深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

A town compared to Santiago de Compostela~三軒茶屋から下北沢へ~

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【撮影データ】カメラ:1~3枚目;Canon VIL マニュアル フィルム;Kodak Ektar100、4~6枚目;R-D1s 絞り優先AE +1/3、レンズ:1~3枚目;Sonnar5cmf2L39 in WW2、4~6枚目;Gauss-Tachar32mmf2.3改M 共通:全コマ開放
さて、またしても幾星霜は巡り、日曜の晩がやって参りました。
色々と考え抜いた挙句、やはり今回を見送ると紹介の場を逸することになってしまうので、"東洋のサンチャゴ・デ・コンポステラ"こと三軒茶屋から下北沢にかけての街角の風景をご紹介しましょう。

今回使用したレンズは2本、今まで紹介し忘れていたSonnar5cmf2L39の戦中モデル?と既に写真展等での大プリントの仕上がりにより、知る人ぞ知る工房の人気レンズとなったAstro-BerlinのGauss-Tachar32mmf2.3改Mです。

当日は10時に某散策会のメンバー各位とキャロットタワー真下の東急世田谷線の三軒茶屋駅前で待ち合わせ、この地域に精通しているというメンバーの方の案内で、路地裏をそして住宅街を商店街を行進しながら次々と、「これは!」と思う光景を撮っていきました。
そして、夕方にかけて、三軒茶屋から下北沢目指して歩いて行ったということです。

ここで、作例のご紹介を始める前に何故、三軒茶屋は東洋のサンチャゴ・デ・コンポステラに喩えられるのか?という素朴なギモンにお答えせねばなりませんね。
その理由壱、名前がそのもの「サンチャ」と呼ばれることが多いからです(汗)
その理由弐、太子堂というお菓子屋さんの本社、もとい、日本の資本主義史に残る聖人、聖徳太子を祀るお堂が在るから。
その理由参、後に述べるように、日本全国、いや世界中から巡礼者が来て住み着いちゃったりして、妙に欧州的な 空気が流れているから。
これだけで充分でしょう。尤も、我が深川は「下町のヴェネチア」と呼ばれてますが・・・

さて、前置きはこのくらいとして、早速作例行ってみましょう。

まず一枚目。
撮影行に出発した一行が迷い込んだのは、サンチャゴどころか、香港の九龍城か、ここは地の果てアルジェリアのカスバみたいなうらぶれた呑み屋街の路地でした。
と、そこには魔法使いのダイイングメッセージみたいな壁画と怪しげな電気式カンデラが下がっている・・・まさにこれがサンチャゴの秘蹟なのだ!と勝手に納得してシャッター切ったのがこの一枚。
赤系統の発色には特徴有るゾナーですが、この灰色のモノトーンに近い路地裏の壁一杯に拡がる、怪しげな空気も十分に捉えているのではないでしょうか。

そして二枚目。
その路地を更に一行は進みます。
すると、また場末には似つかわしくない、神楽坂辺りのビストロから黙って拝借してきたような旗が軒上に翻っていました。
これが、隣のエスニックだか中華だか、国籍不明の極彩色の料理屋の二階のデコレーションの後ボケに映え、まさにゾナーの面目躍如のカットになりました。

それから三枚目。
いよいよ、今回のハイライトのカット2連発の一発めです。
商店街の奥、銭湯の更に西の外れ辺りに在るという「耳無し芳一ロッカー」の秘蹟を押さえんと、メンバーが意気揚々と歩いている途中、ラテン系の異人に声を掛けられ、要は「みんな、ハピーかい?クラシックカメラでお散歩会って、世界は何処も平和ぢゃね!?」みたいなことを話しかけて来たのではないか、と思います。
メンバーの一名が話し相手を務める傍ら、「メイ アイ テイク ユア フォトグラフ?」とか聞いてみたら、向かって左の"巡礼者"は、いきなり目を白黒し、手を前に出し「ウェイト、ウェイト」とか言いながら自転車の向きを変え、頭を撫でつけ、それなりにポーズをつけ、向かって右の"巡礼者"とともにカメラに向かってとっておきの巡礼者ポーズをつけてくれたのです。そこで撮った一枚。
しかし、ダメでしたね、思ったより被写界深度が狭くて、左の巡礼者はドンピシャでピンが来てますが、右は殉教してしまっています。
それでも、白人の肌や髪、髭の質感、そして滑らかな後ボケが、戦中ゾナーここに在りと自己主張しているようです。

