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深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

A new horizon of modified optics~Projector Cinor 50mmf1.5 mod. X~

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さて、今週は先週の予告通り、久々の工房作品、Projector Cinor 50mmf1.5mod.Xのレポートをお送り致します。
実は、このレンズ、工房初が三つあって、一つ目はもちろん、初のプロジェクター用レンズの改造だったということ、二つ目は初のFuji Xマウント専用レンズ製造であったこと、三つ目は非常にフランジバックの短い加工かつ、ライカマウントやFマウント、EOSマウントのように光学的なピント基準機が存在しないため、X-E1をテストベッドとし、従来の600m先の高層ビルの上層部の模様を使って精度を追い込む方法では所定性能出ないので、これまでは補助的に使用してきた当工房製コリメータをピント調整に初めて使用したということです。
では、このプロジェクター用のCinor50mmf1.5とは何物なのか。
1950年代くらいにフランスはSom Bertiot社が製造した投影用光学系で、構成は3群4枚の前1群貼合わせ、後2枚独立のいわゆるペッツバールタイプのレンズで、写真撮影用としては大変珍しいタイプで、135判全盛期以前の大中判の時代のレンズでしたから、50mm以下の焦点距離の物は殆ど作られておらず、当工房では、DallmeyerのKinematograph2'f1.9があるくらいです。
このレンズ中はスカスカで絞りすらないですが、上から下までのストレートな寸胴型で、太さもかなりありましたから、いつものライカマウント、ないしM42のヘリコイドユニットでは到底収まりきらず、別の比較的設計の新しい一眼レフ用のレンズのヘリコイドを移植して加工したものです。
では、その驚異の描写の世界、大胆にも北京でシェイクダウンテストを行った際の実写結果を逐次見て参りましょう。
カメラはX-Pro2、もちろん開放F1.5での絞り優先AE撮影です。

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まず一枚目のカットですが、先の北京ツアーで滞在三日目の故宮博物館見物から次なる目的地である王府井への移動途上、故宮のお濠端の歩道を北から東に移動しながら撮影したことは本編でも書いた通りですが、その北東角の辺りで結婚写真の借景撮影やってたグループの本番の合間、M8で何枚か撮らせて貰っていたら、スタッフも花婿もカメラやレンズが相当好きだったようで、英語で話しているうちに、面白いレンズ持ってきているので、試し撮りさせて貰ってイイか、勿論どうぞ、という話になって、本番で花嫁・花婿がポーズ付けてる横から撮らせて貰ったもの。

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二枚目のカットですが、そのお濠端で借景写真を大々的にやってるグループの周囲に集まってた見物人の中に、きっといつかは自分も、とか橋の欄干にもたれかかりながら妄想を膨らませているであろういたいけな小々姐の姿が目に付いたので、主役の花嫁、花婿の殆ど逆光に近い条件よりはだいぶマシな光線状態だったので、そっと近寄り一枚撮ってみたもの。

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三枚目のカットですが、幸先の良いテストに気を良くして、お濠端の道から王府井へ向かい、石造りの家々が建ち並ぶ、故宮と並行に南北を走る比較的大きな通りを歩いていたら、まてしても借景撮影グループに遭遇、この手のグループは相乗り撮影の申し入れをしてもまず断ることはないので、大胆にもスタッフが準備中なのをイイことに新郎に声をかけて、花嫁さんにポーズをとって貰ったもの。

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四枚目のカットですが、同じく故宮博物館の東側を南北に走る大きめの通りをM8メインで撮影しながら歩いて、同時にこのエキセントリックな描写を売り物とするレンズの実験台も探していたのですが、借景撮影に向いているエリアは限られているらしく、南に下るに従い、結婚写真のグループも目に付かなくなり、また石造りの家の付近には際立ったオブジェも無かったのですが、或る民家を利用したミニ博物館みたいな建物の門の脇に狛犬ならぬ、龍か何かの彫刻入りの狛太鼓が目に付いたので、これ幸いにと一枚撮ってみたもの。

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五枚目のカットですが、故宮博物館を後にして撮りながらてくてく歩くこと30分強、やっと王府井の目抜き通りに出て、さて誰かに声かけて、背景が開けたこの通りで思い切り、ぐるぐるボケのワイルド描写を開放しようかなときょろきょろよそ見しながら歩いていたら、いかにも気の強そうな黒人の小姐がスマートホン片手に小走りに近寄って来て、アタシの写真撮ってくれない?話し掛けようとしてもみんな逃げちゃうの・・・ということだったので、何枚かアイホンで撮って上げた代わりにファンキーな写りのレンズのモデルになって、と頼んで撮らせて貰ったもの。

