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深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Tragedic but impressive optics~LeononS 5cmf2.0~

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さて、今週のご紹介は久々のノンライツレンズ、秘宝館の新入り、LeononS 5cmf2.0となります。
このレンズ、タイトルにもある通り、かなり気の毒な生い立ちを背負った悲劇の玉で、これまで自社製造のレオタックスカメラ向けとして東京光学等からレンズのOEMを受けていた昭和光機がレオタックスになぞらえてレオノン銘で複数の光学機器メーカーにOEMで製造させていて、この5cmf2.0は1959年に発売されたとのことですが、この年に昭和光機は哀れ倒産の憂き目に遭い、倒産後も開発中だったレオタックスGなるボディにも付けられて売られていたようなのです。
構成はオーソドックスな4群6枚のWガウスタイプ、同時期にレオタックス用として併売されていたトプコールSの新種ガラスやら空気レンズを積極的に取り入れた豪華な設計、製品仕様とは比べるべくもありません。
ただ、写りはどうかと云えば、普通は仕様、中古価格でも良いとこ無しな機種ではありますが、キタムラさんのご厚意で奇跡的に状態の良い個体が入手出来たので、実写結果を見た限りでは個人的には、かなり好みの玉であることが判りました。
旅に出る時、ズミクロン、プラナー或いはシネクセノンとコレのどれを選ぶかと云われれば、少なくともアジアの旅ならこれを選ぶと思います。
ではさっそく実写結果を逐次眺めて参りましょう。ロケ地はツアイス兄弟との並走で潮来あやめ祭り'19となります。
カメラは富士X-Pro2、全コマ開放によう絞り優先AE撮影となります。

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まず一枚目のカットですが、あやめ祭り会場について早々、寸暇を惜しみ、嫁入り船前にこの玉のテストからやってしまわねばならず、しかもあやめ祭りといいながら、いつも長い玉を先に装着してしまい、花は二の次になってしまうので、今回は会場入りしてすぐのあやめ畑に通路近くに咲く、明け方までの雨の雫を滴らせた白い菖蒲の花を撮ってみたもの。

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二枚目のカットですが、モニターで見ると、背景が前評判通りのユニークなボケ方ではなく、あまりにノーマル過ぎて、なんぢゃ、これぢゃ、Gyalaxyで撮ったのと変わんなくね?と考え、もうちょいダイナミックに写りそうな背景を園内のあやめ畑を徘徊しながら、ここぞと思った辺りでライブビューのモニタを見て探していたのですが、ちょうどイイ、紫の菖蒲の花の配置が目に付いたので最短付近で一枚撮ってみたもの。

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三枚目のカットですが、難しい顔で屈みこんで花などを撮っていたら、周囲に華やかな雰囲気が満ちてきたので、何事かと顔を上げ向き直っててみれば、何と、白い巨塔の院長先生の回診ならぬ、お祭り期間中のあやめ娘各位による園内循環のお時間になったようで、ちょうど北側のあやめ畑付近に巡って来られたとのことで、お願いしてモデルさんになって貰ったもの。

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四枚目のカットですが、撮った画を背面LCDでご覧いただきながら、60以上年前の国産レンズてこんなファンキーな描写なんですぜ、とか調子こいて宣伝していたら、年金シスターズによる恒例の高齢あやめ手踊りが南半分のあやめ畑の中で始まったらしく、是非撮って行って下さいとかあやめ娘各位に云われてしまった手前、仕方なく向き直って一枚撮ってみたもの。

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五枚目のカットですが至近距離だけではなく、或る程度の距離、広さの被写界でもなかなかイイカンジのシャープネスとコントラストを発揮することが、なんとなく背面LCDの画でも把握出来たので、先ほどは最短とは言え、アプローチできる最短、すなわち、土手からあやめ畑に転落しない最短で撮ったのですが、あやめ畑北半分の北端へ目を転じてみれば、手の届きそうな距離に見事な紫の四輪が寄り添うように咲いていたので、ちゃちゃっと一枚撮ってみたもの。

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六枚目のカットですがいつも嫁入り舟お出航前に係留してある船着き場に足を運び、出航前のゴーヂヤスな船内の様子でも撮ろうかいなとか思っていたのですが、何と、着いて早々の時間には船はまだ到着していないとのことで、それでも、菅笠被っていながら、真っ黒く精悍に日焼けした船頭の爺さまが黙々とザッパ舟の手入れなんかしていたので、一枚撮らせて貰いますよと声かけ、雑談しながら一枚撮ってみたもの。

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七枚目のカットですが、今回は電車で潮来入りして、バスより小一時間早く着いてしまったので、午後の嫁入り船はもちろん、まだランチにも少々早い時間だったため、とにかく、このレオノンの実力とやらを見せて貰おうか、とばかり、あやめ園内を徘徊して被写体を探していたら、遠景に園内を跨ぐ橋と複数の色の菖蒲の群生をバックに一枚だけ可憐に咲く薄紫色の菖蒲が目に付いたので、これも何かの縁と思い一枚撮ってみたもの。

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八枚目のカットですが、ここまで来て、重要な被写体を撮ることをすっかり忘れていたことに気付き、足早にザッパ舟の船着き場、嫁入り船の出航する小屋の前に屹立する、故橋幸夫をモデルとしたという「潮来の伊太郎」像を撮るべく、あやめ娘各位と思い思いの記念撮影に余念が無い観光客各位の行列が途絶えるまで小休止し、あやめ娘各位のお待ちどうさまでした、の声を合図に橋をバックに像を捉えてみたもの。

