深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

A lens good for sunset time~Zeiss Biotar5.8cmf2~

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【撮影データ】カメラ:キャノンF-1N、フィルム S.Centuria100 全コマ開放、ロケ地:新宿
三寒四温とは良く言ったもので、先週、雪がちらついたかと思えば、昨日、今日と上着を羽織っていたら、汗ばむくらいの暖かい陽気になり、一歩ずつ春が近づいているという実感の週末でした。
さて、今宵は攻守替え、秘宝館の収蔵物からのご紹介です。

今回のご紹介のレンズは、Carl Zeiss社が東西に別れ、東のイエナにて、戦前にベルテレが測量用に設計したものを、エクザクタ用に設計しなおしたもので、黒の初期型円形絞りのものですから、1946~47年くらに作られたものではないかと思います。

構成は4群6枚のWガウス型のオーソドックスなものですが、特徴は、5.8cmという中途半端な焦点距離にあります。

これは、一眼レフ用として設計するにあたり、ミラーボックスのため、フランジバックを稼ごうと、最前群に弱い凹玉などを入れたり、前後のエレメントのパワー配分を変えたりして、描写性能を落すをの嫌い、5.8cmという焦点距離をとったものと考えられます。

おかげで、このナイスルッキングの一見レンジファインダー用のレンズは、ライカマウントの距離計連動改造には、よほど特殊なヘリコイドを使わない限り不可能な難航不落の要塞なので、仕方なく、写真のようにアダプタかまし、郷里系非連動の目視で撮るか、F-1Nでアダプタ経由撮影するしか使いようがないのです。

とまた、前置きが長くなりましたが、作例行きます。今回も、日中に撮影の時間無かったので、4年程前に新宿でてテストしたものをご覧戴きます。

まず一枚目。
これは、近頃、色々なメディアで取り上げられる機会が一段と多くなった、新宿西口の思ひ出横丁を南側の入口付近から撮ってみたものです。
まだ日没前なので、人通りもまばら、お店も仕込みか何かやっているようで、通っているのも、ここの横丁飲食店の関係者のようでした。
手前の兄さんにピンを置いていますが、そのちょい前の看板はイイ按配にボケていますし、狭い横丁の中でも、登場人物の距離感が良く描き分けられていると思います。

そして二枚目。
今度は東口へ歩いて移動しました。
銀行と何かのビルの間の裏道、そう桂花ラーメンの通りと言った方がピンとくる通りで、イイ雰囲気のカップルが歩いていたので、後ろから一枚戴き。
空が入って逆光に近い光線条件になってしまいましたが、十分なコントラストを稼いでいますし、背景がかなりの遠景なので、人物が浮かび上がるような描写になりました。
こうやってみると、50mmに対し、58mmは望遠効果があるのかなとも思ってしまいます。

続いて三枚目。
桂花の前を通り過ぎ、アルタ裏の広い通りに出ます。
そしてここで、夕陽に向かい、風景を撮ってみるというかなり大胆なテストに踏み切ることとしました。
ターゲットは三平酒寮の看板付近に置きピンでそこを適当に人々が通過する時、シャッターを切るというお手軽な撮影方法で、たまたま、被写界にイイ雰囲気のカップルがまた飛び込んできたので、慌ててシャッターを切ったのがこのカット。
くだんのカップルは前ボケと化していますが、ちょうど良いスィートスポットに嵌まったらしく、おぼろげながら夕陽の中に存在を主張するカットになりました。

まだまだの四枚目。
その通りを西に向かい、今は亡き、カメラのきむら新宿店の入っていたビルの裏口の通りに向かいます。
ここでも、夕陽がイイ按配い裏通りを照らしていました。
ここでもピンを5mほど先に置き、適当に人が通ったらシャッターを切るという方法でスナップを試みました。

その結果、やはり逆光ながらコントラストも十分に稼ぐことが出来、夕陽を背に浴びていることから、シルエットの輪郭が光り、遠景はきれいにボケ、えも言われぬ立体感が醸し出されました。

おしまいの五枚目。
陽もすっかり傾きかけたので、もう一箇所の撮影スポット、高島屋周辺に向かいました。
ここでは、生コンの中継所があったり、壁一面の広告看板があったりと、街撮りの基本アイテムが怖いほど揃っていて、休みの日など、首からカメラを提げ、お手々繋いだ、いたいけな若い写真初心者の男女がスナップの練習などしています。

しかし、この時間になると、露出が難しいのか、もう他の撮影者は居ません。
看板の手前に中国人の旅行者達が居たので、その連中にピンを置いて一枚戴き。

こうすることによって、看板の距離での後ボケが判るのです。

交通標識もアニメだかの看板もイイ按配にボケて、人物達の立体感を稼ぐことに成功しました。

今回の感想としては、う~ん、こんな味わいのあるレンズ、街撮りにもっと使い易くするため、何とかレンジファインダーで以って距離計連動で使いたい!ということでした。

テーマ:街の風景 - ジャンル:写真

  1. 2010/03/14(日) 23:02:13|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:10
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コメント

逆光でも、優秀なレンズのような気がします。

個人的には
4番目も捨てがたいですが
一番目の写真が良いですね~~~~

なんというか
言葉では、うまく表現できないのですが
たぶん
ゴルゴさんなら
うまく説明してくれるんじゃないかなぁ・・・(^_^;)
  1. 2010/03/15(月) 20:59:16 |
  2. URL |
  3. 山形 #-
  4. [ 編集]

