深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Douleur du second coureur~Leitz Vario-Elmar35-70mmf3.5~

valio_elmar35_70.jpg
kawagoe_01.jpg
kawagoe_02.jpg
kawagoe_03.jpg
kawagoe_04.jpg
kawagoe_05.jpg
【撮影データ】カメラ:EOS-1DsMKII 絞り優先AE 露出+1/3 全コマ開放
さて、怒涛の一週間を超え、またしても日曜の晩がやって参りました。
今週は勤めはともかくとして、土日、フルに撮影会のハードな週末になってしまい、心地良い疲労感と共に、本ブログの更新を行っている次第です。

今回のご紹介は、先週の予告通り、工房附設秘宝館から、Vario-Elmar35-70mmf3.5 "Germany"です。

な~んだ、珍品でも何でもねーぢゃね!!とか途中で読むの止めたそこのアナタ、まだ早い、このレンズ、実はなかなか面白いレンズなんですよ。

この、ライツでは元々セカンドラインたるR用ということから、性能の割にはあまり顧みられることがなかった悲運のレンズで、1988年にマイナーチェンジ版として登場しています。

元々、ライツは自社でズームレンズの設計をすることが出来ず、フランスのP.Angeniuexから45-90mmf2.8というスペックのものをライカフレックス用に供給して貰っていました。

ただ、あまりにも内部機構が複雑で、価格の割りに性能がイマイチだったようで、83年には、このレンズの前身にあたる、第一世代35-70mmf3.5を発売しました。

この第一世代35-70mmf3.5は、もうあまりにも有名でここに書くのがアホくさいくらい有名な話で、ライツ社とミノルタの提携関係の一環として、ミノルタが設計したものを日本国内で製造し、世界中にライツブランドで売っていました。
確かMDレンズでも同じようなスペックで同じような硝質、コーティングのものがあったような気がします。

しかし、これではマーケッティグ上、ブランドイメージに得策ではないと考えたのでしょう、第一世代の後期型から、"Made in Germany"銘のものが出始め、今回ご紹介するモデルでは殆どがドイツ製となっています。

ここで賢明な読者の方は、んんん、ライツがズームレンズの設計は勿論、製造なんか出来たかいな???と疑問に思われることでしょう。

この現代レンズ史の大きな謎に工房主は二つの仮説を立てています。

まず第一説めは、ミノルタがそのまま組めばズームレンズがハイ出来上がりというアッセンブリパーツを送り、ライツのゾルムスで手作業で組んで、知らんぷりして"Made in Germany"で出荷した、という説。

そして第二説めは、コーティングと硝材が初期の日本製と異なることから、ドイツ国内のズームレンズの設計、製造能力を潤沢に持つ会社の関与です。
こうなると、もう想像の域を出ないのですが、工房主は、Schneider/Iscoの関与を疑っています。何とならば、ライツが高性能レンズを開発する陰には、超広角にせよ、望遠にせよ、大口径単玉にせよ、Carl Zeissに匹敵する技術力を持ちながら、カメラ本体に手を染めなかったこの会社が実質的な製造を行ったのではないかと睨んだわけです。
ISCOはM42やエキザクタの安物レンズで余り良いイメージを持たれてはいないようですが、米国への輸出のプロジェクターレンズや、映画投影用レンズなどは、Schneider/Iscoのブランドで出していますし、何よりも、この淡い黄金色と緑が混じったような独特のコーティングがミノルタでも後の28-70mmf3.5-4.5を送り出した狛江のメーカー製のレンズのものとも全く違っていますから。