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九枚目のカットですが、嫁入り船本番でのインターセプトポイントの確認がてら、観光協会のスタッフの方と園内の巡行ルートなど確認していたら、傍らを新手のあやめ娘の小姐が通り過ぎようとしたので、会話は暫し中断、普段からは予想もつかないようなダッシュで追い縋り、声を掛けて、配置、ポーズ指定でモデルさんになって貰ったもの。

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十枚目のカットですが、そういや、無限での撮影やってなかったことをまたしても急に思いだして、それなら園内をくまなく見渡せる橋の上が良いだろうと思い、先ほど、下から、潮来の伊太郎像越しに背景として撮った、園内を跨ぎ、前川も跨いでしまう、大きな太鼓橋の上に登って、そこから北半分のあやめ畑の全景を捉えてみたもの。

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十一枚目のカットですが、遠景を撮ると白っぽいものがやや滲む程度でそんなに面白くもない普通の画なので、やっぱ至近距離で背景には植栽入れるっきゃないでしょう、と頭の中でいきなり十勝弁モードになり、橋を降りて南半分のあやめ畑から橋をバックに至近距離で撮れる花はないか探していたら、ありました、ありましたということで、かなり無理して見上げるアングルから一枚撮ってみたもの。

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十二枚目のカットですが、10枚以上も色々撮って、それを適宜、背面LCDで確認していると、だいぶクセが掴めてくるのですが、無限だと、平行光が苦手なのか、或いは中心部の解像力稼ぐため、像面湾曲には目を瞑ったのか、周囲が相当流れ、甘くなる傾向があるような気がしたので、あやめ畑南半分の南端付近から巨大たいこ橋全景を入れて撮ってみたもの。

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十三枚目のカットですが、そろそろ腹時計もアラームが鳴り出し、午後からの嫁入り船での最低三か所のインターセプトポイントおダッシュで移動しなければならないハードタスクを考え、ランチにでもすっぺか、とまた常陸弁モードに戻り、このところ、毎回、お邪魔している駅前食堂「長崎屋」さんで近海物のマグロをふんだんに使った鮪づけ丼を戴こうと、園内から幹線道路に抜ける辺りにちょうど鮎を炭火で炙って売っていたお店があったので、買わないけど撮らして、と頼んで一枚撮らせて貰ったもの。

今回の感想ですが、これが20000円しないで買えた、ホントのジャパニーズクラシックレンズの醍醐味と思いました。中心部のシャープネス、そしてシーンよっては激しく自己主張するゴッホの油彩の如き、大胆な後ボケ・・・今日び、普通に良く写るキャノンのL50mf1.8だって、このくらいの程度のものであれば、20000円を下ることはまずないし、不人気では双璧のロッコール5cmf2だって、やっぱり20000円以上は出さないとまともな写りのものは買えないと思います。正直、おっかなびっくりで買い求めましたが、久々の良い買い物だったと思います。

さて、次回は潮来といったら佐原、いやもうちょい戻って成田の祭り撮影に行きますので、天気にもよりますが、面白いレンズで何か撮ってきましょう、乞うご期待!!
  1. 2019/06/30(日) 22:32:41|
  2. 深川秘宝館
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The centre of people's love and ovation~Itako Iris Festival’19~

さて、一週スキップして今週のご紹介はちょうど今週末を以て終了の、潮来あやめ祭り'19から、工房のツァイス兄弟しかも両極端の一番長い玉と一番短い玉を使っての撮影結果をお送りしたいと思います。
まずは恒例の行程紹介から。
あやめ祭り'19に出掛けたのが、6/8(土)、木場駅から10時過ぎの東西線に乗って、東葉高速鉄道、京成本線、そして成田線、鹿島線と乗り換え、艱難辛苦の挙句、潮来駅についたのが、12時半少し前、まずは園内の様子を確認しながら何枚か撮って、14時からの嫁入り舟ご一行様撮影の前に腹ごしらえをしておくため、13時過ぎにに潮来駅前の街食堂の星「長崎屋」さんで絶品の銚子漁港で上がったまぐろの漬け丼などを頂き、15分くらい前に前もって見当つけておいたインターセプトポイントに到着し、ご一行様が妙なる調べとともに現れるのを待ち、行列が始まり次第、目の前を通り過ぎるまで、無心でシャッター切り、しかるのちダッシュで第二のインターセプトポイントである橋の上に移動h、船が通り過ぎるや否や、アイレベルで川の中を進む舟を取るべく、次のインターセプトポイントへ移動し、そこで何枚か撮って、最後のポジションである前川水門上に移動し、そこから北利根へと抜ける嫁入り舟を真上から撮り、到着後は鬼神の速さで超広角レンズに交換し、船から人力車に乗り換えた花嫁・花婿の姿を捉えるべく、なかば顔見知りの観光協会の世話役の方に人力車の向こう正面に入れて頂き、ローアングルから出発前、発車直後と撮って行ったwけです。
では、当日の行程に沿って、実写結果を逐一眺めて参りましょう。

