
愛読者各位
このたび、2/4~2/9まで半蔵門の財団法人 日本カメラ博物館附設ギャラリーClub25にて、恒例の秘密結社「ノンライツRF友の会」写真展を開催することとなりました。
土日は基本的に会場に駐屯してますので、ひと目でイイから工房主を目撃したい、或いはかつて出版された「世界のライカレンズPartIV」や「月刊写真工業2008年7月号、12月号」といった工房主の執筆書籍へのサイン等も承ります(果たして需要有るものか???)ので、御用とお急ぎでない方は是非、ご来臨賜りたく。
テーマ:祭り/イベント - ジャンル:写真
- 2014/01/28(火) 23:06:16|
- CMタイム
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0
さて、今宵のご紹介は予告通り、工房附設秘宝館のコレクションから、新春早々、超大物いっちゃいます。
その名もAR Hexanon57mmf1.2、国産レンズの中でも最大級の大きさと重量を誇るスーパーレンズです。
このレンズ、今は亡き小西六から、1960年代後半に発売となったARシリーズの目玉レンズのひとつとしてラインアップされました。
しかしながら、当時、国内では俗に言う「システム一眼5社」の牙城は崩すことが出来ず、結局は欧米を中心とした輸出に販路を求めたらしく、この弩級標準レンズをはじめ、Hexanonの珍品は国内ではまずお目にかかれず、あったとしても、逆輸入品であることが殆どのようです。
構成については分解したことがない上、物故メーカー製品なので反射面と絞りの位置から推定せざるを得ないのですが、おそらく絞りより前が2群3枚、絞りより後が3群4枚の5群7枚という、いわゆるズマリットタイプではないかと思われます。
ただ、並みのズマリットタイプと違うのが、このレンズの怪物たる所以なのですが、今なお恐るべき線量を誇る、アトミックレンズなのです。
噂には聞いていましたが、通関に2週間以上かかり、おかしいなと思ったのも束の間、夏の非ICSの中古カメラ博で面白半分に会場にハンディシンチュレーションカウンタ持込んでいた筑波の研究者のオッパーに測って貰ったら、これまでのアトムレンズのレコードを桁違いの値で塗り替え、「人体への影響はともかく、CCD,CMOSに接近して置いておくと画素抜けの危険性有り」ということで、今は鉛シートの中で単体保管です(苦笑)
では、国産光学史上屈指の怪物クンの実力を見て参りましょう。
今回のロケ地は横浜、中華街からみなとみらいを散策しながらのスナップ、ボディはX-Pro1、絞り優先AEによる全コマ開放撮影です。


まず一枚めのカットですが、石川町から中華街に入り、すぐのお店の「Sale」の白抜き文字にEVFのクロップ拡大で置きピンし、通行人を狙ったもの。このくらいの距離であれば、後ろを通る小姐もギリギリ被写界深度に入っているようです。

二枚目のカットですが、中華街の入って暫く歩くと、公共駐車場ビルの近くの交差点でゴマ団子だかを売っているお店が有り、その小姐がなかなか好感度高い笑顔で接客していたので、少し離れた距離から一枚戴いたもの。ピンは物売り小姐の髪の分け目辺りで合わせましたが、シャープな売り子の姿に対し、お客のオモニはなだらかにボケています。

三枚目のカットですが、中華街の至るところで焼き栗の類いを売っていて、以前にも押売りに近い商法で問題になりましたが、ここは見るからに健全な小姐が、愛想良く道行く人々に味見をして貰いながら焼き栗を売っていたので、ついつい声を掛けて、う~んと迷っていたので中国語で撮ってもイイ?と聞いたら、反射的に「好、是!」と答えてくれたので、一枚戴いたもの。殆ど1mくらいの位置からの撮影ですが、目でピンを合わせたので、顔の各パーツまではピンが合っていますが、髪に半分以上隠れた耳は完全にボケと化しています。

四枚目のカットですが、関帝廟そばの路上で、店の前に立ちながら、あれが食べたい、これが食べたい、と口を尖らせ、オモニとアヂュモニに要求を行う、ちょっとおませな極小姐の姿が勇ましかったので一枚戴いたもの。ピンは極小姐の髪に合わせていますが、距離がそこそこ有ったので背後のアヂュモニも十分被写界深度に入っています。

五枚目のカットですが、中華街最大のランドマーク、関帝廟を守るコマ獅子の雄姿をほぼ最短距離で撮ってみたもの。
ピンは向かって左の鼻の穴周辺に合わせていますが、それほど鼻が高くないのが幸いし、眼まではなんとか被写界深度に入っていますが、頬からピィンと背後に反り返った耳は完全のボケと化しています。

六枚目のカットですが、久しぶりの訪問にも関わらず、なかなか得心のカットが撮れた中華街を後にし、赤レンガ倉庫を目指し移動する途上、日本大通りを過ぎた辺りのカフェの店頭で求愛活動?に勤しむネコの姿を撮ったもの。ピンは向かって左のネコが先に一匹で居たので、その眼に合わせていたのですが、瞬く間にファインダ-4内にもう一匹入って来たので、これ幸いとばかりシャッター切りましたが、二匹ともf1.2の玉とは思えないシャープさで捉えられ、ビックリしました。

