深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Une noble dame face à la tradition japonaise~Angenieux28mmf3.5~

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【撮影データ】カメラ:Canon F-1N フィルム;Kodak Ektar100 全コマ開放 ロケ地:川越
さて、今宵のご紹介は、秘宝館からのコレクションによる作例となります。
今回は、主宰する某写真秘密結社「ノンライツRF友の会/新宿西口写真修錬会」の来年の新年撮影会の下見も兼ね、午後から、川越にロケに行って参りました。

そしてお供に選んだ肝心のレンズが仏製のAngenieux28mmf3.5です。
このレンズは、ここで良く登場する35mmf3.5と同じく、P.Angenieux社(現Tarees社)が一眼レフにミラーボックスの厚みをかわすため、1950年に初めてレトロフォーカスという技術、即ち通常撮影に用いる主レンズ群(マスターレンズ)の前に強い度の凹レンズを置くことにより、フランジバックを伸ばしてリリースしたシリーズのひとつです。

余談ながら、1958年には、この凹レンズとマスターレンズとの位置を変えることにより可変倍率としたズームレンズを映画用にリリースしています。

なお、このレンズ、安かったこともあって、元のマウントはエクザクタのものを買ったのですが、当然のことながら、エクザクタのボディなんか、一台も持っていないので、他の同マウントレンズ同様、比較的安価なエクザクタto FD アダプタを常用し、銀塩SLRの中ではNikon Fの次に出番の多いCanon F-1Nで仕様しています。

さて、前置きはこのくらいにして、作例の説明いってみます。

まず一枚目。
高田馬場からニューレッドアローに乗って川越に着いたのが、14時13分。
お目当てのお寿司屋さん、川越 幸すしのランチタイムに間に合うか間に合わないかのギリギリの時刻です。
蔵作りのメインストリートをこれみよがしにカメラ2台も提げ、何も撮らず、ひたすら早足、たまには小走りにお店を目指しました。
その結果、3分前に滑り込みセーフ、お気に入りの海鮮丼と名代青豆豆腐の冷奴なんか戴いて、すっかり寛ぎモードに入ってしまいました。ここで地ビールなんか戴いていたら、もう撮影どころの騒ぎではなく、そのまま、レッドアローでトンボ帰りです。
しかし、心を鬼にして、まずはいつもの撮影コース「駄菓子屋横丁」へ向かいます。
大きな通りを歩いていると、おいしそうに団子を頬張る若いお父さんとお子さんが目に留まりました。
早速、小走りに近寄り声を掛け、一枚撮らせて貰おうとしました。が、しかしファインダーを覗いて、お子さんが団子にかぶりつくのを待っていても、何処吹く風で一向に動じません。そこで、大きなお世話ですが、カメラ構えファインダー覗きながら、かなり大声で、「ハィ、アーンちて!!」とか、声を掛けていたら、この大物こどもさんも哀れに思ったのか、突如、がぶりとやってくれました。
いきなりの動き、特に頭のせり出しに置きピンでは対応出来ず、むしろ、主役は、「ホラ、アーンだよ」と声を掛けて戴いているお父さんになってしまいました。
どうも、突然声を掛けて撮らせて戴いたのに不本意な結果になってしまい申し訳ありませんでした。

そして二枚目。
若いお父さんにお礼を述べ、また駄菓子屋横丁の方い歩いていくと、色々な動物をかたどった巨大な発泡スチロール製オブジェがあちこちに置かれているのですが、その前に肩車状態で佇む、お父さんと娘さんが居ました。
また、ここでも、構図が閃き、お父さんに、卒璽ながら、と声を掛け、肩車のまま、モデルさんになって戴きました。
動物園のカバの檻の前でもなく、かといってただの街中というワケでもなく、上がった画を見て、何故か妙にシュールなシチュエーションの面白い画になったのではないか、と思いました。
お子さんのまとうフェイクムートンの暖かそうで柔らかい質感と作りモノのカバの冷たくて硬そうな質感の描き分けが上手くいっているのではないでしょうか。
お父さん、ご協力どうも有難うございました。

