深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Excelent unexploded from Yellow Grenade shop~Elmarit21mmf2.8~

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【撮影データ】カメラ:LeicaM8 絞り優先AE ISO AUTO 全コマ 絞り開放 ロケ地 中目黒
さて、12月も最終週の日曜日が巡り来て、今年も最後の更新となってしまいました。
今回のご紹介は、久々ぶりの衝動買い、Elmarit21mmf2.8のご紹介です。
ますは、いつも通りのお作法として、このレンズの簡単なプロフィールから。

ライツ社の21mmの超広角レンズは、一番初めにラインナップする際、自社で設計・製造が出来なかったことから、今も良好な関係にあると言われるレンズ専業メーカーの雄、Schneider Kreutznach社から供給を受けたSuper Angulon21mmf4を1958年に売り出したのは公知の事実です。

そして、このレンズも登場から5年後の1963年には改良を受け、開放値を心持ち明るくしたf3.4となってリリースされます。

しかし、このSchneider社がCarlZeiss社のBiogonに対抗して対照型に設計したと思われるSuper Angulon21mmは、同時期、Leitz社が今後の方向性のひとつとして打ち出したTTL露出計内蔵のM型、ないしC型にはマウント内に入る部分の張り出しの関係上、装着出来ないか、出来ても正確には測光出来ないという問題が生じました。

そこで、自社設計、といっても設計したのはウェツラーの設計陣ではなく、新進気鋭のELCANらしいのですが、1980年にいわゆるレトロフォーカスタイプのElmarit21mmf2.8をリリースします。

それが今回のこのレンズなのです。

では、何故、今回の奇妙なタイトルなのか・・・という至極尤もな疑問なのですが、これはまさにボウナス直後に銀座の某宗教施設最上階に位置する"黄色い手榴弾"のお店で、仲間がこれまで皆討ち死にする中、蛮勇を奮い起こし、相場の半額程度で、その日出されたこのレンズを衝動買いしてしまい、周りからは、「黄色い手榴弾、銀座でピン抜きゃ、おうちでどっかーん!!」とか脅されていて、おっかなびっくり、買った翌週の土曜日に盟友ヤマガタさんを誘い試写に出かけたら、な~んのことはない、ヤシコンのGビオゴン21mmf2.8以上に良く写るんぢゃね・・・ってオチでした。

さて、いつもながら、前置きが長くなりましたが、早速、作例いってみます。

まず、一枚目。
中目黒の駅を降りて、まずは奇跡的に残る江戸時代の店構えの酒屋さんを撮りに行ったのですが、店先に現代文明の象徴とも言えるような満艦飾の自販機が鎮座ましましていてやや興ざめ、そして振り返ると、いかにも近未来的なオブジェがところ狭しと林立しているではないですか・・・
早速、同行のヤマガタさんと嬉々として辺りを撮りまくりました。
その中で一番気に入ったのがこの一枚、アルミのパンチング材を組んだオブジェと背景の高層雑居ビルの配置が何となく、未来的だと思いました。
M8の悪い癖で、空が入って露出がアンダーっぽくなってしまいましたが、これはこれで金属の冷たいカンジがそれなりに捉えられ、面白いカットになったのではないでしょうか。また21mm固有のパースがオブジェに迫力を与えています。

続いて二枚目。
中目黒駅前を後にして、目黒側沿いを歩いていきます。二人ともいい年こいて、自転車やコーンを見つけるたびに「わーぃ、Aデザインだぁ」とか歓声をあげ、アングルを工夫してシャッターを切っていきます。
そんな中、シーズンの特徴を良く表したオブジェがありました。赤唐辛子で拵えたクリスマスリースです。
これは、近距離での解像度、赤の発色が一度に判ってしまう、恐ろしいテストパターンでもありますが、とにかく一枚戴き。
とても21mmで撮ったと思えない自然なアングルや解像度、そしてこのレンズの素性の良さを表す、赤唐辛子の発色になったと思います。