七枚目のカットですが、象の鼻埠頭の入口に昔から在るカフェの側面、港側に面した壁面に飾られた年代物の錨がイイ案配に錆びていたので、このレンズのシャープさを発揮させるべく至近距離で撮ってみたもの。さすがにハイパーロモ35mmみたいに最新の光学理論で作られたf2クラスの玉を凌ぐまでには至りませんでしたが、このカットを見てf1.2とは誰も思わないようなシャープさは発揮してくれたのではないかと思います。

八枚目のカットですが、象の鼻埠頭から、赤レンガ倉庫へ向かう途上の公園広場のようなところに象の鼻をイメージした、愛くるしい仔象のオブヂェが有ったので、一枚戴いたもの。曇天気味とは云え、空を反射するツルツルのボディにもそれほどフレアを発せず、程好いシャープネスで質感を再現していると思いました。

九枚目のカットですが、赤レンガ倉庫に着いたら、なんと、この期間、屋外の期間限定スケートリンクを営業していたのが目に留まり、シャッターチャンスを待ち構えていたら、欧風の赤レンガ倉庫から抜け出てきたような白人男性がこれまた外国風の洗練されたコミュニケーションスキルを発揮している国産女性とえもいわれぬ好き雰囲気を発していたので、倉庫を背景に一枚戴いたもの。ピンは男性の横顔に合わせていますが、被写界深度が浅かったため、ハイパーロモのように切り取ったような輪郭となならなかったですが、独特の距離感で以て描写していると思いました。

十枚目のカットですが、倉庫前面、大桟橋方向のグリーンハウスを入れて撮ってみたもの。ピンは出入口のガラス扉の向かって左側のガラスサッシの手前側の枠に合わせましたが、その前後の部分以外は前後ともイイ案配になだらかなボケとなり、ガラスと赤レンガという色合いも肌も違う素材のコントラストが面白い描写になったと思います。
今回の感想ですが、いやはや、このレンズ、びしっと決まると身の毛もよだつ描写を見せますが、EVFのクロップ拡大でもピンが合う部分はヘリコイドの回転で云えば、距離にもよりますが1度~3度という微妙なコントロールが必要で、まさにクルマで云えば、フェラーリかアストンのV12の車でヒルクライムをやるような難度だと思います。
さて、次回のアップは久々に工房製品の紹介でもいっちゃいましょうかね。乞うご期待。
テーマ:街の風景 - ジャンル:写真
- 2014/01/26(日) 22:58:42|
- 深川秘宝館
-
| トラックバック:0
-
| コメント:4
さて、今宵のご紹介は、予告通り、先週の三連休中日を利用して、秘密結社「ノンライツRF友の会」恒例の新春川越乱写ツアー2014を挙行しましたので、そこでの撮影結果をレポート致します。
当日は10時半集合予定が何のかんので遅れ、結局、11時半過ぎくらいから、最初の目的地、喜多院に集結し、撮影を開始しました。
今回アップの機材はカメラはR-D1s、レンズは謎の改造レンズ35mmf2.5改Mによる全コマ開放、絞り優先AE撮影です。
では、早速、当日の行動に沿って、実写結果を見て参りましょう。

まず一枚目のカットですが、喜多院の西側からのアプローチ路であるどろぼう橋の手前のミニ公園には、何故か複数種類の鶏類が放し飼いされており、いつも、親子連れがささやかな動物とのふれあいを楽しんでいますので、今回も、柵の外からその様子を一枚戴いたもの。

二枚目のカットですが、遅れて来たメンバーとも無事落ち合い、では一旦散開し、境内をスナップしませう、ということになり、あちこちを鵜の目鷹の目で画になりそうで撮らせてくれそうなモデルさんを捜したところ、北参道付近に出店していた焼き栗屋の小姐のぱっつん前髪と愛くるしいタレ目が何故か心に響くものがあったので一枚戴いたもの。

三枚目のカットですが、続いて境内を徘徊していたら、赤い着物を着た極小姐連れのメガネを掛けた神経質そうな兄ちゃんの二人連れが居たので、一枚撮らしてね♪と声掛けて、二人揃って、はぃチーズ!と一枚戴いたもの。

四枚目のカットですが、多くの人出で賑わう境内の中で、今も昔も綿菓子屋はいたいけな童子達には人気の露店のひとつですが、その前で我が子達のために綿菓子を購おうとしているオモニを待ち侘びる、健気な極小姐姉妹の姿を一枚戴いたもの。

五枚目のカットですが、フレンチドックだかを旨そうに頬張るいたいけな極小姐と目が合ってしまったので、すかさず歩み寄り、美味しそうですなぁ、ヲッサンもおなか減っちゃったわさ、とりあえず、食べてるとこ一枚撮らして下さいよ、とか適当に親御さんにもお願いしてモデルさんになって貰ったもの。

六枚目のカットですが、東門近く厠前のあずま屋風休憩所で、セミの物真似でもしているのか、しきりに礎石に乗っかっては柱にしがみつこうとするいたいけな極小姐と、それを何処吹く風とひたすら遠い目線のご老体が居たので、その対比が面白かったので一枚戴いたもの。

七枚目のカットですが、セミ小姐?の近くの木立の下で、ハトの餌付けに関し、真摯に語らい合う親子の姿が目に留まったので、男同士の熱い世界はイイものだなぁ・・・とかいたく感心し、一枚戴いたもの。

