深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

番外編~Then I became wind over an island~

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【撮影データ】カメラ:Leica M8、ISO Auto 全コマ開放、レンズ:Balter50mmf2.3(未発表)
さて、週一更新かと思いきや、ここで臨時更新です。
何とならば、竹富島の海開きまででは、今回の旅の目的は60%程度しか達成していないのです。
そう、今回の石垣島来訪の目的には、いつも那覇を訪れるたび、必ず足を運ぶ首里金城町の石畳途中にある「那覇 古波蔵家」の大元、そう小浜島の「こはぐら荘」或いは「和也の木」、「シュガーロード」を訪れ、追体験をしてみたかったからです。ドラマの人々に思いを馳せるとともに、自分自身の10年近く前の時間にも戻れるような気がしたから・・・

レンズはおいおい姿を現しますが、先にご紹介したBausch&Lomb Baltar50mmf1.9の兄弟機の超高性能レンズ、f2.3モデルです。

では、3/21当時の行動に沿って、作例をご紹介して行きましょう。

先の竹富島での海開き行事は12時半を少し回ったところで終わり、後は小さい島で、前日にも牛車で回った上、徒歩で撮影スポットと思しき場所は撮り尽くしていますから、港への送迎バスの帰り分をフイにしてまで集落の写真を撮りに行こうとは思えず、速攻で桟橋に向かい、一番すぐ来た舟で再び石垣島の離島桟橋に戻ります。

考えてみれば、13時も回っていようかというのに、昼餉がまだだったので、着いた時から気になっていた桟橋待合所内の飲食店のうち、マグロ漁船を所有しているというのをセールスポイントとしている一軒の小さいお店に入りました。

そこで、マグロ刺身付きの石垣そばセットというのと、ここでしか味わえない、マグロのハツ刺身というのを頼み、昼から豪勢に新鮮なマグロを思う存分堪能してからの、離島巡りの小旅行再スタートです。

14時ちょうどの船があったので、かねてから有力訪問候補だった、ちゅらさんアイランド、小浜島へ渡ることとしました。

ここまで来るとかなり行き当たりばったりの出たとこ勝負で、不便も旅の一部、サプライズは最高のおもてなしというスタンスです。

港に着き、その名も「ちゅらさんばし」という極めてベタな建物を抜け、船の中で調べた観光手段、マイクロバス観光を主宰している観光会社に早速電話です。ホントは石垣出る時に予約しとかなきゃ嫌がられるらしいんですが・・・

電話を掛け、暫くすると、どこかの団体さんの半貸切状態だったようなマイクロバスの島内ツアーに便乗です。

港を出て、島の主要部に抜ける坂道でいきなりバスが止まり、どうしたことかと固唾を呑んでいると運転手のご老人が「ほら、真っ白い孔雀が現れましたよ、お客さん方は非常に運がイイ」てことを述べ、じっと観察していたようなのでした。尤も、そも白い鳥とはかなりの距離があり、視力2.0以上の小生ですら白鷺との見分けがやっとついたくらいですから、他のお客さんがそれと認めたかどうか・・・

バスは島内の主要観光?スポットを巡り殆ど車内見学で降ろしてくれず、ましてや写真撮影などするチャンスは皆無に等しかったのですが、唯一、和也と恵理ィが堤防を橋って「大人になったら結婚しようょぉぉ」と絶叫した港の周辺でだけ降ろしてくれたのがこの一枚目の黄色いカラオケスナックの立つ堤防あたりなのでした。

そして、このあたりは江戸時代以降に本島の糸満の海人(うみんちゅ、漁師さんのこと)が移住してきて出来た集落で、今は専らモズクの養殖を収入源としているとのお話でした。
その作業場兼自宅が二枚目の画像。

バスは一時間強かけて島をほぼ全周回って、港に着きました。普通の、素直で、体力も人並みの観光客であれば、いやぁ、今日は楽しかった、小浜島も隅々回って見られたし・・・で再び来た道を辿り、ちゅらさんばし経由、涙の連絡船に乗って、さようなら、さよなら~好きになった島♪とか満足して帰ってしまうところですが、元々偏屈で執念深く、しかも体力だけは30代前半の若者にも負けないという工房主人は、何と、運転手のご老人に「これから貸し自転車で島を回ります、主要な撮影スポットと道順は覚えましたから」と述べ、良さげな貸自転車を紹介してくれるよう迫りました。

これには、向こうも相当驚いたらしく、マイクロバスで島内観光した後、また自転車でもう一周するなんて聞いたことが無いし、第一、結構な坂道が多いから、やめといた方がイイんぢゃねとの親切この上ないお返事を戴きました。

しかし、撮影のため来たし、このままでは写真展のネタ無しで戻ることになるのは何ともしのび難いと再び強談判に望んだところ、やっと一軒、港の近くの私設観光案内所みたいなところを教えてくれました。

