深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

阿雕像性價比~Canon L28mmf2.8~

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【撮影データ】カメラ;Leica M8 絞り優先AE ISO Auto 全コマ開放 ロケ地;築地~佃島
さても月日の巡るのは目まぐるしいばかりで、先日お屠蘇を酌み交わしていたと思いきや、既に2月に入ってしまいました。あちこちで梅の花も咲き誇り、春の訪れを告げているかのようです。

さて、今宵のご紹介は、意外や意外、実は工房主人が今から10年以上前、一番最初にクラカメと言われるもの、そう、何も判らずにバルナック型のLeicaIIIFを新宿の、訪れるものをクラカメの冥府魔道に迷わせる「地図の店」にて贖った時に値段とカッコで選んだレンズなのです。

その当時は、愛用のペンタMEが高校時代以来の酷使に耐えかね故障続きで、それに代わるLeicaR4Sでは、なかなか上手いことスナップが出来ず、旅行用の小型カメラも欲しかったことがあって、小さなIIIfのボディとこのパンケーキ的に薄いが、総真鍮製でずっしり重く精密感有るレンズが財布の紐を緩めさせてしまったのです・・・あぁ、思えばこれが今日の冥府魔道の水先案内だったのか・・・

とまぁ、極めて個人的な昔話をさて置いて、このレンズの氏素性についておさらい致します。

このずっしりと重いシルバークロームの鏡胴といかにも良く写りそうなマゼンタ、シアン系コートのエレメントを持つ優美ながら精悍レンズは1957年、ライカM3が発表されて3年が経ち、キャノンではバルナック型に近似したデザインのIV型から決別し、内部機構的にはまだまだ改善の余地を残しながらも、クランク巻戻しや可変倍率ファインダー等のオリジナル機能を盛り込み、デザイン的には模倣の域を大きく乗り換えたVT型に続く、L2、VT Delux型と同じタイミングでリリースされました。

余談ながら、この頃からキャノンは製品のデザインというものをマーケッティングの重要ファクターと考えていたようで、L2は通産省が制定したばかりの第1回グッドデザイン賞を受賞しています。

このレンズの構成は4群6枚の典型的ダブルガウス型でL1とL6はそれぞれ、かなり急な曲面を持った凸レンズとなっています。

さて、そろそろ作例いってみます。


まず一枚目。
今回は昨日出かけた浅草で試写が間に合わなかったため、急遽、お気に入りのカメラ散歩コースのひとつである築地~佃コースに出かけました。

場内は休場につき閑散としていますが、場外市場では一部のお店は商魂逞しく、日曜祭日とは言え、一般顧客向けの営業を行っており、そこだけ人だかりが見られます。

いつも一枚とは言わず二~三枚、いやもうちょっと撮らせて貰う甲殻類がお得意のお店の前で外人さんご一行が物色しています。

どーせ、冷やかしなんぢゃね・・・ってカンジであまり積極的な営業活動もしないお店番の兄さんの表情も面白かったので、逆光に近い条件にも関わらず一枚戴き。

ピンを置いた兄さんの衣装はシネレンズと見紛うほどシャープかつ忠実に発色を再現しており、画面全体もそれほどコントラストの低下や、ましてゴースト、フレアの類いは認められません、ただでさえ内面構造上、フレアに弱いデジRFと古いレンズの組み合わせにしては大したものだと改めて関心しました。

そして二枚目、
いつものまぐろ料理屋さんで珠玉のランチを戴き、今度は飲食店が軒を並べる表通りを散策します。
すると、土曜日とは異なって、ほんの数店しか開いていないので、閑散としているばかりです。

それでも、かろうじて開いているお店でぽつねんとランチを食べているおじさまが居たので、横顔をそっと撮ろうとしたら、お店の大将が、あ、写真撮ってるよ、笑顔、笑顔、とかなじみのお客と思われる、そのおじさまを茶化すものですから、焦ったおじさまが大将に、え、何、何???と聞き返した瞬間のカットです。

へへへ、お邪魔しましたぁ・・・とか声掛けて、ハイさよならです。

このカットでは、驚くべきことにかなり強い点光源が全然フレアになっていませんし、隅々までのシャープさは言わずもがな、日陰にも関わらず、かなり目で見た通りの忠実な発色を再現しています。

それから三枚目。
美味しいものを戴き、思う存分場外のカットを撮らせて戴いたので、築地を後に勝鬨橋を渡って、月島へと向かいます。

そこで、何時見ても優美で、我らが深川と江戸市中を結ぶ永代橋とはまた異なるモダン・クラシックな佇まいの勝鬨橋の勇姿を画面に収めることにします。

この大きな橋はどこを見ても美しく勇壮な造りですし、周囲も新築の高層ビルがところ狭しと立ち並び、画面に映り込むのでアングルには工夫のしどころ、いつも悩むというのが正直なところです。

