深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

An ordinary equipment, but incredibly capable~ Leitz Summaron35mmf3.5~

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【撮影データ】カメラ:R-D1s ISO 200 露出 +1/3 全コマ開放、ロケ地:富岡八幡宮骨董市
さて、先週は眠いレンズの登場で「遂に工房主人までシャープなレンズからソフト路線へと宗旨替えしたか!?」とほくそえむ向きも多かったでしょうが、さにあらず、自分で作ったから紹介したのであって、レンズはシャープでって、ハイコントラスト、そして画面の均質性の高いものが一番です。

翻って、今週は久々にライツレンズの超定番行きます。バルナック買ったら、これに35mmファインダー付けて街撮りがオシャレ♪などと「腐女子カメラ倶楽部」あたりで煽り記事のひとつもありそうですが、まさに工房主もこのレンズを買ったのは、クラカメ駆け出しの頃、そう、たぶんライカ製L39マウントレンズで一番最初ではなかったかと思います。

このレンズ自体は珍しくも何ともなく、犬で言えば、ビーグル犬、猫で言えば三毛猫みたいにありふれた、ライツ銘としては、不当なほどに安い中古品ですが、ただ、性能は素晴らしいの一語に尽きます。
シャープさ、コントラスト、色ヌケ、そして画面の均質性・・・開放値がf3.5と暗めであることさえ目を瞑れば、こんなに小型軽量で、失敗無く扱い易い玉は見当たりません。

作例行く前に簡単にこのレンズの氏素性をご紹介しておきます。
元々の発売は1946年、当初のデザインはエルマーの沈胴が故障して伸びなくなってしまったような、個人的には世辞にもカッコ良いとは言えないようなデザインだったのですが、Mマウントの同スペックレンズがM3と共に登場した2年後の1956年より、L39マウント版もマウント座面の細部が異なるのみで、側面からのシルエットが殆ど同一のスタイリッシュなデザインに変更されました。
今回のレンズもその新型デザインのものです。
構成は4群6枚のいわゆるWガウスタイプ。距離計表示はフィート。
鏡胴も銘板も真鍮の削り出しに重厚なクロムメッキ処理で、往年のドイツの凝ったモノづくりに腕を振るったマイスター達の息吹が聞こえてきそうです。

では、作例行ってみます。今回は、地下鉄乗って何処へ行こうかと迷う間もなく、深川八幡様の前を通りがかったら、月に二回の青空骨董市をやっているのに気付き、久々のお参りを兼ねて境内に入って行きました。

まず一枚目。
お参りの前には、手を洗い、口を漱ぎ、清めを行うことになっています。
そこで、屋根の付いた清めの場所に目を向けてみれば、清楚な小姐が凛とした仕草で清めの動作を行っています。
そこで、恐る恐る声を掛け、「あのぉ、素晴らしいお作法ですね、手を清めているところを一枚撮らせて貰えませんか?」と声を掛け、小姐がこっくりと頷いてくれたので、彼女がゆっくりと水を掬い、まず左手に掛けるところでシャッターを切ったのがこの一枚。
ピンを手許に置いたので、アルミの柄杓が画面から飛び出さんばかりのシャープさで捉えられています。
かなり後ろが光っていますが、シャドーが潰れずにここまで撮れたのは上出来だと思います。

そして二枚目。
骨董品も嫌いぢゃない、というか相当好きな口なので、被写体探しと品物見物で相当気もそぞろに境内を徘徊していたら、深川不動尊側の出口に近いところに、いかにも仲良さそうな、骨董屋さんの親子連れが居られて、いかにも楽しそうで、幸せそうで、彼らの今を是非留めたいと思い、「あのぉ、楽しそうですね、お邪魔して恐縮ですが、一枚宜しいでしょうか?」とここでも意を決して声掛け、撮らせて頂きました。
お子さんはいきなりカメラなんか向けられ、かなり緊張というか、訝しげな表情ですが、お父さんの満面の笑顔が、とてもイイ味出してると思いました。いつまでもお幸せに!!と心の中で祈りたくなるようなシーンでした。
しかし、マヌケなことにこのブログを見て貰うための名刺をお渡しするのを忘れてしまった・・・
来月の青空骨董市ででもお会い出来たら、大きめにプリントしてお届けしましょう。

それから三枚め。
本殿横の日陰あたりで、ただ単に疲れ果てて憔悴しているのか、或いは異教の神の神殿に面頭向かって祈りを捧げるのは、仲間の手前、憚られるので、横向いて、色々なお願い事しているのか、真意は測りかねますが、「May I take one?」とか声掛けて、カメラを指指したら、祈りを捧げたポーズのまま、こっちに無表情でカメラ目線を向けてきたため、一枚頂いたもの。
場違いなところに紛れ込んでしまい、疲れ果てた異邦人の悲しみみたいなものが画面からそこはかとなく滲み出ていると思いませんか?

