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深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Tradition sometimes makes a miracle~Yashica DSB 50mmf1.9~

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さて今宵のご紹介は予告通り、工房附設秘宝館から、かつてヤシカが国内向けヤシコンマウント自社ブランド機のセットレンズの最廉価レンズとして80年代前半から製造販売したYashica DSB50mmf1.9の登場です。

構成は4群6枚のシンプルなモノコートながら、主要部品は金属製で、硝材もかなり良いものが使われているように見受けられました。

ご存知の通り、旧ヤシカはニッカ、ズノーと資本力、販売力は無いものの、技術力の高かったメーカーを買収し続け、最盛期の74年には、世界に冠たるカールツァイスがパートナーとして選び、コンタックスRTSをはじめとした個性有るシリーズを送り出したのですが、その後間もなく、自身は営業不振に社内コンプライアンス上の問題が絡んだ経営破綻状態のまま、1983年に京セラに買収され、独立メーカーとしての存在を終えます。

その京セラも2005年にはカメラ事業自体から撤退し、八洲光学から、ニッカ、ズノーと脈々と生き永らえて来たDNAも途絶えてしまったのです。

そんな気の遠くなるような伝統が織り成す地味ながら熟成された技術の粋として送り出された、実用レンズの雄、DSBの実力のほどを見て参りましょう。

ロケ地は先般のフジノンX55mmf1.6と同様、鎌倉から江ノ島で10月第一週の金曜日に撮影しています。

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まず一枚目のカットですが、鎌倉は小町通口に降り立ち、いつもの慣れた道を辿り、撮影スポットを次々こなしていくのですが、その第一弾として、通りの入口付近にある、ちょい奥まった中庭を持つ商業モールがなかなか素敵な趣きなので、今回も新趣向の赤い唐傘を入れて撮ってみたもの。
機材はEOS50D、絞り優先AEでの開放撮影で、以降のカットはすべて同じです。

ピンは唐傘の表面に合わせていますが、その合焦面のシャープでリアルな結像は云うまでもなく、背景の空が入った建物の弧状の屋根を含んだ佇まいがなだらかなボケになっているのにも心惹かれました。
また点光源はこのレンズのコマフレアを表しているようです。

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二枚目のカットですが、小町通を少し八幡宮方面に歩くと、とある商店の軒先に、なかなか時代がかった木製看板に趣きある「鎌倉」の文字が彫られ、しかもその直下には信楽焼のこれも古びた壺をプラター代わりとして、可憐な植栽としているのが目に留まったので、店番の方に断ってから、一枚戴いたもの。
ここでも、最短撮影距離に近い領域ながら、ピンを合わせたのは看板の底部先端の金物でしたが、鎌倉彫でしょうか、ささくれかけた看板の地肌や可憐な花の質感をも実に捉えていると思いました。

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三枚目のカットですが、いつもの散策コース通り、小町通りの前半にある小さな橋を渡ってすぐ、進行方向左側の路地に曲がり、そこの地区掲示板やら、近年、改築された「MilkHall」なる隠れ家風のおしゃれなカフェを撮りました。
ここでは、黒づくめのシックな建物外観と蔦、そして深緑色の看板がお洒落なアクセントになっていて、このDSBはその程好いシャープネス、そして曖昧な色は曖昧なまま描き出すという流儀で以て、かなりイイ案配にその雰囲気を捉えたのではないかと思います。

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四枚目のカットですが、路地からまた表通りである、小町通りでモデルさんなど探しながらキョロキョロと歩いていたら、肩車して歩いていたドイツ人親娘と出くわし、モノは試しにドイツ語で撮っても良いかな?と問うたところ、はじめキョトンとしていましたが、肩の上の極小姐の方が先に雰囲気を察し、カメラを指差し、足バタバタしてはしゃぎ出したので、ヲヤヂさんが、OK,OKと破願し、こういうシーンとなった次第。
モノを撮っても、この普及レンズは今の並みのズームより素晴らしい描写性能を叩き出しますが、何よりも美しいと思ったのは、このカットでの白人親娘の肌が陽光に照らされて生じた極僅かのフレアです。
たぶん、ロシアのモンスターレンズで撮れば、肌の状態診断まで出来るくらいシャープに写るのでしょうが、このようにルネサンスの宗教画みたいな肌の描写もイイものだ、と暫し関心しました。

