深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

第二回出張撮影~本郷裏通りの青春~

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【撮影データ】カメラ:R-D1s、ISO200、露出補整+1/3、全コマ開放、レンズ:1~3枚目:Cooke Spped Panchro50mmT2.2ser.3改L39、4~6枚目:Apo-Rodagon50mmf2.8改M
さて、このところ、暑い天気と急転直下の豪雨などが続いておりますが、読者各位はいかがお過ごしでしょうか?
週末はいつも工房に引きこもって、沖縄系音楽流しながらレンズ加工などやっている工房主にも、時たま、お呼びが掛かることがあります。
今回も、某写真愛好家集団各位のご好意で、お声掛けを戴き、新宿西口写真修錬会/ノンライツRF友の会の愉快な中間達と、その撮影散策会という極めて心地良い催しに混ぜて貰って、好天の下、本郷三丁目で集合し、本郷の菊坂町辺りを撮り歩いてきました。

今回の機材は、来週の出撃に備え、最初期に改造したCooke Speedpanchro50mmT2.2ser.3を先般、最新の材質、加工技術、そして測定技術を投入し、リメイクしたものと、その比較用に引伸レンズ軍団の長、Apo-Rodagon50mmf2.8を持ち出しました。ホントはカバンにはもっと本数入っていましたが、要は歩きながらの撮影なので、換えるのが億劫だっただけです。

さて、早速、ルートに沿って、作例見ていきましょう。

まず一枚。
これは、Speedpanchroによる撮影で、本郷三丁目の駅から出て、目の前の大きな通りを渡り、菊坂町に向かう途中で見かけた米国風ファーストフードレストランの店先のオブジェです。
まだ開店前なのを良いことにメンバー13名が寄ってたかって思い思いのアングルで撮影しています。
撮影開始直後にこんな面白いオブジェに逢えるとは幸先が良いです。
ピンは手前から二つ目のバーガーの上のバンズのゴマに合わせていますが、やはり、当然のことながらシャープで、カラーバランスも陰影の表現も素晴らしいと思います。
ただ、解像力の跳ね返りか、背景が若干2線ボケになってしまっているのが残念でした。

そして二枚目。
皆でワイワイ語らい合いながら、ところどころ、これはと思う撮影スポットでは、無口となって真剣な面持ちで撮影モードに入るのは、皆さんさすがだと思いました。
菊坂町の古い街並みを思い思いに撮り歩きながら、急に開けた小公園までやってきたら、久々の好天が待ち遠しかったのでしょうか、いたいけな子供達が様々な遊具で遊んでいます。
子供撮りは、そこはそれ、伊達に沖縄通っているワケではないので、カメラを構えながら、「撮るぞぉ~」とか、ひょうきんに言いながら、あうんの呼吸でシャッター切ります。
このなかなか愛くるしい小々姐はなかな協力的で、ボールを道具に何カットか魅惑的なシーンをプレゼントしてくれました。
まさか、こんな幼いうちから、シネレンズの凄さを見抜いての協力姿勢であれば、将来が末恐ろしい気もしました。
沖縄のピーカンの白い砂浜ほどではないにせよ、かなり地面からの照り返しも強く、オーバー気味の露光とはなってしまいましたが、それでも、しなやかで美しい黒髪のテクスチャや、あどけない表情など、余すところなく記録しているのは、アリレンズの最終系と言われたSpeedpanchro Ser.3の威力の為せる業だったのでしょう。

それから三枚目。
菊坂町での撮影も一通り終え、途中、午前のお茶&休憩タイムをはさみ、昼飯を目指し、今度は一本上の道を東京帝国大学方面に歩いていきます。
その途中、勘が働いたというか、ふと足を踏み入れた路地に有りました、有りました・・・そう、小生の沖縄撮影の3種の神器とも言われる、ハイビスカスと人力井戸ポンプが・・・
飛行機賃払わずとも、大好きな沖縄のエッセンスが撮れるなら、これに越したことは有りません。
嬉しくて、いつものワンパターンのアングル、構図で一枚戴き。
ピンは画面上部右側のハイビスカスの花に置きましたが、やはり強い直射日光下、花のテクスチャは跡形もなく飛んでしまって、かろうじて反射率の低い花中心部の赤と輪郭のみ残しています。
人力井戸ポンプは、長年の風雪による塗料の経年変化で艶がなくなって、イイ感じの佇まいとなっています。