八枚目のカットですが、川越初参加のメンバー一名を案内し、東照宮方面にやって来たら、えもいわれぬ雰囲気の団子屋さんがあって、そこで産まれてこの方幾星霜、酸いも甘いも噛み分けたような老婆が売る団子に心惹かれたのか、一本食べたいと言い出したメンバーに即席エキストラになって貰って、その団子老婆から購うさまを一枚戴いたもの。

九枚目のカットですが、喜多院からランチ会場である「幸すし」に向かう途上、足踏み健康施設で有名な神社が有り、しめしめ、今回も観光客風の若い小姐が苦悶の表情で、足踏み石を踏破せんとしていたので、一枚戴いたもの。

十枚目のカットですが、昼食後、次なるスポット、駄菓子屋横丁に向かい、そこで柱にもたれながら、駄菓子を堪能する姉と、え~オレにも頂戴な!とか姉弟格差への不満を笑顔であげつらう弟の麗しい家族愛の姿が目に留まったので、秒殺で一枚戴いたもの。

十一枚目のカットですが、休日は朝のラッシュ時の東西線並みに込む駄菓子屋横丁のひと気に当てられたのでしょうか、いたいけな極々小姐がヲヤヂさんの肩の抱え上げられ、気を失ったような状態で、その様子がとても安らかに見えたので後ろからつけ、これも秒殺で一枚戴いたもの。

十二枚目のカットは、駄菓子屋横丁ではもう名物になった、高台の上でもんじ焼みたいなものを挟んで食べさせるという風変わりなファストフードを商う小姐の図、いつも撮らせて貰っているので、買わなくとも、カメラを向ければ、このご愛想です。

十三枚目のカットですが、駄菓子屋横丁の中ほど、漬物だったかを売っているお店の暖簾の手前で、ちょっと欧米の映画俳優っぽい渋い不良中年?ヲヤヂがあちこちに鋭い目線を放ちつつ、そこはかとない哀愁を発散していたので、一枚戴いたもの。

十四枚目のカットですが、陽も暮れかけた頃、茶しばいて、お江戸に戻ろうってことで、大正浪漫通りでは有名な、元祖メイド喫茶に入り、そこのいたいけな女給さんが神妙な表情で接客なんざしていたので、オモシロ顔を撮ってやろうと思い、一枚撮らしてよ、面白いカッコしてるんだもん、とか云って撮ったら、しっかりこういう表情で写ってました。
今回の感想ですが、う~ん、記念すべき今年初めの改造レンズであり、出来映えもかなりの自信作なのですが、これをまた不用意に発表しちゃうと、レンズ本体も、改造のキーパーツも一時的に払底したり値が上がって、仲間内で欲しい人間が入手出来なくなっちゃったりしますので、ご本尊の開帳は今暫しのお待ちを、ということです。
さて、来週は工房附設秘宝館から国産の面白げなのを一発いっておきましょうか、乞うご期待!!
テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真
- 2014/01/19(日) 20:49:22|
- 街撮り写真
-
| トラックバック:0
-
| コメント:7
さて、今宵のご紹介はまた定常更新に戻り、先週の予告通り、台湾中部の旧跡都市、鹿港後編をお送り致します。
現地着は15時も回ってのことでしたが、何せ、滞在期間中は台北周辺は四日間の滞在期間中、ずっと雨との予報で、実際、その通りとなってしまったのですが、北回帰線より南部のここ台中エリアでは薄曇で時折、太陽の輪郭すら垣間見られる程度の天気だったので、ここぞとばかりに気合い入れ、日没まで36枚撮りフィルム3本とX-Pro1でのデヂタルでも100カット強を撮ったのでした。
機材は、カメラは全て、Zeiss Ikon ZにKentmare100EX36、レンズは1枚目のみErmarit28mmf2.8、2~10枚目がAngenieux35mmf2.5改M、11~15枚目がProminar50mmf1.4改Mです。撮影条件は全て絞り優先AE、フジフロンテアCD経由のJPEGリサイズでのアップです。
では、異国鹿港での休日、後編を見て参りましょう。

まず一枚目のカットですが、老街の路地を八曲巷方向へ徘徊しながら、ふと見上げたら、それこそラストエンペラーか何かに出て来そうなレンガ積みの重厚な建築物の壁がそそり立っていたので、見上げる格好で一枚撮ってみたもの。
さすが銘玉の誉れも高い三代目Ermarit28mmf2.8、コントラストも十分高く、レンガ、鉄格子、それぞれの質感をモノクロでも余すところなく伝えてきています。

二枚目のカットですが、先に写真撮ったレンガ造りの古建築のすぐ近くの路地の様子です。
本当は横着せず、もっと奥で撮ればよりクラッシックな雰囲気が伝わったのでしょうが、この路地の突き当たり、といってもT字路なのですが、やはり古めかしい木戸がレンガ塀に嵌め込まれており、狭くて薄暗い石畳の路地に佇んだ時のタイムスリップ感覚を掻き立ててくれたのでした。

