふちまでは被写界深度に十分入っているようで、笠の黒い生地の細かい皺やテクスチャがあますところなく描写されています。
しかし、シャープさのお釣り?として背景はやや2線ボケ傾向です。

二枚目のカットは、ここも定番撮影スポットと化した、きび団子&甘酒のお店「あずま」さん店頭の図です。深大寺でかなり眉目秀麗な小姐を目にするせいか、以前ほど新鮮な感激はありませんが、やはり和服姿のいたいけな小姐達が健気にお店を切り盛りするさまは、観光地としてはやはり王道的撮影スポットであることは疑いようがないでしょう。
ピンは奥側の紺の和服のちょいエキゾチックな雰囲気の小姐のご尊顔に合わせていますが、当然写り込むであろう、手前の甘酒売りの小姐の顔はかなりマイルドな前ボケと化し、2線ボケも荒々しい後ボケとは対照的です。
またKOWAの玉ほどではないにせよ、タングステン光と午後の太陽光のミックスという、かなり難しい光線加減にも関わらず、お年頃の小姐の肌を柔らかくもリアルに描写していると思います。

三枚目のカットは、その「あずま」さんの店頭の反対というか、仲見世を横切る東西通路を挟んだ並びのペット洋品店の店頭で物欲しそうにショーウィンドを眺めていた、いたいけな小々姐の図です。
このカット、多感な小々姐の全身で表現される物欲しさとか、じれったさとか云ったゼスチャも面白いのですが、写真的には、赤系統の色バランス、そして何よりも、背負子の細かいチェック模様が余すところなく描写されているのです。これが国産で最底辺とも云われることもあったカメラの「眼」とは到底思えませんでした。

四枚目のカットですが、獲物を求めて仲見世を虎視眈々と睥睨しながら徘徊していたら、オモニに背負われながらもしきりに天空を凝視するいたいけな極小姐が居たので、オモニが店頭の売り口上に気を取られているスキに一枚戴いちゃったもの。
ピンはいたいけな極小姐の唇辺りに合わせていますが、ここでも幼子の肌の質感描写、そしてほぼ同一焦点面に有ると思われるピンクの可愛い帽子側面の細かいメッシュが見事描かれています。この柔らかな人肌の表現と顕微鏡並みに細かいデテールを捉えてしまう、こういった二律背反を知らっとやってのけてしまうところがこのレンズの凄いところではないかと思いました。
なお、背景のボケは光源が幾つか写り込んでおり、2線ボケと共に若干の口径食が認められます。

五枚目のカットですが、仲見世を通り抜け、宝蔵門から境内に足を踏み入れ、ここでも定点観測スポットである手押し井戸までやって来たら、健気な水汲み極小姐が居たので、「ハ~ィ、写真撮るから覚悟してね♪」とか冗談っぽく声掛けてみたら、急に表情が硬くなり、こんなカンジでとりあえずはポーズだけ取ってくれたもの。
ここでもピンはいたいけな極小姐のご尊顔にピンを合わせていますが、肌や衣装の質感描写は大したものです。
決してカリカリではないものの、フレアで以て解像力の低さを誤魔化すでもない、即ち、余計なものを足しもしない、必要な情報を引きもしない、かなり心地好い忠実な描写がそこにありました。

六枚目のカットですが、境内で一家の観光写真を楽しんでおられるアメリカからの観光客が居たので、声を掛けて、一家の集合写真を撮って上げる代わりに、娘さんをモデルに供出して貰ったもの。
ピンは向かって左の小姐の眼に合わせていますが、ここでもカリカリではないのに、お二方のご尊顔をかなり繊細に、それこそ表情筋の様子まで描いていますし、光線状態も曇天の空を背負った位置での撮影だったにも関わらず、ブロンズのしなやかな髪の艶かしさを余すところ無く描写しきっています。

七枚目のカットですが、こちらも米国から観光に来たというお二方をご焼香場でキャッチし、モデルになってよ♪とお願いし、"Really? With pleasure!!"と快諾戴いて本堂をバックに撮らせて戴いたもの。
このカットでは向かって右手の小姐のサングラスの玉にピンを合わせていますが、光線状態も良いこともあって、EVFでの合焦精度が更に高まったらしく、先の小姐姉妹のカットよりも更にクリアでリアルな肌描写です。
しかし・・・背景は凄いことになっています、あたかも田舎の正月のどんど焼で熱気と共にお焚き上げされた御札や用済み縁起物が煙の中を舞っているかのようにも見えました。