まだまだの四枚目。
そうそう、ピーカン時のフレアの実験をしていないことに気がついて、急遽、本殿前に戻りました。
すると、案の定、真昼の高い陽光を受け、燦然と照り返す石畳の上で品定めをする、今風のカップルが居ました。
画面内の人通りが一瞬途絶え、ここぞとばかりにシャッターを切ったのがこの一枚。
かなり眩しい被写界でしたが、この単層コートの小さなエレメントは先週のフレア大会みたいな眠い画ぢゃなく、きっちりと程好いコントラストで以て人物の細部まで捉えています。

最後の五枚目。
先ほどの異邦人を捉えた際、親子?で木陰にディレクターズチェア並べて楽しげに歓談している骨董屋さんが居たので、これも是非撮りたいと思い、ダメ元で歩み寄りながら、「あっのぉ・・・ブログに載せる写真撮ってるんですけど、並んでいるところ一枚お願い出ませんでしょうか?」と声を掛けてみたら、まずオヤヂさんが「あ、オレ遠慮しとくわ!」と椅子から離脱、逃げ損なった娘さん?は、えぇぃどおにでもしろい!てなカンジで動かずに居てくれたので、すかさず撮らせて頂いたのがこの一枚。
お二方にお礼を述べて立ち去りましたが、「オレだってやだよぉ」、「アタシだって!」とか、散々だったようです。商売にもならない、厚かましいお願いで申し訳有りませんでした。
来月の青空骨董市ででも大きめにプリントしたものをプレゼントしますから、それでどうか勘弁してやって下さい。

さて、来週はまた工房作品からのご紹介を予定しています、乞うご期待。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2010/09/12(日) 22:00:00|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:8
<<The most beautiful half-breed born between USA and USSR~BALTAR25mmf2.3mod.M~ | ホーム | Ein objektiv von Träumerei~Cassar50mm2.8 mod.Nikon S>>

コメント

深川っていいところですね~~~~

特に一枚目の娘がいいです♪

惜しむらくは
人物に露出が合っていて
こちらに振り向いて微笑んでいるカットだったら良かったのにと
自分勝手な想像をしとおりました・・・笑
  1. 2010/09/16(木) 20:02:05 |
  2. URL |
  3. 山形 #-
  4. [ 編集]

山形さん
有難うございます。
そう、この小姐、かなりの美形で、しかも佐原の美人3姉妹の長女並みに性格も良く、写真を撮らせて♪の一言にイヤな顔ひとつせず、うなづいて、注文通りの動作で応えてくれたのです。

もっと悪ノリすれば、日なたに引っ張り出し、何のかんの理由を付け、ポートレートの半ダースも撮れないこともなかったでしょうが、周りには人の目もありますし、自宅から歩いて5分以内で、しかも都内屈指の格式を誇る神社でそんな恥ずかしいことは出来ないですよねぇ・・・

蛇足ながら、これはR-D1sでの撮影ですから、恐らく人物の肌に適正露出を合わせたら、後ろが真っ白々の飛んだ超ハイキーな画になってしまったでありましょうから、作画のバランスから言えば、この程度が丁度宜しいのではないでしょうか?

このリターンマッチは是非、佐原で少し大人になった美人三姉妹か、戸田恵梨香似で8頭身近くのスタイルだった山車曳きの女子高生でも撮りに逝きませう(苦笑)
  1. 2010/09/16(木) 21:17:47 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

こんばんは

わたしも安かったこのレンズ、旧デザインLとM3用との二つ有ります。
モノクロでコントラストが高く辟易してましたが、いろんな作例見ても、カラーの方がコントラストあってもしっとり感が残っていて良いですね。モノクロは、ISO100でもプリントは辛かったです。

ちょっと背景ボケが硬い感じですが、ちなみにわたしは旧デザインLでの試写感想でした。

M3タイプを削って、35mmフレームを出すのをライカ銀座で咎められたから、未だに改造はして居ませんしM型ライカでは撮影していません・・・。コシナR4Mは好都合ですが、音が大きくて・・・。

