深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

管家看到 another story~Cooke KInetal12.5mmT2 mod.M~

cooke kinetal125T2
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【撮影データ】カメラ:R-D1s ISO400 絞り優先AE 露出補整+1/3 全コマ開放 、ロケ地:浅草
さて、感動の二連作を乗り越え、今日は久々の「科学と学習」風のコンテンツ行ってみます。
このレンズは、言わずと知れた映画撮影用レンズの銘玉中の銘玉 Cooke Kinetal12.5mmT2のArri.スタンダードマウントを当工房にて、Mマウント化&距離計連動化したものです。

実は、このレンズ、欲に目が眩んだ工房主が16mm用のレンズと売主が書いていたのを、焦点距離16mmと勝手に勘違い、こりゃ、安く出物を手に入れたワィ・・・とほくそえみ、品物の到着までは暫しの幸福な空想と充実感の日々だったワケです。

が、しかし、到着して、不相応に立派なキャップを開け、銘板を見て仰天・・・げげげ、焦点距離12.5mとは。

当工房では今まで18.5mmまでの焦点距離のレンズしか距離計連動をやったことがありません。

何とならば、焦点距離が短くなればなるほど、光学系の合焦のための前後ドライブ量と距離計連動カムのドライブ量のギャップが大きくなって、二昔前以上に流行った、富士急ハイランドか小山ゆうえんち辺りのジェットコースターのレールのカーブを彷彿とさせるような極端な傾斜カムを極めて精緻に加工せねばならず、実際に工房発足当時に手掛けた18.5mmのアンヂェニーの加工でエライ目に遭っているからです。

さて、なりそめはこのくらいにして、判る範囲で簡単にこのレンズの氏素性の紹介行きます。

このレンズは独Schneider Kreutznach、Carl Zeissと拮抗する、英国光学界の雄、Rank Taylor Hobbsonがシネキャメラの巨人、Arnold & Richter社製のArriflexの16mm判向けに供給したもので、マウントがスタンダードで、コーティングがマルチであることから、70年代の半ばから終わりにかけて生産されたものと思われます。
レンズ形式は、枚数や群構成は不明なものの、明らかにレトロフォーカスタイプであることは見てとれます。

では、何故、今回、こんな"失敗作"の作例紹介をすることとしたのでしょうか?
それは、SONYのNEXが発売になり、Mマウント等のレンズカプラーも今月から、国内外の業者により発売される見通しとなりましたが、今までマイクロフォーサーズで使っていたシネレンズがNEXシリーズのAPS-Cサイズの撮像素子で撮るとどうなるのか?という質問があちこちから戴きましたので、論より証拠、同じAPS-CサイズのR-D1sでシュミレートした結果を公開しようと思った次第。

なお、タイトルは東北の畏友、Y形さんの果敢なチャレンヂへのオマーヂュの意味合いも含めて付けたもので他意はありません(笑)

まず一枚目。
浅草と言えば、まずは雷門、これを抜きにしては浅草は語ることが出来ません、前々から超広角レンズ手に入れたらやってみたかったのが、提灯の真下あたりからどアップで提灯の雄姿を画面に納めること。
さすがに真下は、今日も大勢の観光客各位が通行していたので、足蹴にされる危険を孕んでいたので、ちょいとオフセットし、距離計が連動する最短1mで撮ったものです。
それでも、3m以上の距離から撮ったように見えてしまうから不思議なものです。
提灯表面の紙の質感、白いメッシュ、それぞれの描写がタダモノではない解像力を感じさせてくれます。

そして二枚目。
個人的な浅草の撮影スポット、裏通りの団扇屋さん店頭のディスプレィです。
これは、もう目測40cmで撮りました。
だいたいいつも使う35mm~50mmクラスのレンズの1.5m程度の距離に近いカンジです。
ひょっとこ面の値札にピンを置いていますが、この画像では判りずらいかも知れませんが、恐るべきシャープさと自然な描写で捉えています。
バックのボケは周辺の中心方向への曲がりは仕方ないとして、結構素直なボケ方をしています。
なお周辺手前右の白い光輪はレンズ枠の反射を拾ったものと考えられます。

それから三枚目。
所定の撮影スポットを二箇所クリアして、某団子屋さんには好みの美小姐が不在でしたのでそのままスルーし、浅草寺本堂方面に流れる人の群に身を置きます。
と、ハーフと思しき、内地では珍しい美小々姐の手を引いて仲見世を悠然と歩く中年のご仁が追い抜いていきました。
ここで、俄然、インターセプトモードです。
いつもの50mm~28mmだとこのような人ごみですと、充分なクリアランスが取れないので諦めてしまうところですが、今回は距離を4分の一程度に縮めてしまう、魔法のレンズをつけています。
1m以内に接近しながら、すかさずシャッターを切ったのがこの一枚。
実際には、手を伸ばせばまさに触れなんとする距離であったにも関わらず、2m以上の距離を置いてゆったりと後姿をスナップしているように見えるから不思議なものです。
周辺の人々はここでも激しく画面中央方向に引っ張られ、画面左の小姐など、現実社会で起こった事象なら、即刻、救急車で整形外科病院行きの首の曲がり方をしています(笑)