潮来あやめ19_001
まず一枚目のカットですが、135mmの玉をAPS-Cフォルマットの富士X-Pro2に装着すると、画角的には200mm相当なので、ポートレートを撮るのも一苦労、上半身を上手いこと入れようと、夢中になって後ずさりしていたら、あやめ畑に転落し、どう猛なアメリカザリガニの餌食になってしまうところでしたが、かろうじて踏みとどまり、何とかそれなりのカットになったもの。
カメラは富士XPRO2、レンズはCarl Zeiss Sonnar135mmf2.8AEJとなります。

潮来あやめ19_002
二枚目のカットですが、あやめ祭りに来て、真面目にあやめを撮らないのも変な話しですし、この望遠レンズで最短距離を撮ったことが無かったことも思いだしたので、ざっぱ舟乗り場に繋がるアーケード下から北部に伸びたあやめ畑に視線を走らせ、2m以内くらいで、どアップに耐え得る萎れていない花をスキャンしたら、ちょうどイイのが目についたので、じっくりとEVFで狙いを定め、一枚撮ってみたもの。
カメラは富士XPRO2、レンズはCarl Zeiss Sonnar135mmf2.8AEJとなります。

潮来あやめ19_003
三枚目のカットですが、あやめ園の横は「前川あやめ園」というだけあって、川が流れていて、そこには潮来市の貴重な観光資源であるザッパ舟が行き交っており、当然のことながら、この直後に出発することになっている嫁入り舟もこの河岸に繋がれていて、一行の行列があやめ畑の真ん中の道を通って船着き場に到着次第、腕利きの船頭さんの櫓さばきによって、北尾根を目指していくのですが、着いてすぐはまだ嫁入り舟の船体も到着しておらず、観光ザッパ舟の老獪な船頭さんが黙々と愛舟の手入れをしていたのみだったので、柱の陰からその様子を一枚戴いてみたもの。
カメラは富士XPRO2、レンズはCarl Zeiss Sonnar135mmf2.8AEJとなります。

潮来あやめ19_004
四枚目のカットですが、華やかなあやめ祭りを横目に黙々と仕事をこなす老船頭のところに、おもむろにあやめ色の上着に赤白の絞りの手ぬぐいを首に巻いた、正真正銘100%純正の娘船頭さんがやって来て、二言三言、老船頭から、今日の出来事+今後の段取りに関する申し送りを受けてから、笑顔で船の手入れ系の力仕事なんかを手伝い始めたので、立ち上がった瞬間を狙って一枚戴いてみたもの。
カメラは富士XPRO2、レンズはCarl Zeiss Sonnar135mmf2.8AEJとなります。

潮来あやめ19_005
五枚目のカットですが、そうそう、ここ潮来に来て、この偶像を撮るのを忘れてはなりませんね、ということで老若船頭さん達の菅笠を見て思いだしましたが、演歌御三家の一角、故橋幸夫氏をモデルにしたとも云われている潮来のイ太郎像を下から見上げる格好で一枚戴いてみたもの。
カメラは富士XPRO2、レンズはCarl Zeiss Sonnar135mmf2.8AEJとなります。

潮来あやめ19_006
六枚目のカットですが、そうこうするうちにあっという間に14時が到来し、妙なる調べに乗って、園の東側の土手上から、長持ちを負った二人組の若衆の船頭であやめ畑の中を通る道を、あたかもキャンプ場でのキャンプファイアで「遠き山に陽は落ちて」で出てくる山の神様のお使いみたいな一歩足を踏み出しては立ち止まり、また一歩踏み出しては立ち止まる、といういかにも写真撮影に便宜を図ったようなポーズ付きのスロー歩行で歩み出したので、ストレート部に出てきたあたりでまず一枚撮ってみたもの。
カメラは富士XPRO2、レンズはCarl Zeiss Sonnar135mmf2.8AEJとなります。

潮来あやめ19_007
七枚目のカットですが、同じくあやめ畑の中の一本道、を花嫁さんご一行様が皆、ゆるりゆるりと歩んできて、ちょうど自分のインターセプトポイントからの最短距離である、目の前を通り過ぎようとする瞬間を何とかEVFでピントブラケット併用の連写で捉えてみたもの。
カメラは富士XPRO2、レンズはCarl Zeiss Sonnar135mmf2.8AEJとなります。

潮来あやめ19_008
八枚目のカットですが、嫁入り舟イベントでの二番目のインターセプトポイント、前川をまたぐ橋の上で出航したばかりの嫁入り舟を待ち構えていたら、来ました、来ました、「潮来花嫁さん」の曲に合わせ、手練れの船頭さんが軽やかに漕ぎだす木造船に付き添いの花婿さんのご両親に一緒に乗って、花婿さんの待つワイワイファンタジアなる臨時船着き場を目指し進んで行くところを橋の上から望遠で狙ったもの。
カメラは富士XPRO2、レンズはCarl Zeiss Sonnar135mmf2.8AEJとなります。

潮来あやめ19_009
九枚目のカットですが、橋の上で何枚か撮って、船が下を潜るか否かのタイミングで第三のインターセプトポイントへと駆け足で移動し、川伝いのコンクリート製の擬木沿いに、それこそ往年の「電線音頭」の雀よろしく、過去最高クラスの美形の花嫁さんとの前評判を受けてか、大勢の観客がすき間なく貼り付いていたので、背の低そうな人々で比較的密度の行くそうな辺りを見つけて、すき間から人垣越しに水路を進む嫁入り舟を撮ってみたもの。
カメラは富士XPRO2、レンズはCarl Zeiss Sonnar135mmf2.8AEJとなります。