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六枚目のカットですが、王府井小吃街の入り口の日本でも餃子で有名なお店で大外れの北京ダックを食べたあと、来たついでに老若男女の人混みでごった返すこの屋外型フードコートでスナップを敢行することとし、このワイルドなレンズも使って撮っていたら、人垣越しにイカかなんかの串焼きをいたいけな極小姐に分け与える若いオモニの姿が見えたので、とっさにシャッター切ったもの。

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七枚目のカットですが、北京の庶民は上海ともまた違い、どちらかというと素朴な人たちが多いので、大人も子供も日本から来たカメラマンだ写真撮らせてくれ、と声かけるとまず「不是」とは云わないので、親子連れで西安風の羊肉のスパイス焼きの串なんか食べてたのが目に留まったので、ヲヤヂさんに写真撮ってもイイかと聞いたら、だれでも好きなのをどうぞということで、聞いて聞かないフリしていたいたいけな小姐のかぶりつくさまを至近距離で一枚戴いてみたもの。

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八枚目のカットですが、娘さんを人身御供に差し出す気前の良さに感服し、というか味をしめ、次なる獲物をと、この人混みの屋外型フードコートを徘徊していたら、居ました居ました中学生くらいの弟と高校生くらいの兄の兄弟が美式熱狗(アメリカンホットドッグ)なんか頬張っていたので、一枚撮らせてねと兄に声かけて、手のひらで弟を指したので、では遠慮なく、と一枚戴いてみたもの。

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九枚めのカットですが、この屋外型フードコートでは至近距離での撮影が続いたので、次は背景が開けたところで、もうちょい被写体との距離を撮った撮影を試みるべく、フードコートの奥まった辺りで店舗が切れていて、奥の東西を走る通りと繋がる通路のような辺りで買ったものを賞味している人々を餌食にすべく足を向けたら、居ました居ました、ランドセルしょって、新橋のガード下の焼鳥屋辺りにたむろしてそうな会社帰りのヲッサンを彷彿とさせるような豪快な食べっぷりで串焼きなんか頬張っていたいたいけな極小姐の姿が目に付いたので、これ幸いにと一枚戴いてみたもの。

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十枚目のカットですが、同じく王府井小吃街の奥の通路のような辺りで、店舗で買い求めた飴細工?みたいな魚のカッコしたお菓子を片手にニィーとご満悦の様子で記念撮影なんかしている親子連れが居たので、斜め横から、そのチャイナドレスみたいなデザインのピンクの防寒着を纏ったいたいけな極小姐の嬉しそうな笑顔を一枚戴いてみたもの。

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十一枚目のカットですが、王府井エリアでは思う存分撮ったので、地下鉄に乗って、次なる目的地である北京八大胡同と云われるエリアに移動すべく、最寄りの虎坊橋で降りて通りを奥へ奥へとM8メインに辺りの様子を抜け目なく撮りながら歩いていったのですが、ちょうど陝西巷へ曲がる手前辺りで、昔、子供の頃、田舎で飼っていたポインタとコッカスパニエルの雑種のとても利口な雌犬にそっくりの白黒中型犬と目が合ったので、一瞬意識が飛びそうになったのですが、これも何かの縁と思い、おとなしいのを良いことに至近距離で一枚戴いてみたもの。

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十二枚目のカットですが、陝西巷の奥まで入ってまた戻って来て、とにかく元来た通りのどん詰まりまで歩いてみようと思い、背中に午後遅くの斜めの陽光を浴びながら自分の長い影を踏むように歩いていたら、古民家の前で、濃いピンクのバラが、この時分の薄ら寒い北京の気候もものかわ、健気に咲いていたので、その姿を残すべく、街並みを背景に一枚撮ってみたもの。

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十三枚目のカットですが、そのあとに寄って見物したいところがあったので、八大胡同探検はまた次回に残すとして、また最寄りの和平門から地下鉄に乗って、その目的地たる「人民軍地博物館」に着いたはイイものの、何故か閉まっていて、中に入れる様子もなかったので、仕方なくその日は、いったん宿に戻り、一休みしてから、晩飯がてら、持ってきたレンズの中では一番明るいこのレンズで駅周辺の夜景を撮ることとし、20時前に宿から駅前広場に向かっていた際にスマホンに没頭していた小姐のセミシルエットを一枚撮ってみたもの。

今回の感想ですが、うーん、こういう中央が相当シャープでコントラストもそこそこ高く、カラーバランスも悪くはないレンズ、背景のぐるぐるボケさえ上手く使いこなせれば、ポートレート写真では面白いのでは?と思いました。で、さっそく、弐号機を製造すべく、より焦点距離の短いレンズヘッドを入手し、マウント周りのパーツの到着待ちというところです。

さて、次回は12/2の週末はまたショートトリップに出るため一週スキップ、12/9の週にその結果でもレポートしましょう、乞うご期待!!