三枚目のカットですが、路地を通り抜けたら、おもむろに民草の生活の息吹溢るる商店街?みたいな通りに出たので、そこの乾物屋のような店付近にたむろしていた人々にネイハオ!とか声掛けて一枚撮らせて貰ったもの。
みんなこっち向いて、あさっての方向を指差して何か云っているように見えますが、指差おぢさんはこの後破顔しているので、たぶん、写真撮るなら、あっちにイイところが在るぞよ♪と教えてくれたのではないかと思います、確かに指差方向にこの後訪ねた鹿港随一の名所「掏乳巷」が在ったのですから。

四枚目のカットですが、更に商店街みたいなカンジの比較的大きな通りを歩いていたら、市場?みたいな広場に辿り着いたので、奥の古めかしい雰囲気の建物をバックに八百屋みたいな店先を一枚撮らせて貰ったもの。
これまでのカラーでのデヂタル、フィルム撮影ではシャープな写りを見せてくれたAngenieux35mmf2.5ですが、このようなクラッシックな街角では、まさにまどろむが如き描写で、レトロな雰囲気をよりいっそう濃厚にしてくれたのでは、と思いました。

五枚目のカットですが、市場のような広場から、来た時にバスで通った、メインストリート迄戻り、老街のランドマーク的な建物としてバス車中で目を付けていた中華風外装を纏った交差点付近のビルを通行人越しに撮ってみたもの。
どうしてなのでしょうね、初めて訪れた筈の異郷の街なのに、こういう中華風の建物が街の中心部に建っているのを見ると、そこはかとなく懐かしさを覚えてしまうのは。
きっと華僑が根付いた街は何処であろうと、彼らの共通の美意識で街造りをするので、駐在したことのあるバンコックでも、仕事で何十回も訪れた香港でも、そして日本の横浜でも神戸でも、長崎でも、彼らには普遍かのようなメインランドでの伝統的な街造りのエッセンスを無意識に目にしているからなのかも知れませんね。

六枚目のカットですが、また市場に戻り、辺りを徘徊しながら被写体を捜していたら、赤子を抱いた若いヲヤヂさんが体を上下左右に揺さぶりながら、現地の子守唄?みたいなのを口ずさみながら、とある商店の店先であやしている姿が目に入ったので、声を掛けて撮らして貰ったもの。
まだ物心つかないであろう乳幼児ながら、小生のカメラを真直ぐに見据える目線と表情は、やはり華人という民族はしっかりした人物が出るのだろうなぁ・・・とか妙に感心し、たぶん、何を云ったか判らなかったかも知れないでしょうが、ヲヤヂさんには、将来、この子、大物になるかもよ、と英語で述べ、お礼を云ってその場を後にしました。

七枚目のカットですが、市場から「八曲巷」捜しながら偶然見つけた、これまら時代物のレンガ造りの古建築です。
この頃には、冬の一番寒い時期でもあったので、全然気にはならなかったですが、亜熱帯に属するここ台中エリアで、冬は良いとして、夏場の気温や湿気が高い時期では、大陸の寒冷地仕様?の石造りやらレンガ造りの家屋では、エアコンも団扇を扇ぐ奴隷も居ない清代の台湾ではいったいどうやって過ごしていたのか、考えただけでも気が遠くなりそうでした。

八枚目のカットですが、先ほどのレンガ造古建築のほど近くに在るレンガ壁に囲まれた路地の佇まいです。
カラーでは、現代の遺物、例えばその象徴的なものは、20世紀になってから発明されたステンレスで出来た、雨水タンク、或いは緑やら赤のポリバケツ、プラホースなどですが、モノクロの良いところはそういう邪魔者を消してしまい、ただひたすら過去の暮らしのイメージだけを伝えてくれるフィルターの役割をしてくれるところだと思います。

九枚目のカットですが、また暫く歩いた辺りの裏通りの入り口付近にこれまた町並みとお揃いで誂えたかのような、クラシックなデザインのややくたびれたスクーターが壁にもたれかけて置いてあり、えもいわれぬ雰囲気を醸し出していたので、一枚戴いたもの。
石畳の路面とレンガ造の壁、そして古風なスクーターとくれば、「ローマの休日」を思い出してしまいますが、この直後、エクスキューズミーと言って後ろから来たのが、買物帰りのローカル高齢女性、あぁ、まさに「老婆の休日」実写版とはこのことでした。

十枚目のカットですが、くだんのお婆さんがスクーターで去った後も裏通りを徘徊していて見つけた、漆喰壁の路地の佇まいです。
ここは路面も石畳ではなく、漆喰ないしモルタルで舗装されており、良い案配で時間を纏ってますから、遥か後方の中層ビルが屹立する姿さえなければ、それこそ、「燃えよドラゴン」とか、「酔拳」などのカンフー映画で主人公と華風悪役商会のキャスト各位が大立ち回りなんかやったら画になるだろうなぁとか思ったものです。

十一枚目のカットですが、また迷路の如き裏通り探検をしていたら、市場広場に辿り着いてしまったので、ここで何組かに声掛けて、ローカル人物観察と決め込むこととし、まず手始めにと、如何にも人の良さそうなお婆ぁが、店番もそっちのけでお孫さんと楽しそうに遊んでいたので、思いっきり広東訛りの中国語で話し掛け、一枚撮らして貰ったもの。
ここから、フィルム撮影は初になるKowa Prominar50mmf1.4でのモノクロ撮影になりますが、デジタルでのカラー撮影でも、当時の国産最強の呼び名も高いRF用ハイスピードレンズは、モノクロでのシャープネスもコントラストも、階調再現性も、そして背後のボケもとても満足行くもので、これからはフィルムでもどんどん使ってやろうと思いました。

