深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

A leathal pancake~Schneider Cine-Xenon28mmf2 mod. for M mount~

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【撮影データ】カメラ:R-D1s、ISO400~800 絞り優先AE 補整+1/3 全コマ開放

さて、今週無事、日曜の晩を迎えることが出来ました。正確に申せば、写真展のアテンドやら、このところの冷え込みやらで、結構な腰痛を抱えての更新ですが・・・

まずは、写真展完遂の御礼から。
遠くからわざわざ「新宿西口写真修錬会第三回写真展」にご来場戴いたお客様、ほぼ毎日通って戴いたお客様、初日と千秋楽に訪ねて来られたお客様をはじめ、色々な来場客の方々がおられ、そういった方々のご厚情で、何とか無事に写真展を最終日までやり遂げることが出来ました。
深く御礼を申し上げます。

最終日の来場者の方々からも、次回の予定、コンセプトに関し複数ご質問、ご要望がありましたが、修錬会では千秋楽の後の打ち上げというか、反省会で次回のコンセプトに関し、一同、熱い議論を戦わせており、それほど遠くない将来に方向性は決まるのではないかと思います。

ただ唯一決まっているのは、次回も写真展を行うこと、更に斬新なコンセプトを模索していくことです。

さて、本題に入ります。

今回のご紹介は、当工房で最も得意とするArriflex用レンズ改造のうち、いわゆる「第四世代改造」と名づけた、Arriオリジナルの鏡胴から光学系ユニットを取り出し、別のヘリコイド&マウントユニットに移植するという技術で製造したものです。

その光学系ユニットはArri.用Cine-Xenon28mmf2、そして、ヘリコイド&マウントは、何と、エルカン社製3代目エルマリート初期モデルのパーツを奢っています。

工房で異種レンズ間の結合作業である「第四世代改造」を行う際は、レンズのドライヴ量(無限⇔最近接)と距離計連動カムの押し込み距離が合わないので、それを合致させるべく、かなり綿密に実焦点計測と傾斜カムのプロファイル補整を行いますが、今回はその作業は全く不要です。

何とならば、贅沢なことにもエルンスト・ライツ社(当時)はCL用を除く、M用広角、望遠レンズには、全て光学系と距離計連動カムがそれぞれ独立したドライヴ量を持った、いわゆるダブルヘリコイドという機構を採用しているので、光学系の実焦点距離と28mmという基準焦点距離との差が焦点距離vs開放値から求められる被写界深度の範囲であるならば、全く調整不要というワケなのです。

前置きがまた長くなってしまいましたが、作例行ってみます。今回も三本一緒にテストした都合上、深大寺編です。

まず一枚目。
深大寺といえば、蕎麦、かつては豊富な湧き水の水流を利用した水車での蕎麦粉の脱穀、製粉が広く行われていたようで、その名残りの設備が観光用として残してあります。
その夕陽に映えた水車の雄姿を一枚戴き。
ここでは時計で言う1時の位置でピンを置いて、かなり速く回る木製の水車を捉えようとしましたが、中央の水車本体はかなりシャープかつ鮮やかに写っているものの、周辺のオフフォーカス部はかなり暴れ気味です。

続いて二枚目。
陽が傾いてきたため、このところお気に入りの撮影スポットである、深大寺城址に向かいます。
ここでは、日立グループの宣伝に出てきそうな巨大な古木とくたびれたベンチ、そして、無名戦士の墓標の如き石柱が整然と並んでいます。
秋の日暮れ、座る人も居ない侘しいベンチに季節感を捉えようとしました。
ここでも中央は発色もシャープネスも十分ですが、周辺のオフフォーカス部、特に前ボケにあたる箇所の暴れが目立ちました。

そして三枚目。
何枚かシャッターを切って満足した工房主は足早に城址を降り、水生植物園に向かいます。ここで、得意技?の被写界に水面反射を入れた構図にチャレンジしました。
奥から二番目の張り出した木の柱にピンを置きましたが、ここでは、画面内のオブジェ配置の関係もあってか、それほど、周辺のオフフォーカス部の暴れが目立ちません。