  1. 2017/11/25(土) 16:19:57|
  2. X-mount改造レンズ
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Going back to Beijing'17②

さて、今週は二週に亘ってお送りする11月初旬の北京旅行からのハイライト、第二回をお送り致します。

まず恒例の行程のご紹介ですが、三日目の朝は、昨日の国家大劇院の正面図というか北から撮った写真はてっぺん付近に太陽が位置してしまう、という金属外装の建造物を撮るときには最も避けるべき条件で、何とか騙しだまし撮っていたという自覚症状があったため、仕方なく、滞在三日目で明朝にはまた帰国しなければならないと云うのに大劇院経由の一日のスタートで、正面から何枚か撮った後、ほど近い天安門まで歩いて行って、厳重なセキュリテーチェックを経て、故宮に入ったのが11時過ぎ、そこで御物拝観しながら、敷地内でここぞという時にシャッター切る、要はどっちつかずの観光
スタイルを押し通し、故宮博物館というか紫禁城の観光コースを一通り巡ってから、ランチも兼ね王府井を目指すべく、北側の門から出て、お堀を時計回りに回って、幾つかの胡同やら巷を写真撮りながら通り抜け、王府井に着いたのが2時前、撮影スポット探索も兼ね、まずは、前日、スナップを敢行した「王府井小吃街」に向かいそこで何気なく目を泳がせていたら、北京ダックが50数元、即ち日本円で1000円そこそこで食べられるという立て看板があったので、そこに入ってあえなく爆沈、仕方なく、前日に入ったショッピンセンターの食堂街の飲茶等のお店でランチの摂り直しをするという前代未聞の惨憺たる状態で、しかるのちまた王府井でスナップしながら地下鉄駅に移動し、そこから今回の絨毯爆撃的スナップ会場とすべき「八代胡同」エリア最寄り駅である「虎坊橋駅」に向かい、地図もろくすっぽ見ないで、好奇心の赴くまま2時間以上も裏通りや路地裏をほっつき歩いて、そろそろ飽きてきた頃に表通りに出たら、「和平門」駅の真ん前だったという僥倖に巡り合い、そして最終目的地である「軍事博物館」に地下鉄で移動し、地上に上がり、胸ときめかせて正門前に着いたら、閉館中という過酷な現実に直面し、仕方なく北京駅近くの宿に引っ込んだ、というのが今回のあらましです。

では、さっそく行程に沿って、実写結果を見て参りましょう。
カメラはLeica M8、レンズはLeitz Elmarit21mmf2.8、全コマ開放AE撮影となります。

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まず一枚目のカットですが、大劇院と今回の滞在最後の対面を惜しんで別れた後、徒歩で故宮博物館の一部でもある天安門方面に歩いて行こうとしたのですが、歩道工事とセキュリティ上の要請の合わせ技なのか、いったん地下に入って、それまで歩いていた南側、即ち人民大会堂北側の歩道から、北側の天安門側の歩道を通るようなルート設定されており、仕方なく、人の流れに沿って歩いていくと、地下鉄全駅でのX線荷物検査、及びニトロ化合物検査では飽き足らないのか、故宮に入るずっと手前の歩道上にX線検査と身分証チェックの小屋が掛けられており、全員そこを通らないと、故宮博物館にも、横断歩道経由、天安門広場にも行けないようになっていて、北側に渡ってすぐ人民大会堂をバックに人の流れを撮ってみたもの。

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二枚目のカットですが、首からこれ見よがしにライカを提げているせいか、あちこちで声を掛けられることが多く、或る者はカメラに関心を持って話し掛けてきたり、また或る者は、こういう高そうなカメラ提げてる人間なら、自分のスマホン預けても持ち逃げされたりはしないだろうという安心感からか、記念撮影のシャッターを押してくれということだったり、この香港からという小姐は友達と別行動なので、記念撮影のシャッターを押してくれそうな人が見当たらなかったので声を掛けてきたということだったので、お返しに天安門をバックにモデルさんになって貰ったもの。