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五枚目のカットですが、いつもの鎌倉散策の常連、小町通から一本右に入った側道沿いの民家1階ガレーヂに佇むイタリアンレッドのミニクーパーの雄姿です。
このカットで感心したのは、やはり素晴らしいカラーバランスとコントラストです。
赤が強調され、周囲の葉の緑がくすんだり、或いは葉の緑が突出し、主役のクルマの赤が沈んだように写し込まれる、名だたるレンズでもデジタルではそういった怪奇現象?を生じることがありましたが、これはまさに記録色で実用的な描写ではないかと思いました。

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六枚目のカットですが、情熱的?な赤いミニクーパーのガレーヂのすぐ隣の塀に蔓を巻いた昼顔がその葉とともに午後の陽射しを透かし、とても美しく見えたので一枚戴いたもの。
マクロレンズや引伸レンズ、或いはシネレンズなどと比べれば、この最短距離での花の撮影はシャープネスがもたらす迫力に欠けるかもしれませんが、この方が実は肉眼で実際に見ている姿そのものではないかと云う気もします。

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七枚目のカットですが、再び小町通りに戻り、八幡宮方面に歩いて行くと、なかなか素敵な店構えの日本蕎麦屋さんがあり、しばしば、遠近感表現のテストも兼ねて、良く手入れをされた玄関までの植栽や庭石を入れたカットを撮らせてもらうことがあり、今回もご他聞にもれず、一枚戴いたもの。
ここでは、やはり向かって右側の黒い木塀が画面中央奥に向かって真直ぐ伸びて、ボケていくさまがこのレンズの地味ながら写実的性能の優れるというキャラを如実に表しているのではないかと思いました。

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八枚目のカットは、所変わって江ノ島に着き、ランチを戴くべく、上陸してすぐの大鳥居手前を右手の道から登って視界が開けた辺りから眺めた藤沢の海岸風景です。
ここでも開放だけあって、目が痛くなるようなシャープネスは期待すべくもありませんが、それでも、必要十分な情報はしっかりと捉えていて、海岸から奥手まで相当精緻に港湾施設や建物など街の佇まいを描写しています。

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九枚目のカットですが、美味しい生しらす丼とさざえさんのツボ焼きなど戴いてから、再び気合いを入れての撮影再開で、真っ先に向かった島頂上付近の撮影スポット、長崎の鐘ならぬ江ノ島の鐘です
ここでも、カリカリするほどのシャープネスは見せつけないものの、背景に曇天とは云え、それなりに輝度の有る空を控えても、鑑賞に有害なフレアは殆どと云って良いほど発生せず、鐘の金属表面のテクスチュア、そして無数の落書きなども忠実に描き出しています。

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十枚目のカットですが、来たのと反対周りに降りて来て、いつもの散策ルート、ヨットハーバー方面への道路の側道というか、狭い生活道路がえも云われぬ良い雰囲気を醸し出していたので、その佇まいを撮ってみたもの。
この生活臭が強く漂う路地というか裏通りは、それこそ標識や看板のひとつひとつが自己主張しますから、人が居ようと居まいと、画を紡ぎ出してしまうのでしょう。

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十一枚目のカットですが、いつもは側道の奥まで辿り着いたら、元来た道を戻って、ハイさいならなのですが、今回は妙な胸騒ぎがしたんので、駐車場経由、行けるだけ奥まで堤防の上の道を歩いて行って、ふと見上げた灯台の周囲をトンビが飛んでいたので、モノは試しにとばかりに撮ってみたら、存外に上手く収められたというもの。
殆ど逆光に近い条件なので、肝心のトンビはセミシルエットと化していますが、それでもフレアなく、きっちりとモノの形を押え、しかもソフトでハイライトやガンマをいじれば、トンビの羽の模様がきっちりと写っていて、デジタルだからこそ、この地味ながら真面目な写りを身上とするレンズの持ち味を引き出せたのかな、とも思った次第。

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十二枚目のカットですが、ヨットハーバー脇を通って帰る途中、とてもオシャレなパステルカラ-づくめのヨットクラブ施設が目に留まったので、入り口付近から挨拶代わりに一枚戴いたもの。
空が相当曇天で重くなってきましたが、このモノコートながら堅実な描写を売り物とするレンズはどの色にも偏ることなく、パステルカラーのすべての佇まいを見たままに再現してくれました。
今度は晴天の時、是非試したいと思いました。

