深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Zurück Königin der Nacht~Carl Zeiss Cine-Sonnar50mmf1.5~

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【撮影データ】カメラ:Zeissikon ZM 絞り優先AE 全コマ開放 フィルム:Kodak Ektar100
回る月日は糸車と申しますか、早くも更新の日、日曜の夜がやって参りました。
今夜のご紹介は佐原総集編ということで、工房の秘密兵器、瀬戸内ツアーでも大活躍していた、独Carl Zeiss社の誇る、Arriflex用標準レンズBマウント期の最高峰、Cine-Sonnar50mmf1.5の登場です。

記憶の良い読者の方であれば、んんん、これって二度目ぢゃね!?という疑念を抱かれてしかりと思いますが、さにあらず、先般のエレメントにクラック入りのものは、Zeiss Opton製の戦後型で、こちらは、戦中型のZeiss Jena製のものです。

実は、工房では先のOpton製のものに加え、某有名中華ブロガーの方からのたっての依頼で一基Lマウント化しているため、今回のJena製個体は通算三号機となります。

このCine-Sonnar50mmf1.5も基本的には、レンジファインダー用のSonnarとレンズ構成は変わりなく、前から、凸1、凸凸凹1、凹凸凹1の3群7枚構成となっています。

そもそも、このSonnar50mmf1.5は同じくf2とともに1931年にC.Z社のベルテレ氏が特許を取得していて、その直後、1933頃にArnold&Richter社がArriflexをまずは軍用、一部報道用として実用化していますから、どちらも同じような時期に産まれた光学機器界の寵児だったのです。

そして、このSonnar50mmf1.5はまさにArriflex用交換レンズとしては、PLバヨネットが投入されるまで、つまり戦前、そして80年代初めまでは、戦後生まれのCooke Speedpanchro50mmf1.5spと並び、映画界最強のハイスピードレンズだったわけです。

第一線を退いた今も、この吸い込まれるような美しいエレメントはまさに「夜の女王」の面目を保っているのではないでしょうか。

では、早速、作例行ってみます。

まず、一枚目。
佐原祭りも最後の三日目、お茶をした一行は、最後の追い込みとばかりに小野川の下流、与倉屋の大土蔵近傍を決戦地と決め、悲壮な決意で出撃し、遥か彼方に牧歌的なお囃子を奏で、手古舞社中兼、綱引き人夫の一行を侍らせ山車がやってきました。
その水面に写る勇姿を一枚戴きました。
日は傾き始めましたが、冷たくなってきた水面に写る山車と一行の姿はとても美しく捉えられていると思います。

そして二枚目。
その山車一行が布陣地までやって来たところ、我々部隊は、タコツボから飛び出し、ゲリラ攻撃的にスナップをしかけます。
その中で、an・an、non・noみたいなファッション雑誌の読みすぎぢゃね?ってカンジのポーズを決めまくり、虚ろな目線を宙空に彷徨わせる小姐を狙撃。
と思いきや、シャター落す瞬間に、敵もさるもの、大口開けて絶叫する別の小姐の、画面内へのバンザイ突撃で、あえなく玉砕してしまったのであります。

それから三枚目。
ご本尊様であらせられるカエル印の移動要塞こと、小野道風山車は休憩もしくは補給のため、暫し、進軍を休止しています。
ここで、また我々は果敢に奇襲を掛けます。
ちょっとイイ男ぶった男衆が無謀にも小野川の手すりに腰掛け、小姐戦闘員と暫し歓談に耽っています。
手すりの向こうは冷たい水面がおいでおいでをして待っているというのに、なんと命知らずな男衆なのでしょうか・・・
でも、そんな杞憂ばりの妄想を持って、このシーンを撮っていたのは我々くらいで、客観的に見れば、すがすがしい青春の1コマにしか見えないのでありましょう。
合焦部はシャープでクリアですが、後ボケはちょっとだらしなく崩れてしまっています。

まだまだの四枚目。
今度は180度目を転じて見ると、非戦闘員である筈の年端もいかない小々姐が武具の手入れと戦陣訓の復誦かなんかをやってます・・・んなワケないか。
休憩中の小々姐達の粋な姿が、小野川沿いの土手の緑もバックに映えていますので、一枚戴き。
ここでは、見事お約束どおり、背景の草がぐるんぐるんに渦巻いています。