潮来あやめ19_010
十枚目のカットですが、あやめ畑のゆったりとした行列とは大違いで、船での移動はことのほか早く、漕ぎ出してから15分もしないで、船は前川水門を潜り抜け、北利根の広大な川面に浮かんで、90度向きを変え、花婿さんが首を長くしながらも、照れながら待つワイワイファンタジアの臨時船着き場に着岸し、まずは親族、関係者で記念撮影後、観光協会の誂えた人力車であやめ園周辺を回るコースでセレモニーを行う旧家へ向かうことになっていたのですが、今年は某AKBの山本某そっくりの木遣りを歌う小姐が付き添いで回ることになっていたので、さっそく話をつけ、モデルさんになって貰ったもの。
カメラは富士XPRO2、レンズはCarl Zeiss Distagon18mmf4.5AEGとなります。

潮来あやめ’19_011
十一枚目のカットですが、ほどなく、観光協会の誂えた、腕利きのベテラン車夫さんの曳く人力車二台に花嫁・花婿組と花婿の両親とで分乗し、スタート前の記念撮影ということで、毎年参加している強みで、世話役の方に話をつけて、親族の次の順番で真っ正面から超広角のパースを活かすべく、可能な限りのローアングルから二台を画面に収め、撮ってみたもの。
カメラは富士XPRO2、レンズはCarl Zeiss Distagon18mmf4.5AEGとなります。

潮来あやめ19_012
十二枚目のカットですが、二台揃い踏みでの記念撮影会の後、ほどなく、幸せいっぱいの"新婚さん行ってらっしゃい"ムードの現場から人力車が観客の惜しみない声援と割れんばかりの拍手に送られ、前川水門前の高台の道路から比較的傾斜の大きい坂道
を下って予め定められたコースに従って二台仲良く進んでいくのですが、その幸せ一杯の出発風景を一枚戴いてみたもの。
カメラは富士XPRO2、レンズはCarl Zeiss Distagon18mmf4.5AEGとなります。

潮来あやめ19_013
十三枚目のカットですが、無事、嫁入り舟イベントのクライマックスである人力車での道行きを送り出した後、帰りのバス迄はまだ一時間近く時間もあったし、ブログの写真構成上、嫁入り舟だけというのも何だかなぁ・・・という後ろめたい気持ちも若干ながら無きにしも非ずだったので、いつもの周遊コースである長勝寺へ回ることとし、あやめ園からは徒歩で10分も掛からず着いた山門前で涼しげながらも凛とした空気の張り詰めた景色を捉えてみたもの。
カメラは富士XPRO2、レンズはCarl Zeiss Distagon18mmf4.5AEGとなります。

潮来あやめ19_014
十四枚目のカットですが、真っ赤な朱塗りの重文だったかの山門をくぐり、境内へと進んで行くと木立の切れ間から、ちょうど、昔の「まんが日本昔話」辺りに出て来そうな山寺の和尚さんが腕白な小僧さんと住んでそうな、傾斜のきつい茅葺屋根の本堂が目の前に屹立しているので、ちょうどその前に大きさを比較するのにちょうどイイ家族連れが記念撮影しているのを借景しながら一枚戴いてみたもの。
カメラは富士XPRO2、レンズはCarl Zeiss Distagon18mmf4.5AEGとなります。

潮来あやめ19_015
十五枚目のカットですが、本堂に一礼してから庫裏の方へ向かうと、庫裏の縁側に面した長廊下にこの地方独特の風習らしい、吊るし鄙が飾ってあり、なかなか風情のある景色だったので、庭から至近距離に歩み寄ってシャッター切ろうとした刹那、静かな庫裏の長廊下を奇声を上げたいたいけな極小姐がすたすた歩いてきて画面に入り込んじゃったので、後から追い掛けてきた若い両親は平謝り、いえいえ、全然大丈夫ですからと採用したもの。
カメラは富士XPRO2、レンズはCarl Zeiss Distagon18mmf4.5AEGとなります。

潮来あやめ19_016
十六枚目のカットですが、ちょうどあやめ祭りのシーズンとあじさいのシーズンはラップしているらしく、ここ長勝寺の閑静で瀟洒な庫裏の庭でもあちこちに紫色の可憐な花を咲かせており、これが木立の合間から覗く曇り空をバックにとても優美に見えたので、ローアングルから一枚撮ってみたもの。
カメラは富士XPRO2、レンズはCarl Zeiss Distagon18mmf4.5AEGとなります。

潮来あやめ19_017
十七枚目のカットですが、そろそろ電車の時間も気にして、駅の近辺に戻った方が良そうな頃合いになって来たので、長勝寺を後にし、家と家の間の人と自転車がすれ違うのもやっとというカンジの近道を縫って、再びあやめ祭り会場である前川あやめ園まで戻ってきて、そういえば、広角で会場の全体図を撮ってなかったとふと思いだし、一番高い太鼓橋の上から北方向のあやめ園の全景を撮ってみたもの。
カメラは富士XPRO2、レンズはCarl Zeiss Distagon18mmf4.5AEGとなります。