と、あまりレンズの薀蓄に興味の無い方々が飽きてしまっても仕方ないので、自説展開はこのくらいにして、早速、作例行ってみます。今回はオール川越ロケっです。

まず一枚目。
土曜日は良い天気でしたが、何やら出かける前に手間取っていたら、本川越に着いたのが2時15分近く。
まずは腹ごしらえということで、もうランチタイムが終わってしまった「幸すし」に代わるお食事処を目指します。
この日の第一候補は、いつも格好の撮影スポットの隣に位置しながら、いっぺんも入ったことのない天麩羅屋さん「天あさ」です。
そしてお店に早足で歩く途上、川越のサンピエトロ寺院とも言われる「旧埼玉銀行」の建物前に有る「松山風やきとん」で白人男性と日本人女性のカップルが嬉しそうにやきとんにかぶりつくのが目に入りました。
そこで「Einen momente bitte! May I take a picture?」とか良くワケ判らんちゃんぽん外国語で語らいかけたら、男性の方が目を白黒させながらも「Oui, s'il vous plaît」とかまた全然違うお言葉でとりあえず了承頂けたものとして、そのまま召し上がるところを一枚頂いたもの。
シャープながらも、白人の肌のテクスチャを柔らかく描いていますし、バックのボケもやや飛び気味ではありますが、破綻も少なく映し出しています。

そして二枚目。
同伴女性からの「カッコ良い記念写真撮って下さい!!」との見返り条件に一瞬たじろぎましたが、そこはそれ、何かそつなくこなし、双方お礼の言葉をお国言葉で交わし、ハイさようなら、次の目的地である、「時の鐘」の近傍までやって来ました。
ここでは、半島の北から来たと思しき美小姐とかの写真撮ってみたりとか、それなりにスリリングで楽しい思い出が有るのですが、今回はなかなそうもいかず、鐘楼の下のアイス屋さんで買い食いをしようと企む国産小姐2人組をターゲットとしてロックオン。
目つきの悪い中年男が、新聞記者もかくやあらんとばかりの大型一眼レフを構えて狙っていたのですから心中穏やかざるものがあったのかも知れませんが、肝心のカットは、ほれ、この通り、何も意識せず、極めて自然な成り行きで写っています。
午後の日差しい照らされた柔らかくてしなやかそうな髪の毛がとても美しく捉えられました。

それから三枚目。
アイスを買い終わった小姐達に一礼して立ち去ると、いよいよ、道を渡って、本日のメインイベント会場、駄菓子屋横丁を目指します。
この駄菓子屋横丁には3人の名物男が居て、その筆頭がこの「七色唐辛子おぢさん」なのです。
これをご覧になった読者の方は、「ん、七味唐辛子ぢゃね!?」と首を傾げることと思われますが、さにあらず、おぢさんの背後の赤い幟にも「七色唐辛子」と明記されています。
今回は、いつもと違い、大きな一眼レフでかなりコワイ目つきで狙っていたせいか、おぢさんもかなりパフォーマンスに熱が入り、身振り手振りもオーヴァーゼスチャ気味でした。
何より喜んだのが、一緒に巻き添えになったこの大姐、旦那さんはカメラを意識してか、物陰から奥方に、やれちゃんと味見せい!とか、あんまし辛いのはカラダに良くねんぢゃね!?とか、色々と好き勝手な指示を飛ばしてますが、三人の、その虚々虚実々の駆け引きの熱い雰囲気が伝わる一枚になったのではないかと思います。
ここでは、シャッター速度が確か60分の秒くらいだったので、奥方の手が被写体ブレしてしまっていますが、却ってライブ感が出ました。

まだまだの四枚目。
暫く獲物を求めて駄菓子屋横丁を餓狼の如く徘徊していると、来ました来ました、うってつけの集団が・・・
そうこの純和風空間のエッセンスとも言えそうな着物ガールズ、もとい着物"元"ガールズの大姐分隊が、と或る店舗の前で、品定めとも、小田原評定ともつかぬ立ち話を始めて、それが、またえも言われぬイイ雰囲気を醸し出していたので、後ろからそぉっと近づき、有って無きが如しの肖像権なんか侵害しないよう充分に留意してシャッター切って、ついでに容姿も判んないからイイや!とアップしたのがこの一枚なのです。
某東北地方の一読者が正面からのは有りませんかね!?とか聞いてきても、無いですからね、絶対に。

