
さて、今宵のご紹介は、旅写真が入ったりで延びてしまいましたが、先に工房導入初の富士フのAE/AF純正レンズSuper EBC XF Fujinon23mmf1.4Rと伴走して改善結果をテストした、Fukagawa Extra AnastigmatIIIの改良版IIIaの実写結果をお送り致します。
このレンズ、今を去ること2013年の11月に産声を上げ、ほぼ同時にレストアから上がったPetri55mmf1.8と浅草で並行テストを行ったのですが、さすがメーカー純正レンズに、画質の均質性という、当工房では一番大事な評点でボロ負けで、暫くお蔵入りになっていました。
ところが、何かの弾みで当時の実写結果を見てみると、色収差と画質の均質性から見れば、箸にも棒にも掛からないダメダメガラクタレンズだったのですが、ただ、中央部の解像度が素晴らしく高かったので、何とかしようと考え、そして、一番最後の緩めの凸レンズを別のものに交換してクリアランスなども変更し、何とか、マイルドな描写特性に治せたのかな・・・というところです。
したがって、構成はオリジナルの設計、製造時と同じ4群7枚の、絞りから前がゾナータイプ、絞りより後ろがオーピックタイプという変則光学系のままです。
ではさっそく実写結果、見て参りましょう。カメラはX-E1、全コマ開放による絞り優先AE撮影です。

まず一枚目のカットですが、いつも展示作品よりも目を奪われてしまう、乃木坂は新国立美術館の内部の構造を逆光でシルエット気味に撮ってみたもの。
こういう構図だと、周辺の崩れは目立たないのであまりテストにはならないですね。

二枚目のカットですが、富士フの本社ギャルリとXシリーズのショールームの在る、ミッドタウン前のちょっとした広場の孔の開いた大きなオブヂェ越しに通行人各位が孔の真ん中に来た頃を見計らって撮ってみたもの。
前の仕様ではこういうハイライト部の周辺には、色滲みが出て、ちょいと幻滅しましたが、この仕様に変えて、だいぶ緩和されたようです。
ただ、周辺は外方向へ相当流れるような結像の崩れが認められます。

三枚目のカットですが、場所を日比谷公園に移してに試写ですが、真っ先に目に付いた、愛くるしい武人埴輪氏にモデルになって貰いましたが、ここでも、周辺が流れに流れてはいますが、破廉恥な色滲みなどはだいぶ改善が認められます。

四枚目のカットですが、最短撮影距離付近で公園内の馬酔木みたいな花を撮ってみたのですが、ちょいピンが甘いこともあり、結像自体が緩いですが、それでも、背景の点光源のボケ方の面白さは良く判るサンプルになったのではないかと思います。

五枚目のカットですが、これも同じく公園内のスズランみたいな花を公園内の松本楼と苔むした古木を背景に撮ってみたものですが、風があって被写体ぶれが起こってはいますが、それでもヘンなフレアとかゴーストもなく、それなりに雰囲気の有る描写にはなっていると思います。

六枚目のカットですが、広場を抜け、木立の中の小径を歩いていたら、突如視界が開け、池と、その中央の鶴舞う形の噴水が見えたので、これも格好のテストパターンと思い、木陰から一枚撮ってみたもの。
さすがに木漏れ日は盛大なフレアとなって、シルエットとなるべき木の葉を食ってますが、この構図であれば、周辺の流れはそれほど気にならないと思いました。

七枚目のカットですが、池の周りを通り、野外公会堂でのイベントを横目に見ながら再び、広場迄で出たら、公園名物のベンチに様々な人々が腰掛け思い思いの時を過ごしていたのですが、就活が思うように捗らないのでしょうか、ポニーテールの白皙の若いアガシが放心状態でベンチに座っていたので、心の中で応援しながら、背景から一枚戴いたもの。
ピンを合わせた耳の周りはクリアで素晴らしい解像力を発揮してくれていますが、ほぼ同一焦点面に近いベンチの下半分はぐずぐずに崩れてしまっています。

