
まずはじめに、このライカDIIは、別に当工房でI型からIIに換装したわけではありません。
1931年産まれで、後に産みの親であるエルンスト・ライツ社自身の手によって、当時の最新型のDIIに換装されたものと思われます。
この端正な漆黒の衣装を纏った貴婦人との出会いは、今でもはっきり覚えています。
新宿西口の某中古カメラ店ジャンク棚の隅で国産コピー機程度の安値を付けられ、ひっそりと新しい主を待っていた・・・それはもう酷い有様で、革は脱皮直前のザリガニの如く今にもごっそり抜け落ちそうで、黒のエナメルも手垢だらけだった。
しかし、何か気にかかるものがあって、普段は全くバルナック型、ましてやブラックボディのライカなどにはキョウミなどない小生が手に取ってよく見ると、へこみも、大きなキズも、ましてや、酷使の跡も見られず、ましてや、ファインダ、巻き上げ、シャッターなどは、手許のOH帰りのREIDといい勝負くらいでした。
そこで、ココロの整理がついて、この老貴婦人を連れ帰ることとしたのですが、安物の合皮を着せるのは何か畏れ多い気がして、ハンズで最上級の本トカゲ革を買って帰り、当工房で型紙を作成の上、張り直しをし、またエナメルはイオン交換水とマイクロファイバー布で拭い、ご覧のような美しい姿を取り戻したというわけです。
また、この全回転エルマーと言われるニッケルメッキの沈胴レンズの写りも大変素晴らしく、逆光にならない限り、低光量でもバランス良く発色し、開放から合焦部はほど良くシャープ、ボケはキレイに溶けるようなカンジで、絶好調のボディと相俟って、このコンビを深川界隈を提げてスナップなどすると、とても幸せなキモチにさせてくれます。
テーマ:バルナック型ライカ - ジャンル:写真
- 2008/01/12(土) 00:31:17|
- ドレスアップカメラ
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