深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Minimum but full system~AKA48/24 AKALELE~

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【撮影データ】カメラ:AKALELE35、フィルム:Kodak Ektar100、レンズ:1~3枚目;Schneider Xenar50mmf3.3、4~5枚目;Staeble Lineogon35mmf3.5、全コマ開放、ロケ地:東向島
さて今宵のご紹介は大胆な予告通り、脱力系行きます。
この2台の異形のカメラが今回の主役AKA兄弟です。しかし、作例作りに使用したのは画面向かって左側のAKALELEという巻上げがレバー式のものだけで、右側のAKALETTEは今回は交換レンズのリヤキャップ代わりの随伴です。

まずは、このカメラ兄弟の氏素性のご紹介から。

このAKAシリーズは別に秋葉原の裏通りのバックヤードビルダー的おもちゃカメラ屋さんが三ちゃん家内制工業で細々と組み上げ、今を時めく某少女タレント軍団にあやかって名付け、商品化したわけでなく、今を遡ること約64~56年前にかけ、れっきとしたドイツのApparate und Kamerabau Gmbhという零細カメラメーカーから、高級レンズ交換式レンジファインダー機であるライカに対する135判カメラの大衆機種としてリリースされたようです。

しかし、大衆機といって侮るなかれ、レンズは標準の50mmをはじめ、ツァイスと並ぶ光学メーカー、シュナイダークロイツナッハに供給を仰ぎ、その他、ここで挙げたシュテーブルとか、イスコゲッチンゲンとか、そうそうたるラインナップです。そういえば、前回の渋谷でのICS中古カメラ市だったかで、このAKA向けのXENON50mmf2とULTRON50mmf2を見かけましたが、相当イイお値段でとても改造ネタに使おうなどという気が起きなかったくらいです。

尤も、このカメラ、やはり廉価な大衆機だけあって、ライカとの大きな違いは、距離計が無いことなのです。
従って、今回もファインダーはたまに除きますが、日頃の鍛錬の賜物とばかり、目測、ノーファインダを基本に撮ったものです。

ということで作例行ってみます。

まず一枚目。
東向島の駅を降りて向かったのは、「いろは通り商店街」、昔の遊郭街の名残りとも言われるなかなか風情の有る一帯です。
その表通りを一本入れば、「墨東奇譚」に出てきそうな遊郭の面影を残すような店舗兼住宅が在ったり、高度成長期に継ぎ足し継ぎ足しで拡張されたものの、不景気になって、改築もままならず、平成の御世となった今も奇怪な姿を晒すアパートなどを目にすることが出来ます。
その中で、いつも夕方に写真を撮らせてもらいに立ち寄る、いろは通り裏の屈折鉄階段付きモルタル造アパートです。
目測で9mほどに合わせ、奥の方の人間の営みにスポットを当てた作画を意図したものです。
ただ、やはりいつも絞り優先AEのZeiss Ikon ZMにばっちりピント調整したシネレンズとか、引伸レンズを使っての撮影に慣れ切ってしまっているので、モノコートでフードもない60年以上のカメラ、レンズでの全人力撮影ではなかなかツライものがあり、一枚目からこんな眠い写りになってしまいました。

そして二枚目。
怪しげな小っちゃいおもちゃじみたカメラを首から提げたイイ中年男が、商店街をキョロキョロしながら歩き
横道と見れば覗き込む様は、不審人物以外の何者でも無かったでしょう。
それでも、すれ違いざま挨拶してくるお年寄りは居るわ、街の人々にも特段見咎められる気配はありませんでした。
そうこうして、或る交差点からふと右に視線を向けたら、面白い景色が目に飛び込みました。
そう、一見、民家なのにも関わらず、カッティングシートみたいなものを不器用に貼り合わせて、ネクタイの工場直売をしま~す♪という告知をしているのです。
まさに鄙びた下町ならではの光景なので、すかさず一枚戴き。
撮った後、至近距離に歩み寄って事情を確認してみたら、ここのお宅が内職の元締めみたいになっていて、近所の内職で上がった品物を取り纏めて都内だかのアパレルメーカーに納める役目を担っているようなのです。
そして、立ち寄った時、たまたま、地域への報恩という意味も有って、ネクタイのセールを行う、というようなことが書いてあり、な~るほど、やっぱ下町ってイイなぁ・・・と典型的下町の深川からやってきて妙に関心した次第。