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三枚目のカットですが、厳しいセキュリティチェックを通り抜け、やっと天安門より内側に入っても、すぐに故宮博物館に入って見物出来るワケではなく、ネット経由、チケット予約してなかった人間に対するペナルティ的な仕打ちが待っていて、それは門内部の隅っこ、インフォメーションセンターで聞かなければ到底見落としそうな小屋の窓口に並んで、現金で切符を買い求めなければならないということで、ここでも15分以上並ばされ、やっとチケットというか身分証チェック済のバウチャみたいなA4の紙をプリンタで出力したものを40元払って発行して貰い、せいせいしたキブンで博物館入り口に向かう途上に撮った一枚。

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四枚目のカットですが、天安門横の入場ゲートから故宮博物館への入り口までの間の広場には、ネット予約してある人間のためのバウチャ引き渡しコーナーみたいなものが至る所にあって、ネット予約した人間に恩恵を与えているようなのですが、それでもチョンボっておきながら、係員に詰め寄ったり、泣き落そうとする手合いは国籍、宗教に関わらず少なからず居るようで、入り口に一番近い引き渡しコーナーでもソ連軍払下げみたいなヘンな手編みの帽子を被った白人観光客が渡されたプリントを片手になかなか立ち去ろうとせず、同伴の女性の予約も一緒にしたのに入っていないとかなんとかクレームつけ、必死に事態収拾を図ろうという真摯な態度に心を打たれ、野次馬込みの人混みの中から一枚戴いてみたもの。

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五枚目のカットですが、成田を出て以降、艱難辛苦の挙句、やっと辿り着くことが出来た故宮博物館の入り口から入ってまず目に入る、ラストエンペラー等の大作映画のロケでも複数回使われた、一番最初の宮殿とその前の広場の威容を広角レンズの威力発揮でまだPM2.5シーズン前のどこまでも広い北京の蒼い空をバックに一枚撮ってみたもの。

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六枚目のカットですが、広場を歩いて渡り、一番最初の宮殿に辿り着き、絢爛豪華な玉座を一目見て、出来ることなら撮影して、運が良ければ、それを背景に自撮りまでやってしまおうという逞しい中国人民でゴッタ返す宮殿正面からの見物をそこそこに切り上げ、向かって左側の建物を見物して特徴的な屋根回りの写真でも撮ろうかいな、と思ったら、同じように人混みに辟易したようなタイ辺りの坊さんが、ねぇ次どこ行く~?、え~写真もうLINEに上げちゃった~?てなノリで歓談に打ち興じていたので、その和やかなご様子を傍から一枚撮ってみたもの。

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七枚目のカットですが、まさに中華人民共和国となった現在は故宮と呼ばれる清王朝による宮殿遺跡転用の博物館がかつて紫禁城と呼ばれた時期を彷彿とさせる、くすんだ朱塗りの高い塀が両側にそそり立つ長い通路は、前回、確か1999年に初めて北京にパック旅行で来た時、右も左も判らないまま、ガイドさんの言いなり聞く蔵状態で、中を連れ回され、いきなり目の前に広がって、その威容にいたく感動した覚えがあったので、嬉しくなって太陽が画面に入ってしまうリスクもものかわ、一枚撮ってみたもの。

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八枚目のカットですが、南の天安門側から入って、景山公園に面した北の門から出るという、共産主義国家に相応しい、極めて合理的かつ効率的な見学ルートを終え、故宮博物館からは南東に位置する王府井まで徒歩で移動すべくお堀伝いに歩いていたら、ちょうど北東角の辺りで、中華系民族の大好きな借景結婚写真なんか仰々しく撮っていたので、専属カメラマンがセッティング等で手薄の頃合いを見計らって、何枚か撮らせて貰ったうちの一枚。

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九枚めのカットですが、お堀の東側の南北に走る、比較的交通量は多いものの、街路樹が両側に植えられ、立ち並ぶ住戸や店舗棟の建造物が石造りで風情溢れた、同じ首都の東京とは比べ物にならないくらい景観を重視した素晴らしい道を歩いていたら、これまた赤い羅紗張りの幌も素晴らしい人力自転車が頃合い良く走ってくるのが見えたので、立ち止まって一枚撮ってみたもの。