そして三枚目。
このクリスマスリースのお店は、もうひとつ素敵なオブジェを掲げてまして、それがアルミの風鈴っぽい製品なのです。
このシャンパンゴールドに淡く輝く金属製品の煌きをこのレンズがどのように捉えるか、また、背景の赤いリースを置くことでどのようなオフフォーカスでのボケ、発色をするのかと思い、シャッターを切りました。
その結果は、かなり満足度の高いものとなりました。
金属の煌き、樅の葉の鮮やかな緑、そしてナチュラルな後ボケ。とても満足でした。

それから四枚目。
またてくてくと男二人の気楽な撮影行は進み、また面白い店先に出くわしました。
木の蔓を手編みにした籠状のオブジェをぶら提げているお店が在ったのです。
早速、周囲の観葉植物の葉の色とこの黒褐色の籠の色の対比を見たいがため、シャッターを切ります。
これも、目黒川沿いの植樹越しの木漏れ日で陽の当るところとそうでないところで微妙な明暗が出来ましたが、なかなか精緻で面白いカットになったのではないでしょうか。

最後の五枚目。
目黒川づたいの道の両側には、飲食店、物販店様々な趣向を凝らしたお店が沢山あります。
その中でも、殆ど定点観測位置になったかの感があるのが、古いアパートを改造した店舗に在る自転車屋さん。
ここはよその街の自転車屋さんと違い、かなりファッショナブルで、いわゆる油臭さとか、金物屑とかそういうものとは無縁で、堅苦しい職人肌のオヤジの代わりにいかにも今風の若者に受けそうな、優しげな兄さん達が、ブティック風の店内でお客と語らい合っていたりします。あぁ、これが深川との大きな違いなのか・・・と地味になりそうな気持ちを奮い起こし一枚戴き。
エナメル仕上げのフレーム、タイヤのゴム、そして背後の壁の古めいた木と鉄部の錆・・・どれもが良いハーモニーを奏でているように見えました。

今回の"安物買い"は"銭失い"にならずに済んだようです。
考えてみれば、R-D1sの準常用レンズとして愛用するElmarit28mmf2.8も、駆け出しの頃、この黄色い手榴弾で相場より相当安く買ったものだったのです。
きっと、愛用へのささやかなお礼として、Elmarit28mmが兄弟を呼び寄せてくれたのかも知れません。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2009/12/27(日) 23:16:09|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:10
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コメント

Elmarit 21mmF2.8はお買い得だったようで、正解でしたね。
すこぶる先鋭的な画像です。

でもヤシコンのGーBiogon 21mmF2.8と比べて、よく写るというのは、どうでしょうか?
両方のレンズを同じカメラで撮影してご確認いただければと思います。
(よく写るというのが、シャープというのではなく色乗りがとかボケがというのであれば、問題はまた違うでしょうけど)

そこのところが疑問です。
  1. 2009/12/28(月) 00:03:16 |
  2. URL |
  3. netdandy #B7IDXB7Q
  4. [ 編集]

netdandy さん
有難うございます。
ライカネタだと、さすがに食い付きが早いですね(笑)

実は、G-Biogon21mmf2.8より良く写るというのは、センチュリアの安物フィルムで撮った昔の写真と、今回、M8で撮った最新のデジタル画像を較べての曖昧な主観なので、実際に両方イコールコンデイションで撮らねば、確かにフェアではないですね。
川越で、Kodak Ektar100でも詰めて実験してみましょう。

但し、マウントが違うので、同じカメラ・・・ではムリなので、予めご了承を。
  1. 2009/12/28(月) 00:13:24 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

(「深度の浅い夢。」)

今年の三月に、中将姫光学さんのサイトにあったレンズが、こちらにトレードされて来たという様な感覚で、お二人のレンズに対しての初見の違いを見るにつけ、ほほ笑ましさを誘います。

このレンズの再現性は、向こうのサイトよりも軟らかめの印象もあり、コシナビオゴンf4,5の感触に近い感じがします。
しかしながら、赤唐辛子接写の深度浅さや各所での背景ボケから、f2,8での特徴がシャープなおかつ実用性高く発揮されているようです。
また、ビッグサイズでは負けない日本製レトロタイプとスペック的には類似性があるものの、時として片ぼけに近いようなカットを呼び込むそれと比べ、ライカのレンズはフード固定リングの特異ないでたちやハードユーザー向けとしか思えない工作具合など、「機材としてのライカ」を見直す機会にもなりました。

(さあ、ボクも「年末ジャンボ・ボーナス」が当たったら、近所にでている15枚円・中古を買おっと!)