今回の感想ですが、135mmと18mmという、APS-C換算画角でそれぞれ200mmと27mmという長短両極端のレンズでの撮影となりましたが、そこはそれ、今回のようなシチュエーションでは何とか用が足りたのかな、と思いました。それにしても、製造中止から21年以上経過している京セラヤシカ製、ないしドイツ製のレンズですが、こうして、デヂタルカメラとのコンビでしっかりと撮影出来るということに改めて感心した次第。

さて、次回はこの潮来あやめ祭り'19で並行テストした秘宝館の隠し玉、国産物故メーカーの希少標準レンズのレポートをお送り致します、乞うご期待!!
  1. 2019/06/16(日) 20:46:02|
  2. 旅写真
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Wonderful half blood~Ricxenon44mmf1.7FX~

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さて、今週のご紹介は予告通り、工房製造の意欲作、RICXENON45mmf1.7FX行きます。
そもそも、このRICXENONとは何ぞや?・・・
勘の良いマニアの方はもう重々お気づきのこととは愚考致しますが、4群6枚Wガウス型の前半分がRikenon43mmf1.7、後半分がHexxanon45mmf1.7ということで、その両光学系の名前を折衷して名付けたものなのです。

そして、外鏡胴パーツは上下ロシア物からということで、何と、4個一で産まれた難産の子がこのRICXENON44mmf1.7ということなのです。

では、さっそく、その実力のほどを実写結果を追って見て参りましょう。
ロケ地は浅草寺周辺、カメラは富士X-Pro2、全コマ絞り開放によるAE撮影となります。

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まず一枚目のカットですが、深川から浅草入りしようとすると、どうしても銀座線経由となりますから、三定さん前の出口から地上に出ると雷門経由の仲見世散策というルート一択となってしまうので、雷門前で着物姿に身を包み、記念撮影に余念が無い、中国産小姐の艶姿を傍から一枚戴いてみたもの。

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二枚目のカットですが、雷門発、仲見世経由浅草寺境内という散策ルートでは必然的に定点観測スポット的にテスト撮影スポットとなってしまう、仲見世西隣、美人茶屋あづまさん交差点北西角に位置する扇屋さん店頭のひょっとこの目にピンを合わせた大和絵団扇至近距離撮影の図。

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三枚目のカットですが、先ほどは店先が混み合っていて、またヴィジュアル的にも「美人茶屋」さんの名にし負えない小姐がお当番で調理兼接客担当だったのでスルーし、扇屋さんの店頭から、仲見世通りへ戻ろうとしたら、後ろ姿的にはなかなかの達成度と思しき小姐がお当番に換わっていたため、有難く、ベストアングルから一枚戴いてみたもの。

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四枚目のカットですが、仲見世通りに出て、遥か彼方に見える宝蔵門目指して歩き出すとすぐのところにある元カメラ屋の土産物屋さんの店頭で、中国本土から思しき家族連れが親類、或いはご近所へへのお土産を一家総出で品定めしており、極小姐達も例外ではなく、あーだら、うーだらと路上で待つ、金主と思しきお婆ぁに話し掛け、数を見当つけているところを傍から一枚戴いてみたもの。

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五枚目のカットですがこれも仲見世通りの路上、先ほどの地点よりはだいぶ終点宝蔵門に近い、門の横に立派な松の植栽が目印の釜飯屋さんが北西角に建つ交差点で、大きめの一眼レフに長めのズームなど装着して、何故か西の方角を目指して、シャッター切ってた黒い髪のラテン系の中年女性が居たので、その雄姿を斜め後ろから一枚戴いてみたもの。

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六枚目のカットですが仲見世通りと伝法院通り交差点の少し手前、国籍不明の中川翔子風着物小姐がボンボンマイク付きのカムレコーダなんか片手に中国語ともタイ語とも取れるアジア系言語と英語を混ぜて撮影しながら何か解説入れては、結果を眺めながら歩いていたので、意を決して、平壌アクセントの韓国語で話し掛けたら、首を傾げて手を広げ、手のひらを天に向けるポーズやられちゃたので、次に広東訛りの北京語でやったら、イイですよ、と見透かされたように日本語でお返事、かくして日本在住の香港人小姐にモデルさんになって貰ったもの。

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七枚目のカットですが、宝蔵門をくぐり抜け、まず目を走らせたのが、境内に幾つか存在する定点観測スポットのうち、一番、宝蔵門に近い、手漕ぎポンプで、今回もラッキィなことに涼を求めた中国人一家がポンプ横の休憩所で休んでおり、じっとしているのに退屈してしまったのか、一人、いたいけな小々姐が黙々と渾身の力を籠め、親の仇の如く、ポンプに取りすがって水を流していたので、傍らのヲヤヂにお世辞云いながら一枚撮らせて貰ったもの。

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八枚目のカットですが、浅草寺境内、次なる定点観測スポット、お御籤売場に移動しようとしていたら、宝蔵門から本堂へと一直線に続く石畳の道の上で、結構な数の海外からのゲスト各位が本堂をバックにしたり、宝蔵門をバックにしたり、或いは巨大香炉でご焼香を行う観光客をバックにしたりと、大記念撮影大会の様相を呈していたので、ファインダ覗いている途中にお構いなしに被写界に入ってきた中国産小姐のお姿を戴いたもの。