最後の五枚目。
やはり今回は年齢層が高くて、一部の熱烈なファン諸兄には喜んで頂けないような一抹の不安があったので、また元来た道を遡り、横丁の中まで進みます。
すると、江原某に後姿が良く似たおっ母さんの巨大な背中の影で、良くぞ似なかった!とホメ言葉のひとつもかけてあげたいような気立ての良さげな小々姐が、買って貰ったばかりと思しきハッカ飴かなんかを美味しそうにしゃぶってます。
ふと目が合うと、こっちをじっと見てるので、カメラを構えてみたら、ハイ、この通り、ちゃんと目線くれてますねぇ・・・この後の瞬間、江原某母が「XX美、何イキナリ、ニタついてんだよ、キモイなぁ!!」とか罵詈雑言を浴びせたら、「だって、カメラマンの人が今撮ってくれたんだもん♪」とか言ったら、江原某は慌てて、髪の毛なんか手櫛で直し始めましたが、黙殺して通り過ぎました。何とならば、再び戻って、江原某のそっくりさんを至近距離で撮るほどヒマではなかったし、秋の陽はそれほど短かったのです。

めでたしめでたし。

さて、来週は、工房作品紹介しようか、それとも日曜日の散策区ツアー、東洋の"サンチャゴ・デ・コンポ・ステラ"こと三軒茶屋界隈から下北からのレポートにしようか、土曜日までにしっかり考えておきます。
ということで、乞うご期待♪

テーマ:街の風景 - ジャンル:写真

  1. 2010/10/24(日) 23:09:49|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
<<A town compared to Santiago de Compostela~三軒茶屋から下北沢へ~ | ホーム | A Strange and tiny but performing so so~Ehaghee Victar50mmf2.9 mod. L39~>>

コメント

こんばんは

一枚目のシャッターチャンスは・・・。でも、とてもインパクトある接近戦ですね。ラストもそうですが、今回は動きがあります。
これだけ重量級の組み合わせだと、接近戦バトルになってもそれ自体武器(?)になりそうですが、かなり友好的な場面という事が何より貴重だったですね。

一眼レフのこうしたフットワークも大切と感じました。
  1. 2010/10/25(月) 00:26:17 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

土曜日まで撮影に行っていたとは
毎月、ローレイクラブとの撮影会を段取りして
なおかつ毎週のように撮影に出かけているなんて
最近、なんか気合が入ってますね~~~~
頭の下がる思いですよ~~~~

写真のほうですが
最後のカットは、グッドタイミングで
少女の表情が良いですよ~~~

そして
3枚目も気に入りました。

前に行ったときは
満員電車みたいに人が溢れていましたし
別な日に行った時は人がほとんど居なかったりと
この通りは
私とは相性が悪い気がしますが
Cさんとは、いい相性みたいですね♪
  1. 2010/10/25(月) 20:20:34 |
  2. URL |
  3. 山形 #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。
確かにこの重戦車みたいに重いデジ一眼に交換レンズ2本、更に比較的軽量とは言え、バルナックタイプのレオタクスFまでカバンに忍ばせて、ほぼ半日歩き回ったのは、かなりの危険行為でした・・・実際に前回は日暮れ前に腰痛で動けなくなる寸前でしたし。

しかし、視野率100%の明るくて、ピントの山も掴み易い高級機のファインダはレンジファインダ機での軽快なスナップにも相通ずるものがあり、APSーCのあの井戸の底から天空を覗くが如きファインダと較べれば、遥かにチャンスに強いといえそうです。

同じように鉄アレイ並みに重いカメラ提げて街撮りするなら、某レトリックより、こちらの方が遥かに実戦的ではないでしょうか(笑)
  1. 2010/10/25(月) 23:08:31 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

ヤマガタさん
有難うございます。
な~に、気合いが入ってるったって、毎週末、どっかしら撮りに行ってるったって、遥々みちのくから泊りがけでやってくる貴兄には敵いませんって(笑)

経済的効果で言えば、こちらが六回撮りに出かけて、やっとY形さんの一回分ってとこでしょう(汗)

しかし、どういうワケかI運営委員殿と小生は川越とは妙に相性が良くて、行けば何がしかのシャッターチャンスに巡り合えますね、半島北部の美小姐しかり、高解像度のネコしかり・・・

しかし、Y形さんには深大寺が有るぢゃぁないですか・・・お蕎麦食べて、深大寺ビール呑んで、また蕎麦まんぢゅう食べて、ラムネ呑んで、おやき食べて、そして夜は代々木でくらげでも肴に美味しい酒を酌み交わす・・・こんな楽しいイベントがお待ちしてますからね。
  1. 2010/10/25(月) 23:15:22 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://pwfukagawa.blog98.fc2.com/tb.php/185-47558396
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

charley944

Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる