深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

歷史遺留下來的激情復活~Auto W Rokkor35mmf2.8~

Auto_Rokkor35mm
さて、今宵のご紹介は工房特製、旧Minolta Auto W Rokkor35mmf2.8改EFマウントとその驚愕の描写性能です。
このレンズ、オートフォーカス機であるαシリーズが出来る遥か以前、まだMinoltaの一眼レフのシリーズ名がSRだった頃、その主力レンズとして、1960年代前半に市場に投入されたもので、6群7枚のレトロフォキュタイプです。
当工房ではSRマウント(含むMC,MD)は数本EFマウント改造していますが、いつも腐心するのは、無限合わせです。
何とならば、EOS EFマウントのフランジバックが44mmジャストなのに対し、SRマウントは43.5mmと0.5mm短いので、EFマウントのレンズ側金物を注意深く削り込んで、無限を合わせなければならないからです。
またEFの内径は大きく、SRは小さいため、SRの鏡胴とEFのマウント金物を固定するのも一工夫が必要で、或る特殊な形状のリングを開発しそれを介して固定することで、オリジナル同等の精度と強度を確保することに成功しました。
では早速実写結果を見ていきましょう。ロケ地は浅草、ボディはEOS50D、絞り優先AEでの開放撮影です。

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まず一枚目のカットですが、浅草寺境内での定点観測地的撮影スポット、宝蔵門横手動井戸でのいたいけな小々姐の図です。
横に控える親御さんに「夏っぽい愛くるしい装いですなぁ、水汲んでること一枚撮らせて下さいな♪」とか頼んでみたら、「ハィXXちゃん、おぢちゃんが写真撮ってくれるんだって、ポンプ押して、押して」とか云ってるのに、もう完全、カメラ目線のお澄ましモード、作業そっちのけで、ピースしてクビ傾げて、目一杯のアイドルモードです。
あぁ、こんなとこにも「あまちゃん」の影響が・・・とか思って笑ってしまいました。
逆光に近い撮影条件でしたが、さすがEOS中級機、かなり光った舗装面を背景としながら、非純正レンズでここまでの露出をオートで割り出してくれました。背景はやや流れ気味ですが、鑑賞の妨げになるほどではないとおもいます。

Rokkor35mm_002.jpg
二枚目のカットですが、次なる定点スポット、焼香場でモデルさんを待ち構えていたら、若いイカしたご夫婦がいたいけな極小姐に線香の煙を一心不乱に掛けて、何やら諭していたので、あいや、暫し、と声を掛け、若いオモニと一緒のところを撮らせて貰ったもの。
ここでは、焼香場の巨大な金物越しに射し込む午後の陽光があたかもスポットライトの如く、この幸せそうな極小姐を照らしています。
背景はやや流れ気味ですが、それでも合焦部のシャープさと相俟って、被写体の二名を浮かび上がらせることに成功していると思います。

Rokkor35mm_003.jpg
三枚目のカットは、浅草寺境内のはずれ、弁天堂入口辺りの茶店前でかき氷なんか堪能する今風の浴衣小姐グループが居たので、ちょいと姐さん達、かき氷食べてるとこ、一枚撮らして貰うよ♪と声掛け、シャッター切ったもの。
ここは日陰でレンズのよっては青カブリしてしまうとこるですが、それでも若い小姐達の肌の色も、浴衣の微妙な色合いもそしてデテールまでも忠実に描写しているのはさすがだと感心してしまいました。

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四枚目のカットですが、仲見世を徘徊しながら、モデルさんを探していたら、居ました、居ました、若い頃のソフィーマルソ-にそっくりの別嬪の小姐が、日本文化に興味有るのか、仲見世商店のショーウィンドを熱心に覗き込んでいたのが目に留まったので、暫し様子を伺い、歩き出そうとした時にボンジュール♪などと声掛けて、撮らせて貰ったもの。
モデルが美人なのは言うまでもないですが、それ以上に午後の遅い陽光に煌く亜麻色の髪の毛のえも言われぬ美しい描写が目を惹きました。

