深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Wonderful Japan's Hospitality~佐原秋之大祭'10~

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【撮影データ】カメラ:Zeiss Ikon ZM 絞り優先AE +1/3 レンズ:1~3枚目;FMAO_40mmf2.3、4~6枚目;Cine-Sonnar50mmf1.5改M 全コマ開放
さて、まずはお詫び、ブログのアップが一日遅れてしまい、日曜日に楽しみにされて閲覧に来られた方々には大変失礼を致しました。
今回は、先週の予告通り、年に一度の佐原秋の大祭の泊りがけ撮影ツアーからのレポートになります。

出発は小雨混じる空模様の10日朝9時10分、佐原駅北口経由、銚子行きのバスで現地に向かいました。
高速道を通るバスの窓には次から次へと雨滴が纏わりつき、一面の鉛色の空模様と相俟って現地での行動が思いやられました。

しかし、年一回の佐原秋祭り、ここで怯むわけには行きません、去年のツアー最後の僥倖も思い起こし、めげそうになる自分を何とか鼓舞しました。

満員のバスはほぼ定時に佐原駅北口に到着し、早速、同行の方と共にまずは南口近くの「水郷佐原観光案内所」を目指します。そこで、お茶休憩&情報収集のためです。

案内所に入り、喫茶コーナーで席に着くと、妙にキレイな女性3名ほどがコワモテの初老の男性から、何やらイベントの指示を受けています。女性3名、男性陣2名は当然祭り装束です。

ふと、一番身近な女性の手許に目線をやると、「ミスあやめ」と書かれたたすきを畳んでテーブル上に置いているではないですか・・・う~んチャンスがあれば撮りたいと、その時は思っただけでした。

さて、ここまでが前置きでいよいよ作例を基に小冒険譚行きます。

まず一枚目。
一日目の10時半過ぎに入って、お茶してから動き出したので、実際、本格的に撮りだしたのは、11時過ぎからでした。降っては止み、また暫くしてぱらつく、という一進一退のお天気模様で、雨が一旦止んだとは言え、雲の濃淡の為せる業ですから、空模様はどんよりと重く、雨の中のお祭りということで、よそ者の我々をして、せっかくのお祭りも台無しで楽しみにして来た街の人達はどんな気持ちなんだろう・・・と思い巡らせ、時には傘越しにシャッター切りながら歩いていたら、ちょうど伊能忠敬記念館前のご子孫が経営されているという茶店の手前で、傘もささず、ニコニコ歩いている元気そうな小姐2人組に遭遇しました。
すかさず、「東京から来たそこそこ有名な写真機家なのですが、伊能茶屋前で一枚お願い!」と言い終わるか終わらないうちに「やったぁ☆」とか言って二人は嬉々として移動し、笑顔を見せます。
そこでハイおおきにとか言いながらシャッター切ったのがこの一枚。
手前の小ぶりの小姐の鉢巻にピン置きましたが、あたかも背景から浮かび上るかの描写となり、作った本人も驚きました。

以下2本も含め、今回、先週出来上がったばかりのFMAO(Fukagawa Most Advanced Optics)という称号を持った最新改造技術を余すことなく投入した新作レンズで、BALTAR40mmf2.3のアポクロマートの光学ブロックを分解、清掃した後、ヘリコイド、距離計連動機構、そしてヘリコイドから完全に独立した絞り制御機構、更に防水システムフード&フィルターベースまで装備した、市販レンズ並みの操作性とシネレンズの卓抜した描写性能を受け継いだ逸品と自負しているものです。
また近々詳細をご紹介出来る日が来ると思います。

そして二枚目。
一日目は雨に祟られ、結局、フィルムで24枚程度しか撮ることが出来ず、全ては翌朝に・・・ということで、お仕事の後に都内から合流されたI運営委員殿をお迎えして、豪華な鰻重のディナーを食した後、早々に宿に引っ込み、翌朝、また10時から撮影行をスタートしました。

本格的な撮影に入る前に同行の方の荷物を観光案内所に預けようと寄ったら、昨日、街のカメラ屋で声を掛けて来たキャノン使いの方が、「こちらのお嬢さん方、"ミスあやめ"なんですよ、どんどん撮らせて貰いましょうよ♪」というようなことで声を掛けて下さり、一同、ミスあやめ嬢を囲み、ミニ撮影会状態に。
その時、デジとフィルム両方で撮りましたが、FMAO_50mmf2.3で撮ったのがこの一枚。
「いやぁ、昨日、隣のテーブルでお茶して、お姿は拝見してましたが、まさか撮らせて戴けるとは夢にも思いませんでしたよ・・・」と話しかけながらシャッター切ってたので、何となく和んだ雰囲気になったと思うのは工房主の思い込みでしょうか・・・
この画面サイズでは画像の情報量の全てを知る由もないですが、実に毛の生え際の一本一本は言うに及ばず、藍染の法被の濃淡を為す生地の糸々の擦れた脱色具合いまで把握することが出来る解像力です。
これだけの恐るべき解像力を持ちながら、背景はシネプラナー並みに大人しくボカしてくれています。