八枚目のカットですが、宝蔵門の下でお互いのスマホンで撮りっこしていた小姐2人組が居たので、ついつい余計なお世話かと思いながらもシャッター押したろか?と声を掛けて、そのついでにポーズ決めて貰ったところを撮ったもの。
ピンは便宜上、左の小姐の眼で合わせていますが、きちんと並んで必殺ポーズ決めてくれたおかげで、右側の小姐の愛くるしいご尊顔もきちんとピンが来て描写されています。
また、距離の関係か、後ボケも比較的マイルドに描かれていると思いました。
しかし・・・関西の小姐は面白いですね♪ 幾ら名だたる観光地とはいえ、このノリ、このポーズですから。改めて関西文化圏の底力を思い知らされた次第です。
もし、このブログ読んでたら、Yahoo!辺りの捨てメールでも一向に構わないので、連絡下さいね、この写真のファイルを記念に送って上げますから。
今回の感想としては、う~ん、やはり日本の産業の底力は凄まじい。1970年代、こんな、誰にも見向きもされなかった絶版メーカーの玉が幾ら最新ミラーレスの力を借りたとは云え、ここまでやってのけてしまうのですから・・・
さて、来週は、ふと気まぐれに訪れた深大寺の初夏の風景をお届け致します。乞うご期待!!
- 2013/06/29(土) 21:28:05|
- Mマウント改造レンズ
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さて今宵のご紹介は1990年製のサードパーテ-製ズームレンズ、Tokina SZ-X200 80-200mm f4.5~5.6を工房で元のミノルタSRマウントからNikon Fマウントに改造し、更にそれをF/EFマウントアダプタ経由、Canon EOS1DsMKIIで以てフルサイズ撮影したものです。
このレンズの特徴は、1990年当時のサードパーテー製レンズと言えば、とかく性能は純正に追い縋ろうとしても、同じような値段では買って貰えないと諦めていたのか、とにかく、鏡胴の材質、造りにコストダウンが顕著で、正直、モノとしての質感は議論に値しないものが多かった中で、オール金属鏡胴、しかも直進ズームで精度も高く、開放値もf4.5~f5.6とムリをしていないだけあって、デビュー当時の評価は玄人筋を中心にまずまずのようだったようです。
しかし、ここでひとつ素朴なギモンが生じます。何でレンジファインダー機のレンズ、一眼でも大口径単玉が好みの筈の深川精密工房でこんなレンズが出てくるんぢゃ!?ということです。
それには二つ理由が有って、ひとつ目は、先に購入し、大当たりだったCarenar135mmf2.8の二匹目のどぜうを狙い、馴染みの中古カメラ屋さんのヂャンクコーナーから、これはと思うお値ごろ品を目利きして、ばんばんと買って帰っているので、改造ドナーが増えたから、二つ目は国産のサードパーテーメーカーが実は海外有名ブランドのレンズをOEM供給していたことがあり、某L社と某S社のズームが鏡胴のパッケージングこそ違え、光学系は一緒という有名な話もあり、このT社もおフランスのTarres社の民需用ズームレンズをOEM生産していたという話しもまことにしやかに囁かれ続けてきたので、もしかしたら☆、ということでお値段も丸の内ランチ価格程度で玉もそこそこキレイだったので、買い求めて家に連れ帰ってきたということです。
では、早速実写例を見て参りましょう。ロケ地は先週のフジノン55mmf1.7同様、深大寺一帯です。

まず一枚目のカットです。真っ先に訪れた深大寺城址で駆け寄った蕎麦の花畑で、ニホンミツバチ達が健気にミツだか花粉だかを集めていたのが目に留まりました。
そこで、早速、このレンズの特徴であるマクロ機能を使って!とか思ったのですが、全然使い方が判らないので、とりあえず、200mmで寄れるだけ寄って、臆病なミツバチを驚かさないよう細心の注意で撮ったのがこのカットです。
さすがにフルサイズで撮ってしまうと周辺のアウトフォーカス部の流れというか崩れについても、一目瞭然ですが、これがレンズの設計当時のものなのか、経年劣化によるものなのか、或いは工房の加工精度による片ボケなのか、ここでは判りませんが、少なくとも距離、構図を替えた別カットでは殆ど見当たらないことから、工房の加工ミスや加工精度の限界等リマウントによるものではなさそうです。
勿論、中央部に鎮座まします主役である、ニホンミツバチはやっと肉眼で判別出来るくらいの大きさではありますが、精緻に描写されています。

二枚目のカットは深大寺城址から下って、閉園間際の水棲植物園で午後の遅い木漏れ日を浴びて黄金色に光るあやめ畑の全景図です。
被写界深度内である画面中央左寄り付近の陽光を浴びたあやめは勿論シャープに描写されていますが、後ボケはフジノンほど暴れず、ゾナー系ほどではないにせよ、油彩風のマイルドなボケ加減で個人的には好感持てました。
さすがに先般の潮来のぴちぴちのあやめ達を見た後だと、盛りを過ぎ、しなだれ始めたこちらのあやめ達の姿は痛々しいものが感じられないではないですが、それも午後の傾きかけた陽光の中だと、何か人生に対する暗黙の示唆のような気もして、これはこれでそこはかとない趣きを感じました。