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五枚目のカットですが、仲見世と伝法院通りの交差する辺りに位置するうどん屋さんの店頭を彩るほうずきの鉢植えを一枚戴いたもの。
最短距離域近くで撮った画ですが、まさにこのレンズの特徴を表している一枚と云っても過言ではないでしょう。
シャープネス、発色、背景のボケ具合い、個人的には全く文句の付けようがないと思いました。
遅い午後の陽光はかなりオレンジに近い色温度となっていますし、角度も斜めに射し込んできます。
そんな自然のライティングに引き立てられ、この晩夏の風物詩は充分な存在感を誇示したのではないかと思いました。

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六枚目のカットは伝法院通りを浴衣のカップルが仲良さそうにそぞろ歩きして通り過ぎて行ったので、ダッシュで追い縋り、すかさず一枚戴いたもの。
ここではかなりの逆光ですが、当時のMinoltaのコーティング技術の賜物か、ゴーストどころか、鑑賞上有害となるフレアも認められず、コントラストも必要充分で晩夏の夕暮固有の空気をドラマチックに描写しているのではないかと思いました。

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七枚目のカットは仲見世から一本東に入った某所に在る白塗りガス配管勢揃いの図です。
ここはビルの谷間なので直射日光が射し込むことはまずありませんが、時刻に寄って光加減が変わり、また、ピントの位置により前後のボケ具合いが判るので、例の扇屋さん店頭と並ぶレンズテストスポットです。
手前から三本目のバルブにピンを合わせていますが、合焦部のシャープさは云うまでもなく、前ボケもナチュラルで心地好いと思いました。

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八枚目のカットは伝法院通りを粋でいなせに浴衣を着こなした小姐がガイジンさんに捕まって路上撮影会をさせられていたので、それなら拙者もということで、解放された直後にダッシュで駆け寄り、卒璽ながらと一枚撮らせて貰ったもの。
このカットもまさにレンズの優秀さを如実に物語っているのではないでしょうか。
被写体の二名の小姐があたかも背景から浮かび上がるように描写されており、また肌の色、表情ともまるでハイヴィジョン撮影の画面をキャプチャしたかのような雰囲気だと思いました。

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九枚目のカットは、伝法院通りから雷門に戻る途中の仲見世路上で見掛けた南米系の小姐2名にボンジョルノ♪とか声掛けて、モデルさんになって貰い一枚戴いたもの。
ここでは前の浴衣小姐二名と違い、背景が北側とは云え光る空なので、さすがに被写体が浮かび上がる如き、とはいかないまでも、いたいけな小姐達の弾けるような肌やしなやかな亜麻色の髪など、このレンズはあますところなくデジタルの眼として捉えてくれたのです。

今回の感想としては、ほんの数千円のレンズがちょいと手を加えれば、ほらこの通り。
しかし・・・これでまたAuto-Rokkorの値段が上がってしまうと。実に複雑な心境ではあります(苦笑)

さて次回は同じ浅草を舞台に同じく国産レンズの描写を検証してみましょう。乞うご期待。

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  1. 2013/08/25(日) 20:46:28|
  2. EOSマウント改造レンズ
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日本の夏!!~富ヶ岡八幡宮夏の大祭陰祭2013~

さて、今宵のご紹介は予告通り、お盆前に行われた、深川八幡こと富ヶ岡八幡宮の夏の大祭陰祭2013から、「子供神輿連合渡御」の各シーンをお送り致します。
先週アップしたPETRI V6黒での各カットは8月10日の宵祭前のヲーミングアップ的なものだったのですが、今週のものは、翌8月11日にレインボーブリッヂならぬ永代通りを8時半から11時半まで封鎖し、その中をいたいけな子供達が担ぐ神輿が50基以上、練り歩くという壮大なイベントでした。
ところで、こんなお天道様が燦々と輝く、昼の日なかにやってるお祭りが何故、「陰祭」なのかと云えば、そう、ここ富ヶ岡八幡宮の夏の大祭は遥か江戸の昔より、主に経済的な負担の観点からと思われますが、3年に一を本祭とし、その間を補助的な陰祭したのです。
従って、去年が本祭であったことから、今年、来年と陰祭となるわけです。
今回の機材は、不意の水濡れも用心し、且つ、AE/AFの一眼並みの速度と精度で撮れることから、予備機扱いのR-D1sとその相方レンズCLE用M-Rokkor40mmf2での絞り優先AE、開放撮影です。
では、早速、実写結果を見て参りましょう。

