深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

バカンス島した~沖縄・久米島旅行編~

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【撮影データ】カメラ:1、2、5、6枚目R-D1s、3,4枚目Zeiss Ikon ZM、レンズ:1、2枚目Speedpanchro40mmF2 Ser.III改M ISO200 絞り開放 AE、3、4枚目Cine-Planar50mmf2改L Kodak Ektar100 絞り開放 AE、5、6枚目Cine-Planar50mmf2改L ISO200 絞り開放 AE
さて、楽しくも緊張しまくら千代子状態だった写真展2連荘も終わり、工房主には久々の休息、いや創作のための時間的ゆとりが出来ました。
様々な行事に圧され、操業が停止していたため、溜まりに溜まったレンズヘッド達を社会復帰させて上げなければなりません。

しかし、知る人は知っていましたが、その過酷な写真展週間の裏番組で、工房主はしっかりとバカンスしていたのです。
そう、休暇が4日以上あれば、砂鉄が磁石に吸い寄せられるが如く、自然に飛んで行ってしまうという、沖縄地区です。
え~3月に行ってて、また行ったのかよ!?と突っ込みを入れたくなる愛読者の皆さん、厳密に言えば、3月は石垣島周辺だけ、そして今回は那覇中心に久米島行ってきたのです。ホントは名護の赤瓦の古建築で昔ながらの泡盛作りをしている「津嘉山酒造」を訪問し、市内に残る古い町並みを撮りに名護市にまで高速バスで行こうとしていたのですが、一にあの人騒がせな"平和の使者"を語った迷宰相が名護にやってくるというので、無粋な雰囲気と垂れ幕なんどが市内の至るところに散見され、それが写り込むことで写真の芸術性がスポイルされる可能性が高いこと、そして、二番目に前もって連絡してから見学に来てくれ、と謳っているその酒造所の電話番号がネットでどうやっても調べられず、行って門前払い喰らうなどという惨めな末路を辿りたくはなかったから、結局、名護行きはギブアップ、行き慣れた糸満と北谷のセットという日程に換えた次第。

そして、写真展でも何名かのお客さんから質問でたので、この場でお答えしておくと、沖縄に限らず、撮影を目的とした旅行では、機材としては、必ず、デジRFのうちいずれか、そしてフィルムのRF、近頃は2000分の1という必殺兵器を持ち、しかも軽いZeiss IkonZMを持っていくようにしています。そしてレンズはボディに装着したまま持ち出すものも含め、だいたい、6~7本です。一連の撮影旅行の成果から写真展の作品に昇格することを考え、専ら工房製シネレンズのみ持っていくようにしています。
この頃は大胆にも、作ってすぐのレンズまで実戦テストとして持ち出すようになりました。

さて、早速、旅程を追って作例を見ていきましょう。

まず一枚目。
那覇について二日目の朝、8時半丁度のフェリーで久米島へ渡ります。
ホテルを7時半過ぎに出て、裏通りを通って、泊港のフェリーターミナル、通称"とまりん"に向かいます。
その途中、古めかしい木造建築の氷屋さんを見つけたので、一枚戴き。

英国、Rテーラーホブソン社がシュナイダー、C、ツァイス社への切り札として放ったSpeedpanchroシリーズ中のアリスタンダード用最後のレンズブロック、シリーズ3をライカマウントに改造したもので撮りましたが、細密に亘る描写、ピンクとも薄紫とも見える、得も言われぬ色合いの建屋の雰囲気を良く捉えているのではないかと思います。

そして二枚目。
景色を楽しみながら歩くと、あっという間にフェリーターミナルに到着しました。
切符売り場で、片道だけの切符を買い、乗り場に向かいます。
このシーズン、フェリーはかなり盛況らしく、出航から30分以上前でも切符はかなり残り少なくなっていました。
前回の渡名喜島行きでは、時化による高波で地獄の苦しみに遭いましたが、今回は宿を出る前に乗り物酔い防止のオクスリを飲んでいるから、波浪注意報もものかわです。
それでも、船旅はいつでも心をワクワクさせるもので、足取りも軽く久米商船の乗り場に向かうと、真っ白い船体が船首の開口部を開け、貨物や自動車を積み込んでおり、その横を、バカンスなのでしょうか、今風な衣装に身を包んだ、いたいけな若いカップルが足取りも軽やかに手を繋いで通り過ぎて行きます。
こちとら、中年男の一人旅、あまりの落差に一瞬たじろぎかけましたが、そこはそれ、華のお江戸の半蔵門のカメラ博物館で写真展をやるほどの、そこそこ名のある(素人)写真家でござる!と開き直って、前行く2人をブログネタにさせて戴いた次第。
このサイズでは判りづらいかも知れませんが、このRTHのスーパーレンズは、カップルの衣装のテクスチャのみならず、真っ白い船体の溶接の継ぎ目、鉄板の凹凸まで繊細に描写しています。