三枚目のカットですが、水棲植物園を後にして茶店街までやって来た時、秋には彩り鮮やかな紅葉の木の下で楽しそうに語らい合う、いたいけな学生さんカップルが居たので、ここでまた声を掛け、趣旨を十分理解して戴いた上での演技指導後の撮影です。
ピンはやや後方に立つ小姐の髪で合わせていますが、背景の緑濃い紅葉の木の葉に映えて、赤いブラウスがとても艶やかに見えます。
また背景のボケは距離の関係なのか、紅葉の木の葉が若干ぐるぐる傾向でざわついて見えるほか、遠い背景の点光源に口径食の影響が認められ、あまり美しく良くない形で写り込んでしまっているのが少々気になりました。

四枚目のカットは深大寺山門から茶店街を見下ろした眼下で眼つきの宜しくない?童子達が、その表情に似合わず、童心に帰ってヨーヨー遊びをしているのが面白くて、200mmのロングショットで撮ったものです。
ピンを合わせた画面向かって左のヨーヨー童子の衣服も髪もかなりシャープに余すところ無く描写されてはいますが、左後方のアウトフォーカス部の狸の置物その他が流れているように見えます。が、よくよく画面を拡大してみれば、これらが流れているのではなく、遥か手前、眼前の紅葉の機の枝の葉が流れて悪さをしていたのでした。
色合いも肉眼で見たのとまず違和感なく、良く再現していると思いました。

五枚目のカットですが、実は山門入ってすぐのおみくじ売り場で熱心におみくじの写真を撮っていた韓国人の小姐に声掛けて撮らせて貰っていたのですが、夕刻の木陰でしかもF4.5超の暗いレンズですから、こんな薄着の小姐なんかを撮っていたら、当然手が震えてしまい、失敗してしまったので、カムサムニダとか声を掛けて立ち去る後ろ姿を代わりに撮ったものです。
山門手前に較べれば、夕刻とは言えまだ残光が石畳を照らす参道はかなり明るいので逆光状態に近い構図でしたが、さすがEOS1DSMKII、露出に関しては、補整の必要もなく、一発勝負でほぼ的中域に持っていったのは大したものだと改めて感心しました。
ただ、背景からの浮き具合いを考えれば、潮来でデビューしたCarenar135mmf2.8の方が印象的であり、カバンの入れておけば・・・と少し後悔したのも偽らざる事実です。

六枚目のカットは山門から降りて、茶店街の石畳に立ち、何か面白いシーンがないか辺りを睥睨している時、ふと山門を背にして右側、即ち西方向に伸びる木立の道を自転車を押して楽しそうに語らい合いながら歩く若い夫婦者みたいな人達が目に留まったので、これまた200mm域で撮ったものです。
手前の幟、残光を浴びて光る石畳、そして遠方の木製の看板、木漏れ日のパターン・・・これだけでも、自転車を押しながら歩く二人の舞台装置には充分だと思ったのですが、シャッター押す寸前に茶店街の何処かのお店のスタッフが画面に飛び込んだのです。
小生もその場は舌打ちなんかしてこのカットを捨ててしまおうかとも思ったのですが、セミシルエットと化したニヒルな横顔がこの牧歌的な二人が醸し出す空間への絶妙な隠し味になっているようにも思え、逆転採用とした次第です。

七枚目のカットですが、茶店街で犬の散歩を兼ねて、夕刻に家族連れで近所の住人がやって来て、遅くまでとは云っても17時近くまで開いている茶店でアイスなんか買い食いしているところを観光客然として最短の80mm域で撮ったものです。
ピンは手前の買い食い小姐のご尊顔に合わせてますが、それでも開放値が暗いズームだけあって、足元のいたいけなトイプードルの良く手入れされた茶色い毛並みの質感まで余すところなく捉えているのはさすが、と思いました。