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まず一枚目のカットですが、永代通りは、琴平通りとの交差点から西が閉鎖されていたので、足早に神輿が揉み合っている、富岡二丁目辺りに移動し、そこで炎天下、健気にも重い神輿を担ぎ、周りの能天気な大人達に好き放題水掛けられながらも、元気一杯、お勤めを果たさんとする良い子達を撮ったものです。
このカットでは良く判らなかったですが、体温と陽光の熱で薄っすらと湯気が立っていたのには驚いてしまいました。
家に戻ってすぐ確かめたところ、このカットでもR-D1sの距離計がかなり後ピン気味になっているのが判り、う~んと唸ってしまいました。尤も、神輿本体にピンを合わせたと云えば、そう見えなくもないので、実のところは作画上での問題にはならないとは思いますが。

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二枚目のカットは富岡一丁目の神社の並び辺りがベストポジションのようだったので、そこで通り過ぎる神輿で表情の良さげな童子を置きピンで撮ることにして、早速、「撮るよぉ~」とか声掛けたら、横の親御さんが肩叩いてこっち向くようにセットしてくれたので、一枚戴いたもの。
このカットを撮る頃には気温は35℃を超えていたと思われ、到る所で水を掛けまくられたいたいけな童子達には、汗と水滴がそれこそ真夏の陽光の下の真珠の如く輝いていて、とても眩しく、そして美しく見えました。
ここでは、ファインダ内の二重像を見切りでシャッター切ったらしく、狂いの影響は出ていません。

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三枚目のカットは、神輿の傍らを乳児を抱いた極小姐が若いオモニと寄り添って歩いていたので、すかさず声掛け、オモニはぢゃ、アタシは横で見てますわ♪ということで幼い姉妹のスマイルショットとなったもの。
お祭の日の燦々と輝く陽光の下での幼子の屈託ない笑顔は、遥か遠い昔の晴れがましい故郷の祭の日の思い出を甦らせると共に、未来の少子高齢化による国力減衰などというネガティヴな懸念を打ち消してくれるような気がしました。

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四枚目のカットはまさに毎年、放水陣地が築かれる、富ヶ岡八幡並びの店舗前で、先ほどまで楽しく語らい合っていた若いアガシとアジョシのうち、アジョシの方が、神輿の移動に合わせて離れて行ったので、赤いシャツ着たアガシが景気付けにバケツ一杯の水をその後姿に掛けた瞬間を撮ったもの。
ホントはこの次の瞬間、冷たい水を背中から掛けられたアジョシはびっくりしてちょっとマヌケな表情で振り返るのですが、一枚撮っては巻き上げねばならないR-D1sのこと、掛ける瞬間にまさに一枚を駆けたということです。

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五枚目のカットはオモニ同士が井戸端会議ならぬ、路端会議に打ち興じている傍らでガールズトーク?に没頭していたので、社中全体に「ごめんくなんせ、お祭なんでおんや、写真さ撮らしてけろ♪」とかあまちゃんばりに声掛けてみたら、いつものお侍言葉以上に大受け、ほら、あんたら、せっかくやから撮って貰い!!てなことでみんな勢揃いで一枚戴いた次第。
お四方は得意満面でモデルさんになってくれていますが、その背景では、のちほどその正体は明らかになりますが、物凄い勢いで水柱が上がって、辺り構わずみんな濡れ鼠と化す修羅場が控えていたのです。