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九枚目のカットですが、ここも境内では本堂に近い方の定点観測スポットとなる、手水場の風景で、何回か日本訪問の経験があると思しき中国人の大人が、日本初体験と思しき、まだ浴衣もどことなくぎこちない着こなしの極小姐に、柄杓を最初は左手で持って、右手を流して、はい右手に持ち替え、左手を流して・・・とか手取り足取り教えて、極小姐が判ったのか、判らんのか、ぽっか~んと見て聞いている様子を傍から一枚戴いてみたもの。

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十枚目のカットですが、本堂正面エリアではモデルさんになってくれそうな一人、或いは少人数の着物小姐が殆ど見当たらなかったので、時間調整の目的も兼ね、本堂にお参りしてから西方面の出口から下に降り、西参道方面に歩いてみれば、まさに御利益ビンゴ!とばかり、着物三人組の中国産小姐に目が合った途端、呼び止められ、要はアイポンで撮って欲しいのだが、その珍しいカメラで撮った画も送って欲しい、という欲張りなお願いで、まさに渡りに船とばかり、艶姿三人揃い踏みを撮ってみたもの。

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十一枚目のカットですが、西参道から花やしき前の通りに抜け、そして飲み屋街からまた奥山方面へ戻って、そこから本堂西に戻ってくるルートを取ったのですが、観音裏と呼ばれる昼なお暗い裏通りでは、お天道様がまだフル稼働に近い時間帯というのに、老若男女、かなりライトな感覚で禁断の般若湯なんか口にしていたので、その退廃的な通りの様子を一枚捉えてみたもの。

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十二枚目のカットですが、奥山エリア西側、花やしき通りの一本南の田舎芝居劇団の本拠地の劇場?横の細い路地では、何故か、お祭りの用意というか、神輿の出動前の段取りなんかやってる一団が居て、頭、一枚撮らしてくれるかい?とか声かけたら、お!構わねぇけど一杯やった方が二枚目に撮れるんぢゃねぇか!?とか一升瓶から茶碗酒など勧められそうになったので、固辞してその雄姿だけ有難く一枚戴いてみたもの。

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十三枚目のカットですが、奥山の元観音温泉があった辺りの壁面アートで壁一面の風車の弥七へのレクイエムでしょうか、色とりどり風車が刺されたインスタ撮影スポットがあって、大学の映画同好会のメイト同志という小姐二人がM3/4のミラーレスでお互いに撮りっこしていたので、混ぜて貰い、お面付きでということで一枚撮らせて貰ったもの。

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十四枚目のカットですが、先のキツネ面小姐二名との会話を横で聞いていた、ネットモデル志望?の小姐とそのカメラマン役のちょい太目の小姐がいかにも手製レンズでの撮影に興味アリアリとのカンジだったので、能書きを垂れたところ、撮った画を送ってくれるなら、という条件でモデルさんになって貰ったもの。

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十五枚目のカットですが、陽もだいぶ西に傾いてきたのと、本堂前から眺めたら、だいぶ手水場が混み合い、陽の射し加減が良い案配になってきたようなので、また足を運んでみたら、居ました居ました、また中国人一家が手水場の意味や目的を知ってか知らずか、楽しそうに柄杓で水を酌んでは、か傍らのオモニが写真撮る、なんて楽し気なひと時を過ごしていたので、有難く傍から一枚戴いてみたもの。

今回の感想ですが、今までの適当にレンズを組み合わせ、結像するのを確認し、無限を合わせて光学系をでっち上げるというバクチに近いレンズ遊びから、セイコ-SVシャターと同じネジピッチと前後のエレメントのクリアランスを合わせてこれをコリメータで確認し、前後のクリアランスをネジ位置で調整し、ベスト位置を割り出し、スペーサをかますという手法でだいぶ像面湾曲やら、オフフォーカスエリアでの色収差は抑えることが出来るようになった次第。また、更にこの簡易測定器具を発展させ、ヘリコイドを装備し、セイコーSVシャッター規格のレンズを装着し、フジX-PRO2でスナップにも持ち出せるようにしたので、益々、新開発は進みそうです。

さて次回は帰省で一週スキップ、6/23(予)には、季節の華、潮来あやめ祭りからのレポ-トをお送りしたいと思います、乞うご期待!!
  1. 2019/06/08(土) 23:09:33|
  2. X-mount改造レンズ
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Return to Pianura lombarda~Milan Photographic Tour'19④~

さて、今週のご紹介は予告通り、GW中のイタリアはミラノの旅最終日、5/2の朝から市内観光名所を駆け足で巡った時の光景をご紹介したいと思います。
まず簡単に当日の行程をご紹介致しますと、5/2は10時半過ぎに宿を後にし、まず向かったのは、今を去ること、15年近く前、当時のミラノ出張の常宿にしていた、ドォ-モ近くの宿から、地図もロクすっぽ見ないで、当時の愛機Leica REにVario Elmar28-70mmf3.5-4.5を装着したものだけお供に、気の向くまま街歩きをしていて、偶然行き当たり、建物の吹き抜けに放置同然に置かれていた、天才ミケランジェロの遺作、ピエタ像を見て心を打たれたスフォルツェスコ城でした。そこでお昼過ぎ迄、城の中外を撮り、駅近くのグラス張りのリストランテでタコとジャガイモの不可思議なサラダランチを戴いてから、次なる目的地、これまでは存在すら知らなかったレオナルドダヴィンチ国立科学技術博物館へとメトロ経由移動、全日空の初期のロゴのモチーフとなったスクリューヘリの模型やら、製鉄設備の変遷、そして圧倒的なコレクションの質、量に驚かされた戦闘機、艦艇、そして庭先の潜水艦展示を見て撮って、17時の閉館に追い立てたられるようにそこを後にし、最後の訪問地として向かったのが、ナヴァリオ運河エリアということで、もう水運手段としての役目は終えてはいますが、水辺のお洒落な観光エリアということで、運河沿いに素敵なカフェやレストラン、そしてブティックの類いが建ち並ぶ下町の観光地で、ミラノとの別れを惜しみ、日暮れ迄、撮りに撮ったという次第。
では、さっそく、当日の足取りに沿って、実写結果を見て参りましょう。
機材、条件は、カメラはLeica M(TIPO240)、レンズはVoigtlaender Ultron35mmf1.7asph.による絞り優先開放撮影となります。