まだまだの四枚目。
テスト撮影と並び重要な使命である、新蕎麦の味見も忘れるワケにはいきませんから、水生植物園での撮影が終わり次第、お寺の参道へと向かいます。
その途上で、カラフルな幟がはためいてましたので、発色と奥行き感のチェックのため、一枚戴き。
ピンは手前から二枚目の幟に置いていますが、ここでも、被写界全般にわたり、かなりクリアでシャープで普通の良く出来たレンズみたいに写ってしまっています。

最後の五枚目。
モノの写真ばっかり載せていると、損したキブンだとか、今週はもの足りなかったとか、手厳しい感想を述べられる危険性もありますから、小心者の工房主は、またしても、茶店の姑娘にご登場願います。
姑娘の手許にピンを置いていますが、一見すると、顔がピンボケみたいに見えます。
しかし、同一ピント面である筈の手元を初め胸元など、PCのモニターで2倍、3倍と拡大してみても、ピンの芯は残っており、要は上の強い光源が起こしたフレアと中心部から外れたことによる球面収差のいたずらが引き起こしたソフトフォーカス現象だったようなのです。

このレンズ、Xenonのシャープで醒めた発色というステレオタイプからはちょっと離れた、柔らかめで暖かい発色をする異端児みたいです。
フレアについては、再度、エレメントを点検、清掃してみますが、先に作った、カミソリ並みにシャープな2本(2枚)のパンケーキ型レンズ達と比べても、案外面白いレンズなのではないかと思った次第。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2009/11/15(日) 21:03:50|
  2. Mマウント改造レンズ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:17
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コメント

お疲れ様でした

お疲れ様でした。本当にすばらしい写真展でした。次回も楽しみにしております。作品もレンズも制服も良かったですが、何よりグループの方々の人柄がすばらしかったです。
  1. 2009/11/15(日) 23:48:02 |
  2. URL |
  3. hirata #JalddpaA
  4. [ 編集]

写真展、お疲れ様でした!
察するところ、多くを獲得出来た様な写真展だった様なので、なによりです。

今回の28mmは、意外と古典的な描写なので驚いています。
ピントの足が、奥行きに向かっているラストのカットは、一連のシネ・クセノンとは全く異種な描写ですが、これはこれで面白そうです。
色は、クセノン一族の落ち着いた色濃い描写と納得出来ます。
もっとも、f2という大口径広角レンズなので多くは期待できないかも知れませんが、最新仕様のライカやコシナ製とは全く描写特性が違うところに興味が持てます。
水車、木橋、灯篭と、非常に情感溢れる描写は、改造シネレンズへの道のりが遠い私達に、ズマロン28mmを彷彿させる妙な安堵感をおぼえました。



  1. 2009/11/16(月) 01:34:29 |
  2. URL |
  3. Treizieme Ordor #-
  4. [ 編集]

写真展お疲れ様でした。
って、もう何度も言ってる事になりますが、いろいろ手ごたえを感じた8日間でした。

さて、2枚目、3枚目の写真を見るとピントよりも色の出方がしっかりした(勝った)描写に思えます。
色の偏りとか滲みが少ないのでしょう。
しかし、28mmでF2は凄い事で、フルサイズで使えたらと思いますが、それは止む無しですね。


  1. 2009/11/16(月) 02:19:40 |
  2. URL |
  3. netdandy #B7IDXB7Q
  4. [ 編集]

写真展おつかれさまでした、
火曜日に昼一で見に行きましたがアリレンズの大伸ばしプリント群に感動しました!
いやースゴかったです、
深川精密工房さんの技術力と情熱に脱帽です!
会場にいた方に1枚1枚親切に解説もしていただいたので、
どっぷりディープに楽しませていだきました、

アリクセノン28/2.0は16用じゃなくて35mm用なんですね、
水車の写真見ると写りも頗るそそられますね~、
ひと月くらい前にe-bayで安かったのを落としそこなったのが悔しいです(笑)