八枚目のカットですが、日比谷公園から帝国ホテル前を通り、日比谷シャンテ前まで歩いて来たら、いつものゴジラ像が珍しく観光客に取り囲まれていなかったので、XFフジノンでキチンとしたカットを撮って、こちらでは、画面の流れを逆手に撮って、怪獣映画風に演出しようと考え、遠方のクレーン先端にピンを合わせ、アンダー目の露光でゴジラをシルエット風に撮ってみたもの。
こういう使い方だと前ボケがとても柔らかく均質で、面白い使い方が出来るのではと思いました。

九枚目のカットですが、日比谷から有楽町に抜け、ここも銀座界隈ではプロ、アマとも有名な撮影スポットとなっている、ガード下のレトロ居酒屋ホールの中を狙い、真ん中のスキンヘッドの怖そうなヲヂさまに心の中で手を合わせて、EVFの中でピンも合わせて一枚戴いたもの。
ホントは低めのコントラストのモノクロでの表示が良かったかも知れませんが、こういうシーンというか構図だと周辺崩れても、前ボケがマイルドで同一焦点面の被写体が中央付近に寄っているので、演出的にはアリかなと思いました。

十枚目のカットですが、さすがに有楽町駅前も電気ビル前までくれば、フランチァイズも同様ですから、観光客にも余裕で声掛けられますから、さっそく、電気ビル前の花壇に腰掛けて観光地図なんか読んでいた外国人一家の、なかなか洒脱なカンジのヲヤヂさんにハンドメイドのレンズのチューニングのテストにお子さんを一枚撮らしておくんなさいと声掛けたら、ノープロブレム!ということで、一枚撮らして貰ったもの。
真ん中の極小姐の目にピンを合わせて撮りましたが、ほぼ同一焦点面に居た、兄ちゃんの顔がやや流れ気味なのが残念でした。
発色はだいぶ良くなっていると思います。

十一枚目のカットですが、これが今回の最大の謎なのですが、信号待ちの白いサマーレ-スの清楚な小姐の後ろ姿を狙って撮ったのですが、その甲斐あって、頭からベルトくらいまでは満足行く解像力を発揮してくれていますが、そこから下はお約束通りのぐずぐず、しかし、遥か彼方のビックカメラ前の交差点で待つ人々はかろうじて顔の造作が見分けられるくらいに解像されているのです。
もしかして、ピンが合う位置が複数あるのかな、とか不思議な感覚を覚えたカットでした。

十二枚目のカットですが丸の内仲通りを大手町方面に歩いていたら、オフィスビルの1階部分で営業しているカフェレストで、随分とシュールで洒脱なオブヂェをテーブル上にデスプレイしていたので、傍らのギャルソン氏に声掛けて一枚撮らして貰ったもの。
このカットでは、滲みも周辺の流れも全くと云って良いほど気にならず、ふつうに使えるレンズぢゃね?とか思ってしまいそうです。
今回の感想ですが、まだまだ改善の余地有り、構成的にはIV号の前後別の用途のレンズのエレメントを組み合わせたオーピック形式が一番性能良く出来たのは検証済みなのですが、ただ、こういう面白い形式は改良の楽しみがあるので、ヒマ見つけては直して、経過報告していきたいと思いました。
さて次回のご紹介は、先般、四万温泉のお供に行った、あの子はもう16年近く付き合ってるのに、まだ1回もここで紹介してなかったぁ・・・ということで、近場でフルサイズ機で以てロケしてご紹介します、乞うご期待!!
- 2015/06/28(日) 19:58:57|
- その他Lマウント改造レンズ
-
| トラックバック:0
-
| コメント:2
さて、今宵のご紹介は、またしても予告を反故にし、勝手に企画を換え、木曜晩に発作的に山のいで湯に行きたくなって、カメラ一台と高性能MFズーム一本、大口径単玉広角一本に限定したストイックな装備で週末出かけた四万温泉ツアー(と云ってもいつも通りの独り旅ではありますが・・・)からお送りすることと致します。
ここ四万温泉は、高校まで暮らしていた群馬県にありながら、何故か、東毛と呼ばれる太田、館林地区とは没交渉に近く、前橋以北の渋川、沼田の経済圏にかろうじて属し、そして気候的には三国峠を隔てた新潟県の南魚沼に近いということで、沢渡温泉に来た時に車で街並みを眺めたくらいしか記憶がなく、嬉恥ずかしのお泊り旅行は実は今回が初めてだったのです。
今回は東京駅から9時発直行バスで12時15分過ぎに四万温泉の終点に到着し、宿に一旦荷物を預かって貰い、カメラバッグのみ持って、チェックイン時間までズームで撮りながら時間潰し、昼飯食べてから宿に入り、温泉浸かって、本読んで、ひと寝入りしてメシ食べに出る時にまた明るい玉に換装したカメラを持って行ったという第一日め、そして翌日は10時のチェックアウト時に宿出る時から、またバスに乗る直前までズームで撮るという行動でした。惜しむらくは行程のかなりの時間が降雨に見舞われたということ。
機材はX-E1にLeica Vario-Elmar28-75mmf3.5-4.5(1~8枚目、12~15枚目)、もう一本はVoiktlaenderのC-Nokton35mmf1.4C(9~11枚目)です。
では、早速、行程に沿って、実写結果を見て参りましょう。

