深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

夏休み特集~進駐軍座間基地潜入撮影行~

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【撮影データ】カメラ:Leica M8 ISO Auto 露出補整+1/3 レンズ:Cine-Heligon50mmf2改M
さて、夏まっ盛の今日この頃、陽の高い時分には、外に出るのも億劫になってしまいますが、先週の鎌倉~江ノ島ツアーに引き続き、また今週もご好意でイベントへのお誘いを受けたので、これ幸いにと出かけてしまいました。

今回の撮影場所は、タイトルの示す通り、今、話題の在日米軍基地問題のひとつでもある、神奈川県の相模原と座間市にまたがる広大なキャンプ座間です。

ここは、戦前~戦中に旧帝国陸軍の士官学校が在ったところで、最寄りの駅は相武台前という駅となっています。

当日は、日中の暑さを逃れ、また、夜間の花火までの体力温存も考え、15時にこの相武台前駅集合とし、バスで会場である基地ゲート前に赴きました。

ゲート前に着いてまずびっくりしたのは、同じ進駐軍基地の解放デーイベントというのに、数万人が押し寄せ、入場まで2時間待ちはザラという横須賀基地とは違い、ゲート前には入場待ちの行列も存在せず、手持ち無沙汰の警備兵諸氏が、あくびをするくらいの牧歌的なシチュエーションでした。

手荷物チェック、金属探知機検査を受け、中に入ると、やはり閑古鳥状態、案内して頂いた、いつもお世話になっている散策会の世話役のTさんのご説明によれば、夕方から宵の口になると、湧いたように人々が出てくる、まだ気温が高いこの時間はこんなもんです・・・とのこと。

まぁ、スナップ写真撮るには、原宿の裏通りみたいに雑踏だらけぢゃ、被写体とのクリアランスも満足にとれないので、このくらいで充分と思い、夜の盆踊り、花火まではひたすら露店冷やかしがてら、道行く人々を鬼神の如き気迫でスナップすることに専念することとしました。

今回の機材はZeiss Ikon ZMとLeicaM8の二台体制、ホントは昼をM8、夜をR-D1sとのデジRF使い分けでも良かったのですが、実は、先週、鎌倉~江ノ島ツアーに持ち出したBALTAR35mmf2.3改Mの銀塩でのテストをやはりEKTAR100でもやらないと、他のレンズとの比較が出来ないので、一本丸々36ショット、日暮れまで撮る目論みで持ち出したという次第です。
しかし、レンズは撮ってた時間が一番長かったこともあり、今週は工房壱号機のHeligonを中玉曇りをクリーニング後、パーツを一新し距離計連動に再改造したものを持ち出し、M8でテスト撮影を兼ねたものを今回はアップしました。

では、さっそく、行動を追って、作例見て行きましょう。

まず一枚目。
レンズをCine-Xenon28mmf2から、本日のテスト対象たるCine-Heligon50mmf2改Mに換装し、アポクロマートレンズの威力を、同行のTご夫妻にデモンストレーションするため、丁度良い獲物が来たので、早速シャッターを切ったのがこの一枚。
後ですれ違った時にTシャツの文字で判ったのですが、この小姐2人は基地内のハイスクールのチアガールのお嬢さんだったようです。
それにしても、基地の消防&救急ステーション前で金髪碧眼の小姐達と進駐軍の陸軍迷彩服を着た兵士がすれ違う様子は日本に居ることを忘れさせるようなシーンでした。

そして二枚目。
レンズを交換して、買い食いモードに入り、更に花火大会のポジション確保も兼ね一行3名はまた会場奥地へと足を進めます。
その途中で、いかにも米国人のファミリーっていう典型的な一家が「さぁ、次はどこさいぐっぺか?父ちゃん、晩メシさ、なんだかうんめぇもんさ食べてぇねぇ・・・」などといった牧歌的で微笑ましい会話をしている様を後ろからそっと近づき一枚戴き。
客観的に見て、カリホルニアの浜辺かなんかでバーベキューを腹一杯食って、もう日暮れだからとっとと帰ろう♪ってなカンジのいでたちの家族の背景に浴衣の日本人小姐達が複数オフフォーカスで写り込んでいるのが奇妙なコンビネーションで面白いですね。

それから三枚目。
また暫く歩くと、到着してすぐに霧散水装置の下でいたいけな小児、児童の類いがきゃあきゃあ騒いで楽しんでいた場所に到達し、珍しく、金髪碧眼の見るからに可愛げな小々姐が、日本人の悪ガキ少年や、浴衣小々姐と、国境も人種の垣根も超え、無邪気に楽しく遊んでいるではないですか。
そのユニバーサルな人類愛の象徴とも思えるような光景に心打たれシャッターを切ったのがこの一枚。
ホントは角度がもうちょい良ければ、虹も入ったのですが、そちらは、小々姐が下向いていたり、走り回って画面からはみ出していたりしたので、涙を呑んでこの一枚を採用した次第。