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六枚目のカットは写真を撮る背後からいきなり冷や水を浴びせられ、振り返って見れば、横の、例の放水陣地からもはや無差別でホースで放水していた際、誤爆されたものであろうと判断し、その無差別放水による水滴の飛び交う様を捉えたものです。
大事なデジカメにも水が掛かってしまいましたが、場が場なので怒るに怒れず、一枚撮ってから苦笑いしながら、愛機R-D1sをハンケチで拭いていたら、横で見ていた禰宜さんが歩み寄って来て、「これも縁起のうち、きっとイイこと有りますよ♪」とか声掛けられて、ま、いっか☆と撮影を続けたという次第です。

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七枚目のカットは、熱演する神輿担ぎのいたいけな童子達を冷やして上げるのが目的なのか、それとも単に冷たい水に驚く表情を見るのが楽しいという愉快犯状態なのか判らないですが、これは!と思った童子を捕まえては、丁寧に頭からじゃぶじゃぶと水を掛けていたので、その罰ゲームさながらのシーンを一枚戴いたもの。
こういう瞬殺系のカットはまさに構図とピンが一発で決められるレンジファインダー機ならではと思いました。ここでも、結構アバウトに二重像を合わせていたおかげで、距離計狂いの影響は出ていないようです。

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八枚目のカットは五枚目のカットで被写体の背後で何やら巨大な水柱が上がっていた正体、東京消防庁による放水です。
初めて見た時は目を疑いました・・・だって、本職の火消しが火事でもないのに、消火栓に繋いだホースから景気良く水撒いているのですから。
勿論、東京は利根川水系ダムの水位低下で給水制限のさなかではありましたが、ここ深川の祭では、誰も、水のムダ使い、税金のムダ使いなどとヤボなことを抜かす輩は皆無です。

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九枚目のカットは神輿担ぎに疲れたのか、そっくりの顔の幼い姉妹がオモニ、アヂュモニと店舗の前に腰掛けて休んで居たので、祭装束決まってますなぁ、一枚撮らしてね♪と声掛けたら、ぢゃ、アタシ達は避けてますから、宜しくお願いしますね・・・とか、あらまた幼い姉妹を残し画面から退場、かろうじて画面向かって左側にオモニの花柄パンタロンだけが友情出演、という図です。
あはは、ここではまたR-D1sの距離計狂いの影響がモロ出て、前の小々姐の目でピンを合わせたつもりだったのに、あら不思議、後ろの、より眼力の強い極小姐の方の目に合ってしまったようです。

今回の感想は、去年の本祭はまさに江戸三大祭のひとつとして、関東一円は言うまでもなく、遠く海外からも多くの観光客を集める一大イベントですが、今年の陰祭はむしろ人出もほどほどでコンパクトな村祭のようなテイストで、演じる者、撮る者の距離も短く、より一体感と昂揚感の有るお祭りではないかと思いました。

さて、来週は工房作品のご紹介行ってみましょう。何が出るかはお楽しみ。乞うご期待。

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  1. 2013/08/18(日) 19:40:47|
  2. 街撮り写真
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Proprio come il sole sul centro di~Petri V6 schwarz mit Petri55mm f1.8 tuned by FGW~

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さて、今宵のご紹介は予告通り、久々に工房附設秘宝館からのご紹介となります。
モノはPetriV6黒、1965年産まれの悲運の銘機です。

このPetriV6は日本で二番目に古い写真機メーカー栗林製作所が1962年に輸出向けを考慮し、旧約聖書の聖人ペトロから採ったPetri Cameraに屋号を変更し、その3年後に大衆向けの普及を狙い、当時の最高峰であった、Nikon Fの半値以下の価格設定とオリジナリティ溢れた個性的なメカで登場したのですが、あいにく、カメラは耐久消費財、高級品であり、豊かさの象徴とも考えられたことから、販売面では全く振るわず、この後、上級機種である、FTシリーズなども登場させますが、競合他社との販売競争にあえなく破れ、また労働争議により会社の経営も機能不全に陥り、1977年に倒産してしまいました。

