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深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

冥府魔道?を行く~大久保散策会レポート~

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【撮影データ】カメラ:R-D1S 絞り優先AE 露出+1/3 全コマ開放 レンズ:Cine-Heligon50mmf2改M
さて、今宵のご紹介は先週の予告通り、某散策会の方々と我々ノンライツRF友の会/新宿西口写真修錬会の合同撮影ツアーを先週日曜日に敢行しましたので、そこから何枚かピックアップ致します。

当日は、まさに秋晴れ、十時に大久保駅北口に集合し、全員集合を待っての出発となりました。
コース選定は、基本的に向こうの会にヂモティの方が居られたので、みんな気ままにあっちへ行きたい、向こうはどうなってるのか興味が有る☆とか、かなり好き勝手を言っても、ニコニコ笑ってナビゲェイトして頂きました。

回った行程は、大まかに申し述べますと、大久保駅から新大久保にかけて歩き、そして、また戻りながら路地に入り、そして、大久保の某レンズ修復名人宅の前をそおっぉと通り、東中野を目指し、また東中野でランチを戴いて、徒歩で大久保に戻る、という強行軍でした。

機材は皆自由、小生はいつものお供のR-D1sにちょっと気張ってCine-Heligon50mmf2改装済ともう一本、ドイツ製の珍品レンズで行きました。ただ、大久保編はCine-Heligon作例だけとなります。

では、早速作例行ってみます。

まず一枚目。
大久保一帯と言えば、コリアンタウン。ここでは天下大将軍・地下女将軍という、韓国の道祖神みたいな人形がシンボリックに自己主張しています。
ここのお店の彫像は、かなりの風雪に曝されたらしく、黒の戴冠も剥げかけ、全体的にニスも薄くなってしまっていますが、何かミニトーテムポールみたいでイイ味出していました。
そこここのハングル看板、唐辛子のイミテーションョンの吊り子などと相俟って、通行人である我々に不可思議な結界に足を踏み入れたという思いを強くさせます。
この距離でも背後のガラスのデカールはボケています。

そして二枚目。
コリアンタウンたる表通りから、名人宅へ向かうべく、交差点で信号が変わるのを待ちながら、ここで暮らす人間の様子をさりげなく撮れないものかと思い、得意のノーファインダーレリーズです。
一発必中のR-D1sでしかも被写界深度の狭いシネレンズでの開放撮影ですから、かなり難しくはありましたが、さはさりながら、距離計を2mに合わせておいて、すれ違いざまにシャッターを切ったら、この通り、惜しくもお母さんの顔を切れてしまい、結果的にプライバシー保護の写真となってしまいましたが、燦燦と陽光を浴びながら溌剌と歩く娘さんの方は、何とか鑑賞に耐えるレベルの合焦ではないでしょうか。
かなりオーバー気味の被写界でフレアッぽくなっていますが、よくよく目を凝らせば実は髪の毛の一歩一本まで解像しています。

それから三枚目。
某名人宅へ向かう大きな通り沿いにエントランスの造型に凝った高層マンションが在ります。
そこの石のオブジェが後ボケの描写テストに便利なので、浅草の某団扇屋さん同様、結構重宝に使わせて貰っています。
いつもは手前から二本目にピンを置いて前ボケから、次第に後ボケが融けていくのを試しているのですが、シネレンズのシャープなものは、往々にして前ボケがきついことがあるため、今回は一般的なスナップのセオリーに従い、手前の石のエッジにピンを置いて列全体を斜め加減画面に収めます。
二本目から後ろはもう抽象絵画みたいに融けたような後ボケになっています。
このレンズでこの被写体にはもうひとつの意味が有って、アポクロマート非球面の玉がいかに黒を締めて見せるか?をチェックしたかったのです。
最後の2本、融けそうながらも輪郭はかろうじて識別出来ますね。