それから三枚目。
島に着くと、レンタカーは予約無いと借りられませんし、タクシーも滅多に見かけないし、本島並みに高いし、レンタサイクルもレンタバイクもフェリーターミナル周辺にはなさそうなので、今回の旅の移動手段はバスしか頼りになりません。
船が着いてから30分ほどしてから島内周回のバスがやってきて、島内、いや本島周辺でも随一と言われるイーフビーチ方面へ向かうこととしました。
本島は、天邪鬼な工房主は、白い砂浜と蒼い空、碧い海、その下で青春を謳歌する若者達、なんてものは見たくも聞きたくもなかったのですが、謝名堂という集落に赤瓦の家々と石積み塀が残っているという情報を得ていたので、その集落が目的で、有名ビーチはあくまで、定食に喩えれば、せいぜい漬物か小鉢程度の扱いだったのです。

ところが、20分以上かけて集落までバスでやって来て、ホントにここで降ろしてイイのか?というやたら親切な運転手さんの問いかけにも答えず、降りたところは、極フツーの那覇市内の住宅地とさほど変わりない、15分かそこらシャッター切ったら飽きてしまう過疎の集落でした。

この時点でもう2時も過ぎていて、船酔いを警戒し、朝から何も食べていないこともあり、さっさと反対方向のバスが来たら乗って、船着場周辺へ戻ろうと画策し、開店しているのにやっているのかどうか判らないような商店が目の前に有ったので、自販機を口実にして財布の中の1万円からバス用の小銭を両替して貰いに中に入ってみると、ヒマを持て余していた老婦人にまんまと捕獲され、札が足りないので両替は出来ないが・・・やれどこから来た? 何しに来た?から始まって、やれ、赤瓦の家々写真撮るなら、謝名堂じゃなくて真謝の間違いだろ、30分も歩けば着けるぞとか、20分以上も地域情報を戴いてしまいました。

しかし、先立つものは腹ごしらえってことで、乗ってきたバスのルートを辿って、ランチバイキングをやってたホテルが二軒有ったことを思い出し、畑の中の道を歩いていたときに撮ったカットのうちの一枚がこの学校前でのもの。
遠くに校庭を悠々と泳ぐこいのぼりがおぼろげに見えるのがアクセントです。
Cine-Planar50mmf2とEktar100の組み合わせにしては、かなり地味目なあっさりとした描写になりました。

続いての四枚目。
やっとのとこで、久米島では唯一の海岸に面したホテルというイーフビーチホテルで、ランチバイキングを楽しみます。
1500円で、和、洋、中、デザートも色々と有って、味も良く、なかなか充実していました。但し、15時半仕舞いなのに、15時10分過ぎに入ったため、急ぎ足だったのが至極残念でしたが。

衣食足りて礼節を識る、ではないですが、おなかが満ちてくると、目の前の白い砂浜の景色が急に魅力的に見えてくるから、人間とは現金なものです。

ホテルのロビーを通って、砂浜に出てみます。

すると、年端もいかない、いたいけな男女が砂浜で青春をエンジョイする予行演習をしているではないですか!?
さすが、出生率トップの沖縄県、こんな幼少のみぎりから自由恋愛を徹底していたわけです、こういったところを少子化に悩む本土の各自治体も見習うべきではないでしょうか。
ここでは、Cipne-Planar50mmf2とEktar100との組み合わせで、若干、周辺の光量落ちしていますが、f2開放でISO100でのシャッター速度2000分の1であれば、砂浜は飛んでしかりなのに、しっかり踏ん張っています。
蛇足ながら、ここのカットではR-D1sは殆ど露出オーバーで全滅でした。

この後、久米島での活動も十分エンジョイし、18:50だったかのフライトで、とんぼ帰りで那覇に戻ります。行きは3時間以上かけた優雅な船旅ですが、帰りはたった25分のフライトでした。

まだまだの五枚目。
久米島から戻った翌日、糸満、北谷を巡り、そのまた翌日、即ち、夕方の便でお江戸に戻るその日、いつも必ず訪問している、首里金城町界隈に、今回はまだ訪問していなかったので、朝、早めにチェックアウトして、モノレールで向かいました。
前の晩はかなりの大雨が降りましたが、最終日はまさに五月晴れの名に相応しく、開放専門カメラマンには冷や汗もののイイ天気の一日となりました。
レンズはCine-Planar50mmf2、ボディはR-D1sでのお散歩、首里城界隈の喧騒を横目に通り過ぎ、金城町の石畳を歩いて、被写体を求めます。
すると、激しく日焼けした工房主を地元の写真中年とでも勘違いしたか、関西弁を使ういたいけなカップルが、道を尋ねてきました。
もう十数回も通っていますから、下手な那覇市内の高校生より詳しい工房主は、大アカギへの道筋と、パワースポットである御獄(ウタキ)に関して、少々講釈を垂れて上げました。
そして、丁寧に礼を述べ歩き去るカップルをガイド料代わりに撮影させて戴いたのがこの一枚。

露出データ上からは、飛んでしまっている筈なのですが、そこはそれ、スーパーレンズであるCine-Planarのご利益で、優しいフレアと不可思議な立体感を持つ、奇妙な描写が出来上がった次第です。

