深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

A tremendous kimera~Fukagawa Extra Anastigmat 50mmf1.7~

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【撮影データ】カメラ:R-D1s 絞り優先AE 露出補整+1/3 全コマ開放
さあ、年の瀬も押し詰まってまいりましたが、日曜日は恒例の深川精密ブログの記事更新の日です。

生来が横着で行き当たりばったりの行動パターンが全然抜けず、「3つ子の魂百までも」或いは「雀百まで踊りを忘れず」を地で行く工房主は、今週は、順番で行けば、秘宝館から何か出す順番なのですが、それを見越しての撮影を土曜までに行っておらず、今日もお昼前から、新しく仕入れたレンズヘッドに夢中になっちゃって、陽のあるうちにカメラ持って撮りに行くなんてことは出来ず、夕方まで旋盤だのボール盤と戯れてた次第で、仕方なく、また鮮度が低いの、出し惜しみの、文句が出そうですが、今月初めに秘密結社「新宿西口写真修錬会」の撮影ツア-で行った、深大寺の紅葉と諸々の事物から行きます。

と雑談的な前置きが入りましたが、まずは今回のレンズの紹介から。
見た目はまんまキャノンのL50mmf1.8そのものです。
なんで、こんなありふれた安物、何で二回も出すの???とお叱りやらやじが飛んできそうですが、さにあらず。

鏡胴の銘板はオリジナルのものが間に合わなかったので、そのままにしておいたのですが、これ、キャノンのライカマウントの標準ぢゃありませ~ん。

ぢゃ、何なのさ・・・との声もむべなるかな。ここで工房主に説明責任が発生するのですが、これは、開発名称を"Fukagawa Extra Anastigmat 50mmf1.7"と言い、構成は3群5枚のオリジナル構成です。

そもそも、キャノンの50mmf1.8は、第三群、絞り直後の凹レンズが曇るというより白濁し、酷いものでは風化に近い状態になってしまうことが非常に多く、この対策として、川崎の協力工場では、白濁しない新硝質の換え玉を開発し、依頼人の了解が得られた場合、これに交換するのは、以前こちらで紹介した通りです。

しかし、この方法にも、大きな課題があって、それは、レンズを買った値段の3倍近く工賃が掛かり、しかも治したところで、そのキレイで良く写るようになったレンズの市場価格さえ、修理賃には及ばないということで、よほどの物好きか、キャノンに思い入れが有る人間くらいしか、実際は注文しないのです。

となると、一個、交換して元の性能を確認してしまえば、手許に有る十数個のキャノン50mmf1.8から2個目以降にまでお金掛けてまで、修理しようという気にはならず、マウントパーツを取った後の光学系はごろごろ余ってきます。

前玉や後玉に致命的な欠陥が有っても、アキレス腱であり、写りの要めであるこの第三群が無傷というものは、滅多に出ませんから、そうなると、第一群の大きな凸レンズ(+)と、第二群の凸凹貼り合せ(-)、そして、第四群の極めて弱い凸レンズ(+)一枚のストックだけ増え続けるわけです。

一方、パーツ取り用には、ウクライナからも膨大な数のジュピター8Mやら、ヘリオス103などを取り寄せていますし、それらもマウント目当てなので、エレメントは同様に余るばかりです。

ところが、或る日、ふと閃くものがあって、異種交配を試みました、そう、キャノンの第一群、第二群と、劣化してしまい使い物にならなくなった代わりにロシアのエレメントが第三群の代わりに使えないものかと・・・

投影像使い、群単位の焦点距離調べ、スリット通したレーザ光での光路追跡まがいのことやって、何とかでっち上げたのがこの組み合わせ。

見よう見真似で、無辜のキャノンレンズを台無しにされてしまうのも不本意なので、どのパーツをどのように組み込んだかは解説しませんが、要は前半分が純粋なWガウスタイプ、絞りを挟んだ後ろ半分が生粋のゾナータイプとなっているのです。