今回の感想としては、やはり標準レンズは驚きの宝庫だと思います。

今も都内某所で里帰りの標準レンズが非常に魅力的な値段で叩き売られてますが、はは、また数本買っちゃいそうで怖いです。もう既に高性能レンズを発掘し、修理完了して家の近所でテストラン大成功に終えてますし。

さて、来週は工房作品のご紹介でもいきましょう。乞うご期待。

テーマ:街の風景 - ジャンル:写真

  1. 2013/10/27(日) 19:59:34|
  2. 深川秘宝館
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The great province in Japan !~鹿沼祭2013(後編)~

さて、大変遅い更新となってしまい申し訳ありませんでしたが、これには深いワケがありまして、日曜晩にいつも通り更新しようとしたら、このFC2のプログラム不調なのか、画像処理ソフトでリサイズの上、縦横変換したファイルをアップロードしたら、それが何故か縦位置写真が横のまま表示されるという不具合が発生し、月曜日にブログアップすっぺ♪とか甘いことを考えていたら、世の中そんなに甘くない、会社の仕事が片付いたのが22時半近く、そこから帰って来て、翌朝、8時過ぎの出社が控えているのに夜なべしてまでブログ更新する根性が無かったというのが真相です。
では、早速、鹿沼祭り2013、二日目の行動と共に写真を追って行きましょう♪

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まず一枚目のカットですが、朝、JR宇都宮発、JR鹿沼駅経由、メイン会場エリア入りしたのですが、11時前にも関わらず、既に気の早い山車は路上に繰り出し、総ねりのリハーサルとばかり、お囃子を奏で、その廻りで社中の老若男女が楽しそうに語らい合っていて、なかなかイケてる小姐二人組と目が合ったので、ちょいとキレイどころのお姐さん、山車の前で一枚撮らしておくんなさいよ♪てなノリで戴いたもの。
機材はM8にSpeedpanchro40mmT2.3改Mでの絞り優先AE、開放撮影です。
さすが第一線級のシネレンズ、40mmにしては被写界深度は思いのほか浅く、画面向かって右の小姐でピンを合わせたら、多少前位置に立っていた向かって左の小姐は若干前ボケとなってしまっています。

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二枚目のカットですが、やはりメインストリート上で社中が暫しの休憩を取り、寛いでいた山車の様子を撮らせて貰ったもの。
機材はM8にSpeedpanchro40mmT2.3改Mでの絞り優先AE、開放撮影です。
ピンは画面向かって左の法被の小姐の背中に合わせたと思いますが、ここでは距離も有ることで、全部の法被の背文字が被写界深度にギリギリ入っているように見えます。
また、銀塩だとなかなか発色が難しい、一部照り返しの路面入り日陰メインのカットではありますが、見た目忠実になかなか良い色合いに上がっていると思いました。

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三枚目のカットですが、メインストリートを今宮神社方面に歩いていたら、或るお寺の門扉横で寛いでいたお先棒の小姐隊の姿が目に留まったので、傍らの保護者の方々も交え、熱心に出演交渉、かくして美形揃い踏みでのカットとなったもの。
機材はX-Pro1にHyper-Lomo50mmf2の絞り優先AE、開放撮影です。
発色は緑の木立越しの直射日光に白塗り小姐ですから、AWBも難しかったらしく、若干青カブリ気味にも見えますが、敢えてソフト等で修正せずアップしました。
背景の木立の渦巻きボケもロシアの荒削りなレンズのパッションを表しているようでなかなか面白いと思いました。

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四枚目のカットですが、メインストリートから今宮神社への近道である、東方面への道に曲がった途端、集合写真を撮っている社中の姿を認め、撮影メンバー全員で、或る者は駆け足、或る者は早足で駆けつけ、散々撮らせて貰ったのですが、その周辺で遊んでいる童子達の値千金の笑顔に惹かれるものがあったので、お願いして一枚撮らせて貰ったもの。
機材はM8にSpeedpanchro40mmT2.3改Mでの絞り優先AE、開放撮影です。
さすがM8とSpeedpancroの名コンビ、こういう時もしっかりと押さえてくれます。
このカット、中央部は文句無く良く写っていますが、背景のボケも印象派絵画的で面白いし、周辺の僅かな光量落ちが効果的に演出してくれます。
因みにのも法被が紫に見えるのは、M8名物のマゼンタかぶりなどではなく、元々の法被の染め色です、念のため。