まず一枚目のカットですが、宿から四万グランドホテルというか、その裏に在るという旨い蕎麦屋を目指す途中、街道と並行して流れる四万川に掛かる古風な鉄橋をいたいけな若いカポーが「増水したら水しぶきとか掛かって迫力あるよなぁ・・・」とか暢気なセリフ吐きながら脳天気に渡っていったので、その浮き浮きした後ろ姿を一枚戴いたもの。

二枚目のカットですが、四万グランドホテル裏に在るという石臼挽きの旨い蕎麦屋はすぐに見つかって、さぁ、長いバス旅の後、写真なんかも撮ってて、腹さ空いたべ♪ということで、いざお店に入ろうとした刹那、なかなか風情の有る通りであることに気付き、そこへちょうど、鼻歌なぞ歌ったいたいけな若いカポーなんかお手々繋いでやってきたので、画面に収まって貰い、一枚撮ってみたもの。

三枚目のカットですが、美味しい舞茸天せいろなんざ戴いてから、まだチェッキンまで時間有ったので、温泉街の上の方へ上ってみることにしたのですが、歩き出して赤い橋の手前の古い木造店舗兼住宅の前に差し掛かった時、別に狭い歩道を蛇行歩行してるぢゃなし、ベルなんざ鳴らされる謂れはないのに追い抜かしざまに盛大に鳴らす手合いが居たので振り返れば、いたいけなでお転婆そうな極小姐、通り過ぎざまに木造建造物の前で一枚撮ったもの。

四枚目のカットですが、先のいたいけなお転婆極小姐が若い観光客のカポーとなにやら親しげに交歓していて、その相方の坊主頭の童子が手持ち無沙汰気味だったので、「おぃ、坊主、写真撮るから、愛車ですっ飛ばして来いよ!!」と笑顔で声掛けたら、観光地の童子には珍しくシャイで跨ったまま、なかなか下って来ないので、「お姐ちゃんの方が飛ばしっぷりかっけぇぞ゙!!」と挑発したら、エ”~そんなことないよぉ~とか云いながら渋々下ってきたところを、ホレ来た、と一枚戴いたもの。

五枚目のカットですが、宿泊する新湯地区とその上のゆずりは地区との間は民家も商店もない林間の道路が続きますが、その冬場の凍結対策の滑り止め砂を入れた箱がイイ案配に錆びて朽ちかけ、そしてその横にマーガレットみたいな可憐な花が咲いていたので、とてもシュールなシーンと思い一枚撮ってみたもの。

六枚目のカットですが、途中で雨がぱらつき出してきたので、傘も持っていなかったことから、一旦撤退することとし、また元来た道を引き返していたら、ランチを戴いた蕎麦屋のある繁華街?の通りを上品そうなおばぁが利発そうな孫娘の極小姐と手を繋いで歩いているのが目に留まったため、追い縋りざまに後ろ姿を一枚戴いたもの。

七枚目のカットですが、写真、しかも路地裏撮りやってると、どうしても商店と商店の隙間とか異様な神経で以て被写体を探してしまう習性が抜けないのですが、先ほどランチを戴いた蕎麦屋の横の路地に陽に焼けて殆ど赤色の抜け切ったような番傘が広げて傾けられているのが視界に入り、ついつい撮ってしまったもの。