工房主にも思い当たるフシがあって、カメラ自体は小学生になってからキャノネットQL17を愛用し、また自動絞りが不調であったとは云え、ヲヤヂのNikon Fが手許にあり、地元の高校で写真部に入った時にも、色々と悩んだ末、結局はスペックと会社のブランドで無難なものを選び、Pentax MEを買いました。

その際、まだPetriは現役で製品が店頭に並んでいましたが、概してその評判は「安かろう悪かろうのゲテモノ」扱いで廻りの訳知り顔の大人達は誰も勧めず、使っている人を見たこともありませんでした。

それから長じて、カメラ道楽が悪化の一途を辿りながらも、こうした経緯から、この会社の製品だけは手を出す対象からは外れていたのです。

ところが、今年の春先、Carenar135mmf2.8というかなりキレイな玉が新宿某所で1050円で叩き売られていて、面白半分に買って帰り、潮来の菖蒲祭で実写テストしたらば、現行のメーカー品と同等以上の写りをすることが判り、どこの会社の製品か調べるうちに、今まで冷淡な扱いをしてきたPetri Cameraの製品だと判り、次いでCarenar銘の50mmf1.8を買い求め、Petri V6不動品からマウントアダプタを作り、X-Pro1で実写したところ、これも想定外の素晴らしい写りだったので、この会社の製品に急に興味を持つに到った次第です。

或るサイトでこんな言い表し方をしていました、「Nikon Canonがアイドルなら、Petriは身の回りに居る、器量良しで気立ての良い庶民的な娘さん・・・」まさに何処にでもいて、写真を通じ、周りの名もなき人々に小さな幸せを分けて上げるような下町の太陽のような存在ではなかったかと思いました。

尤も、会社の経営方針というか販売戦略は時流に合わず倒産の憂き目を見ましたが、その大衆化という慧眼は間違ってはおらず、後にキャノンがAE-1で性能と低価格を両立させ、高級品から、何処のサラリーマン家庭、いや大学生でも頑張れば買える値段まで引き下げ、一気に普及を果たしたのです。

この珍しいオリジナル黒の個体は、或る光学機器メーカーの技術者の方の個人コレクションを譲り受け、深川で2個イチ修理を行い、レンズも新宿や秋葉原の中古店で買った3本からイイトコ取りして組んだものです。

そんなクラフトマンシップと物語に溢れた漆黒の銘機が紡ぎ出した、夏祭りのひと時の思い出、順を追って見て参りましょう。深川八幡の陰祭をEKTAR100EX36の開放で撮っています。

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まず一枚目のカットですが、木場交差点の近くで下木場の社中が太鼓の点検を兼ねて童子達に練習みたいなことをさせていたので、ちょいとゴメンなさいよ♪てなカンジで声掛けながら近寄り、ハィ撮るよぉ!とか云ってシャッター切ったもの。

お昼前とは言え、かなり直射日光は強く、現にオーバー露光には滅法強いEktar100でもオントラストが下がりすぎてしまったので、フロンテアCDの画像をソフトで露光レベルを10%程度落としましたが、それでもフレアもゴーストも認められず、ここまで精緻に質感を捉えているのは驚き以外の何物でもありませんでした。
ピーカンの下、ケースにも入れず、キャップも無しでカメラを持ち歩いていましたが、替えたばかりのモルトとテレンプは性能を十二分イ発揮し、光線漏れも一切無かったです。

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二枚目のカットは木場交差点から門仲交差点方向に歩いて行くと、ちょうど富ヶ岡八幡宮の門前で、太鼓屋台みたいなものを組んでいる一行が目に留まり、その中で祭の法被装束の美少姐が二名居たので、いつものタイムスクープハンター並みの特殊交渉術を駆使し、モデルさんになって貰ったものです。