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十枚目のカットですが、王府井に移動するには南北に走る道を建国門街まで歩き切ってしまうと、また繁華街の中心に辿り着くためには改めて王府井の歩行者天国みたいな通りを北上しなければならないので、適当な緯度で東方向に向かわねばならず、いつもの勘働きで面白そうな雰囲気の漂う路地に入って行ったらすぐに石造りの家の前に置かれた椅子の上で日向ぼっこをしているいたいけな極小姐の姿を通りすがりに一枚戴いてみたもの。

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十一枚目のカットですが、故宮東側の大きな通りから王府井方面に繋がる東西に走る裏通り、中国表記で云う巷を歩きながらも、北半球である限り方向感覚には絶対的な自信有りますから、迷う心配などせず路地裏を見つけては覗き、写真を撮るという基本動作の繰り返しで、ふと目に付いた武骨なアルミ構造が剥き出しの造作が特徴的なな三輪オートバイがさりげなく置かれた路地を撮ってみたもの。

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十二枚目のカットですが、同じく王府井へ移動する巷から巷への散策の途上、先般、上海の淮南中路伝いの散策で大通りを少し入ったところに在る19世紀から20世紀の初頭にかけての租界がらみの石や煉瓦造りの家や通りよりも更に古めかしい雰囲気を湛える煉瓦造りの狭い路地が目に着いたので、中に入ろうとする妙齢の女性をやり過ごし、後ろ姿でエキストラ出演して貰い、辺りの様子を撮ってみたもの。

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十三枚目のカットですが、王府井で二回もランチを戴き、周辺を何枚か撮りながらMRTの駅に移動し、かつての遊郭の佇まいを残すという「八大胡同」エリアで思う存分スナップを敢行すべく「虎坊橋駅」で降り、あとは地図でエリアへのアプローチだけ確認し、後は歩きながら辺りの様子を見ながら、勘働きも駆使して臨機応変にルートを考えるという、いつものスタイルで歩き出したのですが、ラッキーなことに地図で地名を見て覚えていた陝西巷へと足を踏み入れてすぐ、人力車が古風な石造りの宿屋の前に停まって車夫兼ガイドのスキンヘッドのヲッサンが説明を始めたら、赤い扉が開き、観光客が出て来たのでその瞬間を切り取ってみたもの。

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十四枚目のカットですが、この陝西巷を含む付近一帯は、かつての遊郭跡とは云われるものの、東京都内の赤線・青線遺構の下町界隈とはだいぶ趣きが異なり、何せ地方からの人口流入が東京の比ではない北京の中心部のことですから、徒歩でも自転車でも交通量の多い通りに面した店舗兼住宅は巧みな改装の結果、古風な雰囲気は残しつつも、健全な街並みに生まれ変わってしまい、路地裏撮影愛好家にはやや物足りない感なきにしもあらずだったのですが、ちょっと脇に逸れれば、おそらくは文化大革命以前のこの辺りの庶民の暮らしていた住戸そのままの佇まいが残されているので、嬉しくなって一枚撮ってみたもの。

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十五枚目のカットですが、結局、900m近く続く陝西巷の北から南、南から北を往復して写真を撮っていたのですが、半分より南に近い辺りまで行くと、街の由来を意識した街並みづくりを志向しているのか、歩いて来た途上に比べれば、道の東西両側に建ち並ぶ石造りの建物も、この街の全盛期だった清朝末期か中華民国建国当時の雰囲気をさりげなく漂わせており、道端で麻雀なんかにうち興じる年寄りを横目に人力車が頻繁に行き交うので、頃合いを見計らって、人力車も入れて一枚撮ってみたもの。

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十六枚目のカットですが、同じく陝西巷からですが、この南北を走る有名な裏通りの南端に近い辺りでは通りもだいぶ広くなっており、両側も前方も視界が広がって、いかにも北京の下町のお店という雰囲気の店構えの商店の前を観光客を乗せた人力車が午後遅くの斜めからの陽光を浴びてすいすいと通り過ぎていくさまがなかなか面白かったので、立ち止まって一枚撮ってみたもの。

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十七枚目のカットですが、陝西巷から元の通りに戻り、「虎坊橋」駅から二叉に分れて東西に向かう通りのもう一方と再び合流する地点まで辿り着いたので、次なる予定地「軍事博物館」への移動も考え、最寄りの駅にを目指しながら下町の風景を撮ろうと、再び西方向に歩き出して直後に夕陽に照らされる石造りの街並みの佇まいを撮ってみたもの。