続いての四枚目。
お店を冷やかしながら歩いていると、同行のTさんが、すわ敵襲?とばかりにカメラを構えなおし、右手方向に早足で歩きおもむろにシャッターを切りだしました。
視線の先には、黒人のおそらく基地従業員と思われる、いかにも人の良さげなおっちゃんが子供を抱っこして揺らしながら、にこにこ愛嬌を振りまいていました。
それをチャッターチャンスと捉え、突進されたようです。
小生もそれにあやかり、横から撮らせて貰ったのがこの一枚。
なかなか露出が難しい構図ではありましたが、気の良さそうなおっちゃんの表情がかろうじて窺えるのではないかと思います。

まだまだの五枚目。
花火の良く見えそうな観客席の近くの露店で、ナチョスやら、ビールやら買い込んで、お話し&花火見物モードに入って来ました。
その客席に着く前、夕暮れの基地構内を背の高い優しそうな目をした大男の陸軍下士官と、アジア系の女性が仲睦まじく、夕陽に向かって並んで歩く姿が微笑ましかったので、一枚戴いたものです。
あくまで、部外者の感覚論でしかないとは思うのですが、やはり、実戦部隊、しかも最前線への即応部隊が駐留している沖縄とここや、横須賀とは同じ兵士と言っても、緊張感が全然違っていて、沖縄市(コザ)辺りのゴーストタウン辺りで昼間にすれ違う兵士は異様な緊張感を漲らせ、目つきも鋭いため、とてもカメラを向けるどころか、話しかけるのも憚られるカンジですが、この基地は本土に在り、また実戦部隊も駐留していないことから、良く言えば友好的で柔和、悪く言えば緊張感が足らないような印象を受けるのでしょう。

最後の六枚目。
陽が落ちると、いよいよメインイベントの盆踊り大会です。
花火見物のための席を確保したといっても、もう気もそぞろ、やはり浴衣、着物姿の外人のお子さん達の写真を何カットかは撮りたいものです。
そこで、T夫妻に席の確保と荷物番をお願いし、M8の感度を目一杯上げて、ノーストロボ撮影前提で会場へ乗り込みます。
ところが、踊りの輪が十重二十重で、しかも歌舞音曲が鳴っている間はその輪がそれぞれ違う速度で回転したり止まったりするものですから、本の丸である、櫓の周辺には近寄れません。
櫓上でパフォーマンスを行う団体の交代の一瞬にスキを狙い、匍匐前進ならぬ、中腰全力疾走で踊りの輪の中に飛び込もうとする刹那、物凄い勢いで後を追って来たと思われるムキムキマッチョの非番兵士みたいな黒人青年に腕を掴まれ、咄嗟のことなので、驚きと緊張感で相手をまじまじと見返す間もなく、向こうはニッと歯を見せて破顔・・・「オニィさん、キャップ落としてますよ、ハィ良かったね」と流暢な日本語で。。。

脱力感に崩れ落ちそうになりながらも、乾ききった喉の奥から裏返りそうな声を振り絞り「サ、サンキュです・・・」とやったお礼を述べた次第。いやはや実際はかなりビビリました。

その直後、早鐘の如き心臓を何とか押さえシャッターを切ったうちの一枚がこのカット。

本土でも、米国でもなかなか撮れない、摩訶不思議なカットになったのではないかと。

実はもうひとつショックな事実が帰ってから判明していて、3m以内のカットが殆ど甘ピンとなっていたのです。
その原因は、出てくる前に慌てて距離計連動カムをくっ付けたのは良かったのですが、最初に改造した時は、まだ良く判っていないまま使っていたらしいのですが、レンズの実焦点距離が47mmそこそこしかなかったのです。
そのため、本来であれば、ライカの基準焦点距離51.6mmとのドライヴ量の差を補整するため、極めて緩い傾斜カムを切らねばならなかったのが、それをやっていなかった・・・

夜になる前にカバンに潜ませた、Cine-Sonnar50mmf1.5か、Ossilo-Raptar51mmf1.5に換装しておけば・・・と思っても後悔先に立たずってヤツでした。
まさに改造レンズでも「ご利用は計画的に」、最終検査も「出かけるときは忘れずに」でした。

さて、来週は帰省のためお休み、その翌週はお楽しみ、日本の祭り行きます。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2010/08/08(日) 22:00:00|
  2. 街撮り写真
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

こちらも行かれたのですね。

あっしは茅ヶ崎花火大会を撮ってました。
E-PL1+Cマウントウォーレンサックラプター1インチF1.5を絞り開放で振り回しましたがなかなか趣ある写真が撮れたかなと言うところです。
ただ、これGF1につけるとファインダーが小さいのできついですね。せめてオリンパス並のEVFファインダーでないと・・・。