それから三枚目。
またいろは通り商店街の表通りに戻って、終点を目指します。
暫く歩いていたら、終点近くに小さな公園があり、そこにイイ案配に錆びかけた遊具がありました。
このところ、錆とは無縁の生活なので、錆びた鉄製品を見ると、妙に萌えてしまいます。
そこで、アングルを色々工夫し、歩幅で距離なんか正確に割り出して、シュナイダーのXenar50mmf3.5本来のシャープな解像力を発揮させたのがこの一枚。
やはり、キチンと測距してアバウトとはいえ、ファインダを覗いて構図を決めて撮ると、こんなおもちゃみたいなカメラでもレンズ自体は素晴らしいものが付いているので、現代の一眼レフに遜色無い写りが楽しめるワケです。
開放での撮影ですから、f3.5とはいえ、背景は程好くボケ、鉄部のシャープな描写を引き立てています。
おそるべしドイツの技術力・・・ですか。

続いて四枚目。
公園のベンチで選手交替、シュナイダの銘玉から、今度は希少価値で勝負?のシュテーブル製広角、リネオゴン35mmf3.5の登場です。
公園からもう目の前に見えている、いろは通り商店街の終点まで歩き通し、振り返って、いろは通り最後の交差点で被写体を待ちます。
ここは、知る人ぞ知るマニアの撮影スポットで、商店街の銘板の入った街灯と二階家の屋根まで無造作に伸びた正体不明の植物の葉の鬱蒼と茂る様が同時に撮れ、かつ、この辺りにしては例外的に人通りが多い地点なので、人物を入れたカットが自然に撮れるのです。
やはりここでも、目測、ノーファインダによらず、歩幅測距とファインダのブライトフレームに拠った撮影を試みます。
ホントはいたいけな女子高生達が自転車で隊列をなして通り過ぎる瞬間を押さえたかったのですが、時間も時間ですし、陽がくれてしまっては元も子もないので、適当なところで、エィとシャッター切ったのがこの一枚。
まっすぐ進むと思っていた銀輪少年隊のうち一台が急に曲がって画面に写り込んできてくれたのは作画上、嬉しい誤算となったようです。

最後の五枚目。
来た道を戻りながら、先ほどとはだいぶ変わった光線状態を考慮しながら、路地を丹念に眺めていきます。
すると、往路ではそれほど魅力的に感じなかった南天の実が、夕陽の加減か妙に艶かしく見えるではないですか。
また、こういう反射率と彩度の高くて細かいモチーフなんて、レンズのテストにもってこいぢゃね♪と独りで妙に合点して早速撮影に入ります。
その結果は同じf3.5でも焦点距離が短い分だけ、こちらの方が被写界深度が深く、南天の実はかなりシャ-プにしかも鮮やかに描き出されていますが、同時にこのお宅の軒下に鎮座まします、齢数十年のエアコン室外機の勇姿も捉えることが出来、東向島の或る路地裏、という風情が上手く描かれたのではないかと思いました。

さて、次回は今年最後の更新、久々の工房製高性能レンズのご紹介行ってみましょう。
乞うご期待。

テーマ:街の風景 - ジャンル:写真

  1. 2010/12/19(日) 21:43:14|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:12
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コメント

ついにCさんが、AKB48にハマったのかと思いましたよ~~~~笑

ちなみに
目測で、これだけ撮れたら
距離計要らないんじゃないですか~~~~
公園の写真なんか
とてもF3.5のレンズで撮ったとは思えない
バックのボケです。
  1. 2010/12/19(日) 21:55:03 |
  2. URL |
  3. 山形 #-
  4. [ 編集]

2枚目と4枚目が好みですね。

距離計なし、目測ドンで撮影していることを考えると、僕は2枚目と4枚目が好みですね。

4枚目の手前の自転車はまさに偶然の産物とは言え良く入ったなあと感心します。

5枚目の植物は南天でしょうか?
これも色が鮮やかですね。
画面奥のおじさんがこちらを見ているのも良いアクセントですね。
  1. 2010/12/19(日) 22:55:31 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