続いて三枚目。
モデルさんになって頂いたお父さんと娘さんにお礼を述べてから別れ、少し歩くと駄菓子屋横丁の北側の入口に着きました。
横丁の中に少し歩くと、白衣のお爺さんが、どら焼状のお菓子を焼き立てで売っているお店が有ります。
そこで、極力商売の邪魔にならないよう、行列の反対側に陣取り、これ見よがしにカメラを構え、焼き立てのお菓子を受け渡しする瞬間を狙いました。
ここは観光地、撮られることを承知で、皆さん、平然とお菓子を注文し、受け取ります。
しかし、やはり、お爺さんの方が、役者が二枚も三枚も上手、カメラを全く意識せず、撮り易いように身を乗り出したり、ゆっくり受け渡しをしてくれています。
3~4カット撮ってから、一礼して店の前を後にしましたが、お爺さんは接客しながら、目で応えてくれました。

まだまだの四枚目。
駄菓子屋横丁で思う存分撮ってから、陽が傾き始める前にまだ他の撮影スポットも回らねばならないので、足早に移動します。
その途中、横丁から南に下る道の西側に名刹が在って、その門前には銀杏の巨木があり、秋には黄金色の葉の絨毯を産み出してくれます。
さすがに、何年か前みたいに無邪気なお子さん達が、銀杏の葉っぱを抱え、それを宙に放ち、シャワーのように浴びる姿などは撮れませんでしたが、暫し佇んでいたら、駄菓子屋横丁から一緒だった、外国人の旦那さんと日本人の奥さんの親子が追いついてきました。
お父さんがコンパデジで見事な銀杏と寺の甍の波を収めようとしていると、小々姐が見あげて、色々と聞いていました。その刹那、ちょうど、夕陽が斜め後ろから射し、二人のお子さんの亜麻色の髪が光った瞬間、シャッターを切っていました。
どのように写っていたか、半信半疑ではありましたが、現像から上がってきたら、ご覧の通り、本来であれば、35mmくらいの画角であれば、髪の毛の光輪がもっと大きく目立ったのですが、秋の日の或る家族の一コマと思えば、これはこれでまぁ良しとしましょう。

最後の五枚目。
駄菓子屋横丁から、徒歩で移動し、蔵作り通りを再び東側に渡ると、時の鐘の鐘楼の下に出ます。
何か良いモデルさんは居ないか?と鵜の目、鷹の目で探していたら、お客にあぶれた車夫さんが、「ガイド付きですよ~、新車の人力車で蔵作りの街を巡りませんかぁ?」と声掛けながら、空の人力車を曳いて歩いていました。
一回目は早足で通り過ぎてしまい、後ろ姿しか撮れなかったのですが、こちらが写真を撮ろうとしていたのに気付いたらしく、この鐘の下を通り過ぎたら、すぐにUターンして、今度はゆっくりと歩いて来てくれました。
そこで、ご好意に甘えてシャッター切ったのがこの一枚。
鐘楼周りを目標に露出を目算していたので、若干アンダー気味になってしまいましたが、時の鐘と人力車、なかなか決まったモチーフになりました。ホントは和服のいたいけな小姐二人組でも乗せていてくれれば、100点満点だったのですが・・・

今回の感想は、やはり暗めの広角レンズを一眼レフのマニュアルで使うのは、かなりしんどい、ということ。
やっぱり、使い慣れたレンジファインダーでないと、チャンスをモノにするのは難しいなぁ・・・ということでした。
たぶん、今流行りのミラーレス一眼なんか、背面液晶で構図取ってからピン合わせていたら、全然、シャッターチャンスなんかモノに出来ないんぢゃないか?と思った今日この頃。やはり使い慣れた道具が一番みたいです。