続いて四枚目。
ここから、選手交代、Apo-Rodagonの出番です。
東京帝大方面の通りをちょっこし横道に逸れると、「金魚坂」という看板が目に入ります。
ここは何でも、金魚の販売から釣堀から、レストラン・カフェなど手広く経営しているようで、その業態の摩訶不思議さに驚くよりも、固定資産税の高い都心部のこと、このような複合経営を手掛けなければ、伝統ある屋号が守れないのだろう、とふと、我に返った次第。
空中に浮かぶ看板を撮ってみましたが、やはり、ピン置いた手前の看板の赤い文字の艶かしさはこのレンズの引伸用途には留まらない懐の深さを感じさせてくれるのではないでしょうか。
また、バックのボケも絵画の遠近法のようになだらかな好ましいボケです。

まだまだの五枚目。
早速、中に入ってみれば、釣堀で、親子連れが釣りなどを楽しんでおり、親御さんにアイコンタクトで写真撮りたい旨伝え、カメラを向けました。
このカットでは、手前の小々姐の髪の上の白いリボンを目当てにピンを置きましたが、さすが、引伸レンズの雄、シネレンズにも一歩もひけを取るどころか、中心部の解像力の高さで、見事に反撃しています。
少々オーバーかも知れませんが、こちらの小々姐の髪の毛は画面から飛び出してきて、攫めそうな錯覚を覚えるほどのシャープさです。
また、ここでのバックのボケの自然さも、並みの銀塩撮影用レンズではまず歯が立たないと思われます。

最後の六枚目。
金魚坂を後にして、木村伊兵衛翁が名作を撮ったというポイントに皆で向かいます。
その途中で、建築会社の資材置場があって、先行メンバー各位が散開し、早速、ミニ撮影会の様相を呈しています。
その中で、皆さんどういうワケか三角コーンにはご執心でしたが、この黄色い、ムーミンに出てきた棒状の謎の生物みたいなオブジェはまさにアポクロマートレンズの性能の一端を知るのに相応しいと思い、小躍りしてシャッターを切った次第。
ここでも、発色、シャープネス、そして距離感を感じさせる自然なボケ、このレンズを引伸用と決め付けてしまうのが極めて難しくなるような反証が出てきました。
勿論、映像撮影用の産業レンズである、アリレンズは高性能というのは当たり前ですが、少なくとも、今回のR-D1sによる街撮りでは、甲乙付け難い、好勝負を繰り広げたのではないかと思った次第。

さて来週は、金曜日から、また飛行機に乗って、ぶらり旅に出てしまうので、早ければそのレポートも兼ね、再来週の水曜にでも更新入れます。

乞うご期待。

テーマ:お散歩写真 - ジャンル:写真

  1. 2010/07/11(日) 21:21:50|
  2. 街撮り写真
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

今回の写真は、
みんな光の当たり具合が良くて綺麗ですね~~~

2枚目の写真は
少女の表情と顔の部分の明るさが良くて最高です♪

全体的には
中野より写真を撮るポイントが多いような気がしました。

  1. 2010/07/11(日) 21:45:34 |
  2. URL |
  3. 山形 #-
  4. [ 編集]

山形さん
有難うございます。
まさにコメント戴いた通り、梅雨の中休みと言うに相応しいピーカンの一日で、「ハイパー晴れ男」の面目躍如の一日でした。
しかし、その代わりと言ってはなんですが、暑かった・・・午前中、10時スタートで撮り出しましたが、11時回る頃には、誰とはなしに「お店入って、冷たいものでも・・・」ってことで、今回はお話しタイムも充実した撮影会でしたよ。

しかし、それにしても、撮影がスポット多かったこと・・・
こんなイカした撮影スポットだらけの地区が都心に在るとは夢にも思ってなかった。
出て来られれば良かったのに。