さて、今回は4枚目と6枚目が好みですね。
4枚目は後ろで少し顔が隠れたお父さんの笑顔が良いです。こういう表情良く撮れるなあと羨ましくなります。
6枚目はもう西洋美人の片りんをうかがわせる透き通った白い肌が再現されていて、流石と唸るばかりです。
それにしてもタイミング合わせて瞬時にピンと合わせているのがすごいです。

こちらのラプターは使ってみるとゴーストはかなり出るし、花火を撮っていても案外無限遠の出し方わからないとかありましたが、映りの良のではまりそうです。
ではまた。
  1. 2010/08/09(月) 01:07:15 |
  2. URL |
  3. 無芸大食 #u2sgJuXo
  4. [ 編集]

こんばんは

どれも本国並みの〈表情〉といった、興味深いものです。
子供達も多分、アメリカンスクールでも入っていて、帰国後は自然にアメリカの社会に溶け込むといった所でしょうか。

4コマ目の子供の表情に、親の笑顔と違う基地がもたらせた複雑な条件を想像させられます。日差しの色もきれいだし、明暗差が非常に印象的です。
5コマ目も望郷の様な哀愁を感じます。
3コマ目の、外人さんふうな表情がユカイです。

基地は昔から面白い題材になっていますが、時代とともに更に複雑な様相を呈しているようで、やはり不思議な空間だと思います。

横須賀と違い、より家族的な空間なのでしょうか、望郷だとか、寄宿地だとか、人種の違いだとか、深く考え込ませる場所として、次回は訪問したいと考えさせられました。
  1. 2010/08/09(月) 03:34:05 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

無芸大食さん
有難うございます。
そーなんです。
結局、お誘い頂いたTご夫妻+小生という3人組で、基地に乗り込んだって寸法です。
しかし、横須賀基地の長蛇の列に慣れてしまっている身からすれば、警備員があくび加減で入場者を待っているこのイベントはまさに驚き以外の何物でもなく、会場に入ってからも、閑古鳥状態で、驚きの連続でした。
きっと、同じ日に近隣で幾つも鮎祭りだら、花火大会だら有ったらしいので、知名度に劣る基地開放デーは動員数が少なかったのかも知れません。

しかし、個人的な評価としては、近隣の方は、まず行くべし・・・今回ご紹介した以外にも、すんばらしい写真が結構撮れました。満点に近いクラスの撮影チャンスでした。

声掛ければ、向こうもビックリしながらも、微笑み返してポーズなんか取ってくれますから、もうスナップ、ポートレートどっちでもOK!てなカンジでした。

因みにOssilo-Raptar51mmf1.5もカバンには潜ませてあったので、6枚目のエマワトソンの幼少期みたいな美小々姐の浴衣姿他、そっちで撮れば、もっとイケてる写真がアップ出来たのではないかと後悔することしかりです。
やはり、ヲーレンザックのレンズはなかなかイイものですね。

ただ飲食物を含め、物品販売は$1=100円ですから、円貨でお買物しようとすると、若干ですが、為替差損を被ります。

今から、ドルの小銭を貯めましょう♪
  1. 2010/08/09(月) 23:00:53 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。
沖縄に行く度、那覇市内でも、ましてや嘉手納のお膝元のコザ辺りでならなおさら、すれ違う米兵はとても怖いカンジです。
しかし、この基地の人々の醸し出す雰囲気、イイでしょう・・・
まさに実戦部隊の居ない下士官以上の司令部を置いた基地、しかも家族達の居留区も隣接ということで、何故か、とてもアットホームなカンジがしました。

実は、小生の生まれた町は中島飛行機の総本山だったので、物心付いた頃には、街中をジープに乗った兵士が通り、街外れの元滑走路だった道路の横にはオリーブ色のかまぼこ兵舎が何棟か並んでいました。
富士重工が戦後賠償施設だったので、70年安保までは米進駐軍が居たのです。

ただ、彼らも実戦部隊ではなく、軍が施設の管理・監督を行うという役割上で駐屯しているわけですから、下士官以上が中心で、ずいぶんと鷹揚なもので、クリスマスだとか、イースターとか、何かの折には駅前でジープ停めて、子供達を呼びとめ、ハーシーズのチョコ与えたり、M&Mだったかのチョコボール与えたりして集め、子供達よ、勉強しろよ、特に英語は世界中に友達作るもっとも手っ取り早い方法だからな、とか、笑顔で説教垂れてたことを思い出しました。

そんな懐かしい幼少のひと時を思い出させてくれた素敵な一日だったワケです。

来年は徒党を組んで乗り込みましょう♪
  1. 2010/08/09(月) 23:14:42 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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