zeissコシナの35mmf2,8よりちょっと地味な色が好きですが、こちらは3,5なのにピント深度が浅い様な気がして成りません。

実写は、一枚目のコドモがハラを出しているのが昔のコドモみたいで面白いのと、最後のカットものん気そうな警戒心無いのがヨイです。

ライカのレンズなのに、気軽に撮れそうな雰囲気が私も気にいっていますが、50mmフレームの出るズマロン3,5をどう処理するかが今後の課題で、再びソレをカラーで挑戦したい気分になりました。
  1. 2010/09/16(木) 22:42:26 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。
このシックな外観の35mmf3.5はL39マウントであるが故、LMリングを35mm/75mmのものをかませば、M4以降のライカ、或いはフレーム自動検出機構のついたZeiss Ikon ZMでも何も考えずに楽々使えますし、1.5倍弱の見掛け倍率の掛かるR-D1sであれば、M3用の50mmフレーム表示のものであろうと、このL39マウントであろうと、フレームセレクタを35mm(相当)に合わせれば、実質50mm玉同等の画角で撮れますから、スナップにはとても便利な一本なのです。

ただ、フィルムではマイクロニッコール並みにシャープなこのSummaron35mmf3.5もCCD経由だと、その威力半減のようで、いずれM8ででも試してみたいところです。

そういった意味ではフィルムでもデジでも殆ど差異なく素晴らしいシャープネス、コントラストと階調再現性のバランス、そして色ヌケと異能力を発揮するシネレンズはやはりバケモノなのだなぁと改めて感心した次第(汗)

それから確かに一枚目の凛とした美小姐もよくよく見たら、つんつるてんのポロシャツのせいで可愛いおなかがちょっこし見えて、何か牧歌的な緩さを感じさせてくれてイイ雰囲気ですし、四枚目の小姐の写真など、ホント、こんな無防備なポーズのカット載っけちゃってイイのかなぁ・・・と実は結構悩んだのです、アグネス某とか怖いし(爆)
  1. 2010/09/16(木) 23:37:56 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

こんばんは

1950年代頃のセミアマ写真なんか見ると、結構乱暴な格好した《おてんば》モドキがありますが、羞恥心なんかは時代と共に推移しますから・・・。

この異常気象の夏を思い出すと、屋外なんかまともじゃ居られませんですから・・・。そりゃ、エアコンの利いた車でデパートや食べ物屋さんを移動して居られる方々には目に余る路上やヒトゴミであるかも知れませんが、コドモごときに目くじらなんて思いますが・・・。

女史高校生だって、ミニに胡坐ですからね・・・。《ゆるい普段着》なんて是賞したいものですが、やっぱこれが「下町」ですよ・・・。

モードの体系変化はフォーマルの頂点からだけで無く、私はボトムアップも期待しています!(ちょっとオオゲサですが。)
  1. 2010/09/17(金) 22:52:13 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

この手の話題はスルーしていましたが

正直言って、山形じゃ、こんな写真は

怖くて、アップできません・・・・(^_^;)



そんなことがあるので

海外なら大丈夫と思っている人たちが

日本を離れて海外に逃げているのでしょうね・・・・・・

(私は、そんな楽な道に逃げるのは
写真に対しても逃げていると思う人間なので
地元で頑張りますよ~~~~)
  1. 2010/09/18(土) 21:44:00 |
  2. URL |
  3. 山形 #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
再びのコメント深謝です。
深遠且つ難解なコメントにつき、小生の理解としては、時とともに流行は変り、それに付随して羞恥心の範囲も変わるものだから、あまり気にしなくてもイイぢゃぁない!?ということなんでしょうか・・・

ま、こと五枚目に関しては、おら一抜けたと小々姐隣りのデッキチェアからは早々離脱したとは言え、オヤヂさん看視の元の撮影でしたし、ブログに載っけるんで、良かったら見て下さいね♪と名刺まで渡しているので、全く問題はないものと理解してますが、時折、シチュエーションやら、前後の文脈を度外視して外野で騒ぐのがいるんです・・・その代表例としてアグネス某女史を挙げたまでです(苦笑)
  1. 2010/09/19(日) 00:53:14 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

山形さん
再びのコメント深謝です。
こんな写真、怖くて山形ではアップ出来ない・・・在る意味、耳が痛いです。

確かに今まで、沖縄やら佐原やら、瀬戸内ツアーでは相当大胆になって「東京から来た、そこそこ有名なアマチュア写真家デース♪」とか適当な触れ込みで、旅の恥は掻き捨てとばかり、かなり大胆に人物撮影の攻略をしていましたが、実は近所でやったのは初めてなんです。

でも、一旦吹っ切れたら、とことんまでやっちゃいそうで怖いですね(汗)

因みに先般の山形市訪問時、2時間半近く市内中心部を徘徊してスナップみたいな写真撮ってましたが、気のせいか街の雰囲気が、声掛けて撮らせて貰う、というカンジではなかったような気もしましたね(苦笑)
  1. 2010/09/19(日) 01:00:14 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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