十二枚目のカットですが、お婆ぁと孫の近くで落花生を商っていたお爺にも声掛け、モデルさんになって貰いました。
ここでも、街並みには及ばないまでも、幾星霜を経たベテランの商人のしたたかな雰囲気が滲み出て、とても気に入ったカットになりました。
撮影後、「多謝」と一礼して立ち去ろうとしたら、ニコニコ笑って、殻剥いていた落花生を差し出して来たので、旅先の撮影なので、買い物は出来ない旨英語で話したら、「プレゼント」と言って、一掴みの落花生を戴いてしまいました。

十三枚目のカットですが、市場広場の奥まったところにある飲食屋台のエリアでの撮影です。
ここでは、麺類を啜るいたいけな極小姐を見守る手前のウインドブレーカーのヲッサンにピンを合わせましたが、距離がそこそこあったため、極小姐も、周りで暖かく声掛け励ますヲヤヂさんと思しき恰幅の良い大人まで被写界深度に入ったようです。

十四枚目のカットですが、今回の街巡りのハイライト、「掏乳巷」の入口から通りを見渡した図です。
さすが、50mmf1.4、浅めの被写界深度を活かし、1.5mほど先の窓のエッヂにピンを合わせて撮りましたが、前ボケも後方に伸びる狭い路地の様子もなだらかなボケで幻想的に描写出来たのではないかと思いました。

十五枚目のカットですが、その「掏乳巷」を写真撮りながら往復したのですが、その出口付近に着いて、反対側から路地の全景でも撮ろうかいな、とか思ったところ、すれ違った家族連れのやんちゃ坊主がよほど撮って貰いたかったらしく「ダァ~」とか絶叫しながら、まだ幼い妹と友にカメラを構える小生の方へ突進して来たのを反射的にシャッター切ったものです。
小生のところまで来た幼い兄妹は、息を切らしながら中国語で何か聞いて来ましたが、何を云っているのか全然判らず、「日本」(リーペン)と「拍照」(パイヂャオ)は聞き取れたので、遅れてやって来た親御さんに日本から来た、アマチュアカメラマンで初めて来た鹿港で面白い写真を撮らせて貰ったみたいだ、有難う、でもデヂタルぢゃないから、旨く撮れているかどうか、帰って現像しなきゃ判んないけどね、といった旨英語で説明し、向こうもグッドラックと云ってくれました。
今回の感想としては、やはり台湾は面白い、いつもの九份、淡水も勿論イイですが、たまにはこういう地方での偶然の出会いや突発的シャッターチャンスという僥倖に巡り合う旅ってのも素晴らしいと思った次第、次は台南でも行ってみっぺか。
さて次回は恒例、ノンライツRF友の会の愉快な面々との新春川越乱写ツアーからのレポートとなります。レンズ銘不詳、謎のモンスター広角レンズでのモノクロ撮影行をお送り致します、乞うご期待。
テーマ:旅の写真 - ジャンル:写真
- 2014/01/13(月) 17:04:29|
- 旅写真
-
| トラックバック:0
-
| コメント:4
さて、今宵は趣向をちょいと変えて、一部方面で熱烈?に盛り上がっている、電子レンジ機でのモノクロモードのテイストの違いを見ていきたいと思い、臨時更新しました。
機材は1~8枚目まではR-D1s+CLE Rokkor40mmf2、9~16枚目まではX-Pro1+Som Bertiot50mmf3.5、撮影条件は両方とも開放での絞り優先AEです。

一枚目のカットはお馴染み、深川の鎮護、富岡八幡宮裏の鉄橋、八幡橋の橋梁越しに古民家を撮影したもの。

二枚目のカットは初詣の行きがけの駄賃、或いはお賽銭の余禄とばかり、破魔矢だか縁起物を頒布していたアルバイト巫女小姐のお姿を列の後ろからちゃっかりこんと戴いたものです。

三枚目のカットは富岡八幡からお隣の深川不動尊に抜ける参道みたいなところで、鮎の塩焼きなんざ商っていた兄ちゃんが居たので、一枚撮らして貰うよ、ハィどうぞ♪てなノリで一枚戴いたものです。

四枚目のカットはあまりの混雑に初詣断念し、出直しとした帰り道、永代通りへ向かう参道沿いのあんず飴屋台で飴を購おうとして、どれがイイのか迷いつつ、兄ちゃんの口上に聞き入っていた極小姐のお姿を一枚戴いたものです。

五枚目のカットは浅草について、いつもの浅草線からの地上出口脇に控えている人力車が新春っぽいデコレをしていたので、一枚撮らしてね、宣伝しとくからさ♪ ハィどうぞ!てなノリで一枚戴いたものです。

六枚目のカットは浅草寺の初詣の行列に並んだのはイイですが、約40分近くも牛歩で本道賽銭箱に歩み、退屈したのか、前のヲヤヂさんの方の極小姐がしきりに拙者の方をちろちろ見るので、さすがに横の乳母車の母親が「何か済みませんね~」と苦笑しながら謝ってきたので、可愛いぢゃあーりませんか、お互い退屈しのぎに一枚撮らしてね♪ ハィどうぞ、というノリで一枚戴いたもの。