キャノン第四群はいわゆるフィールドフラットナーと呼ばれる、画面の周辺までの歪曲を除去する作用を持つのですが、これを無くしてしまったため、中央部の解像度はかなり高いのですが、周辺が流れるようになりました。

結構、クラシックレンズっぽい写りになったので、これはこれでスナップに使うと面白いので重宝しています。

では、早速作例行ってみます。

まず一枚目。
Wガウスとソナーのキメラですから、そのDNAの出方をはっきりさせる必要があります。
そこで、テスト一枚目は参道の茶店が出している真っ赤な唐傘と背景に紅葉を入れたモチーフで撮ってみました。
ピンは当然、唐傘のエッジに置いているので、シャープに写るのは当たり前なのですが、ボケが、球面収差の見本市みたいになって、背景が紅葉なのか、海ぶどうとイクラではないのかと、判らないくらいユニークにボケています。

そして二枚目。
今回のテストも結果を見ながら次なるテストパターンを探すという行き当たりばったりのやり方ですから、R-D1sのモニタでなかなかばっちり決まっているのに気を良くして、ゾナーの苦手とされる最近接いってみました。
山門前の裕福な蕎麦屋が自前で誂えた五百羅漢のソロ出演みたいな石造をドアップで捉えます。
ここでは、人間の顔面に相当する部位は、恐ろしくシャープで質感も十分に捉えていますが、下は合わせた両手から下、頭は頭頂部から後頭部にかけてが、球面収差を抑えきれず流れかけています。
ここでも背後のボケは独特です。

それから三枚目。
参道に赤い暖簾をかけて、その向こうの小さな中庭で蕎麦やらぜんざいを食べさせている店があり、その暖簾の手前に小さな楓が植わっていて、ちょうど、西日が暖簾越しに射してきました。
そこで、今度は赤の描き分けのテスト。
ここでも、バックの独特のボケも相俟って、手前の楓の紅葉は浮かび上がらんばかりに撮れたのではないかと思います。

まだまだの四枚目。
近接性能とボケ具合を調べて、使えそうなレンズということが判ってきたので、中距離での人物像にチャレンジです。
物色して歩いていたら、ちょうどイイ案配の親子連れがくだんの茶店の前で、オヤジと思しき中年男性が、傘を揺さぶる子供に「傘なんか回そーたって、染之助・染太郎ぢゃねんだぞ、オラ」とか到底分かり合えないようなオヤジギャグ飛ばし、周囲を寒さのどん底に叩き落しています。
その寒い情景を一枚戴き。
この距離では、画面周辺の長辺部分が球面収差により流れ、中央のシャープな結像との対比で妙な画面効果を作り出しています。
しかし、不思議と渦は巻かないのです。

最後の五枚目。
次なる獲物、もといテスト対象を求め、境内を徘徊していると、いかにも冬っぽいカッコの小姑娘が一人で徘徊しています。
まだうら若い身空で徘徊とはお気の毒に・・・とか、近頃、晩飯時には、ランチメニューすら思い出せなくなってきている中年男が同情しながら、シャッターを切ります。
ここでも画面中央のモチーフたる小姑娘の髪の毛など、一本一本が識別出来るくらいシャープに写っていますが、画面の長辺方向では球面収差で結像が緩くなっています。

このレンズはまだまだ調整段階なので、エレメントの組み合わせ、それぞれのクリアランスなど替えて、色々テストの上、ベストコンディションを見つけ出したいと考えています。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2009/12/20(日) 21:22:07|
  2. その他Lマウント改造レンズ
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  4. | コメント:14
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コメント

これはとても面白いレンズですね。さすがcharleyさんのチャレンジ精神は素晴らしいです。球面補正不足のボケの輪郭は見えますが、特に近距離の描写が優れているように思います。
中・遠距離画像の周辺のボケの形がよく分からないので、断言できませんが、コマ収差や非点収差はほとんどなさそうですね。むしろ4,5枚目の画像の周辺への流れ方を見ていると、像面の湾曲が少し残っているのではないかという気もします。これからの進化が楽しみです。
  1. 2009/12/20(日) 23:57:32 |
  2. URL |
  3. kinoplasmat #lpavF/Xw
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先日は、この貴重な試作レンズを使わせて頂いてありがとうございました。