仕事とは別に個人的にCマウントのブログ(ちょっとだけアリレンズも)をゆるーくやっていますので、
よかったら見て下さいませ、
  1. 2009/11/16(月) 19:57:26 |
  2. URL |
  3. lumi-T #tpfxDuaM
  4. [ 編集]

hirataさん
有難うございます。
写真展会場では、最終日ということもあって、慌しい中、満足にお相手も出来なかったのではないか、とやや不安にもなりましたが、そこそこ楽しんで戴けたようであれば、幸いです。

また次回のプロジェクトも始動しつつあり、新宿西口写真修錬会では、決してクローズな結社ではなく、mixi上の"ノンライツRF友の会"を母体としたオープンな集団なので、そちらを覗いて戴ければ、だいたい最低月一回は撮影会やらミニオフ会やら、時には市川写真工業元編集長殿にもご来臨戴き、似たような顔ぶれでイベントやってますので、ご都合宜しければ参加下さい。
  1. 2009/11/16(月) 21:31:25 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

Treizieme Ordorさん
有難うございます。
そして写真展、お疲れさまでした。
或る意味、ほどほどの大きさで、適当にハデ目な色づかいのカットを数枚並べるより、あの畳半畳近くある巨大プリントの方がシネレンズの何たるかを語るには相応しかったのではないか、という気さえしました。
これも、深川の技術を信じて、果敢なチャレンジをして戴いたことにより、Arriレンズの新たな伝説が生まれたワケで、感謝の言葉も尽きないほどです。

さて、本題のシネクセノン28mmf2ですが、ご慧眼の通り、比類なきシャープさと涼しめの発色をセールスポイントとするシネクセノン一族にあって、一見すると、異端とも言える牧歌的な全体感を漂わせた描写となっています。

しかし、目を凝らしてみれば、最終カットの女性の手あたりの異様なまでの緻密な描写などが、やはり同じオーピック型のズマロンや、国産の28mmレンズ達との氏素性の違いをさりげなく主張しているのではないかと思います。
  1. 2009/11/16(月) 21:41:03 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

netdandy さん
有難うございます。
幹事さん兼プロジェクトマネージャの大役、本当にお疲れさまでした。

さて、今回のレンズ、確かにピントのシャープさよりも、発色のバランスとれた艶やかさに目がいってしまいますね。

しかし、画面中央部では、三枚目の水面の描写しかり、やはりスティルカメラ用の市販レンズとは別の臨場感を見せてくれたのではないかと思います。

このレンズ、たまたま会場にM9をご持参戴いたお客様の協力を得て、試してみましたが、デジのフルサイズですと、真ん中の上下にくっつくくらいのイメージサークル、即ち、36mmくらいしかないので、このようにR-D1sとか、M8くらいまでは観られる写真になりますが、フィルムでも、デジに較べれば周辺はまだ寛容だとは思いますが、やはり相当のブラックアウトが目立つのではないかと思います。
  1. 2009/11/16(月) 21:48:19 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

lumi-Tさん
ご来場&コメント有難うございます。
貴ブログも拝見しました。
こういったイベントにより、色々な楽しみ方をしているマニアのネットワークが広がるのもまた楽しみのひとつではないでしょうか。

深川では、縁有って、このところ、また珍しいレンズヘッドが続々集まっており、改造プランを考えるだけでも年内一杯は退屈しているヒマがないほどです。

今後ともどうぞご贔屓に。
  1. 2009/11/16(月) 21:52:06 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

写真展、お疲れさまでした。

こんばんは。
写真展、こっそりと拝見させて頂きました。
レアなレンズを掘り起こし、マウント改造までしてしまうcharely944さんの作品を生で拝見出来て大変感激しました!
レンズ紹介付きで「なるほど~!」と思いながら...、使用レンズとロケ地からの撮影者のプロファイリングも楽しかったです。
モニタと違い、プリントの存在感も良かったです。
既に次の企画もあるとのこと、今後の展開も期待して楽しみにしますね。
  1. 2009/11/18(水) 22:21:26 |
  2. URL |
  3. andoodesign #WSWGH/LU
  4. [ 編集]

andoodesign さん
有難うございます。
芳名帖にそれらしき痕跡を残されていたので、中将姫光学さん他と、おぉぉぉぉ、あのM9遣いのandoodesignさんがいつの間にか来場されていたんだ!と驚き、またお会いして話が出来なかったことに少々残念な気持ちを覚えました。

次回こそは、拙作を前にレンズの話も含め、実際にお会いして歓談出来ますよう、期待しております。
  1. 2009/11/18(水) 22:52:21 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

今回、連休中の撮影旅行にはこの「柔らか系」レンズをお持ちなのでしょうか.