それから三枚目。
大通り方面に歩いていたら、いつも玄関周りが美しく目を惹く料亭が、この祭りに合わせ野の花を笊の背負子に生け、鄙の風情溢れた飾りつけをして通る人々の目を楽しませています。
そこで、この花盛りを主題に祭り提灯を背景として対角配置に置いて撮ったのがこの一枚。
花は色合い、質感とも存分に捉えられていますし、笊の背負子も濡れて重くなった質感を余すところ無く描かれています。
ただ、残念なのは、この距離だと背景が若干ぐるぐるになってしまったことです。お行儀の良いBALTAR一族としては珍しい振る舞いです。

続いて四枚目。
一行は大通りに出て、昨日食べ損なった「醤油アイス」を賞味しよう、ということになりました。
早速、おのおのが買い求め、特設テント内のベンチに陣取り、味わいを楽しみ始めました。と、その直後、雨足が激しくなって、ちょうどそのテントに雨宿りで閉じ込められた形になり、ヒマを持て余した一行は人物観察を始めました。
すると、小生の正面でアイスを食べ始めた童子が見慣れぬ黒いカメラを手持ち無沙汰に嬲る小生の方をちろちろ見ながらアイスをゆっくり舐めています。
はは~ん、この童子、自己顕示欲が旺盛で、撮って貰いたいのだなぁ・・・と見当をつけ、目線を交わしながら何枚かシャッターを切ります。
そのうち、I運営委員殿ほか、メンバーが入れ替わり小生のポジションに座り、ここでも演技派童子のアイスクリームパフォーマンスのミニ撮影会となった次第。
このカットはCine-Sonnar50mmf1.5で夜間や悪天候といった光線状態の良くない状況下でも素晴らしい描写性能を発揮してくれる上、同クラスのWガウス型レンズより小型軽量なので、旅写真には欠かせないお供です。
ただ、少年はかなりシャープかつ立体的に描写してはくれたのですが、ぐるぐるならこちらが一枚上手、とばかり自己主張したかったのか、いつもに増して背景がぐるぐるとなってしまいました。

まだまだの五枚目。
やっと雨が上がってきたので、大通りで山車を引く子供達の姿を撮りたいと思い、綱を引く前触れの列に目線を走らせながら伴走します。
すると、或る山車の前触れで、まだ小学校に上がるか上がらないかの小々姐と目が合い、じっとこちらを見つめています。首なんか傾げてじっと見ているので、ものは試しとばかりに笑い返して、カメラを構えたら、まだこちらを見てくれているのでそのままシャッター切ったのがこの一枚。
笑顔で手を振って「有難う、頑張ってね!」と声掛けてその場を立ち去りましたが、この小々姐の嬉しそうな顔は今でも目に浮かびます。

最後の六枚目。
一行は休憩も兼ね、地産地消のバイキングのランチ食後に与倉屋大倉庫付近の川べりに設けられた無料休憩所に向かいました。
そこで暫しの休憩後、17時台のバスを目指し、すっかり天気が戻り、夕陽もさしてきた街中に戻り、ラストスパートの撮影をすることに。

大通りに再び戻ってみれば、もう雨もすっかり上がったので、全ての山車が透明なビニールの覆いを取り去り、祭りの社中も皆合羽を脱ぎ捨てて、やっと祭り本来の姿に戻っていました。

そこで、手古舞の粋でいなせな姐さんをメインに背景の山車をぼかしたモチーフで撮ってみたのがこの一枚。
一人だけ鶯色の揃いの法被を腰に巻いて、藍染の衣装がとても目立って美しく、このCine-Sonnar50mmf1.5の開放描写がまさに心情的にも浮き立って見えた小姐のインパクトが少しでも表現出来たのではないか?と思った次第。

さて、来週は今日、雲ひとつないピーカン休日へのリベンジ戦に赴いた深大寺での新レンズレポートをご紹介予定です。乞うご期待。
  1. 2010/10/11(月) 20:55:46|
  2. 旅写真
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コメント

雨の中の撮影、ご苦労様でした。
日曜日に更新が無かったので
風邪でもひいたのかと思いましたよ~~~

そういえば、この前の大祭も一時雨が降りましたよね~~~
流石の天気男のCさんでもダメでしたねw

私も行きたかったのですが
予定が未定の仕事だったので
結局は10日一日だけ休めたのですが
行けませんでしたね・・・(^_^;)