わたしの使用したフルサイズの35判では、それよりも画面サイズの小さい距離計付きデジカメとは違い、その上がりにちょっと・・・と思いましたが、あらためてこうして画質を拝見してみると、最初に見た驚きがよみがえって来るようです。

1-3枚目で、バックのぼけ具合も良くコントラストもある、比較的素性の良いレンズと感じました。
ここで発見したのは、接写する事でイメージサークルが広がって、それが好結果を生んでいるということです。
4・5枚目の、実際のところ周辺を絞ることで、どのように変化するのか、私はうっかり試すのを忘れてしまいました。が、収差の向きはペッツバールとも違うような拡散してゆく様子に、ではこれは何だろうと考え出すと止まらなくなってしまうオソロシサが、この改造レンズにはあります。(とりあえず、改造の組み合わせに帰着させることとして・・・。)
通常使用なら、マイクロフォーサーズなら100mm相当で普通に使えそうなのが、(こんな妙な改造の割には)驚きです。

この構成は、トプコン辺りに50mmf1,5のガウスxゾナーの近似を感じましたが、そのように後ろ側の構成を三枚張り合わせにしたら、もっとイメージサークルが広がったのではないかと、考えてしまったりしました。(でも、そうなると、ヌケが悪くなるのかな・・・)

いずれにせよ、商業的な考慮も無く、すぐに画質確認が出来るこんな実験が出来るとなると、収拾のつかない検証と創意の「泥沼」に入り込んでしまいそうです。

しかしながら結果としては、レンズ設計において過去に実際にあった実証的にして素朴な組み合わせ設定の再確認としても、今回は非常に興味深い現場に立ち会っていることを感じると供に、撮影行為の初元的な場面に在ることをも感じないわけにはゆきませんでした。

それはひとつには、特定のレンズが再現する映像という事と、もうひとつは、写真行為の立脚点という事です。

(写真の歴史当初に調達された、各種レンズに思いを巡らせたりしながら。)

  1. 2009/12/21(月) 04:09:11 |
  2. URL |
  3. 13 ordre #-
  4. [ 編集]

kinoplasmatさん
有難うございます。
さすがにご指摘が鋭いですね。
中心部のシャープネスを上げるのはそれほど難しくはないのですが、画面全体の均質性確保が一番難しいのです。

実は、オリジナル設計のレンズは今回が3回目なのですが、2回目にテッサー型の広角をかつて設計・試作した時、やはり、周辺が無様に崩れて、それこそ「地球の破滅15分前」みたいな不気味な画面になってしまったので、苦労して慣れない傾斜カムまで切った個体を大慌てで運河に放り込んだという経緯があります。

しかし、今回のものは、中心部の優れた解像力、画面全体の発色の素直さ、周辺の流れもそれほど不快ではなさそうなので、もう少し改良に努めてみたいと考えています。
  1. 2009/12/21(月) 21:27:53 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

13 ordre さん
有難うございます。

そうですね、イメージサークルの小さなレンズ、例えば、シネレンズであれば、周辺がブラックアウトしてしまい、ぐずぐずに崩れたシーンは目に入らないので、それはそれとして、撮影者にも製造者にも精神衛生上イイわけですが、今回のものは、イメージサークルは広い反面、最後群のフィールドフラットナー抜きで絞りの前の光学群とパワー均衡させていますので、距離によっては、ご慧眼の通り、像面歪曲が出ます。