続いて四枚目。
名人宅を後にして、住宅街を歩いていると、突然、大きな公園に行き当たりました。確か北新宿公園とか書いてあったと記憶しています。
そこに木製品を中心に手作り感溢れた遊具が幾つか置いてあり、年端も行かないいたいけな近所の童子達が、闊達に遊んでいます。
しかし、ただ漫然と遊んでいるさまを撮っても面白味は半減なので、滑り台で滑ってるとこ撮りたい、ついては、誰か交渉して来てよ、という話になりました。
しかしながら、このご時世、やたらに童子に声掛けたら、そのままお巡りさんにも声掛けられる、という恐怖の連鎖反応が待ち構えている虞れが大きいですから、皆、立ちすくんでしまい一向に動けません。
こんなとき、T夫人さえ居てくれたら・・・と小生が呟いた時、一行の導師たるN先生が「ぢゃぁ、ボクが声掛けるから、みんなしっかり撮ってね♪」という調子で飄々と童子達のたむろする場所へと向かい「ねぇねぇ、この滑り台珍しいね、どういう風に滑るのかな?ちょっと滑ってみてくんない???」という長年の豊富なご経験に裏づけされたいぶし銀の如きトークで童子達のモチベーションを高め、2連発で滑って見せたうちの一枚です。
いやぁ、恐れ入りました。写真のウデというのは如何にモデルと心を通わせるかに有り、とか何かの本にも書いてありましたが、こうして実演して頂くとは恐縮至極でした。
さすが、キネヘリゴン、日陰では滅法ハイコントラストでシャープです。
その割には後ボケもうるさくないですし。

まだまだの五枚目。
東中野の商店街を通り、また裏通りに入ってすぐ、またそこそこの広さの公園を見つけました。
ここでは、先ほどの木製遊具とは趣向を変え、コンクリートで固めた児童プールみたいなものが中央に鎮座ましましています。
ただ、今は季節は秋となったので、本来の役目は終え、童子達のラインスケートやボール遊びの場となっていました。
暫く立ち止まって眺めていたら、ピンクのTシャツの小々姐が手摺りに寄りかかり、こちらをじっと見ているので、にっこり笑い、カメラを構えて撮ったのがこの一枚。
どうせなら、もうちょっと愛想笑いでもしてくれれば良かったのに、と無いものねだりをしたかった一枚です。
しかし、手前の少年が投げたボールが空中で静止しているのが面白いので採用としました。

最後の一枚。
東中野で楽しいランチを終え、また住宅街経由、大久保に戻る途中、宅地の合間の駐車場で日仏のコンパクトカーが並んで駐まっていました。
手前がフランスのプジョー、背後がトヨタのヴィッツと奇しくも同じクラスのクルマがこの大久保の住宅街の奥地で休んでいるさまは画として面白いと思った次第。
また、両車とも濃い色とメタリックという一番映り込みし易いカラーだったので、秋空の雲の様子もデフォルメされて映っていたのが印象的だったのです。
まさに被写界深度の浅いレンズの役得を活かしたカットになったと思います。

さて、来週は佐原のお祭り♪泊りがけでの決死の撮影に行って参ります。
さぁ、どんな画がアップされ、どんなエピソードが明らかにされるのか?乞うご期待。
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テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2010/10/03(日) 23:13:43|
  2. Mマウント改造レンズ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
<<A downtown in the core of imperial capital~麻布番外編~ | ホーム | Alte prestazioni concesse ordinariamente~Canon L35mmf2~>>

コメント

香港サイトや、他の場所でもこのレンズの特徴を見てきましたが、どの様な目的で販売されたのか興味深いものですね。

深川サイトでは、重厚な色彩再現でありながら、横断歩道のハイキーな部分では軽快に色ノリが良いといった印象です。

ローデンシュトックのレンズは、歴史がある割には手堅い高性能を目指しているといった印象で、今も残る大判レンズも玄人好みと云われてます。

同じくドイツのzeissやschneiderとも違う傾向の色というのが面白いですが、彩度の高いピンクやイエローや(横断歩道での)ブルーの淡い色がとりわけ強い印象を受けます。

一般には引き伸ばしレンズ位しか手に入らない現在、50mmクラスのレンズで最高性能を目指した現代(に近い)ローデンとして、(最新のデジタル対応レンズについては不明ながら、)大判レンズの比較的旧来の傾向を持った製品と違い、非常に貴重な存在だと思います。
  1. 2010/10/05(火) 12:27:31 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