八枚目のカットですが、宿に戻る途中、街道の下を並行して流れる四万川の河川敷にも駐車場やミニ公園みたいなのがあるのが見えていたので、そこを歩いて宿を目指したのですが、一転俄かに掻き曇った雨雲で空が暗くなって、遠雷聞こえるなか、妙に真新しい子供の遊具が山並みを背景に妙に存在感を発揮していたので、セミシルエット的に一枚撮ってみたもの。

九枚目のカットですが、宿で一休みしてから、晩飯を食べに出る時間となって、雨も小康状態になったようなので、再びグランドホテル裏の繁華街?を目指して歩いている際、昼間も通った積善館に明かりが灯り、赤い渡橋の上に浴衣姿の若い女性客が傘さして立ち話しなんかしていたので、これ幸いと借景で一枚戴いたもの。

十枚目のカットですが、昼間通り掛かった際は、ずいぶん古風で地味な鉄の歩道橋だなぁと思ったその橋が仄かにライトアップされて、妙に雰囲気ある佇まいをしていたので、雨に濡れた橋表面の反射も相俟って、大口径単玉の威力発揮とばかり、乙な夜景を一枚戴いたもの。

十一枚目のカットですが、ホントは雨で増水した川にかかる濡れた鉄の橋なんか渡るもんではない、と頭の中ではアラーム出ていたのですが、どうしても対岸の幻想的な電球の森を一目で良いから見たくなって、ついつい、轟音を上げて流れる剥き出しに近い鉄橋を足早に渡り、幻想的な電灯の森に一箇所だけ赤いつつじの一種と思しき高山植物が雨に濡れ妖しく光っていたのを撮って、そうそうに尻尾を巻いて撤退したもの。

十二枚目のカットですが、翌朝は8時半に起床し、温泉地お約束の朝風呂なんか一発決めてから、テレビなどうだうだ見て時間調整し、宿を出たのですが、まずは腹ごしらえとばかり、グランドホテルのハローキティカフェで何か食べようと歩いて向う途中に、街でもう一軒のおっされぇ~なカフェが在るのですが、そこの店頭のデスプレーがなかなか決まっていたので一枚戴いたもの。

十三枚目のカットですが、ハローキティカフェで腹ごしらえのあと、いよいよ東京へ戻る前に四万ダムの水面を見ておきたかったので、またしても積善館の前を通りがかったら、居ました、居ました、伊豆高原とか箱根まんまのリゾートキブンを持込んで実演している、いかにも東京近郊から都心のオフィス通って、都会のOL演じてますよ、って風情の小姐二人組が、また別のリゾートキブンの小姐に撮ってくまさい!とか頼んでたので、それを横から一枚戴いたもの。

十四枚目のカットですが、考えてみれば、遠巻きに建物を見たり、写真撮ったりするだけで、近くには寄っていないのに気付き、蛮勇を奮い起こし、赤い渡橋を渡って、敷地に入ってみれば、外から眺めているのとはまた違うアングル、構図でのカットが閃き、雨に濡れたつつじのような高山植物の花をモチーフとして、積善館の古めかしい別館の佇まいをぼかして撮ってみたもの。

十五枚目のカットですが、新湯温泉街外れの赤い渡橋手前で、なりはゴツイですが、いかにも優しそうな目をした若いヲヤヂさんが、産まれたばかりの赤子をおばぁと一緒にあやしていたので、卒爾ながらと声を掛け、ブログ用ということで、写真撮影に協力おをお願いし、二人掛りで笑わん殿下の赤子を微笑ませてくれた、希少カット。
今回の感想ですが、やはり、鄙びた温泉への一人旅には、こういうミニマム装備もたまには良いと思いました。何せ、カメラ二台を提げて、レンズもカバンに売るほど抱えてる状態だと、やはり、機材の選択・・・という迷いが入り込みますから(苦笑)
さて、次回は今回延期になった工房作品の手直し版の成果行こうと思います、たぶん・・・乞うご期待!!
- 2015/06/21(日) 23:16:00|
- 旅写真
-
| トラックバック:0
-
| コメント:2