実は、この現象は、Minoxに凝っていた頃、そのレンズ設計とR付き圧板の秘密を知っていたので、ピンときてはいたのです。

しかし、その処方箋は、レンズ設計ソフトにかけないまでも、

第3群の+パワー弱めて後ろに極弱い+パワーの異曲率両球面凸レンズを嵌める(≒伊藤理論)、或いは、最前玉の+パワーを弱め、同様の凸レンズ配置をとる(≒伊藤理論)。
或いは、第3群を張り合わせの凹凸をやめ、凹の-パワー弱めた上で最後玉を極弱い+パワーの異曲率両球面凸レンズに換える(≒クセノタータイプ)

と被写体とのあらゆる距離で像面歪曲を抑え、均質な画面を実現しようとすると、既存の光学系に帰趨してしまうことが容易に想像出来ます。

つまり、自分で試して、写してアラを探し、その原因に思い巡らすことこそが、まさに生き残ってきたレンズ構成達のクロニクルを辿ることでしょうから、これはこれで楽しいですよ。
  1. 2009/12/21(月) 21:57:27 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

こんばんは。
これは邪道だ! と顔をしかめる人たちの姿がまぶたに浮かびますが、わたしは大歓迎です。
たいへん興味深く拝見しました。
コンピューター導入以前の戦前のレンズ設計は、計算を超えたところで同様なトライアンドエラーから名作が生まれたのではと想像します。

中心部のシャープネスがすごいですが、オリジナルの50/1.8と比べていかがでしょうか。
周辺ががちゃがちゃしている分、こちらの方がシャープに感じられます。
強烈なボケもヘクトールを思い出させますし、反射の光源を見れば、コマ収差や非点収差は無さそうです。
立体感もすばらしいと思います。
周辺が崩れてそう見えるということではなく、4枚目の親子の位置関係などによく表現されているからです。

これはこの状態でストップさせて、2本目を新たに始めてもいいかも知れません。

先週分で女性バックパッカー風という表現が不評をかってしまい申し訳ありません。
これは知り合いの撮る写真に似ているとおもったところからの言い回しでして、時間が有り余って現地に溶け込み、現地人の中に入り込んで違和感を与えない、女性特有の視線というものがわたしなどにはまったく撮り得ない表現をします。
いつもの浅草や築地等の写真に見られる撮影者の主観的写真に比べて、内面的に捉えているということを言いたかったということです。
こういうコメントでは、言葉足らずで誤解を生むことが多々あるということが分かってきたので、以降注意いたします。
  1. 2009/12/21(月) 22:54:11 |
  2. URL |
  3. 中将姫光学 #sKWz4NQw
  4. [ 編集]

開放撮影堪能(?)が、ミノックスと知らぬ間に結びついていたとは驚きました。

絞りの無いという着想は、身近ではプロジェクターに見掛けますが、工業用あるいは監視カメラ等多岐にわたるのでしょうか・・・。

そのほか、撮影用かどうか際どいところに、1860年代あたりのペッツバール・タイプ・レンズで、差込み絞り開口が無く、これの胴鏡内にあらかじめ絞りに相当するような隔壁があったり・・・。

ホロゴンやテッサータイプのミノックス・レンズはちょっとした究極の姿かもしれませんが、レンズ設計上のありかたあるいは画像製作用として、開放での画像が告げる作品制作上の制約は、レンズ・ひいては写真のあり方そのものを問いかける挑戦としても興味深いものです。

超大判での撮影で、薄紙程度の深度しか無いという製作作品を思い出しました。(参考:アービング・ペン、ジャン・グルーバーなど)
  1. 2009/12/21(月) 23:17:21 |
  2. URL |
  3. 13 ordre #-
  4. [ 編集]

収差のお話は、元々の狙いに加え、皆様のコメントがあったので、別の点でひとつ。

R-D1で撮影したというデータから見ると、発色が素直と書かれていましたが、なぜか飽和点が低いのかなと思われる色合いになっているようです。
あるいは黄色系の色味が少ないのでしょうか。

なぜかいつものR-D1の色とは違うように感じました。
  1. 2009/12/22(火) 03:31:31 |
  2. URL |
  3. netdandy #B7IDXB7Q
  4. [ 編集]