七枚目のカットは艱難辛苦の果て、やっと本堂内賽銭箱にドネーションを行い、せいせいしたキブンで待乳山聖天社に向かおうとした時、またしても、オモニの抱き抱えた極小姐というか乳幼児と目が合い、そこでオモニに英語で写真撮ってもイイよね?と聞き、ノープロブレム♪ということで一枚戴いたもの。

八枚目のカットはその日の夕暮、やっと深川まで戻って、深川不動尊へのお参りも済まし、さぁ、これでおうちに戻れるぞぉ!という清々した気分で参道を永代通りに向かって歩いていたら、小屋掛けの飲食店のギャルソンが妙に爽やかな笑顔で「オ・モ・テ・ナ・シ」の接客姿勢を見せてくれていたので、すかさず一枚戴いたもの。

九枚目のカットは翌日、新宿のねぎしで豚ロース炭焼定食で麦とろ飯を食べたくなったので、神楽坂でスナップしてから新宿向かおうとして、東西線の神楽坂駅から上がってすぐの古民家風建築事務所の佇まいを撮ってみたもの。

十枚目のカットは赤城神社の入り口から向かって左側のちょっとした坂を下った辺りにあるフレンチ料理屋の佇まいを人物入れて撮ろうと、意気揚々とカメラを構えていたら、まんまと今風の小姐が写り込むのを覚悟の上で画面を横切っちゃってくれたので、これ幸いに、と一枚戴いたもの。

十一枚目のカットは赤城神社の参道から神楽坂のメインストリートへ向かう途上にこれまた昭和初期くらいの雰囲気を漂わせたしもた屋が在るので、ここでも通行人入れて撮ろうと思った途端、今風のカップルが仲睦まじく通ってくれたので、羨望の気持ちも込めて?一枚戴いたもの。

十二枚目のカットはたぶん白銀公園とかいう名前の公園だったと思うのですが、そこにフランス語の響きも優しく、仲睦まじく語らい合うフランス人の父娘がいたので、英語で以て、写真撮らしてくんない?あなたがたのお国のレンズの写りをテストしてるんですぜ♪とかセールストークしたら、ウィズプレヂャとか云って快諾してくれたんで、一枚戴いたもの。

十三枚目のカットは公園から飯田橋方面に向かう途中の側道に不可思議な佇まいと屋号の茶店?が在るので、いつも通り、店先で一枚撮らして貰ったもの。

十四枚目のカットは飯田橋方面に向かうメインストリートには何軒か中規模の食品スーパーみたいなのが在って、たいていは散歩途中の飼い主が表に繋いだ犬猫の類いが居るので、「ラブちゃん、イイ子だね♪」とか頭をひと撫でしながら、背景の通行人の様子も見計らって一枚戴いたもの。

十五枚目のカットは開店準備中の和風居酒屋?の前をこれまた今風の小姐2人組が足早に颯爽と通り過ぎようとしていたので、咄嗟に一枚戴いたもの。

十六枚目のカットは神楽坂も飯田橋に近い辺りで、フランス文学少女風のお洒落な装いの小姐が開店間際の居酒屋の前をいそいそと歩き過ぎようとしていたので、これもダッシュで追い縋り、頃合いを見て一枚戴いたもの。
さぁ、今月の4日、5日と深川、浅草、そして神楽坂と舞台は変りますが、片やプリンタメーカー製、片やフィルムメーカー製のデジカメのモノクロモードでの競演は如何だったでしょうか。
個人的にはどちらも甲乙付けがたい雰囲気で、下手にモノクロフィルムを現像し、フロンテアでCD-Rに読ませたものであれば、イイ勝負になるのではないかとも思った次第です。
しかし、フィルムは今週末の鹿港編後編で、ここぞ!とばかりに銀塩の底力を見せてくれると思います、乞うご期待。
テーマ:モノクロ - ジャンル:写真
- 2014/01/08(水) 21:00:00|
- 街撮り写真
-
| トラックバック:0
-
| コメント:3
新年あけましておめでとうございます。
旧年にも増して、本年もご贔屓のほど、宜しくお願い申し上げます。
ということで、今年一発目のアップは昨年末の予告通り、台湾中部の旧跡、「鹿港」をモノクロフィルムでスナップ三昧した中から厳選30枚を今週、来週の二週に分けてお送り致します。
もう一回、行程をおさらいしますと、台北滞在三日目の12月22日、台北から午前11時半ちょうどの「のぞみ」相当の高速鉄道に乗り、12時19分には、最寄駅である「高鉄台中駅」に到着したのはしたのですが、何せ、二日目の朝以降の体調絶不調状態から少し回復した程度で、歯痛と胃痛、そしてヘタしたら下痢も再発しかねないリスクを抱えた遠出だったので、調子こいて現地の名物と称する摩訶不思議な食べ物なんか食べて、台北に戻れなくなったら大変なので、まずは腹ごしらえということで、駅構内のロイヤルホストでグラタン180NT$なんか戴いて、ご丁寧に別の席の195NT$の勘定書と間違えられてたのを、バスに乗ってから気付くという、普段では有り得ない状態で着いてから1時間半近く経ってからの2時過ぎ発のバスで鹿港に向かったのです。
で、バスは途中の大きな街、彰化を経由し、約1時間掛けて、鹿港の町の「老街」の停留所に着きました。
何せ、ガイドブックは台北周辺のことしか載っていないし、会社で事前に調べたプリントは宿に置いて来ちゃったし、まさに標識と勘働きのみを頼りとする、徘徊的スナップを午後の陽も傾きかけた3時過ぎから始めたのでした。
カメラはZeiss Ikon ZM、フィルムはKentmare100EX36、レンズは前編では全てLeitz Elmarit28mmf2.8 3rd. Gen.での絞り優先AE、開放撮影です。
では、当日の行動に沿って、実写結果前編を見て参りましょう。