まだ一本も撮っておらず、果たしてまともに写るのかどうかすら定かでないのに、こんなラッキーチャンスを使うのは大博打も同然ですが、この漆黒の銘機は期待を裏切らず、この下町のミニ太陽の小姐達の可憐な姿を余すとこなく捉えてくれたのでした。

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三枚目のカットは成田山新勝寺別院、通称深川不動尊の参道に在る名物「象の置物」のお祭りバージョンの図です。
普段は、「撮影お断り」「撮影禁止」と物々しく貼り紙が貼られまくっていて、またお店の人間もヒマで仕方ないのか、商売そっちのけで無断撮影の輩を店内から見張っているのですが、「本日は猛暑休業」の貼り紙を店頭に貼ったまま、象さんの方は好きにしてくれと云わんばかりに、物々しい貼り紙は取り外してあったので、遠慮なく一枚戴いたもの。
ここでも盛夏の強い陽光を浴び、かなりの照り返しでしたが、見苦しいゴーストもフレアもなく、素晴らしい描写性能を発揮していると思いました。

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四枚目のカットは久々に「辰巳新道」まで足を運び、手前い写っているヲヂさんに声を掛け、陰祭とは云え、思い思いにこの通りの住人が晴れがましいお祭りの仕度をしているところを撮らせて貰ったものです。
ここでは青いシャツのヲヂさんにピンを合わせていますが、この狭い通りの奥まで、それほどキツくはないボケで
捉えられていると思いました。
しかし、オーバー気味の露光でコントラストは低めなのに、シャツの青、その背後のドアの茶、そして看板の赤を見ると、まぎれもなくEktar100での撮影であることを思い起こさせてくれます。

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五枚目のカットは門仲交差点付近で子供神輿の一行に遭遇したので、即座に世話役の大人を見つけ、話しを付けて同伴撮影させて貰う許しを得て一緒に移動しながら、永代通りの一本南の裏道に入ったところで前に出て一枚撮ったものです。
裏通りとは云え、太陽は天頂付近から強い陽光を射しかけてきていますので、明暗の差が大きくなります。
手前の小々姐を狙って撮ったのですが歩く速度が思いのほか速く、ちょっと前ピン加減ではありますが、それでも光線の加減で輪郭が際立ち、周囲から浮いたかのように見えるのは、このレンズとEktar100の相性の為せる技ではないでしょうか。
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六枚目のカットは子供神輿の一行が小休止し、太鼓に取り付いているところを頼んで撮らせて貰ったもの。
実のところ、初めは妹さんの方は台上で太鼓を叩くのに夢中で、お姉ちゃんに声掛けて、さぁ撮るよ♪とか掛け声掛けても、こっちを向く気配無かったので、お姉ちゃんが、「ほら、写真撮ってくれるって云ってるでしょ、こっち向きなさい」と大きな声で叱り付けて、振り向きざまに撮ったものなのです。
あまり声が大きかったので、周りのみんなの注目浴びて、実は撮ってる方もこっ恥しかったです。

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七枚目のカットは実はフィルム最後のカットで子供神輿の一行に別れを告げ、その後ろ姿を送りざまに撮ったもの。
光線的には太陽を背中に背負っている格好なのでベストな条件だったと思います。
ただ、最高速が公称1/500秒までしかないV6のことなので、いかに幕速を限りなく1/500秒近く迄調整したところで、露光オーバーなのには変わりなく、そんなハンデのもと、このようなシネレンズばりのシャープでクリアで臨場感溢れたカットを撮れたというのは、当時とはフィルムの性能が桁違いに良くなっていることもありますが、やはり、カメラとレンズの基本性能の高さに拠るところが大きいのではないでしょうか。

数年前までは、とにかくカメラとレンズは一流と言われるもの以外は写りがダメだ・・・と思い込まされていましたが、或る日、欧州の片田舎から里帰りして来た"老貴婦人"Sun Sophia5cmf2が教えてくれたのです。「国産の名もないメーカーでも良い写りをするものは必ず有ります、ブランドイメージだけで描写を判断しないで!!」と。