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五枚目のカットですが、神社へと向かうメインストリートに並行する裏道を歩いていたら、道に面する公園広場みたいなところで、いたいけな童子達の楽隊が健気に何らかの楽曲を演奏していたので、その姿を焼き付けるべく一枚戴いたもの。
機材はM8にSpeedpanchro40mmT2.3改Mでの絞り優先AE、開放撮影です。
近距離だとあまり目立ちませんが、ここまで青空を入れて数メートル先にピンを合わせて取ると、先のカット同様、やはり対称光学系のクセである、周辺光量落ちが僅かながら目に付くようになります。

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六枚目のカットですが、裏通りい面したとある神社の参道入口付近で、メンインブラックの調査員と宇宙人グレイの記念撮影宜しく、大の大人がいたいけな極小姐を両脇から手なんか掴んで、持ち上げたり遊んでいたんで、ハィそのまま、そのまま、撮りますからね、と声かけざま、カメラ目線になる間もなく一枚戴いたもの。
機材はM8にSpeedpanchro40mmT2.3改Mでの絞り優先AE、開放撮影です。
これも日陰と日なたが同居する難しい露出条件でしたが、蔵の壁で露出を割り出し、AEロックという超高度なワザを駆使し何とか見られる範囲の露光に収めたという知られざる苦労の一枚なのです。
X-Pro1なら実画像見て、露出補整も簡単ですが、M8は一発勝負ですから・・・
ここではちょい後ピン加減なためか、後ろの祭り装束の人々もそれほどボケずに写り込んでいます。

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七枚目のカットですが、メインストリートを練り歩く、山車とその町会の社中を追いながら、シャッターチャンスを狙い、一枚戴いたもの。
機材はM8にSpeedpanchro40mmT2.3改Mでの絞り優先AE、開放撮影です。
このカットではまさに名コンビの本領発揮とばかりに艶やかな発色、シャープで均質性の高い画面、そしてなだらかなボケ、とシネレンズで撮っていることを思い起こさせる一枚となりました。
しかし、お先棒小姐の足袋と、向かって右のヲサーンのズボンが紫なのは、云わずと知れたM8のおイタです。

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八枚目のカットですが、前から撮ったお先棒一行をやり過ごすと見せかけ、背後から一閃浴びせた一枚です。
機材はM8にSpeedpanchro40mmT2.3改Mでの絞り優先AE、開放撮影です。
いたいけな小姐達の姿が忠実に描かれているのは言わずもがなですが、写真的には画面中央右を締める朱色の日傘の日光を透かして光るさまと周辺光量落ちのグラデーションに惹かれました。

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九枚目のカットですが、灼熱のメインストリート路上で、とても素敵な笑顔で幼い弟をあやしながら唄を唄う美小姐の姿が目に留まったので、声掛けて一枚撮らせて貰ったもの。
機材はM8にSpeedpanchro40mmT2.3改Mでの絞り優先AE、開放撮影です。
名コンビが贈る程好いシャープさと忠実な発色がこの幸せそうな姉弟のひとときを余すところなく描写しているのではないかと思いました。

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十枚目のカットですが、停車し、福の神の仮面をつけた演者が福銭やら、福餅みたいなものをバラ撒く傍らで、その社中のいたいけで素朴な美しさが光る小々姐がとても素敵な笑顔で同僚と語らい合っていたので、その瞬間を抜き打ち的に戴いたもの。
機材はX-Pro1にHyper-Lomo50mmf2の絞り優先AE、開放撮影です。
信じられないほどシャープでエッヂの立つ弟分の35mmレンズに比べ、この50mmはかなりマイルドな描写ではないかと思いました。前ボケと化した小々姐も、他のカットでの荒々しい後ボケに較べれば、ずっと優しく見えます。

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十一枚目のカットは、メインストリート上での客寄せイベント、オール小姐による即席路上綱引き大会の図です。
機材はM8にHyper-Lomo35mmf2改Mでの絞り優先AE、開放撮影です。
さすが、妖物の眼、Hyper-Lomo35mm、眼が痛くなるようなシャープさとエッヂの立ち具合いで印象的に思えました。