しかし、今回は小細工はやめ、ストレート勝負、橋のたもとに佇み、カメラを構え、ちょうど良い人が行き交うところを写しこむことで橋の大きさを対比する手法を取りました。

対照型のレンズ構成が吉と出て、根元の方がやや光量落ちし、画面中央に力強く伸びるアーチが強調される形となりました。
ピーカンの反射光による歩道面石材のフレアも良いカンジではないでしょうか。

まだまだの四枚目。
月島であちこち撮影しているうちにいつもの商店街にある、観光交番の前までやって来ました。
ここでは、商店街の餅つきイベントみたいなのをやっていて、そのイベントに便乗して月島界隈の地区消防団の姑娘さんが、派手な赤い法被に身を包んで、街頭で火災予防に関するビラを配布し、啓蒙活動に励んでいました。

そこで、また得意のアイコンタクトで、一枚戴きまっせ、とやって、交番を背景にチャンスを狙います。
すると、良い案配にパトカーが交番前を通り過ぎていきましたので、その瞬間にシャター切ったのがこの一枚。

赤い法被も粋な消防姑娘に一礼して、その場を後にしました。

かなりの強い西日だったため、赤い法被といわず、パトカーと言わず、かなりフレアっぽい写りとなってしまいました。しかし、このシチュエーションでは却って良い演出になったのではないかと思いました。

最後の五枚目。
月島から佃島地区へ移動し、あちこち秘蔵の撮影スポットを巡り、相生橋経由、深川に戻ります。
その途中、いつも気になる金属製の巨大オブジェが良い案配に西日を浴びて輝いていたので、一枚撮ろうかと思っていたとこころ、ちょうど、ママチャリのお母さんが、後ろに娘さんを乗っけて、往年の橋本聖子もかくやあらんとばかりの猛スピードで駆け抜けようとしていたので、ジャストミートした瞬間がこのカットです。

この小さいながら総金属製の古いレンズは、団地の真ん中に鎮座まします正体不明の金属製オブジェを立体感溢れる壮大な姿に映し出したのみならず、空も都心とは思えないような深い蒼として描き出しました。

いやはや、初めてデジで使いましたが、フィルムではシャープでコントラストが高いばかりのレンズと思いきや、デジRFのCCDとの反射光輻輳によるフレアいよって別の素顔を見せてくれたようでした。

またデジの力も借りて、古いレンズを再発見する楽しみが増えたというのが今回の偽らざる実感でした。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2010/02/07(日) 21:33:31|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:8
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コメント

教えてください

いつも拝見しています。それにしてもアイアンの引っかけが直りません。どうすりゃいいの?先生。
  1. 2010/02/08(月) 16:42:45 |
  2. URL |
  3. ちゃりちゃりー #-
  4. [ 編集]

ちゃりちゃりー さん
有難うございます。
アイアンとは、ゴルフの道具のことで、ここではその用法を問うておられるわけですね・・・

小生は、指先の感覚が鈍くなると微細加工の支障となるのでゴルフは嗜まないのですが、引っかけとは、アイアンのフェイス上のいわゆるスィートスポットに当たらず、玉がクラブの周回軌道外に弾かれる現象のことでしょうか?

となると、対策はまず、正しくグリップして、スタンスを出来るだけコンパクトな正三角形にして、スィングもアップライト系の小ぶりにして、振り子運動で自然にフェイスに当たるという環境を作り出すよりほか手はないのではないでしょうか?

因みに会社でも私生活でもゴルフに関する質問を受けたのは初めてなので、間違ってたらご免なさい。
  1. 2010/02/08(月) 18:22:52 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

なかなかご親切な工房主さんですね!

過日、わたしのSニコン・ホールディングに付いても、シャッター指とピント指の矯正にも与り、真に感涙の至りでした。

(どんぶり屋の、シャドウに措いてもソコソコのコントラストある描写。十二分たのしめます!
周辺光量オチも、今と成っては楽しみとしてのサインのようです。)

今後も、いろんなキョウミに向かって愉しみましょう!
  1. 2010/02/09(火) 17:45:34 |
  2. URL |
  3. 13 ordre #-
  4. [ 編集]

13 ordre さん
有難うございます。
おぉぉ・・・写真学校卒のお方に無謀にも、我流マニアに過ぎない小生がカメラの構え方のご指導をしていたとは、無謀の極みで、いやはやお恥ずかしい。

しかし、このレンズ、なかなか面白いですね、今度はまだまだお値段お手頃の25mmf4をゲッチュしてみましょうかね、まさに次のICSでの物色のアテが出来ました。
一緒におひとついかがですか???