ちょっと新趣向で、昼間の景色も楽しみですが、沖縄でf2クラスになると、M8の1/8000でないと無理じゃないでしょうか?

(余計な心配でした・・・。)
  1. 2009/11/21(土) 11:17:19 |
  2. URL |
  3. Treizieme Ordor #-
  4. [ 編集]

いいなぁ・・・・南国・・・・・

ボクも、何にも考えないで
可愛い女の子の写真撮りに行きたいです~~~~~

(水着もあるのかなぁ・・・・・・w)
  1. 2009/11/21(土) 21:20:24 |
  2. URL |
  3. 山形 #-
  4. [ 編集]

(勝手なおしゃべり。)

今回の「三連休」は、お正月の予行訓練みたいで、東京からも車がずいぶん減ったような様子がありました。(あと、一日あります)

それとなく、各所から写真の「リクエスト」が入ってきているようですが、わたしは70mm有孔ブロー二ーサイズ用映画レンズのスチル作例を拝見したいです。広角50mmなんて、ガラスの枚数が多そうですね。(南方と「方角が」違いますが・・・。)

より現実的には、「懐かしの、あの映画・・・。」ふう、スチルでの追憶といった、色再現に重視を置いたシリーズ・・・。


そういえば、シネマレンズ持って出かけたかも、存じませんが・・・。











  1. 2009/11/23(月) 01:12:37 |
  2. URL |
  3. Treizieme Ordor #-
  4. [ 編集]

Treizieme Ordor さん
たびたび有難うございます。
まずシャッター速度ですが、あいにくの曇天続きでしたので、幸か不幸か、Zeiss IkonZMであれば、1/2000の威力で全く問題なくEktar100を使えました。

ところが、アホなことに出発前の晩、パンケーキで楽しめるワイ、うひひひとかほくそえみながら、分解して玉を磨こうとしていたら、ブロアで吹いた途端、絞り羽根が四散し、結局、夜1時半過ぎまで掛かっても復旧出来なかったので、そのままゴミ箱に放り投げたい衝動を抑え、防湿箱にそのまま仕舞って出掛けた次第。

それから、写真のリクエスト云々とは、例の映像大魔人のことですか?

としたら、来週にでも、第三次訪問隊を結成しますので、お願い事をコンパクトに纏め、楽しみに待ってて下さい。
気が向けば、きっと叶えてくれることでしょう(笑)
  1. 2009/11/24(火) 22:49:55 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

山形さん
有難うございます。
今回は、今までと違い、いわば街撮りの流儀に反した、声掛け作戦に出ましたので、2~3歳のホントに可愛い黒人の女の子から、16~17歳の浜辺で逢ったポスト新垣結衣みたいな薄着の美少女までよりどりみどりです。

でも、ここで紹介したものは、写真展には出さない方針なので、写真展向けにとっておこうと考えていますから、来年暮れまでガマンして下さいね♪
  1. 2009/11/24(火) 22:54:30 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

(ごめんなさい!リクエストの記事、自分で再読しても曖昧な内容でした。)

大魔神宅へ行くのならば、ワタシはなんのお土産も無いので、先日の写真展・写真集一部持参しようかなと思いました。

  1. 2009/11/25(水) 22:00:02 |
  2. URL |
  3. Treizieme Ordor #-
  4. [ 編集]

Treizieme Ordor さん
有難うございます。
あんな貴重なものを献上するとは・・・
映像大魔人サマもお喜びになられることと思います。
が、しかし、貴兄は二部発注されていたのでしたっけ???
  1. 2009/11/25(水) 23:16:45 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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