また、そこが商売っ気無く、店先で声掛けて訪ない入れても、全然出て来ないし、やっと出てきたと思ったら、シーズンオフのこんな時間から自転車で島巡りするとは考えてみなかったようで、原付バイクを出してくるし、免許持ってきてない、と告げたら、「ぢゃ、帰りの船が無くなるまで好きに乗っててイイですよ、ハイ200円で結構です」との耳を疑うようなお申し入れ。

さぁ、ここから二周目、体力任せの自転車ツアー、ツールド・コハマのスタートです。尤も自転車自体は、空気の緩いママチャリで変速機すら付いていませんでしたが。

実を言えば、自転車なるもの、都会暮らしをするようになってから20年近く乗ったことがなかったのですが、小学校の時から大学まで、かなり修羅場をくぐり、時には血も流し、乗りこなしていたので、これだけのブランク後でも難無く乗ることが出来ました、まさに「雀百まで踊りを忘れず」を地で行くようなハナシです。

かくして三枚目の紹介。
これは先のマイクロバスツアーで案内された時、気になって気になって仕方なかった、小浜公民館前に在るオブジェで、その正体は太平洋戦争当時、米軍機が出掛けの駄賃か、帰り道の置き土産かは今となっては知る由もありませんが、島に投下していった250kg爆弾の不発弾のどんがらで、戦後からずっと、非常時召集用の鐘に使っていたものだそうです。
ホントかウソか判らないですが、70年代以降、島に唯一の仏教寺院が出来る以前、除夜の鐘をこれで搗いたことがあったが、あまりの禍々しい音色に住民総スカンを喰らって以来、鳴らすのは津波とか火災とか非常時のみに限定されたとか。

そして四枚目。
ここでやっと、今回のハイライト、ちゅらさん遺蹟のご本尊とも称される「こはぐら荘」です。
勿論、この家が民宿であったのはTVの架空の世界だけの話しで、実際には普通の民家で、あまり大っぴらに写真なんか撮るのは憚られるカンジでしたが、一声掛けて撮っていたら、やれ、兄さん、東京から来たんか、とか、自転車で回るとは根性有るなぁとか、やっぱ地球に優しいし、カラダ鍛えられるからエエなぁとか、その家の家人か、近所のおばぁか識別不能な老齢の女性達のハナシのネタにされ、ほれ、島の地図出せ、ここ行ったか、ここがエエぞいてなカンジで親切の行商、もとい押し売りに近い状況に近づいてきたので、何カットか撮ったら、ほうぼうの呈で逃げ出しました。
尤も、カメラを向けようものなら、途端に「おばちゃんなんか撮らんといて」と逃げ回るから不思議なものです。

最後の五枚目。
「こはぐら荘」を含め、集落を思う存分撮り終え、いよいよ港に戻ることにしました。
来た道とはルートを変え、憧れのシュガーロードを一気に駆け抜ける目論見です。
さすがに観光シーズンから外れたこの離島には車は殆ど通りませんし、他の観光客の貸バイク、貸チャリと遭うことも稀です。
当日は若干黄砂の影響で視界は霞んでいましたが、それが妙に遠近感を引き出し、遠い過去の風景に対峙しているような昂揚感を覚えさせてくれました。

このカットを撮る直前、工房主人は渾身の力で下り坂のペダルを漕ぎ続け、暫しの間、牧草地帯を吹き抜ける島の、いや海洋の風と一体になったのでした。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2010/04/07(水) 23:57:12|
  2. 旅写真
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:8
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コメント

いやー、こういったいきなりの更新、一枚でもいいから欲しいものですよ。(どうにも画像ジャンキーのようです)

へんな描写のレンズですね・・・。Bがみえたらベルチオかと最初思っていましたが、バルターに頭をシフトさせました。シフトさせる前の印象に戻ると面白く、たぶん沖縄の色彩がヨーロッパふうのくすんだ感じに見えたのだと思いました。

センターピントが極度にいいので、色彩感高い沖縄と周辺の甘さ、曇り日の具合なんかが極端な事をいえばマクロプラズマットだとかそういったヨーロッパ古典高性能を彷彿と・・・(これは、個人的な印象ですよ)。いずれにせよ、以前拝見したバルターや別のサイトで拝見したりしてるのと違う色傾向はナンでしょうと考えてしまいます。

バルターも、シネクセノンのようにピントをキリキリと上げる「根性」を感じますが、エッジ感が更に際立っていて、ブツ撮り用のアポ級レンズを彷彿させているといった感触です。
  1. 2010/04/08(木) 03:27:47 |
  2. URL |
  3. trezieme ordre #-
  4. [ 編集]

いつもの沖縄シリーズと違って

なんか
おどろおどろしい雰囲気の写真になってますね・・・・

もしかしたら
M8と沖縄って相性が悪いのかも知れません・・・・


だって
一枚目の写真なんか
火曜サスペンス劇場の

「殺人現場残された血文字のカラオケルーム・・・・・」

っていう題名を彷彿させられますよ~~~笑
  1. 2010/04/08(木) 19:15:51 |
  2. URL |
  3. 山形 #-
  4. [ 編集]