まだまだの四枚目。
伝法院通りと仲見世が交差する場所、そうマニア各位には、かの名人のお店の曲がり角と行ったほうが通りがイイ場所まで来てみると、例の歩く観光名所、桜金造似のズラ饅頭屋さんが居ました。
大変申し訳ないのですが、蓬の風味が好きでないので、いっぺんも買ったことがないのですが、何十回も撮ったことがあるので、またカメラを向けると、仕事中にも関わらず、カメラ目線&即席ポーズ。
精一杯、写真で宣伝するので、これで勘弁してやって下さいね。

最後の五枚目。
伝法通りを鵜の目鷹の目で歩いて獲物を物色していたら、このところ、雨後の筍の如く急増した中国人観光客が、異様に騒ぎ、エキサイトし、カメラ片手に何事かを喚き走るものも居る・・・なんぢゃ、ここは天安門でも、外灘でもねぇぞ・・・と毒づきながら走らせた目線の先には・・・居ました居ました、今日一番のキワモノが、いや、ここ数年で一二番を争う、お笑いネタです。

そう、かなり年配で大柄の白人、もしくは中東系の女性2名が2コート2ベークの厚塗り塗装よろしく、かなりこってりしたお化粧を施され、しかも、ハタチかそこらの町娘が着そうな柄の着物なんか着て、行進していたのです。

う~ん、奇声を上げて、この怪人たち?を取り囲み、即興撮影会をおっぱじめた厚顔無恥な中華人民共和国からの裕福なゲストたちに混じって、もっと接写で激写したかった・・・しかし、ワタシは日本人ですので(笑)

今回の感想としては、画面がケラれる以外はそれほどアブノーマルに画面が歪んだりしないので、構図によっては、50mmや35mmで撮ったものがフードでケラれました、で通っちゃうほど極フツーの写りで、何か拍子抜けしました。
しかし、こういう人ごみの中でのスナップには、極めて有効な接近戦用兵器ということが良く判った次第。

さて、来週は、先月に引き続きお呼ばれのお散歩会からのダイヂェスト行く予定です。乞うご期待。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2010/07/04(日) 23:53:25|
  2. Arri改造レンズ群
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

悩ましげな円形画像ですね!最近見掛けるように成ってきた、特殊用途でないレンズの「生画像」です。実際は、準広角位の画角なのでしょうか。

でも、こういった手法は、大判カメラ作家は時たまあえて利用しますね。まあ、今回はレンズ選定上の不手際かも知れませんが、デジタルならどの様なトリミングでもお手の物でしょうし、画像の細密度アップもお手の物かも知れませんね。

emetto gowin という、アメリカ・バージニア州の作家に、少女がプリーツのドレスをせいいっぱい広げている1970年頃のモノクロで、円形イメージサークル全開画像写真を良く思い出します。なぜかバージニア州にはプリミティブな作風を感じさせる作家が多いです。

レンズやカメラの、ある種光学的で根源的なあり方をあえて作風で生かせると、更に興味は尽きないものです。
「どうして世の中に流通している画像は四隅にカドがあるの?」等。それは子供の「イノセンス」な在り方と、作品イメージの結び付きとか・・・。
  1. 2010/07/11(日) 19:19:58 |
  2. URL |
  3. 13 ordre #-
  4. [ 編集]

13 ordre さん
有難うございます。
12.5mmという焦点距離は、16stのArriflexでは画面サイズから類推するに標準レンズのようですね。尤も、小生も高輪の御大のサイトの情報の受け売りですが。

今回のアップは、たぶん、M3/4のカメラで撮ったならば、四隅はちょっと黒いものが見えるのかなぁ・・・で済んでしまったかも知れませんが、持ってません(苦笑&汗)

あくまでも、NEXシリーズでArri16シリーズの玉を使ったらどうなるか、という無謀なトライアルなので、このような「家政婦は見ていた」シリーズのようになってしまった次第。

これでも面白いと思う方々は、M3/4のレンズ資産そのまま持ったままAPS-Cフォーマットに移住するでしょうし、イヤだ?と思う方々は集めたレンズ資産売っぱらって、M42とか、ライカ判のレンズとアダプタを買うようになるでしょう・・・てな思いつきを企画にしてみたという次第。

なお、コメントを拝見してよくよく思い返せば、輸入モノの時代欧米家具、インテリア品なんか売ってるお店で見かける写真立てにしても、壁に何枚かを飾るフレームにしても、丸とか、楕円とかの開口部を持つものって、古いものには良くありますよね・・・

いつから、こんな四角四面が主流の世の中になっちゃったんだか・・・
  1. 2010/07/11(日) 23:13:41 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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