深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Canon 50mmf1.8II改S

nanon.jpg
キャノンが創設当時から戦後暫くはニコンからニッコールレンズの供給を受けていたのは、クラカメファンなら誰しも知っていることですが、もしその逆があったら・・・

キャノンは、名匠、伊藤宏氏の活躍により、もはやニコンの助けを必要としないばかりか、性能的にも比肩、いや、国内にのみライバルを求めず、RFカメラの総本山、西独ライツにまで挑戦した志の高いメーカーだったと個人的には思っています。

しかし、性能的にも、またコストパフォーマンス的に優れていても、不運なことにそのレンズシリーズがあまりにも合理的で地味なデザインだったため、当時も今も、マニアックなクラカメファンには受け入れられていないのが実情だったように思います。

また、当時、開発されて間もない新種ガラスを特定部位、具体的には後ろから2群目、枚数的には3枚目になる張り合わせエレメントの凹レンズに採用したため、絞り羽根真後ろの空気に触れる被写体側が風化し、白く濁ってしまうことが多かったため、必要以上に評価を下げてしまっています。

そのため、当工房では中玉クモリや、前玉割れ・キズの50mmf1.8を十数本買い込み、主に改造用として、ヘリコイドのみ外し使っていたのですが、或る時、奇跡的に中玉にクモリのない個体を新旧1本ずつ買えたのです。

そこで、当工房では、この風采は上がらないが天才的な描写性能を持つ、勤め人風レンズをもっとオシャレにする方法を考えました。

それは、前玉、後玉で一番状態のイイものとクモリない中玉を組み合わせ、完全な光学系を作り上げ、これをニコンSマウント化するというアイデアでした。

キャノンがおそらくどのニコン純正5cmf2よりも高性能の標準レンズをニコンに供給し返す・・・そう考えただけで、なんかワクワクしながら拵えた2本のうち、1本がこちらSer.IIの光学系を使った2号機です。

写りは、開放では程よく柔らかく、色のバランス、コントラストもほど良く、後ろボケもゾナー系のようなとろけるようなカンジで、見て愉しく、使って愉しく、人を驚かせてまた愉快な、一粒で三遍おいしいレンズになりました。

マイクロニッコールばりの超シャープな怪物レンズ、Ser.IとIIのパーツミックスで拵えた1号機もお楽しみに。

テーマ:ニコンSマウント - ジャンル:写真

  1. 2008/01/16(水) 22:25:02|
  2. Sマウント改造レンズ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3
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コメント

わたしもキヤノンの50mmf1.8は大好きなレンズです。
おまけに安くて、コストパフォーマンス最高のレンズといえると思います。
それをニコンSに付けてしまうという自由な発想が好いですね。
しかも、本来使われることのないキズモノを使える部分を組み合わせて再生されているのですから、少なくとも製紙業界よりずっとずっと地球に優しいエコ・レンズに仕上げているということです。
同じレンズでも、SPに付いていると一味違った描写を見せてくれそうな妙な期待感もあります。

よろしければ、charley944さんのブログをリンクに貼らせていただきたいのですが、お願いできますか。
  1. 2008/01/18(金) 01:02:40 |
  2. URL |
  3. 中将姫光学 #-
  4. [ 編集]

中将姫光学さん
おはようございます。
なるほど、エコという観点から見れば、まだ直せば使えるものを直して使うという行為もまた立派なリサイクルですね(笑)

尤も、小生がこれらのレンズを作った動機は、まずは失われた古き良き時代へのノスタルジーであり、一時代を築いた技術への愛惜の念、そして、自己の技術へのチャレンジです。

リンクお申し入れの件、恐れ多いこととは存じますが、大変光栄に思います。是非宜しくお願い致します。
なお、当方のサイトからも貴サイトにリンクを貼らせて戴いて宜しいでしょうか?
  1. 2008/01/18(金) 10:28:03 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

ご承諾ありがとうございます。
わたしのも、使っていただければたいへん嬉しいです。

ただもったいないという発想からではなく、ノスタルジーと愛惜から再生したということが、リサイクルの原点です。
そういう気持ちと、伊藤宏氏の設計思想が結晶してオリジナルと同じかそれ以上のレンズに生まれ変わっているかも知れません。
  1. 2008/01/19(土) 01:10:21 |
  2. URL |
  3. 中将姫光学 #-
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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