でも間違っても19mmはやめといた方が賢明と思います。
ホント、昔のR、FLマウントの大衆用同様、発色が鈍いんです。
  1. 2010/02/09(火) 23:34:43 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

こんばんは。
このレンズも伊藤宏氏設計ですね。
少し線の太い描写にも見えますが、逆光にめっぽう強くて立体感をともなう表現は、最高の28mmレンズに思えます。
35mmより広角のレンズでガウスタイプを採用しているレンズは他にもあるのでしょうか。
たいへん珍しい構成だと思います。
わたしはロッコールより好きですが、あまり好い評価を聞いたことも無いのが不思議でした。
  1. 2010/02/11(木) 02:14:02 |
  2. URL |
  3. 中将姫光学 #sKWz4NQw
  4. [ 編集]

中将姫光学さん
有難うございます。
このレンズを買ってすぐにワケも判らず、地方出張のお供にライカIIIFにこれをくっつけて、今は亡きコニカのセピアフィルムを入れて、一日、萩の町を撮り歩いた経験があるのですが、まさに線こそ太めですが、力強く、心地良いコントラストでとても思い出に残る素敵な画が撮れました。

ずっと時代が下って、二番目の28mm、そう隠れた銘玉エルマリート3代目の28mmf2.8を買いましたが、このレンズは、大きなエルマリート、しかも設計が新しいエルマリートとも拮抗し得る恐ろしく高性能なコンパクトレンズだと感じた記憶があります。

因みに28mmの対称設計は、貼り合わせ面が違いますが、ライツでは28mmf5.6のズマロンがあります。

小生が保有する28mmで対称設計のものは、このキャノンとレンズではモンスターの域に入っちゃってるシュナイダーのシネクセノン28mmf2.8くらいでしょう。

ただ、世界にはまだまだバケモノは潜んでいて、アストロベルリンのガウスタッカーの25mmf2もキレイなWガウスというか、オーピック型になっていますし、USゲルツが送り出したキノプティークへの刺客、ボシュロム銘のシネバルター25mmf2.3も同様です。

  1. 2010/02/11(木) 23:27:14 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

このレンズは、同f3,5タイプのこってりした色ノリに比べてあっさりという感触です。
f2,8をモノクロで撮影すると、割合と繊細な写りになるのではと考えました。モノクロ用でも欲しいし、カラーでも挑戦したいものですね。
19mmは可なり無理した設計なのでしょうか?わたしもあまり良い評判を聞きません。(といっても、木村伊兵衛の写真で近接デフォルメされたあまり面白くない映像を見た事もあります。)
そんな理由で安かったら良いのですが・・・。

(写学当時、「妙なギアの付いたSニコン」に一度だけ触れた事が有りましたが、ライカに比べ速写性に乏しいと考え、それきりでした。
たまたま現在利用している理由は、再発があった事と、右手だけのピントあわせというルーズな使用方法が、左手の敏感な動きを相手から察知されてしまうという事を避ける、意外とスナップでの武器になりそうというから理由です。)
  1. 2010/02/12(金) 03:32:18 |
  2. URL |
  3. 13 ordre #-
  4. [ 編集]

13 Ordreさん
再び有難うございます。

発色については、正直申し上げて、あまり参考にならないかも知れません。

何とならば、EPSONに距離計調整出して以降、妙に華やいだ色調に変わってしまったR-D1sで撮ったものが大宗を占めるようになったこのブログで、ファームアップ後、まだカスタマイズで色バランス調整をきっちり取っていないM8で撮った画では比べること自体にかなり無理があるからです。

それはそうと、キャノンの広角系は玉石混淆といってもイイでしょう。

現在、キャノンのLマウント(一部、スピゴット式も含め、RF用という意味で)レンズでプレミアが付いているものは、幻のCX28mmf3.5を筆頭に、L35mmf1.5、25mmf3.5、そしてくだんの19mmf3.5がありますが、19mm以外はRF専用設計なのですが、どうやら、19mmだけは一眼用のRマウントだか、FLだかと共通光学系らしく、絞り込んで使う設計になっているようなのです。

しかも、その19mmの基本設計自体が1959年発売のニッコール2.1cmf4をターゲットにコストダウンの上、スペックだけは上回ろうという魂胆で5年後にSLR、RF用同時発売されたことからも、いかにダメダメレンズかということは推してしるべしだと思います。

因みに今後、キャノンのLマウント広角を買うなら、
1)25mmf3.5 (ファインダ付き)
2)35mmf1.8(黒ローレットタイプ)
3)35mmf2.8I(セレナー銘クローム仕上げ)
でしょう。
  1. 2010/02/12(金) 16:33:19 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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