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十二枚目のカットは、帰り際、夕陽を浴びて佇んでいた山車社中の曳き手の美小姐の美しい横顔の図です。
機材はM8にHyper-Lomo35mmf2改Mでの絞り優先AE、開放撮影です。
やはりここでも、この被写体の美小姐は夕陽の中、浮かび出るように描写され、また衣装の赤も息を呑むが如き艶やかさで、レンズの途中交替はやはり大成功だったと思います。

今回の鹿沼祭りでの撮影を通じ感想としては、素朴で優しく、人懐こい人々のお祭りを楽しませて貰ったという感謝の念です。
二日目の午後に或る山車の社中を撮っていたら、羽織に着物のご老人が「町場の方ですかな?」と目を細めて笑顔で聞いてこられたので「はい、江戸表は深川から昨晩駆けつけました、昨年もお邪魔しました」と応えたら、「今年は天気も良いので、良いおもてなしになりそうですな、ゆっくり楽しんで行って下さい」と言われ、来年も是非お邪魔したいと思いました。

さあ、来週の更新は結構溜まった秘宝館から何か紹介しましょうかね。乞うご期待!!

テーマ:日本の祭り - ジャンル:写真

  1. 2013/10/20(日) 23:31:15|
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The great province in Japan !~鹿沼祭2013(前編)~

さて、今宵のご紹介は、やっぱり時事ネタということで、この週末、土日かけて行って来た鹿沼祭2013からのレポートと致します。
二日間に亘り、M8とX-Pro1でみっちり撮って来たので、前後編の二回に分け、今週、来週とアップ致します。
今週は一日めである、12日の晩までお送り致します。
では、当日の行動に沿って、実写結果を逐次見て参りましょう。

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まず一枚目のカットですが、もう一名の同行者であるhiroさんと新鹿沼駅前で落ち合い、まずは腹ごしらえということで、軽く流しながら、鹿沼そばの銘店「佐野屋」さんに向かう途中、市内を南北に走るメインストリートで祭りの山車に遭遇したので、これ幸いと先導さんを探しあて、はい、山車前で写真撮らしてね、とお願いして一枚戴いたもの。
カメラはM8、絞り優先AE、玉はThe cinelensこと Hyper_Lomo35mmf2 mod.Mの開放撮影です。
このレンズ、先週、深大寺にて実戦テストを行って来たのですが、いやはや、良く写るを通り越し、もはや擬似ハイビジョン3Dの様相を呈しています。

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二枚目のカットは、同じくメインストリートを北に向かい歩いていたら、昔ながらの宿場町に良く見られる、鰻の寝床型の旧家を會所として、そこに入って行こうとする羽織袴の祭役員と思しきご老人が居たので、すかさず追い縋り一枚戴いたもの。
カメラはM8、絞り優先AE、玉はHyper_Lomo35mmf2 mod.Mの開放撮影です。
ここでもシャープで限りなくヌケの良い産業用レンズの実力の片鱗を窺い知ることが出来ますが、面白いと思ったことは、タングステン光下や直射日光下では、黒い衣装は皆、小豆紫に変色して写ってしまうものとばかり思っていたのですが、こういう高級な手染めの正絹の反物は限りなく黒のままなのだということでした。

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三枚目のカットですが、食事のあと、まずは旅程の無事を祈願すべく、当日の祭りのメインイベント会場でもある今宮神社へ向かうこととし、その境内で夕刻からの揃い踏みのために終結しつつあった山車の様子を撮ったもの。
カメラはM8、絞り優先AE、玉はHyper_Lomo35mmf2 mod.Mの開放撮影です。
この山車の絢爛豪華な彫刻と装飾の数々、まさに肉眼で見た以上にリアルでまさに今流行りの4Kディスプレイを彷彿とさせます。
実は帰ってからデジタルデータを整理していて、同行のX-Pro1に装着していたMicro-Nikkor(S)5cmf3.5のデータが紛れ込んだのかと一瞬錯覚し、Exifデータで撮影機を再確認したほどです。

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四枚目のカットは神社付近の店頭でビールを売っていたところで、乳母車で子連れのドイツ人と思しきヲヤヂさんが、極小姐を乳母車に残したまま、まだ日も高いのに「ビール一杯下さ~い♪」とゴキゲンで、路上で一杯楽しもうというところ、声をかけて、こんなカットを撮らせて貰ったもの。
カメラはM8、絞り優先AE、玉はHyper_Lomo35mmf2 mod.Mの開放撮影です。
ヲヤヂさんが、極小姐に向かって、「ハイ、カメラ見て笑ってネ♪」とか教育のため?日本語で優しく教え諭したにも関わらず、当の極小姐はかき氷を口に運びながら、何ぢゃ、このドイツ製のカメラ構えたアヤシゲな現地人は?てな警戒心目一杯モードで、不可思議なカットになってしまいました。