八枚目のカットは、もう17時も回り、そろそろ撮影切り上げて深川に戻ろうか、と参道入口付近の京王バスのバス停でバスを待っている時に、飛んで火に入る何とか・・・ではないですが、店仕舞い状態の深大寺に鼻歌加減でやって来た中国人カップルが通り過ぎて暫くしてから、そう、ねずみ男の前辺りを通り過ぎる間合いを測って、最大レンジの200mm域で撮ったものです。
見ようによっちゃ、ねずみ男が「新婚さん、いらっしゃ~ぃ」とか気の早いことを云っているかのようにも見えて面白いカットになったのではないかと思いました。
今回の感想としては、それほどカリカリにシャープなワケではないですし、開放値もf4.5~5.6とかなり暗めですが、陽光燦燦たる観光地で開放で昼の祭りなんか、ロングショットで狙い撮り、なんて使い方なら充分威力を発揮するのではないかと思いました。これで、原価がランチ1回分ですからねぇ・・・
さて、来週は、当時、国産最強とも思われた激レアのレンズシャッター一眼レフ用改造玉の驚天動地の実写結果でもご紹介しようかと思いましたが、紹介したらば、欲しいのに買えなくなっちゃうよ~ぉとか云うクレームもままあるので、もうちょい緩めのテーマで行きます。乞うご期待。
- 2013/06/23(日) 20:55:17|
- ニコンFマウント改造レンズ
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ババンババンバンバン♪ ババンババンバンバン♪てな景気の良いメロディが流れてきそうな、今宵のご紹介は、予告通り、工房附設秘宝館からの久々の登場、Fujinon55mmf1.8です。
このレンズ、今やミラーレスの台頭で、世界中で品薄になりつつあるM42レンズの中にあって、気の毒なほど注目されていなかったようです。
重厚な金属削り出し鏡胴にランタン系と思われる新種ガラスを贅沢に使い、佇まい、性能とも今でも一級品として充分通用してもおかしくない筈なのに、先般の世界中古カメラ市でも誰にも顧みられることなく、"ご奉仕品"コーナーにこれまたキレイなFujica ST701Bとセットされ、かなりのお手頃価格で並べられていたにも関わらず、最大の人出を記録したという土曜日の19時前になっても動く気配がなかったほどです。
そこで、C曲商会の社長に直談判してご好意でレンズのみ適価というか、出血大サービス価格で譲って戴き、家に連れて帰ったという次第。
1970年代初頭に作られて、齢40をとうに越したこの隠れた銘玉は、富士写真フィルムが自社のM42マウントの一眼レフSTシリーズ用として開放測光可能な、M42発展系のSTマウントレンズとして発表したシリーズの標準レンズで構成はオーソドックスな4群6枚の変型オーピック型です。
今回の試写はアダプタ経由EOS1DsMKIIによるフルサイズでの絞り優先AEの開放撮影です。ロケ地は久々の深大寺です。

まず一枚目のカットは深大寺城址へ向かう道の紫陽花です。
深大寺についたのは、家の細々とした家事を片付けてからの出発だったので15時も半をゆうに回っており、閉園時間と日照角度、そして色温度から、深大寺城址での撮影から優先させねばならないため、バスを降りてすぐ、坂を上り、城址を目指しました。
すると、坂の途中でいたいけな若い小姐が少し先を喧しく歓談しながら歩いており、このお二方を上手くモチーフに使って撮れないものかと考えながら後をついて歩いていたら、ちょうど、石垣の下から色鮮やかな紫陽花が咲いていたので、小姐2名にはバックのボケとなって戴き、主役紫陽花で纏めたということです。
合焦部分は文句の付けようはないですが、後ボケに関しては、遠景のバスの窓サッシで顕著ですが、かなり二重線傾向の硬いボケ傾向のようです。

二枚目のカットは閉園45分前、閉門15分前に深大寺城址へ辿り着き、早速、被写体を物色し、足元に健気に咲く、いかにも清楚なカンジの白い花が目に留まり地面すれすれにカメラを構え、その姿を捉えたものです。
合焦部の白い花は云うまでもなくキレイに捉えられていますが、何よりもこのカットが面白いと思ったのが、前オフフォーカス部分の円周状のまったりとしたボケの描写です。

三枚目のカットは、偶然の僥倖というか、全く夢にも思ってもみなかったのですが、ちょうど満開だった蕎麦の花の図です。
いつものAPS-Cサイズでの撮影ではなく、フルサイズによる開放撮影でも、四隅までしっかり描写されているところに好感が持てました。
ここでも、可憐な白い蕎麦の花畑は余すところ無くその風情が描写されていると思いますが、やはり、背景の「この樹、何の樹?」は荒々しい後ボケと化しています。

四枚目のカットは、いつものお馴染み、館跡の基礎石列の図です。
ピンは手前の石の上面の奥側エッヂに合わせていますが、カリカリしているワケではないですが必要且つ充分な情報を捉えています。
このカットでは、背景の列石は比較的なだらかなボケと化しています。
また、午後の傾き掛けた陽光を浴びた芝生と磨き上げられた黒御影石の質感、色合いを絶妙に描写していると思いました。

五枚目のカットは城址での撮影を一通り終え、下の水棲植物園を撮り回った時、西側通路の傍らに咲く紫陽花の
花越しの園内の風景を捉えたものです。
カリカリというほどではない程良いシャープさもさることながら、コントラストは充分高いにも関わらず、紫陽花の淡い色合いと背景の緑のバランスが印象的に描かれているのではないかと思います。
ただ、木製の橋はかなり凄まじい崩れ加減で、橋と知っている人間にはかろうじて橋と認識出来ますが、素材はおろか形状さえほど原型を留めない状態です。