まず一枚目のカットですが、老街のバス停で降りる直前、高い位置にある窓から辺りを見渡し、人通りの多そうな裏通りを見当付けておいて、降りるや否や、そこを目指し、入口付近で賑わう露天周辺を撮ったものです。
28mmなので、かなり寄ってのカットですが、アクセサリ選びに夢中な現地の小々姐は、撮られていることに全く気付いていませんし、傍らのオモニも無頓着で、嫁入り前の大切な娘がアヤシゲな異邦人にカメラを向けられているのも何処吹く風です。
まさにこんなオープンなところが、古い港町の気風なのではないかと思った次第です。

二枚目のカットですが、ふと迷い込んだ裏通りですが、そこそこ人通りもありますし、また露店やら、屋台やら、はたまた民家の軒先でガレージセール宜しく手工芸品なんか商っている人達で溢れていたので、この通りをそのまま進むこととし、そこでふと横に目を向け、如何にも古そうな雰囲気の路地が目に留まったので、一枚撮ってみたもの。
この後、「掏乳巷」という狭いことで有名?な路地を訪れますが、この何気なくカメラを向けた名も無き路地も、家屋の壁はきちんとペイントされ、ご丁寧なことに石畳の舗装までされていて、日本の都会にありふれた単なる家と家の隙間などではなく、ここも生活道路の一部なのだと、改めて認識した次第です。

三枚目のカットですが、裏通りの途中で交差した表通りがちょうど、道教の廟のような施設の門前市のようになっていて、大そうな人出で賑わっていたので、その様子を撮ってみたもの。
台湾は北回帰線を境に北部は亜熱帯、南に位置する、ここ鹿港は熱帯に属しますが、この広場を行き交う人々は一様に防寒着を身に纏い、みな寒さで何処となく浮かない表情で歩いているのが印象的でした。

四枚目のカットですが、表通りからまた奥の方に伸びる裏道へ戻り、何か面白いものは、と目で追いながら散策している際に見つけた、クラッシック飲料?の屋台です。
ただ屋台だけ撮っても面白くは無いので、地元民が通るのをじっと息を殺して待ち続け、朋友と談笑しながら歩いてくるローカルカップルご一行様のご到来に合わせてシャッターを切ったという次第です。

五枚目のカットですが、先に撮影させて貰ったクラッシック飲料のすぐ近くに店を出す、たぶん干し豆を煮たローカルフードみたいなものを商う屋台の前で、ギャルソンの手元をじっと凝視する極小姐とオモニの姿を一枚戴いたもの。
面白いことに小生が一枚撮り終わって、その場を立ち去ろうとしたら、周りの観光客と思しき人々が、思い思いに手にするスマホンでこの屋台の様子を撮り始めたのでした。

六枚目のカットですが、裏通りを進んでいたら西側に寺院を中心としたお祭り広場みたいな場所があり、そこの入り口辺りでわた飴なんざ味わう童子が居たので、目も合ったことだし、歩み寄ってみたら、向こうも「ヲっさんも味わいたいんかいな?」とか言いたげに、わた飴片手に近寄ってきたので、傍らのヲヤヂさんに声掛けて、OK! OK!ということで、一枚撮らして貰ったもの。
この童子、なかなか撮られ慣れしているというか、その胆力は相当なもので、見知らぬ異邦人がかなり至近距離でカメラを向けて、異国の言葉で「ほれ、こっちゃさ向いてけろ!」とか声掛けているのにも関わらず、全く動じず、わた飴越しに鋭い視線を投げて来ているのですから。

七枚目のカットですが、その素人のど自慢大会みたいな特設ステージさえ設置されたお祭り広場にて、長閑に遊ぶローカル小々姐越しに清時代のものと思しき古建築を撮ってみたもの。
この小々姐達も、先のわた飴同時のい負けず劣らず豪胆なもので、28mmレンズでかなりの接近戦で撮っているにも関わらず、何処吹く風で、シャボン玉遊びなんかしているのですから大したものです。

八枚目のカットですが、やはり同じ広場のはずれの乳母車の上でゴキゲン状態の双子ちゃんをあやすオモニに声掛けて、その様子を撮らせて貰ったもの。
日本ではお子さんの写真撮らせてとか声掛けると、時にはヒステリックに「何で撮るんですか!?」とか過剰反応する親御さんもまま居りますが、ここ台湾では「好、是!」ということで快諾して貰えることが殆どです。
しかし、万国共通なのは、お年頃の小姐に撮らせて、とか声掛けると「ハズぃからやだよ!」とか頻度の差こそあれ、断られることがままあることです(苦笑)