今回の感想ですが、いやはや、最後に出張で来てから、実に13年ぶりの北京は別物でした。
仕事での出張では土日も気を使った商社の現地スタッフが何処かに連れて行ってくれるし、反対に言えば、好き勝手には歩けなかったし、ましてや一人で勝手に路地裏に入り込んで写真撮りまくるなど、絶対に出来なかったことではないでしょうか。
街も豊かになったし、表通りの景色も変わってはしまいましたが、それでも、国家大劇院の建設現場事務所にされていた胡同の古い学校の三階の会議室から眺めた胡同の入り組んだ路地は場所こそ違え、いまだに健在ですし、何よりも誰の助けも借りず、自らの足と目で、そこに暮らす人々の今を切り取っていけるというのが、とても嬉しかったと思いました。

さて、次回は久々の工房作の珍レンズ?のレポート行きます、乞うご期待!!
  1. 2017/11/19(日) 17:30:36|
  2. 旅写真
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Going back to Beijing'17①

さて、今週は二週に亘ってお送りする11月初旬の北京旅行からのハイライト、第一回をお送り致します。

まず恒例の行程のご紹介ですが、まず赤い鶴のフラッグシップキャリアで北京に入ったのが11/2の深夜12時過ぎ、何故こんな遅くに着いたかと云うと、17:20発の筈の便が何と貨物ドアが閉まらなくらなるというアクシデント発生で、急遽、機体交換し、3時間10分遅れの20:30発となってしまったからです。
そして、空港から何とか深夜バスに飛び乗り、市内の北京駅前の停留所で降りたのが深夜1時半頃で、そこから氷点下の北京駅近くの故同を徘徊して宿を探し出し、寝ないで待っていてくれたうら若き北京小姐のフロント係のお世話になって、やっとチェッキンし、その晩は熟睡しておしまい。
それから翌3日は少しでも早起きして当初の目的の国家大劇院北京の写真を撮るだけ撮って、あとは自由種目と思ったのですが、体が云うこと聞かず、結局、宿を出発したのが11時も20分くらい回った頃、そして、深夜の人っ子一人居ない北京駅前とはうって変わって、人人人の北京駅前に出て、そこで行列して北京市版スイカを買って、またセキュリティのゲートを通るために地下鉄駅で行列して、大劇院に着いた時には12時もゆうに回り、金属と硝子で出来た超モダーンな建造物を撮るには最悪の条件である、建物の真後ろ上方から光が射す状態で何とか工夫して正面図を撮り、その後も周囲をぐるぐる回って、数十カット撮ってから、やっとせいせいしたキブンで周囲の胡同を撮りに出かけ、しかるのち、夕刻の景山公園頂上からの大劇院夕景を撮る時刻まで王府井でスナップしたり、ランチしたりして、17時も回った頃、景山公園まで歩いて移動し、この日の為に買い求めたSonnar135mmf2.8MMJで渾身のカットを撮ってこの日はお仕舞・・・というのが、今回のあらすじ。
では、さっそく行程に沿って、実写結果を見て参りましょう。
カメラは2~16枚目がLeica M8、1、17枚目がX-Pro2、レンズは1~16枚目がUltron28mmf2.0、17枚目がCarlZeiss Sonnar135mmf2.8となります。

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まず一枚目のカットですが、艱難辛苦の挙句、13年ぶりに辿り着いた北京のサイトでやっと対面が叶った国家大劇院北京の周りを写真撮りながら感慨深く散策していたら、何も事情を知らない山東省からという見るからに素朴そうな小姐二名が華為のスマホンでシャッター押してけろ、と頼んで来たので、良いけどモデルになってね♪と申し入れて、出演して貰ったもの。

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二枚目のカットですが、大劇院関係の写真は何せピーカンでお天道様が正面の背後から燦々と照らしてくれているので、また翌日に出直すこととし、プロジェクト営業の時は、横目で眺めるだけで、中に入ってみようとも思わなかった、昔ながらの北京の路地である胡同の中に入り込んで、スナップを敢行しようとし、まずは大劇院西側の判り易い路地に入ったら、いきなり観光案内に出てきそうな、自炊をしない北京っこ御用達の大衆食堂のハデな看板が目に付いたので、これ幸いにと撮ってみたもの。

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三枚目のカットですが、これも大劇院西側の胡同の中の奥まった路地で、路地裏から大劇院の偉容が垣間見られる、ちょうど日本で云えば、曳舟とか東向島辺りの路地からスカイツリーが顔を覗かすようなカットを撮りたいと思い、木戸が開いている集合住宅の通用口から中に入って散策していたら、偶然、古めかしい木枠のドアに斜めから午後の陽光が射している光景を目にしたので、嬉しくなって撮ってみたもの。