  1. 2009/12/28(月) 20:58:48 |
  2. URL |
  3. 13 ordre #-
  4. [ 編集]

13 ordre さん
有難うございます。
実はライカマウント純正の21mmを買ったのが、実は今回2度目なのです。

一回目は、スーパーアングロン21mmf4のシルバークロームのものだったのですが、とにかく、発色が鈍くて、何を撮っても陰鬱な雰囲気に写ってしまい、当時併用していたツァイスCXマウントのオリジナルビオゴン21mmf4.5と較べると、格段に見劣りがするような気がして、何かの折りにお金が必要にになって、叩き売ってしまったという苦い経験があります。

それで、もうライツブランドの21mmは二度と買わないだろと思いつつ、愛用する28mmf2.8のElmaritはとても趣味のイイ写りなので、もしやと思い、今回の相場半額品をパックンチョしてみた次第。

結果はご覧の通り、まさに「虎穴に入らずんば、虎子を得ず」です。

しかし、穴の奥で掴んだものが、点火された手榴弾だったら、まさにどっか~んですが・・・(笑)
  1. 2009/12/28(月) 23:24:34 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

この1年、良いものを見せていただきました。どうもありがとうございます。来年もさらにいろいろな秘宝が登場するものと今から期待しています。良いお年をお迎えください。
  1. 2009/12/31(木) 20:42:22 |
  2. URL |
  3. kinoplasmat #lpavF/Xw
  4. [ 編集]

kinoplasmat さん
旧年は色々とコメントを頂戴致しまして有難うございました。

結局、帰国のタイミングと合わず、お会い出来ませんでしたが、今年こそ、お会いして、色々とお話ししたいと願っています。

なお、今年の新年特集も前年にも増してレアで特徴的なレンズを仕込んでますので、どうかお楽しみに。
  1. 2010/01/01(金) 00:13:43 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

あけましておめでとうございます。
今年も、なかなかそちらには行けませんが
よろしくお願いします~~~
  1. 2010/01/03(日) 14:56:26 |
  2. URL |
  3. 山形 #-
  4. [ 編集]

山形さん
有難うございました。
遠路遥々、数々の主要イベントご参加有難うございました。
特に薄情者達?が、次々と脱落していった佐原ツアーで、意気に感じ、最後まで残って戴いた貴兄とG13さんのお志、本当に感謝、感謝でした。

今年も宜しくお願いしますね~~~
  1. 2010/01/03(日) 23:36:18 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

明けましておめでとうございます。
さすが、良い写りですね~。
ASPH.も良いですが、何となくこちらの方が親近感が湧きます。
今年は広角で攻めますか...?
21mm、何れにしても僕にとっては悩ましい画角です。
いつか小型のスーパーアンギュロン21/4あたりをカッコ良く使いこなしてみたいけど、ダメですか...?あのレンズ。
まあカタチから入るたちなら、質感に満足すればそれで良いって噂もありますけど。笑
  1. 2010/01/05(火) 19:36:08 |
  2. URL |
  3. andoodesign #WSWGH/LU
  4. [ 編集]

andoodesignさん
有難うございます。
今年こそ、"夢のコラボ"、実現したいですね・・・某Y形サンみたいに街中スナップで自転車や、三角コーン、そして壁の沁みなんか見ると萌えてしまうメンバーも仲間内には居るみたいですし(笑)

それはそうと、スーパーアングロン21/4もモノとしての質感、デザインは秀逸で、それこそツァイスのビオゴン21mmf4.5にも勝るとも劣らない存在感では有りますが、個人的には、どうも煤けたような寒色系の発色とか弱い線の描写が気に入らなくて。
また、M8、M9、そしてR-D1sでは物理的に使えないという説もありますし。

ま、純正のかっけぇぇ金属製ファインダをM3にくっつけて、そして夜な夜な家人が寝静まってから、ファインダ覗きながら空シャッター(シャドーレリーズとも言う!?)を切ってニンマリするのも悪くはないですが(苦笑)

何れにせよ、今年もご愛顧のほど、宜しくお願い致します。
  1. 2010/01/05(火) 22:45:49 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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