今回の写真は
シネゾナーがいい味出してますよ~~
それに、すごくシャープですね♪

来月の深大寺には行きたいと思ってますので
その際は宜しくです♪
  1. 2010/10/11(月) 23:39:29 |
  2. URL |
  3. 山形 #-
  4. [ 編集]

こんばんは

自分でも古いレンズを使っていると、あえて使う理由を自問自答する事があります。
ここでのその第一とすれば、レンズの特徴を伝える情報収集ですが、シネレンズとなると、非常に情報が少ないものです。

40mmという奇妙な焦点距離は、kinetalにある37,5mmの亜種なのでしょうか?ロッコール40mmとは違うあり方なのでしょうね。

ラプターが、アメリカのハリウッド1930年代からのミッチェルカメラと、アメリカ映画のどの様な位置を占めていたのか良くわかりませんが(或いは、日本に輸入されてからのアニメ?)、今回使用のレンズが割合と近年に製造された様なようすは、ヌケの良さがときりきりした芯のあるピントが示していると思われます。ゾナーの柔らかさが画面全体を包むハイスピード感とは全く違う考えがその画像に示されていますね。

秋雨の中にひと際彩る、コスモスの花籠のゴージャスな装いに、このレンズの持ち味の良好さが在りそうです。人物の肌色が、少々日本人ばなれした感じは気のせいでしょうか・・・。(フイルムの所為?)

シネ・ゾナーの最後のカットは、雨も上がりかけた、少々明るい空に照らされた地味な日本的な色彩を感じます。


今回は、シネレンズ40mm戦線に、アメリカからひとつ参入してきたという事で、非常に興味の持てる面々が揃ったといえます。(あとは、フランスのレンズなんて如何でしょうか・・・。)

ではでは、期待しております!



  1. 2010/10/12(火) 00:32:57 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

山形さん
有難うございます。
来ればよかったのに・・・
雨こそ降りはしましたが、その分、いつもなら撮れないお祭り風景撮れましたし、I運営委員殿の有難いお話もいつも以上に沢山拝聴出来ましたよ。

ところで、深大寺は昨日斥候に行ってきましたが、いやはや、物凄い人出で、思わずここは葛飾柴又の帝釈天かいな!?と首を傾げてしまうほどでした。

ま、そのレポートは新作レンズのテスト結果と共に来週日曜日のアップとなりますんで、どうかお楽しみに。

なお、11月14日は日曜日ですが、翌日はお仕事ダイジョーブですか???
  1. 2010/10/12(火) 21:06:02 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。

そうですね、このところ、何か撮る時は極力シネレンズ、もしくは引伸レンズ等の改造レンズ、最低でもライツ、ノンライツの名の有るレンズで開放撮影しないと、他人様に何か言われそうな気がして、フツーのレンズ、カメラで撮ることが無くなってきてますね。

もとい、フジやソニーのコンパデジで撮ることは有るので、中抜けになっているといった方が正確かも知れません。

何れにせよ、もう完全に撮るということと特殊レンズを使うということが同義になってしまっている自分を時折恐ろしく感じることもあります。

ところで、シネレンズの焦点距離に関してですが、基本的に135判フィルムを使うアリもミッチェルもアイモも15mm(ないし16mm)、(18ないし18.5mm)、25mm、32mm(ないし35mm)、40mm、50mm、75mmというのが普通のラインナップで、一方
Kinetalの場合はKinematographという16mmフィルムの縦流しフォーマット準拠のため、確か12.5mm、18mm、25mm、32mm、37.5mm、50mmという変則的なラインナップだったと思います。

従って、多数派という観点から言えば、40mmが正統派の(中望遠)焦点距離であって、37.5mmは16mmフォーマットの望遠に当る焦点距離なので、寧ろ少数派なのです。

フランスのシネレンズは、何れもN数1ないし2ということで、あくまで個人的な見解ではありますが、どちらかというと名前倒れが多いので、あまり関心は無く、実はこの米独の描写合戦には、デジながら重厚な描写で応戦したもう一方の光学大国出身の伏兵が居るのでした。
  1. 2010/10/12(火) 21:21:54 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

リュミエールからパテという「映画の創世記」。村の広場での回覧映画だとか、いにしえを彷彿させる場面はダルのキネマトグラフ50mmでガマンいたしましょう・・・。(じっさい、ここまで古くはないですよね。)

  1. 2010/10/13(水) 10:17:04 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
再びのコメント有り難く存じます。
んんん???どのシーンがキネマトグラフみたいなお爺ちゃんレンズで撮った画みたいなんですか(笑)?

ゾナーは推定74歳、バルターもせいぜい45歳かそこらの働き盛り?ですから、90歳近いダルメのキネマトグラフと一緒にされては可哀想(涙)

しかし、どんなレンズで撮ってもおんなじようにしか撮れないのは、寧ろ撮影者のウデの問題ではあります(汗)
  1. 2010/10/13(水) 22:57:15 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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