さて、今宵のご紹介は趣向を変えて、工房というより主人の裏家業、会社の広報活動での写真撮影用機材として、久々に新規導入した現代のAE/AFレンズです。
工房では、おもにMマウントアダプタを用いて、自家製改造レンズやライツ等の古典レンズ撮影用にX-Pro1を導入し、今やM8からメイン機材の地位を禅譲され、国内外での撮影ツアーには必ず欠かせない相棒になっていますが、実は買ってから2年以上も愛用していたのに純正のAE/AFレンズは一本も保有していなかったのです。
何とならば、仕事のプレス撮影用はニコンのAE/AFがD2Hs用に18mmから300mmまで揃っていますし、EOS1系列でもシグマで28mmから300mmまで同様に揃えていたので、趣味用としては、AE/AFレンズ自体に魅力も、必要性も感じなかったからです。
しかし、今回は、久々のD2Hsによる新聞記事用写真が悪条件の撮影会場とは言え、あまり得心のいくものではなかったため、そのリカバリーショットたる、詳細インタビュー立会いでのポートレ撮影用として、一番使い慣れた機材で万全を期すため、取材前日に購入したものなのです。
発売は2013年10月、構成は 8群11枚でそのうち一枚、絞り直後の凸レンズが非球面となっており、メーカーのアナウンスによれば、APS-C機でもフルサイズ同等以上のボケを楽しんで欲しいので、開放からフル性能を発揮出来るような設計になっている、とのことです。
要は、一般的にf5.6付近で最高性能を発揮する一眼レフ用のレンズとは異なり、ライツやツァイスのレンジファインダ用レンズと同じように開放から性能を発揮するという思想で造られているということなので、開放しか撮りたくない、工房主はその思想性に嬉しくなってしまいました。
では、さっそく、その現代の設計技術の恩恵を100%享受したスーパーレンズの描写性能を先週土曜日の行動に沿ってみて参りましょう。カメラはX-Pro1、全コマ開放でのAE/AF撮影です。

まず一枚目のカットですが、当日の一番最初の訪問地は乃木坂に在る「新国立美術館」で、その開放的なガラスと鉄骨を用いた前衛建築をこの現代の銘玉が果たしてどのように捉えるのか、逆光気味の悪条件もものかわ、数カット撮ってみたうちのベストショット。

二枚目のカットですが、「新国立美術館」は特にお目当ての展示もやっていなかったので内部と外観の撮影のみ利用させて戴き、乃木坂の本当の目的地「かおたんらーめん えんとつ屋」へ向うことにしていたのですが、その道すがら、ガラス細工の趣きそのままの、美術館の佇まいを木立越しに捉えてみたもの。

三枚目のカットですが、青山墓地東側の道を下り、墓地下の目指すラーメン店で10年ぶりに懐かしい澄んだスープの妙味を堪能し、一休みして元気が出たところで、次なる目的地、ミッドタウンの富士ギャラリーへ森ビル前経由向う途中、六本木通り沿いで見つけたヴァーヂンアトランティック関係と思われるおっさーれ~なカフェの真っ赤な看板を広角のパースを少し効かせて撮ってみたもの。

四枚目のカットですが、ヴァーヂンカフェを過ぎて、六本木通りを少し歩いていくと、またしても、とあるカフェの店頭の路上に低く身構え佇んでいる金属の獣の姿を認め、嬉しくなって、一枚戴いたもの。

五枚目のカットですが、ぐるっと、乃木坂、六本木エリアを歩いて、次なる目的地、富士フィルムスクエアに訪問し、X-Pro1の生みの親の方と心行くまで歓談を楽しませて戴き、乃木坂駅に戻る前にミッドタウン前の植栽をローアングルから撮ってみた一枚。

六枚目のカットですが、乃木坂から千代田線に乗って、次なる目的地、日比谷~有楽町~丸の内エリアを目指し、まず一番最初に訪問した日比谷公園際に建つ古いオフィスビル前に人待ち顔で所在無さげに佇むアイビールックを決めた白人男性を遠く植栽越しに捉えてみたもの。

七枚目のカットですが、今にも空が泣き出しそうな午後遅くの日比谷公園でしたが、それでも、名物のベンチには、様々な人々が、時間潰し、待ち合わせ、休憩、予定・メール確認等々と思い思いの目的で腰を下ろしていたので、その様子を会社訪問の合間に読書に勤しむいたいけな就活生のアガシにピンを合わせて捉えてみたもの。