続いての四枚目。
一枚撮った後も"巡礼者"達とクラカメの雑談は続き、初めに一枚撮ったキャノンよりも、R-D1sの方が気になって仕方なかったらしく、そのクラカメは珍しいな!Zeiss製か?とか聞いてきたので、「へへへ、残念でした、メタルロゴ貼ってるだけピョーン、何せ今出来のデジタルだかんね♪」とか答えると「ほんまかいな、ちょっこし、写してみてーな!」と言うので、カメラを構えた途端、前々から企んでいたらしく、シャッター切った途端に昇天していくイエス・キリストを目で追う14人目の使徒の如く、面白ろポーズをつけてくれたのでした。
解像力が高い分、後ボケは若干、ゾナーより2線傾向で煩めです。

まだまだの五枚目
美味しいランチを頂いたのち、一行は下北沢を目指しました。
途中、代沢界隈も面白いものが結構あり、それらも相当数収めたのですが、紙面の都合上、割愛して、東北方面の愛読者のためのサービスカット行きます。
下北の駅近傍までやって来ると、そこは三軒茶屋とはまた違った若いエネルギーとカオスが支配する、深川人からすると、同じ二十三区内なのかいな???と不可思議極まりない街の空気が支配しておりました。
そこに異形のカメラを下げた妙齢の集団がぞろぞろと行進して行くのです。
ハロウィンの行列ほどには目を惹かなかったとは思いますが、街の空気からは浮いていたことは間違いないのではないかと思いました。
そこで、カメラを構えたら、街の雰囲気が逃げてしまう気がしたので、日頃鍛えた、勘ピンのノーファインダ撮影です。
このカットは貸本屋かなんかの前でたむろしてアイスなんか食べ、政談に打ち興じている女子高生の小姐達の姿をこっそり撮ろうと思ってしまったのですが、魂胆はバレバレ・・・笑いをこらえながら、しっかり目線くれてます。やっぱり、怪しい一行だったということでしょう。仕方なくアイコンタクトし、照れ笑いしながら頭掻いて通り過ぎました。

最後の六枚目。
"聖地"サンチャゴ・デ・コンポステラを出てかなりの距離を歩いて来たというのに、ここにも巡礼者目当ての商売をする大人の真似事をしている子供達の姿が在りました。
電気屋さんの軒下で、様々な回転灯が並べてある一角で、あたかも水晶玉に手を置き、未来の出来事を語る予言者の如く、奥の童子は舌鋒滑らかに道路際の童子に語りかけますが、この海千山千の巡礼者たる童子も「それがしの教典にはそのようなことは書いていない」などと鋭く応酬し、ここがまさに文化の交差点であることを伺わせる図となりました。
至近距離でのノーファインダにしては、構図、ピントともかなりイイ線行ったのではないでしょうか。

今回の感想は、いやぁ、都内ってのは広いと思いました、狭いと思った23区でも深川と太子堂では全くカルチャも雰囲気も違うのですから・・・あ、地価や住んでる人たちの年収がそもそも違うって???
でも、こうやって、あちこちに精通した人たちの案内で都内の新しい風景を次々発見していくのが益々楽しみとなりました。

さて、次回は久々に工房の創作レンズのご紹介です。乞うご期待。

テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

  1. 2010/10/31(日) 21:25:29|
  2. 街撮り写真
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:8
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コメント

やっぱり5枚目ですよね~~~
39歳より20歳前に限ります・・・・・マテw

と、前置きは置いといてw
1枚目の写真が気に入りました。

ところで
三軒茶屋って、茶屋が沢山ある町だと思っていたのですが
違ったのですね・・・・笑
  1. 2010/10/31(日) 21:33:29 |
  2. URL |
  3. 山形 #-
  4. [ 編集]