今回の感想としては、まさにこの隠れ銘機は、心尽くしのレストアに対し、素晴らしい描写で以て恩義を返してくれました。工房主のアリフレックス用の玉から始まった「埋もれた宝玉探し」の旅はまだまだ続きそうです。

さて、来週は富ヶ岡八幡の夏祭りのR-D1sによる決死の撮影行からお送り致します。乞うご期待。
  1. 2013/08/11(日) 21:00:00|
  2. 深川秘宝館
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たった一日の異界~座間基地念仏踊りツアー'13~

さて、今宵のご紹介は、毎年恒例のお祭シーズン8月の部第一弾、座間駐屯地の「念仏踊り2013ZAMA」を訪問してのレポートです。
今回は、秘密兵器をカバンに湛えた写友Sundayphotograperさんとの二人組での基地探検、ボディはメインのX-Pro1と午前中に完成した新レンズをテストすべく、R-D1sをサブ機としての出撃です。しかし、予備機兼試験機が全然現役引退していないという事実は困ったものです・・・
で、レンズはX-Pro1に終日、新規導入のPetri55mmf1.4、R-D1sが日中、謎のイタリア製シネレンズ35mmf2.3、宵の口からCLE M-Rokkor40mmf2にスィッチしています。
では、当日の行動を追いながら実写結果を見て参りましょう。

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まず一枚目のカットですが、ゲートの厳重なセキュリティチェックを抜けて基地内に入ると、童子向け土産物屋、そして遊具広場があり、そこで見かけた、ファンキーなTシャツなんざ来た、国産カメラ愛好家のヲヤヂさんと、こまっちゃくれた坊主のカットです。
ここは遊具、エアで巨大なバルーンみたいなものを膨らまして滑り台にしたり、エアトランポリンにしたり、はたまた童子であれば乗車可能なミニレールが有ったりと、アメリカンテイストな、基地開放エリアの数箇所にあるうちの、ゲートに最も近い遊び場です。
機材は、R-D1s+謎のイタリアンシネレンズ35mmf2.3での絞り優先AE、開府撮影です。
背景は明るめの空が写り込んでいますが、さすがは修理上がりの玉、フレアもゴーストも発生させず、開放から、シャープで雰囲気有るカットとなったと思います。

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二枚目のカットですが、中央広場というのか、歌舞音曲用のステージがしつらえられた芝生の広場では、基地の軽音楽部みたいな面々がノリノリで唄い踊っていたので、かなり厚かましくステージ下まで歩み寄り、見上げるアングルから一枚戴いたものです。
ファインダ覗いている時はあまり気付かなかったのですが、真ん中の黒人青年、何となく、若き日のB小浜氏に何となく雰囲気似てるカンジで土曜日の深夜、独りで家のpcのlcd画面見て妙に感心してしまいました。
機材は、R-D1s+謎のイタリアンシネレンズ35mmf2.3での絞り優先AE、開府撮影です。
さすがに晴れの舞台の真っ白なワイシャツはステージの強力なライティングを浴び、ハイライトが飛び加減ですが、それでも、コントラストと階調長再現性は適度にバランスしていますし、シャープネスも充分有ると思いました。

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三枚目のカットはそのステージ広場には沢山の家族連れが居ましたが、お揃いの衣装の極小姐姉妹をあやしていた若いヲヤヂさんが目に留まったので、即座に出演交渉、何とか気難しい童子のお年頃、あやしながらの撮影で、二人が何とかカメラを向いたときにシャッター切ったもの。
機材は機材は、R-D1s+謎のイタリアンシネレンズ35mmf2.3での絞り優先AE、開府撮影です。
赤いTシャツと緑の芝生が映えてカラフルなカットとなりましたが、このレンズ、かなり見た目に忠実な色再現性に拘るらしく、肌の色も衣装も芝生も抑え目ながら、極めて現実的な発色バランスとなっています。