八枚目のカットですが、日比谷から有楽町に面したエリアには宝塚関係の施設が多いので、ずいぶんと洒落た店舗も多いのですが、その中でも日比谷シャンテ前の曲面ガラス張りのスタバはなかなかフォトヂェニックなお店でローアングルから撮ろうとしていたら、男勝り、という言葉がしっくりきそうな就活生の小姐がカメラを構えた小生もものかわ、ずんずんとお店の会談を上っていったので、これ幸いと一枚戴いたもの。

九枚目のカットですが、日比谷シャンテまで来たら、必ず撮らねばならないものが幾つかありますが、やはりその筆頭はゴジラのミニチュアの像でしょう、ということで、休日の午後にも関わらず、先客が全くおらず周囲が閑散とした状態でのゴジラ像を撮ってみたもの。

十枚目のカットですが、日比谷での撮影は雨も降りそうになってきたので程々にし、有楽町経由、丸の内方面に向うべく、JRガード下随一の撮影スポット、有楽町のトンネル状居酒屋の前を通り過ぎようとする若い夫婦者の後をつけ、間合いを図ってノーファインダでレリーズ切った渾身の一枚。

十一枚目のカットですが、丸の内三大観光スポットと呼ばれるうちのひとつ「ブリックスクエア」こと三菱一号館レプリカの中庭で、雨もパラついてきたため、人も少ないなか、あじさいのみが生気を取り戻したかのようであったので、同じく、小雨に濡れ、色合いを深めた一号館のレンガの壁を背景に一枚撮ってみたもの。

十二枚目のカットですが、シーズン真っ盛りで、しかも雨を受け、絢爛豪華に咲き誇る紫陽花の反対側で、盛りも過ぎ、ひっそりと散り時を待つかの如き、一輪白バラの姿も、もののあはれを十分に誘ったので、これまた一号館のレンガ造りの威容を背景に惜別の念を込め、一枚撮ってみたもの。

十三枚目のカットですが、よくお昼時に顔本のオマケ用にスマホンで撮っている、ビルの谷間の欧州風看板の様子をこれまた、広角レンズのパースをかなり効かせて仰角で空を入れたほぼ逆光状態で撮ってみたもの。

十四枚目のカットですが、看板を撮り終え、さてと周囲を見回したら、小雨がパラついてきたにも関わらず、旅行費用を一円でも元取ろうというのか、ゲコゲコと聞こえる南の方の中国語を大声で話す小姐二名が相合傘で愉しげに一号館中庭から大名小路を大手町方面にそぞろ歩きしていったので、そっと後をつけ、ノーファインダで撮った渾身の一枚。

十五枚目のカットですが、大陸からのゲコゲコ小姐達の愉しげな姿を見送ったあと、ふとマイプラザ前を見たら、かっけぇBMWが鎮座ましましているぢゃあーりませんか、これ幸いと、全体がバランスよく入る位置まで摺り足で移動し、雲が行き過ぎ、空が一瞬明るさを増したかの瞬間に撮ったもの。
今回の感想ですが、これ、マヂヤヴァィです・・・シネレンズだ、産業用レンズだ、とかご大層な能書きの高い古レンズや、現代のものでも、エルンストライツやら、カールツァイス銘が付いていなくとも、開放からAE/AFでこれだけのカットが撮れてしまう・・・普段の何気ない生活ゾーンでこれですから、ハノイや台北、香港、マカオに持ち出せばまず撮れないものはなく、得心の行くカットの歩留まりも飛躍的に増えることでしょう・・・でもそうしないのは、やはり曰く因縁有る故レンズで、しかも自分で拵えたもので、失敗はあっても、得心の行くカットが撮れた時の満足感、そんな結果たる写真そのもの以外のファクタもこれまた撮る楽しみだからなのかも知れません。
さて、次回は小改良によりだいぶ性能改善した工房オリヂナルレンズの描写をご紹介致します、乞うご期待。
- 2015/06/14(日) 22:44:20|
- 深川秘宝館
-
| トラックバック:0
-
| コメント:4