ま、次回は自前のイベントがありますから、親兄弟を質屋に入れても、出てきて下さいよ(苦笑)

ところで、この公園の美小々姐のカットは何枚か有るのですが、これが一番イイ、写真展向けに温存すべきですぅ・・・と言ったのは、奇しくも我らが柔らかい水棲生物サンでした。

是非、釣堀の小々姐の素顔共々、月末にご自分の目で確かめませう。
  1. 2010/07/11(日) 23:22:32 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

前半、こうやって拝見すると、シネレンズは可也硬口なレンズと思いました。一枚目のオブジェは日陰なので万事調子が良いですが、2、3枚目はケント紙が欲しい感じで、映画撮影のように横着して(?)スタッフでも呼び込みたい気分です。
でも、こういった非常に強い・照らされた日差しを、実際に感じる状況そのものを生かす術を身に着けなければなりませんね。
けっこう玄人好みのレンズかもしれません。

対するアポ・ロダゴンの方がまだ「甘い」感じさえさせます。
アポ・ロダゴン二枚目の少女の襟と腕が、梅雨の晴れ間の容赦無い日差しを感じさせる位で、全体・意外とニュートラルな印象です。


井戸汲みポンプといい、釣堀といい、水を近場に生かした古い風情がいいものですが、こんなところで水撒きでもしながらノンビリというのもイイモノですね・・・。こども達もちょっとした空間の隙間に、思い思いの遊びを発見しているような風情です。
しかも本郷辺りのウンチクを語る様な老人でも出没したりすれば、こうした裏道りも活き返るのでは無いでしょうかね。今回は、このような場所に急に出没した釣堀の針先に、そんな《夢》でもを引っ掛けて見たいものです。
こういった足で稼ぐ探索も、路地の活性化に繋がって欲しいものです。
そして、ただ施設(記念碑)にだけ送り込むような福祉(古い町並み)で無く、御年寄りも伸び伸び出来・物語は育まれるような(活きられる)路地であって欲しいものです。それが、わたしも自宅に老人を抱えるところの《夢》です。

今回は話題が非常にズレてしまって、失礼しました。
  1. 2010/07/13(火) 23:03:48 |
  2. URL |
  3. 13 ordre #-
  4. [ 編集]

13 ordre さん
有難うございます。
また、先ほどはわざわざ丸の内までご足労頂き、重ねて御礼を申し上げます。

さて、今回のカット、かなり高性能レンズの鍔迫り合いで、イイ勝負になったのではないかと思いますが、それ以前に、都内に20年以上も住んでいながら、実はこの界隈にはいっぺんも足を踏み入れたことがなく、どんな撮影モチーフに出会えるのか判らなかったため、デジタル且つ、一番得意な50mm域での、しかも写りにはそれほど意外性のない、安全牌で臨んでしまったという感が無きにしも有らずです。

本当は、いつもの沖縄での撮影行みたいにもっと冒険的でアグレッシブに、例の35mmぐるぐるレンズにイルフォードXP2とか、そっち系でも良かったのではないかと、小心者の自分に自省することしきりです。

それはそうとして、写真を撮る、撮らないに関わらず、まさにワンダータウンでしたね、メンバーのどなたかも言われていましたが、都心とは思えず、青梅の方にも、川越の裏通りにも、そして月島の路地を切り取って持ってきたといっても違和感の無い、明治、大正、昭和の渾然一体化した、結界に足を踏み入れてしまったかの感有りでした。

木造住宅は、街の景観の一部として第三者が外から眺めるにはとても風情が有って良いものですが、都内では特に冬寒く、夏も暑いという、毎日寝起きする者には、苛酷な住居形態なので、いつまでもこのままにして欲しいというのは、よそ者の我がままでしかなく、住む方々が、そんな居住性の悪さもものかわ、古いものを守り続けて、都内、いや国内、海外からのゲスト達にも、安らぎと憩いを与え、自分達のプライドを守れると思えるのであれば、いつまでも残して欲しいものです。
  1. 2010/07/14(水) 22:50:19 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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