六枚目のカットは、閉園間際の水棲植物園を後にし、メインストリートである門前茶屋通りに向かう途中、いつもの撮影スポットのひとつである、八起茶屋さんの蹲の図です。
午後のこのくらいの時間になると、木漏れ日とタングステン光のミックスで、とても良い案配にこの水成岩削り出しの蹲を絶妙のライティングで照らし出すのです。
ピンは向かって右側手前の石の内側エッジに合わせていますが、ここでもとても鮮鋭でリアルに描写しています。
またこのくらいの距離と構図であれば、荒々しいボケも目立たず、まとまった作画となったと思います。

七枚目のカットはお待ちかねの声掛け運動、美少姐のスナップです。
半年以上、深大寺からは足が遠ざかっていましたが、いやはや、こんな美形が茶店の看板を勤めていたとは・・・
このところの常套手段ではありますが、一番安い「蕎麦まんじゅう」を一個買って、そのついでに一枚撮らせてね♪と持ちかけると、こんな商売をやってるだけあって、ビジュアル的にも相当自信有るのでしょう、かなり撮られ慣れたご様子でこのポーズです。
あくまで個人的感想ではありますが、この美小姐、これまで撮影の応じて戴いた茶店娘の中で、歴代最強、競合並み居る浅草のきび団子娘達に遠征試合を挑んでもまず負けることはないだろうと確信致しました。
願わくば、また別のレンズで何枚か撮らせて戴きたいです♪

八枚目のカットはいたいけな極美小姐にモデルさんになって頂いた八起茶屋さんのお隣の深大寺窯店頭に飾られていた陶製風鈴の図です。
個人的には、磁器とか、ガラスみたいな元々硬い質感を持つ被写体を撮る時は、このくらいのシャープネスが心地好いのではないかと思いました。
お店がもう時間で店仕舞いのため、暗くなっていて、ちょうど良い背景となったのではないかと思いました。
なお、この風鈴を吊るしている紐が2本に見えるのは、2線ボケではなく元々2本で結わえてあるのです、念のため。
今回の感想ですが、40年前のレンズとは云いながら、フルサイズのデジタルでここまで写るのはさすがです。
ただ、国産の50mmf2クラスで最強かと云えば・・・そうではなく伴走機50Dに付けていた、ケロケロレンズの凄まじくバランスの良い描写が際立ったというのが本音の感想ではありましたが・・・お祭りシーズンに登場しますので、乞うご期待。
さて、次回も工房附設秘宝館から、今回同時テストした玉の描写をお送りする予定です、これまた乞うご期待!!
テーマ:街の風景 - ジャンル:写真
- 2013/06/17(月) 00:09:38|
- 深川秘宝館
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さて、今宵のご紹介は、諸般の事情により予定を少々変更し、工房作品から、比較的大物の登場です。
モノはRokkor-PF58mmf1.4、中古では比較的良く見かけることから、値段もお手頃で、ガラスも外装もキレイで前後純正キャップ付きの個体でも1万円まではまずしません。
生まれは1960年代半ば、SR-1やSR-7の時代の主力レンズだったようで、ガラスを贅沢に使い、鏡胴もオール金属製の無垢削り出しに黒染めたずっしりしたパッケージング。そして何よりもセールスポイントだったのが、このカットではあまり目立ちませんが、自社熔解の光学ガラスに淡緑の反射光を持つ"Acromatic Coat"という擬似マルチコートを施した5群6枚のオリジナリティ溢れる光学系でした。
しかし、これだけの意欲作がこの平成の御世になぜ1万円以下の大バーゲン価格で叩き売られ、また誰も手に取らなかったのか・・・それは43.5mmという、現行のデジ一眼では最短フランジバックを持つ、EOSシリーズよりも更に0。5mm短いフランジバックのため、アダプタの用意されている一部のミラーレスでしか使えなかったからです。
そこで、工房では、その0.5mmの壁を破るべく、色々と試行錯誤を重ねた結果、遂にEFマウント化に成功し、フルサイズEOSはバックフォーカスの干渉のためムリですが、APS-C機では無限までキレイに出る個体が仕上がったのです。
では、早速、実写結果を見て参りましょう。ロケ地は先般の甲府「信玄公まつり」です。
カメラは昭和の御世に鎬を削ったライバル、キャノン製のこれまた往年の銘機EOS20Dの絞り優先AEでの開放撮影です。

一枚目のカットですが、信玄公祭り初日にランチを戴いてから城郭公演内の露店通りで得物を探していたときに遭遇した留学生2人組です。
ちょいと前ピン加減ではありますが、それでも、近距離での大口径レンズ特有のまろやかな質感描写で、なかなか雰囲気の有るカットになったのではないかと思いました。
ただ、背景は口径食も混ざったかなり煩めの映り加減で、このくらいの距離で人物撮る時は、背景を計算しなければならないなぁ、と改めて実感しました。