山形さん
有難うございます。
いやぁ、古い作例なんで、誰も見向きもしてくれないかな(汗)と思ってハラハラしていたのですが、助かりましたよぉぉぉ。

何というか、暖色系に転び易いオールドツァイスとコントラスト高めで濃いめの発色をする旧センチュリアで夕焼けを撮るとこんなカンジかなぁってサンプルだと思って戴ければ嬉しいですよ~~~
  1. 2010/03/15(月) 22:03:05 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

数奇屋カメがまだ高いビルの上にあった頃、同レンズを購入しました。
開放あたりだと色滲みか解かりませんが、濁る様な感触でパッとしないので、ずっと使っていませんでした。
最近、ネットのフリッカーで素晴らしい画像の同レンズとトリオター135mmを見て、OHしようかなと考えてみましたが・・・。

今回の深川さんの作例はコントラストの高い場面と夕景という事で、レンズ状況的には厳しさがあります。撮影状況と個体差を丁寧に選ばないと、しっとりした感触は出ないのかなとOHを少し悩みました。

わたしのレンズも開放時の感触では、1,2,5枚目の様にブルーがちょっとグリーン掛かるような気がします。また夕景にそまる3,4枚目・逆光下でも若干暖色系zeissの片鱗を感じますがこれは開放。ピーカンで絞ればzeissそのものですよ。

この黒塗りのようなレンズの感触は独特です。
こうやって奇妙に装着されているバルナックにぴったりですが、これを距離計連動にするのは連動機構がもったいないです(とおもいます)。
黒いペンタックスSPまで(ストロボ屋根なし)のM42でも似合うと思いますが、いかがなものでしょうか?
  1. 2010/03/17(水) 08:26:54 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。
貴兄もこのレンズお持ちだったのですね。

ご指摘のように今から63~64年前のレンズですから、経年変化やメンテナンスの十分でないものもかなり存在し、それが描写の個体差に繋がっているのではないかと愚考致します。

しかし、このレンズを川崎の八丁畷あたりで完全無欠のオーバーホールしたあと、正確無比なキャノンF-1N_ODにアダプタ経由で装着して撮影したら、おそらくは、東西に分けたZeissの腹違いの兄弟、Contarex用のプラナー50mmf2あたりと近似した描写になるのかも知れません

ところで、装着ボディですが、ご存じのとおり、かなりマウント部まで鏡胴の径は細いので、F-1Nにつけても、違和感ありますし、M42のアサペンSP黒ボディでもどうかな というカンジです。

太いレンズでコンパクトなカメラボディってのは或る意味、官能的だと思いますが、その逆はねぇ・・・
  1. 2010/03/17(水) 12:55:30 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

>太いレンズでコンパクトなカメラボディってのは或る意味、官能的だと思いますが、その逆はねぇ・・・


マウンテンニッコールを
ニコンFに取り付けると、その逆っていうイメージに
近いと思いますが
それはそれで
なかなか良いものと思いますよ・・・
私はもってませんが・・・・笑

  1. 2010/03/17(水) 20:24:28 |
  2. URL |
  3. 山形 #-
  4. [ 編集]

精悍なイエナ・ビオターの描写もさることながら、DIIのエナメルに惹き込まれます。
私の愛機は下地が目立つハゲハゲなので。。
  1. 2010/03/17(水) 22:15:34 |
  2. URL |
  3. alabianca #-
  4. [ 編集]

山形さん
再び有難うございます。
そーですねぇ、マウンテンニッコールは細くても、程好く長くて、マウント部の造作に迫力あるから許せるのではないでしょうか(笑)
  1. 2010/03/17(水) 23:51:33 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

alabiancaさん
有難うございます。
ご無沙汰致しております。
そーですね、写りや使い易さ云々を抜きにしても戦前のバルナックのエナメル黒は道具として、大変魅力的ですね。
でもこの頃は都内でも結構値が落ち着いてきていて、かなり程度のイイものもそこそこのお値段で買えますよ♪
  1. 2010/03/17(水) 23:54:23 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

あら~この黒いレンズ!
オリジナルM42マウントのを1本持ってます。
愛用のペンタックスSV黒の標準レンズになってます。
何だか魅力的なレンズですよね。
これってそんなに古いレンズだったのですね。
5.8cm!と言うのがまた好きで!
おまけにコンパクトなのに開放はf2!
純正のフードはどんなんなんでしょうね?
  1. 2010/03/20(土) 22:47:58 |
  2. URL |
  3. むらさき茄子! #kqgYIJQs
  4. [ 編集]

むらさき茄子!さん
有難うございます。
ご無沙汰致しております。

さて、このレンズのM42オリジナルとはまた貴重な玉をお持ちですね。

貴兄の言われる通り、コンパクトな玉なのに開放値はF2で、この玉程度の状態のものでも、安心して開放から作画に使える、とても心強い代物ですね。

純正のフードですか・・・う~ん、是非見てみたいものですね。でも見たら見たで欲しくなっちゃうのかもなぁ(汗)・・・
  1. 2010/03/21(日) 18:34:01 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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