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五枚目のカットはメインストリートをお茶すべく、駅前通りに在るCoCo'sに向かう際、声を張り上げ、伝統イベントの宣伝をしていた、お揃いの黄シャツのいたいけな小姐二人組が目に留まったので、「ブログで宣伝しまっせ♪」とか甘い声を掛けて一枚撮らせて貰ったもの。
カメラはX-Pro1、絞り優先AE、玉はかのStan Tamarkin氏のコレクションを譲り受けたMicro-Nikkor(S)5cmf3.5の開放撮影です。
この稀代の銘玉も解像度のモンスターとも云えるべきシャープさを誇っていましたが、なにぶん、設計が1950年代初め、これに引き換え、組んだボディ自体は二世代も古いM8ながら、1990年代に入り、パテント無視、コスト度外視で国策のため製造された、北の国から来た異次元の妖物の眼のシャープさとウルトラリアリティの前には、ありきたりの良く写る玉へと成り下がってしまったのです。

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六枚目のカットは陽も暮れかけたメインストリートで、お揃いではない祭り装束に身を包み、秋の陽光を浴びながら仲良くかき氷など堪能しながら歩いて来た小々姐二人組が目に留まったので、すかさず声を掛け、モデルさんになって貰ったもの。
カメラはM8、絞り優先AE、玉はHyper_Lomo35mmf2 mod.Mの開放撮影です。
ここでは、陽の当たった向かって右側の小々姐の微笑を浮かべたご尊顔はただ単にシャープにウルトラリアルに描写するだけでなく、仄かにフレアが浮かび、優しい描写になって、かなり気に入ったカットとなりました。
またこれだけシャープなレンズでありながら、背景はそこそこマイルドに蕩け、良くありがちな2線ボケなどのクセは出ていないようです。

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七枚目のカットはお茶した後、また神社を目指しメインストリートを北上する際、出会った、お祭小姐隊ご一行様揃い踏みの図です。
カメラはM8、マニュアル撮影1/250、玉はHyper_Lomo35mmf2 mod.Mの開放撮影です。
北方向とは云え、空が大きく写り込んでいるので、一旦、絞り優先AEでシャッター速度をカメラに計算させ、それをマニュアルでプラス露光側に補整して撮影しましたが、いやはや、こんな難しい光線状態でも、この妖物の目の如きレンズは、きっちりとウルトラリアリティの再現というお仕事をやってくれるから驚きです。

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八枚目のカットは陽も西の里山の彼方に沈み、とっぷりと暗くなり出した頃、それぞれの町会の山車の前で看板娘宜しく、先導さんが床几に腰を下ろし、或る者は辺りを睥睨し、また或る者はじっと目を閉じ、出番を待っているかの様子だったのですが、と或る町会で斜め下の提灯群に横顔を照らされた、まさにいたいけという言葉が似合うことこの上ない極小姐の姿が目に留まったので、観光客の特権とばかり、そおっと近づき一枚戴いたもの。
カメラはX-Pro1、絞り優先AE、玉は換装した、我が国の誇る世界遺産印のモンスターレンズ、50mmf1.2の開放撮影です。
尤も、物見高い鹿沼の祭り社中のこと、撮った横から、町会の中年ヲヂさまがすかさず声を掛けて来て、どれどれと、背面LCD見せたら、へぇ~こんなデカイレンズだと、フラッシュ焚かないでもこんなに良く撮れるんだ、ヲレも買おうかな♪とか無謀なことを言い出したので、まずやめておいた方が賢明でしょう、ボディは手に入りますが、レンズを買ってしまったら、そこから先は冥府魔道の旅ですぞ・・・とか自分とか仲間の経験談を交え優しく教え諭したら、ハィ、ぢゃおとなしくフラッシュ焚いてデジカメで撮りま~す♪とか云う事を聞いてくれました。