二枚目のカットは同じく信玄公祭りの土曜日に並行して行われていた「国文祭り」とかいう、要は都道府県持ち回りの国体ならぬ国主催の文化祭みたいな催し物で、いたいけな小姐が健気にも太鼓を渾身の力で叩いていたにも関わらず、観客はまばら・・・てな状況だったので、これ幸いとばかりに最前列に躍り出て、撮っては歓声を上げ、撮っては拍手をするという、カメラマンなのか、サクラなのか良く判らない立ち居地で撮ったものです。
しかし、この距離、この光線状態で、往年の銘レンズはかつてのライバルの子孫の力を借りて、底力を発揮したように思えました。
肌の肌目細やかさ、装束の布地の質感、更には背景の社中の動き・・・何処かの名門光学機器メーカーのレンズが「その場の空気まで写す」とかいうキャッチフレーズで高性能さを誇っていましたが、この画を見たら、国産のオールドレンズだって、互角の戦いをするぢゃぁないか、と思い嬉しくなりました。

三枚目のカットは翌日午後からの稚児行列ならぬ、「子供武者行列」のうちの薙刀少女のスーパーマン発見の図?です。
武者行列とは云いながら、ちゃんと腰元みたいな装束の「NST(薙刀少女隊)48」が威勢を誇って行進しているのはさすが観光サービスに長けた甲府観光協会のやることです、抜け目ありません、関心しました。
これだけ良く写るレンズだと、まがい物の薙刀の全然金属っぽくない刃が丸見えで、何故か笑わせてくれます。
しかし、背景を選べない街中での撮影につき、背景がかなり煩くなってしまったのは致し方ないことでしょう。

四枚目のカットは、前の組からふん詰まり状態で路上でいたいけな童子達が束の間の行軍小休止、楽しそうに歓談に打ち興じていたところを、保護者の方もろとも声掛けて、勢揃いで一枚撮らせて貰ったもの。
このカットもまぁ、良く写っているっちゃ、写っているのですが、やはり背景の選択に自由が皆無の街中撮影では極めて都市的なバックに浮かぶ侍装束って構図も仕方ないのかも知れません。それがイヤなら、ノクチルックスの50mmf0.95をつけたM-Eでも新調するしかなさそうです(苦笑)

五枚目のカットは「子供武者行列」が終わってから、前日に気に入ったカットの撮れた、駅北口の特設ステージに向かったところ、創作よさこいダンス系の催しをステージ上でやってたので、武者行列に合わせて歩いていて疲れたこともあり、これまた閑散としている客席の最前列に陣取って、サクラ系カメラマンやりながら撮ったものです。
こういうお揃い衣装のステージ写真というには、止まっていても動いていても、なかなか見どころのあるカットは撮りずらいものですが、このミニ霊幻道士みたいな黒装束の極小姐がステージに殴り込み掛けてくれたおかげでそれなりに見られる画になったのではないでしょうか。

六枚目のカットは同じくステージ最前列で熱心によさこいを注視していた幼い姉妹の横顔、を後ろの席のオモニに断った上で一枚戴いたものです。
ピンは画面奥の極小姐のおでこの生え際に合わせていますが、いやはや、これもまたライバル、キャノンのFL58mmf1.2に負けず劣らずの凄まじい近距離描写です。シャープでありながら全然カリカリしておらず、必要な情報を余さず伝える、如何にも実直な日本人の企画・設計したレンズだと思いました。