最後の五枚目。
移動要塞を遥か後方に望み、カエル軍達一向に進軍の気配がありません。
そこで、この軍律の緩さにつけこみ、果敢にスナップ攻撃をしかけるのですが、いたいた、まだ中学生くらいなのに、驚くようなリーダーシップを発揮してしまうような小姐が・・・
たぶん、或る小姐が「自分はもうダメであります、進軍の足手纏いにならぬよう、この場に捨て置いて下さい、身はこの場に朽ち果てようとも、護国の鬼と化して、皇軍の必勝を祈念致しますから・・・」とか殊勝なことを述べたので、「精神注入棒が必要なようだな、ちょっとこっち来い!」と手を引き連行していくようでした・・・んなわけないか。。。


ってなことで、手にするものをすべて従軍カメラマンキブンにしてしまうかの如き魔力を持ったレンズと半日過ごしたのでした。

めでたし、めでたし。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2009/10/25(日) 22:39:18|
  2. Mマウント改造レンズ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

こんばんは。
いつもにまして一瞬を捉えたのが伝わるすばらしいスナップ群になっていると思いました。
最後の腕を引かれる方の女の子は小顔の長身で、9頭身くらいありそうな、チャーリーさんに将来を嘱望されるだろう美少女ですし。
アリ・ゾナーも深度の深さと立体感の両立で、面目躍如たるものありです。

しかし、ここでもわたし以外は逆に褒めるのでしょうが、この色は目に厳し過ぎます。
前週のR-D1が自然な雰囲気を伴っていたのに比べても、特殊な狙いをもった写真に見えてきます。
文句ばかりで恐縮ですが、よろしくご指導ください。
  1. 2009/10/27(火) 22:18:59 |
  2. URL |
  3. 中将姫光学 #sKWz4NQw
  4. [ 編集]

中将姫光学さん
有難うございます。
このカットは中将姫光学さんが帰京され、G13さんが合流されてから、夕暮れまで気合いを入れて撮った一本です。

ここではあえて公開しませんでしたが、この藍染法被の小姐、女優のX田X梨香にそっくりの美形で、この年齢でこれだけであれば、ハイティーンになった時、本人を凌ぐ美小姐に成長するのではないかと勘繰ってしまいたくもなります。

ところで、この一見、超ハイコントラストで発色もどぎつい画面ですが、ようやく原因が判ってきまして、要は、M8で使うため、殆どのシネレンズに常備のDHGフィルターと、EKTARフィルムの発色特性の相乗効果により、青~青緑の領域が必要以上にブーストされ、これがプリントならまだしも、自発光の液晶画面で見ると、光に対する肉眼の感度はこの領域が一番鮮鋭とのことですから、他の色とのバランスにおいて不自然に感じられてしまう場合があるのでは、とみています。
  1. 2009/10/27(火) 23:40:38 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

全体に、妙なライブ感のある映像です。
色の特殊性はともかく非常に気に成る描写で、背景アウトフォーカス部の個性も往年ライツ個性派を彷彿させる荒あらしいものです。
arriならかなりの良像画面を稼ぐと思われますが、35mm版で再現されることで、一般にきれいなボケ味といわれるzonnarのキワドイ部分を露呈してしまったという様ないけない気持ちでいっぱいです。
それでもライカ判50mmの画角を完全に覆っているのなら上出来ですし、暗闇のなかの映像を奪い取るといったハイ・スピードレンズの主眼点を達成するためのレンズとする凶暴ささえ、今回の作例からは充分に伝わって来る・・・。

わたしにとって今回の紹介は、時代の雰囲気を彷彿させその潜在能力をしっかりと感じさせるに充分なものと感じました。
  1. 2009/10/28(水) 21:49:31 |
  2. URL |
  3. Treizieme Ordor #-
  4. [ 編集]

Treizieme Ordor さん
有難うございます。
"全体に、妙なライブ感のある映像"・・・
まさにこれがシネレンズで撮った画像のシネレンズたる所以で、今回の写真展のメインになってしまった街角のオブジェ撮りよりは、人の営みをそのまま写し撮った今回のような撮り方の方が、通常のスティルカメラ用レンズとの違いは判り易いと思います。

がしかし、相当数の人の目に触れる写真展で、明確な公開の承認を文書で取り交わしていない成人写真を出すのは、リスク高いですから・・・

ところで、同じZeiss製のレンズでも、全てにおいてスマートで破綻の無い手堅い写りを見せてくれるPlanarと今回のように大暴れするSonnar、ほんの1絞りの差なのにここまでの違いはまさにオーピック発展型とトリプレット発展型の生い立ちの違いなのかもしれませんね。
  1. 2009/10/28(水) 23:34:26 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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