さて、今宵のご紹介は久々の工房作品、というか、これまで出先写真ではたびたび活躍はしていたのですが、お披露目は済んでいたものと勝手に了解し、今日の今日まで何かとこき使っていたというのが実情で、未登場機材を整理していたら、あらまぁ、まだ出ていなかったの!?てなカンジで急遽、ハノイでの撮影結果をもとにその描写性能をあますところなく見ていこう、ということになったものです。
まずはこのレンズの氏素性ですが、鏡胴外側は一見しょぼいプラ製ですが、中のメカは全てアルミ合金削り出しの黒染めで、意外と持ち重みのする頼もしいレンズです。
このタイプの発売は1990年代半ば、構成は4群6枚ながら、両外側二枚が張り合わせで絞りを挟んだ両側に弱いパワーの凸玉を置いた超変形オーピックタイプとでも云える不可思議な形です。
元々の用途はフィルムの引伸し、焼付用の投影レンズですが、先に改造した競合者のローデンシュトックApo-Rodagpn50mmf2.8が撮影用として最近接から無限まで全く破綻なく使用出来たことから、まだ安かった頃に電子湾で釣り上げ、工房でMマウントの距離計連動改造を施したものです。
では、さっそくその実写結果で実力のほどを改めて確かめて参りましょう。カメラはX-E1の絞り優先AEモードでの全コマ開放、ロケ地は先のGWでの訪問地のハノイ市内です。

まず一枚目のカットですが、到着早々、教会裏の路地奥にある宿からホアンキエム湖に向う途中の商店街?での商売の様子を背景として、国民の祝日を祝し、町中狭しと掲げられたベトナム国旗のテクスチャを写し取ってみたもの。

二枚目のカットですが、湖への通り道ではきちんと店を構えた商店のほかに、色々な行商がやって来て、思い思いの商品を商っていますが、その中で、地元民、観光客双方にそこそこ人気ある、菅笠売りの行商のアヂュモニが商品満載の自転車を置いたまま店先のお婆ぁと話し込んでたので、ちょいと失礼と、東南アジアではありきたりのパゴダみたいに詰まれた菅笠の様子を一枚撮ってみたもの。

三枚目のカットですが、湖への道を歩いていたら、前方にオーセンティックな野菜売りの行商のオモニが悠然と自転車を推しながら流していたので、歩道側から早歩きで並走し、暫くして、背景が開けた辺りで抜き撃ちの一閃とばかりに必殺の一枚を戴いたもの。

四枚目のカットですが、湖の周回路から北側の旧市街の職人通りへ向う途中、大きな道を横切ろうとして左右を窺っていたら、彼方から、結構な美人のアガシが見たこともないようなスクーターで風を切って、颯爽とこちらに向ってくるのが見えたので、即座に構え、そのエレガントなお姿を一枚戴いたもの。

五枚目のカットですが、ランチ前の撮影を終え、再び、宿の周辺まで戻って来て、馴染になったベトナム料理、洋食兼業のカフェバーみたいなお店でランチを戴き、シャワー浴びて休もうとホテルへの路地に繋がる裏通りの入口付近が地元のいたいけな若者各位で賑わっていたので、その様子を一枚撮ってみたもの。

六枚目のカットですが、ホテルで一休みしたあと、宿の周辺をほっつき歩いていたら、フランス統治時代の雰囲気を色濃く残す建物の前庭の花壇に山吹色の熱帯の小さな花が無数に咲いていて、殆ど夢の国状態だったので、メルヘンチックな雰囲気を少しでも表現すべく、そのお花越しに雰囲気有る建物をボカして撮ってみたもの。

七枚目のカットですが、お花畑のあるコロニアル様式?の建物を後にして、更に南の方角を目指していたら、ちょうど、LCCのヴェトヂェットの本社と思しき建物の辺りに来ていて、おそらく、空港から市内を結ぶ、乗客サービスの一環としてのシャトルバスが停まっていて、その前を二人乗りのバイクが猛スピードで通り過ぎて行ったのを丁度画面に収められたもの。

八枚目のカットですが、宿のかなり南方面の道路を徘徊していたら、市内では珍しくもない、鳥籠の鳥ですが、これが珍しく澄んだ声で元気に鳴いていたので、暫し見とれていたというか、聞き惚れていたら、親父が出て来て、そんなに気に入ったなら、連れて帰ってもイイんだぞ、国は何処から来た?とか満面の笑顔で声掛けて来たので、日本から来たので、残念ながら、連れて帰れない、羽田で没、焼鳥にされてしまう、とか半ば冗談で返したら、それは残念だ、写真撮るだけならタダだから、記念に一枚撮っておけ、ということで、遠慮なく一枚戴いたもの。