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まず一枚目のカットですが、15年ぶりに訪れたスフォルツェスコ城はやはり荘厳で、昨年末に訪れた姫路城ほどの優雅さや非日常性は纏ってはいないものの、それでも歴史的な重みやら、当時の自然科学の最先端である土木・建築工学の粋を凝らして築城され、幾星霜を乗り越えて当時の姿を今に伝える、その存在感は洋の東西を問わず雄弁で、思わず何枚も撮ってしまったうちの一枚。

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二枚目のカットですが、城跡自体は入場無料で博物館でも見物しない限り、トイレも含めていっさい無料なのがこのお城の良いところなのですが、後でボランティアの女性とお互い第三国語に当たる英語で立ち話してみても、活動の目的が良く判らず、要は歴史学習と野外活動を兼ねた遊びみたいなもものらしいのですが、騎士の従者に扮したいたいけな少年処女が、修道院の指揮官の指示に従って、鬨の声を上げて、芝生の上をダッシュしまくり、観光客の方は宜しければお撮り下さい、というイベントだったので、有難く一枚戴いてみたもの。

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三枚目のカットですが、お城の立派な城壁の内側に入ると、ローマ文化圏には何処にでもありがちな、中庭を囲んだコリドー(回廊)を設けた建築様式が目に留まり、ただ、このありふれた建築様式の文法を踏襲しながら、回廊のアーチの形状、色使い等をそれぞれ工夫し、如何に他と差別化し、魅力を引き出すかに腐心しているので、その努力に敬意を称し、全体像を一枚戴いてみたもの。

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四枚目のカットですが、ここスフォルツェスコ城は、建物自体は、それほど広い面積でもないのですが、背面、つまり北側に開けた緑地公園エリアもなかなか見どころ多く、折角訪問したのだから、隅から隅までずずずぃ~と見物して行こうと歩き出したら、屋外ステージともオブジェともつかない奇妙な構造物の上で、K-POPなんかラジカセでかけながら創作ダンスみたいなのを舞っていたヂモティ小姐の姿が目に留まったので、声かけて下から何枚か撮らせて貰ったうちの一枚。

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五枚目のカットですが緑地公園のどん詰まり迄歩いていったので、そろそろメシでも食べて次なるも目的地で潜水艦にでもご対面しなきゃとか気もそぞろに歩いていたら、ふと先のベンチに座る美女二名と目線が絡むので、思い切って声かけてみたら、誰か写真撮って送ってくれないかな、とか思ってちら見してた、とのことで、快くモデルさんになってくれたもの。

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六枚目のカットですがスフォルツエスコ城の目の前の大通りに面したグラス張りの繁盛してるリストランテでお手頃価格のランチを戴き、しかるのち、目の前のメトロ駅から二駅ばかり乗車し、レオナルドダヴィンチ国立科学技術博物館に移動する前にまだ時間的に余裕があったので、前回訪問した時に見つけたアルマーニの巨大壁面看板の前の急カーブを市電改が通り過ぎるところがあるので、そこで何枚か撮ったうちの一枚。

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七枚目のカットですが、レオナルドダヴィンチ国立科学技術博物館最寄り駅であるサンアンブローヂョ駅から地上に出て見ると、果たして地図で見た通りに博物館入口が判りづらく、周囲を徘徊しているうちに、なかなか荘厳なレンガ造りの修道院に行き当たったので、中庭から礼拝堂の雄姿を一枚戴いてみたもの。

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八枚目のカットですが、広大な博物館を取り囲む高い外壁を一周し、やっと看板も出ていない入口を発見、中へ入ったのですが、メカ好きの男の子なら、絶対、2~3日通っても退屈しないだろうなぁと思うようなアイテム、展示方法で、特に目を惹いたのが、プラ製品のリサイクル啓発のコーナーに置かれていた、ルネッサンス期のイタリア宮廷画家、ウルチンボルトの肖像画を彷彿とさせるような身の回りのプラ製品で作られた人体模型が窓辺に佇む姿は何処か哀愁を帯びていて思わず一枚戴いてしまったもの。

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九枚目のカットですが、本館の展示は質、ボリュームとも圧倒的で、一般的に機械ものはドイツかイギリス、そして日本くらいかな・・・という大方の先入観を粉砕するには十分過ぎるものがありましたが、心は早くも日本出発前から気になっていた、実物潜水艦の現役引退直後からの地上展示に在り、
そうそうに別館の建物展示棟へと移動し、潜水艦をしかと検分する前、ルート上に在る、並みの体育館6軒分はゆうにありそうな鉄道関連の展示棟を眺めることとし、そこで光の辺り加減の良かったSLの横顔を撮ってみたのもの。