中将姫光学さん
有難うございます。
この荒削りで未完成なレンズを好意的に評価して戴き深謝申し上げます。

レンズ設計は今般、安価な市販ソフトのお陰で、素人でもそこそこ高性能なものの設計は出来るようになったようですが、いかんせん、設計図を描くのと組み立て、ましてや市販を前提とした量産まで考えてしまうと、まさに机上の空論で終わってしまうことが多いと思います。

そういった意味では、度重なる失敗を恐れず、ご自分の理想の設計を限定数とは言え、実際の量産・販売に踏み切った船橋の老匠の情熱には頭が下がる思いです。

そこまではとても出来ませんが、完成された、良く写って当たり前の光学系をリマウントして、距離計連動、或いは一眼で使えるように出来るようになっても、やはり、一線を越えてみたくなるものなのですね。

それは自分で光学系を作り出すということ。

実は二号機用のパーツ準備は完了し、一号機からの改善点もチェックしてあるので、冬休みの宿題として改良機を組み上げてみたいと考えています。

それから、小生のイメージする一般的なバックパッカーのステレオタイプと中将姫光学さんのお知り合いの特定のバックパッカーとの違いで、あのような不躾なもの言いになってしまったようなので、どうかお気になさらなずに。
  1. 2009/12/23(水) 22:41:22 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

13 ordre さん
再び有難うございます。
今回の周辺の歪みは、古典的な光学理論の教科書を取り出し、よくよく読んでみれば、ザイデルの5収差のうち、まさに像面湾曲の典型例だったわけです。
これは、予想通り、最後面のフィールドフラットナーを外してしまった副作用、というか当然の成り行きで現れた収差現象であり、中心部分の解像度向上とのバーターでもあります。

ミノックスは判りづらい喩えだったかもしれませんが、最も身近な例では、富士の写るンですなどのレンズ付き使い捨てフィルムの圧板がそのまま焦点面に沿って湾曲していますし、もっと端的には、まさに我々の網膜そのものの構造です。

このレンズ専用に曲面持った圧板でも製造しましょうか・・・
  1. 2009/12/23(水) 22:48:15 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

netdandyさん
有難うございます。

発色の詰まり感の件、さすがですね。

このコーティング、80年代最後のジュピターの後玉は何故か、シャンパンゴールドとか、ウィートブラウンを飛び越えて、真っ黄っ黄のクロームイエローに近い色(=反射光)で、キャノンの第一群もランタン系ガラスのため、ライトブラウンのコーティングです。

となるとどういうことが起こるかと言えば、黄色~茶色までの補色、即ち寒色系の透過量が多くなり、発色が詰まったように見えてしまうのでしょう。

そこで、二号試作機ではキャノンの第一群を通常の弗化マグネ単層の薄いブルーのものを用意し、ジュピターの最後群も青いコートの70年代半ばのエレメントで調整しています。

今度は、赤が飛び抜けた発色、そうツァイスDNAがもっと濃く発現するようになる筈です。
  1. 2009/12/23(水) 22:56:51 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

レンズ研究書の「望遠」の項目から・・・。

今日、たまたま望遠レンズの事を調べるおり、キングスレークの本にこんな一文がありました。

それは、セット型望遠レンズの記事で、

『・・・後群は前群の残存収差を拡大し、明るさを減ずる効果があるので、前群はなるべく明るく収差も十分、補正しておく必要があった。・・・』

同項目、1901年のzeissカタログには、後群にはプロターやそのほかの普通のレンズも組み合わせ可能とあったり、1910年年版では後群が張り合わせ二枚玉で前群にはテッサーを使って・・・とありました。