七枚目のカットはまさに作例と云うべきもので、駅北口の木製オブヂェ、確か「緑の竜神」とか云うテーマのオブヂェを背景に手前の樹木の葉に合わせてシャッター切ったものです。
このカットでは、背景の木のオブヂェはイヤなグルグルも四隅の流れもなく、キレイにボケており、また、デジタルだとかなり彩度が上がりがちな葉の緑も、赤みがかった材木の樹皮の色もまさに目で見たままです。
観光地などで多少距離あるシーンなどでは威力を発揮すると思います。
この焦点距離、奇しくもライバル、キャノンのFL58mmf1.2と同じです。従って、今後、50mmクラスの大口径を持ち出すシチュエーションでは、まさに熾烈なセンター争いとなりそうです。
しかし、皮肉なのは、隠れた銘玉FL58mmf1.2が自社カメラではなく富士フィルムのデジタルカメラの力を借り、その力を発揮し、もう一方のミノルタも自社製、或いはその流れを汲むソニー製のボディではなく、キャノン製のデジタルで以て往年の威力を発揮しているということです。
さて、来週は、来週こそは秘宝館いきます、そのためにICSで必殺兵器を買い込んだのです。乞うご期待!!
テーマ:街の風景 - ジャンル:写真
- 2013/06/09(日) 23:36:55|
- EOSマウント改造レンズ
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さて、今宵のご紹介は、予告通り、工房作品からです。
この超大物レンズ、これまでじぇんじぇん人気が無く、1万円台前半で叩き売られていて、それでも誰も手に取って見ることすら皆無という不遇中の不遇の玉でした。
生まれは1964年、ちょうど東京でオリンピックが開かれる年の春先にこの巨大児は産声を上げたのです。
構成は5群7枚の変型オーピックタイプというより、ズマリット型の最後群を二枚に分割して曲率を下げたタイプです。
実は、このレンズ、何の前触れもなく、ぽっと生まれ出たワケではなく、遡ること1962年、日本が戦後の焼け野原から、高度成長期にシフトアップしていくさなかに、キャノフレックスRMR用の交換レンズとして、当時の世界で一番の大口径レンズとして発表されたのですが、価格的にもカメラ自体の性能、デザインからも商業的に成功したとは云えず、その後継機たるFLシリーズの眼としてリニュアルされたものです。
設計者は発表されていませんが、絞りを挟んだ凸凹、凹凸の組み合わせが、まさにレンジファインダ機用の玉で大口径ガウスの生まれつきの弱点である開放でのコマフレアを軽減する「伊藤理論」の適用を匂わせています。
では、何故、日本の光学史上に名を残してもおかしくないような銘玉がヂャンク同然の二束三文で叩きき売られていても、誰も見向きもしなかったのか?・・・
その理由は、そもそもCanon自体がFD以前のレンズを斬り捨てる格好になって、今のEOS系ではフランジバックの逆転のため、互換性なく、普通の人には使用出来ないこと。
そして、高性能を謳うプロ仕様の"赤鉢巻"レンズ以外は並品で、骨董的価値はおろか、描写性能的にも見るものがなく、従って、充分なメンテナンスも行われていなかったと考えられることから、手を出すには及ばないと思われていたこと。
更には、この58mmf1.2はレンズ後端、光学ブロック底部の構造が特殊で、マイクロフォーサーズやら、NEXマウント、Fuji-Xマウントといった、姥捨山在住の往年の銘レンズにとっての「蜘蛛の糸」的なミラーレス機とのマウントアダプタに装着出来なかったこと等々が挙げられます。
それを、或る日閃いて、FL⇒Mアダプタを造り、更にM⇒Xで撮ってみたら、アラびっくり!!となった次第。
まぁ、実際にこの時代のキャノン共通なのですが、全く色気の無い鏡胴デザインでこれが今でも通用する超高性能レンズだとは、小生も使ってみるまでは夢にも思いませんでした。
では、早速、実写結果見て参りましょう。ロケ地は深川から浅草、相棒のカメラはX-Pro1での全コマ開放、絞り優先AEでの撮影です。

まず一枚目のカットですが、工房から永代通りに出る住宅街にいつも路駐している大型バイクです。
ピンは車体右側後部に下がっている革製バッグの上側の一連のメタル鋲の真ん中付近です。
このサイズのカットではなかなか実感出来ませんが、JPEG吐き出しデータをノートPCで2倍拡大(全紙全倍よりまだ大きい!!)して見たところ、破綻無く解像していてビックリした次第です。
また、フレア発生源となり易い、白の光沢ペイントの燃料タンク近傍もフレアは殆ど認められません。
ただ、背景ボケの崩れがやや汚いのは、まさに「伊藤理論」を用いたレンジファインダ用の玉と似通っています。
これが同じCanonの大口径でもL35mmf1.5などで撮ろうものなら、結膜炎の眼で見た景色並みにフレアが酷く、工房主の好みであるシャープな画なんか撮れそうにないですから、やはり技術の進歩というべきなのでしょう。

二枚目のカットは浅草まで地下鉄乗り継ぎ移動して、雷門手前のリキシャ溜まりから今まさに出発しようといういたいけな小姐2名を乗っけた人力車を抜き打ち的に撮ったものです。
こういった突然のシャッターチァンスには、二重像合致式、ないしスプリットイメージのOVFの方がダントツ早いです。
しかし、この稀代の大口径ぢゃぢゃ馬レンズは被写界深度狭いため、EVFでも拡大無しでエイヤッとばかりにシャッター切ったら、この程度にはピンの合ったカットが撮れるということです。
尤もネタを明かせば、合焦程度については、クロップなどせずとも、手前の小姐の栗色の美髪の結像加減だけ見てシャッター押せば良いのですから、或る意味、マイクロプリズムに近い使い方かも知れません。
合焦点は勿論シャープですが、背景の崩れが大変なことになっていて、伴走機のEOS20Dに付いていた某関西系光学機器メーカーの50mmf1.4のボケの美しさとはたったf0.2の違いにも関わらず、まさに天地の差だなぁと思いました。