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四枚目のカットですが、ここも同じく大劇院西側の胡同ですが、少し南に下った辺りの別の胡同のやはり開かれた木戸の奥の集合住宅の共用の中庭兼通路の部分で、表に面した住居の壁や胡同の塀のように似せてはいるものの、本来の石積み構造から、鉄筋コンクリート造のモダンな躯体に古めかしい色合いのタイルを張り付けた景観調和型のリノベーションではなく、おそらくは文化大革命よりもっと前と思しき煉瓦積みの壁の住戸があったため、その侘び住まいの様子を一枚撮ってみたもの。

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五枚目のカットですが、木戸が開かれた路地に入っちゃ、辺りを撮って、しかるのち、またクルマも通れる比較的広い生活道路に出て、大劇院の位置を確かめるということの繰り返しでしたが、リノベではありますが、やっと古風な石塀越しに総チタン張りの大劇院の偉容が見られる通りを見つけたので、色々とアングルやら、露出の難しいM8のことですから、何枚か撮っては露出見て、を繰り返し、やっとモノになった一枚。

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六枚目のカットですが、大劇院の見える路地裏ではないですが、古風な通りから眺めた大劇院の画を撮れたのでまぁ良しとし、南西側の比較的有名な胡同に歩いて移動し、その中でまた開かれた木戸の中の路地でも撮ろうと、虎視眈々とカメラを片手に歩いていたら、コンビニが殆どない北京で重宝される「超市」日本語に直訳すれば、スーパーマーケットですが、実質的には、田舎の街や村には必ず一軒はあるという「よろず屋」そのもので、その懐かしい佇まいに思わず一枚撮ってみたもの。

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七枚目のカットですが、その胡同散策で、昔懐かしい「よろず屋」を過ぎて程なく、開かれた木戸が有って、なかなか魅力的な佇まいだったのですが、入り口付近にちょっと怖そうなヲッサンがモルタルかなんか捏ねていたので、恐る恐る遠巻きに覗いてみれば、何か用かと声かけてきたので、写真撮りたいと云ったら、オケー、と意外にも二つ返事で奥へ通してくれたので、遠慮なく、古風な煉瓦積みの住戸を撮らせて貰ったもの。

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八枚目のカットですが、ここも同じ胡同で、もう少し奥、即ち西に行った辺りで、開かれた木戸の前から、なんぢゃこりゃ状態で、目を疑ってしまったのですが、普通は薄暗く、通りの人目を惹かないように衝立を立てたり、コの字型の通路にしたりしているのが胡同とばかり思ったのが、何と、内部を煌々と照らし、しかもかなり達筆な文字で漢詩か何かを書き記したものが辺り一面に張り出してあって、如何にも写真撮ってインスタかなんかで世界に発信してくれよ、という意図アリアリだったので、その主の思いを組んで、一枚撮ってみたもの。

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九枚目のカットですが、胡同を徘徊していたら、13時半も回り、そろそろ腹も減ってきたので、次なる目的地、王府井に地下鉄で移動し、まずは腹ごしらえとばかり、デパートの上の食堂街でお手軽ランチなどを戴き、しかるのち、王府井の一帯でスナップを開始したのですが、近代的な街並みに西洋風のデパートやブティックの建ち並ぶ、北京きっての繁華街の片隅で、胡同のようなテイストの建物が残されており、しかもそれが、文化大革命当時を思わせるようなスローガンが書き連ねられた真っ赤な横断幕が貼られ、木漏れ日に照らされていたので、何かとても嬉しくなって一枚撮ってみたもの。

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十枚目のカットですが、だいたい、道に迷って本当に心細くなった時以外、ガイドブックも地図も殆ど見ないので、辺りを徘徊していて、まさに犬も歩けばナントカ式に行き当たったのですが、「王府井小吃街」なるオープンエアのフードコートみたいなところを見つけ、ここが結構、北京っこもおのぼりサンも分け隔てなく、買い食いを愉しんでいるような雰囲気だったんので、仁王立ちになって辺りの様子を撮ろうとシャッター切った刹那、屋台からとうもろこしなんか買って、スマホン見ながら歩いてきた小姐と遭遇したもの。