ご苦労さまでした。

散策レポート、楽しかったです。
この際、レポート主体にして、作例を小さく配置して楽しめるという内容なんて如何でしょうか・・・。

最近はTVでも『ぶら散歩』ブームなのか、「身近な辺境」が大きく脚光を浴び始めています。
日本も国際化するに連れて、横文字感覚でマチを語らなくては成らない時も刻々と迫っているかも知れません!(それは、国内の閉塞感をも打破し得るか否や!?)
海外のレンズを用いて、更に最前線の街に仕立て紹介してしまおーなんて・・・、なおさら(たのしい)文章に磨きを掛けてドシドシとお願いします。
  1. 2010/10/31(日) 22:24:40 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

山形さん
ま、個人的な趣味趣向は置いといて、1枚目の写真に写ってる壁画はかなりインパクトありました・・・てか、街中に結構面白い壁画が有る一帯なんですよねぇ・・・ただの薄汚れた縞々が離れてみたら、ジミヘンだとか、路上にアインシュタインの例の舌出し似顔絵が描いてあったり・・・

因みに三軒茶屋とは、その名の示すとおり、主に観光資源保護の観点から、江戸時代の伝統にのっとって、喫茶店の営業は域内で3軒までしか認められていません。
ははは、ウソです。でも、下北駅沢周辺みたいに5mおきにカフェが在るというようなところからみればやはり少ないですね。
  1. 2010/10/31(日) 23:03:15 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
今回の街撮り散策会は、かの柔らか海洋生物氏が「G13さんは高校のセンパイなんです・・・だから、何をさておいても来てくれると思ったのにぃ」とか、極めて残念がっていました。

しかし、初めての街で、見たものを一瞬にしてデザインして写真に落とし込むという創作活動は、フラチャイズたる東側の下町一帯や深大寺、川越、佐原、そして鎌倉、江ノ島、尾道、那覇、首里といった"土地勘"の在るところでのスナップと比しても、極めて知的創造力の働かせどころとしては興味深かったです。
次回の撮影は深大寺ですが、皆さんの知らない深大寺を発掘出来る様、精進に励む所存です。
  1. 2010/10/31(日) 23:10:10 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

こんばんは。

「海洋生物氏」さんのお話、ありがたく受け取らせて頂きます。(さっするに、同学のわたしも本当は「謎の海洋生物の一種」だったかも知れませんね。)
  1. 2010/11/03(水) 00:47:27 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
再びのコメント深謝です。
まぁ、貴兄は海洋生物でも深海生物でもないでしょう・・・(笑)
撮影会の時もちゃんと人並みの行動が出来て、どっかへフラフラと流れて逝っちゃったりしないし(爆)

でも、柔らか海洋生物氏を哀れと思ったら、深大寺ででも、しっかりとその胸に抱きしめて上げて下さいね、その成行き上、感動して触手でチクチク刺されても当局は一切感知しませんが・・・
  1. 2010/11/03(水) 01:28:16 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

やはり5枚目の娘さんの表情がグー!

この表情はcharley944さんでないと撮れませんな。
あっしは通りすがりで切り撮るのみなんで。
がんばっても6枚目がせいぜい。
ここで頭掻いて通り過ぎることができるあたり素晴らしい。
AFでなく、ガウスタッカーであったこともノスタルジックな雰囲気とリアルな色合いの両立ができているんですよねー。
  1. 2010/11/04(木) 00:34:44 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #-
  4. [ 編集]

出戻りフォトグラファー さん
有難うございます。
どういうワケか、小生、話かけられ易く、また話し掛けても怪しまれないキャラのようなので、街角にたむろしている女子高生を写し込むくらいは、ダイジョーブなのでは・・・とレベル感が身についてきました。
何せ、I運営委員殿にも、「Oさんと一緒に歩いていると人物撮り易い♪」とウデ以外のところでお誉めを戴きましたし(笑)
しかし、この仲間内では"宝玉"扱いだったガウスタッカーも、バルター一族の広角側の充実ですっかり良く写る普通のクラッシックレンズの仲間入りしそうです(汗)
  1. 2010/11/04(木) 19:49:54 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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