三枚目のカットは雷門付近で営業活動をしている車夫各位のお姿でも撮ろうと思っていたら、美目麗しい、年端もいかぬ小姐2名が手練手管の車夫の兄さんに捕まり、お世辞半分、営業トーク半分といったカンジのやりとりを嬌声上げながら盛大にやってたんで、これはきっと目立ちたがり屋さんの小姐達なんだろう!といたく共感し、一枚戴いたもの。
このカット、家に帰って、PCで拡大して見るまでは気が付かなかったのですが、こんなソフトなカンジですが、実は結構シャープに細部まで描写しているのです。
これまでカリカリの玉だけが忠実に情報を捉えているものだと思いがちでしたが、こういう表現の仕方をするレンズもあってしかりだな、と改めて、この往年の銘玉の凄さを実感した次第です。

四枚目のカットはまさに雷門の基部に腰掛け、みたらし団子なんぞ堪能ちぅの健気な極小姐の姿が目に留まったので、傍らの保護者の方と思われるご老人に「旨そうですなぁ、美味しそうに食べてるところを一枚撮らして下さいな、ブログのネタに」と申し入れたら快諾して頂き、撮らせて貰った必殺の一撃です。
或る意味、このカットがこのレンズの凄さというか底力を表しているのではないかと思いました。
最短距離での比較的反射率の高い幼児の肌・・・まさに光学系の内面反射、そして近距離での球面収差といったシャープさを阻害するような作用が噴出す条件なのですが、実はこれと似たようなカットを先に台北近くの瑞芳駅前の屋台の極小姐をN-FD50mmf1.2Lで以て同じくX-Pro1で撮っていますし、だいぶ前、深大寺で同じくローパスレスのM8にライカのかつての必殺兵器、いまぢゃタダの投資対象とも評されるNoctilux50mmf1.2(Ser.225XXXX)
付けて、やはり極小姐を最短付近で撮っていますが、どちらもこの浅草のX-Pro1+FL58mmf1.2で撮ったものには及びませんでした。
透明度、臨場感、どれをとっても、21世紀のコンピュータ産まれの最新レンズ達とも互角以上に戦えると思いました。

五枚目のカットは浅草寺境内の定点撮影スポットのうちのひとつ、おみくじ売り場での、微笑ましいカップルのおみくじ検討の図です。
ここでも、タングステン光源を浴びて輝く茶色の美髪でピンを合わせて撮っていますが、かなり強い人工光だったにも関わらず、f1.4以上の大口径玉での開放撮影にありがちなフレアが殆ど皆無です。
このくらいの距離だと背景の御籤抽斗もきれいな後ボケと化しています。

六枚目のカットは陽も暮れかけた浅草寺宝蔵門前であーだらうーだらとかなりハイトーンの関西弁で路上漫才みたいなことをやっていた健気なカップルがいたので、借景とばかりに一枚戴いたものです。
ピンは手前のカンカン帽の小姐の頭付近に合わせていますが、距離も結構あったので、f1.2の玉にしては、合焦点以外のボケも比較的マイルドで渦巻きも崩れ、歪みも殆どなく、一応、"教科書的な"スナップとして成立しています。

七枚目のカットは浅草の有名店、一見無口な某修理名人さんのお店の並びの洋食屋さんのこれまた素敵な飾り窓を斜め横から撮ってみたもの。
ピンは「ブイヤベース」の「ブイ」付近に合わせてありますが、手前の白文字のボケが紗が掛かったようで、結構魅力的に思えました。
が、道を挟んだ彼方の確か手拭屋さんだったかと思いますが、そのショーウインドは「恐怖新聞」か「漂流教室」のカット並みに崩れ、流れて被写界深度域の絵画的なエレガント差とは「天国と地獄」の様相を呈してしまいました。

八枚目のカットは、その某有名カメラ店から地下鉄駅方向に伸びる、仲見世と並行する道の様子を撮ったもの。
さすがにこういったシーンでは、高感度フィルムを詰めたNoctiluxやらNーFDのLレンズの方がこれまでも、すっきりした良い画を撮ってるので、この稀代の銘玉も一歩譲らざるを得ませんが、それでも、もし、内面反射の面で圧倒的に有利な銀塩の高感度フィルムを詰めたF-1Nにこのレンズが付いていて、単体露出計でしっかり露出合わせて、三脚使ってしっかりピントも合わせて撮ったらどうなっただろう・・・とも思いました。
歩きながら、背面液晶で道行く人々を見て適当なとこでピンを合わせシャッター切っていますから、これが実力ではないと信じたいです。
そこで今回の感想ですが、まさに国産の古レンズ、しかもこれまで無名、低評価だった層にもお宝が潜んでいるのでは・・・と確信するに至りました。
さて、来週のアップは通常ローテでいけば、秘宝館から何か出てくる筈ですが・・・乞うご期待。
テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真
- 2013/06/02(日) 20:32:39|
- Mマウント改造レンズ
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