山形さん
有難うございます。
ハハハ、釣られましたか・・・AKBぢゃなく、AKAです。
実はこのレンズ、不思議なことに、無限から最近接までの前進距離(=光学系ドライブ量)が通常のライカ用の半分強くらいしかないのです。
ということは、目測でやっちゃっても、ライカでやった時の倍の確率でピントが合う、ということなのでしょう。
この恐ろしい性能を秘めたレンズをライカマウント化したら・・・撮影中はそういう宜しくない欲望との戦いでした(苦笑)
  1. 2010/12/19(日) 23:48:40 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

出戻りフォトグラファー さん
有難うございます。
よくよく考えてみれば、フィルムカメラも1980年代半ばあたりから、コンパクトから一眼レフまでオートフォーカスが当たり前になっちゃったんで、ピンはきっちり合わせて撮るもの、という刷り込みが行われてしまっていたのですが、その前のコンパクト機ってだいたい、ゾーンフォーカスという、チューリップの花が一輪、人が1人、人が3~4人、そして山という3点か4点くらいの調整しか出来なかったですが、それでも、開放から結構な写りをしたんですよね・・・それからすれば、目測のインチ表示とはいえ、頭の中で被写体まで30センチのモノサシが幾つ有るかな?とでも考えて、距離指標合わせしておけば、まずハズしは出ないと思います。

面白いカメラですから、次の撮影会の時にでも使ってみますか?
  1. 2010/12/19(日) 23:57:01 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

確かにXA4とかXA2もそうですね。

大体この辺かなって合わせて、後は被写界深度で勝負って感じでしょうか。

次回撮影会参加の折に使ってみたいですけどね。

AFだって外す時は外しますから、案外良い勝負かもしれませんね。
  1. 2010/12/20(月) 00:09:02 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

出戻りフォトグラファー さん
再びのコメント深謝です。
実は、たまにしか使わないという点ではヤシコンのT2とイイ勝負なんですが、ヘタすると、ピンボケはT2の方が多かったりします(笑)
是非、川越で使ってみませう。特に超絶珍品との呼び名も高いLineogon35mmf3.5のツボに嵌まった写りは感動ものぢゃないでしょうか。
  1. 2010/12/20(月) 22:54:47 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

何時もと違ったカメラを持つと、視点も変る気がします。
距離計も無いと言う事ですが、そんなシンプルさが撮影へ向かう姿勢もシンプルへと誘う気がして楽しげなものです。

気の重い高価なカメラでは撮影出来ないと思い込んでいた路地裏へするりと忍び込める、そんな力を見せ付けられる今回でした。

常に行きあぐねている海外の路地裏なんて、こんなのを携えれば行けそうな気がしました。
  1. 2010/12/23(木) 07:45:55 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

>何時もと違ったカメラを持つと、視点も変る・・・

すっごく同意です♪

  1. 2010/12/23(木) 19:51:16 |
  2. URL |
  3. 山形 #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。
今、那覇ですが、このAKAカメラと対極にある相棒に頼り切って、M8が全然出番無し、昨日、今日と、ZeissikonZMとLX5ばかりで撮っています。
う~ん、人間てのは、無意識にラクな方に流れてしまうものなのですねぇ・・・
  1. 2010/12/25(土) 22:21:37 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

山形さん
有難うございます。
う~ん、さはさりながら、M8の出番を食っちゃうほど凄いコンパデジと巡り合ってしまったことが幸福なのか不幸なのか、悩んでいます(苦笑)
  1. 2010/12/25(土) 22:23:35 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

あら、LX5入手ですか?

あれも良いんですよね、色合いが。

D-LUX5に行かない辺りがcharley944さんらしい。

仕上がりの写真、楽しみにしてますね。
  1. 2010/12/26(日) 22:00:20 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

出戻りフォトグラファー さん
有難うございます。
何故LX5を衝動買いしたかと言えば、お店での見本機での試写の際のモニターでの解像度・・・思わず毛穴が逆立ったほどです。
勿論、コントラストと階調再現性のバランス、発色の艶やかさ、全てにおいて、文句のつけようがないモデルです。
  1. 2010/12/27(月) 09:19:58 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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