さて、次回は、先般の写真展でこっそり一枚作例を置いておいたら、そこそこ反響が有ったので、伝説の?あのレンズの作例いってみます。乞うご期待☆

テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

  1. 2010/12/05(日) 22:50:07|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

慣れた道具なら・・・

うまく行きますが、確かにNEX-3にこれをセットした時にはモニターでピントチェック大変でしたし。

この辺り早い所EVF機種でも出して欲しい所ですが、結局はOVFに感覚の部分では負けるのかも、と思ってます。

とは言え慣れませんとねえ。

いずれはD5000レベルのOVFすらデジタルでは高嶺の花になりそうで。
  1. 2010/12/06(月) 08:54:18 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

こんばんは

なぜかブルーな色彩に彩られ・・・、なぜにこんなに青いのでしょうか?
そんな青いイメージに反して、ほぼ連休と化した土日ののんびりした地方行楽地の時事風物は、平穏そのものですね。
国会がどうの、海老が殴られた等の話題と全く離れた「国民」のささやかな日常・1コマ1コマが妙に親近性を感じます。
   こうじゃないとね・・・。

ああ、休みがあったら。



28mmf3,5クラスは、初めてとそれにつずく一眼レフ交換レンズがF3,5のSMC PENTAX 28mmと135mmという暗いものだったので、なーんて事ありませんよ。わたしは、f4,5だかの開放級までダイジョウブです!
もっとも、f4,5なんて、今日では相当変わったレンズしかありませんが、当時に購入した方がたには、「べつにー?!」なんて言われるかもしれませんね。
  1. 2010/12/06(月) 17:38:21 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre  #-
  4. [ 編集]

下見ご苦労様です♪

カメラ2台ぶら下げて・・・・
と書いてますが、もう一台は来週の複線ですか?・・・笑

しかし
日曜日の昼からフィルムで撮りにいって
夜にはブログにアップするとは
流石ですね~~~~

  1. 2010/12/06(月) 21:20:52 |
  2. URL |
  3. 山形 #-
  4. [ 編集]

Re:慣れた道具なら・・・

出戻りフォトグラファー さん
有難うございます。
確かにF-1Nの百点満点誓いファインダでも一枚目のように外すことがありますから、このレンズが仮にEOS1DsMKIIやD2Hに付くことがあっても、開放で撮影することは難しかったでしょうね。
ましてや、日中に背面ディスプレィに頼ってでは推して知るべし・・・ですね。

そういった意味では、万が一にも希望はないと判ってはいますが、フジのX100がライツMマウント互換となって、そのハイブリッドファインダであれば、何とかこのレンズも使いこなせるのでは、と夢想した次第です。
  1. 2010/12/06(月) 21:52:13 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

treizieme ordreさん
有難うございます。 
土曜日にネタ切れに気付き、日曜に朝起きてから思いつきで出かけたワリには、それなりにテーマが一貫しているでしょう・・・まさに修錬に為せるワザですか(苦笑)
しかし、この青み掛かった発色は実は、EKTARフィルムの最大の欠点を暴き出したようなものなのです。
それは、国産をはじめ、他のネガフィルムが露出アンダーだと、灰色っぽくくすむのに対し、この緑、青系発色増強フィルムはベースフィルムの補色であるシアン~薄緑に転ぶのです。

従って、デジとは逆にこのフィルムはオーバー気味に露出して撮れば、イイ味で撮れるという結論に達しました。
  1. 2010/12/06(月) 22:00:08 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

山形さん
有難うございます。
日曜日に南東北の福島まで出かけて、その晩にはブログアップするようなアクティブ御仁にお褒め頂くほど大したもんぢゃございません(苦笑)

しかし、2月の個展のラストスパートの意味も込め、1月には、是非、スーパーひたちで出てきて下さいね。

おいしい青豆豆腐と、芋ビールと、妙齢の女性のコスプレが待っている・・・マテwww
  1. 2010/12/06(月) 22:03:59 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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