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九枚目のカットですが、今宮神社に集結し、裏手の駐車場でお囃子を奏で始めたそれぞれの山車の提灯によるイルミネーションを撮ってみたもの。
カメラはX-Pro1、絞り優先AE、玉は世界遺産印のモンスターレンズ、50mmf1.2の開放撮影です。
この提灯によるイルミネーションの撮影は結構難しく、よく、ホワイトバランスが上手く取れたものだと、このX-Pro1もM8も関心してしまいました。


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十枚目のカットですが、仄暗い山車の中で一心不乱にお囃子の太鼓を打ち続ける姿が目に留まったので、傍らの世話役のヲヂさまに声を掛けて近くに寄らせて貰い、中の様子を撮ってみたもの。
カメラはX-Pro1、絞り優先AE、玉は世界遺産印のモンスターレンズ、50mmf1.2の開放撮影です。
ピンは不動の太鼓の打面、具体的にはその縫い取り目に合わせていますが、なかなかどうして、非球面を採用していないにも関わらず、局部的に提灯に照らされた太鼓の打面のテクスチャなども飛ばずに描写していますし、仄かに照らされた太鼓手の若衆のエネルギッシュ雰囲気も妙に冷静に伝わって来るような気がします。

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十一枚目のカットはさすがに小一時間も十数台の山車がお囃子を奏で続ける広場に居続けたら、音酔いしそうになったので、少し耳と頭をクールダウンするため、境内から北側の道路に出た時、門横でお店を出していた昔ながら
のかき氷の露店があったので一枚戴いたもの。
カメラはX-Pro1、絞り優先AE、玉は世界遺産印のモンスターレンズ、50mmf1.2の開放撮影です。
しかし、よくよく考えてみれば、もう10月も中旬、お彼岸もとっくに過ぎ、秋も秋、盛秋という言葉が似合いそうな時期なのに、夏の代表的風物詩、かき氷が店を出していて、しかも、これが大盛況とは、いつのまにか、地球温暖化影響で夏祭りと秋祭りの境目が曖昧になってきたのかもしれないと思いました。

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十二枚目のカットはお祭りもたけなわ、音酔いも一段落したので再び境内を徘徊し、何か面白そうな、画になりそうなシーンはないか、鵜の目鷹の目、山車を回っていたところ、或る屋台の傍らで醒めた表情で佇むご老人の姿が目に留まったので、一枚戴いたもの。
カメラはM8、絞り優先AE、玉はKowa Prominar50mmf1.5mod.Mの開放撮影です。
この日没後のシーンでは、やはり設計が比較的新しく開放値もF1.2あるM8側が有利でしたが、この印象深いご老人を撮ったカットでは、かつて国産RF機最強のハイスピードレンズとも目されたProminar50mmf1.5の面目躍如の感アリです。

今回の感想は、ローパスレスコンビとシャープなレンズの組み合わせで結構、満足行くカットが撮れたんぢゃないか、ということ。やっぱり、こういう絢爛豪華、艶やかなハレの場はシャープでヌケの良いレンズぢゃないとね♪

さて来週は二日目の朝から夕刻の帰りまでの一日の行動を捉えた後編をお送り致します。乞うご期待。

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  1. 2013/10/14(月) 19:53:29|
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Old meets A new~EBC X Fujinon 50mmf1.6~

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さて、今宵のご紹介は秘宝館からEBC X-Fujinon50mmf1.6となります。
このレンズは、1970年台末にフジフィルムがカメラのAE化を睨み、これまでのM42のスクリューから、キャノンのEOS EFもかくやあらんばかりのショートフランジバックの大口径バヨネットに換えてシリーズ一新すべく登場させたもので1980年発売のAXシリーズ専用マウントとなっています。
このEBCのマルチコートも美しいf1.6のレンズは、4群6枚の典型的なプラナータイプですが、エレメントのゴーヂャスさとは裏腹に鏡胴のかなりの部分がエンヂニアプラスチック化されています。
それでも、内部パーツやマウント金物が金属製なのは、コストダウン一辺倒ではない拘りを感じて嬉しくなりました
実はこのXマウント、今のX-Pro1のXマウントは勿論のこと、一時期ハッセルと共同開発でコアなマニアには人気があったというTXシリーズのバヨネットとも全く互換性がありません。
では、何故、知らっとX-Pro1に装着しているのか???
それはまさに必要は発明の母とばかり、当工房でX⇒Mの距離計非連動手動絞り機能付きのアダプタの開発に成功したからです。
では、世界初と思われる新旧Xマウントレンズとボディのコンビネーション、実写結果を見て参りましょう。
カメラはX-Pro1、絞り優先AEでの開放撮影、ロケ地は鎌倉です。