最後の六枚目。
首里金城町での撮影も無事終え、今回最後のミッションである、波の上宮界隈の撮影を行う前に腹ごしらえをしなければならないので、国際通りへ戻ります。

その途中、沖映通りという、那覇モノレール美栄橋から国際通りを結ぶ通りで沖縄そばと和風うどんの赤と黄色の看板が並んでいたので、看板に置きピンしていたら、非番と思われる進駐軍の若い兵士がカジュアルなカッコして歩いていたので、通り過ぎざまシャッター切りました。

ここでも、露出はオーバーしてしかりの条件でしたが、金城町の石畳の小姐後ろ姿同様、レンズ性能のためか、何とか踏ん張って、優しいフレアと不可思議な立体感で、えも言われぬ描写となった次第。

また、秋の写真展向けに結構イイネタが集まりました。もちろん、ここでの未発表作品での出展となります。

さて、来週は久々に工房謹製レンズのレポートでも致しましょう。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2010/05/16(日) 23:00:00|
  2. Arri改造レンズ群
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:7
<<An essence of accuracy of C.H. ~Kerm Switar 50mm f1.8 mod. L39~ | ホーム | 祝~写真展特集~日本カメラ博物館JCII Club25展示(後編)>>

コメント

こんばんは

度重なる沖縄という事で、4枚目を除けばとりたてて地域を感じさせない映像といった感想です。

4枚目が開放だとすると、かなり濃いめ乗っているネガが出来たとおもわれますが、意外と人物が写っていますね。混雑といえば江ノ島を思い浮かべますが、これは全く贅沢な風景です。
建築用の軽量ブロックが妙ですが、むかし読んだアンチ・ロマン小説『ル・クレジオ』の日常と違う時間を持つ海への思いを感じさせられました。
  1. 2010/05/17(月) 00:52:38 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

日差しの強さが沖縄らしさを感じさせてくれますね。Cine-Planarは暗部がつぶれないラチチュードの広さを感じさせてくれますし、R-D1の色表現とよくあっているように思いました。
  1. 2010/05/17(月) 03:24:59 |
  2. URL |
  3. kinoplasmat #lpavF/Xw
  4. [ 編集]

個人的には
1枚目の写真が心惹かれました。

レンズのシャープ感が
一番出ているように思えましたし
色が嫌味が無くて良い感じに見えますよ~~~
  1. 2010/05/17(月) 21:36:40 |
  2. URL |
  3. 山形 #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。
くだんの4枚目のカットですが、まごうことなく開放で撮ったものですが、Ektar100とCine-Planar50mmf2の素晴らしいラチチュードの広さのに助けられ、全く普通の画として、フロンティアCD-Rには書き込まれていますし、ネガもそれほど、ギンギンに濃厚な色合いというほどでもありません。

ところで、実はこのカット、ホントはたまたま近くのゴミ箱に「いいちこ」かなんか空ビンが捨ててあったので、そいつを砂浜に置いてヤラセ写真撮ろうとして徘徊してたら、どこからともなく、私設コーストガードみたいなのがやってきて、やれ、砂浜で酒呑むなとか、元々空ビンだ、と言えば、そんなもの持って何で砂浜うろついているのか、と聞いてくるわ、ちょうどいいオブジェを見つけたので、砂浜に置いて写真撮ろうと思った、と言えば、そんな危険物を砂浜に持ち込むのはヤメてくれ、とにかく、ゴミとして預からせてもらいます・・・ということで、ほんの2~3分の会話で、創作のための小道具は海岸の保全のため、没収され、仕方なく、少年少女というにはまだ早いカップルを撮ったら、予想外に広かった被写界のため、色気無いコンクリートブロックが写りこんでた次第。

人の持ってるビンなんか、預からせて貰う!より、ブロックくらい片付けろよ!と今思い出した次第。
  1. 2010/05/17(月) 22:26:15 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

kinoplasmat さん
有難うございます。
いやはや、一見万能旅行カメラのようなR-D1sも最低感度がISO200程度ですから、ご自慢の2000分の1秒も実体はM4とかVIL、そしてSPなどの1000分の1と大差ありません(汗)

従って、昼のカットではオーバーか、オーバー気味のものが殆どでした。

ここは、やはり、シネレンズの雄、Cine-Planar50mmf2の表現力によるところが大ではないかと愚考した次第です。
  1. 2010/05/17(月) 22:30:38 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

山形さん
有難うございます。
Sppedpanchro32mmf2はレンズ自体は薄茶色が付いているようにも見えるのですが、ところが撮ってみると、寧ろ、Cine-Xenonにありがちな青カブリを防ぎ、かなり忠実な発色をします。
実際にとても優しく、懐かしい色合いの木造建築でしたよ。

シャープネスについてはもう言わずもがなですね、何せ、135判フィルムを長手方向で半裁したサイズ(APS-Cとほぼ同じ)で動画とはいえ、10数mの対角線を持つ映画スクリーンに映すネガを撮る道具なのですから・・・
  1. 2010/05/17(月) 22:35:57 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
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  1. 2010/10/08(金) 17:49:28 |
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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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