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四枚目のカットは広いステージ広場を徘徊中、とても素敵な笑顔で愛娘をあやしていた、グラサンにイカしたデザインのパナマ帽子っていう、いかにも欧米のエリート層の避暑地でのファッションのお手本みたいなヲヤヂさんが目に留まったので、声掛けて撮らせて貰ったもの。
機材はX-Pro1+Petri55mmf1.4改M距離計非連動タイプでの絞り優先AEの開放撮影です。
隣の芝は青いとかよく言いますが、同じ芝生でほぼ同じ時刻でR-D1sとX-Pro1での発色がこれほど違うとは、LCD見ながら、ひたすら首を傾げてしまいました。
それにしても、店で買ったばかりで何の手入れもしていないPetriレンズ、やはり侮れないオーパーツだったような気がします。歴史にIfは無意味と言われますが、もしこの独特のスピゴットマウントに閉じこもることなく、初めからM42にもっと早めにシフトし、Kマウント化でもしておけば、この廉価で優秀なレンズを武器に今の時代でもブランド銘だけでも存続出来た可能性は有ったかも知れません。

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五枚目のカットはこれまでは開放されていなかったPXやらボーリング場、従業員駐車場方向へ探検してみようということになり、Sundayphotographerさんと徘徊する途中に念仏踊り大会の時刻が近づいて来た為、日中は蟄居していたと思われる浴衣姿の基地従業員各位が、そぞろ歩きして出勤して来たところ、カンジ良いカップルが目に留まったので、あいや、そこの殿方と女人、暫し待たれい!と呼びとめ、写真撮らせて貰ったもの。
機材はX-Pro1+Petri55mmf1.4改M距離計非連動タイプでの絞り優先AEの開放撮影です。
優しさの中にも必要なシャープネスはしっかり保っており、しかも、キャノン、ニコンに有りがちな、高性能レンズの後ボケがざわつくというカンジもなく、感覚的にはAuto-Rokkor55mmf1.4をもうちょいマイルドにしたカンジでOHしたら相当デキるレンズになるのでは、という予感を抱かせてくれました。

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六枚目のカットは、子孫のX-Pro1がやるなら拙者も!とばかり、夕陽に映える基地内の通りで夕陽を浴び佇んでいた、浴衣姿の基地従業員のご家族、たぶん、若いオモニとやんちゃな小坊主に声掛け、快諾戴いたので、R-D1sが頑張った一枚。
この謎のイタリアンシネレンズ、出る前に距離計連動カムの微調整しただけで室内の試写すら満足にやらないで出て来ちゃいましたが、なかなかどうして、往年の隠れた銘玉Petri55mmf1.4と、未だ最新鋭の子孫X-Pro1のコンビに決してひけを撮らない尖った写りで、正直感心してしまいました。

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七枚目のカットは念仏踊りが始まる少し前から会場の球場近くに陣取っていたのですが、来るわ、来るわ、普段なら絶対見られない、浴衣姿の異邦人達が、ということで、黒人のグループがかしましくくっちゃべりながら傍らを通り過ぎて行ったので、相棒のSundayphotographerが認識するかしないうちに猛ダッシュでグループに駆け寄り追い縋り、一枚撮らしてけろ♪と頼んで、一枚戴いたもの。
機材はまたしてもR-D1s+謎のイタリアンシネレンズ35mmf2.3での絞り優先AE、開府撮影です。
このカットの中央の黒人小々姐の晴れがましい表情、そして輝く瞳、このカットを撮れただけでも、今回、急遽撮影に間に合わせるべく一心不乱に仕上げた甲斐がありました。

基地関係者の皆さん、そして近隣自治体の応援スタッフの皆さん、本当にお世話になりました。まさに豊かな国のホスピタリティを垣間見せて戴いた気がしました。また来年もきっとお邪魔しますので宜しくお願いしますね。

さて次回のアップは久々に工房附設秘宝館でも行ってみましょうかね。乞うご期待。

テーマ:街の風景 - ジャンル:写真

  1. 2013/08/04(日) 19:10:22|
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charley944

Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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