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十枚目のカットですが、潜水艦と無事ご対面を終え、その鼻先にある、入口脇に鎮座まします、フィアット製カモフージュ柄のジェット戦闘機がおいでおいでをしているかの如き、空・海展示棟へと足を踏み入れると所せましと船舶、航空機が整然と展示され、中でも、心情的には中島飛行機の残党みたいな工房主が目にしても、その機能美に目を奪われたAeroplano - SAI Ambrosini Super S.7という機体がアングル的にも撮り易かったので、一枚戴いてみたもの。

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十一枚目のカットですが、17時の閉館時間になり、顔立ちは愛くるしいものの、言葉遣いは事務的で表情にはホスピテリティのかけらも感じられない、若い小姐係員の指さす方向の出口からほうぼうの呈で退出し、この時期の欧州はまだまだ陽が高いので、もう2~3時間は体力の許す限り撮れるなと思い、またメトロに乗って、ナヴァリオ運河エリア最寄り駅のポルタジェノヴァ駅に移動、頭の中に叩き込んだ地図を参考程度にまた路地、裏道の類いに道草しながら運河まで移動するときに撮ったもの。

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十二枚目のカットですが、ポルタジェノバから真っ直ぐに伸びる道沿いに歩いていたら、運河沿いの風景が見えてきた辺りで三つ又交差点に市電のルートが交差している、如何にも市電鉄っちゃんが体中からアドレナリン吹き散らし悶絶しそうなスポットを発見したので、暫し立ち止まって被写体がく来るのを待ってたら、ちょうど、古風なタイプの車体がきしみ音を立てながら走ってきたので、コーナリング最中の雄姿を捉えたもの。

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十三枚目のカットですが、あちこちで道草食って、路地裏撮影大会やってたので、観光ガイドによれば、徒歩10分かそこらのナヴァリオ運河エリアまでメトロ駅から小一時間掛かってしまい、それが故、初対面の運河エリアは、かの”紅の豚”のマルコがピッコロ社の目の前の運河から飛び立つシーンのモデルともなったこともあり、なかなか感動的だったため、涙目気味に撮った一枚。

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十四枚目のカットですが、陽はだいぶ西に傾き出したものの、ここ運河沿いのリノベエリアはむしろ、陽光燦々の白昼よりも、陽が暮れ出し、店先に灯火か点り、それが水面に写って、行き交うランチの立てた並みでそぞろに乱れる、という時間の方が人出も多いとのことでしたが、それでも注意深く運河沿いの散歩道を歩いてみれば、キッチュなオブジェが店先にさりげなく置かれていたりして、イタリア人の茶目っ気と美的センスの良さに敬服して一枚戴いてみたもの。


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十五枚目のカットですが、運河といっても、運輸手段として商業利用するでなし、単なる観光資源ととしてのランドマーク的水路で、浚渫して水深を確保したりもしてはいないため、時折、平底の遊覧船やら、個々人のモーターボート、カヤックが行き交うくらいなので、時間によっては水面はそよ風の立てるさざ波が立つくらいの静かなもので、それが夕暮れに向かう西の空をバックになかなか美しかったので、手近なコンクリの橋の上から一枚撮ってみたもの。

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十六枚目のカットですが、また同じようなアングルになってしまい恐縮ではありますが、このナヴァリオ運河には幾つかの橋が架けられていますが、中でも19世紀以前に鉄骨をリベット組みして拵えた鉄製橋は、先のベネツィアの運河の架けられたものにも通ずる、ルネサンスの先進国、欧州きっての工業先進地帯、北イタリアの叡智と誇りのようなものが滲み出ていて、夕暮れの空とのシルエットが美しかったので、手前の橋から一枚撮ってみたもの。

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十七枚目のカットですが、運河周りの街並みも思う存分堪能し、また宿の在るミラノ中央駅迄メトロで戻る途上に来た道とは別のルートを通ろうと思い、先のカットの鉄製橋を渡った先に広がる、広い通りを遥か彼方に見えるトレンイタリアのポルタジェノヴァ駅駅方向に向かって歩いていく途中、別れを惜しみ、運河方面を振り返って一枚撮ってみたもの。

今回の感想ですが、実は、今年のGWは昨年同様、欧州では一番気安く滞在出来、写真も撮り易い、スペイン南部に飛ぼうとしていたのですが、ご存じ国民皆10連休のおかげさまを持ちまして、1月末時点で全くチケット手配できず、どうしようか逡巡していたところ、次善の策として3月も下旬になってから、キャセイパシフィックからのタイムバーゲン的なチケットがミラノマルペンサ往復で昨年並みの価格で出たので、これに乗っかって行ったのですが、いやはや、行って良かった・・・懐かしいミラノの街に自分の力で再会出来たのは感慨深かったです。
しかも、当時の相棒REに代え、型遅れとはなりましたが同じライカのM(TIPO240)、サブ機は京セラ製CONTAX T2に代え、X-PRO2と考えられ得る最高の道具立てて臨めましたし・・・しかし、全行程中、50mmの出番が一回もなかったのは自分でも不思議に思いました。

さて次回は、久々の大発明・・・ジャンクから四個イチで作り上げた執念の魔レンズの実写レポートおお送り致します、乞うご期待!!
  1. 2019/06/02(日) 16:19:21|
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charley944

Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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