大久保っていうと
田舎の私のイメージで言うと
道々に金髪のおねーさんが立っている・・・・・
という感じでしたが
写真を見ると、普通の東京だったので
時代は変わったんだなぁ~~~という印象でした・・・w

そういえば、とてもB型とは思えない神経質な方から
レンズ研究所に連れて行ってもらいましたが
あそこらへんも大久保だったのかなぁ~~~

私は、高校のとき登山部だったので
ICI石井スポーツの本店がある場所ということで
密かに憧れてましたよ~~~大久保・・・笑

(なんか、写真の話題から外れてますね・・(^_^;)
  1. 2010/10/05(火) 19:24:19 |
  2. URL |
  3. 山形 #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。
このシネヘリゴン、滅多に市場には出ないですが、それでも出る時は数本纏まって電子湾を遊弋していたりしてました。

実際に4~5年前にこの個体を買う際にもヘタクソな改造をした距離計非連動のものが出てましたし。

さて本題。
このレンズはもともと、アリフレックスに装着して使う場合は、巨大な箱型のフードの奥からライティングに気を遣って撮影してますが、ここではフードも無しに最高速も2000分の1、しかもISO200始まりですから、実質1000分の1しかないのと同じ状態での露出+1/3補整で撮っている状態なので、屋外で直射日光の当るところでは、狭いラチチュードも相俟ってすぐ露出オーバーになる上、フレアも目だってしまうのです。

しかるに日陰のシーン、例えば、滑り台をうらめしやぁ~と滑り降りてくるリヴィングデッドのような小々姐のシーンなどでは、アポクロマートの真価を遺憾なく発揮して、色ヌケ、コントラスト、シャープネスとも申し分無い画が撮れるのでしょう。
  1. 2010/10/05(火) 22:47:40 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

山形さん
有難うございます。
金髪で露出度の高い小姐達がこれ見よがしに通りに立っているのも、紛うことなく、ここ大久保一帯です。
ただ、それは夜の顔であって、昼時間は、ご覧の通り、全く平穏無事でごく普通の静かな商住混在地帯です。

どなたと行かれたか、知る由も有りませんが、某国宝級レンズレストア名人のお宅は、大久保駅が最寄りではありますが、住所は北新宿なのですよ。
大久保から、南北を結ぶ大きな通りを一本西に渡るともうそこは、夜は全く別の世界となります。

確かICIって、大久保というよりは、高田馬場方面に向かった新大久保寄りではなかったかという記憶もありますが・・・ま、今は実質的に神保町、御茶ノ水方面が主力になってしまったようですが。
  1. 2010/10/05(火) 22:55:45 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

初めまして

魔法の粉へご訪問有難うございます。
素敵な写真ばかりですね~
心癒されました。写真家ってピュアだと思うのは私だけかしら?(笑)またご訪問させて頂きます。
  1. 2010/10/06(水) 03:22:30 |
  2. URL |
  3. 魔法の粉 オーナーK #-
  4. [ 編集]

魔法の粉 オーナーさま
ご訪問&コメント有難うございます。
とある愛読者の方の足跡辿っていたら、偶然お邪魔してしまい、メッセージも残さず、大変ご無礼申し上げました。

この程度の写真でご興味を持って頂けたのであればこの上ない光栄ではありますが、小生、所詮、写真家などという大層なものではなく、レンズ加工がそこそこ出来る程度のリーマン職人の余技ですから、そんな大したことないです。

寧ろ、写真はどんな上手くて高尚なものでも目を楽しませるだけですが、料理の方がより多層的に人を感動させるのではないでしょうか?・・・
見た目、香り、音、食感、そして味、五感をフル動員して相手の心に訴えかけられますよね。

実は月に一回上州の実家へ帰省し、両親に晩飯を作って上げていますが、ヘタな沖縄料理くらいしか出来ないのに、それはとても喜んでくれるのですが、写真は沖縄で撮ろうが鞆の浦で撮ろうが、浅草で撮ろうが、どんな傑作(と自分では思ってる)に対しては驚くほど冷淡なのが対照的です(苦笑)

まぁ、こんなど素人のずぼら写真系サイトですが、一応、毎週日曜には飽きられないよう更新してますので、宜しかったら、お暇な時にでも遊びに来てやって下さい。
  1. 2010/10/06(水) 19:53:22 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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