九枚目のカットですが、危うく籠の鳥を売りつけられそうになった窮地を脱し、更に南部エリアの徘徊を続けていたら、幼稚園みたいな施設の門扉横辺りにステキな、極彩色にペイントした石ころでデコレーションしたこれまたハデな色遣いの壁の一部に、渋めの古い自転車が頑丈な南京錠みたいなものと鎖で結わえられていたので、そのキッチュな対比が面白くて一枚戴いたもの。

十枚目のカットですが、午後も15時過ぎになって、そろそろ暑いしくたびれてきたので、また宿でシャワー浴びて、日没まで一休みしませう、ということで大聖堂の前まで戻って来た時、前回の訪問時も含め、いつも何も思わず前を通り過ぎていたカフェの窓枠とガラスに映り込む景色がとてもエキゾチックなことに気付き、この時間の陽加減の記録にも、と一枚撮ってみたもの。

十一枚目のカットですが、宿でシャワー浴び、また一休みしてから、日没前の少し涼しくなってきた時間に、ホアンキエム湖の周回路まで出て来て、殆ど、定点観測スポットというか、レンズの海外撮影テスト場と化している湖畔に立つ、ヴェトナム/中華レストランの表の佇まいを一枚戴いてみたもの。

十二枚目のカットですが、湖畔のヴェトナム/中華レストランを十数メートル北に遡った辺りに設置されている、何らかのイベント関連のスローガンをかたどった光沢あるプラスチックの文字看板系オブヂェとその傍らを無関心かつ足早に通り過ぎていく、いたいけな若い西欧からの観光客各位の姿を撮ってみたもの。

十三枚目のカットですが、陽も暮れかけた湖の畔の周回路上のベンチでお孫さんと思しき、いたいけな童子とかけがえのない憩いのひと時を過ごしているご老人の姿と湖の佇まいをバックにその手前に咲き乱れる黄色い花々にピンを合わせ一枚撮ってみたもの。

十四枚目のカットですが、フルーツの露店をやってるヲヤヂさんが、愛くるしいいたいけな自らのお嬢さんにおやつをねだられたようで、この時刻にもなると客足もさっぱりで、お店は閑古鳥も鳴き始めたことから、自分に似ず、奇跡的に器量良しの極小姐である我が娘をサクラとし、通り過ぎる観光客の目を惹こうとしたかの如き動作だったので、宣伝も兼ね、その麗しい様子を一枚戴いたもの。

十五枚目のカットですが、デヂタル撮影では日暮れの様子がいまいち判りずらいかも知れませんが、陽は沈みかけ、だいぶ日中の刺すような陽光からはマイルドな斜めの光線加減にうって代わり、初夏の湖面も残光を浴びてキラキラ輝いていたので、その様子をバックとして湖岸の花畑の赤い花々の可憐な姿を写し取ってみたもの。

十六枚目のカットですが、湖岸の周回路から、また北側の大きな道路を横切り、夕暮の職人街へ足を踏み入れたところ、比較的新しい西欧文化の香りのする街並みに菅笠の物売りのオモニが居たので、その後ろ姿でも入れて撮ろうかいなとシャッター切った刹那、ただならぬ雰囲気に気付いてこちらを向いたオモニの鋭い目線を偶然捉えたもの。
今回の感想というか、このレンズの感想ですが、この鏡胴、ヘリコが渋めにセットしてある上、グリップというか突起がないのでピント合わせには苦労しますが、それでもほぼ休み休みながら半日も付き合えば、初めて持ち出した異国の街で、最新のAE/AFレンズには決して負けない、チャ-ミングで印象的な画をプレゼントしてくれます。また海外に出るときはカバンに潜ませたい一本であることは疑いようがありません。
さて、次回のご紹介は、秘宝館久々の新機材、渾身のレポートです、乞うご期待!!
- 2015/06/07(日) 19:58:24|
- Mマウント改造レンズ
-
| トラックバック:0
-
| コメント:2