九枚目のカットですが、同じく広場のほとり、とある物販店の壁面にもたれ、華南固有の訛りか、げこげこ聞こえる中国語でスマホンにがなり立てていた小姐の通話の終わりを見計らい、一瞬、虚脱状態となった隙を突いて、写真撮らしてと声掛けてモデルさんになって貰ったもの。
さっきの電話での厳しい表情は何処へやら、日本から写真撮りに来たとか云いながら撮らせてもらえば、ほーら、こんな笑顔で画面に納まってくれました。

十枚目のカットはこの広場の南側に清の時代の倉庫をリニュアルしたと思しき、建造物が在ったので、冬空の高い雲も入れて一枚撮ってみたもの。
モノクロフィルムは、カラーに比べ、情報量という観点では圧倒的に不利ではありますが、どうでしょう、この100年以上の風雨を耐えた漆喰の壁の模様、テクスチャ・・・時間の長さを無言ながら雄弁に物語っているように思えました。

十一枚目のカットですが、広場を後にし、また元の「老街」のバス停方面へと別の裏通りを辿りながら、思いつくまま街並みを撮影していたら、一旦通り過ぎた家族連れのわんぱく坊主がダッシュで戻って来て、ヘンテコなポーズしながら、如何にも、撮ってけろ!と目配せするので、苦笑しながら一枚撮ったもの。
この後、飛び入りモデルの童子に手を振って、「謝々」とか声掛けたら、わんぱく坊主はよほど嬉しかったのか、両手を上げて振り回し、「ひゃっほ~ぃ」とか奇声を上げながら、ぴょんぴょん飛び跳ねながら、一家の元へと駆け戻って行ったのでした。
もしかして、日本人とはバレバレで、B級ゆるキャラ「ふなっしー」のモノマネでもてなそうとしたのかも知れません(苦笑)

十二枚目のカットですが、ホスピタリティに富んだ?童子の登場に度肝を抜かれながらも、裏通りを注意深く歩いていたら、如何にも古そうな木戸にこれまた古風な筆跡で詩歌みたいな対句が書かれていたので、周りの煉瓦造りの塀ないし壁と一緒に撮ってみたもの。
こういった古い時代の痕跡がそこかしこに点在するのが、まさにここ鹿港の真骨頂であり、同じく台北からの日帰り観光地として並び称される九份ですら、観光地化が進み、まず一日徘徊しても、見つけることは困難で、もっと山奥で俗化していない金瓜石の地元民の暮らす集落の裏通りくらいにしか残っていないのではないかと思いました。

十三枚目のカットですが、この木戸の詩歌?の数十メーター先にも古めかしい煉瓦積みの塀というか壁面が裏通りに面して残っており、ここもえもいわれぬ佳き風情が漂っていたので、一枚戴いたもの。
マカオでもそうでしたが、異国の路地裏のこんな100年以上も経っているような煉瓦積みの壁面の傍らに佇んでいると、ヨーロッパの石造りの街並みの裏通りともまた異なる不思議な郷愁に囚われるのですが、これがまた時折、ふと海外へ出かけたくなる衝動の根源のひとつなのかも知れません。

十四枚目のカットですが、煉瓦造りの壁面の前で暫し、感傷に浸っている小生の前を華南訛りのげこげこ中国語で盛大に語らい合いながら通り過ぎて行く一団が居たので、無人の裏通りばかり撮るのも芸が無いので、即席後姿モデルとなって貰ったもの。
後で見返してみれば、遠景のビルの姿、画面中央奥のビル屋上のアンテナ、そして手前建物壁面の室外機が無ければ、清の時代にタイムスリップした現代人、みたいなモチーフとなり、もっと面白かったのではと思うことしきり。

十五枚目のカットですが、周囲に注意を払いながら裏通りを歩いていたら、交差する路地で、買い物帰りと思しきローカル夫婦者二名が、買い物袋を渡しがてら、何かしら話し込んでいて、その影が淡く路地に伸びていたのがイイ感じだったので一枚戴いたもの。
この時点ではまだ一時間も経っていなかったのですが、思ったことは、日本ではまだ木造建築が主体のため、延焼予防ということで、古い木造密集地帯は防災の錦の御旗のもと、次々取り壊され、区画整理で一見、広々、整然とした町並みに産まれ変っていますが、ここ鹿港では大陸型の寒冷、少雨、低湿度を前提とした北京辺りの建築様式をそのまま持ち込んだらしく、石造ないし煉瓦造が主体なので、少なくとも延焼の危険性は極めて低いため、今に至るまで歴史的建造物は、生活道路としての狭い路地共々生き延びたということなのでしょう。
さて、次回更新は鹿港後編ということで、同じくZeiss Ikon ZMにKentmare100EX36を詰め、Angenieux35mmf2.5改M、そしてフィルム初体験のKowa Prominar50mmf1.4改Mでの撮影結果をお送り致します。乞うご期待。
テーマ:旅の写真 - ジャンル:写真
- 2014/01/05(日) 19:56:32|
- 旅写真
-
| トラックバック:0
-
| コメント:2