以上は画角の狭い望遠での適用といったところですが、前玉1枚とトリプレットやテッサーを組み合わせたレトロ・フォーカス着想の専門家的な解釈はともかくとして、やたらガラスの枚数の増えた最近の(デジタル特性を考慮したという)レンズ性能への疑問としても、撮影者向きのレンズを考える着想としても、レンズ会社お仕着せの仕様だけが全てで無いという事が、かつての歴史からもうかがえます(ちょっと、ちがうか・・・)。

(とはいってもコンパクト化といった流れで、当時の「組み合わせレンズ」は衰退していったという事ですが、つい最近までニコンの大判レンズやライカの望遠レンズ・モデュールに組み合わせレンズが存在しました。)

更に自由な着想で、面白いレンズをモノにしてください。
  1. 2009/12/24(木) 22:56:48 |
  2. URL |
  3. 13 ordre #-
  4. [ 編集]

13 ordre さん
再び有難うございます。
組み合わせレンズってのは結構多いですね、遠く異朝をとぶらえば、コンタックスレンズシャッター一眼のレンズしかり、近くであれば、キャノンEXしかり・・・
シャッター後の光学系と前の光学系の組み合わせで、収差を実用範囲内に収め、焦点距離を変えられるというのはそれはそれで面白く役に立つ技術だと思います。

面白いレンズねぇ・・・今度は逆やってみましょうかね、ジュピター8か真正ツァイスのゾナーの前群にキャノンの中・後群の3枚を組み合わせてみるとか、或いは、キャノンの5cmf1.4にはジュピター5の3枚貼り合わせの後群を噛ませてみるとか・・・

或いは、エレメント在庫は色々ありますから、自分で変型ペッツバール型か変型トリプレット型を作っちゃうとか・・・
  1. 2009/12/26(土) 01:22:27 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

自作レンズってのは
求めるものが何処にあるのかで
全然違ってきますよね。

レンズ設計者の理想としては
焦点面はあくまでも平面で
全画面収差が無く解像度の高いものを目指すはずです。

昔、ツァイスのレンズは平面的で
ライカのレンズがでっこまひっこまで味がある・・・・
って言った人の言葉を鵜呑みにして
ツァイスの設計者が作ったレンズでも
収差があると味がある・・・とか言っている人が居ますが
まあ
それが設計者の意図とかは本人しかわからないですよね~~~

ソフトレンズとか周辺グルグルのレンズ゜なら
わざわざ高い金をかけて買うよりも
ガウスタイプの前郡だけで出来ちゃうし
単玉だってOKだし
自己申告さえしなきゃ誰も判りませんよ~~~

コピーと言われているロシアレンズだって
私が使った感じで話をさせてもらえば
本家よりもシャープな場合が多かったです。

自作のベッツバール形っていうのは
ソフト好きの人間には
結構いけるかもしれませんよ~~~~

中心部がシャープで周辺が美しく渦巻いたり流れたりする・・・・・・

くらげ光学さんなんかが量産しそうですね~~~笑
  1. 2009/12/26(土) 21:01:20 |
  2. URL |
  3. 山形 #-
  4. [ 編集]

山形さん
映像大魔人殿ともお話しましたが、市販のレンズってこのところ、ずっとズーム中心に開発が進んでいて、単玉で良いのってあんまり出てないんですね。

勿論、たまに出る単玉も、良く写るという点では、道具として申し分ないのですが、果たして、そのレンズでなきゃ撮れない画かどうかというと???ってなことも多々有りではないかと思います。

その点、シネレンズは被写界深度が浅い割には、ボケがなだらかで背景がキレイになり、ひと目でそれと判りますし、今回のレンズも中心部の合焦域のシャープさと周辺の甘さが個性的なのではないかと思います。

それよりも何よりも、物は試しにとばかり、自分で考えた組み合わせで作ったレンズがこのようにしっかり写るってことだけでもワクワクもんぢゃありませんか?

手近かな材料で変型ペッツバールタイプでも設計したら、中原水産加工場改メ、多摩川園芸場の庭師さんにでも大量生産して貰いましょうか(笑)
  1. 2009/12/28(月) 00:05:40 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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