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まず一枚目のカットですが、小町通を一本西に逸れた裏通りにある、「Milk Hall」なるカフェの店先の佇まいが黒で統一されてなかなか眼を惹くので、一枚戴いたもの。
当日は軽い曇天とは云え、お昼前の陽射しはかなり強く、このオフベーヂュで反射率の大きい日傘は完全にハイライトがすっ飛んでしまっています。
それでも、ピンを合わせた「Open・・・」の黒地に白文字の洒脱な看板をはじめ、シックな黒の佇まいはあますところ
なく雰囲気を捉えられているのではないかと思いました。

Fujinon50mmf16_02.jpg
二枚目のカットですが、小町通りに戻り、商店の店先などにも何か面白げなものはないものかと物色していたら、或る物販店の店先にガラス細工の小物がところ狭しと並べられていたのが目に留まり、店の方に断った上で一枚戴いたもの。
最短距離での撮影ですが、ピンは中央付近の頭部がオレンジ色のふくろう親子の眼に合わせています。
被写界深度はかなり狭くて、このふくろう親子と等距離のガラス細工だけがくっきり結像し、その前後は滲むようなボケとなっています。

Fujinon50mmf16_03.jpg
三枚目のカットですが、小町通の真ん中よりもう少し鶴岡八幡宮方面に歩いていった先の裏通りの民家のガレーヂにいつも停まっているイタリアンレッドのミニクーパーの姿です。
このカットでは赤はかなり見た目通りの発色なのですが、クロムメッキのパーツは概ね飛びがちとなっており、それでも、EBCマルチコートの功徳か、輪郭を崩すような不自然なフレアは殆ど皆無のレベルまで抑え込まれています。
背景のボケはなかなかイイ案配に融けるようなカンジで写っていて好感持てました。

Fujinon50mmF16_04.jpg
四枚目のカットは、そのミニクーパーのガレージのもう少し奥の路地に咲く、ひるがおの花の可憐な姿です。
最短距離付近でEVFの10倍クロップ拡大機能を活かし、花弁の中央部奥にピンを合わせていますが、伴走機の50Dに付けたもう一本の同世代の50mmf1.9の手の切れるが如きシャープな描写に比べ、ややマイルドなテイストに思えました。
背景の葉は近くは滲むように、離れたものは融けるようになかなかイイ雰囲気の後ボケとなっています。

Fujinon50mmf16_05.jpg
五枚目のカットは小町通りの奥付近にある飴の製造販売実演店店頭で味見をしながら一心不乱に店員さんの口八丁手八丁の説明に聞き入るいたいけな女子中学生の一団の姿です。
ピンは一番後ろの小姐の赤いプゥマのバッグのマークに合わせていますが、3m超の距離からの撮影でしたが、奥へ二人目辺りからボケ始め、画面左奥の店員の兄ちゃんはかろじて顔が識別出来る程度のボケと化しています。

Fujinon50mmf16_06.jpg
六枚目のカットは小町通りを奥まで歩いて行って、また元来た道を辿って駅方面に戻る途中、ここも定番撮影スポットである、老舗レストランの店先とその前を行き交う通行人諸氏を撮ったもの。
ピンは「Coin de rue」の文字の書かれたキャノピーに合わせていますが、通行人の多い通りで大っぴらにカメラを構え、これから一枚のみならず二枚三枚と撮ろうという気合いを感じてか、目線をくれる人間は何人か居たのですが、まさに被写界深度内の兄ちゃんだけがばっちり目が合った、という趣きの面白いカットとなったのではないでしょうか。

今回の感想ですが、ふふふ・・・これはまだほんの始まり、プロローグでしかない、従って、伴走機である50Dに装着された同世代のベーシックレンズにシャープネス、コントラストで一歩譲ってもこれもまた一興。そうこのX→Mアダプタはこのベーシックグレードのレンズ一本のために開発されたのではなく、超弩級ハイスピードレンズのためだったのです。

さて、来週は或る地方のお祭への出張撮影か、或いはこの金、土、日に行った湘南、佃島、深大寺の何処かのレポートをお送りしたいと思います。乞うご期待。
  1. 2013/10/06(日) 22:29:38|
  2. 深川秘宝館
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charley944

Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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