いやあ、小浜島懐かしいですねえ。4年前の夏に行きました。港で軽自動車をレンタルして廻りましたが、竹富島のジーンとした暑さ(梅雨明け直後でした)とは異なって、吹き抜ける風が心地よい島でしたねえ。
春の沖縄は天候が変わりやすいので、少し靄がかかっているようですね。ぜひまた真夏にも行ってください。
拙HPのElmarit21mmf2.8とKinoptik50mmf2のところにその際の写真を上げてますが、当時は嫁さんの入った写真ばかり撮っていたので、あまりHPに出せる写真が無かったです。
Kinoptikのほうの4枚目の海に落ちる道は確か小浜島だったと思います。
  1. 2010/04/08(木) 19:34:07 |
  2. URL |
  3. kinoplasmat #lpavF/Xw
  4. [ 編集]

trezieme ordre さん
有難うございます。
昨日は遅くまでお付き合い戴き、重ねて御礼を申し上げます。

さて、今回の画像ですが、レンズがヘンなのではなく、カメラが悪いのです。

レンズはかの高輪の御大もアポクロマートの優秀なレンズであると認めておられたので、写りが奇異なのは、ひとえにカメラの責任です(モノに責任転嫁モードです・・・汗)

M8の沖縄戦線初陣は正直申し上げて惨敗だったと認めざるを得ません。

今までの感想で、あくまで個人的な意見を述べれば、画面内の輝度差に極端に弱いM8のAEはせいぜいF3レベル、それに対し、R-D1s系列はひょっとするとF5とか、D2Hレベルの精度の高さかも知れません。

沖縄の如く、日中の空の明るさ、地面の照り返しが強いところでは、外光測定機能の有るこのカメラでは却って「策に溺れて」いるのではないかと邪推してみたくもなります。

もう、失敗のリスクの高いところでは、R-D1sしか使わず、M8は関東近郊での仲間内でのお遊び撮影会とか、レンズテスト用の予備機に降格してやろうかと真剣に考えています(苦笑)
  1. 2010/04/09(金) 22:17:11 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

山形さん
有難うございます。
「オカルト写真家」のタイトルを献上しようかと秘かに考えていたら、逆襲を喰らってしまいましたね・・・

そーです、M8が全て悪いのです。こんな露出精度の出鱈目なAEでしかも露出補整が実質出来ず、シャッター速度を勘で上下させなきゃなんないような高級RF機なんて有り得ません。

しかもネガフィルムと違い、デジは極端にラチチュードが狭いので、的中はかなり困難です。

ま、行った時期が時期で、この日はかなり黄砂も酷かったので、100%カメラのせいにするのもなんですが、それでも、もっとR-D1sを可愛がって上げれば良かったぁ~(涙)

へへへ、これで絶対M9なんか買わない良い理屈が出来たワケです(笑)

良い子の皆さん・・・買うならR-D1sの中古かR-D1xの新品にしときましょう(苦笑)
  1. 2010/04/09(金) 22:25:06 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

kinoplasmat さん
有難うございます。
早速、貴ブログ拝見しました。
一連の画像は勿論、M8で撮られたものですよね・・・

う~ん、海の碧さと、空の蒼さ・・・あまりの鮮やかさに余計、落ち込むとともに自分のM8が余計憎たらしくなってきて、窓の下のまだ水も冷たい運河にでも叩き込んでやりたい気分になっちゃいそうです(苦笑)

へへへ、でも実は性懲りもなく、GWの期間に写真展を殆ど留守にしてまで、リターンマッチを目論んでいるのです。

確か、JTAの早割りまだ間に合ったし、本島から久米島でも足伸ばしましょうかね、そしてまた帰りは渡名喜島でも寄って・・・

今度はR-D1sにまた今日拵えた謎のレンズ持って万全の体制で臨みます。
  1. 2010/04/09(金) 22:39:29 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

charleyさん、申し訳ありません。自分の写真の宣伝をするつもりは全く無かったのですが、とても良い思い出だったものですから。リゾートは天候にとても左右されますから、ぜひ次回は晴天をお祈りしています。私も帰国したらおいしい島らっきょを食べにまたすぐにでも行きたいです。
  1. 2010/04/10(土) 01:36:14 |
  2. URL |
  3. kinoplasmat #lpavF/Xw
  4. [ 編集]

kinoplasmat さん
再び有難うございます。
いえいえ、沖縄のことがホントいお好きなんだな~と改めて感じ、"琉球病末期"状態の小生は、寧ろ嬉しい気持ちになりました。

ところで、実は前回の渡名喜島でも、伊豆大島でも着いた初日が小雨もしくは霧という悪天候で、帰る間際になってお天道様が機嫌を直す、というパターンが続いていたんですが、今回は寧ろその逆で、着いてから2日間は天気が良くて、一番のクライマックスで黄砂でコケた・・・という顛末なのです。

そうですね、M8を恨むのは筋違いで、本来なら、国境越えて黄砂なんか東アジアにバラ撒く中国を恨むべきですね・・・アレ違うか。

しかし、冗談はさておき、もし帰国されたら、是非お互いの秘玉を繰り出し、街撮りでも繰り出したいものですね。
  1. 2010/04/10(土) 12:33:07 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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