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十一枚目のカットですが、同じく王府井のエリアで、普段はよほど道に迷ったり、或いは時間通りに何処かの目的地に着く、或いは戻るなどという場合を除いて、ガイドブックはおろか、地図ですら見ないので、まさに食後の腹ごなしも兼ねた付近の散策で、「犬も歩けば棒に当たる」的に、ここ「王府井小吃街」を見つけたのですが、とにかく中国人、こと北京っこは買い食いがお好きなようで、日本で云う「デザート」は別腹というのが、甘いものでなく、串焼き、或いは蒸かしとうもろこし、肉まんじゅうなどに化けたようで、ランチタイムはとっくに過ぎているのに、大盛況の露店の様子を撮ってみたもの。

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十二枚目のカットですが、これも同じく「王府井小吃街」の中の様子で、中国共産党のイメージカラーである真っ赤っかなアポロキャップを白髪頭に被って、高級そうなカシミヤかなんかのストールと上着を身に着けた、早口でまくし立てる老婦人が、店頭に並べられたイカだかツブ貝だかの串焼きを温め直している店員に対し、手ぶり口ぶりで事細かなに指示を加えている様子が面白かったので背後から一枚撮ってみたもの。

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十三枚目のカットですが、これ見よがしにライカの赤いロゴの入ったM8なんかでスナップやってたら、やはりカメラ好きには気にかかるらしく、チェコから来たと云う家族連れのヒゲオヤヂが一杯加減で、こんな平和そのもののフードコートでミリタリーカメラマンのご活躍か?とか茶化してきたので、そうじゃなくて、日本から13年ぶりにやってきた北京の様子にいたく感動して、景色を余すところなく撮ろうとしているのだ、と云ったら、ぢゃ我らも景色の一部だな、そのライカで撮っておくれよ、ということで、一枚撮らせて貰ったもの。

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十四枚目のカットですが、ここ「王府井小吃街」はもちろん、串焼きや揚げ物、とうもろこしやら饅頭、点心の類いだけぢゃなくて、女子供相手のおやつに相当するような甘味、フルーツ系も置いているのですが、前に上海で見かけた、日本の杏飴を更に発展させたようなイチゴを串刺しにして水飴で封入したようなスィーツがそれこそ林立状態で露店店頭にデスプレイされていたので、スタッフの兄ちゃんに撮ってもイイかと話しながら一枚撮らせて貰ったもの。

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十五枚目のカットですが、そろそろ陽も傾きかけてきたので、当日のお仕事写真第二弾、景山公園頂上からの大劇院の夕陽に染まる全景を撮らねばならないので、まだまだシャッターチャンスが山のように転がっている王府井を後にして、極力広い道を避け、胡同ないし、巷と云われる生活感溢れた裏通りを辿り、紫禁城を目指し、その東側から北上して景山公園に到達するコースを取ったのですが、一国の首都とは言え、表通りを少し奥に入れば、昔ながらの古風な煉瓦積みの住戸兼店舗が残っていて、その真っ赤なドアが夕陽に照らされていたりと、写浴をそそられる光景に結構直面し、そのひとつを挙げてみたもの。

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十六枚目のカットですが、紫禁城と景山公園を隔てる北側の道路を渡って行ったら、ちょうど信号待ちの人力車の中年カポーと目が合い、ヲヂサンの方が、首から提げてたライカを指さし、ついで自分を指さし、四角い枠を両手の人差し指と親指で作って見せて、ニッコリ笑って親指立てたので、記念に一枚撮ってくれよ、ということだと判断し、中国語とロシア語で有難うと云って、一枚撮らせて貰ったもの。

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十七枚目のカットですが、これが当日最後の仕事、中国国家大劇院/北京の夕暮れに佇む勇姿で、2.2km先に建つドームながら、幅が220m近くあるため、APS-CサイズのX-Pro2に135mmの望遠を付ければ、203mm相当なので、ご覧の通り、画面いっぱいではないものの、景色の中で程良い大きさに収まって、しかも手前の紫禁城の夕暮れも同じ画面に収まるので、ちょっと重さと大きさは嵩みましたが、コンパクトなHexanon135mmf3.5やPetri135mmf2.8ではなく、コイツを調達して持ってきた甲斐があった、と思わせる一枚。

さて、次回は13年ぶりの北京の観光目玉、紫禁城内部から、清朝から共和国初期まで在った、城郭南部の遊郭の遺構を残す、下町の風景などをお送りしたいと思います、乞うご期待!!
  1. 2017/11/12(日) 18:00:09|
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charley944

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今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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